2013年6月7日金曜日

ブラジル戦闘機商談はボーイングが勝者になりそう

Brazil Closer To Boeing On Jets Deal After Biden Visit

By Brian Winter/Reuters

aviationweek.com June 05, 2013 
Credit: Boeing

ブラジルがボーイングF-18選定に近づいており、開発途上国の次期戦闘機選びの中でも最注目されていた案件はジョー・バイデン副大統領U.S. Vice President Joe Bidenのブラジル訪問を契機に決着しそうだ。
  1. バイデン副大統領は5月31日ジルマ・ルソフ大統領President Dilma Rousseff 会談し、ボーイングによる高度技術移転を米議会が承認すると確約している。
  2. ボーイング案は36機合計40億ドル規模で追加発注も含めるとさらに規模が増えそうだ。これだけの規模なので米国および欧州防衛産業が受注をめぐりしのぎを削ってきたわけだ。
  3. 選定に最後まで残ったのは他にフランスのダッソーエイビエーションSAおよびスウェーデンのサーブABだった。
  4. ルソフ大統領はまだ最終決定しておらず、公表予定も不明であると同国関係者は強調。
  5. . しかし同時にルソフ大統領からバイデン副大統領へのコメントおよび直近の出来事を勘案するとボーイング有利と見られ、次回ルソフ大統領の公式訪米(10 月)以前に最終決定となる公算が大。「もしボーイング受注となればバイデン副大統領の功績は大きいと見られるでしょう」とブラジル政府筋は語る。
  6. ルソフ大統領がボーイング案で懸念しているのは米議会が安全保障を理由に技術移転にまったをかけることだ。ブラジルは対米友好関係を維持しているものの、イラン他米国と対立する国家との関係で米議会関係者に苛立ちを覚えさせている。
  7. ルソフ大統領の政治的立場は現実重視の左翼で技術移転はエンブラエル含む国内防衛産業の基盤強化にとって重要と見ており、支払う費用以上の価値があるとしている。金曜日の会談でも大統領が最初に言及した話題がジェット戦闘機購入および大統領自身が技術移転を重視している点だったという。
  8. バイデン副大統領は議会が確実に本案件を支持するとの全面的約束こそしなかったが、自身の30年にわたる上院議員としての経験から大統領の懸念材料をひとつずつ説明していたったという。
  9. バイデン副大統領は上院内民主党議員は戦略的防衛装備売却問題でオバマ大統領案に反対したことはなく、ジョン・マケイン議員率いる共和党勢力も大部分がブラジル向け販売に支持の立場を表明していると説明。
  10. 国防予算削減の中で今回のように米国企業を助ける効果の野ある商談への反対姿勢は議員間で減ってきているとも副大統領が説明している。
  11. 戦略的に難易度が高い中東のような対象国への防衛装備売却には議会が待ったをかけた例が複数あるが、平和かつ民主主義が機能しえている南アメリカのような地域では問題がないとも発言。
  12. これに対しルソフ大統領からバイデン副大統領に対しボーイング有利になる「心強い」発言に感謝する旨の発言があったという。
  13. 以上の内容について確認を求められたホワイトハウスからは「私的会話についていちいちコメントしないが、一般論として米国はボーイング入札内容を強く支援する」との関係者発言が出ている。
  14. ブ ラジルの決定にハンディとなるのは戦闘機選定が先送りにされてきたことだ。ブラジル空軍の旧式ミラージュ戦闘機の後継機えらびが始まったのは1990年代 で、ルソフ大統領の前任は2009年にダッソーを選ぶ、と公式発言している。ただし予算問題や選挙をにらんだ動向など各種の理由によりその後の政権は決断 をしてこなかった。そのため企業幹部の中にはかれこれ10年もブラジルを相手に自社の売り込みに懸命になってきた一方で半ば冗談気味にブラジルは本当は戦 闘機を購入するつもりはないのではと嘯く向きもある。
  15. にもかかわらず今後こそルソフ大統領が今年中に決定を発表すると考えら得る理由があり、ボーイングが商談をものにすると考えられる。
  16. ブラジル軍部からはミラージュの保守維持は今年以降大変困難になるとの声があり、2014年に大統領再選を狙うルソフには経済の行方が微妙な時期に大規模支出決定を公表するなら来年まで待てないはずだ。
  17. ルソフ大統領は今回の商談をブラジルの戦略的な位置づけを今後数十年にわたり決定するものと位置づけており、これをバイデン会談で繰り返し発言しているという。
  18. . シリア問題など米国の意向とは逆の発言もあるものの、ルソフ大統領は米国とのいっそう緊密な協力関係を求めており、米国からの閣僚・大物議員の繰り返し訪 問を受けたのち、オバマ大統領からの公式訪問招待を受諾した。実現するとブラジル大統領の訪米は20年間ではじめてとなる。
  19. 米国の側では2月にエンブラエルを選定し空軍向け軽攻撃機材20機の契約を交付している。ブラジルの視点ではこれはF-18購入の必要条件だった。
  20. フランスはブラジルと潜水艦建造で合意しており、戦闘機選定で外れると潜水艦技術移転でも消極的になるかもしれないと関係筋は見る。
  21. フ ランスとスウェーデンからは世界貿易機関事務局長へのブラジル候補選出に反対する動きがあると伝えら得れたが、ブラジルは「そんなこともありますが、戦闘 機選定にすべて関係してくるでしょうね。大規模支出だからこそ正しい相手を選びたいのです」との関係者発言が出ている。■   

