2013年5月21日火曜日

フランス向けA400M初号機引渡し近づく

France Anticipating First A400M Delivery

By Amy Svitak svitak@aviationweek.comt



aviationweek.com May 17, 2013
(写真はエアバスミリタリー社のホームページより)


フランスはエアバスミリタリーA400Mの受領を7月14日以前に実現し同日の革命記念日パレードで飛行展示させたい意向だと国防省関係者が明らかにした。
.
エアバスミリタリーは同機の軍用型式証明取得を6月中に完了する目標ですすめており、パリ航空ショー(6月17日より)で飛行できると期待するが、それまでに型式証明が間に合うのか不明。


フランスが同機を受領すると予定より3年遅れとなる。引き渡し後も各種性能改修が行われる。一号機が初期作戦能力を認められるのは輸送機機能に限定される。


なお同機の民間型式証明は3月に取得ずみでエアバス関係者によるとテスト時間は5、000時間を超えたという。また戦術空輸他軍用能力を順次追加していくという。フランスは今年中に3機受領
し、トルコ空軍が1機のひきわたしをうける予定。■

2013年5月20日月曜日

グローバルホークの将来に不安材料② ドイツが導入を断念

Germany pulls plug on Euro Hawk UAV programme

By:   Michael Gubisch London
16 May 2013
Source:
.ドイツがノースロップ・グラマンのユーロホーク無人機5機の総額13億ドル購入を取り消した。民間空路と並存する形では同機の滞空証明取得は困難というのが理由だ。

ドイツ国防相が同機導入に立ちふさがる「滞空証明で困難性が大きいこと」を認め、高高度長距離飛行の実施は安全の観点から実施不可能と判断するに至ったと発言。
.
RQ-4グローバルホークの派生型として同機はミュンヘン郊外のマンシング Manching空軍基地に配備され、2011年からテスト飛行を実施していた。その結果を待ちドイツは4機を追加購入し空軍で運用する予定だった。

だが試験運用の結果同機の飛行制御システムで問題が見つかり、ノースロップは情報提供を拒みドイツ認証機関は同機の理解を深めることができなかったと国防相は発言。

ドイツ政府はこれまで730百万ドルを支出しており、うちテスト飛行だけで70百万ドルかかっている。しかし、325百万ドルで開発した偵察機材は有人機に搭載する予定だ。

