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F-3の開発体制を予想。同機は日本の航空宇宙産業基盤の飛躍につながる重要プロジェクトだ。その他国にも第六世代機開発の動きがあるのは米依存体制の脱却を狙うため。

  

japanese f-x fighter concept art

Artistic representation of what the F-X may look like. Source: Japanese Ministry of Defense/Wikiwand

 

 

2020年12月、日本が開発する第六世代戦闘機の詳しい情報を日経新聞が報道した。国内開発に約5兆円(480億ドル)を投じる。

 

同機にはF-XあるいはF-3の名称がつき、周辺国の航空戦力に追い付き、追い越すことが期待されており、中国やロシアを意識している。

 

防衛省では中国に「第四世代」戦闘機が1,000機超あるとみている。問題はこの数字が10年間で3倍増になっていることだ。

 

日本にとって悩ましいのは中国が「第五世代」ステルス戦闘機の運用を着実に進めていることだ。ロシアも第五世代戦闘機の配備を計画中で、合わせて無人大型機も開発している。

 

日本は2018年時点で次世代戦闘機開発構想の詳細に触れていたが、今回新たな詳細情報が出てきたので紹介したい。

 

開発に加わる企業はどこ

日本は技術面で進んでいるものの、戦闘機開発の実績はない。このため、英米の技術支援に関心を示している。

 

日経の2020年11月記事では防衛省はロッキード・マーティンボーイングBAEシステムズに絞り込み、システム統合能力、ステルス機動性、開発技術の三点で評価するとあった。

 

結果として同機は日本の大企業三菱重工業がロッキード・マーティン含む米企業の支援を受けての共同開発となる。実現すれば航空自衛隊とあわせ米軍も運用の可能性がある。

 

国際開発により各国で共通運用可能な機体が生まれる。理論の上では新型戦闘機は米F-22やF-35とのデータ共有が可能で、共同作戦の効率が上がり、もっと重要なのはより安全になることだ。

 

ロッキード・マーティンはじめ米企業と提携すれば日本側設計陣にも大きな効果が生まれる。日本側はノースロップ・グラマンとも協業できる。

 

ノースロップ・グラマンは特にセンサー機能やデータリンク技術で優れており、このためロッキードと三菱重工が提携してもノースロップの技術支援の実現が容易になる。

 

英BAEも日本には有望な選択肢で電子戦技術の技術に優れており、敵攻撃を有効に阻止できる。日本の目指す新型戦闘機の大きな目標に役立つ。

 

こうした著名企業以外におよそ1,000社が絡む。この数字はその他の戦闘機開発でよくみられる規模だ。

 

赤外線センサー、軽量機体構造、情報処理装備を外部調達する可能性が高いが国内サプライチェーンの活用になりそうだ。そのため外部からの技術支援を活用しながら、国内産業力も育成したいというのが日本の希望だ。

 

F-3の外観はどうなる? 

 

同機の想像図が数点出てきた。ただし、あくまでも構想図に過ぎない。完成機が全く違う外観になることもありうる。

 

F-22のサイズを上回る機体になるとの観測からさっそく「ゴジラ」のニックネームがついた。

 

とはいえ、F-3には電子作動制御面が採用される。低レーダー断面積の実現のため、機体は細目となり通常の油圧系統の採用は限られるようだ。

 

光ファイバーによる飛行制御をフライバイライトと呼び、ヘビを思わせる空気取り入れ口はレーダー断面積削減とともに排熱放出削減にも役立つ。

 

F-3はヒートシールドおよび統合接合構造を複合材で実現する。これで機体重量を抑え、航続距離を延ばせ、航空自衛隊が求める運用基地の柔軟性が実現する。

 

推進系ではIHIが低バイパス比ターボファンエンジンXF9-1開発を2018年から続けている。同エンジンは特殊素材を使い、重量軽減しながら摂氏1,800度までの耐熱性を実現する。

 

同エンジンはアフターバーナー作動で16.5トンの推力を実現する。この数字はF-22ラプターが搭載するF119エンジンよりやや低い。だがXF-9はスリムな外見ながら180kWの発電容量を実現する。また推力偏向ノズルを採用し、飛行中の高機動性を実現する。同じ機能はF-22やロシアのSu-30がすでに実現している。中国のJ-10、J-20両戦闘機も同機能を有しているといわれる。

 

その他東芝富士通がガリウムひ素でアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーの開発にあたっている。実現すれば飛来するミサイルへの防衛能力が倍増する。このレーダーに赤外線センサーや電子電磁センサー(ESM)が補完する。

 

F-3の予想性能は? 