2013年6月6日木曜日

韓国F-X選定で念頭にあるのは北朝鮮よりも日本の存在なのか

何 かと日本への対抗心が強いおとなりの韓国ですがいよいよF-X第三段階の選定が大詰めになって来ました。F-35Aが最右翼なのでしょう。しかし、日本に この地域で唯一設置されることになっている同機の保守点検施設の利用は最初から排除するだけでなく、選定にあたっての潜在敵国の一番が日本と想定している ようで、日本の国防観との温度差は想像以上のようですね。どうして同じ価値観を共有すべき隣国が仮想的国になってしまうのか理解に苦しむところです。

South Korea Nears F-X Phase 3 Decision

By Bradley Perrett
Source: Aviation Week & Space Technology

aviationweek.com June 03, 2013
Credit: Lockheed Martin
Bradley Perrett Seoul

韓国F-Xフェイズ3の選定決定をいよいよ今月に控える中、要求水準が北朝鮮対応だけを想定していると考えたら間違いと韓国政府関係者は語り、60機もの高 性能戦闘機導入の決め手は戦略的な優位性の日本、中国、ロシアに対する確保だとする。同国は脅威をこの順番で意識しているらしい。
  1. 「近 隣国が戦闘機性能を向上させる中、わが国も追随する必要があります」と政府関係者その1は語る。二番目の関係者はさらに詳しく説明する。10年前にF-X フェイズ1および2で導入したボーイングF-15K合計60 機で北朝鮮への攻撃能力は十分な水準だという。フェイズ3の真の狙いは日本がロッキード・マーティンF-35Aを導入し、中国がJ-20を開発、ロシアも スホイT-50(PAK-FA)を開発中への対抗とする。フェイズ1および2でさえ北朝鮮は問題の一部と想定されていたにすぎないという。
  2. これこそ韓国の国防調達計画庁Defense Acquisition Program Agencyが空中戦と攻撃ミッションに等しい重要性をF-Xフェイズ3に与える理由だが、北朝鮮戦闘機部隊の撃滅は難題ではない。
  3. 今 年に入り北朝鮮が繰り返す挑発姿勢がフェイズ3の優先順位を変えたか不明だが、北朝鮮が米国製候補F-35AおよびF-15SEに優位に働いたのは明らか でユーロファイター・タイフーンは劣勢が隠せない。そのポイントは韓国防衛での米国の寄与度への見返りに米国製装備導入を大規模に行うことであり、米国製 二機種に選択が絞られる。
  4. 北朝鮮が好戦的態度に出る前は米国が韓国の大きな支えであることは意識しつつ、一度は例外的に米国製以外の戦闘機を導入してもいいのではとの機運もあった。とくにユーロファイターからは広範囲の技術支援の申し出があった。
  5. た だしKF-Xの国内生産は絶対条件ではなく、F-Xフェイズ3で技術移転条件を提示した会社が落札しても実際に移転できなかったらどうなるか。これが韓国 関係者が考える機材輸入の落とし穴だ。各社とも技術提供を提示しており、とくにユーロファイターは米国政府による規制対象ではない。さらにユーロファイ ターの株主EADSからはタイフーン導入の場合は20億ドルを投資するとの申し出がある。もしEADSが落札しKF-X計画が頓挫した場合は投資義務も消 滅する。このためKF-X開発支援との約束には疑問符がつく。戦闘機国産化には価格に加え実現不可能として国内の反対も根強い。
