2021年7月10日土曜日

ロッキードのスカンクワークスが手掛けるプロジェクトが判明。DXで航空装備の開発サイクルは劇的に短くなる!

  

スカンクワークス新規施設が2019年12月の起工式を迎えた。スカンクワークス施設内での新規着工は1980年代以降初めてである。Credit: City of Palmdale

 

ッキード・マーティンのスカンクワークス施設で撮影された写真からプロジェクト四点の存在があきらかになった。その一つは最近出た求人広告とつながり、情報集監視偵察(ISR)と無人航空機システム(UAS)と関連がある。

 

同写真と求人広告からスカンクワークスの極秘構想が垣間見え、「デジタル革命」が設計、製造で根付き、従来は十年単位だった新型軍用機開発が数カ月から数年になる時代が来ていることがわかる。

 

偶然流出したと思われるが、ロッキードの高度開発事業部門が複数の新型機あるいはミサイルのプロジェクトを同時に立ち上げているのがうかがわれる。ロッキードは18カ月前に高度製造施設を起工しており、1980年代以降久しぶりの新施設建設となった。

 

ロッキードから新施設の狙いについて言及はないが、その答えとしてNASA航空部門の予算による新型機開発の前後に始まった一連のプロジェクトがあるのだろう。

 

公表された写真に計画表が映っており、NASA向けX-59静かな超音速飛行技術実証機と並行し、これまで知られていなったプロジェクト数点の記載がある。

 

計画表では「デジタルトランスフォメーションへの移行」とあり、スカンクワークスのデジタルエンジニアリング設計をプロジェクト5点で進めるとある。y軸は「成熟度」で、x軸は「時間」とある。

 

開始時期が最も早いプロジェクトには「P-2251」の表記があり、Pとはスカンクワークスの新型機あるいはミサイルのプロジェクトを指す。反対に最新のプロジェクトがy軸で成熟度がもっとも高くなっており、「P-731」とある。

 

NASAのX-59プロジェクトは5年が経過しており、プロジェクト5点のうち成熟度と開始時期が中央部分になっており、「P-727」と「P-95X」にはさまれている。

 

スカンクワークスの写真はジム・グッドールに手渡された。「スカンクワークス75年の歩み」の著者で、SR-71他ロッキードのステルス機についての著作もある。

 

グッドールは7月3日に自身のフェイスブックに同写真を掲載した。カリフォーニア州パームデイルのスカンクワークス施設のVIP見学をした直後のことだ。

 

写真ではグッドールがスカンクワークスの組立建屋内にいるのが映っている。X-59の大型模型と同機の胴体部分用のツーリングジグの間に本人が立っている。

 

また側面に計画表が映っており、スカンクワークスが取り組むプロジェクト5点の記載があり、箇条書きで各プロジェクトの特徴が記載されているが、文字は判読できない。

 

スカンクワークス広報は非公表プロジェクトの詳細に関し言及を避けており、軍が機密指定しなくても社内情報は公開しない同社方針に触れている。

 

2020年8月からロッキードはP-95Xプロジェクトで求人広告を出しており、製造技術者では機密情報取扱いの資格審査があるとしている。別の求人広告から「P95X」事業がスカンクワークスのISR・UAS関連であるとわかる。

 

5月10日付の求人広告では経験豊かな製造管理職を求め、P-727含むプロジェクト4つの担当とある。その他はP-26、P-28、P-47だ。

 

計画表の題名にあるデジタルトランスフォーメーションへの移行とはスカンクワークスがデジタル設計、デジタルエンジニアリングを採用したのを示しているのだろう。同社は StarDriveと総称している。

 

スカンクワークス関係者は StarDrive構想を昨年9月に発表していた。それによると空中発射式UASをスピードレイサーの名称で開発するのに利用されているとある。2月に空軍研究本部がスピードレイサーを軍需産業懇談会で自律運航能力を高めた低価格巡航ミサイルとして取り上げていた。■

 

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New Factory, Mystery Projects Hint At Digital Skunk Works Push


Steve Trimble Tony Osborne July 08, 2021


2021年7月9日金曜日

B-21新想像図を読み解く。他方で同機の配備に向けた準備も着々と進み、ロールアウト2022年、配備開始2026年の予定と判明。

 B-21 Raider

空軍発表のB-21想像図の一部を切り取った。機体はエドワーズ空軍基地を離陸する様子を描いたもの。(U.S. Air Force graphic)