なお、ドイツ政府はひきつづきUAV活用を進め、将来は偵察・攻撃用の機種を使用する予定があると付け加えている。■

グローバルホークの将来に不安材料①ブロック30早期退役を回避したいノースロップの事情

Northrop Proposes Cost Cuts, Sensor Change To Save Global Hawk

By Graham Warwick
Source: Aerospace Daily & Defense Report

aviationweek.com May 17, 2013
Credit: Northrop Grumman
ノースロップ・グラマンがグローバルホーク無人機の存続に努力しているのは米空軍が機齢が若いRQ-4Bブロック30を早期退役させ、代替するはずのロッキードU-2を優遇しようとしているためだ。
  1. 同社からはブロック30各機の運用コスト削減と航続距離拡大、電子光学赤外線画像センサーの解像度向上が内容の自主提案が固定価格で出ており、同機を2014年度以降も運用可能にしようとしている。
  2. 「議 論の中心が運用コスト・支援コストの削減と航続距離延長、解像度向上にあることは承知しています」とノースロップ・グラマンエアロスペースシステムズ社長 トム・ヴァイス Tom Vice, president of Northrop Grumman Aerospace Systemsは語る。
  3. 同 社は同機の委託ロジスティクス支援contractor logistics support (CLS)で10年間固定価格制の契約提案を米空軍に送っている。これでブロック30の時間あたり飛行コストcost per flight hour (CPFH)を2011年度実績比で4割下げるという。
  4. さらに今回の固定価格提案には航続距離・解像度の向上のためU-2のSYERS-2多周波数帯センサーまたは湿板式光学式パノラマカメラ Optical Bar Cameraをブロック30機体に空軍予測を下回る破格の価格で装着する内容も含む。
  5. 米空軍が.議会向けに作成した報告書ではブロック30とU-2の2012年度CPFHはでグローバルホークが $33,564、U-2が$33,407で「ほぼ同額」としている。
  6. .ただ目標地点への移動時間が長くなる傾向があり、長距離飛行で優れるグローバルホークがU-2より運用コストが下がるはずで、その理由として超高度飛行に投入する機数を減らせるからだと同報告書は指摘している。
  7. 空 軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将Air Force chief of staff Gen. Mark Welshから議会に対して、コストは実は重大な要素ではなく、収集情報の質こそが大事なのであり、現場司令官は「U-2を好む傾向がある」と発言があっ た。U-2のセンサー有効距離から国境内部に侵入しなくても情報が集められるからだとする。
  8. 空軍が同等のセンサーで性能求めているため、ノースロップは自社資金でペイロード調整装置universal payload adaptor (UPA) を開発し、ブロック30のセンサーを換装し有効距離・解像度の向上を実現できるようにした。
  9. この装置を使いU-2のグッドリッチ製SYERS-2B EO/IRセンサーをブロック30にも搭載し、高解像度、直距離slant rangesも拡大させる。その他光学パノラマカメラと開発中のSYERS-3センサーの装着も提案。
  10. 空軍試算ではグローバルホークのセンサー換装は18機のブロック30機体対象で開発含み総額855百万ドル。
  11. ただ議会向け報告書では同じ18機へのSYERS-2B・光学パノラマカメラ装着を487百万ドルと記載。ヴァイス社長によればノースロップ提案の固定価格方式ではSYERS-2装着で空軍試算費用より6%低くくでき、政府もリスクを回避できるという。
  12. SYERS-2はGEF製でブロック30の6機への装着は50百万ドル未満で実施可能とヴァイスはいう。SYERS-2センサーはUU-2から流用する。
  13. 「同社提案は6機のセンサー交換で、空軍がほしいのは18機分」とウェルシュ参謀総長は議会で発言し、「提案ではU-2から装置をとりはずすのでU-2該当機は使用できなくなる」としている。
  14. 同社提案では湿板式パノラマカメラ、デジタル方式のSYERS-3他センサーの統合で「最高のセンサー性能」が実現するとヴァイス社長は言う。
  15. ただ大型カメラ搭載のため機体腹部搭載の合成開口レーダーを取り外す必要がある。SYERS-2やパノラマカメラ他のセンサーはその代わりに取り付ける装着調整器を通じて搭載される。ブロック30の通信情報収集センサーはそのまま搭載を続ける。
  16. また自社提案でブロック30で予定の21機の残り3機生産も持ちかけている。この予算は2013年に計上しているが、空軍は執行義務がなく、運用予定のない機体を購入する事は理にかなわない。
  17. この三機生産は海軍向けRQ-4Cトライトン最大68機の生産開始が遅れている中で同社にとってつなぎの意味を持つとヴァイスは認める。■

2013年5月19日日曜日

SM-3IB三回目の迎撃テスト成功、標的ミサイルモックアップをC-17から投下実験に成功、MDAが同時に二件のテストを達成

MDA Scores Two Successful Flight Tests

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First


May 16, 2013
Credit: Lockheed Martin


米ミサイル防衛庁がレイセオンSM-3 IB迎撃ミサイルに加えロッキード・マーティンが制作した新型弾道ミサイル標的の初の飛行実証テストの双方に成功している。
  1. . このうち SM-3 IBテストは4回中3回目の成功。これは5月16日に太平洋上で巡洋艦USSレイク・エリーがMDAがいうところの「空中で分離する短距離弾道ミサイル標 的」に対しSM-3 IBを誘導し迎撃に成功した。今後はもっと複雑な形で目標捕捉センサーの実力も試すテストが予定されている。
  2. SM-3 IBは性能向上型2色赤外線シーカーならびに調整可能な姿勢制御システムが搭載しており、この点でこれらがなかったSM-3 IAと異なる。
  3. SM-3 IAも分離型目標を相手に効力を発揮しているが、レイセオンはデータ解析が完了していない現時点では二型式の迎撃ミサイルの実力比較はできないとしている。ただし、IB搭載のシーカーは予想以上の性能を発揮した模様。
  4. 次回のSM-3 IBテストは年末の予定で複数標的に同時迎撃発射をする見込みだという。関係者は来年までにあと二回の迎撃飛行テストの実施をしたいとしている。
  5. SM- 3テストの三日前にMDAが支援する形で飛行距離拡大中距離弾道ミサイル Extended Medium-Range Ballistic Missile標的プログラムでプロトタイプの飛行実験がアリゾナ州ユマ実験場で実施されている。目標ミサイルの実物大モックアップがC-17輸送機より 高度25,000 ftで投下されたとロッキード・マーティンが発表。「ERBM空中発射装置と本体取り出しシステムはテスト

