2025年4月6日日曜日

戦闘員の次のフロンティアは、脳インプラントか。国防総省にその準備はできているのか?(Military.com)

 

メリーランド州ベセスダのウォルター・リード陸軍医療センター内の脳磁図研究所の物理学者が、2017年3月21日、被験者頭部にセンサーを取り付けている。(米空軍撮影、J.M. Eddins Jr.)


病気治療のために脳にアクセスする医療技術の潜在的可能性は広範囲にわたるが、敵対国と競争するプレッシャーが、米国の指導層を次のステップへ駆り立てるかもしれない


年は6歳か7歳にも満たなかった。茶色の髪に明るいオレンジ色の筋が一本入っていた。2003年、アフガニスタンで軍医として勤務していたジェフリー・リングは、医療部隊に到着したばかりで片手を喪失した新しい患者を見下ろしていた。

 ソ連は、不安定な地域を鎮圧するためヘリコプターから何千もの地雷を投下していた。小さな蝶々のように、地雷は地面に絡みつきながら飛び回る。鮮やかな緑色をした地雷は、時間の経過とともに灰色に変色する。

 ほぼ毎日、リングは、おもちゃのような小型爆弾の誘惑に負けた子供たちを見下ろしていた。爆発音、失われた手足、そして彼らはリンググのもとにたどり着く。リングは、最良の義肢でもフックや滑車に頼らざるを得ない生活を送る彼らを治療する任務を負っていた。

 選択肢が限られていることを受け、リングは考えた。脳の気まぐれに反応する人工の手を、2つを接続することでより良い方法で作り出せるならどうだろうか? 彼はアフガニスタンに出発する直前に、ペンタゴンの理想主義的な研究部門である国防高等研究計画局(DARPA)からアプローチを受けていたため、帰国後、脳とコンピューターの接続を可能にするという、数十年にわたる長い道のりを歩み始めた。

 理論研究で始まったものが、すぐに現実味を帯びたものとなった。イラクで道路脇の爆発物攻撃に遭う兵士が続出し、多くの兵士が手足を失う事態が起こったからだ。 リングのコンセプトは、突如として国家の優先事項となった。

 科学者たちは、脳に反応する義肢を作るための医療研究が、兵士たちの戦い方を向上させることにも役立つ可能性があることに早くから気づいていた。例えば、戦場で特殊作戦要員が言葉を発することなく通信を行ったり、無人機と交信したり、あるいは敵でいっぱいの部屋に入る際の恐怖や銃撃戦後の心的外傷後ストレスの解消に役立つ可能性もある。

 脳内の信号が理解できれば、膨大なデータセットの処理を可能にする人工知能の出現以前にはまったく不可能だったことですが、信号を変える、あるいは、人間が巨大な思考葉を発達させて以来、閉鎖的なシステムであった脳の性質を変えることができるかもしれない。

 「さて、もしもを考えてみましょう。それは非常に明確でした。脳波を収集し、ロボットアームを手に入れ、明確なユースケースを提示し、科学的に実行可能であることを示しました」と、リングは2021年のインタビューで本誌に語っていた。「さて、次は何でしょうか?そうですね、次はあなたの想像力がどこまで及ぶかです」。

 リング博士は研究所が初期の段階で、ロボットアームではなくフライトシミュレーターを患者とつないだと説明した。女性の患者は脳だけで、画面上で離陸を成功させることができた。

 「彼女に話しかけて、何をしているのか尋ねると、『ああ、飛んでみたい。上を見上げようと思うと、飛行機が上昇するんです』と答えたのです」と リングは詳しく説明した。「彼女はジョイスティックやラダーを動かすことを考えているのではなく、飛ぶことを考えているのです。そして、飛行機は飛んだのです」。

 病気の治療のために脳にアクセスすることの医療への応用可能性は広範囲にわたるが、米国の敵対国と競争しなければならないプレッシャーが、指導者たちを次のステップ、すなわち能力強化へと駆り立てるかもしれない。

 「ほぼ同等の能力を持つ」競争相手(ペンタゴンではロシアと中国を指す)に追い越されるのではないかという懸念が、あらゆる種類の技術推進を軍で後押ししている。その中には、極超音速、人工知能、バイオ強化などが含まれる。


 中国とロシアは、軍事研究に関しては、独裁的な政府体制のおかげで迅速なペースで進めることができる。また、医療試験における倫理指針に関しては、両国で基準が異なる。

 「神経科学技術が国家の安全保障に果たす役割は、今後ますます現実のものとなるでしょう」と、2020年のインタビューで、DARPAの生物技術局の元局長であるジャスティン・サンチェスは本誌に語った。「そのことを決して見失ってはなりません。最優先事項でなければならないのです」。

 リングが科学界で「ブレイン・マシン・インターフェース」と呼ぶ研究を始めて20年が経ち、脳を理解し、脳を変化させる能力は急速に進歩している。戦争の傷を癒やすため始まった研究は、アメリカの戦闘員を戦場でより効率的に、より致命的にすることを目的とした研究に弾みをつけている。

 米空軍は、電流で脳を刺激する携帯機器やキャップが、パイロットの学習効率を高め、航空機のコックピットへの到着を早めるのに役立つかどうかをテストしている。DARPAは、てんかん患者の脳に電極を埋め込み、そこから電流を流すという、すでに認知されている治療法を応用し、電流が他にどのような効果をもたらすかを確認するテストにも資金を提供している。

