2023年4月4日火曜日

次世代の航空優勢にこの変形技術応用の「変態」空対空ミサイルが威力を発揮する---米空軍研究本部が進める画期的な技術


USAF


高機動脅威への対抗手段として、米空軍は先端部が連結構造のミサイルを構想している



メリカ空軍は、空対空戦闘で命中する可能性を高める斬新なコンセプトを模索している。機首が曲がる空対空ミサイルを使用し、ターゲットが回避する前に仕留める構想だ。空軍はこれを、「次世代制空権プログラム」で開発中の第6世代ステルス機など、現在および将来の戦闘機で高機動性の脅威と戦う新たな手段に位置づけている。

 空軍研究本部AFRLは、今週コロラド州アウロラで開催された2023年航空宇宙軍協会の戦争シンポジウムで、「Missile Utility Transformation via Articulated Nose Technology(MUTANT)」と呼ぶプロジェクトを紹介した。AFRLによると、MUTANTは過去6年間の関連技術の研究を活用しており、コアコンセプトは1950年代までさかのぼる研究と実験を活用しているという。


機首部分が連結構造のミサイルのグラフィック。 USAF



「より効果的なミサイルは、少ない重量でより長い射程、操縦性(g-capability)、敏捷性(機体の反応性)を持つ傾向がある。ミサイルの制御作動システムcontrol actuation systems(CAS)は、3指標すべてに影響し、したがって効果的にターゲットに接近する能力にも影響する」と、AFRLのMUTANTに関するウェブページは説明しています。「各CAS、またはデュアルカナードやフィンなどCASの組み合わせがミサイルの全体性能に明確かつ強い影響を与える」。

「長射程CAS(フィンのみ)は、操縦性と敏捷性に劣る傾向がある」とある。「(カナード、翼、推力偏向など)操縦性と敏捷性に優れたCASは、抗力や追加重量で射程が低下する傾向がある」。

 イスラエルのラファエル・パイソン5は、高度な機動性を実現するため、複雑な制御面を採用した空対空ミサイルだ。

 MUTANTは、基本的な計算を覆すことを目指す。伝統的な制御面という点では、AFRLが取り組むミサイルの概念設計では、尾翼しかない。前述のように、これでミサイルの抵抗を減らし、射程距離を延ばすのに役立つ。

 一般的に、これで操縦性と敏捷性が犠牲になる。しかし、MUTANTコンセプトでは、ミサイル本体の前方部分にコンフォーマルセクションを追加し、フロントエンド全体を中心軸から離し関節運動可能にした。

 従来の空対空ミサイルでは、誘導システムが計算した迎撃地点から目標が離れ始めると、コースを変更する必要があった。MUTANTでは、この「コース修正」を、ミサイルの前部が物理的に動くことで実現し、脅威にさらに近づける発想だ。

 ノーズ部分が動くことで、空対空ミサイル弾頭の力をターゲットに集中できる。また、ミサイルのシーカー(マルチモード設計の場合は複数のシーカー)が確実にロックされるようにすることもできるかもしれない。マルチモードシーカーを搭載したミサイル、特にイメージング赤外線とアクティブレーダーを組み合わせたものでは、こうした要素を複雑な方法で設置していることが多く、特定の交戦シナリオでセンサーの視野に影響を与える可能性がある。

 AFRLは、「歴史的に、変形技術のサイズ、重量、パワー(要件)は、ミサイルシステムレベルの利益を妨げてきた」 と述べ、「MUTANTは、変形兵器に有利なようにスケールを考慮している」と述べている。

 これをミサイルサイズで実現するために、「AFRLはコンパクトな電磁モーター、ベアリング、ギア、構造物からなる電子制御の作動システムを開発した」。とMUTANTの公式サイトにある。「慎重な設計で、航空機本体への部品配線の円形パススルーを実現した」。

 MUTANTの連結部品は、AFRLによれば、短距離・垂直離着陸が可能なF-35Bで採用した連結排気ノズルと、大まかに言えば似ているという。

 技術的なハードルは、材料工学の領域にも及ぶ。空対空ミサイルに採用されるため、高速飛行に伴う高温やその他に耐えられる関節構造が必要だ。さらに、飛行中の急激な方向転換の影響に耐えることができるフロントエンドが求められる。

 このような要求を念頭に、AFRLは「金属製の内部骨格にエラストマーを充填した複合構造」の開発に取り組んでいる。MUTANTのウェブサイトによると、最終設計は摂氏900度、華氏1,652度を超える温度に部品がさらされる可能性があり、超音速ミサイルに使用を想定しているという。


AFRLのグラフィックで、MUTANTの構造体がさまざまな速度で耐える必要がある高温の概要を説明しています。USAF



MUTANTコンセプトは、実際のミサイルにする前に、試験で実証の必要がある。AFRLは実験室やロケットソリで、システムの各種コンポーネントの地上試験を何度も行っている。初期プロトタイプは、AGM-114ヘルファイア空対地ミサイルをベースにしている。