 

 

空軍から7月6日にB-21レイダーステルス爆撃機の新しい想像図が公式ファクトシートと合わせ発表された。前回は2020年1月の発表だったので、一部に実機と異なる点があったのだろう。今回はエドワーズ空軍基地が背後に描かれており、空軍の420飛行試験隊が同基地に常駐しB-21の地上試験、飛行試験双方を実施する。空軍のプラント42があるカリフォーニア州パームデイルで完成するとまず、エドワーズに移動することになる。

 

レイダーの全体形状は2020年の初公表時から大きな変化はないようだ。ただ詳細な点に目が行く。まず、コックピットの窓形状だ。これまでの画像では風防は二枚構造でB-2Aスピリットに似ていた。今回のレイダーは4枚構造のうち、後方の左右二枚が大きく異なり、大きくカーブがつき、かつ前方の窓より狭くなっている。

 

次に気づくのが「鷹のくちばし」形状の機首部分で、B-2スピリットに通じるものがあるが、第二回目公表の画像では消えていた。今回は「くちばし」はスピリットより先に突き出している。主翼ではこれまでの画像より厚みが増えているように見えるのは、描画上の問題なのだろうか。

 

今回の画像では空気取り入れ口が不明だ。実はここで空軍が大幅再設計を求めてから重要設計審査を2018年11月に通過させた経緯がある。問題とされたのは空気取り入れ口のサイズで、エンジン作動の効率面で空気を鳥れる量の最適化が必要だったのだが、費用面日程面で影響は出ていない。

 

B-21レイダーはファクトシートでは大規模なシステムファミリーの一要素とされ、通常型長距離爆撃機となっているが、そのほかに情報収集監視偵察型、電子攻撃型、通信機能特化型等があがっている。各種スタンドオフ、直接攻撃兵器を運用するほか、核運用能力も確保し、有人操縦または無人運用が可能となる。その他重要な要素として、NGAD等と同じくオープンシステムズアーキテクチャーとしており、統合リスクを減らし、将来の性能向上に対応することで、脅威の進化に対応させるねらいがある。

 

今年に入り早々にB-21二号機が製造中との空軍発表があり、一号機は2022年初頭のロールアウトに向け完成度を上げているとあった。空軍迅速戦力整備室長のランドール・ウォルデンによれば、一号機はロールアウト後に大規模地上テストを行いその後初飛行になるが、二号機は構造試験を主に行う。レイダー初号機の製造で得た教訓は二号機に応用されており、作業はずっと迅速に行えるようになり、作業員は設計図通りの制約から解放されたという。

 

6月に下院軍事委員会公聴会で空軍次官補ダーリーン・コステロは誤ってB-21の最初の二機が完成済みと発言したが、その後空軍は発言を訂正し、二機は製造中とした。ただし、空軍は完成予定あるいは遅延していると述べておらず、事業は2022年初頭のロールアウトに向け進んでいるとみられる。

 

B-21は2026年か2027年の配備をめざし、エルスワース空軍基地(サウスダコタ)が最初の運用基地となり、ダイエスAFB(テキサス)を予備とする。空軍は基地選定では運用面とともに近隣住民への影響を最小限とするよう配慮しつつ、既存施設の活用によりB-21運用コストの節減を図ることを目指したと発表。最終的な配備基地決定は今年中に行い、その前に艦居インパクト調査結果が今年夏に出るのを待ち、B-21用の施設建設を始める。

 

他方でエルスワースAFBではB-21レイダー用の環境防御シェルターの試作型を設置し、データを数年分収集し、シェルターの最終形を決める。同基地の天候条件が最も過酷かつ多様になため試作シェルターの設置場所に選ばれた。

 

「天候防御シェルターで機体寿命が延び、紫外線への露出を減らすことで整備作業も楽になる。また降雪、融雪による氷結、解氷対応も減らせる」とグローバル打撃軍団でB-21導入を担当するシステム管理室長デレク・オークレイ大佐が述べる。「シェルターにより機体をいちいちハンガーから出し入れせずに出撃を短時間で実現できる効果もある」■

 

Let's Talk About The New B-21 Raider Rendering And Fact Sheet Released By The U.S. Air Force


July 7, 2021 Military Aviation

STEFANO D'URSO

Stefano D'Urso is a contributor for TheAviationist based in Lecce, Italy. He's a full-time engineering student and aspiring pilot. In his spare time he's also an amateur aviation photographer and flight simulation enthusiast.