 DARPAの「Restoring Active Memory」プログラムは、2013年11月に「脳障害や病気による影響に苦しむ軍人に対して、通常の記憶機能を回復させることが可能な、完全に移植可能な閉ループ神経インターフェースの開発」を目的として開始された。

 2018年までに、DARPAはウェイク・フォレスト・バプティスト医療センターと南カリフォーニア大学の研究者と協力し、実際に「てんかんの治療を受けている脳外科患者のボランティア」に装置を埋め込み、その技術が自然な記憶機能を向上させることが分かったと、プレスリリースで発表した。初期のテスト結果では、標的を絞った刺激により患者の気分を大幅に変える能力が示された。

 それから1年後の2019年、陸軍の戦闘能力開発司令部(Combat Capabilities Development Command)の報告書は、インプラントという形で、脳機能強化技術が2030年までに一般的になる可能性があると予測した。

 「この技術が成熟するにつれ、2030年までに専門のオペレーターが神経インプラントを使用して資産の運用を強化することが予想される」と報告書には詳細に記されている。「これらのオペレーターには、特殊部隊、軍用パイロット、無人航空機(UAV)や無人水上ビークル(USV)などの無人機を操縦する者、諜報要員などが含まれるでしょう」。

 つまり、技術専門家の予測が正しければ、10年以内に国防総省は、軍人や特殊部隊、パイロットに脳内インプラントを使用し、テクノロジーと接続する可能性があるということになる。

 しかし、テクノロジーが進歩する一方で、神経倫理学者、未来学者、医学研究者は、軍が人の頭の中をいじくり回すことによる責任に備えているのかと疑問を投げかけている。専門家は、本誌の10回以上のインタビューで、脳は信じられないほど複雑であり、テクノロジーも新しいため、その影響が完全に理解されているわけではないと述べている。

 「脳は、皮肉にも、おそらく最も複雑で、最も理解されていないテクノロジーです。それが、私たちがここで取り組んでいる根本的な問題であり、またチャンスなのです」と、21世紀の軍事テクノロジーの専門家であり、戦争の未来に焦点を当てた著述家でもあるピーター・シンガーは、本誌のインタビューで語りった。

 DARPAの技術が戦闘員の脳に埋め込む装置となった場合、政府はその技術を維持する責任を負うことになるのだろうか?退役軍人省は、若いアメリカ人が軍服を脱いだ後も、何十年にもわたって劣化する脳内インプラントのメンテナンスを行うのだろうか?何十年も経ってから、精神疾患や認知障害が現れる可能性もあるが、そのような人々に対しては治療が提供されるのだろうか?

 「私は、政府に大きな責任があると思います」と、医療分野における法的・倫理的問題の専門家として米国で著名なポール・アッペルバウム博士は本誌に語った。「政府は、侵襲的であろうとなかろうと、この人物の頭の中に、脳機能を変化させることを目的として設計された技術を導入しました。そして、そのように介入することで、彼らは、その人々を将来にわたってフォローし、彼らの参加によって有害な結果が生じないようにする責任が生じたのだと思います」。


特殊部隊、スーパーソルジャー

2010年代に早期の有望性を示したDARPAのプログラムに「新興療法のためのシステムベース神経技術」があり、これは、脳内インプラントが気分を変えるのに役立つ可能性があるかをテストするものだった。このプログラムは、患者の状態を管理するために定期的に刺激を与える装置の作成を目標としており、退役軍人の戦争による心的外傷の治療という現在進行中の問題から部分的にインスピレーションを得たものだった。

 人の頭の中をいじることに伴う倫理的な懸念を踏まえ、研究対象はてんかんの治療のために電極を埋め込む予定の患者グループとなった。しかし、医師たちがそこにいる間、彼らは研究者が脳内からの刺激がどのように感じられるかをテストすることを許可した。

 「特に際立った患者が一人います。比較的若い女性で、とても人当たりの良い人です。実は彼女は、てんかん治療のための脳手術を2度受けていたのです」と、この研究者の一人は語った。この研究者は、このプログラムについて話す許可を得ていないため、匿名を条件に本誌に語った。

 プラセボ効果を防ぐため、研究者は患者にいつ刺激を与えるかを告げず、代わりに継続的に対話を維持した。この患者は重度の不安に苦しんでいた。

 「私たちは『今、何かいつもと違う感じがしますか?』と尋ねてみました。すると彼女は『とても気分が良く、元気が出てきた』と答えました。私は『ああ、これは時々感じるものですか、それともこんな気分になることはないですか?』と尋ねました。すると彼女は『ああ、これは調子の良い日の私です。これが私が感じたい気分です』と答えた。この技術が実用化されれば、心的外傷後ストレス障害に苦しむ退役軍人にとって、このような気分転換は画期的になるだろう。


DARPA 次世代非外科的ニューロテクノロジープログラムの図解(画像提供:DARPA


 もしこの研究が脳インプラントにつながるとしても、政府が体内の機器を監督し、修理するのは初めてのことではない。

 最も近い例としては、心臓のリズムと機能を維持するために心臓に電気信号を送る医療機器であるペースメーカーを、退役軍人局がどのように監視しているかということが挙げられる。

 2020年の退役軍人医療管理局の指令でペースメーカー型機器を装着しているすべての退役軍人患者に、バッテリー残量、心臓の健康状態、および技術に関連して発生する可能性のあるその他の問題を注意深く監視する国家心臓デバイス監視プログラムへの登録が義務付けられた。

