2016年5月4日水曜日

★オーストラリア潜水艦選定>浮かれるパリ、一方で豪州には早くも心配の声、日本は何を学べたか



今回の商談の結果についてはこれから各種の分析が出てくると思いますが、とりあえずオーストラリア側とフランスからの発信が目立ちます。たくさん経験を積むのはいいのですが、方向性を持たずにたくさん鉄砲玉を打っても効率が悪いですね。商談に勝つことの難しさは皆さんの方がよくご存じでしょう。当面はインドとのUS-2商談の行方が注目ですかね。

「defense news」の画像検索結果Australia’s Submarine Decision: Concerns Down Under, Celebrations in Paris

Nigel Pittaway, Pierre Tran and Christopher P. Cavas, Defense News4:12 p.m. EDT May 2, 2016

Australian Sub Turnbull(Photo: James Knowler/AFP/Getty Images)
オーストラリアが次期潜水艦12隻建造でフランス大手DCNSを選定したのは外部でも大きな驚きを呼んだ。事業規模は500億オーストラリアドル(380億ドル、332億ユーロ)でドイツのティッセンクルップ・マリンシステムズ(TKMS)と日本政府が受注でしのぎを削っていた。
  1. マルコム・ターンブル首相が4月26日にフランス案の優位性が「明白」と述べるとパリではシャンパン瓶が次々と開けられたがオーストラリアでは政治観、評論家が選定を巡り意見を戦わせていた。
  2. 「疑いの余地ない結果として国防省から提言が届いた。三案はいずれも優れた内容だった」(ターンブル)
  3. 日本には失望の結果となった。もとはといえばトニー・アボット前首相自らが日本に参加を求め、当時のオーストラリア報道では首相のお墨付きとまで報じられていた。
  4. オーストラリア戦略政策研究所の上級研究員アンドリュー・デイヴィスは「わが方の首相から安倍首相へ電話で伝えたとしているが、これで当面は豪日関係は冷たくなるだろう」と見ている。
  5. 「決定そのものは悪くないと思う。どの案でも優秀な潜水艦になっていたはずだ。三カ国が競い合うのは極めて恵まれた環境だ」とデイヴィスは述べた。
French President Francois Hollande holds up a model選考に残ったフランス潜水艦の模型を掲げるフランス大統領フランソワ・オランド。DCNSのパリオフィスにて。4月26日。左はジャン・マルク・アイロー外相とジャン・イヴ・ルドゥリアン国防相。右はDCNSのCEOエルヴェ・ジロー(Photo: Christopher Petit Tesson/AFP/Getty Images)
  1. パリでは同日にフランソワ・オランド大統領自らはDCNSを訪問し、ロビーでシャンパンをふるまいながら演説をしている。関係者の手を握りながら一般社員の手まで握るという予想外の振る舞いに出た。
  2. 「これは歴史的な事業で史上最大の武器輸出案件になった」と大統領府は声明を発表し、選定は当然である、何故なら両国関係はこの50年で「戦略的段階」まで進展したと述べている。
  3. フランスが期待する事業量は170億ユーロ(195億ドル)と国防相ジャン・イブ・ルドリアンに近い筋の話として週刊誌ルポワンが報じている。ロイターは80億ユーロとこれと異なる金額を報道している。
  4. DCNSの株式35%を保有するタレスにも朗報となった。タレスは10億ユーロ(12億ドル)の売上げを期待し、一隻あたり1億ユーロ相当をソナー、電子戦装備、潜望鏡等で売り上げる。
  5. 次は設計契約の交渉とDCNS副社長マリピエール・バリエンクールが述べ、2017年早々に締結を期待している。
