国防問題に関心を持つ向きならF-22ラプター事業が大幅予算削減された様相外の進展を忘却している方はいないはずだ。対テロ戦たけなわの中、米軍はこれに踏み切ったが、米空軍に対抗する大国が着々と戦力を整備する中でこの選択は過誤であったと受け止められている。F-22は生産を187機に削減されたが、ステルス機への期待は前線指揮官の間に膨らむ一方だ。F-22削減の決断はここ二十年で米軍の戦略上の誤りで最大といわれる。F-35共用打撃戦闘機で同じ決定を口にする識者ならびに事情を知らされていない政治家が存在するのは事実だ。
過ちを繰り返せば代償は大きい
F-35でも同じ誤りを繰り返すのだろうか。F-35事業には不当かつ根拠のない批判に加え経費や機体維持に関し虚偽の懸念が投げかけられているのか。F-35の大幅削減を何とかして回避しようとする議会有力議員連に以前のF-22事例から大きな懸念が生まれている。
「F-35にも2004年当時のF-22と同じことがふりかかろうとしていると危惧する」と上院軍事員会の有力議員ジェイムズ・インホフェ議員(共、オクラホマ)が空軍上層部を招いた予算公聴会で発言していた。
F-35事業が大幅削減されれば何が起こるのか。F-35の稼働機数が減れば、さらに少ないF-22とともに深刻な戦略面の問題が生まれ、空軍は代りに第四世代機を大量投入し、ロシアや中国の航空戦力に対抗せざるを得なくなる。この両国は強力な防空体制を整備しており、自らの第五世代機があるのでF-15やF-16が大量撃墜されるのは避けられなくなる。また米軍が旧式機を長年稼働せざるを得なくなり、維持修理に多額経費が必要となる。
またF-35にはネットワーク機能があり、採用各国のF-35とネットワークを形成し、ミッションを実行できるが、この期待が大幅に後退する。おそらく姿を消す。つまるところ、編隊を組み、多数機を相互に統制しつつネットワーク機能を駆使する能力があるため、米国の同盟各国もF-35に資金を投入しているのだ。この機能を葬り去れば全体費用は減るどころか、上昇するのは必至だ。
F-35削減は誤った考え方
F-35事業の大幅削減に踏み切る懸念では一部に空軍が第六世代機の開発を急速に進めていることからF-35事業の縮小を想定する向きがある。ただし、この考え方は間違っている。現状ではF-35と次期戦闘機を併用することになっているからだ。空軍は両機種は相互補完性があると認識している。それぞれミッションが異なり、性能もことなる機種として運用されるはずだ。
第六世代機の構成、性能やミッション内容はほとんど不明だが、同機はF-22の後継機の位置づけとなり、F-35にとって代わるものではないと考えてよい証拠がそろっている。
F-22廃止が2030年から始まる予定が示されており、機種交代は明らかだ。数年前までF-22には数次にわたる性能改修が想定されていた。
第六世代機が飛行を開始しているがF-3削減の意見が生まれていないことが関心を呼ぶ。むしろ事態は反対で、両機種を併用し相互支援させる構想が出てきた。第六世代機が実現してもF-35のニーズは消えないということだ。
F-35が消え去ることはない
F-35を廃止した場合に米軍には相当数の別機材が必要となり、ロシアや中国の脅威を念頭に第六世代機が開発されているが、多国籍連合軍が大幅な予算を投入しているF-35には今後も輝かしい将来が控えている。F-22削減で生まれた悪影響を反面教師とし、F-35で繰り返せばロシアや中国が必死になって模倣しようとしている機体を米軍が投入できなくなる事態が生まれるだけと理解すべきだろう。■
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History Proves Gutting the F-35 Fighter Would Be a Tragic Mistake
by Kris Osborn
August 1, 2021 Topic: F-35 Stealth Fighter Blog Brand: The Buzz Tags: F-35 Stealth FighterF-35Stealth FightersU.S. MilitaryF-35 Costs
Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master’s Degree in Comparative Literature from Columbia University.
Image: Flickr.
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