2015年4月23日木曜日

X-47B>空中給油テスト成功、でもこれで事業終了か


空中給油もデモとして実施して予算もないのでX-47Bはすでに過去の機体となるのでしょうか。一方で肝心のUCLASSの仕様が決まらないのでX-47Bのデータがいつになったら有効活用されるのか先が見えません。海軍長官の発言にはX-47Bの成功が大きく作用しているのでしょうね。まずDefense Techの記事紹介です。

Navy Conducts First Aerial Refueling of X-47B Carrier-Launched Drone

by KRIS OSBORN on APRIL 22, 2015

Navy X-47B refuels for the first time. (Navy photo)
米海軍はX-47B艦載無人実証機を使い4月22日にパタクセントリヴァー海軍航空基地上空で無人機への初の空中給油に成功した。
X-47Bにはオメガ・エア・リフィユエル社 Omega Air Refueling の給油機が対応したと海軍とノースロップ・グラマン関係者が明らかにした。
X-47Bは5月には空母への着艦、発艦ですでに歴史に残る業績を上げており、現在は空母艦上での取り回しの改善に投入されている。
The Navy launched and landed the X-47B in rapid succession with an F/A-18 fighter jet as part of a series of joint manned and unmanned flight tests aboard the USS Theodore Roosevelt in August of last year off the coast of Norfolk, Va., service officials said.
X-47Bの着艦発艦テストはF/A-18の運用と平行して有人無人機運用テストとしてUSSセオドア・ロウズヴェルトを用い昨年8月にノーフォーク軍港(ヴァージニア州)沖合で実施している。

Navy X-47B refuels for the first time. (Navy photo)
X-47Bは8分間の飛行後、拘束フックによる着艦に成功し、主翼を折りたたみ、艦上をタキシーングし、続くF/A-18に着艦スペースを空けた。

Navy X-47B refuels for the first time. (Navy photo)
X-47Bへの空中給油はペンタゴンで海軍の次世代空母運用無人機の検討作業が続く中で実施された。議会有力議員はステルスで長距離飛行による敵地侵入攻撃性能が必要だと主張している。これに対しペンタゴンも情報収集監視偵察(ISR)を重視し、無人空母運用偵察攻撃機(UCLASS)構想を検討している。
X-47BはUCLASSに先立つ実証機の位置づけだ。

USNI Newsはもう少し掘り下げて報じています。

Navy Conducts Successful Test of Aerial Refueling with X-47B, UCAS-D Program Ending

April 22, 2015 3:37 PM


米海軍が初の自動空中給油に成功した。ノースロップ・グラマンX-47Bテスト機が4月22日に実施し、これで無人空母搭載機実証事業Unmanned Carrier Air Vehicle demonstrator (UCAS-D) も終了すると海軍航空システムズ本部 (NAVAIR) がUSNI Newsに語っている。
  1. X-47Bはチェサピーク湾上空を巡航飛行し、コールサイン ソルティドッグ502としてオメガ・エアリアル・リフュエリングサービシズ社のボーイング707給油機の後方につき4,000ポンド超の燃料を受け取りパックスリヴァーに向かい東部標準時午後1時15分に着陸したとNAVAIR報道官がUSNI Newsに語っている。.
  2. 給油はプローブ・ドローグ方式で行った。.
  3. 4月15日にソルティドッグ502はタンカーとの通信接続を確立したが、この際は燃料は移送されていない。また乱流で給油テストが中止されたこともああった。
  4. 空中給油テストはノースロップ・グラマンに交付した64百万ドル契約の一部。
  5. 「UCAS-Dの飛行テストは2012年に始まり、有人リアジェットをX-47Bに見立てて実施した。数回に渡る実証飛行でX-47Bへの空中給油の可能性が証明され、航法・指揮統制機能や赤外線レーザーの処理部品で改修を行った」とノースロップは発表。.
  6. これでソルティ・ドッグ501と502はテスト業務から外れ、航空博物館送りとなるか航空宇宙メンテナンス・再生グループ(「機体廃棄場」)があるデイヴィス・モンタン空軍基地(アリゾナ州)に移動となるだろう。
  7. 両機とも設計飛行時間の20%しか使用されていないが、海軍は機体構造は今後登場する無人空母運用偵察攻撃機(UCLASS)と共通要素は少ないと見る。
  8. 「X-47とUCLASSの相違点を考えるとUCLASSのリスク軽減対策は巨額の事業になりそうだ」とB.V. Duarte デュアルテ大佐(NAVAIR PMA-268責任者、UCAS-DおよびUCLASS事業を統括)は語る。
  9. X-47Bはステルス設計で空中給油可能かつ機内ペイロードが大きく、海軍が当初構想していた海軍用無人航空戦闘システム (N-UCAS) を具現化し、敵地侵攻型機に近い。構想は2006年のQDR(四年ごとの国防整備計画)で最初に提示された。
  10. その後、海軍は目標を修正し、無人空母運用型偵察攻撃機 (UCLASS) にした。USNI Newsが知るかぎりこの機体はRAQ-25とNAVAIR内部で呼称されている。
  11. UCLASS検討の初期段階では空母打撃群に追加偵察能力 off-cycle surveillance capabilityを提供するが攻撃能力は限定的とし、しかも制空権が確保された作戦空域内での攻撃を想定し、空中給油能力は不要とされた。
  12. ただし、無人機全体の構成を検討する戦略的事業検討(SPR,スピア) が国防長官官房内で開かれ、UCLASSの最終構想は未決とされた。
  13. 議会内にはジョン・マケイン上院議員(共、アリゾナ州)やランディ・フォーブス下院議員(共、ヴァージニア州)のようrにUCAS-Dテストの延長を求める声がある。しかし、22日に議会スタッフによるとX-47Bテストは下院軍事委員会シーパワー兵力投射小委員会でも検討の対象に上がっていないとのこと。
  14. NAVAIRはUCAS-D事業はソルティ・ドッグ502がUSSジョージ・H・W・ブッシュ(CVN-77)への着艦に成功した2013年の時点で終了にする予定だったが、海軍上層部から空中給油テストを加えるよう求められた経緯がある。■