  6. その次は装備品の選択だ。仕様で米戦闘システム統合企業と米製兵装が求められている。報道ではレイセオン、ロッキード・マーティンの二社が入札の準備中で、オーストラリア海軍駆逐艦でロッキードはイージスシステムレーダーを、レイセオンがシステム統合の実績がある。
  7. 米製戦闘装備の搭載がオーストラリアで建造する理由で、機密技術がからむためとロビン・レアード(コンサルタント企業ICSA)が解説する。タレスのオーストラリア法人にとってDCNSとならび米企業と連携して作業を進めるよい機会になるだろうとレアードは見る。
  8. ただDCNSに米企業と組んだ経験がないことが懸念材料だ。また米企業秘密をどう守るかという点もある。
  9. 「米海軍はどの案が採択されても知財面の影響を検討済みと思います」と語るのはガイ・スティット(AMIインターナショナル)だ。「オーストラリアは米知的財産を保護できる仕組みを整えています」
The DCNS Shortfin Barracuda Block 1A design is a conventionally-poweredDCNSのショートフィン・バラクーダ・ブロック1Aは通常型動力推進で、フランスの原子力潜水艦スフラン級が原型。 (Photo: DCNS)
  1. オーストラリア政府は12隻全部をASCが南オーストラリア州アデレードで建造すると確認しているが、南オーストラリア州へは国内から批判も生まれている。政府調達の艦船の大部分を同州が建造しているという意見だ。たしかに同州アデレードにあるASCでは2020年から次世代フリゲート艦の建造も始まり、遠洋哨戒艇OPVs12隻の建造が2018年開始となる。ただしOPV建造はその後西オーストラリア州へ移管し、フリゲート艦の建造をすすめる。
  2. 潜水艦建造のスタートは2022年か2023年になると国防省報道官は言うが、このまま実施は難しいとの見方が早くも出ている。建造が遅れれば、既存コリンズ級を改修しつつ新型潜水艦の就役を待つことになる。
  3. 「2022年は希望的すぎますね。OPV建造が2018年から次世代フリゲート艦が2020年と決まっていますからね。これだけでも相当の作業量であり、技術面、施設面で手一杯というところですから」とデイヴィスは指摘する。
  4. 特に一号艦の建造は簡単ではない。「初号艦の海上公試は2028年ごろ、就役はその二年後の2030年でしょう」とデイヴィスは見る。「建造開始から海上公試までが四年間とすれば開始が2024年になってもおかしくない」
  5. ターンブル首相はオーストラリア国内でまず1,100名が直接関連し、間接サプライチェーン含めると1,700名分の仕事が生まれると述べている。波及効果はフランスの方が大きい。DCNS広報によれば協力企業含み4千名分の雇用につながるという。
  6. 日本にとって今回の敗退は学習の機会になるとの見方が多い。フランス、ドイツともに海外の防衛需要で納入実績がある中で、日本にとって初の挑戦となった。武器輸出を自ら禁止してきたのだ。日本には優秀な装備も他にあり注目も集める一方、自信過剰な態度が時として顕著に出ていた。
  7. 「初挑戦の日本は教訓を多く得たのではないか」とスティットは見ている。日豪関係には独特の側面があり、安倍政権としても潜水艦商談を特別扱いしyていたとスティットは見る。
  8. 「日本が今後世界を相手に商売するつもりがあるのかわかりません。日本も次回は完成品輸出をいきなり提案する前にもう少し現実的に成約できそうな商談にもっていくのではないでしょうか」
  9. それでも日本はあきらめず世界の防衛需要に焦点を合わせているようだ。「三菱重工の営業報告2015年版では国際防衛市場の拡大に着目していますね」(スティレット)■