2021年7月8日木曜日

米空母の将来像----大型空母路線を続けるのか、それとも小型空母へ思い切って舵を切るのか。いずれにせよ一長一短あり、決断が注目されるところ。RAND研究所が提言。

 


 

後の米空母を検討しての結論は、何事にも代償がつきまとう、ということだった。

 

米海軍は従来より小型で安価な空母を調達できる、建造中の130億ドルのフォード級巨艦を導入する必要はない、というのがRANDコーポレーションによる最新の検討内容だ。だが、小型で安価な空母は性能も低くなり、地上部隊への航空支援を行えず、敵が優勢な海域では戦闘がままならなくなる。

 

 

 

 

議会からフォード級空母に代わる選択肢の検討を求められたRANDは2016年に米海軍向け極秘検討を行い、今回発表されたのは差しさわりのない部分だ。当時は。

 

RANDは四つの選択肢を提示した。

 

-CVN-8X は排水量10万トンのフォード級から装備を省略した版で、原子炉は40年間燃料交換が不要とした。フォード級は25年で燃料交換が必要となる。カタパルトもフォード級の四基を三基に変えた。

 

-CVN LX は7万トンと1950年代の初の「スーパー空母」フォレスタル級に近い。ハイブリッドの原子力通常動力推進方式とし、原子炉をニミッツ級フォード級の二基から一基にする。大規模規模の航空戦力を搭載でき、ニミッツ級を上回る効率を実現するが、速力生存力ともにフォード級を下回り、航空団のソーティ数も劣る。

 

-CV LX は43千トンの通常方式推進艦で強襲揚陸艦アメリカ級の派生型とする。カタパルトを有さず、搭載はF-35Bの25機に限られ、一日50ソーティーしか対応できない。空中早期警戒機や電子戦機がなく、「従来型空母あるいは陸上の機材から支援を受ける前提。敵の脅威が深刻でない場所あるいは戦闘集団の一部として行動可能となる。CV LXは第一撃を加える装備とならない。統合航空団を搭載できないからで、特にAEWおよびEW(空中早期警戒機、電子戦機)の不在が大きい」

 

-CV EX は2万トンの超小型空母で通常動力推進方式。搭載は短距離離陸機が6機から10機に限られる。イタリア空母カボールに似る。建造単価は25億ドルと最も低く、RANDはCV LX空母4隻でフォード級1隻と同じソーティ数を確保できると試算した。「CV EXにもCV LXと同じ制約がつき、飛行甲板はさらに小さい。燃料、弾薬の搭載量も同様で、低レベル緊急事態への投入、あるいは従来型CVNとの連携でしか運用できない」とRANDは結論づけた。

 

選択肢は示したもののRANDは特定の推奨はしていない。だが、報告書を見ると建造費が低いと性能も劣ることが明確だ。通常型の固定翼機F-35Cを発艦させようとすると空母にはカタパルト、拘束着艦装置を置ける大規模な飛行甲板が必要だ。小型艦ではF-35Bやヘリコプターの運用なら可能だが、E-2早期警戒機やEA-18電子戦機は運用できない。

 

そうなると低性能空母では米国の戦闘機能に制約が生まれ、米本土から遠く離れた地点で空母航空支援を展開する際に影響が生まれる。フォード級への予算投入について、退役海軍大佐でRAND研究員のブラッド・マーティンはこう語る。「代替策は低価格だが海軍が必要とする戦力は犠牲となる。一部の機能はなくなっても大きな影響は出ない。ソーティー生成数が例だが、その他は大きな代償につく」

 

RANDが提唱する大型原子力空母案はいずれも海軍に大きな変化をもたらさない。だが小型の二案は通常型推進方式で変化は避けられない。「通常型動力艦をニミッツ級の後継艦とした場合、海軍の運用コンセプトに大きな影響が生まれる」「統合航空戦力を運用できなくなるからだ。攻撃、防御、制空任務はいいとしても、外部からの支援に依存することになる。現在はすべて単艦で実現している」(マーティン)