  6. EADS は整備施設と航空宇宙ソフトウェアセンターの設置も提案している。タイフーン国内生産も可能だ。米国側からも航空産業での付随恩恵も提案されている。韓国 航空宇宙産業Korea Aerospace Industries (KAI)はさらに大きな役割を果たす可能性がある。F-35では高度な内容の生産に関与でき、同機の長期間供用を考えるとメリットも大きい。ただし韓国 軍のF-35Aは日本国内の整備施設を使わないと韓国筋が見ていることだ。ロッキード・マーティンの提示内容は日本向けと同等であるべきと韓国は主張す る。「二番目の地位をもはや甘受できない」
  7. ロッ キードからはこれと別に米空軍のT-X次期練習機提案の一部としてKAIのT-50練習機二機購入のオファーがあった模様。EADSからT-50をスペイ ン向けに20機導入する追加提案が出れば望ましいとの意見もあるがEADSのKF-X向け投資提案にはこの取引の可能性は示されていない。
  8. タ イフーンは米国製機材より対地攻撃能力で劣るが空対空能力を重視すれば競合性はたかまる。F-15SEやF-35と同様にタイフーンも韓国が重要な要素と 見るLiancourt Rocks上空のパトロール実施が可能だ。韓国と日本が領有権で対立している地点である。このことは北朝鮮以上の潜在脅威を示している。
  9. 同筋によればタイフーンは英国の第一線機材で完成形であるのに対しF-35Aは開発が未完成の機材であり、F-15SEも相当の技術開発が必要な機材である。F-15Kの技術成熟度がフェイズ1および2の選定の決め手であった。
  10. F- 15SEとF-35Aでは韓国が想定する打撃ミッション内容で優位性が左右される。北朝鮮との開戦当初では北朝鮮領土奥深くの飛行は可能性が低い。実施す るには全面的なステルス機が必要だ。むしろ優先順位は前線付近の北朝鮮地上軍の攻撃であり、とくにソウルを狙う砲兵隊の殲滅におく。韓国空軍機とくにF- Xで導入する大型戦闘機は前線に繰り返し出撃し誘導爆弾をソウル北方に投下するだろう。
  11. 推 力と爆弾誘導能力がかぎで、F-15SEが候補機種の中ではもっとも有利だ。F-35Aも対地攻撃能力があるとはいえ、供用開始当初は兵装の外部装着がで きないのが不利だ。敵地奥深く侵攻するのにはF-35Aが適しているが、韓国はドイツ・スウェーデン共同開発のトーラス Taurus空中発射巡航ミサイルを導入しており、国産の地対地巡航ミサイルや弾道ミサイルも配備している。ただしF-35Aでもあえて北朝鮮上空を飛行 させ、攻撃目標を探知させるにはまず防空網を使えなくする必要がある。
  12. 各 種想定は北朝鮮の脅威度をどこまで認識するかでF-Xフェイズ3は左右される。実は韓国は日本をより憂慮しており、F-35Aが注目される。 Liancourt Rocks付近をパトロール中のF-15SEあるいはタイフーンが航空自衛隊のF-35Aを探知できず逆に撃退されたとの報告が入るのは韓国には受容でき ないだろう。F-15では基本設計の古さもあるが、韓国は同機を2060年まで飛行させる予定。
  13. F- 35Aの難点は三機種の中で一番高価格だが空軍としては一番ほしい機種であることだ。韓国政府はF-Xフェイズ3に8.3兆ウォン(73億ドル)を予算計 上しているが、実際には10兆ウォンになりそうと関係者は見る。事実、ロッキード・マーティンは108億ドルと見積もっている。F-15SEは価格が一番 下になるのはF-15Kの支援施設を利用できるためだ。そのため同機を稼動期間20年限定で導入するのが合理性を持ってくるが、政府関係者によるとこの案 は検討もされていないという。■