★GW特集 オサマ・ビン・ラディン強襲作戦の裏側、七つの新事実



世界はどんどん進展しているのに日本は平和なことに連休です。連休中は少し軽めのニュースもお送りしましょう。第一弾はオサマ・ビン・ラディン強襲作戦の裏側です。

7 New Details About the Osama Bin Laden Raid


Yesterday at 10:01 PM


西側世界で最も嫌悪されたテロリストがパキスタン・アボターバード強襲作戦で殺害されて五年たったが、新事実が浮かび上がってきた。ツィッターによるリークからオサマ・ビン・ラディンの五番目の妻の予想外の行動まで強襲作戦の七つの驚くべき超現実的な裏側を紹介する。

1. シチュエーションルームの食事はコストコのサンドイッチだった

大勢に食料が必要な時はまとめ買いが一番だ。 (Photo: Pete Souza, White House)

作戦の実況を見ようとシチュエーションルームに上級指導層が集まると、ホワイトハウスは画面を見ながら食べれるメニューとしてコストコのサンドイッチが最適と判断した。海軍SEALチームのロブ・オニールもオサマ・ビン・ラディンの遺体横でサンドイッチを食べたと伝えられる。

2. ツイッターが強襲作戦を最初にリークしていた


ソハイブ・アタールはアボターバード在住のIT専門家でヘリコプターのホバリング音を聞きつけ、ツィッターに書き記すことにした。まさかもっとも悪名高いテロリストの殺害を狙った強襲作戦を実況で伝えていたとはつゆ知らなかった。

3. オサマ・ビン・ラディンのポルノ収集はテロ集団のお約束通り

強襲作戦を詳しく伝えたニューヨーカー誌によればオサマ・ビン・ラディンが集めていたようなポルノはテロ集団強襲作戦でよく見つかるという。特殊作戦部隊の将校によれば「みんな持ってますよ。ソマリア、イラク、アフガニスタンどこでも同じです」と述べている。

4. 極秘ヘリコプターは最初はハンマーで破壊された

強襲作戦で墜落したヘリコプターの尾部 Screenshot: YouTube/CBS News

作戦中に墜落したヘリコプターでは予行演習時と現地の温度差も一因と言われる。温度差により揚力喪失が早まり、ローターが乱気流を生み墜落した。パイロットは巧妙に制御して機体を墜落させてから極秘部分の破壊を始めた。最終的にテルミット他焼夷弾で破壊する予定だったが、まず機内にあらかじめ搭載してあったハンマーが使われた。

5. ビン・ラディンの妻の一人は汚い言葉を終始口走っていた

ニューヨーカー記事にある証言によればオサマ・ビン・ラディンの妻がSEAL隊員を攻撃しようとしていたという。ビン・ラディンがこの妻の背後に隠れると別の妻アマル・アルファタが米軍兵士を狙う動きに出た。この女性は一撃で倒されたが絶命せず、残り生存者とともに中庭に集められたがアルファタは大声でヘリコプターを焼き撤収を始めるアメリカ人を侮辱していた。

6. 大統領はSEAL軍用犬に作戦終了後に面会したがシークレットサービスが予防措置を講じた

強襲作戦に参加した軍用犬カイロはシェパードの一種ベルジアン・マリノワ (Photo by Tech. Sgt. Jeff Walston)

バラク・オバマ大統領はフォートキャンベル(ケンタッキー)でSEAL隊員他関係者と会見したが、SEAL軍用犬だけはシークレットサービスの要請で隣室に閉じ込められていた。大統領は軍用犬にも会いたいと伝え会見したが犬には口輪を付けられていた。

7. だれも巻尺を持参せずSEAL隊員が遺体脇に寝そべりビン・ラディンの身長を測定した


殺害したのが本当にオサマ・ビン・ラディンなのか確認する決め手は身長だった。ビン・ラディンの身長は6フィート4インチから6フィート5インチだったが現場でだれも巻き尺をもっておらず、結局ひとりのSEAL隊員が遺体脇に横になった。その隊員が身長6フィートとも6フィート4インチと報道は一定ではないが遺体がビン・ラディンの身長に符号すると判断された。最終的にはDNA判定で遺体は本人のものと判定されている。■


2016年5月3日火曜日

中国の言論思想戦に対抗せよ 米議会に超党派法案提出


表向きは各国になっていますが、提出法案が中国に照準を合わせているのは明白です。言論の自由を盾に好き放題されることに我慢できなくなったというのが米国の心ある人たちの心情でしょう。一方、日本はどうでしょうか。いまだに能天気なイメージを中国にもつ議員もおり、非暴力の侵略や情報戦が日本に仕掛けられているという理解は低いのではないでしょうか。米議会でのこの動きには注目する必要があります。

Congress Attacks China's Propaganda Machine

CLAIRE CHU
Thursday at 11:16 PM
米議会にロシア、中国の宣伝戦や「情報操作作戦」に超党派立法で対抗する動きが出てきた。
  1. 2016年度情報戦対策法Countering Information Warfare Act(S.2692)が3月16日米上院へ提出され、外交委員会が審議中だ。提案したのはロブ・ポートマン議員(共、オハイオ)とクリストファー・マーフィー議員(民、コネティカット)で外国によるプロパガンダ活動や虚偽情報活動への対抗策を狙う。
  2. 法案の認識はロシア連邦や中華人民共和国含む外国政府が高度手段で総合的かつ長期的な活動を展開し情報操作や統制で自国の目標を追及しており、米国同盟各国の利益や価値観を踏みにじっているというもの。ロシアのプロパガンダに対抗する法案なら米国にこれまでもあったが、中国の活発な情報工作を対象とした法案はこれがはじめてだ。