 

では最良の選択はどうなるか。実はない。海軍がこのまま巨大空母路線を継続しフォード級と大差ない艦を建造するのか、それとも小型艦として戦力は思い切って断念するか、のいずれかだ。■

 

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Smaller Aircraft Carriers: Is There Any Point?

by Michael Peck

July 6, 2021  Blog Brand: The Reboot  Tags: U.S. NavyCarrierChinaMilitaryTechnologyTrumpRAND

 

Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook. This first appeared earlier and is being reposted due to reader interest.

Image: Flickr


米空軍がB-21の新しい想像図を公表。合わせてデータシートもご覧ください。

 米空軍発表のB-21の新しい想像図ではコックピット周りの構造が注目を集めています。機体形状からステルス性能を割り出されるのを恐れるため、想像図が必ずしも実機を忠実に表している保証はないのですが、これは改めて別記事で取り上げたいと思います。


Shown is a B-21 Raider artist rendering graphic. The rendering highlights the future stealth bomber with Edwards Air Force Base, Calif., as the backdrop. Designed to perform long range conventional and nuclear missions and to operate in tomorrow’s high end threat environment, the B-21 will be a visible and flexible component of the nuclear triad. (U.S. Air Force graphic)



米空軍がこの度発表したB-21レイダー想像図はエドワーズ空軍基地を背景に描かれている。


軍がB-21の新しい画像をデータシートと合わせ公開した。以前公開されたのと同じく今回もアーティストによる想像図だ。


想像図はカリフォーニア州のエドワーズ空軍基地を借景としている。420飛行試験航空隊が同基地にあり、B-21レイダーの飛行・地上試験すべてを担当する。


B-21事業は技術製造開発段階にあり、サプライチェーン全般で低率初期生産開始に備える。重要設計審査は2018年に完了し、機体設計は成熟かつ安定した状態にある。


長距離非核・核ミッションを想定したB-21は核三本柱の一角として柔軟かつ目に見える形の構成要素となり、将来のハイエンドかつ高脅威環境での運用をめざす。


「核戦力近代化が国防総省の最優先事項であり、空軍にも同様だ。その中でB-21がカギを握る事業となっている」と空軍迅速戦力整備室長ランドール・ウォールデンが語る。「オープンシステムアーキテクチャを盛り込んだB-21は脅威環境の進展に対応する爆撃機になる。同機の設計思想により米国の航空戦力を今後も維持できる」



以下空軍が発表したファクトシート

ミッション 

B-21レイダーは核・非核対応の侵攻型ステルス爆撃機でB-52とともに今後の米空軍爆撃機部隊の主力となる。将来のハイエンド脅威環境での運用を念頭に設計されたB-21は米国の航空戦力維持で大きな役割を演じる。


特徴

B-21レイダーは各種システムファミリーの一角として長距離爆撃を担当する。その他情報集監視偵察機能、電子戦、通信機能等を実施する。核兵器運用を想定し有人操縦・無人運用が可能だ。さらに、攻撃ではスタンドオフ兵器、直撃弾を運用可能。


機体誕生の背景

空軍省の迅速戦力整備室がB-21開発を主導し、調達担当国防次官捕と空軍長官が直接指揮している。


米空軍はB-21の技術製造開発契約をノースロップ・グラマンに2015年10月27日に交付し、同社はプラット&ホイットニージャニキインダストリーズコリンズエアロスペースGKNエアロスペースBAEシステムズスピリットエアロスペースの各社と提携した。


2018年にウェポンシステムとしての重要設計審査に合格したことで設計の成熟度とリスクの全般評価が下された。


2019年に空軍は戦略基地配備検討を終え、エルスワース空軍基地(サウスダコタ)、ホワイトマン空軍基地(ミズーリ)、ダイエス空軍基地(テキサス)がB-21の配備先候補となった。


環境影響検討を経て、空軍は2021年にエルスワース空軍基地(サウスダコタ)をB-21の主運用基地とし、訓練部隊も同基地に常駐する。


エドワーズ空軍基地(カリフォーニア)の空軍テストセンターがB-21合同テスト部隊の設置場所となり、空軍機体維持センターがあるティンカー空軍基地(オクラホマ)が補給活動の中心となる。