次世代戦闘機も有人機で考える米空軍の思考方向性は全無人機化めざす海軍と対照的に


無人機とくに自律飛行可能な無人機は有人機の代替となりうるのか。空軍は否定的です。一方、海軍は無人機をどんどん拡充する考えですが、対空戦闘は友人パイロットの世界と考えていることがわかります。ただし、ドッグファイトの機会はどんどん減っているのですが。議論が今後もひらがりそうですが、その間に技術はどんどん進歩していきます。現実的な議論が必要ですね。

Manned aircraft needed for future Air Force, as Navy moves unmanned

By Brian Everstine, Staff writer1:32 p.m. EDT April 22, 2015
攻撃用機材の全無人化をめざす米海軍には追随せず、将来も攻撃機材にはパイロットが必要と米空軍は考えている。
  1. 空軍でも遠隔操縦機さらに完全自律飛行可能な機材の重要性が増えるが、戦闘機パイロットを代替するものではない空軍参謀総長マーク・ウォルシュ大将がワシントンDCで4月22日語った。
  2. 発言は海軍長官レイ・メイバスからF-35Cが「海軍省が購入する最後の有人戦闘攻撃機になるのは間違いない」との声明が先週出たことを受けている。メイバスはドッグファイトに有人パイロットが必要でも攻撃ミッションには無人機で十分だとの考えだ。
  3. 海軍は無人機システム開発のピッチをすすめており、無人機担当部署に加え無人機を専門に見る次官補ポストを新設したばかりだ。
  4. 空軍が考える無人機の活躍分野に長距離飛行や長時間監視任務があるが、「パイロットの身体的限界は心配していない」とウォルシュは語る。RQ-4グローバルホークの活動範囲を広げる一方で、MQ-9リーパーの調達数を増やし、有人機のU-28AやMC-12リバティ監視偵察機を手放す検討中だ。
  5. 次世代ステルス爆撃機でも有人操縦は選択的になるはずだが、開発段階ではコックピットにパイロットが座る。
  6. ただしF-35は空軍にとって最後の有人戦闘機にはならないとウォルシュ大将は明言した。「空軍には一定の種類の機材が必要であり、なかでも有人機の有益度が一番高い」
  7. ウォルシュはパイロットの頭脳をセンサーと考え戦闘状況で極めて重要で無人機で替えることはできないという。
  8. 空軍は未来の戦闘機像を検討すべく次世代制空戦闘機事業 Next-Generation Air Dominance Programを立ち上げており、2030年代の航空戦の想定で、どの技術をどこまで進めるかを示すロードマップを作成する。
  9. 将来の無人機をめぐる見解の相違が空軍と海軍で表面化している。海軍作戦部長ジョナサン・グリナート大将はワシントンで2月4日にステルスは「過大評価気味」だと述べている。
  10. 「次期戦闘攻撃機が有人機になるか確信が持てない。ステルスが過大評価されているのはご存知のとおりだ。現実に高速飛行すれば大気分子が乱れ、熱発生も起こる。エンジンがどこまで冷却化できるかわからない探知は可能なのだ」
  11. 一方、空軍では戦闘部隊の司令官たちは将来の空軍戦闘機ステルスが「とても大切」な要素と同様に発言しており、機内に各種センサー、指揮統制機能を搭載することも重要だとしている。
  12. 「ステルス性はすばらしいが、ステルス以上のものもある」と航空戦闘軍団司令官ホーク・カーライル大将も2月に発言している。「融合機能がある。その他各種の性能がある。これもとても重要だ。ステルスだけが中心機能ではないし、今でもそうなっている」■

2015年4月22日水曜日

世界の軍事支出規模をマクロに見る:中国は日本の5倍強の規模


文中には出てきませんが、日本も上位10ヶ国以内に入ります。H26年度は4.9兆円ということですから全世界シェアでは2.2%相当です。これに対し中国は12%となり、グローバル超大国でもない中国がこれだけの支出を東アジア中心に展開したということの意味を理解しないといけませんね。軍事費の単純比較が意味がないとか、定義が違うとか理屈はいいのですが、これだけの差が開いていることを考えると東南アジア各国が中国に警戒心を持つのは当然でしょう。意外にロシアが少なくしかも増額する余地がないとの指摘には少し驚きますね。