 その後の作業内容に応じて、オンラインまたは対面での予約が設定されている。2019年現在、米国心臓協会の調査によると、退役軍人約20万人が機器のモニタリングを受けている。

 しかし、ペースメーカーは1950年代から使用されており、数十年にわたる医学研究を追うことができる、よく理解された技術だ。

 軍事技術が時を経て有害であることが判明した例は他にもあり、その多くは科学的厳密性を欠いたまま導入されたものだ。ベトナム戦争時代に製造された除草剤エージェント・オレンジは、製造過程でダイオキシンに汚染され、最終的に兵士たちの白血病、ホジキンリングパ腫、各種の癌との関連性が指摘された。戦術的な優位性をもたらすため迅速に戦場に送られたものが、後に健康上の悪夢へと変貌した。

 脳は人体で最も敏感かつ複雑な器官だ。リスクの高い手術や電気刺激の副作用については、医療界で常に評価が行われている。しかし、この技術から将来発見される可能性のある問題のすべてを知らないにもかかわらず、戦術的なわずかな優位性を得るためなら試してみたいと考える人もいる。

 エリート戦闘員であるネイビーシールズ、グリーンベレー、空軍特殊戦闘員、海兵隊レイダー連隊は、すでに頭皮を通して電気刺激を与える実験を行っている。これらの部隊には、若くして死ぬことについてブラックユーモアを交えた長年の文化があるため、制服を着た中で最も致命的な男や女になるために、そしてその状態を維持するために必要なことなら何でもする。

 「隊のコミュニティは、概して人間の能力向上に重点を置いています」と、メディアへの発言が許可されていないため匿名を条件に本誌に語った陸軍特殊部隊の将校は言う。「ある観点で見れば、常に我々は致命的な状況に追い込まれようとしているのです」。

 数十年にわたる激しい作戦から生じる根深い問題に直面しているコミュニティにとって、戦術的な観点から脳の反応だけでなく、感情的な反応の仕方も変えることができる見通しは、非常に魅力的なものとなる。

 「怖気づいたり躊躇する者もいるだろうが、部屋に入っても敵と対峙するのと同じストレスや不安を感じずに済むというなら、本当に苦労してでもそれにサインアップしない理由はない」と、上記陸軍特殊部隊の将校は語った。「特にそれが劇的な改善なら、ドアの外に行列ができるだろう」。

 20年間従軍し、現在は訓練の専門家であるネイビーシールズのクリス・サジョーグは、本誌取材に対し、より優れた訓練や、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神的な障壁を排除することさえ可能にするかもしれない、こうしたテクノロジーが示す潜在的な用途は、独特なジレンマになると語った。

 医療研究者や国防高等研究計画局(DARPA)が、このテクノロジーがPTSD、記憶喪失、うつ病の治療に役立つ可能性について検討しているが、サジョーグは予期せぬ結果を懸念している。

 「特殊部隊員たちを結びつける要素のひとつは、紛争で直面する恐怖やストレスです。そして、ネイビーシールズのような部隊が厳しい訓練を行う理由の一部もそこにあるのです」と、サジョーグは言う。 そうしたトラウマを消し去る可能性があるということは、そのチームを結びつけている力学を変化させる。

 しかし、サジョーグは、精神的な衰弱を招く問題をいつか解消する可能性のあるイノベーションを支持しないわけにはいかないと述べている。

 「私たちが耐えているストレスこそが、私たちの絆を特別で、他の部隊と異なる存在にしているのです」とサジョーグは語った。「しかし、人々が不安やストレスを抱えるほどになったら、それを軽減する方法を検討すべきだと思います」

 また、一部の特殊部隊員は、このような技術、特に気分や行動を変えるために使用される場合、派遣の頻度が増える可能性があるという懸念を表明しています。兵士たちが苦情を言わない場合、あるいは、経験する戦闘の頻度に麻痺している場合、軍の指導部は彼らを休ませるのに苦労することになるだろう。


脳の訓練

この装置はあごの下に押し当てられる。使用者は脳に流れる電気を徐々に強くし、首の筋肉の収縮を引き起こし徐々に上に向かわせる。

 下顎が振動し始め、電流によって唇がわずかに横に引っ張られるようになったら、装置をオフにしてパイロット訓練に集中する時だ。

 これは、空軍が飛行可能な航空兵の確保に苦慮する時代にパイロットの訓練時間を短縮することを目的として、空軍研究本部が開発したプログラムの一部である。

 2020年に開始されたiNeuraLS(アイニューラ)として知られる個別神経学習システムの一部である脳刺激のテストを担当するアンディ・マッキンリーは、15年以上にわたり脳への電気刺激の効果を研究してきた。

「生理学上の信号には常に多くのばらつきがあります」と、マッキンリーはインタビューで語った。「現在の脳の状態が重要です。もし私があなたの注意力と覚醒度を高めようとしているのに、すでにあなたが極度に興奮した状態なら、私は効果を得られないか、あるいはあなたの注意力が低下する可能性があります。... 人々は、より警戒していると感じるが、神経質ではないと言います。」