B-21レーダーの名称はドゥーリトルレイダーズにちなみ命名され、1942年4月18日に日本へ奇襲攻撃をかけた空軍兵士をたたえるものだ。この攻撃を契機に日本軍は本土防衛に部隊を呼び集める結果となり、米国並びに世界の同盟各国の士気を高めた。B-21の制式名は21世紀初の爆撃機との意味である。


主要性能諸元

主要任務 核運用可能な侵攻型ステルス爆撃機

運用部隊 グローバル打撃軍団

配備機数 最低100機

機体単価* 平均550百万ドル(2010年ドル価格)- 639百万ドル(2019年ドル価格)

*ロバート・ゲイツ元国防長官が平均調達価格を機体価格の管理の

主要指標と指定した。

運用兵器 核・非核

運用開始 2020年代中ごろ


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Air Force releases new B-21 Raider artist rendering

Secretary of the Air Force Public Affairs / Published July 06, 2021



2021年7月7日水曜日

中国の、つまりPLANの宇宙開発を警戒する西側世界。衛星攻撃能力の開発、宇宙ステーション建設、月有人飛行がすべて警戒の対象で、レッドカードものだ。

 

長征5ロケット

Wiki Commons photo

 

国が進める宇宙関連の動きへ米国や同盟国が懸念を示している。

 

ペンタゴン関係者は中国の対衛星(ASAT)兵器で現有衛星群が脆弱になると心配している。

 

中国は宇宙空間を軍事ドメインと位置付け、公式文書で宇宙戦、宇宙作戦で攻撃防御双方の手段を駆使し優位性を確保すると述べている。これは宇宙空間の安全を主張する Secure World Foundationが4月にまとめた報告書にある。

 

「中国は宇宙対応部隊を再編し、電子戦サイバー戦を統制する主要部隊と位置付けた」と報告書にある。しかし、「中国が宇宙空間で対抗措置をふどう活用するのか、または米国への抑止力として利用するのが目標なのか、いずれも不明だ」とある。

 

同財団のブライアン・ウィーデンは中国が新型宇宙機の初打ち上げをしたと指摘。同機の詳細は不明のまま、米空軍のX-37B宇宙機に酷似するといわれる。「中国の新型宇宙機が軌道飛行で小型衛星を放出してから軍事基地に着陸した証拠がある」

 

米国は中国の衛星SJ-17に目を光らせており、同衛星が地球静止軌道でランデブーなども行ったとウィーデンはいう。「同衛星は同じ中国の衛星二機に接近し、点検あるいは監視を展開した」

 

SJ-17が他国の衛星に接近した様子は今のところないとウィーデンは述べている。

 

脆弱な米宇宙装備が敵国の衛星から攻撃されるのを国防総省は危惧している。

 

宇宙空間での「積極防衛」手段とは「宇宙空間で別の対象を捕獲し、安全な軌道に変更させる、あるいは安全措置を行い脅威とならないようにする」のが戦略国際研究所の航空宇宙安全保障問題部長トッド・ハリソンの見解だ。

 

同研究所も宇宙兵器から軌道上の宇宙装備をどう防御するかをまとめた報告書を4月に出した。

 

同報告書ではドッキング可能で別の宇宙機を操作可能な装備が今後投入されるとある。「こうした装備があれば脅威となる衛星を攻撃したり排除できる、また機能を喪失させた衛星を捕獲したり、ハイジャックし自国用途に利用できるようになる」

 

中国が宇宙ステーションを建設する動きを示していることへも懸念が広がっている。

 

国家情報局長(DNI)室は「米情報コミュニティによる脅威評価」を毎年発表し、今年版では中国宇宙ステーションは低地球軌道LEOで2022年から2024年の間に稼働開始すると予測している。

 

中国最大級のロケット長征5Bで宇宙ステーションの最初のモジュールを5月に海南島文昌Wenchangから打ち上げた。打ち上げ機はその後予想外の大気圏再突入をし、米国等各国から地上落下すれば甚大な損害が生まれると非難された。結局、同ロケットの残骸はインド洋に落下した。

 