China, Russia, E. Europe Boost Defense Spending

Agence France-Presse6:32 p.m. EDT April 13, 2015
Nanjing Marks 59 Anniversary Of Ending Kuomintang Regime(Photo: Getty)
STOCKHOLM — 中国とロシアで2014年の国防支出実績は大きく伸び、ウクライナ紛争がきっかけて東ヨーロッパ各国も自国防衛体制の整備に乗り出している様子がストックホルム国際平和研究所のまとめで判明した。
  1. 支出規模では依然として米国がトップだが、2014年の実績は6.4パーセント減だったのに対し、中国、ロシア、サウジアラビアが米国に次ぐ支出規模で、かつ三国の支出は増えている。
  2. 中国の支出実績は2,160億ドル(約26兆円)で9.7%増と推定される。.
  3. ウクライナ内戦のあおりでロシアから近い東欧各国はおしなべて国防予算を増やし国防体制を見なおしている。
  4. ウクライナは20%増の40億ドルに対し、ロシアは8%超増で845億ドルだった。
  5. ロシア政府は2015年は15%増を見込むが、経済不振で実現しないだろう。
  6. 西欧各国も米国同様に予算を削減している。.
  7. 米国が依然として最大の防衛支出規模を誇るが、2010年のピーク時に対して2割減っているとの平和研究所の報告だ。「ただし現状の支出規模でも2001年より45%多い」と指摘。
  8. サウジアラビアの17%増は「上位15ヶ国中で最も大きな伸び」と指摘。
  9. 石油収入で豊かな同国は地域内の大国である。3月26日より同国が主導する形でイエメンのフーシに対する空爆作戦を展開中。
  10. アフリカでも軍事支出が6パーセント近く増えており、その先頭が石油産出国のアルジェリアとアンゴラだ。
  11. 「世界全体の軍事支出はほとんど変化がないが、中東やアフリカは急速な拡充をはかり、経済負担のしわ寄せを生んでいる」というのが分析結果だ。
  12. 2014年の世界全体の軍事支出は1.8兆ドル(約216兆円)で前年比0.4%増だったと同研究所はまとめている。

2015年4月21日火曜日

速報>空母ロウズヴェルトがイエメン近海に移動しイラン船舶の武器搬入を阻止へ



US Carrier Sent to Yemen to Block Iranian Arms

By Tom Vanden Brook, USA Today3:05 p.m. EDT April 20, 2015
635651375347096592-17021946991-217d7d6ae1-k(Photo: MC Seaman Anthony Hopkins II/Navy)


WASHINGTON — 空母USSセオドア・ロウズヴェルトがイエメン海域に移動中だ。イランからの武器搬入を海上で阻止し、米国が支援するイエメン政府の転覆をねらう反乱勢力に武器が回らないようにする
ペンタゴン報道官スティーブ・ウォーレン大佐が発表した。同艦を中心とする部隊巡洋艦USSノーマンディ含みペルシア湾からイエメン近くへ移動した。イエメン国内はさらに不安定になっている。
ロウズヴェルトはイラン船舶がアデン湾に入ろうとするのを追跡補足できると匿名を条件で国防総省関係者が説明している。匿名はイラン船籍を狙うことを公の席で話す許可がでていないため。
ペンタゴンは先週からイラン船舶を追跡しているという。
米海軍はイラン船舶を妨害する準備に入ったと別の国防総省関係者も明らかにした。ロウズヴェルトの移動で開戦につながることはないものの大きな一手だとペンタゴンは見る。
フーシはシーア派であり、イエメン政府はスンニ派が独占している。イランはシーア派が中心の国家であり、フーシを支援してきた。これに対しスンニ派の各国はサウジアラビアやアラブ首長国連邦はじめ政権側を支援している。■

中国>S-400防空ミサイル導入で何が変わるか


長距離防空ミサイルの導入は他国の航空作戦への牽制効果がねらいでしょう。メッセージに注目すべきです。記事が指摘するように台湾が苦しい立場になりますが、日本も当然注視していくべき事態ですね。ロシアは防衛装備以外にめぼしい輸出工業製品がなく、このS-400も各国にこれから売り込みにかかるのでしょう。