 AFRLによると、2024年度末までにもう1回地上試験を実施しプロトタイプの「操縦における二重関節とフィン制御を完成させる」予定という。ウェブサイトでは、「ヘルファイアは研究目的で使用されており、必ずしも意図した用途ではない」と、多関節システムの利用を強調している。


試験前と試験中のロケットソリに乗った「ミュータント」ヘルファイアの合成画像。USAF


AFRLは、この開発が、将来の空中戦のビジョンで重要になると見ている。

 「次世代航空支配(NGAD)には、有人・無人航空機、それらの武器システム、それらの間の通信の幅広い進歩が必要です」と、AFRLはMUTANTのウェブページで述べている。「ACAS(関節制御作動システム)技術は、限られたコストで、より長い距離で高度に機動的なターゲットや脅威を迎撃することにより、将来のNGAD要件を満たすのが目的」。

 空軍のNGAD構想は、乗員搭乗型・非搭乗型を問わず、先進的な新型機の開発をはじめ、新しい武器、センサー、ネットワーキング、戦闘管理機能、先進ジェットエンジンなど、多方面にわたる取り組みだ。各システムすべてが最終的に協調的なエコシステムとして機能し、中国やロシアのようなほぼ互角戦力を有すの相手に対しても、こちらの航空戦力が質的優位性を維持できることが期待されている。


ロッキード・マーティンが2022年公開した、進化した第6世代ステルス戦闘機のレンダリング。 Lockheed Martin


MUTANTに関しては、米軍全体が、高度な戦闘機、ドローン、ミサイルなど、機動性の高い空中の脅威に直面する未来を想定していることから、このプロジェクトが実現した。パイロットの身体的制約を考慮する必要がない非搭乗プラットフォームは、特に極端な操縦を可能にする可能性がある。そのため、既存のミサイルシステムでは有効でなくなる可能性があるのだ。

 こうした将来の高度な空中脅威の多くは、超音速または極超音速で飛行しながら、操縦する可能性がある。高機動性の極超音速ミサイルの迎撃は、米軍で特に重要な課題で、MUTANTが価値を発揮できる可能性のある分野のひとつだ。

 MUTANTプロジェクトがどう進展し、その技術が最終的に既存の空対空ミサイルや将来の空対空ミサイルに反映されるのか、興味深いところだ。■


USAF Testing 'Mutant' Missiles That Twist In Mid-Air To Hit Their Targets

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED MAR 9, 2023 1:48 PM

THE WAR ZONE


ウクライナ戦の行方、中国がロシアを公然と支援する可能性は薄い。ロシアには暗い結末が待っているのか。

 NASAMS

NASAMS like used in Ukraine. Image Credit: Raytheon.



西側がウクライナを支援し、ロシアが勝つことができなくなっているのにつれ、プーチンは中国にますます注目している。プーチンが習近平から中国の支援を引き出せればまさしく「ゲームチェンジャー」になる。中国の経済規模は大きく、生産性も高い。しかし、中国の介入は希望にすぎず、直近の習・プーチン会談がそれを改めて示した。



 ウクライナにおけるロシアの春の攻勢は、すでに息切れしているようだ。ウクライナ大統領自身も最近、最前線の最激戦区であるバフムート市を訪問している。ロシア軍が総力を挙げて占領をめざすバフムートを訪れることは、ロシアの突破力が本物なら、極めて危険なはずだ。

 ゼレンスキーは今月、日本の岸田首相を首都で迎え、同時に中国の習近平国家主席がモスクワでプーチン大統領を訪問するほどの安心感を得ている。確かに、前線はあまり動いていない。ロシアは冬を終えてリフレッシュし、物資を補充し、再び大規模な攻撃行動を行えるようになるはずだった。しかし、そうはなっていない。突破口を開く機甲戦はなく、ウクライナの備蓄を圧迫する広範囲の前進もない。

 代わりに、ロシアは昨年の夏以来行ってきたことを再び行っている。東部の小都市を対象に、大規模な人海戦術による歩兵攻撃を行い、ウクライナ都市を無作為に砲撃している。前者は多くの死傷者を出し、前進はわずかだ。後者は非戦闘員を無意味に殺害することで世界世論を遠ざけ続けている。もしこれが、開戦からわずか1年後のプーチンの最善策なら、このまま戦争が長引いた場合、どのように勝利できるだろうか。


昨秋のロシア軍増強はどうなったか?

昨年秋、ウクライナの攻勢で占領地を奪還したとき、プーチンは選択に迫られた。より防御しやすい位置に退いて交渉するか、勝利のため再びエスカレートするかである。プーチンは後者を選択した。核兵器によるエスカレーションは問題外であり、通常戦での勝利のために住民を動員することを意味する。新たに数十万人を動員する可能性で、規模が注目された。数十万人が動員され適切に訓練され、装備され、指揮されれば、おそらく戦争に勝つことができるだろう。

 しかし、6ヵ月後のロシアでは、その動員はほとんど行われていない。前線は、昨年末のケルソンでのウクライナの大勝利以来、あまり変わっていない。多くが指摘しているように、ロシア軍は昨年と同じ過ちを犯している。ロシアは、塹壕陣地への歩兵攻撃で人手を浪費し続けている。昨年の大動員で予感された大攻勢は、一向に現れない。