 マッキンリーは、特殊作戦航空兵の一部が脳を刺激することでポジティブな効果を得ているという逸話を耳にしたことがあると語った。

 「AFSOC(空軍特殊作戦コマンド)にいたある人物は、カフェイン中毒だと話していました。彼は起きていられるように、1日中エナジードリンクやコーヒーを飲まなければならなかったのです」とマッキンリーは振り返った。その特殊作戦部隊員は、脳に電子信号を送り、より覚醒した感覚を得られるガンマコアと呼ばれる装置を使い始めた。

「それで、カフェインを完全に断つことができ、もうカフェインを必要と感じなくなりました」

 2010年代初頭、マッキンリー氏は、脳に電気刺激を与えることで学習が早まる可能性を示唆する複数の研究論文を共同執筆しました。これは当初、動物実験で確認されていたものですが、人間にも当てはまる可能性があると考えられるようになったのは、ごく最近のことです。

このプログラムでは、電気刺激を与え、その刺激が脳に与える影響をモニターすることで、刺激を調整できるようにします。そのために、MRI 装置のような脳スキャン技術を装着可能なサイズに小型化し、さらに、2つの脳はまったく同じではないため、高度な人工知能を使用して、スキャンで検出された脳信号の意味を解読する必要がある。


空軍研究本部が主導する「個別神経学習システム」プロジェクト(通称iNeuraLS)は、神経科学技術を通じて、空軍兵士が知識や技能を迅速に習得できる能力を獲得することを目指している。(米空軍によるリチャード・エルドリッジ氏作成のグラフィック)


 マッキンリーの研究での初期データでは、学習改善が示されており、当初は情報の保持量が約20%多く、訓練から90日後には35%多くなっている。「この種の刺激で脳内で起こっているプロセスは、多くの練習によっても起こるものと同じです。私たちは、その自然なプロセスを加速させているだけなのです。」

 この技術が成功を収めた場合、空軍は、この多様な脳機能強化技術を他にどのように活用できるか検討する計画だ。

 「パイロット訓練から始めますが、アイデアは他のさまざまな訓練にも応用できるでしょう」とマッキンリーは語った。

 このアプローチが魅力的なのは、医療プログラムにとって高いハードルである脳への機器の埋め込みを必要としない点だ。頭蓋骨の外側から刺激を与えることで、マッキンリーのチームは、多くの軍人にとってより受け入れやすいパフォーマンスの向上を実現し始めている。

 迷走神経を刺激する埋め込み型装置は、脳の下部から首、胸部を通って胃まで伸びる神経トンネルと同じもので、空軍チームが外部から刺激しているものと同じだが、脳卒中リハビリテーションの一部の方法についてはFDAの承認を受けている。皮膚の外側から使用する装置は、メイヨー・クリニックによると、片頭痛や頭痛に対してFDAの承認を受けている。

 迷走神経刺激装置を埋め込んだ場合の副作用には、声の変化、喉の痛み、頭痛、嚥下困難、皮膚のヒリヒリ感やチクチク感などがある。メイヨー・クリニックによると、携帯型装置でこれまでに確認された副作用はごくわずかで、多くは刺激が強すぎることによる軽度の痛みや炎症である。

 経頭蓋直流電流刺激(TDC)は、軍もテストしているもので、頭皮を通じ脳に電気信号を送るというものだが、米国国立医学図書館によると、かゆみ、熱感、しびれ、頭痛、その他の不快感などの副作用が報告されているという。

 空軍研究本部によるパイロット訓練での実験は、神経強化技術の最も一般向けな応用例のひとつだが、国防高等研究計画局(DARPA)が長年進めてきた技術の小規模なデモンストレーションに過ぎない。N3のような、移植を必要としない脳と機械の接続を試みるプログラムは、移植による気分を変える電流のテストのような、より侵襲的なアプローチと並行して実施されてきた。

 これまでのところ、研究者たちの最も野心的な夢を現実のものにするほどに科学は進歩していない。例えば、戦場の兵器システムを脳から直接簡単に制御したり、人間の感覚を増強したりすることなどである。脳あまりにも複雑なままであり、特定の電気信号が何を意味するのかを解読することは依然としてあまりにも困難である。しかし、研究者たちと話してみると、DARPAがその方向を目指していることは明らかである。


激化する国際競争

外科用メスを頭蓋骨に用いずに脳に電気刺激を与えることが一般的になった場合、米軍兵士に害が及ぶ可能性があるかどうかは不明である。この技術はあまりにも新しい。

 しかし、中国やロシアなどの国際的な競合相手に対して優位に立つというプレッシャーが、米国内外で研究を前進させ続けている。

 「中国は人民解放軍の兵士を対象に人体実験まで行い、生物学的に強化された能力を持つ兵士の開発を目指している」と、2020年にウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿したジョン・ラトクリフ元米国家情報長官は記している。「北京が権力を追求するのに倫理的な境界線は存在しない」。

 2021年後半、米国商務省の産業安全保障局は、中国軍事医学科学院とその研究機関11ヶ所を制裁した。その研究は、「国家安全保障や外交政策上の利益に反する活動に関与している、または関与する可能性が極めて高い」という理由によるもので、その中には「脳をコントロールする兵器」の開発も含まれていた。

 2021年、ウクライナ侵攻に先立ち、ロシアの日刊紙コメルサント・ビジネス・デイリーは、政府が埋め込み型コンピューターチップを使用して人間の脳で電子機器を制御する研究プログラムを承認したと報じた。ウラジーミル・プーチン大統領がこのプロジェクトを自ら承認したと伝えられている。ロシア国営通信社タスによると、クレムリンの報道官は、この報道について肯定も否定もできないと述べた。