2013年6月4日火曜日

ロシア製高性能ミサイルS-300がシリアに引き渡されたらどうなるか

 なかなか見えてこないシリア情勢ですが、関係各国の動きのなかでもロシアには要注意です。今回取り上げる高性能対空ミサイルは単体では機能せず、システムで考えるべきものですが、意外に大きな影響を同地域に与えそうです。その中でも現実を厳しく見つめるイスラエルの考え方には日本ももう少し注意して追いかけていく必要があるのではないでしょうか。


Potential S-300 Sale To Syria Catches Israel’s Attention

By David Eshel, Jen DiMascio
Source: Aviation Week & Space Technology

June 03, 2013
Credit: ITAR-TASS/Landov File Photo
David Eshel Tel Aviv and Jen DiMascio Washington

国際社会がシリア内戦に介入すべきかを議論する中、イスラエルはシリアがロシア製S-300ミサイルを導入し防空網を強化していることに懸念を増大させている。
  1. イスラエルにとって.シリアの防空能力増強は潜在敵国と突如開戦になった場合に危険度が上がる意味があるとイスラエル空軍アミル・エシェル少将Maj. Gen. Amir Eshelは解説する。
  2. 「アサド政権は多額の予算で防空体制を整備しています」としSA-17、SA-22、SA-24の購入に加え、以前のイスラエル空爆の教訓から状況認識能力の向上を図っているという。
  3. 先 週になりロシアの外務副大臣セルゲイ・リャブコフ Sergei Ryabkovがモスクワの記者団にロシアはS-300引渡しを決定し、外国によるシリア干渉への対抗を支援すると発言している。この声明は欧州連合が武 器禁輸を緩和し、英仏両国が武装抵抗勢力への武器供与を検討中とする中で出てきたもの。もし、S-300が導入されれば地域紛争の危険性が増大するとエ シェル少将は見ている。
  4. そもそもS-300は100 km 超の範囲で弾道ミサイルや航空機の迎撃を想定し、S-300PMU2 ファヴォリFavorit だと6発同時発射で高高度と低高度の双方で同時に目標12個と交戦が可能。このS-300PMU2には対抗できる戦闘機は存在しない。
  5. 「ロ シアがS-300をシリアに販売すると勢力図が塗り替えられるでしょうね」と見るのは戦略国際研究所Center for Strategic and International Studiesのアンソニー・コーズマンAnthony Cordesmanだ。「引渡しが実現すれば米ロ交渉は無意味になし、同じような取引がイラン向けに起こることへの警戒感を呼び、イスラエルはシリア内戦 に引きずり込まれ、米国および同盟国の航空優勢能力を下げることになるでしょう」
  6. 一見するとS-300はS-200から大きく変化ないように見えるとコーズマンは語るが、実際はS-300は低空能力を大幅に改善し、ジャミングに強く探知が困難という。
  7. ただしS-300をシステムでみると未知数が多いという。レーダーとの組み合わせはどうなのか、発信所の機能水準でも不明な点があり、シリアの防空体制全般の向上にどこまで貢献するか見えてこないという。.
  8. ま たS-300がシリア防空網に統合化するには時間がかかるのではとの見方もイスラエルにある。ロシアが現地で技術支援しないと実用化できないとする見方 だ。統合化にはシステムを熟知し使いこなすための長期間の投資として、運用のみならず整備のための施設作り、運用部隊の訓練が必要だ。シリア軍の現状から 見てそれだけの人員と予算をこのために確保できるか疑問だというのだ。さらに国内武装反乱勢力から機材を守れるかも疑わしい。
  9. 低い確率とはいえ、バシャル・アル・アサド大統領Bashar al Assad が同システムをレバノンのヒズボラ勢力に引き渡す可能性もあり、イスラエルの視点ではこれが実現したら極度に深刻な事態となり報復攻撃は必至だという。
  10. 地 政学の観点でイスラエルに直接影響が出てくる。シリアが「もし明日崩壊したら、大量の兵器が分散し、各方向から自分たちに銃口が向けられる」とエシェル少 将は見ている。「奇襲攻撃の方法は多様化しています。ひとつの事件がエスカレートして数時間で対応を準備せざるを得ない対応が想定されます。つまり、イス ラエル空軍のもつ力を総動員することになります」
  11. シリアがロケットやミサイル数千発のをイスラエルに発射する事態をイスラエルは想定している、という。
  12. 高性能兵器がヒズボラのような敵性勢力に引き渡される、あるいは化学兵器の移転はわが国にとってまったく受入れられません」
  13. シ リア軍がヒズボラと共同でシリア北西の都市アルカサイルAl-Qusayrを強襲したとの報道をイスラエル空軍は注視している。同市はシリアからレバノン への交通の要所で占拠はシリア・レバノン間の移動路を確保する戦略的勝利。高性能の防空体制があれば兵器移送の阻止攻撃は高リスクになる。
  14. イ スラエル国防軍司令官ベニー・ガンツ中将Lt. Gen. Benny Gantz は「多方面で同時に戦闘状態が発生する可能性はかなりあります」と記者会見で発言しており、「地域不安定度を考慮すれば、わが軍は多方面対応の可能性に直 面しており、国防作戦の様相を書き直すような新しい現実の中におかれています」と発言している。■