 このことは、ロシアにとって持続可能性が深刻な問題になっていることを示す。戦争が始まり1年しか経っていないが、ロシアは今春の攻勢に備えるのに6カ月もあった。しかし、プーチンは成果をほとんど示していない。訓練も武器もないまま、ウクライナの陣地に投入された新兵は、単に無駄だったのだろうか。ロシアは本当に無駄な人手を持っているのだろうか?プーチンはまた動員をかけなければならないのだろうか。そうすれば、今後の動員はより深く社会に影響を与え、抵抗に火がつくだろうか。

 核兵器の脅威がウクライナとNATOに交渉を迫る、原油高と寒波で欧米のウクライナ支援が崩壊する、中国が助けに来る、などなど、ロシアの戦争戦略は常に、事態を好転させるギミックに富んだゲームチェンジャーに頼ってきたように思える。実際、欧米アナリストもこのようなことを疑っていた。ウクライナがロシアを打ち負かし、ロシアは同じことを繰り返す以外に戦争に勝つための真剣な計画を持たないという、目の前の光景を信じるのは難しい。


中国がプーチンを救済する可能性はおそらくない

中国の介入は常に戦略よりも希望であり、今月の習・プーチン会談はそれを改めて示している。

 両大統領が永続的なパートナーシップについて大言壮語した割には、習近平はプーチンに何も与えなかった。戦争についてNATOを非難したが、核兵器使用については明確に警告した。習近平はまた、プーチンが明らかに必要としている武器の輸送を約束しなかった。習近平はロシアの石油を購入し、ロシアの経済破綻を防ぐのに役立つだろう。習近平は明らかに、ロシアの大敗とそれに続く政権崩壊を望んでいない。

 しかし、プーチンには戦争に勝つことが必要であり、崩壊を食い止めるだけでは不十分だ。戦争が長引けば長引くほど、ロシアは欧米や中国に遅れをとり、ロシアは中国のジュニアパートナーになる屈辱を迫られる。しかし、勝利のために必要な中国の援助は得られない。プーチンは自力で勝てると証明する必要があるのに、自軍は昨年同様、今年も劣勢のままだ。


プーチンはウクライナで動きがとれない

プーチンは窮地に立たされている。中国の援助は、欧米の中国への大規模な反発を活性化させるため、習近平は提供しないであろう。ロシア軍は驚くべきことに、敵に適応できないようで、今年も何万人もの新規兵員を無駄遣いしながら、大きな収穫はなかった。ウクライナが負けない限り、ウクライナは勝ったことになる。ロシアは侵略者で、勝たなければ疲弊し、撤退の圧力が強まるだろう。

 私たちは皆、状況を一変させるロシア国内のクーデターを待ち続けている。私たちは皆、大国ロシアが、特にウクライナのような中堅国に勝てないことに警戒心を抱いている。しかし、それが現実であり、プーチンがそれに対して打つ手がないことが明白になっている。■


Can Russia Win in Ukraine Without Major Help from China? - 19FortyFive

By

Robert Kelly


Dr. Robert E. Kelly (@Robert_E_Kelly; RobertEdwinKelly.com) is a professor in the Department of Political Science at Pusan National University and 19FortyFive Contributing Editor.


2023年4月3日月曜日

お知らせ 4月2日の林外相訪中の意義について、中共の主張を記事にしています Know Your Enemy

 敵性国家の考え方をより良く理解して、自由陣営がより良く防衛するための当方のブログKnow Your Enemyに最新記事『林外相にアメリカの手先になってはいけないと講釈した。スパイ逮捕されたビジネスマンなど些少な話題。平和条約締結45周年の今年に日本の譲歩を要求する中共。』を掲載しましたので御覧ください。https://knowyourenemy2022.blogspot.com/

日本国内の報道と全く違う観点を堂々と主張していることにご注意ください。


好調なF-35販売。プーチンが大きく貢献しているという皮肉な背景。フィンランド、スイス、ドイツ、カナダ....更に増える?

 Denmark's Minister of Defence Troels Lund Poulsen and US Ambassador to Denmark Alan Leventhal attend an event of the US Air Force visits with five US F-35 fighter jets at the Danish Airbase Fighter Wing Skrydstrup in Jutland, Denmark, on March 10, 2023.

デンマーク国防相 Troels Lund Poulsen が在デンマーク米大使 Alan Leventhalとデンマーク空軍基地に展開した米空軍F-35を視察した。Danish Airbase Fighter Wing Skrydstrup in Jutland, Denmark, on March 10, 2023. BO AMSTRUP/RITZAU SCANPIX/AFP VIA GETTY IMAGES


米国が中国を重視する中、NATO同盟国が踏ん張っている証左は最近のF-35取引だと欧州の米空軍トップが述べた

ラジーミル・プーチンのウクライナ侵攻でF-35販売が伸びている。

ヨーロッパおよびアフリカ方面アメリカ空軍の司令官ジェームズ・ヘッカー大将Gen. James Hecker, commander of U.S. Air Forces Europe and Air Forces Africaは、加盟各国はアメリカが中国を重視していることを承知していると述べた。このため米国がF-16をドイツのスパングダーレム基地から日本の嘉手納基地に移すことを決めたが、NATOにとっては驚きではなかった、と言う。