 しかし、医療研究に参加する軍隊は、しばしば道徳的に微妙な問題をはらんでいる。 倫理学者の中には、命令に従うことが第一の任務である軍人が、脳とコンピューターのインターフェース・プログラムが現実のものとなった場合に、そのプログラムに完全に参加できるのかどうか疑問を呈する人もいる。政府が、軍人がその技術の使用に異議を唱えることのできる方法を開発しない限り、その疑問は解消されないだろう。

 「軍人における限定的な個人的自主性、および長期的な健康リスクに関する情報の欠如により、政府外の倫理学者の一部は、非侵襲的脳刺激技術などの介入(脳-コンピューター・インターフェースまたはBCI)は、軍事または安全保障部門の環境には現時点では不適切であると主張している」と、軍事問題を研究する非営利シンクタンク、ランド研究所の2020年報告書が詳細を述べている。

 ランドの研究員は、軍は「仲裁メカニズム」または命令に関する懸念を軍人が民事的に話し合う方法を検討すべきだと記している。 「そうすれば、軍人とその指揮官がBCI技術の非倫理的または有害な使用について話し合ったり、異議を申し立てたりできるようになる」。

 食品医薬品局(FDA)や国立衛生研究所(NIH)での勤務経験を持つ神経科学者のジーン・シビリコは、本誌インタビューで、神経科学技術の倫理的な問題は、適切な規制と研究プロセスが整備されれば軍事分野では解決可能だが、脳に関わるものには常に一段高いレベルの精査が加えられるだろうと語った。

 また、単に病気を治療するだけでなく、能力強化には懸念が伴う。

 「医療と軍事任務の観点から有用である可能性があるものとの区別は、時に困難です」とシビリコは言う。「FDAは、アルツハイマー病やその他の疾患に関連する記憶喪失を軽減する医療的適応と見なされるため、記憶力を高める機器を承認するかもしれません。しかし、軍が、誰かがこれまでに記憶したこと以上のことを記憶できるようにしたいと考えたとします。軍人もまた、脳のパフォーマンス向上によって、記憶以上のものを得られるかもしれません」。

 「強化テクノロジーを誰かに与える場合、その人のアイデンティティに不可欠なものとなるわけですが、その場合どうするのかという、非常に複雑な問題もあります」と、デューク大学の教授であり、未来学者、そして著書『The Battle for Your Brain: Defending the Right to Think Freely in the Age of Neurotechnology』の著者でもあるニタ・ファラハーニーは本誌に語りました。

 「そしていつか彼らは軍を去り、もはや強化技術を利用できなくなります。その技術は、彼らが世界を理解し、世界と交流する方法の核心となっているのです」と、オバマ大統領(当時)の生命倫理問題研究委員会の委員を務め、最近DARPAの倫理的、法的、社会的影響に関する委員会を辞任したファラハーニーは付け加えた。

 20年前にアフガニスタンで負傷した少年を目にした直後、リングは、心と機械をつなぐ研究から脳のあらゆる可能性を開けるとすぐに理解した。

 リングは、軍が倫理を先駆的研究の最優先事項として維持していくと確信していると述べた。しかし、アメリカの敵対国が同じことをするかどうかは約束できない。

 「人間の経験を変えることができる。そして、我々が手がけたこの小さなプロジェクトがその可能性を開くのです」とリングは言う。「一度解き放たれた魔神を瓶に戻すことはできません」。■


トーマス・ノヴェリーについて

トーマス・ノヴェリーはMilitary.comの記者で、70万人の空軍兵およびその家族に直接影響する問題の報道を専門としている。彼の取材対象は、米国の核ミサイルを守る軍人たちの癌や健康問題に関する調査から、軍のティルトローター機オスプレイの安全性の問題、さらに疎外された地域社会や空軍省の指導者の経歴紹介まで多岐にわたる。


ザカリー・フライヤー・ビッグスについて

ザカリー・フライヤー・ビッグスは2021年にMilitary.comのニュース担当編集長として入社し、軍事コミュニティの監視報道に専念する報道局を率いている。ザックが編集したMilitary.comの報道は、国防に関する優れた報道に対して贈られるジェラルド・R・フォード財団賞、ジョー・ギャロウェイ賞、ジェームズ・クロウリー賞、および調査報道や特集報道に対するその他の賞を受賞している。


The Next Frontier for Warfighters Might Be Implants in Their Brains. Is the Pentagon Ready for the Consequences?

The potential medical applications of access to the brain for treating ailments are far-ranging, but pressure to compete with America's adversaries might tempt leaders with the next step: enhancement.


