2022年2月5日土曜日

日曜特集 バルト海上空パトロール飛行に加わったNATOのF-16のダイナミックな写真をお楽しみください。

 Two Belgian F-16AM Viper fighter jets supporting NATO's Baltic Air Policing mission in 2022.

BARTEK BERA

メディア関係者の方へ F16は存在しません。念の為

こ数週間にわたり、ロシア軍がウクライナ国境からベラルーシまで増強を続けており、ウクライナ侵攻の恐れが強まっている。米国はNATOその他加盟国と対抗策を展開し、ロシアへの抑止効果を狙っている。地政学を巡る動きの中でポーランド写真家バレテク・ベラBartek Beraがポーランド、ベルギー両国のF-16ヴァイパー戦闘機を捉えた素晴らしい写真の数々を共有してくれた。NATOの北東側面で警戒任務に投入されている機体だ。

 

ベラはリトアニアのシャウレイ航空基地Šiauliai Air Baseを訪ね、NATOのバルト海上空航空警戒作戦の実態を見た。作戦にはシャウレイ以外にエストニアのアマリ航空基地 Ämari Air Baseも使われている。加盟国が輪番で戦闘機部隊を派遣し、一回4ヶ月駐留し航空警戒任務にあたっている。名称と裏腹に各機は完全武装となっており、敵対行為がバルト地方の上空で発生すれば即対応する。これ以外にハイジャック等の緊急事態に対応する。

現時点ではポーランド、デンマークが前方配備で航空警戒任務をシャウレイ基地から、ベルギーのF-16は米空軍F-15Eストライクイーグル部隊とアマリ基地から展開している。ベラはポーランドとベルギーのF-16Cブロック52+機とF-16AMブロック20MLU仕様の撮影を許された。ポーランド空軍機には航続距離を延長する機体一体型燃料タンクが装備されていないのが興味深い。

両国空軍所属の機体にミサイル実弾が搭載されているのが写真からわかる。ポーランド機にはAIM-120C高性能中距離空対空ミサイル(AMRAAM)を翼端に、AIM-9Xサイドワインダーミサイルを左右主翼下に搭載している。ベルギー空軍機も翼端にAIM-120A/B型AMRAAMを、旧型サイドワインダーミサイルはAIM-9L/Mに見え、主翼下に搭載している。

F-16はすべて機内に20mmのM61バルカン機関砲を一門搭載する。ポーランド空軍のヴァイパーにはロッキード・マーティンのAN/AAQ-33スナイパー高性能標的捕捉ポッド(ATP)がつく。同ポッドは対地攻撃や偵察ミッションを主目的とするが、空中でも長距離で標的識別に投入でき、昼間夜間を問わない。航空主権任務ではこの効果は大きい。とくに交通量の多い空域で。

バルテク・ベラには北東部で防衛にあたるNATO戦闘機部隊の素晴らしい写真を提供いただき感謝したい。インスタグラム https://www.instagram.com/bartek.bera.photography 、フェイスブックhttps://www.facebook.com/bartek.bera.fotografiaをフォローしてもらいたい。各種軍用機、特殊作戦部隊の写真がたくさん見られる。■

では素晴らしい写真をお楽しみください。

 

BARTEK BERA

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BARTEK BERA

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BARTEK BERA

These Photos Of Armed NATO F-16s Patrolling Over The Baltics Are Absolutely Incredible

Polish and Belgian F-16s are on patrol along NATO's northeastern flank and are looking incredible while doing it.

BY JOSEPH TREVITHICK FEBRUARY 4, 2022


北京冬季五輪大会中継を観戦していいのか。スポーツと政治の間で悩む、悩まない、さらに左右の分断で苦しむ米国の状況は日本も同じなのかな。

 確かに日米で政治的価値観の分断が深刻ですが、こちらでは言論の自由なやりとりよりも、あいまいさ責任逃れが目立ちます。国名を示さない対中非難決議とは?最高顧問の無責任な発言やメディアへの資金提供など眉を潜めさせる結果を前に、なにも説明しない政党を見ると、有権者の投票行動は大きく影響をうけるでしょう。左右問わず、人間として相手を認める姿勢が必要なのですが。今回の機種呼称問題でも言論機関としてのメディアに大いなる疑問を感じてしまいました。

 

Ryan Cochran-Siegle of Team United States skis during the Men's Downhill 1st training session ahead of the Beijing 2022 Winter Olympic Games at National Alpine Ski Centre on February 03, 2022 in Yanqing, China.