大将は「米国依存度を下げる必要がある」と「ずっと」NATOに言ってきた。NATOは歩み寄りを見せている、とヘッカー大将は水曜日行われたミッチェル航空宇宙研究所でのイベントで述べた。

ロシアのウクライナ侵攻以来、4カ国がF-35購入を約束し、プーチンの意図とは「正反対」の効果を示している、とヘッカー大将は指摘する。

フィンランド、スイス、ドイツは昨年、F-35の購入申し出と受諾書(Letter of Offer and Acceptance)に調印した。カナダは1月に正式な調達合意を発表した。

ヘッカー大将は、2034年までに600機以上のF-35がヨーロッパで運用されると述べ、「その600機のうち、米国は約50機だけで、90%以上はパートナーや同盟国」と語った。

スウェーデンとフィンランドがNATO加盟すると、多くの効果がもたらされるとヘッカー大将は付け加え、前者がグリペンE/Fへのアップグレードを計画していること、後者がF-35を60機購入しようとしていることを指摘した。

グリペンのE/FアップグレードとF-35の60機購入について、ヘッカー大将はこう指摘をした。「グリペンは素晴らしい能力と地理的条件を備え、第5条発動を迫られた場合に役立つ」。

ヘッカー大将は、昨年のロシアの侵攻後、ヨーロッパで集中的に戦闘空中哨戒を開始した空軍は、現在、ウクライナ国内の紛争を抑えるため日常的な「定常」“steady state”作戦に絞り込んでいる、と述べた。

「抑止力を高めるため、実弾ミサイルを満載した戦闘空中哨戒も行うが、それ以上の抑止力になるのは、現地展開する際に、第5条を発動する場合を想定し、実際に行う任務をあらかじめ練習することだ」。

また、空軍はF-35の全顧客に対し、エンジンアップグレード費用を援助するよう求める意向であると、ブレイキング・ディフェンスは報じている。

このアップグレードは、次世代兵器やシステムのための電力と冷却を追加するもので、2030会計年度の第1四半期後半から第2四半期前半に準備が整うと、F-35統合計画室の広報担当者Russell GoemaereはDefense Oneに語っている。

供用中のF-35でエンジンアップグレードを施すのにどれくらい時間がかかるのかという質問に対して、Goemaereは、プログラムの取得戦略が確定した後に判明すると述べた。

空軍は、2024年度予算要求でF-35A48機を要求しており、これは昨年議会が承認したより5機多い。空軍は約350機のF-35を保有しており、合計1,763機を購入する。■

F-35 Sales Rise as Russian Invasion Grinds On - Defense One


BY AUDREY DECKER

STAFF WRITER

MARCH 23, 2023 12:33 PM ET


2023年4月2日日曜日

フィンランドがNATO加盟へ。加盟を見越しフィンランド上空にNATOのISR機材が飛行するパターンが生まれていた。ロシアは当然神経質になる。

 U.S. RC-135 Surveillance Jet Has Flown Unprecedented Mission Over Finland (Updated)

フィンランドのNATO加盟が近づく中、米国などNATO偵察機がフィンランド上空で見られるのが日常的になる

メリカ空軍のRC-135V/Wリベットジョイントは、初めてフィンランドの領空内へ展開し、ロシア国境の反対側を飛行した。昨年、ロシア軍がウクライナに侵攻したのを受け、フィンランドはNATO加盟を決定しており、このような飛行は日常的なものとなりそうだ。今日のフライトは、フィンランドがNATOに加盟すれば、上空からのロシア監視の取り組みが拡大できる。

オンライン飛行追跡サイトでは、今日未明、イギリスのミルデンホール空軍基地を離陸した、製造番号62-4131、コールサインJake 11のRC-135Wリベットジョイント機を捉えた。同機は英仏海峡、オランダ、ドイツ、ポーランド上空から北上した。

ADS-Bエクスチェンジが捉えたRC-135Wシリアルナンバー62-4131の本日のフライトの全容。ADS-Bエクスチェンジ

その後北上し、リトアニア、ラトビア、エストニアを通過し、フィンランド湾を越えフィンランド領空に入った。その後、ロシアのラドガ湖や戦略的な港湾都市サンクトペテルブルクに面した同国南東端を中心に、多くの軌道を周回し、帰還した。

サンクトペテルブルクには、ロシア西部軍管区の司令部とロシア海軍のバルチック艦隊の一部がある。フィンランドを除き、RC-135Wが飛行した他の国はすべてNATO加盟国。

本日フィンランド領空でミッションを行ったようなアメリカ空軍のRC-135V/W リベットジョイント。USAF

フィンランド国防軍(Puolustusvoimat)による本日の声明は、米空軍のRC-135V/Wリベットジョイント、またはその他の米軍の有人・無人の情報・監視・偵察(ISR)航空機が、同国政府との連携でフィンランド領空内で任務を遂行したのはこれが初めてだとしている。「フィンランドの軍事的安全保障の状況や環境には、最近のところ変化はありません」とフィンランド国防軍の声明は強調している。