宇宙ステーション建設と並行し、中国は月探査も続けており、まず無人研究拠点を月表面に確保し、その後基地を構築する狙いとDNI報告書は指摘している。

 

およそ10年前に中国が新型大型ロケット長征9の開発を始めたのが判明したと国際評価戦略センターの主任研究員(アジア軍事問題)のリチャード・フィッシャーが述べている。「中国は月に多数の人員を送る計画があることを示している」

 

中国は「921」型と呼称する二番目の宇宙打ち上げ機の開発を2018年開始しているとフィッシャーは指摘した。「921型ロケットは25トンから26トンの貨物を月へ送る性能がある」「921は既存技術を応用して実現は予想より早くなり、月への人員輸送が早期に実現する可能性がある」

 

中国筋によれば921ロケットは2024年から2025年に試験を開始するとしている。(フィッシャー)

 

「月周回飛行も可能となるだろう」とし、月への有人飛行は2026年から2027年に実現すると予測している。

 

中国の地上配備指向性エナジー兵器開発も進展を見せており、将来は衛星の撃破に投入されるとSecure World Foundation は見ている。

 

四か所ないし五か所にこの装備が導入済みとウィーデンは述べた。

 

拠点は大型建屋があり、屋根が移動式の特徴ですぐわかるとウィーデンは言い、レーザー発射用のガス貯蔵に大型建屋が利用される。小型ドームを備え照準用の光学装備を備えるものもあるという。

 

判明している二か所では大学と同じ場所にあり、大気圏内の光学技術と物理を研究しているようだとウィーデンは述べた。

 

CSISがまとめた最新の宇宙関連報告書では中国のレーザー装備が対衛星作戦に投入される可能性に注意喚起している。

 

「一部は学術研究用でASAT装備とは無関係のようだが、一か所で懸念があるのは対衛星攻撃テストを展開する基地内にあり、そこにレーザー兵器が設置されているとの噂があることだ」(同報告書)

 

「指向性エナジー装備としてどこまでの性能があり、『運用可能』な状態なのか不明だが、そもそも宇宙装備への攻撃やテストの内容が公表されていない」

 

同拠点は軍事基地のようで、新疆のコーラから100キロ離れた地点にある。中国はそこで衛星攻撃技術のテストを展開したとウィーデンは述べた。

 

中国が米国の宇宙運用能力に追い付き追い越そうとしているのは、人民解放軍が宇宙作戦を今後の戦闘で不可欠の要素ととらえるためだ。中国は米国や同盟国の衛星群を狙うとDNI報告書が述べている。

 

「中国は軍事宇宙部門の技量を育成し、破壊、非破壊両面で地上配備、宇宙配備の新型対衛星兵器の配備を続けている」

 

中国は地上発射ミサイルを配備済みで、低地球軌道上の宇宙機を破壊する狙いがあるが、地上配備レーザーはLEO上の情報集衛星の精緻な光学センサーを機能停止させたり破壊する狙いがあると同報告書は指摘した。

 

また中国は地上配備光学望遠鏡やレーダーをネットワーク化することで、宇宙空間の状況把握能力を高め、宇宙物体の探知、追尾、分類付けを行っているとSecure World Foundationの報告書にある。

 

「米ロ両国同様に中国のSSAレーダーもミサイル警戒機能を担当している」「中国には自国外での追跡用の大規模なSSAネットワークはまだないが、追跡用艦船を有し、将来のセンサー設置を目指し他国と関係構築に動いている」

 

ブルッキングス研究所の安全保障戦略技術部門副代表フランク・ローズは米国が軍事作戦遂行を宇宙装備に依存する以上は潜在的勢力が今後もASAT兵器開発を続けるのを覚悟すべきだと述べている。「宇宙での課題はエスカレーションを招かずに競合を乗り切り、長期にわたり持続可能な安全を宇宙空間でどう実現するかだ」

 

その手始めとして、米国は中国、ロシアとの対話を再構築すべきとローズはみる。

 

最後の米中間の宇宙をめぐる政策対話は2016年で、宇宙安全保障に関し中国との対話が必要だというのがローズの主張だ。「バイデン政権の優先事項になる」

 