S-400 Strengthens China's Hand in the Skies

By Wendell Minnick1:20 p.m. EDT April 18, 2015

635648131586430993-DFN-China-S-400(Photo: umnick/wikipedia)
TAIPEI — 中国はロシアと新型S-400対空防衛システムの導入で合意し、中国の防空体制はいっそう強固になると専門家は見ている。
  1. 射程400キロメートルではじめて台湾上空の飛行物体の撃破ができる他、ニューデリー、カルカッタ、ソウルも射程範囲におさめる。黄海や南シナ海の防空識別圏でも防御が固められ北朝鮮内のいずれの地点にも発射できる。
  2. 日本と対立が深まる尖閣諸島近くまで防衛空域を伸ばすことも可能と指摘するのは ワシリー・カシン Vasiliy Kashin (モスクワの戦略技術分析センター Centre for Analysis of Strategies and TechnologiesCentre for Analysis of Strategies and Technologiesで中国専門家)
  3. 中国が配備ずみのS-300の有効射程は300キロだが、台湾の北西沿岸部上空までしか射程におさめず、インドや韓国の首都は対象外だとアレクサンダー・フアン Alexander Huang (台北にある戦略軍事演習研究協議会 Council on Strategic and Wargaming Studiesの会長)は指摘する。S-400で台湾の防空体制が試される。
  4. 「新装備で中国は航空抑止力を増強でき各国とも中国領空近くでの作戦に一層慎重になるだろう」(フアン)
  5. 国営防衛装備輸出公団ロソボロネキスポートのCEOアナトリ・イサイキン Anatoly Isaikin が売却を4月13日に発表した。報道陣へはS-400に国際市場から引き合い多数があり、中国が初の海外顧客になると述べた。詳細は未発表だが正式契約は2014年末に結ばれているとカシンは補足し、4ないし6大隊分で総額30億ドルだという。
  6. S-400はミサイル迎撃にも利用できる。ロソボロネキスポートはDefense Newsからの問い合わせに答えていない。
  7. S-400導入は中国の防空・ミサイル防衛体制で正常進化とマーク・ストークス Mark Stokes(Project 2049 研究所専務理事)は語る。「どの型式が輸出される型式、配備地点がどこになるかも興味のまと」という。
  8. 台湾を挟みS-400が配備されると台はも非対称的能力の拡充に走り中国の防空体制の弱点を攻撃できる装備をめざすとストークスは見る。
  9. 台湾の国防部 Ministry of National Defense (MND) は今回の発表を平然と受け止め、台湾軍は慎重に観察していると報道官羅志祥少将Luo Shou-heは語り、ロシアと中国が密接な軍事協力を進めているのは承知という。
  10. 「新型装備の脅威に対抗するべくROC(中華民国)軍は脅威評価を終えており、対抗策の戦術戦略を調整済み」で飛行訓練も通常通り継続するという。
  11. カシンによれば中国は長距離防空ミサイル生産の体制を徐々に整えているものの、ロシアと開きが相当ある。中国製装備が海外市場でロシアに競り勝つことがあるが「性能より中国が提供する支払い条件や技術移転が理由」という。
  12. 中国がS-400をリバースエンジニアリングするのは疑いもない。S-300でも前例がある。だがリバースエンジニアリングは非常に時間を食うとカシンは指摘し、ロシアはすでに次世代のS-500の開発に取り組んでいるという。このS-500の生産開始は2017年と見られ、中国にS-400の供給を開始するのとほぼ同時期になる。■

2015年4月20日月曜日

ISIS,アルカイダ>テロ集団のフランチャイズ化が顕著に


米中軍事衝突が将来発生するかは予断を許しませんが、テロとの闘いは現実です。しかも下記事が指摘するようにフランチャイズ化しつつ要注意組織が広がっている事実は実に厄介と言わざるを得ません。人質交渉など相手側の期待する効果を一切排除し、冷淡と言われようが筋を貫く姿勢が必要なのでしょう。

Panel: ISIS, Al Qaeda Franchising Efforts Changed the Face of Terrorism

By: John Grady
April 3, 2015 12:22 PM

Members of the al Qaeda affiliated group al Shabab in Somalia in 2013
アルカイダ系集団アルシャハブの戦闘員たち(ソマリア、2013年)