 

F-3の新機能では多くは噂の域を脱していない。当然ながらF-3の性能に関する情報は限られている。とはいえ、双発の機体に先端技術を盛り込み、VRを採用したヘルメットディスプレイや高周波兵器として敵ミサイルを攻撃可能なレーダーの搭載が実現しそうだ。

 

またミッションシステムや電子戦装備も高度なものになりそうだ。三菱電機が中心となろう。

 

自機防御用のジャミング機能がシステムの一部となろう。また「統合火器管制戦闘機用装備」(IFCF)により日本の(およびおそらく米国も)戦闘機各機でセンサー、ミサイル照準情報を共有し視界外射程ミサイル発射の精度が引き上げられるだろう。

 

降着装置の開発はSUBARUが行う。同社は自動車製造のほうが有名だが、航空宇宙事業部は民生機のボーイング777などの主翼や降着装置を製造している。

 

F-3では無人機の「忠実なるウィングマン」別名「戦闘支援無人機」を三機まで制御可能とする。センサー搭載機材あるいは偵察機の役割のほかに追加兵装搭載機にもなる。

 

各用途の無人機によりF-3の攻撃力は大幅に伸びながら、F-3は敵攻撃への露呈を減らせる。

 

ロッキード・マーティンは三菱重工にF-3の機体構造並びにシステム統合面で技術支援を行いそうだ。ステルス性の実現にむけた素材選択が重要だ。

 

このうちレーダー吸収剤が重要で、高度なシステム統合が今後課題になりそうだ。

 

新型機は多任務戦闘機になり、対地対艦攻撃外に制空戦闘機にもなる。さらにネットワーク機能を生かし、敵の電磁妨害があっても機能を維持することになる。

 

機内兵装庫は少なくともミサイル六発の運用が可能で、空対空ミサイルのほか、空対地、対艦ミサイルの運用が可能となる。

 

公表情報では日本は当初90機の調達をめざし、老朽化してきたF-2の後継機とする。供用開始は早くて2035年となる。

 

それよりも野心的なのは試作機を2024年に完成させ、初飛行を2028年としていることだ。F-3の量産開始は2031年以降とあり、供用開始は2035年の想定だ。

 

日本主導の大日程がそのとおり実現すれば、戦闘機国内開発は1970年代の三菱重工F-1以来となる。

 

こうした日程観はその他高性能戦闘機でみられる開発遅延を考えれば紙の上だけのものに写る。だが日本は要素技術等で国内研究を先に進めており、レーダー、エンジン、ネットワーク機能で顕著だ。

 

さらに日本にはステルス実証機のX-2心神があり、推力ベクトル機能付きエンジンを試している。次世代戦闘機の国内開発は国内企業の技術水準引き上げに大きく貢献するはずだ。成功すれば日本は世界最先端の戦闘機を配備するにとどまらず、国内産業力の育成も実現する。

 

さらに興味を惹かれるのは第六世代戦闘機の国内開発をめざす動きが他国にあらわれていることで、英国のテンペスト、独仏共同開発の将来型戦闘航空システム以外にも例がある。

 

こうした流れから将来の航空戦力は有人戦闘機だけだったこれまでの流れから有人機を無人機が支援する統合システムに向かいつつあるようだ。

 

この実現は高くつく。とはいえ多数国が必要な事業と認識しており、防衛以外に国内航空産業基盤を守り強化することで先端技術の米国依存を脱したいと考えているからだろう。■

 

 

The Extraordinary Power of Japan's Sixth-Gen FX Fighter Jet

Japan is currently developing a "sixth-generation" fighter jet, unofficially called "Godzilla".

 

By  Christopher McFadden

Aug 19, 2021   


コメント

  1. アメリカはF-35で欲張りすぎました。どこを飛んでいるかリアルタイムでアメリカに筒抜けなんて話もあり、各国とも独立国である以上そんな戦闘機は使いたくないと思ったのでしょう。

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