2013年5月18日土曜日

最終テストを開始したX-47B---現場からの報告

X-47B Heads For Final Tests
aviationweek.com  Ares A Defense Technology Blog Posted by Bill Sweetman 7:20 AM on May 16, 2013

ノースロップ・グラマンX-47Bは数日後にタッチアンドゴー方式で空母ジョージ・ブッシュへの着艦を実施する見込みで、それに先立つ火曜日に実初のカタパルト発進を施した際に同席していたので現地で見聞したことを以下お伝えしたい。

同機は予想より早く発艦前準備を完了し、カタバルトの端までの移動はごく短時間で完了していた。このテスト用にわざわざ開発した遠隔操作用の器具は無用の長物になっていた。
とはいうものの関係者の見方はすでにこの後に来るUclass用の技術という観点だった。開発チームは原理原則の有効性を証明したと感じている。つまり、無人機も有人機と同じ命令に従って空母艦上で取り扱い可能だということだ。
.
X-47Bのアプローチは実に安定しており、二回目の通過では大気の乱れで若干ローリングしていたが、甲板上空50フィートで翼を左右に振って見せた。
こ の振りは予定外だったが以下の可能性がある。機体自体で自動的に行った、ミッション操作員によるもの、パドルすなわち着艦信号士官によるもの、あるいは管 制塔のPri-Flyすなわち主任飛行制御管制官によるもの、である。ミッション操作員もパイロットと同様に「ボールを読む」(着陸姿勢の表示灯の数を読 む)ことができ、着陸装置のライトは同機がこれから着陸する意思があることを示す。

海 軍士官は海軍と空軍の違いを明確に理解しており、空軍が遠隔パイロットで操縦される航空機の活用を主張する一方で海軍の「無人航空システム」は操作員が飛 行させるのであり、パイロットによる操縦ではないとしている。海軍としてもパイロット資格を持つ人員を一度にUAVで交代させるつもりはなく、ここで も 空軍との違いが明白だ。(プレデター/リーパーは米空軍ではF-16に次ぐ機体数になっている。)操縦桿とラダーでUAVを飛ばすのはエアバス関係者 がボーイング777の操縦桿についていったことを引用すると馬にハンドルをつけるようなものだ。「パイロット」はちょっと間違った言葉の使い方ではない か。

パイロットといえば海軍がX-47Bの自動着陸技術を有人機に応用しようというのは正しい判断だ。この恩恵は機体疲労の軽減に加え航空団の訓練時間短縮にもつながり、安全性が高まる効果は大きいといえる。

コメント  歴史的な現場に立ち会うことが許されるのはAviation Week関係者ならではの特権ですね。うらやましい限りです。UAVが今後発展して敵機撃墜するようになると空軍内部でエースパイロットが本土の安全な コンソールに座る操作員から発生し、議論を呼ぶのでしょうね。(もう呼んでいる?) 一方、海軍はもともとtailhookersと自称し空軍とは違う文 化をもっていることもあり、まちがってもUAVの操作員はパイロットAviatorとは呼ばないことで一致しているのだと思いますが、ここもやがて議論を 避けて通れなくなる事態が来るのではないかと思います。

追記 すでにタッチアンドゴー実証も始まっているようです。(以下写真はUS Navy websiteより)



2013年5月17日金曜日

RAF向けRC-135リヴェットジョイント一号機の写真が初公開

U.K. Rivet Joint - First "Official" Picture
aviaitonweek.com Ares
 Posted by Tony Osborne 3:34 PM on May 14, 2013
USAF Photographers have snapped the first RC-135 Rivet Joint destined for the U.K. Royal Air Force.
米空軍カメラマンが撮影した英国空軍向けのRC-135リヴェットジョイント一号機の写真
Image Credit: USAF via RAF Waddington

機体番号ZZ664がL-3社のグリーンヴィル事業所(テキサス州)のハンガーを前にしている。動悸は4月にロールアウトしている。Aviation WeekはこのRC-135の写真を初めて掲載している。同機はRAFによりエアシーカーAirseekerと呼称される。

