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アフガニスタン情勢:ロナルド・レーガン搭載のスーパーホーネットもカブール上空で警戒態勢に。空港内から外に出ない米軍部隊と対照的に英仏部隊は空港外でも活動中。一方、米軍撤退は8月31日が期限だが...

 A US Navy F/A-18E/F Super Hornet moves in to refuel over Afghanistan in 2020.

USAF

 

海軍のF/A-18E/Fスーパーホーネット隊がニミッツ級空母USSロナルド・レーガンを発艦した。同艦は現在北アラビア海を航行中で、ホーネットはカブール上空を24時間パトロールした。ただし、米軍関係者は各機がカブール市街区を低空飛行したとの報道を否定し、米海軍機が進行中の撤収作戦支援で空爆を行う可能性について言及を避けた。

 

ペンタゴン報道官ジョン・カービー、米陸軍ハンク・テイラー中将によるカブール上空に展開する米軍機の動向で最新状況の説明がペンタゴンで聞かれた。その他米軍用機と同様にパキスタン経由で米空軍給油機からの燃料補給を受け、スーパーホーネットはアフガニスタンに展開している。

 

カービーは「現地で低空通過飛行があったとの報道が出ているが、何らかの示威行動であろう。航空作戦の実態についてはテイラー中将が説明に適任」と述べた。カブールの報道陣からソーシャルメディアで戦闘機の低空通過飛行を見たとの投稿があった。その後の報道ではハミド・カルザイ国際空港で進行中の撤収作戦の支援として武力示威したとある。

 

空港での状態が混乱したままで、米軍他外国軍が周囲を警備する中で暴力事件も発生している状況を考えれば目くじらを立てるべきものではない。低空高速通過飛行を行った戦闘機は敵対勢力の意欲をしぼませる効果も期待したのか。

 

テイラー中将は「近接航空支援能力は現地司令官が必要と判断すれば投入できるよう機材を常時待機させている」と語った。

 

昨日は統合参謀本部議長マーク・ミリー陸軍大将から発言があり、有人無人取り混ぜ機材各種がアフガニスタン上空で同様に飛行任務を展開、あるいは中東地区で緊急事態に待機しているという。スーパーホーネット以外に米空軍がB-52H爆撃機、F-16C/Dヴァイパー、AC-130ガンシップ、MQ-9リーパー無人機が、米海兵隊はAV-8Bハリアージャンプジェットを展開している。

 

C-17A乗員は低空離陸訓練を受けており、地上砲火を避けるための対応だ。カブール空港からこの形で離陸しているのであれば、ハミド・カルザイ国際空港周辺で銃火の使用が続くとの報道も納得できる。タリバン戦闘員が離陸機に発射しているのだろう。

 

この24時間でC-17はさらに13機がカブールに到着し、兵員装備品を搬入した。さらに2000名超を同空港から運び出した。今週から始まった撤収作戦で米軍は約7千名を空輸しており、米国人、米政府に協力したアフガニスタン国民以外にテイラー中将が「国務省と調整のうえ対象とした避難民」がいるという。

 

USMC

ハミド・カルザイ国際空港で避難民に対応する米海兵隊員。Aug. 18, 2021.

 

同空港を舞台に展開中の撤収作戦は順調に進んでいるとペンタゴンは述べているが、8月31日までの完了となるかは不明だ。テイラー中将は「今までのところ保安上の問題や妨害工作は発生していない」と述べた。

 

同時に報道では米国市民等で有効な米国旅券を有する者がタリバンが設けた検問所通過に苦しみ空港にたどりけなくなっているとある。必死に国外脱出を望むアフガン市民の場合はもっと厳しい状態にある。

 

昨日のロイド・オースティン国防長官発言では、米軍部隊には空港敷地外へ展開し、空港へ向かう市民を支援する予定は現時点ではないとした。カービー報道官、テイラー中将も本日同じ内容を口にした。これと反対に英軍仏軍部隊はカブール市内に積極的に展開し、避難民を見つけ次第援助しているとの報道がある。現地では米関係者と同盟国軍の間に緊張が生まれている。

 

こうした状況の中で米軍が撤収飛行をいつ完了できるのか疑問が出てきた。タリバンが外国軍活動の黙認を続けるのか、今後数週間が重要となる。空港には5,200名規模の米軍部隊が展開しており、補給活動も懸念材料となってきた。

 

「ハミド・カルザイ国際空港での燃料補給活動が規模拡大している」とカービー報道官が記者質問に対して発言した。米軍がタリバンから燃料購入する事態が生まれるのかとの質問だ。「米国は自国で確保できる。燃料以外に機材運用も同様だ」

 

カブールの米軍部隊も最終段階で撤収するので、相当量の資材を放棄する可能性がある。とくに撤収を迅速に行う必要がある場合にその可能性が高い。実際に米国務省はCH-46Eシーナイトへリコプター7機を現地で放棄する方針で、米大使館関係者の空港搬送に使った機材だ。

 

ペンタゴンは武装軍用機をカブール上空で警戒飛行に運用中で、すぐにでも近接航空支援に移る体制にあると強調している。あるいは機材、車両、その他資材をハミド・カルザイ国際空港に残した場合に効果的に破壊するのに投入するのか。

 

「こちら側人員や空港作戦に攻撃があれば、強力な兵力で対応するとタリバンに申し入れずみだ」(カービー)

 

今後何が発生するにせよ、ペンタゴンは米軍用機が今後もカブール上空に待機し、不測の事態に備えていることを明示している。■

 

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Navy Fighters Are Flying Armed Overwatch Missions Over Kabul

The Pentagon says American combat aircraft are covering the evacuations, but have not flown shows of force maneuvers or carried out any strikes.

BY JOSEPH TREVITHICK AUGUST 19, 2021



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