GETTY IMAGES / TOM PENNINGTON

 

京冬季五輪大会を観戦してもアメリカ人でいられるのか。

中国へのタカ派、チキンホーク、ジョー・バイデン大統領嫌い、極右・極左の人権活動家の大合唱では、NBCの北京五輪中継を見れば愛国心と人間性が疑われるとある。賛成か反対か、どちらかにつくよう圧力がワシントンで強まっている。

 

だがアメリカ人には、「賛成か反対か」という忠誠心テストではなく、もっと良い指導者が必要だ。

 

ピューリサーチセンターによる最新世論調査によると、中国が自分にとって重要と考えるアメリカ人が増加している。しかし、国防総省の軍部指導者や国家安全保障に真剣に取り組む人々、新聞のコラムニスト、日和見主義的な党派や不真面目な宣伝活動家など、ワシントンの人々が中国を重要視するほどではない。国家安全保障と政治の指導者にとっては、無知で無関心なアメリカ人多数の中国観、考え、発言に影響を与える歴史的なチャンスでもあるのだ。

 

ここ数年、アメリカ人に「中国をどう思うか」と質問すると、中国は脅威対象の上位にここ数年で上がっており、習近平の強権主義的な資本主義や人権弾圧、香港併合、大量虐殺、強制収容所などは、NBAのオーナーからイーロン・マスクの新疆のテスラ店まで、中国で、あるいは中国とビジネスをすれば、これまで以上の監視に晒されていることを意味する。フィナンシャル・タイムズが今週、国際オリンピック委員会の主要な企業スポンサー13社にコメントを求めたところ、返答がは皆無だった。その他企業は、場所を問わず、オリンピック選手をサポートしていると述べた。しかし、選手は人権活動家から、中国の刑務所に入れられないように、中国にいる間は口をつぐむよう警告を受けている。

 

米国では、NBCがおなじみのテーマ曲と開会式で第24回北京冬季オリンピックの開幕を祝っているが、同局は政治的背景をとりつくろうことはしないと約束している。しかし、中国を脅威ととらえ、競争相手と見る米国人が増えているが、世論調査によれば、理由を知らない層が多いことがわかる。ただそう言っているだけだ。

 

次の調査結果で明らかにしてもらいたい。国民を教育する余地がある。2週間前、ピューはアメリカ人に五輪大会と中国で世論調査した。バイデン政権の外交ボイコットを2対1の差で支持すると回答があった。しかし、ここで問題なのは、全体の45%がボイコットについて「何も読んだり聞いたりしたことがない」と答えたことだ。

 

ほとんどのアメリカ人は、首都ワシントンのような中国観を有していない。そのためか、アメリカ人の54パーセントが、中国を競争相手と見なしていると同調査で回答している一方で、敵と答えたのはわずか35%だった。しかし、党派が支持者に影響している。1月のピュー世論調査では、バイデンの中国対応を承認する民主党支持者は、1年前の83パーセントからわずか65パーセントに減少していた。共和党支持者は19%から9%へどん底まで落ち込んでいる。

 

右派メディアや共和党議会指導者は、バイデンや民主党は中国に弱腰なだけでなく、北京と結託していると、何ヶ月も前から全国放送で公言している。テキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員の話では、共和党が民主党リベラル派の献金者として悪者扱いしているアメリカの民間部門、つまりハリウッド、テクノロジー大企業、スポーツ有名選手はすべて中国を援助し、中国とビジネスを続け、中国ボイコットを拒否しており、結果としてバイデン政権は大国間競争に負け、国家の安全を脅かしているというのである。右派はこのメッセージで電波や受信トレイを溢れさせている。

 

世論調査はこうした主張が反響を呼んでいるの様子を示している。しかし中国を警戒する動きには限界がある。 少なくとも2019年以降、共和党とトランプ政権が中国の脅威を強く押し出したが、共和党穏健派は抵抗している。1月の世論調査では、共和党員の52%、民主党員の22%が中国を脅威と呼んだ。保守派共和党員では62%に跳ね上がる。