アルカイダあるいはISISと連携していると称する集団がフランチャイズ化しているのが国際テロリズムで最大の変化点だと専門家二名が大西洋協議会で指摘している。.
  1. ジョージタウン大学で安全保障を専門とするブルース・ホフマンBruce Hoffmanによれば米国は2001年9月11日のニューヨーク及びペンタゴン攻撃のあと「アルカイダの成功に自らをつなげる」テロリスト集団多数の動きを把握できなかったと述べている。「今回も全く同様の誤ち」をボコ・ハラム(ナイジェリア)、アルシャハブ(ソマリア)ほかエジプト、リピアのISISとつながりがあると称する集団で犯していると指摘。
  2. 17もの集団が各地で活動している。ブルース・ライデルBruce Riedel はブルッキング研究所で情報関連事業の統括者で、ワシントンの聴衆に対して「数が限られているアナリスト、有限な無人機」をどこに配備すべきかと問題提起した。
  3. アルカイダは組織存続のため劇的な攻撃を仕掛ける可能性があり、ISISは迅速な衝撃を与える作戦を取ることが多いが、テロリズムは米大使館襲撃レバノン海兵隊隊舎爆破(1983年)で十分効果をあげられることを実証済みだ。実施しても失う代償はごくわずかだが、成功した場合の効果は大きく、海兵隊はレバノンからわずか数カ月後に撤退している。同様に2001年の同時攻撃に投じた50万ドルは米国の支出5兆ドルを呼んだ。ここにはアフガニスタン、イラクでの長期戦の経費を含む。
  4. ホフマンによればアルカイダを主導するアイマン・アルザワヒリAyman al Zawahiri が数ヶ月に渡り沈黙を保っているのはアルカイダが南アジアで支援拡大を図っているためだという。この南アジアとはインド亜大陸からミャンマー、インドネシアまでを指す。
  5. パキスタン海軍の誘導ミサイルフリゲートの乗組員、士官に潜入し艦を占拠し、各国海軍が海賊対策活動を展開中の海域に同艦を移動させ米海軍艦船を攻撃しようとして失敗した試み(2014年9月)では「空母を狙っていた形跡がある」とし、攻撃を実施していたらパキスタンと米国の海上戦に発展していた可能性を指摘。
  6. ライデルはCIA分析官の経験があり、こう発言している。「全体的なアプローチ」がテロリスト対策に必要だ。「大規模な武力が必要、無人機も必要、SEALも必要」だが、これに漸進的な改革を可能とする方策を組み合わせる必要があり、しかもその対象国は独裁者が君臨してきたような国であり、方策ではイスラエル・パレスチナ間のような「二カ国問題の解決」の真価が理解されるものでなければならない。
  7. ホフマンも「指導層の排除は失敗した」とし、テロリズムの勢いをそぐことができなかったとする。「もっと重要なのはインフラストラクチャーの劣化だ」とCIA、FBI、国家地理空間情報機関が脅威環境の変化に対応して来たことを指摘。
  8. 「時期尚早の勝利宣言は避けるべき」であり「アルカイダ消滅の宣言」も控えるべきとライデルは発言し、これは自分で自分を痛めつけるのと同じと指摘。
  9. 合衆国政府も一部で「アメリカが制御できない現象がある」ことは承知していると、ライデルはアラブの春の例を上げた。
  10. アラブの春が始まった段階では民主的政府誕生への希望的観測があった。しかし期待は新政府が頓挫し、その後の反動でエジプトのように政治経済の進展に反撥が生まれ、あるいはリビアのように国家体制そのものが崩壊した中で失望に変わる。.
  11. イエメン事案ではライデルはサウジアラビアが空軍力の限界に気づきつつあり、フーシ反乱勢力から領土奪回するとしてもイランの影響力排除で困難に直面していると指摘した。
  12. パキスタンはサウジ主導の作戦への地上部隊派遣に同意しなかったが、「エジプトを説得して」地上部隊の動員に成功する可能性はあるという。
  13. 即位したばかりのサウジ新国王への教訓は「開戦するのは簡単だが終結させるのは困難」ということとライデルは語った。
  14. 20ヶ月後には米国にも新政権が誕生するが、その門出に待ち受ける課題として、ISISがイラクでも地下に潜入するのか、有志連合が撤兵する条件はなにかを考えることだろう。
  15. NATOがアフガニスタンで展開した作戦はきわめて有益な効果を示し、各国の部隊を統合して戦闘条件に合わせたが、英国のように国防予算そのものが縮小され地上部隊が規模縮小している例があるとライデルは指摘した。
  16. 両名ともアメリカの対テロ防衛体制は9.11以降大幅に拡充しているとはいえ、詰めの甘い点もあったとテキサス州フォート・フッド基地での兵士銃撃事件、マンハッタンのタイムズスクエアでの爆弾未遂事件、ボストン・マラソンのゴール地点付近の爆弾テロ事件があった。
  17. ボストン事件の際は大都市圏での活動が制限された。「今だったらあれほど柔軟な対応ができるだろうか」とライデルはコメントしているが、この事件は2001年9月1日に3千名の生命を奪ったテロ攻撃とは規模が全く違うものだった。■

★海はもう広くない。CSBAが示す近未来の海上戦の様相



CSBAからまた刺激的な論文が出るようです。双方が互角の装備を整備して接近不可能な海域が増えると海洋の広さはどんどん縮小するというのは、一見すると海軍水上艦艇に未来がないように見えますが、実は兵力投射のプラットフォームとしての可能性をあらたに整備する方向性をあんじしているのではないでしょうか。 その意味でUCLASSは積極的な攻撃能力手段につながるのではないでしょうか。また度々ご紹介しているレーザーやレイルガンの技術開発にも新しい時代へ対応すべく海軍の展望がみえかくれします。 そうなると短距離しか飛行できず、かつ安全な陸上機地ないと使い物にならないF-35が太平洋で何ができるのか疑問ですし、その整備に巨額の予算をつかうことが費用対効果で大きく疑問になってくるでしょうね。むしろこの論文が議論の口火を切ることが期待されますし、それが自由な意見を自由に主張できる米国の強みですね。

