中国の歴史で習近平はむざむざチャンスをつぶした強圧的な指導者、毛沢東の再来を夢見る時代錯誤の人物と評されるかもしれません。同盟国がない中国がまさかこれだけ多くの国が自国に対抗してくるとは夢想さえしていなかったのではないでしょうか。中国が張子の虎だと露呈すれば面子を失ったCCPが何をするかわかりません。記事はオーストラリアのメディアが伝えたものです。
HMSクイーン・エリザベスが南シナ海入りした。 Picture: UK MOD.Source:Supplied
英海軍の空母HMSクイーンエリザベスが南シナ海に入るや、中国は軍事演習を展開すると発表し、英空母の来訪は「植民地時代の発想」とし、中国が領有主張する島しょ環礁に侵入すれば「撃退」すると豪語している。
国家管理下の環球時報は論説で「中国は米国との覇権反覇権闘争を終わらせる。この地域外の各国には「事故による負傷」を避けるべく鼻を突っ込まないで、と伝えている。
北京の不安
中国が一方的に主張する領有権に真っ向から反対してきたのはこれまで米国のみだった。今度はロンドンも米国に並び一線を超えるのか世界が注目している。
環球時報は「中国領土の12カイリ以内に軍艦を進入させるのは中国の中核的権益に真っ向から挑戦することになり、予期外の事態になりかねない」と警告した。
中国は今後の展開を見通し、いつになく強硬な発言を続けている。
「中国のことわざに誰かを罰する際にはそいつの兄の面子を考えるべきとある。だが、中国はこの反対だ。中国はロンドンがワシントンの手下となり北京を挑発すれば罰せられると米国に告げているのだ」と中国軍事アナリストSong Zhongpinが述べている。
無害航行
北京は警告を続ける。「米国の同盟各国には特に慎重に中国のレッドラインに近づかないよう、事態を先に進めないよう忠告申し上げる。仮に各国艦艇が米軍同様に南シナ海で傍若無人な振る舞いに出れば、中国の主権、領土の保全のため防衛活動の対象になるのは必至だ」
北京にあるシンクタンク南シナ海調査協会は7月29日にHMSクイーン・エリザベスが随行艦と中国の設けた「九段線」を通過したと発表した。
中国は渤海、黄海、南シナ海で軍事演習を同時展開中と記事に対応して発表している。
オープンソース情報では中国の空母山東が南シナ海北方で活動中だ。
北京は今回の動きはロンドンのスタンドプレイだと非難している。
「人民解放軍は英艦艇がいかなる不穏な動きを示し、南シナ海航行を今後にむけた訓練として利用すれば即座に対応する準備を整えている」と環球時報は警告している。
南シナ海では軍事演習が同時並行で海南島、広東省付近で展開しており、空母山東もそこに姿を現している。
「中国領土の島しょ環礁へ侵入した米艦艇と同じ動きを英艦艇が示せば、PLAが同様に退去させる」
訓練機会
中国は南シナ海ほぼ全域を自国領土と主張しており、ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシアの各国の主張と重なる。2016年に国際仲裁裁判所が「九段線」による領土主張に根拠はないと否定したが、北京は裁定結果を一蹴した。
その後、海軍、沿岸警備隊、漁船民兵により域内で強硬な主張を押し通し、人工島の武装を進めた。
一方で同国は西側諸国こそ域内平和を乱す主要な脅威だと主張している。
HMSクイーン・エリザベスを中心とする多国籍部隊には英海軍の護衛艦艇、支援艦に加え米海軍誘導ミサイル駆逐艦USSサリバンズ、オランダ王立海軍のフリゲート艦HNLMSエヴァーツェンが加わり、東南アジア巡航中にその他国の艦艇も順次加わる。
「空母と随行艦は南シナ海で演習を実施する、あるいは航行の自由作戦を中国が占拠する島しょ環礁部分で行うだろう。今回加わっているHMSディフェンダーが黒海で同じ趣旨の作戦を先月展開している」と中国メディアが報じている。「PLAは各艦の動きを注視し、不穏当な動きがあれば即座に対応する準備を取っており、今回の事態は英国の新鋭空母をまじかから観察しつつ演習の機会ととらえている」
いざというときの友邦国
「中国側は南シナ海を大国間の競合の舞台にしてはならないとかねてから主張している」と中国国防省報道官が香港のチャイナモーニングポストに語っているが、自国が構築した人工島の武装ぶりやベトナム、フィリピン、マレーシア各国の漁船へのいやがらせ、資源探査には触れていない。「南シナ海の軍事化は域外国が自国から遠隔地まで軍艦を派遣し武力誇示することがきっかけとなる」と述べている。
だが英国、米国、オランダは一様に空母任務部隊は国際海洋条約の定めた権利の行使との主張だ。
中国は英国が「いまだに植民地時代のまま」と述べている。「英国は海軍力で昔の夢再びと思っているのだろうが、同国の現状の実力ではグローバル規模の野心は支えられない」と環球時報は指摘している。
HMSクイーンエリザベス艦上のF-35Bライトニング。Picture: UK MOD.Source:Supplied
こうした主張は時の経過の前に効力を失うと地政戦略評議会のビル・ヘイトン博士が解説している。「怠惰かつ不正確な論調だ」
旧植民地のマレーシア、シンガポールはすでに六十年前に独立していると指摘。ブルネイは1984年に独立した。「こうした各国さらに多くの国が英海軍の寄港を歓迎している。これは各国も域内の安全保障状況に懸念を深めているためだ。
「不確実な環境の中で各国は懸念を共有してくれる相手を求めるものであり、英国がその対象で、相互に支援しあう」
有事になれば
実際に山東とHMSクイーン・エリザベスが対峙する可能性は薄いと見るアナリストが多い。
中国と外国艦艇が対決した場面は2018年に発生した一例のみだ。中国駆逐艦旅游が米駆逐艦USSディケーターに無理やり航路を変更させた。
米国防長官ロイド・オースティンはHMSクイーンエリザベスが近づく中でシンガポールを訪問中だった。同長官は英大使とともに中国の強硬主張へ反論した。「中国が南シナ海の大部分を自国領と主張しているが国際法上では根拠がない」「こうした主張は域内各国の主権を踏みにじる。われら両国は域内で沿岸部を有する各国への支援を継続し国際法下で各国の権利を、守っていく」
北京には正式な同盟国は皆無だ。
そこでインド、日本、オーストラリア、米国は四か国条約を防衛協定に変更させようとしている。英主導の任務部隊が加われば冷戦時代を思わせる友好関係が域内で強まるだろう。
「同海域に展開する軍艦は中国にある程度の脅威となろうが、派遣の政治的な影響のほうが大きな脅威となる。オーストラリアやカナダといったその他西側諸国もこの流れに乗り、南シナ海や東シナ海へ艦船を派遣し、対中国包囲網に加わりかねない」とSongは見ている。
西太平洋に海軍の「常備部隊」を創設する構想が6月に出てきた。提案では冷戦時を思わせる各国混成部隊で、北大西洋での対ソ連対応がモデルとなっている。
「これが実現するのか注目だが、かりに実現しても中国は脅威に屈しない」とSongが述べている。■
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UK's HMS Queen Elizabeth in South China Sea sparks Beijing threats
Beijing’s threatens UK after HMS Queen Elizabeth enters South China Sea
A power struggle has erupted after an aircraft carrier challenged China’s South China Sea rule. Beijing says there will be consequences.
AUGUST 2, 20213:27PM
Jamie Seidel is a freelance writer | @JamieSeidel
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