 

左翼はどうか?多くはウイグル人のために声を上げ、中国は大量虐殺していると罵倒し続けている。ワシントンを離れると、純粋な地政学、米国の競争力、民主主義の構築といった他の理由から、中国とのデカップリングを求める声は皆無といってよい。木曜日、議会の対中国委員会の委員長オレゴン州選出のジェフ・マークレー上院議員(民主党)は、オリンピック観戦者に対して「香港、新疆、そして中国全土で起きている不正に対する国際的な戦いを強める」よう呼びかけた。同委員会は開会に先立ち、民主・人権活動家による2時間の公聴会を開き、下院議長ナンシー・ペロシ(民主党)がIOCとその企業スポンサー、中国を非難する一方、外交ボイコットを賞賛し、米国選手の参加を支持した。

 

クルーズのような党派的に動く政治家が、中国に本気かはわからない。長年、軍事委員会のメンバーであった同議員は、アメリカ人を啓蒙し、昔ながらの上院のコンセンサスを構築し、国家を守りつつ平和への架け橋となる方法となる中国を睨んだ政策の策定に役立つ。議会は中国関連の対応を模索中である。下院の共和党議員連は先月、北京オリンピックの米国内中継を担当するNBCユニバーサル幹部に対し、中国共産党からのトラブルを避ける方針を示すよう要求した。まっとうだと思う。左派議員は、国際競争力育成法案「America COMPETES Act」の成立を目指している。共和党はホワイトハウスとともに、中国に関する具体的言及がないことを理由に非難している。

 

中国に対するチームUSAのコンセンサスを構築するのではなく、右翼も左翼も自分たちの世界に没頭している。一方、著者は試合観戦を利用して、世界の仕組みや下り坂でのカーブ方法を子どもたちに教えようと思う。世界の若いアスリートたちが、最もエリートなレベルでスポーツに打ち込む姿を祝福し、政治に支配されず、より速く、より高く、より速く、より長く続く友情と絆を作って欲しい。

 

ワシントンもアメリカのオリンピック選手のように行動できるはずだ。真剣に中国との競争でより良いポジションを確保すべきだ。■

 

 

Can I Watch the Olympics or Does That Make Me a Communist? - Defense One


New polls show there’s still time to shape how Americans feel about China, while still rooting for Team USA.

BY KEVIN BARON

EXECUTIVE EDITOR

FEBRUARY 3, 2022


2022年2月4日金曜日

2022年2月3日、ISIS指導者強襲作戦の第一報、デルタフォースが投入され、米軍はヘリ一機を喪失。標的対象は自爆し巻き添え死亡が発生。

(メディア関係者へ ヘリコプター名称はMH60ではありません)


MH60 SYRIA RAID BLACK HAWK DOWN

U.S. DEPARTMENT OF DEFENSE/VIA TWITTER

 

シリアのイドリブ地方でISIS首脳殺害作戦に特殊部隊、ヘリコプター、無人機が動員された。

 

軍は2022年2月3日、シリア北部に特殊部隊をヘリコプターで侵入させ、ISSI指導者アブ・イブラヒム・アル-ハシミ・アル・クライシAbu Ibrahim Al Hashimi Al Qurayshiを殺害した。詳細情報はまだ限られているが、ペンタゴンは軍閥が支配するイドリブ地方のアトメAtmeでの教習作戦は「成功」に終わり、米側に損失はなかったと発表したが、特殊作戦仕様のMH-60一機を喪失した。強襲地点は以前のISIS指導者アブ・バカ・アル・バグダディを米軍が襲ったバリシャ村から15マイル離れている。

 

 

以下の声明をペンタゴン報道官ジョン・カービーが発表した。

 

「米特殊作戦軍団がシリア北西部で対テロ作戦を今夜実行した。ミッションは成功した。米側に人的損害はない。詳細は明らかになり次第発表する」

 

ジョー・バイデン大統領もISIS首脳殺害の作戦血行を命じたことを認め、空爆よりも高リスクの特殊作戦を選択したことを明らかにした。近隣一般市民のリスクを減らすためだったという。バイデンからはホワイトハウスからの生放送に先立ち自身で声明文を発表した。