「国際的なパートナーとの飛行作戦は、通常の二国間および多国間協力です。フライトはフィンランド国防軍の相互運用性を高め、共通の状況認識を向上させ、国防を強化する」とあり、「このフライトは、防衛協力の発展に対する相互のコミットメントを示すもの」。

しかし、声明では「作戦上の安全上の理由から、飛行の詳細を公表することはできない」としています。

飛行の具体的な目的については不明。本誌は、空軍に詳細な情報を求めている。


62-4131の今日の飛行経路のパターンは、ヨーロッパのその他場所や世界中で日常的に観察されるリベットジョイントの出撃と非常に一致している。C-135ベースのISR機は、アメリカ空軍とイギリス空軍で使用されており、非常に強力な信号情報(SIGINT)プラットフォームだ。

リベットジョイントに搭載されたセンサーは、通信傍受はもちろん、防空レーダーなどの信号放射体の詳細や位置も把握できる。通信傍受では、言語スペシャリストが搭乗し、即座に処理・分析を開始する。また、レーダーや信号機のデータに目を通し、特定地域における敵または敵の可能性のある能力について、いわゆる「電子戦闘命令」の構築に役立つ専門家も機内ににある。

RC-135V/Wの機体内部レイアウト、クルー構成、能力などを概観するグラフィック。 USAF

また、リベットジョイントの内部では、通常、少なくとも1名が、通常または未知のタイプのシグナルを監視し、別途、さらなる分析が必要か判断する任務を負っている。

フィンランド国境にあるロシアの防空施設やその他の軍の正確な配置に関する詳細は、米国政府、フィンランド当局、その他のNATO諸国にとって大きな関心事である。昨年、ロシア軍はウクライナで戦う部隊を強化するため、フィンランドに隣接する地域から部隊を撤退させていると報道があった。

しかし、1月、ロシアのショイグ国防相は、フィンランド国境沿いのカレリア半自治共和国に「軍団」(ロシア用語で数千人規模の地上編隊)を新設する計画を発表した。この1年余り、ウクライナで失った人員を補うため、部分的な動員をかけながらも奮闘してきたロシア軍が、この部隊を実際に立ち上げるまでにどの程度前進したかは不明である。

また、フィンランド=ロシア国境は、昨年から出動命令から逃れるロシア人の渡航先として注目されている。フィンランド当局はその後、ロシア人が国境を越えられないように物理的障壁を設置そている。

フィンランド国防軍は、今回の飛行は最近の出来事に対応したものではないと発表したが、フィンランドは明らかに東の隣国に懸念を抱いている。それよりもフィンランド領空へのアクセスを米国や外国のISR機に許可したことが重要だ。

リベットジョイントはフィンランド領空から、フィンランド湾とその周辺の防衛や軍事活動に関する情報を収集できた。この水路は、サンクトペテルブルクとバルト海を結ぶロシア海軍の艦船にとって、北海、そして大西洋に出るための唯一のリンクだ。ロシアのウクライナ侵攻に先立ち、バルチック艦隊の水陸両用艦が黒海に再配備されたのは記憶に新しい。トルコ当局はその後、どの国の艦船も黒海進入を全面的に禁止している。

この地域の他の場所での侵略の可能性への持続的な懸念のため、ヨーロッパ周辺でのロシアによる海洋行動が特に注目されている。例えば、2022年9月、バルト海の複数の天然ガスパイプラインが、いまだに原因不明の連続水中爆発で深刻な被害を受けた。意図的な攻撃の結果との見方が強いが、行為者の犯行を特定し断定する確たる証拠は今のところない。

ウクライナ以外でのロシアの攻撃的な行動、特に西側のISRプラットフォームへの反応の例として、3月14日に米空軍のMQ-9リーパー無人機がロシアのSu-27フランカー戦闘機と衝突し、黒海に墜落した。アメリカ政府関係者によると、これはフランカー2機が無人機を「無謀」で「プロフェッショナルでない」方法で迎撃した結果だという。

米空軍のリベットジョイントや、その他のISRプラットフォームによるこの種の飛行が、今後一般的になる可能性がある。

フィンランド国防軍の声明によると、フィンランド領空での同様の飛行は、将来的にも、無人機と有人機の両方で、さまざまなタイプの航空機で実施される予定とあり、飛行は、フィンランド国内の法律や規則に従い、国の指示と監督の下で行われる」とある。"

この地域でのリベットジョイントの定期的な飛行は、航空機がフィンランド国内から収集できる前述の種類の情報を考えると、特に貴重となろう。飛行追跡データが示すように、フィンランド空域に定期的にアクセスすることで、将来的にさらに幅広い任務のための新しいルートを確保できる。例えば、RC-135V/Wは、フィンランドからリトアニア、ラトビア、エストニアのバルト三国を貫く一つの「線」に沿い、一回の出撃で情報を収集できる。62-4131がそれをある程度実現した可能性もある。バルト海地域は、ロシアの高度な戦略、厳重な要塞、地理的に隔絶されたカリーニングラード飛び地を含み、軍事的、経済的に大きな意味を持つ地域だ。