Military.com | By Thomas Novelly and Zachary Fryer-Biggs

Published July 28, 2023


https://www.military.com/daily-news/2023/07/28/next-frontier-warfighters-might-be-implants-their-brains-pentagon-ready-consequences.html


コロンビアが次期戦闘機にサーブ「グリペン」を選定(Breaking Defense)

 

Airpower Show 2024

2024年9月7日、オーストリアのツェルトヴェーグで開催されたAirpower 24で飛行するサーブJAS-39Cグリペン。 (Mario Skraban/Getty Images)


サーブとコロンビアの間の契約では、購入機数、引き渡しスケジュール、契約の総費用など、重要な詳細は明らかにされていない


ロンビア共和国とスウェーデン王国との間で、サーブグリペン戦闘機の購入に関する意向書が調印された。

 購入される航空機は、「ブラジルで配備されている最新技術を搭載した全く新しいもので、サーブ39グリペンブランドである」と、コロンビアのペトロ大統領がXに記した。

 これに対し、スウェーデンのポール・ヨンソン国防相はXで「ペトロ大統領がコロンビアがグリペンを選択すると発表したことは喜ばしい......これから交渉が始まる」と書いている。


 サーブとコロンビアの間の潜在的な契約について、航空機の数、引き渡しスケジュール、契約の総費用など、重要な詳細はまだ明らかにされていない。しかし、ペトロ大統領の声明によれば、この契約にはソーラーパネル生産工場の開発を含む商業的オフセットが含まれているという。

 「コロンビアのペトロ大統領が先進多機能戦闘機グリペンE/Fを取得する意向を表明したことは、サーブにとってもスウェーデンにとっても非常にポジティブなことです」と、サーブのマティアス・ロドストロムは本誌に寄せた声明の中で述べている。

 コロンビアは以前からグリペン購入を検討していたが、先月、米国政府が戦闘機のジェネラル・エレクトリックF414エンジンの再輸出を認可しないと現地で報道されたことで問題が生じた。理論的には、このような戦術は、コロンビアを説得し、あるいは強硬手段に訴え、ライバルのF-16の入札を受け入れるようにするためのテコとして使われる可能性があった。

 しかし、サーブ関係者はすぐにこの報道を打ち消そうと動き、この問題は検証されていない最初の報道以来、再浮上していない。

 戦闘機の調達はしばしば噂に包まれる。 サーブは長年にわたりコロンビアで必要なライセンスと許可をすべて取得しており、「この話題についてこれ以上推測する理由はありません」と述べている。

 コロンビアでの勝利により、スウェーデン企業は南米で導入国の追加を得ることになる。

 サーブはすでにブラジルとのグリペン契約を通じて南米で重要な協力関係を築いており、サンパウロにはグリペンの開発、最終組立、試験、評価のための施設がある。

 2014年、ブラジル政府はサーブとの間で36機のグリペンを開発・生産する契約を締結し、28機の単座型グリペンEと8機の2座型グリペンFを導入した。サーブのファクトシートによると、機体の納入は2027年までに完了する予定である。■


Colombia picks Saab Gripen for next fighter jet

Key specifics remain under wraps regarding a potential deal between Saab and Colombia, including the number of aircraft involved, delivery timelines, and the total cost of the agreement.

By   Jonas Olsson

on April 03, 2025 at 11:18 AM

https://breakingdefense.com/2025/04/colombia-picks-saab-gripen-for-next-fighter-jet/


中国が数ヶ月以内に台湾侵攻を開始するとの情報筋情報を得た(19fortyfive) ― 世界の混乱に乗じて動くのか、演習としてそのまま動くのか、この記事の真偽はいずれにせよ今後明らかになるでしょう

 

Gemini



情報筋は中国による台湾侵攻の試みは6ヶ月以内に行われると本誌に明らかにした「中国は半年以内に台湾占領に踏み切るだろう」 - 中華人民共和国(PRC)による台湾の中華民国(ROC)の占領は、"もし"ではなく、"いつ "の問題になってきている


華民国への北京の絶え間ない嫌がらせ活動プログラムは、元英国秘密情報局長官アレックス・ヤンガー卿によって「破壊工作、サイバー、政治的嫌がらせの教科書」あるいは「グレイゾーン」型戦争の側面を理解する上でのケーススタディとまで評されている。


台湾に対する中国の脅威

中華民国をめぐる状況は、中国本土との長期にわたる緊張関係に関連する独特の側面があるが、中華民国が直面しているグレイゾーン・タイプの嫌がらせは、中国とロシアがヨーロッパやアジアの他の国々に対して行っている行為とほぼ同じである これには、インターネットやその他の通信ケーブルのような海底インフラの破壊工作、選挙妨害、デジタル化された偽情報などが含まれる。

 3月4日、トランプ米政権は中国に一連の関税を課したが、これはワシントンが定義する公平で公正な貿易に北京が回帰するためのインセンティブであるとワシントンは主張した。在米中国大使は、自国は米国とのいかなる「種類の戦争」にも備える用意があると、脅しをかけた。


中国はまもなく侵略する可能性がある 情報筋

この大使発言は、北京が今、アメリカとの直接対決の口火を切るべく、中華民国に対して行動を起こす機が熟したと判断したと解釈されている。

 本誌取材に応じた情報筋によれば、中国によるそのような試みは半年先になるという。

 同じ情報筋はさらに、「今から6ヶ月後」という時間枠は、ワシントンの米政権が中国共産党とその軍事部門である人民解放軍(PLA)による侵攻を阻止する気がないか、阻止できないという中国共産党(CCP)幹部の信念によって促されていると詳しく述べている。


北京の台湾オプション

元米陸軍中佐で元カリフォーニア州議会議員のチャック・デボアは、北京の選択肢について、3つの可能性を予測している:「忍耐強い窒息、電光石火の掌握、完全な混乱」だ。

 デボアの予測によれば、最初の選択肢は中華民国の全面封鎖だ。中国海軍(PLAN)は台湾を「鋼鉄の縄のように取り囲み、台湾海峡を殺りく地帯に変えるだろう。台湾の食料と天然ガスの90%は船で運ばれてくる。そのライフラインを断ち切れば、台湾は飢えに苦しむことになる。 侵略もなく、血まみれの浜辺もなく、ただゆっくり絞め殺されるだけだ」。

