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カブール上空にRC-135Wリベットジョイントが監視飛行。その他米軍機材のカブール空港への展開状況と撤収作戦の見通しについて。

An RC-135V/W Rivet Joint intelligence, surveillance, and reconnaissance aircraft takes off from Al Udeid Air Base in Qatar.

USAF

 

 

ご注意 事態が急速に展開しており以下は米時間8月17日現在の内容です。

 

空軍のRC-135Wリベットジョイント情報収集偵察機一機がカブール上空を周回飛行しているのがオンラインフライト追跡サイトで確認でき、ハミッド・カルザイ国際空港で米国等の撤収作戦が進行している。米陸軍のエリート部隊第160特殊作戦航空連隊(SOAR)所属のヘリコプター数機が空港に配備されている。米国による撤収作戦はさらに拡大する模様で、陸軍第82師団の指揮統制部隊が空港現地に移動し支援するとの発表も出てきた。

 

このうちRC-135W(62-4138)はコールサインがパイソン52でアルウデイド航空基地(カタール)を本日早朝に離陸している。同機は北アラビア海上空を経由しパキスタンからアフガニスタンに移動した。米軍機がペルシア湾からアフガニスタンに移動する際の標準経路で、同機はその後追跡サイトで所在が見えなくなった。同機が基地帰投したかは不明だ。

 

リベットジョイント機投入は、カブール上空で高高度を飛行する他機は事実上存在せず、理にかなっている。リベットジョイントは強力な電子通信情報収集能力を有する。各種信号発信源とを突き止め、「電子戦闘序列」を形成するほか、指揮統制機能や敵のその他活動の探知が通常の任務だ。

 

タリバンには防空能力がなく、指揮統制機能も限定されている。RC-135Cでは広範な地区でのチャット通信を傍受する機能もあり、重要情報を地上部隊へ中継できる。リベットジョイントには通常は各国語に長けた暗号専門家が搭乗し、アフガニスタンの場合はパシュト、ダリの各言語専門家が該当する。搭載センサーが集める膨大な交信情報の処理が可能だ。

USAF

An official US Air Force graphic describing the different members of a typical Rivet Joint crew and their responsibilities.

 

現時点でタリバン上層部は外国による撤収作戦が展開するハミッド・カルザイ国際空港に干渉しないと公的に発言している。外国人の空港移動を支援する例も出ているが、アフガニスタン国民には空港利用を禁じているとの報道がある。

 

同空港での米軍活動は他国軍とあわせ、タリバンの気分に振り回されているといっても過言ではない。タリバンは首都を占拠しているが指導部が戦闘員をどこまで直接統制しているか不明だ。空港周辺で銃使用の報道も出ているが、ペンタゴンは昨日米軍隊員が武装した現地人二名を銃で殺害したと認めたが、タリバン所属の戦闘員だったかは明らかにしていない。

 

そこでカブール上空を旋回飛行するリベットジョイントだが、タリバン上層部が公表発言通りに行動しているか確認するため強力な機能を発揮する機材だ。同時に機内の情報収集機能を活用し、タリバンの指揮統制能力を把握する重要な任務もあり、弱点を見つければ将来活用の可能性を開く。

 

同機を上空待機させることで、同空港に終結する外国軍部隊へタリバンの動きを早期に伝え危険を予知できる。アフガニスタン上空のリベットジョイントがトランスポンダーを作動させれば、機体追跡サイトで存在を公示できるのでタリバンにも米軍が襲撃の動向を伝える通信に耳を傾けているぞと示せる。

 

米軍がリベットジョイントをこのように利用するのは今回が初めてではない。米海軍水兵をイランが2016年に捕獲した事件では解放された際にイラン政府が交渉内容通りに動いているか裏を取る目的で同機が投入されていた。

米軍の同空港でのプレゼンスはこれから増える。ワシントンポストのダン・ラモーテ記者は陸軍第82師団の司令部部隊がカブールに向け移動中で、空港での運用を統制するとあり、同部隊は空港の占拠、占領の訓練を受けているため、ともある。総勢6千名規模になる陸軍海兵隊部隊のトップ組織になる。

 

同空港では全くの混乱状態が昨日も続き、アフガン人多数が国外脱出を目指し、フライトラインにまで侵入した上、増援部隊の着陸にも支障が生まれた。同空港の運用そのものは少なくとも米軍他外国部隊の担当部分では大方安全に実施されている。

 

興味深いのは陸軍第160特殊作戦航空連隊)(SOAR)のMH-60ブラックホーク、MH-47Gチヌーク、AH/MH-6リトルバードの各型へリコプターが現地展開していることで、トルコ軍部隊も空港の保安に従事中とするツィッター投稿が見られる。160thSOARが撤退作戦のため各機を持ち込んだのか、アフガニスタン各地から集結させたのかは不明。

 

ヘリコプター各機は撤収作戦を有効に支援できよう。MH-60およびMH-47Gは空中給油対応だが、カブールに展開する標準型AH-64アパッチ、CH-47、UH-60さらに国務省のCH-46シーナイト、UH-60ブラックホークにはこれがない。AH/MH-6リトルバードは空中給油は受けられないが、燃料タンクを追加できるし、大型機への搭載も容易だ。各ヘリコプターは撤収作戦の最終段階で活躍しそうだ。

 

The War ZoneではKC-135RT「レシーバータンカー」について超低空かつ夜間暗視飛行の特別訓練を受けた搭乗員が運用している様子をお伝えしてきたが、撤収作戦で同機も支援にあたっている。

 