特にフィンランドの航空情報収集能力が比較的限られているため、米国や他のNATOのISR機へアクセスを提供することは、フィンランドにとって大きな恩恵となる。シンクタンク国際戦略研究所の「The Military Balance」2016年版では、フィンランド空軍のISR能力の中心は、シギントミッション用に設定されたCASA C-295双発ターボプロップ1機だ。また、一般的な空中監視や海上監視に採用できるリアジェット35ビジネスジェットも3機保有している。

すべて、フィンランドがNATO正式加盟にますます近づいていることと一致している。フィンランドのサウリ・ニイニスト大統領は本日、必要な法律に署名し、同盟加盟への道を開いた。あとは、現加盟国が全会一致で承認するのみである。

トルコとハンガリーは、地政学的な理由から、フィンランドと隣国スウェーデンの同盟加盟を阻んできた。トルコとハンガリーの当局者は先週、フィンランドの加盟を認める方向で動くと発表したが、これは大規模交渉の末のことだった。

東部標準時午後8時10分更新:

2021年の米空軍ニュースに、同年10月15日にフィンランド上空でRC-135Wリベットジョイントが空中給油を行ったことが記載されていることが判明した。しかし、その出来事の正確な状況は不明。

今回のフライトと思われるフライトトラッキングデータは入手可能だが、フィンランド領空を通過した時間は示されていない。このフライトは、バレンツ海上での米英RC-135の比較的標準的な任務であったようだ。

2023年3月24日更新

米国欧州軍(EUCOM)は、RC-135V/Wリベットジョイントが初めてフィンランド上空を飛行したことを確認し、「フィンランドとの相互運用性を向上させ、即応性を高め、訓練機会を提供するという米国欧州軍の共通のコミットメントを示すもの」と述べている。

「フィンランド国防軍の招へいで飛行し、フィンランド、米国、NATOの間の防衛協力をさらに進めるのが目的だった」とEUCOMは、今日のプレスリリースで付け加えた。「このようなタイプの出撃は、機動戦闘コンセプトをサポートし、NATO同盟国と地域のパートナーの相互運用性を確保する地域演習への参加につながる」。

「あらゆる領域における米軍の作戦準備態勢は、パートナーシップの構築、危機対応、抑止力の提供、同盟国協力国の支援に不可欠だ。情報・監視・偵察は、米空軍の中核的な任務の一つだ」とリリースは付け加えている。「フィンランドやNATO同盟国と、ISRミッションはグローバルな警戒に不可欠であり、ダイナミックな安全保障環境で必要とされる作戦の俊敏性を可能にしている」。■


U.S. RC-135 Surveillance Jet Has Flown Unprecedented Mission Over Finland

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED MAR 23, 2023 6:19 PM

THE WAR ZONE


フォード級二号艦ジョン・F・ケネディの海軍引き渡しが遅れる

 


ニューポートニューズ造船部門のピア3に空母ジョン・F・ケネディ(CVN-79)が鎮座している。同艦は約76%完成し、最終艤装とテストを進めている。Huntington Ingalls Industries photo.

今週発表の2024年度予算案によると、フォード級空母2号艦は、想定より1年遅い2025年に海軍に引き渡されるとある


海軍は、将来の空母ジョン・F・ケネディ(CVN-79)の納期を2024年6月から遅らせ、艦のPSA(Post Shakedown Availability)を変更し、建造中に作業多数を行うことにした、と2024会計年度の予算文書で記載している。

海軍によると、変更スケジュールは、ケネディがインド太平洋に展開する準備の完了を保証しますものだという。

「このアプローチで、インド太平洋地域に配備される最初のフォード級航空母艦としてCVN 79を準備し、CVN 79がPSAを実施するため引渡し後に造船所にとどまる時間を減少させる」と文書にある。

2020年、海軍はケネディを一期納入に切り替えた。その決で、予算書によると、ケネディの詳細設計と建設契約に2年分のの作業が追加された。

追加作業とスケジュールは、ニューポートニュースがF-35CライトニングII統合打撃戦闘機とエンタープライズ航空監視レーダーを空母に搭載する改造と、USSジェラルド・R・フォード(CVN-78)建造時に造船所が発見した問題の修正を行うためと予算書は述べている。

「追加期間と新しいシステムの組み込みをサポートするために、エンジニアリングとロジスティクス製品、および新しい戦闘システムのライトオフと認証の追加資金が必要だ」と文書は述べている。

2019年12月にHIIのニューポートニューズ造船所でケネディが命名されたとき、同空母は2022年納入を予定していた。しかし、当時の海軍は、ニューポート・ニューズで艦の大部分を建造したあと作業を一時中断し、後から追加システムを導入するデュアルフェーズ・デリバリー計画を進めていた。

二段階納入の目的は、海軍のヤードでの建設スケジュールを節約しつつ、ケネディの艦隊編入とUSSニミッツ(CVN-68)の退役が重なり、財政的にも人員的にも負担になるのを避けることにあった。また、最新の電子機器を空母に搭載できるようになると海軍は述べていた。二段階方式では、ケネディは引き渡し後、F-35Cのための遡及的な改造を受ける予定だった。