  1. 人民解放軍(PLA)は心理戦、報道戦、法律論争を組みあわせ、情報工作の要素を加えて敵の情報統制機能を混乱させる(自国の機能は保全する)だけでなく国内外の意思決定に影響を及ぼす事を狙っており、これを軍事作戦の支援機能と位置付けている。情報工作は技術面で優れた米国のような敵の力を削ぎ、通常の軍事対立の範囲以上の効果を期待する。中国の伝統的な戦略では非暴力で勝利をおさめ戦闘せずに敵を屈服させるのが理想だ。
  2. 米国が高性能でネットワーク化された情報インフラに依存していることを考えると中国が米国を標的にして政治思想面で情報操作をめざしていること、前例のない手段を講じていることは国家安全保障上の脅威と政府は受け止めている。中国は各国で国営メディア放送を展開しているほか、新聞各紙に有料広告を掲載し中国共産党の一党支配と軍事作戦で理解統制を図ろうとしている。ここにきて海上での事件や軍事演習が目立つが、米側同盟国間に亀裂を入れ、アジア太平洋での米プレゼンスの正当性を損なうのが目的と見られる。
  3. 大西洋協議会での講演でポートマン議員は次のように述べた。「中国は巨額の予算を投じて海外宣伝活動を展開している。南シナ海埋立ては情報操作で主導権を握る例の一つで、米国や同盟各国の虚を突いて対応が間に合わないうちに実施している」
  4. ペンタゴンも中国が情報戦能力を拡充しているのを十分認識しているが、情報戦の脅威に対抗できる全体戦略を立案調整する組織が米政府にないのが事実だ。省庁横断のチームが実態をチェックしているに過ぎない。ソ連の偽情報宣伝に対抗するため発足した作業部会が数少ない成功例だ。省庁横断の調整機能が欠如していることが米国で悩みの種で、前例のない脅威へ対抗するしくみも不在である。連邦政府の機構はあたかも昔話の盲人の群れのようで国防戦略立案の仕組みが象といったところか。
  5. これに対して中国は総参謀本部が一般省庁に加え空軍、海軍、戦略ロケット軍、ならびに各軍区と連携する仕組みを正式に発足させている。PLAは党所属の国家組織であり、それとは別に一般市民やビジネス界に影響力を直接伝える各種手段との連携も生まれている。

  1. これに対抗する2016年度情報戦対策法では情報分析対応センターの設立を求めており、ここで国家戦略を立案、統合、調整し外国による対米情報工作を解明し対抗しようとする。同センターは国務長官のもとに発足させ、国防総省や各州の放送委員会とも積極的な調整連絡を行う。さらに運営委員会を作り、諮問機能を期待し、各省庁や統合参謀本部、米国際開発庁(USAID)から代表を集める。
  2. 中国による情報戦の戦術、技術、手法の解析を支援すべく議会は予算20百万ドルを国務長官に2017年度2018年度通じて供託する。この予算で同センターを運営し、民間団体、学術団体、研究開発機関他への助成金で米国の利益にかなう調査研究を進める。
  3. アジア重視政策にもかかわらず、伝統戦術に現代的な思考を組みあわせて作戦立案をするPLAに対して米政府は総合戦略をまだ確立できていない。そのため中国の軍事戦略の研究活動は不正確な結論しか出てこないとされる。「建設的関わり合い」に30年もの期間を費やして情報戦対策法の様な立法で知的基盤づくりを進め中国共産党の進める通常と異なる軍事戦略教義の理解と対抗策を講じることしかできないのだろうか。■


本稿はNational Interestに最初に掲載された。
本稿の著者クレア・チューはProject 2049 Instituteの研究生で、アメリカン大学四年生。専攻はアジア太平洋における米国防体制および域内の安全保障論の研究。中国による政治戦についてツイッター@clairejchuで #InfluenceOpsとして分析を試みている。

Image: Wikimedia Commons/David Pursehouse. CC BY 2.0.