 第二の可能性は、中国の大規模ミサイル攻撃により台湾の防衛が壊滅的な打撃を受け、ペイトリオットやその他のミサイル防衛システムに過負荷がかかることだ。北京の「愛国ハッカー」軍団は中華民国の送電網をクラッシュさせ、インターネットと電話網を停止させるだろう。同時に、10万人の中国軍部隊が島の浜辺を攻撃するだろう。ワシントンと12時間の時差があるため、デボアが書いているように、「アメリカが目を覚ます前に」すべてが行われることになる。したがって、北京の目的は、「数日以内に(首都の)台北を占領し、完了した取引を世界に提示する」ことである。

 このバリエーションでは、中国は中華民国を占領し、アメリカとアメリカの同盟国すべての防衛力を破壊しようとする。

 ミサイルの嵐は、中華民国の軍事拠点だけでなく、日本、グアム、フィリピンの米軍基地も破壊するだろう。アジアでこのような混乱が生み出されている間に、ジョー・バイデン大統領の国境開放によりアメリカに密入国した北京の2万人以上の軍人が、メキシコのカルテルと連携して攻撃を開始する。

 米国は、国境通過地点での銃撃戦やテキサス州側の国境内での破壊工作により、南部国境の完全なコントロールを失う。インフラは送電網への攻撃によってダウンする。

 デボアが指摘するように、これは悪名高い1917年のツィンマーマン電報の現代版となる。当時、帝国ドイツは「第一次世界大戦からアメリカの目をそらすために、メキシコに罪を着せようとした。イギリスはその暗号を解読し、アメリカはドイツに宣戦布告した」。

 中国にとって、この「無制限戦争を仕掛けることは、アメリカの注意を分散させ、(中華民国への)侵攻の時間を稼ぎ、同盟の決意を試すことになる。しかし、これはリスクの高い賭けである。 さらに、アメリカは世界中の怒りを集め、世界的なリーダーシップを強化し、中国を経済的に罰することで利益を得るかもしれない」。


中国はどう動くか?

中国が上記の選択肢のいずれかを実行する準備ができていないわけではない。2月、米インド太平洋軍司令官のサミュエル・パパロ提督は、台湾周辺でのPLANの定期的な艦船の動きやPLAAFの航空機の嫌がらせ飛行は「演習ではなく、リハーサルだ」と宣言した。

 半年以内に、これら3つのオプションのうち1つが成功するか失敗するかわかるかもしれない。


デボアの結論

「アメリカの優位は、警戒心、同盟国、そして必要であれば徹底抗戦する意志にある。中国がギャンブルに走るとしても適切なプレーを選び、摩擦が破滅につながらないよう願うばかりだ」。


China Will Launch an Invasion of Taiwan In Next Few Months: Intel Sources

Intel sources who have spoken to 19FortyFive state that they believe an attempt by China to invade Taiwan is no less than six months away.

By

Reuben Johnson


https://www.19fortyfive.com/2025/04/china-will-launch-an-invasion-of-taiwan-in-next-few-months-intel-sources/?_gl=1*fyix41*_ga*NzIwMTgxNjMuMTc0Mzg5MjczOQ..*_up*MQ..


著者について ルーベン・F・ジョンソン

ルーベン・F・ジョンソンは、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻の生存者であり、現在はFundacja imの対外軍事問題専門家である。 現在はワルシャワのFundacja im. Kazimierza Pułaskiegoの対外軍事問題専門家。 国防技術や兵器システム設計の分野で、国防総省、複数のNATO政府、オーストラリア政府のコンサルタントを務める。  過去30年にわたり、ロシア、ウクライナ、ポーランド、ブラジル、中華人民共和国、オーストラリアに滞在し、そこで取材を行ってきた。



新型戦闘機F-47で中国に勝つため実現を迫られる重要機能とは(19fortyfive) ― 大西洋版と太平洋版の二機種(それ以上)へ発展する可能性

 F-47 Fighter from U.S. Air Force.

次世代航空優勢(NGAD)プラットフォームのグラフィック・アーティスト・レンダリング。 NGADプラットフォームは、あらゆる紛争において統合軍の航空優勢を確保するため、致命的な次世代技術を駆使する。 (米空軍


6世代ステルス戦闘機F-47は、太平洋における中国の航空戦力に対抗する上で極めて重要な存在になる可能性がある。 F-22やF-35のような現行の第5世代機と異なり、F-47はヨーロッパ戦域用に設計されているため、太平洋の広大な距離と作戦要件に合わせて特別に調整が可能だ。


主な特徴 燃料容量の拡大を特徴とする長距離型は、空軍の調査で浮き彫りになった戦略的ギャップに対処し、同地域における米国の航空能力を大幅に強化することができる。

 F-47は「距離の専制」を克服することで、抑止力を強化し、将来の中国との航空紛争で重要な利点を提供し、地域の戦略バランスを変える可能性がある。


F-47戦闘機とアジアにおける距離の課題

復活した第6世代ステルス戦闘機(現在はF-47と呼ばれている)は、太平洋の空で中国を封じ込め、あるいは打ち負かす努力で不可欠な装備になる可能性がある。国防総省が、この地域の特徴である広範な範囲、あるいは「距離の暴虐」で勝つために設計された太平洋専用のF-47の亜種を設計する可能性は十分に考えられる。 太平洋仕様のF-47は、より大きな燃料タンクを装備し航続距離を大幅に拡大することが可能であり、中国との大規模な空戦で重要な意味を持つ可能性がある。