KC-135Rは標準形だが、KC-135RTは特殊作戦部隊支援が任務で、同時に空中給油も可能だ。この性能を生かし、通常の給油機から燃料を受け取りさらに別の機材への給油にも使う。空軍のMC-130特殊作戦用輸送・給油機が対象となる。こうした給油機がヘリコプターやオスプレイに給油する。国外脱出の対象には他の米軍部隊所属機や国務省所属の機材もある。だがハミッド・カルザイ国際空港がいつまで数千名の米軍部隊を受け入れ可能のままであるか不明であり、各部隊人員に合わせ車両、兵装、その他物資を撤収させる計画の内容も不明だ。

 

撤収作戦の最終段階で航空援護は複雑な様相を呈するはずだ。空軍のAC-130ガンシップやB-52爆撃機はペルシア湾岸から発進しアフガニスタン空爆を続けて来たが、ここ数日は投入されているか不明だ。Pajhwok Afghan News記事一点のみカブールへの本日未明の空爆について報じているが、その後この関連報道はない。米中央軍の広報部門は本日現在カブール近辺での米空爆作戦は実行されていないとThe War Zoneに語っている。

 

カブール空港には各国軍部隊も展開中で、前述のトルコ治安部隊にはアゼルバイジャン部隊も加わっている。米政府はトルコと交渉し空港の保安体制を米軍撤退後も担当するよう求めたが、当初案の想定と異なりタリバンがアフガニスタンの支配権を握ってしまった。トルコ軍およびアゼルバイジャン軍がいつまで現地に留まるかは不明だ。

 

すべてはタリバン次第で、タリバンは空港での外国軍活動を黙認しているが、いつ態度を変化するかは不明だ。

 

ペンタゴンの昨日発表では目標とする一日5千名の国外搬送能力の実現にはまだ数日かかるとある。昨夜はC-17A9機がカブール空港に到着し、兵員1,000名を装備品とともに送り込んできた。その後700名ないし800名を国外に移送した。米軍がめざす輸送目標から見れば小規模な実績にすぎない。

 

米軍が国外脱出の対象とするアフガン国民の定義ははっきりしない。特別移民査証(SIV)を受ける資格は米政府へ役務を提供したもので、今やタリバンの報復対象で、明らかに国外脱出の対象だが、総数は不明だし米国に移送される規模、その他国への脱出規模も不明だ。ペンタゴンは米国内施設に最大22千名を受け入れ可能と発表したが、米政府関係者はさらに数千名規模を他国で受け入れられないか動いている。

 

空港に集まった一般アフガン国民の間に失望感が増えているのが手に取るようにわかる。このままでは再びフライトラインに集まり離陸体制の機体に群がりかねない。一部には何としても国外へ逃げようと過激な行動に出るものもあり、C-17Aにつかまる様子の恐ろしい映像が流出している。

 

中には離陸機から振り落とされ死亡したものもある。本日の報道では機の右車輪格納庫に閉じ込められ死亡したものが発生したとある。映像では機体内に見つかった遺体がわかる。

 

アフガニスタン中央銀行前総裁となってしまったアジマル・アーマディはツイッター投稿し、同胞により文字通り機内に押し入れられてカブールから日曜日に脱出した、民間機便はキャンセルとなったとある。

 

アーマディはさらにアフガニスタンに留まる関係先からタリバンがアーマディを探していると伝えてきたとも記している。多数の元軍人やその他政府関係者の安全を心配し、タリバンが各戸を回りアーマディのような人物を捜索中で恐怖を呼んでいるという。

 

タリバンが中央銀行を占拠するリスクについては以前から懸念があった。昨年時点で中央銀行に90億ドル相当の外貨準備があったといわれる。米政府は米国銀行内のアフガン政府資金を凍結しており、タリバンとの間で緊張が高まりそうだ。

 

アフガニスタン情勢を総合すると極めて流動的で進展が生まれており、空港での脱出作戦の進展が急に変更されてもおかしくない。これが空軍のRC-135Wリベットジョイントが上空に留まる理由だ。

 

Update 2:30 PM EST:

 

米政府はハミッド・カルザイ国際空港からの国外脱出を無傷で続けられるようタリバンと交渉中と認めた。その他未解決の課題として撤収作戦の期間延長があり、予定される8月31日以後の運用が可能となるかがある。

 

バイデン政権の国家安全保障担当補佐官ジェイク・サリバンもその他米政府関係者と懸念を共有しており、米政府が緊急事態対応をあらかじめ立案していたもののアフガニスタン政府の崩壊スピードが想定外だったと認めた。サリバンからはジョー・バイデン大統領は日曜日のカブール崩壊以後は海外指導者のだれとも意見交換をしておらず、その他国が慌てて自国民の国外脱出に追われる中で興味深い事実となっている。

 

サリバンからは米軍の国外脱出実施能力の現況についても発言があり、各機で約300名を収容できるという。今後数日でこの数字が増えることを期待したい。

Update 3:20 PM EST:

 

米海兵隊フランク・マッケンジー大将(中央軍司令官)がハミッド・カルザイ国際空港を本日視察し、作戦の実施状況を直接把握した。声明発表ではタリバンが撤収活動への妨害をすれば米軍は「圧倒的戦力で部隊を防御する」とした。また有視界飛行に限り民間機運用が可能とも述べた。

 

米政府関係者からはアフガニスタン国内にはまだ11千名が残留しており、各国外交団や第三国国民も同数残っているとの発言が出た。全員が国外脱出を必要とする。アフガニスタン市民4千から6千名もカブール空港内に留まり、航空機による脱出を期待し帰宅を拒んでいるという。

 

Update 3:55 PM EST:

 

米空軍はカブール空港を離陸したC-17Aから振り落とされ死亡したとされるアフガニスタン市民の事件について正式調査を開始したと Politicoに認めた。■

 

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RC-135W Rivet Joint Spy Plane Is Flying Orbits Over Kabul (Updated)

 

BY JOSEPH TREVITHICK AUGUST 17, 2021


 

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