2016年5月2日月曜日

米サイバー軍はISISの指揮命令機能、財務機能をどう攻撃しているのか




ISIS向けサイバー作戦は相当の効果を出してきたようです。当然相手方も防衛対抗措置を取りますので、当面はいたちごっこでしょうか。でも資金源の遮断が効果を挙げれば活動も低調になっていくはずです。イスラムの教義でまとまった組織というよりも金銭でつながった利益集団と見るほうが正しいのかもしれません。

The Cyber Threat: Cybercom’s War on ISIS

May 2, 2016 5:00 am

cyber
アシュトン・カーター国防長官と統合参謀本部議長ジョセフ・F・ダンフォードJr海兵隊大将 / AP
     
ペンタゴンが秘密のうちに実施中のイスラム国へのサイバー戦で追加情報が浮上した。
  1. アシュ・カーター国防長官とジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長が米サイバー軍の作戦内容について質問を上院公聴会で28日受けた。
  2. 「目的はISILの指揮統制機能を妨害し、資金移動を妨害し、地元住民を恐怖で統治するのを妨害し、外部から戦闘員を募集するのを邪魔すること」とカーター長官は述べ「このすべてでサイバーを利用して実施中です」
  3. ダンフォード議長からは「仮想隔離状態を作り出そうとしています」「地上作戦を補完し、特にISILが外部各地で展開を狙う作戦を対象にしています」と発言。
  4. カーター長官は米国と有志連合軍の空爆作戦の裏でシリアとイラク国内でサイバー攻撃を行っていると述べた。「感触ですが直接の効果が生まれています。空爆と並行してインターネットを遮断しています」「近代戦では敵打破のために利用できる手段すべてを投入する必要があります」
  5. 二人とも作戦の詳細には触れなかったが、サイバー攻撃は1月に開始され秘密のベールに覆われたままだ。
  6. バグダッドでは空軍少将ピーター・ガーステン(対ISIS軍事作戦および情報担当副司令官)が火曜日にサイバー作戦が「戦場に効果を」上げつつあると述べたが「詳細は最高度の機密情報だ」とした。「高度に調整された作戦であるとだけお伝えできます。デーシュへ照準を合わせており、損害を与える能力もこちらにはあります」
  7. 少将は調整業務の始まりは「特定の標的に対してどんな効果をあげたいのか」を考えて計画立案することだと説明。「各情報機関と作戦部隊など関係者はすべて調整し、図上で作戦を立てます。各方面から内容説明があり、その後で実施に移ります」
  8. ISISに対してサイバー軍は27個編成した戦闘ミッションチームの一つを選択し、タンパにある中央軍と組ませる。中央軍はイスラム国への軍事作戦を統括している。
  9. チーム構成は軍人、民間人、契約企業で海外のコンピュータシステムを標的にサイバー諜報活動を行う。アラビア語が達者なものが多数あり、ISISの作戦・通信の理解には不可欠だ。
  10. サイバー軍の目標はチーム数を133まで増やし、合計6,187名規模にすることで、各チームは45名から60名が配置される。
  11. サイバー攻撃立案の第一段階は作戦の必要条件を設定することで通常は軍がISISの「重心」と呼ぶ指導層、資金、兵器、そして指揮統制通信が行われるサイバー空間が標的となる。
  12. イスラム国は携帯装置で通信をしており、有線通信も多用されている。インターネットの利用は減っているが、アルカイダはまだウェブサイトを好んで使っている。
  13. ISISは人の手を介して重要内容を伝えることもあり、部隊指揮官やそうした文書配達係はサイバー攻撃でも高価値の標的になる。
  14. 最近入手したISIS内部文書によればフェイスブックやツィッターも多用され戦闘員の移動からシリア入りまでを助けていると判明した。
  15. サイバー攻撃の標的にはほかに公式、非公式のISIS情報があり、公式発表からビデオ映像まで同集団のテロ活動の支援に使われている。
  16. ISIS戦闘員の使う主なアプリににテレグラムがあり、データを暗号化している。サイバー作戦ではこのアプリを狙い暗号解読を目指している。テレグラム利用者のフォーラムにはプロパガンダや指示内容が含まれており、例としてオンラインで正体を隠す方法を説明するものがある。
  17. IS関係者は海外のハッカー集団に金銭で各国政府ウェブサイトから極秘情報を盗ませていることが判明しており、将来のテロ作戦の参考にしている可能性がある。今後は米サイバー部隊がここに着目するはずだ。
  18. 2014年だけでISISが資金10億ドルを調達している。原油販売、恐喝、身代金、現金押収、ISIS支配地域での徴税や美術品密売でこれだけの金額を作った。
  19. そこで資金調達を妨害すべく、サイバー攻撃がISISの財務システムに行われている可能性があり、機能停止や妨害、またはなりすましで偽情報を流しているのだろう。
  20. 軍事問題の専門家によればISIS独特の指揮命令形態はアナリストが「中央統制、分権を組み合わせた実施」と呼ぶ方式で自称カリフのアブ・バカ・アルバグダディを頂点に指導層には中央方式で命令を伝え、実際の実施詳細は現場指揮官に任せる方式だという。
  21. そこでサイバー攻撃の第一段階では広範囲の情報収集で対象活動の指揮統制の仕組みを解明する。
  22. サイバー軍司令官マイク・ロジャーズ提督は4月5日、米国からのサイバー攻撃で「ISILは攻撃の立案、実施でイラクあるいはシリア内の拠点から米国を狙うのが一層困難になっており、わが軍将兵による物理的な攻撃は安全に実施できるようになり、最終的にISILを撃滅する」と証言している。
  23. ISIS自体のサイバー戦実施能力についてロジャーズ大将は懸念はあるが相手方のサイバー攻撃実施能力は限定的であり、むしろサイバー空間を利用した宣伝プロパガンダや、戦闘員勧誘、過激思想の普及、資金集めが中心になっていると述べた。
  24. サイバー作戦自体が秘密の扉の向こうにあるため、少なくとも2010年代末まで作戦が効果を上げているかは明らかにされないだろう。■