 数年前だが、チャールズ・ブラウン元統合参謀本部議長は、NGADで2つのバリエーションとなる可能性を分析していると述べていた。

 F-35の多サービス、多国籍の多数機体は、太平洋戦域で強力な抑止力を提供し続けているが、現在の航空抑止態勢は、将来的に急速に進化する中国の脅威に対応するには不十分となると考える人もいるかもしれない。

 太平洋用に特別構成された長距離F-47というコンセプトは、非常に理にかなっている。

 米空軍は、太平洋戦域で増大する中国の混成脅威に立ち向かうために、長距離でステルス性の高いハイテク第6世代戦闘機を新たに導入する必要があるのだろうか? トランプ大統領がF-47の製造を決断した背景には、このような考えがあったのかもしれない。


第6世代を支持する研究

Warrior Mavenのエッセイで引用されている、2024年10月の空軍省中国航空宇宙研究所(CASI)による研究論文は、米空軍が追求する最善の太平洋戦略の種類に関するより広範な分析の一環で、第6世代の可能性の問題に光を当てている。

 この論文「進路を描く: "Charting the Course: How the PLA's Regional and Global Strategies Should Influence the US Air Force's Lines of Effort "は、調査に基づいて主要な提言を行っている。 具体的には、CASI論文は、第5世代航空機は中国の脅威を念頭に置いて作られたわけではないという重要な点を指摘している。

 「F-22やF-35のような航空機は、敵のIADSに侵入し、欧州戦線で優勢なSuシリーズを制圧するために作られており、これらの航空機の設計に影響を与えたのは、ほとんどが連続した地理的地域であり、距離が短く、"距離の暴君"が要因にならないような利用可能な飛行場が多数あった。さらに、F-35の要件は、空軍が今日よりも多くの戦闘機飛行隊を持っていた時代に開発されたものだ」とCASIのエッセイは書いている。


米空軍のF-47戦闘機

CASIの研究論文は、現在の米空軍の態勢の中心となる潜在的な限界を指摘しているが、有人NGADが存在しなければならないとは明言していない。しかし、CASI同論文は、F-22やF-35を超える何かが中国との対決で必要になるかもしれないため、F-47を製造するという決断を下したと思われる考え方と一致しているように映る。同論文で示唆されているように、太平洋の広大さは、巨大な海、陸地、島をまたぎ分散した、マルチドメイン、長距離の地上・海上・航空戦に最適化された資産、兵器、プラットフォームの開発を求めている。


太平洋仕様の長距離第6世代機

太平洋には、島々を隔てる広大な海、広大な陸地、そして北は日本や朝鮮半島からオーストラリアまで何千マイルも続く海がある。 台湾は中国本土から100マイルと非常に接近しやすいため、太平洋内には戦術的に適切な距離があり、有事によっては考慮する必要がある。 しかし、この中国の近接優位性は、台湾から数百マイル以内に米海軍の空母やF-35Bを搭載した飛行艇が前方で運用されると、大幅に緩和または相殺される可能性がある。


アジアにおけるF-35の限界

フィリピンの最北部と台湾南部の距離はわずか155マイルで、米軍第5世代機がフィリピンの陸上基地から台湾を防衛することが可能である。  例えば、F-35Aは、武器満載の状態で1,380マイルの航続距離を持ち、台湾上空に到達し、危険で非常に脆弱なタンカー機から燃料を補給することなく、ある程度の滞空時間のまま活動することができる。このような防衛態勢をとるためには、アメリカがF-35Aをフィリピンに駐留させる必要があるが、これは戦略的に理にかなっていると思われる抑止コンセプトである。

 このような可能性があるにもかかわらず、CASIのエッセイは、F-35Aでさえも広大な太平洋地域では、明確な航続距離不足に直面するだろうと指摘している。

 「F-35のようなプラットフォームは、ロシアの脅威に焦点を当てたヨーロッパ戦線向けに設計された。多用途戦闘機ではあるが、F-35Aは長距離と重いペイロード能力に欠ける」。

 しかし、より長距離でありながらステルス性に優れ、高度に進化したF-47第6世代機は、この欠点に対処し、米国が中国との交戦で優位に立てるよう位置づけることができるかもしれない。■


The New F-47 Fighter Needs 1 Key Feature to Beat China in a War

By

Kris Osborn

https://www.19fortyfive.com/2025/04/the-new-f-47-fighter-needs-1-key-feature-to-beat-china-in-a-war/?_gl=1*u6p3az*_ga*MTU4NzE0ODUzNi4xNzQzODA3Njcw*_up*MQ


文:クリス・オズボーン

Kris Osbornは19 FortyFiveの軍事問題編集者であり、Warrior Maven - Center for Military Modernizationの社長である。 以前はペンタゴンの陸軍次官補室(取得、ロジスティクス、技術担当)の高資格専門家として勤務。 また、全国ネットのテレビ局でキャスターやオンエアの軍事専門家としても活躍。 フォックス・ニュース、MSNBC、ミリタリー・チャンネル、ヒストリー・チャンネルにゲスト軍事専門家として出演。 コロンビア大学で比較文学の修士号も取得している。