No Man’s Sea: CSBA’s Lethal Vision Of Future Naval War

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on April 13, 2015 at 4:25 AM
CSBA graphic of a future war at sea.
WASHINGTON: もはや海は広い舞台ではない。ミサイルが有効射程を伸ばし精密度を上げ、センサー類の感度が向上し艦船に隠れる場所がなくなってきた。「要塞に発砲する軍艦は愚か」とは昔からの海の諺だが、陸上基地は弾薬量や防御力で海上艦艇より優位と言う意味だ。艦隊を陸上配備兵器の射程範囲に近づけるのを喜ぶ司令官はいない。だが、米海軍は新世代の兵器が配備される中で何百何千マイルも離れた海上に残れるのか。
  1. これがアンドリュー・クレピネヴィッチ Andrew Krepinevich がまもなく刊行される研究論文Maritime Competition In A Mature Precision-Strike Regime.「成熟した精密攻撃態勢の下での海洋覇権」(Breaking Defenseはクレピネヴィッチから同論文の写しを事前に入手し、本人へ直接質問をすることができた)の中心課題だ。クレピネヴィッチが率いるシンクタンク戦略予算評価センター Center for Strategic and Budgetary Assessments (CSBA)はこれまで接近阻止領域拒否anti-access/area denial (A2/AD)やエアシーバトルのコンセプトを生んできた。これらは中国他の勢力を遠距離から抑え込むのが目的だ。新しい論文では従来の研究成果をもとに双方が広域ネットワークで同等のスパイ衛星、無人機、爆撃機、ミサイルを整備した世界を想定し、論文の題名である「成熟した精密攻撃態勢」の意味が出てくる。
  2. 海戦も大きく変わる。陸上装備が艦隊に大きな損害を与えるので、もはや海戦とはいいがたい。(そのため論文では海洋、の語句を使っている。) 第二次大戦ではミッドウェイで日米が空母部隊で索敵に広い太平洋で苦労した。地中海では枢軸側と連合国側の艦船は簡単に発見され、陸上基地からの爆撃で大損害を受けた。現在の技術で太平洋は地中海の大きさに縮小されるといってよい。
  3. 「第二次大戦の地中海ではこういう接近できない地帯が生まれ、水上戦の支障になった」とクレピネヴィッチは語る。「精密攻撃手段が成熟化し大洋は地中海の大きさに縮む」
  1. クレピネヴィッチ予測では接近阻止領域拒否地帯が大洋に広がり、アクセス不可能な領土や海域が増え、双方にとってこの地帯では深刻な損害を覚悟しなければならなくなる。これまでの海軍作戦では自由航行が当然だったが、海洋の大部分が事実上通行不可能な危険地帯になる。対立する諸国が極めて近接している例として、日本・韓国・台湾が中国に近く、湾岸諸国もイランのすぐそばにあるが、バルト海諸国もロシアに近く、小国だと国土全体が危険地帯に入る。米国の同盟国が封鎖を受け、直接攻撃を受けるか包囲される可能性を想定すると救援に駆けつける米軍部隊もさながら第一次大戦の西部戦線のような海洋上の最前線を突破しないと到着できなくなる。
  2. 「例えば台湾の援護が必要になり、十分な事前準備ができない場合は重要な利害対象国である台湾を失うか、自軍部隊に高い損耗を覚悟するかのどちらかになる」(クレピネビッチ)
  3. 危険地帯を無事に突破できるだろうか。第一次大戦の現場指揮官と同じく、各種の新規手段を組み合わせて(英軍の場合はタンク)、戦術も組み合わせ(ドイツは突撃部隊)、多様な方法が考えられるとクレピネビッチはいう。
  4. 一番簡単なのは現地派遣をあきらめることだ。逆に敵を封鎖し、敵を自軍が設定した危険地帯へおびき出す。巧妙に敵に協力させることだ。「オフショアコントロール」構想では中国の長大な貿易海上ルートに着目し、中国から遠く離れた地点を封鎖し、輸出をまひさせ中東産原油が中国に届かなくすればよいと海兵隊退役大佐T.X.ハマーズ T.X. Hammesがエアシーバトルの代替策として提唱している。時間があればこの構想はとても魅力的だとクレビネヴィッチも認める。しかし米国の同盟国が敵の有効な射程範囲で身動きが取れなくなった場合(例 日本)では遠隔地の封鎖をしたところで肝心の同盟国が長く持たない。
  5. 反対にもっと積極策が考えられる。米軍の弾薬備蓄は長く維持できないかもしれない。ハイテク装備を有する敵との交戦はミサイル、無人機、有人機を消耗する。当然人員の損害も想定する必要があり、損耗率はこれまでのリビア、アフガニスタン、イスラム国相手の場合よりはるかに高くなる。いまでさえ米軍司令官は精密兵器の在庫が少ないことに危機感を持っており、米国では高性能兵器を迅速に生産できない。
