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E-2Dは2025年生産終了するが、今後30年の供用期間を通じ性能向上を続ける。日本向け機材製造も続き、計13機を導入する。

 


E-2Dアドバンストホークアイ(VAW-120所属)が空中給油を受ける US Navy Photo

 

E-2Dの生産はあと四年で終るが、米海軍は同機を今後30年は稼働させたいとする。

 

性能改修でコックピット関連エイビオニクス、ミッションシステム各種、通信能力、サイバー保安体制が強化され、「艦隊の目」を2040年代以降も活躍できる状態にする、とNAVAIR PMA-231で空中指揮統制システムズを主管するピート・アロビオ大佐が述べている。

 

E-2Dホークアイ艦載戦術戦闘管理・空中早期警戒指揮統制機はノースロップ・グラマンのE-2Cを近代化した派生型だ。

 

「現時点では中心はE-2Dのミッション実行能力を向上させることだ」とアロビオ大佐は海軍連盟主催のカンファレンスで述べた。

 

E-2D改修は「デルタシステムソフトウェア・コンフィグレーション」(DSSC)の機能向上として進めており、開発開始から機内搭載まで4年の予定とアロビオは紹介している。現在はDSSC3のヴァージョン3.1の今年末導入をめざす。DSSC3.1では統合戦術無線交信システム(JTRS)やリンク16を導入し、DoDが求める2021年サイバー保安体制標準をE-2Dで満たすという。

 

「標的情報のリンク、相互調整、分散、評価を先端的水準で行う」(アロビオ)

 

DSSCは二年おきに更新され、2023年度にヴァージョン4が導入されるとデータ融合機能、GPS、レーダーの性能向上が実現する。

 

その後のDSSC5で「空母打撃群がA2/AD環境で戦力を発揮するため不可欠な性能向上が加わる」としつつ、内容は大部分が機密情報のため紹介できないとした。

 

「E-2Dには当初想定以上の期待が寄せられており、現在進行中の課題の多くに対応すべくこれまでのアーキテクチャを一新する」(アロビオ大佐)

 

さらにソフトウェア改修の六番目パッケージで統合全次元指揮統制(JADC2)システムや海軍作戦実行アーキテクチャとの相互運用体制が実現する。

 

「E2-Dの生産はまだ続いている。まだ新規製造機体のにおいが残っているが、機内のアーキテクチャや各種システム、コックピット周りの部品等はスマートフォン以前の2005年当時の設計だ」

 

特に機内搭載ミッションコンピュータやディスプレイを敵のサイバー攻撃に対し強化することが最重要事項だ。

 

ホークアイコクピット・テック・リフレッシュHETCRではエイビオニクスを最新の水準に引き上げ、パイロットにヘッドアップディスプレイを導入する。

 

戦域戦闘IDとミッションコンピュータのディプレイはオープンシステムアーキテクチャで今後のソフトウェアアップグレードパッケージの搭載が容易になるとアロビオ大佐は説明している。

 

要求内容にないが、海軍では「改良型着艦モード」ILMをE-2Dにも導入し着艦作業を部分的だが自動化できないか検討している。F/A-18E/FやF-35Cでは「マジックカーペット」と呼ぶ精密着艦が実現している。

 

E-2Dでは機体がフライバイワイヤでなく、機体上部に大型レーダーを搭載していることもありILM導入は簡単ではないことをアロビオ大佐も認める。だが空中給油を受けE-2Dミッションが今後最大9時間になれば、悪天候や夜間の着艦で疲労のたまった乗員には朗報となろう。アロビオもILMは「要求されていないが、艦隊の運用部隊からはナンバーワンの要望になる」という。

 

米海軍はE-2Dを48機運用中で2021年末までに4機が配備される。

 

常時22機を投入可能な状態に維持するのを2021年7月1日までに実現する目標が2月に達成され、予定を5カ月前倒しできたとアロビオは述べた。

 

ミッション投入可能なE-2Dは基本的に訓練に使い、パイロットに二地点間飛行、空母発着艦を習熟させているが、早期警戒任務についていない。

 

「完全な状態のミッション実施になれば戦いに勝つことにつながる」「機体には基本システムが11通りあり、完全に作動して初めて任務が達成できる」(アロビオ)

 

次の目標は完全な形でミッション実施可能な状態の機体を常時22機艦隊に配備することでこれを9月1日までに実現する。2月以降は平均で29機がミッション投入可能な状態となっている。

 

E-2Dが50機ほどそろえば、9飛行隊、一個予備飛行隊の整備が可能となり、各隊は5機を配備する。すでに5個飛行隊でE-2Cからの機種転換が進んでおり、2027年度で機体転換が完了する。うち二個飛行隊に空中給油対応のE-2Dが配備される。

 

現在26機のE-2Cが訓練専用で稼働中だが2026年度末までに姿を消す。

 

E-2Dの要求は86機のう78機分の予算が海軍に認められており、2025年までに全機完成する。

 

日本が発注した9機のうち3機が自衛隊に引き渡し済みだ。先に発注した4機は稼働中だ。

 

フランスは12月に3機のE-2D購入で合意しており、2027年度に引き渡す。台湾エジプトも導入交渉中とアロビオは紹介している。四か国は旧型E-2Cを運用中だ。■


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Navy Plans Upgrades to Fly E-2Ds into the 2040s - USNI News

By: Dan Parsons

August 3, 2021 10:02 PM • Updated: August 4, 2021 1:57 PM


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