しかし、最新空母に第5世代戦闘機を搭載する能力がないことが議員を怒らせた。議会がケネディのPSAを終える前にF-35CライトニングII統合打撃戦闘機の実戦能力を持つことを義務付け、2020年に海軍はデュアルフェーズ納入戦略を断念した。

その後、海軍は単一フェーズアプローチへの移行に伴い、ケネディの引き渡しを2024年と予測した。海軍は2023年度予算書で2024年6月の引き渡しを予想していた。■

Ford Aircraft Carrier John F. Kennedy to Deliver a Year Later - USNI News

By: Mallory Shelbourne

March 23, 2023 4:22 PM • Updated: March 23, 2023 8:07 PM


2023年4月1日土曜日

グアムを中国ミサイル脅威から守り抜くべく、米軍は懸命の努力を続けている

  • 西太平洋の拠点グアムを中国のミサイル脅威から死守すべく米軍は多額の予算を投じる

  • モデルはイスラエルの多層構造ミサイル防衛だ

  • ただし、異なるシステムの統合が課題

  • 中国は各種ミサイルによる飽和攻撃を狙っているのか



Aviationweek記事からのご紹介です。


アムの人里離れたノースウェスト・フィールド滑走路にあるサイト・アルマジロの朽ち果てた駐機場に、米陸軍の最新鋭ミサイル迎撃砲台が、弾道ミサイル攻撃から米領を守る唯一の存在として、ぽつんと立つ。

2015年に北朝鮮の弾道ミサイル実験に対応し、陸軍が終末高高度地域防衛(THAAD)砲台7隊の1つをマリアナ諸島に永久配備して以来、多くの変化があった。以来、弾道ミサイル能力は拡大したが、西太平洋における米軍の重要な作戦拠点であるグアムにとって、平壌は第二級の脅威と位置づけられている。

今や最大の懸念は中国だ。この8年間で、中国軍は極超音速滑空体(HGV)を搭載するDF-17ミサイル、DF-26中距離弾道ミサイル(IRBM)、空中発射のCJ-20陸上攻撃巡航ミサイル(LACM)など、グアムを標的に多様な新戦力を実戦投入してういる。複数の方向から数十発発射すれば、中国の兵器はTHAADバッテリーのTPY-2レーダーと迎撃ミサイル48発を圧倒できる。

コロンビア特別区の3倍の面積を持つグアム島をミサイル攻撃の前に難攻不落の要塞にするべく、数十億ドルをかけた取り組みが進行中だ。ミサイル防衛庁(MDA)は2024年末までに運用開始する第一層防衛の用地を選定した。MDAは、全方向からあらゆる種類のミサイル攻撃をはねのけることができるようになるまで、グアムで新しい防衛施設を追加していく。

さらに、MDAが選択したアーキテクチャは、陸上と海上のミサイル防衛への米軍アプローチで統一をめざしている。グアム防衛システムは、陸軍、海軍、MDAが数十年にわたり別々に開発してきたセンサー、迎撃ミサイル、コマンド&コントロール・ノードを統合する。その過程で、統合アーキテクチャは、軌道ロケットから発射されるHGV、ステルス巡航ミサイル、高高度気球など、国土に対する多様な新しい脅威に対処する新しいテンプレートを提供する可能性もある。

MDA局長ジョン・ヒル海軍中将は、3月24日に開催された戦略国際問題研究所主催のイベントで、「グアムの位置は戦略的な場所である。インド太平洋で起こるかもしれない小競り合いには欠かせない存在です」と述べた。

将来の防衛は、容量、カバー率、柔軟性など、現在のアーキテクチャの限界を解決する必要がある。アルマジロ施設のTHAAD砲台は、北西からの弾道弾の終末期には効果的な対抗手段となるが、あらゆる方角からやってくる高機動HGVやLACMなどの低空脅威にはほとんど抵抗できない。

大まかに言って、グアムの防衛計画は単純明快だ。海軍のイージス戦闘システムの陸上型が、DF-26や空中発射のDF-21といったIRBMやHGVの撃破に割り当てられる。遠い将来、MDAは、レイセオンSM-6迎撃ミサイルの特殊バリエーションに依存する既存のシーベースターミナル防衛を補強し、より効果的にHGVに対抗するためグライドフェーズインターセプター(GPI)を追加する予定だ。

LACMや長距離滞空弾を迎撃するため、MDAは中距離ペイトリオットミサイルバッテリーと陸軍の短距離間接火器防護能力(IFPC)インクリメント2の組み合わせを選択した。これはダイネティクスのエンデュアリング・シールドランチャーとレイセオンのAIM-9Xサイドワインダーの地上発射バージョンを組み合わせたものだ。

グアムにおけるMDAのビジョンは、イスラエルで展開されている多層アーキテクチャに似ている。イスラエルの国土はグアムの5倍もあり、地域およびローカルなミサイル攻撃という同様の360度脅威に直面している。