 

「わが軍の技量と勇気によりISIS首領アブ・イブラヒム・アル-ハシミ・アル-クライシを除去した。米軍部隊は全員が無事帰還した」

 

イドリブ地方の目撃談では作戦は二時間ほどで終了した。米関係者はソーシャルメディア上で動員されたのは回転翼機でMH-60は陸軍のエリート部隊160特殊作戦航空連隊所属でAH-64アパッチ攻撃ヘリコプターや無人機も投入されたと明らかにした。報道によると、建物近くにヘリコプター2機あるいは3機が着陸し、拡声器で女子児童に退避を命じた。

 

MH-60の一機を現地投入時に喪失した。残骸の写真がソーシャルメディアに拡散している。ペンタゴンも技術上の問題が発生し、同機は着陸せざるを得ず、その後破壊用に爆発物およびF-16戦闘機からの射撃で機体を破壊したと認めている。ただし、同機の部品の一部は無傷のようだ。

 

SOCOM

第160特殊作戦航空連隊のMH-60M

 

「現地時間午前1時に軍用機、ヘリコプターの騒音で起こされた」と攻撃地点にほど近い場所に暮らすアドナン・アボ・モハマドがウォールストリートジャーナルに語っている。「地上すれすれを飛んでいた。戦闘は午前3時ごろまで続いた」

 

バイデン大統領は強襲作戦実行時点でアル・クライシは自爆ベストを着用し、爆発させて自身と家族を巻き添えに死亡したと述べている。以前のISIS首脳アル・バクダディも自爆で子供二人と死亡した。

 

強襲作戦の標的となったのは3階建屋でアトメ近郊になり、その後AFP通信記者が現地を訪れている。写真で激戦の跡がわかり、吹き飛ばされた窓、崩れた天井、壁に残る血痕、屋根にも崩壊部分が見える。ソーシャルメディア上の記事では米軍部隊と敵の地上戦が交戦したとある。アル・クライシは建屋から出ず、米側は予め情報活動で本人の居場所を把握し、建屋を徹底的に調べていたことがわかる。

 

今回の作戦は米中央軍が統括し、2019年のアル・バグダディ殺害作戦以降で最大規模だったらしい。

 

シリア人権監視団(英国に拠点を構える情報団体)からはアル・クライシを標的とした作戦で死亡したのは少なくとも13名に登り、うち4名は子供、3名は一般市民女性だったとする。シリアの民間防衛団体ホワイトヘルメッツは子供6名、女性4名としている。

 

イドリブ地方では複雑な関係の場所で別々の戦闘員集団が活動し、バシャ・アル・アサドの中央政府に対抗する地盤ともいわれる。同地ではベイ特殊部隊の作戦がここ数ヶ月続いており、明らかに別の重要人物を狙っておいr、アルカイダの上級指導者アブドゥル・ハミド・アル-マターは昨年10月に無人機で殺害された。

 

名目上はトルコがイドリブを実効支配中だが、地上を支配するのはハヤト・タヒル・アル-シャムHayat Tahrir Al Sham(HTS)で元アルカイダ構成員の指揮下にある。

 

HTSはアルカイダとつながる急進先頭集団への抗争を展開し、ISISとも対抗している。米政府はシリアのアルカイダ(AQ-S)の名称をフラス・アル-ディンに使っている。HTS、フラス・アル-ディンともに米空爆の標的で、投入されているAGM-114R9Xミサイルは鋭い刃が6枚飛び出す構造で現地で悪名高い。

 

これまでHTSが実は米無人機によるアルカイダ工作員殺害を支援しているとの情報があり、米国と各種戦闘集団との関係が複雑になっていた。今回の作戦では米関係者はHTS戦闘員から地上で反撃を受けたと述べており、HTSが攻撃の対象になったと勘違いして条件反射した可能性もある。

 

シリア政府軍ならびにロシア軍による作戦も繰り返し実施されているものの、イドリブは依然として戦闘員を各種集団に供給しており、安全に作戦を立案実行可能な場所となっている。状況は流動的だが、ロシアとトルコが仕切った休戦が公式には有効とされる。

