タリバンは世界最強のイスラム原理主義戦闘員集団になった。アフガン向けに米国が提供した装備品を易々入手。ハンビーに乗り、AK-47をM16に切り替える戦闘員。多額の援助を提供した米国には苦々しい風景だ。
120118-N-XX151-646 CAMP FUJI, Japan (Jan. 18, 2012) 第七艦隊隷下の揚陸指揮統制艦USSブルーリッジ(LCC 19)配属の三等下士官ラルフ・ジャヴィアがM16ライフルを銃取り扱い資格更新のためキャンプフジで発射している。 (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Aaron M. Pineda/Released)
冷戦後半に長く続いた議論があった。ソ連製AK-47と米製M16のどちらが優れているのか。世界各地の戦闘員がAK-47をこぞって愛用したのは、手入れが少なくても過酷条件でも作動するからだった。M16は命中精度と射程が優れる。
タリバンが長年愛用してきたカラシニコフAK-47の代わりに捕獲したM16ライフルやM4カービン銃を使い始めている。いずれもアフガン陸軍が放棄した装備品だ。AKが1989年まで続いたアフガンソ連戦争にさかのぼる旧式装備なのも切り替えの理由だ。
捕獲された銃火器に一回も発射されたことがないものが多数あることからアフガン軍がいかに急速崩壊したことがうかがえる。
弾薬供給には心配がない
タリバンに米製小火器が普及してきたとの報道が出てきたが、バイデン政権がロシア製小火器弾薬の輸入を禁止したことが関係する。ロシア企業はAK-47弾薬以外にM16やM4用の弾薬まで製造している。
「ロシアはAR5.56NATO弾を毎年数百万発生産しており、米国市場にも流入している。ツーラ、ウルフ、レッドアーミーのブランドネームだ」と米海兵隊退役将校が匿名でロイターに解説している。「タリバンの味方はどんなパーツも提供できる」
ロシアが米国向け輸出を禁じられ、アフガニスタンへの供給が浮上し、タリバンから発注を受けるのではないか。
銃火器だけではない
M16やM4以外の装備品もタリバンは手に入れた。米製装備品の大量入手でタリバンは戦闘員集団から近代軍隊へ変身し、ヘルメット、暗視装置、ボディアーマー、カモフラージュ服、各種車両が使える。
タリバンが捕獲した装甲車両は2千両に及ぶとされ、航空機材は40機で、UH-60ブラックホークや偵察攻撃用ヘリコプターがあり、スキャンイーグル無人機もある。
「タリバン戦闘員が捕獲した米製装備で武装している様子が写っている。米国や同盟国に大きな脅威だ」と下院外交委員会の共和党重鎮議員マイケル・マッコールがロイターに電子メールを送ってきた。
米国は2002年から2017年にかけアフガン軍に総額280億ドルの兵器類を供与した。大部分がタリバンの手中に落ちた。
「高性能米国軍事装備品をアフガン陸軍から入手したタリバンは世界最強のイスラム原理主義戦闘集団になった」と政治評論家アダム・シュワーツがソーシャルメディア上で述べている。そこには新装備を手にしたタリバンが映っており、「ハンビー、M1117装甲保安車両、インターナショナルマックスプロなど米国納税者の負担で導入した装備品だ」
タリバンは高性能兵器を入手したが、入手そのものが戦闘員募集の良い広告となる。タリバン戦闘員がカブール市内を先週行進したが、特徴的な白旗を堂々とハンビー車上に掲げていた。この時の画像が世界をかけめぐり、強力なメッセージを送った。タリバンが世界有数の軍事大国を駆逐したのだ。■
The Taliban Are Ditching AK-47s for Captured U.S. M16 Rifles
ByPeter SuciuPublished1 day ago
Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He regularly writes about military small arms, and is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.
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