敵性国家は対衛星兵器を開発し、米国を非対称脆弱の立場にし、一方的な劣勢に追い込もうとするとローズは見ており、「ロシア、中国は今後も各種ASAT装備品を開発、配備していくはずだ」と言う。

 

米国の次の手は宇宙空間での競合を統制し、エスカレーションにつながるリスクを低減しつつ、宇宙デブリを発生させないよう行動規範を確立し、ランデブーや近接地点での運用を取り仕切る基準規制の確立も必要とローズは述べた。■

 

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China's Ambitious Space Programs Raise Red Flags

7/2/2021

By Mandy Mayfield


2021年7月6日火曜日

韓国がSLBMの水中発射テストに成功。海軍当局は慎重な姿勢ながら、メディアはエリート国の仲間入りと早合点している模様。「仮想敵国」の日本も注意すべき。

 South Korea Conducts Submarine-Launched Ballistic Missile Test

 

SLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル)の水中発射テストを南朝鮮が先週実施した。


聯合通信によれば、テストは成功だった。大韓民国(ROK)がSLBM保有国の「エリートグループ」に入る道が開けた。北朝鮮が同様の技術を先に誇示し同グループ七番目の国になったと主張しているが疑念もある。SLBM装備保有国はすべて核兵器保有国でもある。南朝鮮は戦略核兵器を有さずSLBMを保有する唯一の国となる。


今回のテスト内容の詳細は公開されていないが、報道では玄武Hyunmoo 2Bミサイルの改造版を発射し、射程は500キロといわれる。2021年5月のバイデン-文首脳会談で米韓ミサイルガイドライン改訂が合意されたのを受け、ROK海軍は北朝鮮へ戦略優位性を確保すべくK-SLBM(玄武4-4型といわれる)の運用をめざしている。

Hyunmoo 2B ballistic missile

玄武2B弾道ミサイル


別の国内メディアでは排水量3千トンの島山安昌浩Dosan Ahn Chang Ho級潜水艦(KSS IIIバッチ1)でのコールド発射テストが近づくとある。同艦はK-VLS(垂直発射管)の搭載でSLBM発射も想定し、今月中にROK海軍へ引き渡しされる。同記事は海軍関係者の発言を伝えている。


おとり魚雷とSLBM発射管のテストを除き装備品の機能は島山安昌浩で確認済みだ。発射系統のテストが完了次第、海軍へ引き渡される」


昨年末に陸上からの発射は成功しており、潜航中潜水艦からの発射も時間の問題だと聯合通信は報じている。この点について軍の消息筋は控えめな見解を示し、事態を慎重に見るべきとメディアに苦言を呈している。「潜航中の潜水艦からのSLBM発射はまだ可能ではない。必要な技術の確保に向け進展はまだ続いている」


ROK国防部(MND)は報道内容の真偽について詳細情報の提供を拒んでいる。MNDは以下回答してきた。「安全保障の理由で個別装備品の情報には制約がある。韓国軍は最新かつ強力な装備品を導入し、半島の平和を守るべく強力な国防力維持に努めてきたし、今後も続ける」。一方で、国防調達事業庁(DAPA)は「おとり魚雷発射機能の公試が完了次第、同潜水艦は引き渡される」と発表した。


島山安昌浩級の一号艦はVLS6門を搭載し、玄武4-4SLBMのほか、対地攻撃巡航ミサイル(SLCM)の玄武3C(射程1,500キロ)も発射可能といわれる。KSS IIIバッチ2艦ではVLSが10門に増えるとNaval Newsが伝えていた。ただし、MNDはSLBMの開発状況、全長など情報を開示しておらず、同級潜水艦に弾道ミサイルを搭載するかも明らかにしていない。■



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South Korea Conducts Submarine-Launched Ballistic Missile Test

Daehan Lee  04 Jul 2021


AUTHORS

 

Posted by : Daehan Lee

Daehan Lee is a political, security affairs researcher who worked at the U.S. Embassy in Seoul and the People Power Party. Prior to his work in politics and diplomacy, Lee served for the Republic of Korea Navy as a secretary to the Vice Admiral and a translator for Master Chief Petty Officers of the Navy, shortly working at the Joint Chiefs of Staff. He writes about Korean naval acquisition and development. Fields of interest include maritime security, defense acquisition, Korean politics and foreign policy.