 

アトメは戦闘員集団に安全な隠れ家となっており、離散家族の収容地もあり、一般市民に紛れ込んでいる。

 

今回の強襲作戦についてバイデン大統領はアル-クライシがシリア北部で最近発生したISISによる刑務所脱獄を主導したと述べている。この事件は先月のことでISIS戦闘員がクルド族が管理するグワイラン刑務所(ハサカ市)に収容される同僚を脱獄させようと激しい銃撃戦を展開した。状況は直ちにエスカレートし、米軍にクルド勢力支援のための空爆要請が出た。

 

AP PHOTO/BADERKHAN AHMAD

グワイラン刑務所脱獄事件後に米軍とシリア民主軍部隊がシリア・ハサカでISIS戦闘員を捜索した。 on January 29, after the attack on Ghwayran prison.

 

脱獄後に戦闘員数百名は再確保されたが、一部はそのまま逃げ、ISISの脅威がまだ残ることをあらためて教えてくれた。ISISは2019年に自ら宣言したカリフ制が崩壊した。

 

「(アル-クライシ殺害の)影響はISISに痛手となろう」と政府高官はCNNに述べ、同指導者は多くの作戦に関わっていたとした。

 

 

Update 2:10 PM EST:

 

新情報で米陸軍のエリート部隊デルタフォースが今回の強襲作戦を主導したとわかった。デルタフォースはこれまで8年に渡り同地で重要人物狩りを展開しており、対ISIS戦を支援してきた。2019年のアブ・バカ・アル-バグダディ殺害もそのひとつだ。米軍の6x6パンダー走行車両別名走行地上移動装備(AGMS)が少なくとも一両グワイラン刑務所脱獄事件後に視認されている。AGMSsはデルタフォース専用なので、同部隊が現地に展開しているのがわかる。

 

また未確認情報だがMH-60ヘリコプターの喪失は地上銃火を浴びたことと機構面の問題のためだとの報道がある。残骸の写真から動悸のレーダーやセンサータレットが機首から除去されているのがわかる。地上の米軍隊員が予め除去してから機体を爆破したのか、現地の別のものが回収したのかは不明だ。

 

国防長官ロイド・オースティンの声明では米軍攻撃で一般市民も巻き添え殺害された可能性を残している。米軍全体としてここ数ヶ月にわたり一般市民の犠牲を発生させていることに批判が集まっており、調査が進行中だ。

 

「この機会に国防総省が民間人死傷を回避することを真剣にとらえていることをあらためて明らかにしたい。今回の作戦は特別に企画され実施され、民間人の被害を最小限とした」「アル-クライシ他は現地で女性児童を巻き添えで死亡させた。だがミッションの複雑さを考えると、我が方の行動も一般市民に損害を与えた可能性は残る)(オースティン長官の声明文)

 

Update 2:20 PM EST:

 

中央軍司令官フランク・マッケンジー米海兵隊大将から今回の強襲作戦の追加情報が出ている。中東研究所シンクタンク主催のヴァーチャル対談の席上で。それによると作戦の目的はISIS主導者の捕獲で、長距離ヘリコプター強襲であったとし、米側から先に出ている内容を繰り返している。同大将からは米支援を受けるシリア内のクルド中心の部隊が今回の作戦成功に貢献下との発言があったが、米軍と共同行動したかについては発言がなかった。

 

ただし、アル-クライシ住居3階での爆発について、米側は本人が自爆ベストを爆発させたものとしており、同大将は「予想を超えた威力」があったとした。ただし、その詳細については語っていない。

 

また地上要員が不時着を余儀なくされたMH-60を意図的に破壊したとし、同機には航空機からも射撃を加え、「機微装備がシリアに残らないよう」にしたという。同機搭載のレーダーやセンサータレットなどの装備品がどうなったかについては語っていない。こうした部品は意図的に除去されていたようだ。

 

米軍による一般市民の死傷者について「今の時点で大きな問題ではないようだ」としたが、調査は展開中だとした。同大将は強襲作戦中に発生した民間人の損害はISISが全て責任があると糾弾している。■

 


Night Stalker MH-60 Black Hawk Lost In Successful 

Raid That Killed ISIS Leader In Syria (Updated)

 

Special operators, helicopters, airstrikes, and drones were all involved in the mission that targeted the head of ISIS in Syria’s Idlib province.