  6. 「中華人民共和国と交戦した場合は弾薬類の補充生産はおろか主要装備品の増産は不可能だ」とクレビネヴィッチも認める。「そこで中国の立場で見れば、石油数カ月分の備蓄を前提に作戦立案すればよい。長期的視野にたてば中国は備蓄をするかパイプラインを陸上に構築すればよいことになる」
  7. 石油備蓄の方が精密兵器の備蓄よりずっと容易だ。もし中国等敵性国家がわが方の弾薬を使い果たすことに成功できるのなら、逆にわが方も相手の備蓄を使い果たすことができるのではないか。IPhoneの時代の技術で高性能ミサイルも低価格化できるはずだとクレピネビッチは指摘する。ただし長距離兵器ではそうはいかない。大国といえども強力な兵器の配備数には限りがあるということだ。
  8. 敵の武器備蓄を使い果たす方法としてむだな発射をさせることがあり、おとり、電子戦、敵ネットワーク侵入でありもしない目標を生み出す。反対に実目標に敵が発射してきたら飛んでくるミサイルを撃ち落とすのが効果的だ。これはミサイル防衛の課題であり、高価格の迎撃手段を有する艦船も搭載可能ミサイル数はごくわずかだ。レーザー兵器あるいは電磁レイルガンなら安価にミサイルに対抗でき、敵に高価なミサイルを使い果たさせられる。
  9. 長距離ミサイルだけが貴重な装備ではない。長距離センサーも目標探知に必要だ。衛星はどんどん脆弱化しており、直接攻撃手段としてのレーザー目くらましや関節攻撃としてのハッキングで地球へのダウンリンクが狙われる。あるいは小型爆発物で地上の管制施設が狙われるかもしれない。宇宙がだめなら、高高度飛行無人機を偵察と通信中継に使えばよいとクレピネビッチは説く。だがこの無人機も高レベルの自律性能で飛行できないと長距離データリンクが敵に狙われるとクレピネビッチは指摘する。
  10. 総じて無線ネットワークが大きな標的になる。サイバー諜報活動はかつてのナチや日本の暗号解読(ウルトラおよびマジック案件)の事例のように重要になるかもしれない。サイバー攻撃で偽データを配信するとか敵の中核システムを大事な時に使えなくさせることができよう。しかしこの種の戦闘には多くの不確定さがついてまわるのでクレピネヴィッチも注意するよう発言。
  11. 「ある程度までサイバーは20年代あるいは30年代の航空戦力と同じ位置づけです。重要だとわかっていても実際にどのように重要なのか誰も理解できていなかったのです」
  12. ただし航空戦力の場合は実際に撃ち合いが始まれば不確実性は急速に消えた。撃墜される機体が目に見えるし、都市は火に包まれた。サイバー戦や電子欺瞞作戦では攻撃する側、防御する側ともに目には見えない。敵が長距離ミサイルの発射を中止した時点で備蓄がなくなったのかわが方のサイバー電子攻撃で発射できなくなったのか、あるいはわが方がもっと近寄るのを待って発射しようとしているのか見極められない。
  13. 最終的に米軍部隊は接近せざるを得ない。ただし敵が長距離兵器を使い切った場合に限るが。では21世紀の危険地帯で生き残りができる部隊とはどんなものなのか。クレピネヴィッチはステルスは依然として重要だと見るが、今後もセンサーの性能向上とビッグデータの解析で挑戦を受けるだろう。潜水艦や陸上配備爆撃が中心的な精鋭部隊になるだろうとする。その補強に長距離陸上発射ミサイルが使われる。
  14. ということは水上艦艇には大きな役割は期待できないということで、現時点でも航空母艦は大きな目標にすぎないといする。潜水艦より目だち、脆弱性もあるが、水上艦のペイロードあたりの建造コストは低いが強力な火力を提供する。だが重要な問題点はそのペイロードだ。クレピネヴィッチも空母から反撃できないほどの長距離から空母を狙う巡航ミサイルを潜在敵国が発射できると指摘している。(この場合空中給油は危険すぎ選択肢に入らない) そこで長距離空母艦載機(有人である必要はない)で海軍の主力艦の威力を保つことになるのだろう。
  15. クレピネヴィッチは軍事上の革命的な進展は末端から始まることが多いと指摘し、従来通りの装備が大部分の中で最新鋭装備は少量ではじまることがあるという。これは軍の予算とも関連がある。電撃戦を展開したドイツ軍も当初は戦車よりも軍馬が引く車両のほうが多かったのだ。1941年12月7日時点の米海軍では戦艦の方が空母より多かった。攻撃を生き残った戦艦には対空砲を追加装備し、その後は空母を護衛する役割にまわった。新技術は比較的わずかでも新戦術に応用されると決定的な違いが生まれる。ここでもどの新技術、新戦術を重視するのかということだ。
  16. 議論に火がつけばクレピネヴィッチとしても嬉しいという。
  17. 「現状はバージョン1.0という段階」と報告書に記述。「いまのところこれが最良の予測であり、現在の傾向をもとにしたもの」というが、変動要因は非常に多く、これまでの軍事史上で経験がないほどの多さだという。とはいうものの、「それでもこのほうがよい。なぜなら今のまま未来に突入するよりも何かを失った方がよい」
  18. これは「対話の始まりを示すものであり、終わりではない」とクレピネヴィッチは指摘した。