イスラエル航空宇宙産業ボーイングのアロー3および4迎撃ミサイルは、IRBM一斉発射に対する最前線の防御で、ラファエル/レイセオンのデイビッズスリングシステムは、短距離弾道ミサイルとLACMを打ち落とすスタナー迎撃ミサイルを装備している。最後に、米軍が2021年にグアムに実験的に配備したアイアンドームシステムは、ロケット弾や迫撃砲、滞空弾による攻撃からイスラエルを防衛している。

一見簡単そうに見えるが、MDAのグアム向けアーキテクチャには、完全解決まで数年かかりそうな統合の課題が多数ある。

グアムの弾道ミサイル防衛ソリューションの進化が課題を物語っている。2021年に米インド太平洋軍司令官を退任したフィル・デビッドソン海軍大将(退役)は、定置型固定サイト・イージス・アショア・システムをグアムに設置する選択肢を提唱していた。

しかし、バイデン政権が2023年度予算でグアム防衛システムの立ち上げを約束したころには、MDAは別のアプローチを選択していた。グアム南西海岸には標高1,000~1,300フィートの山が連なっており、1カ所で水平線まで360度カバーすることは不可能だ。代わりに、グアム政府関係者は、イージス戦闘システムの4つのSPY-6レーダーアレイを島内に分散させようとしている。レーダーはまた、固定プラットフォームから車両で移動され、システム名称をTPY-6に変更する。

イージス艦の迎撃ミサイルでは、長距離のSM-3と短距離のSM-6がIRBMとHGVに用意されているが、TPY-6はLACMの探知と追跡も提供する。LACMはペイトリオットとIFPCに搭載され、海軍のレーダーと陸軍部隊の間に統合が必要となる。

分散型センサーと異なるタイプの発射台の統合は、ミサイル防衛では新しい話題ではない。20年前から、海軍のCEC(Cooperative Engagement Capability)プログラムでは、地表と空中のセンサーをネットワーク化し、戦闘機や巡航ミサイルによる攻撃を撃退するための統合火器管制システムを構築してきた。最近では、陸軍の統合型航空ミサイル防衛戦闘指揮システムにより、THAADバッテリーのXバンドレーダーがペイトリオットバッテリーのCバンド火器管制システムに軌道を渡せるようになった。

グアム防衛システムの場合、MDAは、イージスシステムのSバンドTPY-6 レーダーからペイトリオットバッテリーの Cバンド MPQ-53 火器管制レーダーへ長距離目標追跡をどう引き継ぐかの決定を迫られる。アーキテクチャのレイヤーが増えるにつれ、MDAが提案する Hypersonic and Ballistic Tracking Space Sensor、Space Development AgencyのTracking Layer、Space Systems Command の Missile Track Custody Program など、宇宙ベースのセンサーから導かれる GPI の到着でも同様の統合課題が残る。

MDAは、CECからペイトリオットバッテリーに巡航ミサイルの追跡データを引き渡す能力を実証中だ。2021年7月のJoint Track Management Capability (JTMC) Bridgeのテストでは、MPQ-53レーダーが妨害を受けていても、ペイトリオット部隊がミサイルを撃墜できた。

軌道レベルの情報を融合させることで、別の場所のセンサーが遠隔地のミサイル砲台に発射合図を出す、ローンチオンリモート機能が可能となる。

MDAは最終的に「engage-on-remote」能力の実現を目指しており、遠隔地センサーが発射後に追跡座標の更新を連続的に迎撃ミサイルに供給する。こうした継続的な更新は、弾道ミサイルの予測進路の迎撃には必要ないが、高機動のHGVやLACMの撃墜には必要となることがある。

「これは簡単ではない」とヒルは言う。「イージス艦から飛来する弾道は、ICBSでは見れない。そして、そのトラックとICBSのトラックを関連付けなければならないのです。重複になりかねません」。

2021年7月のJTMCブリッジのデモンストレーションは重要だったが、戦闘能力の証明には至らなかった。

「トラックピクチャーを使えると確信できるようになるには、作業が多数残っている」(ヒル)。

グアムでは、MDAのオプションとして、イージス艦とICBMSの間で直接、JTMCブリッジ機能を通じ間接的に、あるいは弾道ミサイル追跡をサポートする設計のMDAの既存の指揮統制・戦闘管理・通信(C2BMC)システムを通じ間接的に追跡情報を融合する3レベルのいずれかを選択している。

「では、どれがベストなのでしょうか?C2BMC、レーダーへの直接タップ、それともブリッジ経由?」 とヒルは選択肢を並べた。「いろいろと研究しているところです」。

短期的には、予算圧力のためMDAはC2BMに向かうかもしれない。

「我々は[2024年のフィールドスケジュール]を満たすために、今、既知の方法を実行し、その後、継続的に改善していく」「しかし、非常に困難なエンジニアリング作業で、最初のインスタンシエーション(実体化)になりそうもありません」。■

Multibillion-Dollar Guam Defense Poses New Missile Defense Challenges | Aviation Week Network


Steve Trimble March 30, 2023


Steve Trimble

Steve covers military aviation, missiles and space for the Aviation Week Network, based in Washington DC.