BY THOMAS NEWDICK FEBRUARY 3, 2022

 



2022年2月3日木曜日

ウクライナ危機だけじゃない。他の危機が同時進行したら米国は対応できるのか。台湾を筆頭に、中東、北朝鮮と危険な場所は多数。

  

ウクライナ軍の演習にスウェーデン/英国の次世代軽対戦車兵器(NLAW)を投入した演習を視察している。ウクライナ西部の都市リヴィヴにて。 Jan. 28, 2022. (Photo by -/AFP via Getty Images)

 

10万名ものロシア軍部隊がウクライナ周辺に集結する中、世界で一連の危機が発生している。中東、中国、北朝鮮へNATOなかんずく最強の加盟国米国は深く関心を寄せる必要がある。

そこで、国家安全保障の専門家の中にウクライナ危機は現在進行中の武力衝突案件のひとつにすぎず、危機状態の解決を求めるながら次の危機に備えるべきとの声が上がってきた。

今週中国は台湾に軍用機39機を差し向けた。アラブ首長国連邦からはアブダビへ発射された弾道ミサイル数発を迎撃したとの報が入ってきた。

米NATO大使ジュリアン・スミスJulianne Smithは現在のロシア=ウクライナ紛争を西側アナリスト陣は「微小宇宙」として見るべきとドイツ米マーシャル基金のシンポジウムで発言した。

「中国、台湾で何かが来週発生してもおかしくない」と同基金の副理事長イアン・レッサーIan Lesserは中国が米支援を受ける台湾を攻撃する可能性に言及した。中国は台湾を反乱省とみなし、最終的には統一するとしている。

可能性を聞かれ国防総省報道官ジョン・カービーJohn Kirbyは軍がいろいろな状況を注視していると述べた。

「質問の要点は歩きながらガムをかめないのかということだろう」「できる。そうしている。ロシアがウクライナ周辺で部隊増強をしているため、同盟国を支える。だからといって中国の挑戦が続いている事実に目をそらしているわけではない」

NATOは外交でウクライナの緊張緩和を目指しているが、新たなNATO戦略構想を立案部門は打ち出そうとしている。

改正内容は今年6月のマドリードサミットで承認を待つが、アナリスト陣は情報戦、サイバー攻撃、経済圧力や紛争の複雑化を考慮し、従来の軍事作戦の域を超えた状況に対応する必要を訴えてきた。

まさしく、こうした事態が今発生しているのだ。

NATOと米国は先週水曜日にロシアにそれぞれ書面を送り、外交努力は今も続いている。ロシアはウクライナのNATO加盟への道を閉ざしてもらいたいと願うが、NATO内部では同国の加盟は構想段階にすぎない。

逆にNATO関係者はロシアの隣国であっても自国のとるべき道は自分で決め、防衛安全保障を選ぶのは自由だと原則論を述べている。

だが、これではクレムリンは満足できない。ウラジミール・プーチン大統領は旧ロシア帝国の夢を復活させようと、周辺国を組み入れようとしていると西側アナリストは見る。

「抑止効果が利かなくなっている紛争を西側はうまく阻止していると思いますよ」と話すのはハル・ブランズHal Brands、アメリカンエンタープライズ研究所主任研究員だ。ブランズは同時にジョンズ・ホプキンズ大高等国際研究大学院の教授でもある。

ブランズによればロシアの要求は法外で軍事対決は最初から織り込み済みとなる。プーチンは外交解決よりエスカレーションがどこまで続くかに関心があるのではないかという。

ヨーロッパでは抑止力が一貫して根本にあり、各国は大なり小なりウクライナへ武器搬入を公言するなかで、一国のみ流れに従わないドイツを非難している。

欧州各国は対ロシア関係を二国間関係として見ていると大西洋協議会アナリストのレイチェル・リッゾRachel Rizzoが解説する。「このため傍観者でいられる」と、欧州連合が公式には交渉役となっていないことに言及した。