RAFはRC-135を三機発注しており、英国はRC-135V/Wシギント機の初の海外顧客となる。各機は1964年に就役したボーイングKC-135ストラトタンカーを改修する。

同機が配属されるRAFワディントン基地の関係者によればエアシーカー一号機は2013年末までに第51飛行隊に編入されるという。

同飛行隊の隊員は機種転換訓練をオファット空軍基地(ネブラスカ州)で受けており、すでに訓練を修了した英国乗員は米空軍のリベットジョイントで実際のミッションに同乗参加している。

コメント 中古改造機とはいえ、立派なリヴェットジョイントを購入するのはISR機材の重要性を英国が認識している証拠なのでしょう。また米国も売却を承認しているのは情報の共有化で二国間合意ができているからでしょう。


2013年5月16日木曜日

中国が開発中の全翼機UAVの写真がインターネットに流出


X-47Bが空母から無人発艦した快挙をお伝えした直後に中国からまた怪しい機体の写真が出てきました。航空技術の優位性はまだ西側にあるとはいえ、差はどんどん縮まる方向にあるようです。

PICTURE: New Chinese advances in tailless UAV designs revealed


By:   Stephen Trimble Washington DC
Flightglobal, 15 May 2013
Source:

中 国のインターネットフォーラムに写真が掲載された無尾翼無人ステルス機が初飛行に備えているように見える。中国軍事装備に目を光らせるアナリストは同 機をLijian(鋭い剣)無人戦闘航空機(UCAV)の実証機だとする。同機はジェット練習機メーカーのHongdu供都航空とShenyang瀋陽航空(二大戦闘機メーカーのひとつ)の共同開発だという。

写真でみる同機の外寸と形状はボーイングのファントムレイ、ダッソーのニューロン、ロッキード・マーティンのRQ-170、ノースロップグラマンX-47Bと類似している。

た だしLijianの設計にはステルス性が十分あるとは思えない。多分アフターバーナー用のノズルが大きく、ジェットエンジンは機体後部に被覆せずにむき出 しでこれではレーダー探知の絶好の的だ。同様なことは中国から出てきたステルス機と説明される気体全般に言えることで、成都J-20や瀋陽J-31でも例 外ではない。

反面で写真を見ると中国航空機設計で大きな進展をしていることが明らかだ。Lijianは全翼機形態で無尾翼構造となっており、中国が空力特性と飛行制御で最大の難関に取り組んでいることが見えてくる。

一方でこの機体形状では制御が困難な空力効果も生んでしまうのだ。その例が「ピッチダイブ」と呼ばれる現象で低速度で機体が突然制御を失い上下逆転したまま回復できなくなることだ。

実は中国は無尾翼全翼機の設計に長年にわたりとりくんでいる。瀋陽からは2007年に学術論文「全翼機形状の偵察用UCAV1への応用」が発表されており、その結論は無尾翼設計は空気力学上で「最適な選択」であるとしている。

2011年には瀋陽大学が無人機の「大祭り」を開催し、研究者が縮小サイズのUAVで賞金をかけた飛行競争を行っている。その中に無線操縦の機体で翼幅2メートルの全翼機がありLijianと形状が似ているものがあった。■