バルト海上空で再びロシア機が米軍機にバレルロールで挑発行為



Russian Su-27 barrel rolls on U.S. spyplane over the Baltic Sea. Once again.

Apr 29 2016 - By David Cenciotti

Image credit: Crown Copyright

  1. 4月29日、ロシアのSu-27フランカー一機が米空軍RC-135の真上で「バレルロール」をした。米軍機はバルト海上空の国際空域で偵察任務に就いていたとCNNが報道している。
  2. ロシア機は米軍情報収集機の横25フィートまで接近した後反転し、RC-135の反対側に抜けた。まるでトップガンのような曲芸は別のSu-27が同じバルト海で4月14日に里ヴェっとジョイント機を相手に行っている。
  3. このような危険行為が米軍スパイ機とロシア戦闘機では世界各地で当たり前になってきた。今年1月25日にはRC-135が黒海上空でロシアSu-27フランカーの迎撃を受け、Su-27が過激な操縦を行ったためRC-135の操縦安定性に影響が出ている。昨年4月7日にはこれもSu-27がRC-135Uからわずか20フィートの地点を飛行する事態がバルト海上空で発生。また昨4月23日には米空軍RC-135Uコンバットセントが通常の偵察飛行をオホーツク海上空で行っていたところロシアSu-27が同機の航路を横切り距離は100フィート未満だった。
  4. ロシアのフランカーがカリニングラードから離陸し「アクロバット操縦」をしかけるのが通例になっており、大人げない危険な行為である。■

★★A400M>エンジンギアボックス問題で深刻な遅延が発生している模様



この機体も相当当初の日程から遅れて費用もかさんでいるようですが、C-17を導入したほうが安上がりだったのでは。それをマレーシアが導入するというのはどういうことなんでしょう。日本も人のことは言っておられず、C-2の開発で苦労していますね。
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Airbus Reports A400M Engine Gearbox Problems Will Cause Delays