ドイツ政府関係者は自国の立場を弁護し、武器以外を送っているとし、ヘルメットを例にあげるが、戦闘能力を引き上げればベルリンのめざす危機回避政策が弱体化すると主張。ただし、ドイツ国内でもさすがに軍事的にものを見る切り替えの時が来たとの主張も出てきた。

ベルリンに本拠を置く外交関係ドイツ協議会のクリスチャン・メリングChristian Mölling はこの状況を指して、防衛問題をめぐり欧州が分裂しているとし、欧州最大の経済規模を誇るドイツが気が付くと孤立していると述べた。「わが国が真空状態を作ってしまい、米国が再び埋める役目を押し付けられている」という。

アジアから軸足を移す

ロシアのウクライナ侵攻と中国の台湾侵攻が同時進行するとの恐れも一部に出ており、過熱気味の論調が各所にみられる。.

米陸軍中将(退役)チャールズ・フーパー Lt. Gen. Charles Hooperは国防安全保障協力庁長官、北京で大使館付武官も務め、ウクライナ、台湾同時進行の可能性はないとする。

「同時進行危機の可能性は絶えずありますが、中国は現状を注視している。ロシアの動きを眺め、各国対応を眺め、教訓を学びその後自国の戦略に応用する」「言い換えれば、同時発生の可能性はないと見ている」(フーパー)

米国がウクライナ防衛に部隊動員しないとしても、中国はこれを見て台湾侵攻に青信号が灯ったと見るべきではないと、イアン・ブレマーIan Bremmerが述べている。ブレマーは政治リスクコンサルタント業ユーレイシアグループ社長だ。米国はオーストラリア、英国との安全保障関係、クアッド安全保障対話、台湾への外交強化、さらに今週展開した日本との海軍演習を通じ、台湾に手を出すなと伝えているのだという。

「しいて言えば中国は昨年通じアメリカが自国関心事に焦点を合わせていることを学んだはずだ。アジアこそ米国が関心を示す場所であり、中国は懸念対象の敵対勢力だ」「双方がレッドラインの存在を示している」(ブレマー)

いずれにせよ、中国側は事態を観察しているはずだ。

ひとつには中国首脳部は西側の団結による「懲罰的制裁」がロシアのウクライナ侵攻を抑止できるのか注視しているとブランズはいう。

さらに、危機状態で米国の国力がどこまで動員され、アジアへの軸足移動を可能としたかつては静かだった方面がどうなるかを見ているという。「米国の力が別方面にそがれれば、それだけ中国にとってよいことになる」

優先順位をどこに置くのか

 

欧州での対立は、世界各地の危機へのアメリカによる関与をどう評価すべきかという課題を提起している。

「米国の国益から見て最大リスクがあるものを優先的に扱う必要があるが、一つだけしか対応できないわけではない」と米陸軍退役大将ジョセフ・ヴォーテルJoseph Votelが述べている。中央軍を率い、特殊作戦軍団でもトップだった。「すべての作戦で大規模軍事対応が必要となるわけではない。情報作戦の効果について考えてみる必要がある。その他小規模でも目的にあわせ、十分な効果をあげる部隊投入で課題の多くが解決できる」

ブランズによれば米指導部がその他地区の緊張緩和につながる「賢い」方法を思いつけば別だが、アジアへの軸足移動は当面発生しないという。ヨーロッパもその他地域の一つだ。これまではコミットメントを縮小する、あるいは資金投入を増やす事が多かったが、今も変わらないという。

ヨーロッパ諸国も米国の直面する難問を意識しつつ、ロシアによる危機を切り抜けようとしている。前大統領ドナルド・トランプは「アメリカ第一」をうたい、ヨーロッパから米軍をあと少しで撤退させるところだった。

ジョー・バイデン大統領は大西洋を重視するものの、米外交政策の中心原理として今後も続く保証はない。

「米民主政体は現在機能不全だ」とフィンランドの元首相アレクサンダー・スタッブAlexander Stubbはブリュッセルで開かれたEU安全保障研究所のパネルディスカッションで語った。「歴史をつくるのはトランプか、バイデンかまだわからない」■

US military readies to 'walk and chew gum' as multiple crises loom

By Sebastian Sprenger and Joe Gould

 Jan 29, 05:34 AM