2013年5月15日水曜日

航空母艦から無人機の発進に成功した米海軍は航空史に1ページを加えました

U.S. Navy Makes Aviation History With Carrier Drone Launch

By Reuters
aviationweek.com May 14, 2013
Credit: US Navy

米海軍が5月14日に航空史を書き換えた。無人ジェット機を航空母艦から発進させることに成功し、今後の無人機の軍事利用に大きな一歩となった。中国やイランなどを意識していることは間違いない。
  1. X-47Bステルス無人機はUSSジョージH.W.ブッシュからヴァージニア沖合いで発艦し、メリーランド州の海軍基地に予定通り着陸した。
  2. 「5月14日は記念日になった」と大西洋海軍航空部隊司令官テッド・ブランチ少将Rear Admiral Ted Branchはコメント。「従来の海軍航空兵力に一線を画す出来事がX-47Bの発艦で実現した」
  3. 同 機はステルス性に加えF-35の二倍近い航続距離を有し、今後登場する無人機とともに中国やイランが開発中の中距離対艦ミサイルへ有効な対抗手段になりう る、と国防アナリストたちはみている。ミサイルに加え接近阻止領域拒否構想により米海軍空母部隊は海岸線近くで作戦できなくなる状況の可能性があり、有人 機は空中給油ないとミッションが実施できなくなり、それだけ脆弱性が生まれる。
  4. そこで2,000海里の飛行距離があるX-47のような無人機があれば海軍は長距離攻撃・偵察能力を発揮できる。
  5. 「戦略上大きな意味が出てきます」と見るのは戦略国際研究所の上級国防アナリストのアンソニー・コーズマンAnthony Cordesman, a senior defense analyst at the Center for Strategic and International Studiesで、同機は「真の意味での長距離ステルス航空機システムだ」とする。
  6. 「太平洋への再バランスが進む中で海軍はこれまで以上の航続距離を求めています」と見るのはランド研究所主任研究員ブリン・アルカイアBrien Alkire, a senior researcher at RAND’s Project Air Forceだ。「無人機システムなら実現できることで、今後は十分なスタンドオフ距離から作戦が実施できることになります」
  7. 今回のX-47Bはノースロップ・グラマンが製作した2機のひとつで、精密誘導爆弾2発が搭載できる。火曜日は通常の有人機と同様に空母のカタパルトから発艦した。
  8. 2週間の艦上テストに続き着艦テストを実施する予定で、同機のテイルフックが甲板上のワイヤーを捕らえ、減速し艦上で停止させる。
  9. 発艦は大きな一歩となったが、国防アナリスト陣は次の段階として、海軍がX-47Bの実証内容から作戦用の無人機を開発するのを注目している。
  10. 「X-47Bはすごい」と戦略予算評価センターシンクタンクのマーク・ガンジンガー国防アナリストMark Gunzinger, a defense analyst at the Center for Strategic and Budgetary Assessmentsは言う。「無人艦載航空機へ一歩踏み出しました。でも本当にすごいことはこれからでしょう。この性能を作戦で使いこなせるかが課題でしょうね」
  11. 今後登場する無人機には全範囲周波数帯で有効なステルス性能full-spectrum broadband stealthが加わり、レーダー探知を逃れるはず、とアナリスト陣は見る。ステルス性能が無人機の最大の防御手段だ。
  12. 米軍の無人機にはアフガニスタンやパキスタンの辺境地帯に投入されているプレデターやリーパーがあるが、敵の防空体制突破に有効ではなくステルス性もない。
  13. 空母運用で長距離、全天候飛行可能な機体として設計されたX-47Bは大幅な自律飛行が可能となっており、遠隔操縦されている現在の無人機とは一線を画す存在だ。
  14. このことが米軍が無人機の作戦利用に過度に依存しているのではないか、自律的なロボットの利用が今後拡大するとの懸念を生んでいる。
  15. すでに人権団体Human Rights Watchが「殺人ロボット」へ反対姿勢を示す報告書の中でX-47Bは完全自律型兵器開発への一歩との見解を示している。
  16. 今後開発する機体は無人艦載航空偵察攻撃システムUnmanned Carrier Launched Airborne Surveillance and Strike System (UCLASS)の名称でX-47Bの知見をもとにした作戦用の機体となる。
今月中にも海軍から設計提案の初期内容の要求が出ると見られ、ロッキード・マーティンボーイングジェネラルアトミックスも参入するだろう。■