Pierre Tran, Defense News 10:32 a.m. EDT April 28, 2016
635817516142734637-DFN-France-A400Mx(Photo: Airbus Defence)
PARIS — エアバスが巨額の財政損失に見舞われそうだ。A400M軍用輸送機のエンジンギアボックス問題が原因だと同社は4月28日に明らかにした。
  1. 「A400Mの生産引き渡しで深刻な問題があり、エンジンプロペラのギアボックスで新たに予想外の問題が発生したためだ」とエアバスグループのCEOトム・エンダースが第一四半期営業報告で述べた。「面倒だが解決方法をエンジンメーカーと探っていく」
  2. エアバスはギアボックスの補修費用は「相当な金額」になるとみている。
  3. 「補修費用は完了時に上乗せするが、現時点で設計、技術、営業で全体像が見えず、費用面で大きな影響が出そうだとしか言えない」と同社は伝えている。
  4. 同社発表では50億ユーロ(57億ドル)がこの問題で費用に上乗せされる可能性があるとする。
  5. 解決方法の模索が進行中だと同社は発表。発注元と交渉も継続中で、引き渡し日程が変更となる。
  6. A400MのエンジンメーカーはスペインITP、ドイツMTU、ロールスロイスとサフランの共同事業体だ。ギアボックスのメーカーはジェネラルエレクトリックのイタリア子会社アヴィオエアロ。
  7. エアバスグループの営業利益は5.01億ユーロと前年の6.51億ユーロから減少しているが、売り上げも211億ユーロが122億ユーロになっている。年間全体の見込みは民間商用機の納入により年末にかけてキャッシュフローと利益双方が安定してくると同社は見ている。
  8. A400Mのローンチカスタマーのベルギー、英国、フランス、ドイツ、ルクセンブルグ、スペイン、トルコの各国はここにマレーシアも含め同機を購入する予定だ。引き渡しの新日程はヨーロッパ調達機関OCCARを通じて現在交渉中である。■>



2016年5月1日日曜日

★★X-2の初飛行の意味はこう見られている





OPINION: Why Japan's X-2 fighter is more than a symbol of pride


29 APRIL, 2016
BY: FLIGHT INTERNATIONAL
Asset ImageAkira Uekawa
三菱重工業のX-2が初飛行に成功したが、高性能戦闘用航空機の開発が続く北アジアで大きな一里塚になったのではないか。
  1. X-2は実験機で実戦用ではないが、政府の万全な支援のもと日本産業界が着実に技術開発を進めてきた成果を体現した高性能戦闘機でステルス、推力偏向制御、センサー類や高性能エンジンを実用化している。
  2. 今回の成果はもっとも野心的な航空宇宙事業となる戦闘機開発につながるはずだ。同機にはF-3の名称がつくのだろう。
  3. 業界の経験則からこの事業は挑戦の価値があるが、高価なものになりそうだ。日本が国内開発した前作F-2は米国の支援を受けてロッキード・マーティンF-16と類似した機体ができたが翼面積は25%広く、機体単価は三倍になった。
  4. だが日本だけではない。中国も戦闘機二型式を同時に開発中だ。
  5. このうちJ-20はロシア製エンジン双発で初飛行から6年が経過しているが、中国のブログによればいよいよ供用開始しそうだ。ただし、機体は黒く塗装されているものの本当に低視認性なのか不明だ。
  6. また任務も不明のままだ。制空戦闘機としては機体が大きすぎ、長距離迎撃戦闘機として敵の重要な支援機材を攻撃するのが役目かもしれない。
  7. FC-31はもっと謎に満ちており中国が同機にどこまで真剣なのか見えてこない。昨年11月のドバイ航空ショーでAVICは前例のない報道会見を行い、海外各国に広く同機開発の費用分担を求めていた。
  8. 韓国はインドネシアが20%負担する形でKFXに取り組んでいる。GEエイビエーションF414双発またはユーロジェットEJ200双発となる。2015年に中核技術の供与を米国が拒んだのは大きな痛手だが韓国は同機の成功を疑っていない。
  9. 既存メーカーが日本、中国、韓国それぞれの開発事業を冷笑するのは簡単だ。技術や統合ノウハウがないことを理由にできる。「純国産機」とはむなしい事業以上の何物でもない。
  10. それでも米国、ヨーロッパ、ロシアの機体メーカーは今後北アジアで自社製品の需要が縮小することを覚悟せねばならない。技術面でどれだけ海外製機材が優れていようと一国の誇りを背負った機材には太刀打ちできない。■


★極超音速飛行>中国が滑空テストに成功したと報道がありますが.....