2015年4月19日日曜日

★★ 米海軍>新型DDG-1000にレイルガン搭載 テスト計画も明らかに



「defense tech」の画像検索結果これも海軍の技術革新を象徴する兵器ですね。日本語ではずっとrailをレールとしてきましたのでレールガンとするのが多いと思いますが、当ブログでは二重母音のレイルとしています。なるべく原語に近いカタカナ表記にすることですこしでも意思疎通を楽にしたい=二つの表記を覚えるより経済的というのが当方の主張です。あしからず。それはともかくこれまでの海軍砲術の常識を塗り替える新しい手段がもう少しで実用化されそうです。

Navy Will Test its Electromagnetic Rail Gun aboard DDG 1000

by KRIS OSBORN on APRIL 15, 2015

DDG1000

電磁レイルガンをハイテクの塊DDG-1000新型駆逐艦に2020年までに搭載すると米海軍が発表した。
  1. DDG-1000級の統合発電システムで大量の電力が使えることで、レイルガンの使用が可能となると、マイク・ジブ大佐Capt. Mike Ziv(指向性エネルギー・電力系兵器システム開発担当)が報道陣を前に述べた。DDG-1000級駆逐艦は三隻建造され、一号艦ズムワルトは昨年4月に命名されている。
  2. ジブ大佐によるとDDG-1000はレイルガン搭載の条件を満たすが、追加検討がリスク対策で必要だという。検討内容は相当大規模で今年いっぱいかかるという。
  3. DDG-1000は総排水量は15,482トンで現行のイージス巡洋艦(9,500トン)より65パーセントも大きい。
  4. 統合発電システムを用い同艦は電気推進式を採用し、発電容量は58メガワットで将来のレイルガン使用にも十分耐えられる。
  5. 将来はDDG-51アーレイ・バーク級駆逐艦にもレイルガンが搭載される可能性があるが、LCSは想定外とジブは付け加えた。
  6. 一方で海軍は電磁レイルガンの海上試射を2016年から実施する予定で、USNSトレントンTrenton(共用高速艦艇Joint High Speed Vessel)を使う。,
  7. 試射の標的は海上のはしけで距離は25ないし50カイリをとる。
  8. 「はしけを標的にし、水平線越しの標的にどこまで効果を発揮できるかを見ます。段階を追ってテストを続け、データを集めます。大きな出来事になるとともに学びの機会にもなります』(ジブ)
  9. 米海軍はレイルガンを水上使用以外に陸上攻撃も想定し開発を進めている。レイルガンは誘導高速発射体を100マイル以上先に飛ばし、弾道ミサイル防衛や水上戦でも有効性が期待される。
  10. レイルガンの原理は電気エネルギーで電磁場を形成し、発射体を前に押し出し、マッハ7.5で目標に向かわせるもので、巡航ミサイル、弾道ミサイルにも有効。
  11. 作動には電荷でパルスを連続発生することが必要で、コンデンサで強力なエネルギーを瞬時に発生させる。想定される電流は3百万から5百万アンペアで、10ミリ秒で1,200ボルトを放電するのと同じになる。これで45ポンドの物体を静止状態から時速5,000マイルに百万分の1秒で加速する、とジブは言う。
  12. 超高速発射体は運動エネルギー弾頭が装着し爆薬類は必要がないためコストが下がり、兵站業務も軽減されるとジブは述べた。発射回数は一分間に10発。秒速2,000メートルと現行の通常兵器の速度の3倍に達する。
  13. 巡航ミサイルの迎撃も可能な超高速発射体は艦内に大量に搭載可能だ。ミサイルとお大きな違いは価格で超高速発射体一発は25千ドルになる。
  14. 現在は固定目標、静止目標にGPS技術で発射体を誘導する構想だが、将来においては移動目標の攻撃にも投入可能、とジブ大佐は述べた。■


2015年4月17日金曜日

中国がスプラトリー諸島で滑走路を建設中と衛星画像で判明


中国は力づくで現状変更に向かっているようです。これを止める力はどこにもないのでしょうか。誠に歯がゆいことですが、せめて宇宙から監視の目があることが救いでしょうか。

China's first runway in Spratlys under construction

James Hardy, London and Sean O'Connor, Indianapolis. Additional reporting by Michael Cohen, Manila - IHS Jane's Defence Weekly
15 April 2015
  
Airbus Defence and Space imagery shows changes to Fiery Cross Reef observed between February and March 2015. Noteworthy is the beginning of airfield installation in March, and the relocation of some dredging activity out of the harbour. (© CNES 2015, Distribution Airbus DS / Spot Image / IHS) 1569026
要約
  • エアバス・ディフェンス・アンド・スペース提供の衛星画像で中国がスプラトリー諸島のフィアリークロス礁の埋立地に滑走路建設を開始したと判明
  • 画像からスビ礁でも人工島を建設中で滑走路建設に向かう可能性があるとわかる
中国がスプラトリー諸島で初の滑走路建設を開始しているとIHS Jane’sがエアバス・ディフェンス・アンド・スペース提供の衛星画像(3月撮影)を解析してつきとめた。
3月23日撮影の画像ではフィアリークロス礁の北東部で長さ503メートル幅53メートルの舗装部分が確認できた。フィアリークロス礁は中国が2014年から島変換工事を開始している。舗装など地面整備も始まっている。また400メートルx20メートルのエプロンの舗装も実施している。
Airbus Defence and Space imagery shows runway construction underway at Fiery Cross Reef. (© CNES 2015, Distribution Airbus DS / Spot Image / IHS) 1569027 Airbus Defence and Space imagery shows runway construction underway at Fiery Cross Reef. (© CNES 2015, Distribution Airbus DS / Spot Image / IHS) 1569027

同時に撮影された画像では中国はスビ礁で2番目の滑走路を建設しているようだ。
フィアリークロス礁での島形成工事で3,000メートル滑走路を設置するスペースが生まれている。人民解放軍空軍の中国本土基地と同等の規模となる。
パラセル諸島のウッディー島ではすでに2,300メートル滑走路があったが、改修工事が2014年に始まっていることが衛星画像で確認され、ここでも3,000メートル級の滑走路に拡充するようだ。
フィアリークロス礁を撮影した3月23日画像では島になった南西部で浚渫工事が確認されている。また浮体式クレーン複数で港湾建設をしていることがコンクリートブロックが多数設置されていることでカクンできる。
エアバス画像ではスビ礁で2月6日と3月5日撮影画像で埋立工事の進展がわかった。2月6日画像では3つの島が形成されている。3月5日までに少なくとも浚渫船9隻で陸地部分がサンゴ礁の上に形成されて、つながることで3,000メートル級滑走路が後日建設できるようになる。
フィアリークロス礁はスプラトリー諸島で西側に位置する。スビ礁は北側になり、パグアサ島からわずか25キロしか離れていない。パグアサ島はフィリピンが実効支配中。■