2013年5月14日火曜日

多数の機種を有するローテクUAS大国イランがステルス技術をものにする可能性はあるのか

Iran Ramps Up UAS Development Programme

                   
                        UAS Vision  May 13, 2013                    
                                            



イランが最新のUASを「ハマセー」Hamaseh=勇壮なるもの の名称で発表した。同機は古典的な尾部が二つに分かれた構造でIAIのスカウト無人機、TadiranのMastifの1980年代の設計を踏襲している。
  1. 発 表は5月9日のことで、同機は107mmロケット二基と電子装備と思われるペイロードを搭載していた。おそらくレーダーだろう。イランによると同機は敵の 探査を逃れることがステルス性により可能、とのことだが、見たところ着陸装置は固定式であり、主翼の外板でハードポイントを強化しているなど、西側基準で 言うステルス性を実現しているとは思えない。イラン説明では同機は偵察と戦闘ミッション目的で設計されたという。
  2. 技術成熟度はさておき、同機の設計を見るとイランのUAS技術の成熟度が高まっていることがわかり、同国は現在40種のUASがあり、そのうち30種が何らかの形で生産されている。
  3. Another UAS unveiled in 2012 was Shahed 129 followed another Israeli design – the Hermes 450. In April 2013 Tehran unveiled four new programmes – Azem-2, Mohajer B, Hazem 3 and Sarir H110, dubbed as a ‘long-endurance UAS’. Sharir 110 was first shown on a march in Tehran, on April 10, 2013. As other recently unveiled Iranian designs, it follows the design of the Israeli Hunter (Developed by IAI), which has seen operational use with the US Army in Iraq and Afghanistan over the past decade.2012年にはシャヘド129Shahed 129が発表されているが、これもイスラエルのハーミーズ450の設計を踏襲している。2013年4月にはさらに4機種が発表されており、アゼム-2  Azem-2、モハジェルB  Mohajer B、ハゼム3Hazem 3、サリールSarirH110の各機種である。シャリールSharir 110は長距離飛行UASと呼ばれテヘランで2013年4月に初飛行している。これもイスラエルのハンターHunter無人機の設計を踏襲している。な お、ハンターは米陸軍がイラク、アフガニスタンで10年近く運用している。
  4. H- 110サリールは双発UASで長距離飛行ミッションを想定した設計だ。シャリール110も尾翼は二つで推進式のプロペラ動力機で、主翼パイロンに外部兵装 を搭載して展示してある。(SA-7クラスの空対空ミサイル) イランは同機にステルス性があると説明するが、その設計では疑わしい。同機はイスラエルの ハンターUASに類似している。
  5. イランは無人機システムの運用上の技術・戦術・手順techniques, tactics and procedures (TTP)を開発する中で機体開発も進めている。無人機が軍事演習すべてに動員されており、イランは対無人機作戦でも訓練をしている。
  6. . ここでアフガニスタンから発進した米軍RQ-170センティネルをイランが2011年に「拿捕」した事件がからむ。同機はイラン東部を偵察していたといわ れる。イラン電子戦部隊が同機の航法システムを妨害し無傷のままイラン国内に着陸させたとしている。そこでRQ-170の機体からリバースエンジニアリン グでイランが探知されにくくする技術特に電磁シールド技術を入手した可能性はあるし、素材やトポロジーの利用方法から低探知製の新型機に応用しているかも しれない。ただしステルスの全面応用には複雑な加工方法、特殊素材、空力制御が必要で現在のイランの実力では無理と見られる。その証拠にイランからはまだ ステルス機の形状をしたUASは出ていない。
  7. イランはイスラエル上空の偵察ミッションをレバノンのヒズボラを利用して2006年から実施しており、ヒズボラは2011年にアバビル Ababil UASをイスラエル攻撃用に使っている。ただしいずれの場合もイスラエル空軍ジェット機が迎撃している。
  8. ア バビルではステルス性が限定されるため、イランは以後の新型機では被探知性の軽減を課題にしてきた。その一環で最近の特記すべき成果は2012年10月に シェヘド129がレバノンから飛来し南部イスラエル上空の偵察ミッションに成功したことで、この際は30分間経過してから迎撃された。イラン筋はこれがイ スラエル上空侵入の初めての事例ではないというものの、その根拠は示していない。イスラエル軍もこの事例から教訓を得て、2013年4月の事例ではイラン 無人機はイスラエル沿岸に到達する前に迎撃されている。