極超音速飛行はまだ未知の領域で、ミサイル防空体制を無効にするミサイルになるまではまだ時間がかかりそうですが、米国の開発が予算問題などでもたもたしているうちに中国に先を越されかねません。
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China’s Hypersonic Glider Passes New Test


POSTED BY: MATT COX APRIL 29, 2016
The DF-ZF hypersonic glide vehicle. Photo: People's Daily Online.The DF-ZF hypersonic glide vehicle. Photo: People's Daily Online.
中国が新型極超音速滑空体の第七回目飛行テストに先週成功していたことが人民日報オンライン版で紹介されている。

「DF-ZF」滑空体はマッハ5から10で飛行できるとしている。

中国での記事では米情報機関は中国がDF-ZFで「核弾頭を搭載しミサイル防衛システムを突破する」ことを恐れているとのWashington Free Beacon を引用している。

中国国防省報道官は中国が極超音速ミサイルの実験を2015年3月に行っていたことを確認しており、同実験では特定の国を標的にしたものではなく、あくまでも科学研究が目的だったと強調している。

米空軍も極超音速兵器開発で一定の成果を上げており、スクラムジェットの実験で成功を収めている。

2013年にX-51ウェイヴライダーの第四回目テストを行い、これまでで最長の飛翔時間を達成している。B-52から発射したロケットから分離したX-51はボーイング製で高度6万フィートまで上昇しマッハ5.1に加速して3.5分間飛行した後燃料切れとなり太平洋へ落下している。

X-51は9年間で3億ドルが投じられており、スクラムジェットで加速後、炭化水素燃料を取り込み、能動的な冷却効果を実証するのが目的だと空軍は説明している。通常のエンジンと異なりスクラムジェットあるいは超音速燃焼型ラムジェットは可動部品が少なくて済み空気取り入れ式推進で超音速飛行が可能となる。■



2016年4月30日土曜日

北朝鮮の最新SLBMから変更点を読み解く




North Korea announces third SLBM launch

Richard D Fisher Jr, Washington DC - IHS Jane's Defence Weekly
29 April 2016
2015年5月8日(左)と4月23日(右)の比較では固体燃料エンジンと液体燃料エンジンの相違に由来する噴煙の違いが明白だ。Source: KCNA
北朝鮮が4月24日に公表した写真では二番目の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)は固形燃料方式でガス圧縮発射技術を使っていることをうかがわせる。これとは別に北極星1号ミサイルが液体燃料方式であると判明している。
朝鮮中央通信(KNCA)は4月24日に今回のSLBM実験は「高出力固体燃料方式エンジン」で「朝鮮方式による水中発射システムの信頼性を確認強化し主体思想による水中攻撃作戦の技術要求をすべて満たした」と報じていた。
国防総省はSLBMの発射は4月23日に行われたと確認しているが、韓国聯合通信は韓国統合参謀本部が北朝鮮ミサイルは30キロ飛翔したと述べたと報道していた。またミサイルを発射したのは排水量2千トンのSinpo級潜水艦だったと見られるとも伝えている。
画像から2015年5月8日の北極星1号SLBMは液体燃料エンジンであったと推測された。噴煙が広がっておらず透明度が高いためだ。北極星1号を米国はKN-11の名称で識別し、ソ連のR-27ジブ(SS-N-6サーブ)液体燃料式SLBMが原型と見られている。
An image showing the SLBM emerging from its cold-launch tube. The launch may have taken place on a stationary platform rather as the walls of the submarine's fin cannot be seen. (Rodong Sinmun)圧縮ガス発射管からSLBMが飛び出す瞬間をとらえた画像から発射は水中固定発射台から行われたのがわかる。潜水艦の潜航舵が見えないため。(Rodong Sinmun)

4月24日の公式発表に合わせて公表された画像では北極星の名前が書かれた類似ミサイルが水中発射される様子が移っているが、ミサイルに番号がついているか判明しない。ただしこのミサイルの噴煙はもっと広がって透明度が下がっており、固形燃料ロケットの特徴と符合する。またミサイルに飛行制御用の噴射弁が4つあることもわかる。
3月23日には直径1.25メートルの固体燃料ロケットエンジンを製作可能と発表している。北朝鮮がイランから固体燃料ロケット技術を導入した可能性はある。イランには二段式固体燃料ミサイル「セジリ」があり、直径が1.25メートルで飛行制御用の噴射弁がついている。■