2013年5月13日月曜日

F/A-18生産を2020年まで維持しようとするボーイングは商魂たくましく拡販に走っています

Boeing Aims To Keep Building F/A-18 Jets Through 2020

By Andrea Shalal-Esa/Reuters

aviationweek.com May 10, 2013
Credit: U.S. Air Force photo/Capt. Shannon Collins

.ボーイングはスーパーホーネットおよびその電子攻撃機版の生産を2020年まで継続する意向だ。ただし、海外販売が200機超となり、米海軍向け追加販売が150機となることを条件としている。
  1. 同社副社長(F/A-18 ・EA-18担当)マイケル・ギボンズMichael Gibbonsが議会関係者にシミュレーター、展示物、記念品を満載したトレーラーで同機販売に熱を入れている。
  2. 同副社長の役割は2014年度予算内でEA-18G21機分の予算を守り、スーパーホーネットの優位性を強調することであり、ボーイングは同機の改良によりロッキード・マーティンの第五世代機F-35への優位性を確保しようとしている。
  3. .F/A-18 はボーイングが生産する唯一の戦闘機であり、同社はF-35の生産遅延と費用超過につけこんで、F/A-18 の販売を増やそうとしている。ただし、F/A-18 生産が縮小となることで販売拡大はいっそう緊急性を帯びてきた。
  4. 「ボーイングにとって今年が分かれ目でしょう。」と語るのは国防コンサルタントのジム・マカリースJim McAleeseでスーパーホーネット調達の予定が海軍にないことから同社は拡販に必死になっているのだという。
  5. ボーイング支持派の議員からF/A-18の調達を海軍に求める予算案が繰り返し出ており、海軍はもっと戦闘機が必要でF-35の配備までのつなぎが必要だという。
  6. ギボンズからは海軍がF-35の二飛行隊を就役させるかわりにスーパーホーネット二飛行隊を配備することの優位性を議会関係者に理解させようとしている。
  7. 「当 地では議会関係者の皆さんが航空問題に詳しくない方も含めスーパーホーネットがなぜ次世代機になれるのか、なぜ購入可能価格の選択肢になるのか、を特に予 算状況が厳しい環境でご理解いただこうとしています」とし、新しいタッチスクリーン式のコックピットディスプレイを議会関係者に試してもらったという。
  8. 海 軍はスーパーホーネットの単座E型と副座F型を2000年から使用中。ボーイングは同機を原型ホーネットの「改良版」として前回の国防予算削減の際に予算 確保に走ったが、専門家に言わせればスーパーホーネットは実質的に別機体だとし、主翼が拡大し、機体延長で燃料搭載量を増やし強力なエンジンに換装してい るからだ。
  9. 海軍との契約終了は2015年中ごろだが、スーパーホーネットおよびグラウラーの生産はオーストラリアがグラウラー追加導入を発表したことで2016年までは続きそうだ。オーストラリア発注は確定というものの、ボーイングの期待数の半分しかなかった。
  10. そこでボーイングが売り込み先で有望と見ているのがブラジル、マレーシア、中東諸国(同社は国名の特定を拒否)で、ボーイングがこの数年間にデモ飛行を精力的に行っている。アナリストの中にはクウェートほか数カ国と販売契約締結を今年上半期に成約しそうだという。
  11. さらにF-35導入を見直そうという各国に対してF/A-18データを提供している。カナダ(35機導入希望)、デンマーク(30機希望)が該当。
  12. ギ ボンズとしては合計で200機を越える海外受注を期待してブラジルの35機整備では十分訴求力ありと見ている。ブラジルの決定は第3四半期と見られる。こ の数年間のボーイングはブラジルで存在感を増しており、ブラジルの航空機メーカーエンブラエルSAほかの企業と提携関係を樹立している。
  13. ボー イングからブラジルほかの国に持ちかけているのは8から9百万ドル規模のスーパーホーネット性能改修でタッチスクリーンコックピットディスプレーの大型 化、ミサイル追跡機能、推力20%増のエンジン、新設計燃料タンク、機体をレーダー探知しにくくする機内搭載兵装ポッドをまとめて提供しようというもの だ。
  14. 主 サプライヤーであるノースロップ・グラマンはボーイングと共同で自社予算で原型機を製造中で、レーダー探知性能が本当に下がることを実証する。この機は性 能向上型スーパーホーネットAdvanced Super Hornet と呼称され、「スーパーデューパーホーネット」と揶揄する向きもあり、今年夏あるいは初秋に海軍試験場に持ち込むとギブソンは言う。
  15. .ボーイングは海軍向けに75ないし100機の追加販売をもくろみ、運用コストが現役機体の中では最小と強調している。そうなるとスーパーホーネット組立てラインを2020年あるいはその先まで維持できる見ている。
  16. ボー イングは同機の時間当たり運用コストは$16,000でF-35よりはるかに低いとし、調達費用もずっと低いという。ロッキードとペンタゴンからはF- 35の生産価格はこれから下がってくると主張し、提供する性能の水準が高いこととして電子戦・ジャミング能力やレーダーに探知されにくい特徴があると強調 している。「ボーイングは海軍がカ艦載型F-35が高価過ぎて導入をあきらめることを期待しているのでしょう」とロッキードとつながりが強いコンサルタン トであるローレン・トンプソンLoren Thompsonは見ている。