2013年5月27日月曜日

米海軍向けMQ-4Cトライトンの初飛行と今後の展望

今 年の5月は新型機の実証飛行の成功が連続して出てきた月として記憶されそうですね。開発研究は一朝一夕にできるわけでなく、X-51A, X-47さらにMQ-4Cが達成した記録はこれまでの投資の結果です。現在予算の制約で研究開発が減速しつつあり、数年後にこれだけまとまった成果が出て くる月が生まれるかちょっと疑問ですね。ところで日本に必要なのはグローバルホークよりもトライトンでは。

U.S. Navy Kicks Off Triton Flight Trials

By Guy Norris guy.norris@aviationweek.com, Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First
aviationweek.com May 22, 2013
Credit: Northrop Grumman

米海軍が無人機運用で5月22日にまた一歩前進した。ノースロップ・グラマンMQ-4Cトライトン高高度飛行海洋監視偵察機がカリフォーニア州パームデールの同社施設で初飛行した。
  1. 今 回の初飛行は2015年の稼働開始を念頭にした作業開始となる。初飛行は80分間でエドワーズ空軍基地付近の一般侵入禁止空域で実施され、今回も含め9回 の性能確認試験のあとで今年後半にメリーランド州パタクセントリバー海軍航空基地に場所を移し広範なシステムフライトテストを実施する。今回の初飛行で高 度は20,000 ft.まで到達し、ノースロップと海軍のチームが遠隔操縦した。
  2. テ スト飛行の開始は5ヶ月遅れたが海軍の哨戒機能力近代化計画全体の中で大きな進展となった。アジア太平洋に軸足を移す戦略の中、これまで以上の海上飛行の 航続距離が必要とされているが、老朽化進むP-3をP-8A(117機)とMQ-4C(68機)で交代させるのが海軍の計画だ。その中でグローバルホーク を原型に性能を大幅に向上させたMQ-4Cは2008年から、総額16億ドルの広域海上監視機 Broad Area Maritime Surveillance (BAMS) として開発が進められてきたもの。海軍は試作機も含め70機を130億ドルで購入する。
  3. ノースロップ・グラマンは空軍を相手にRQ-4Bグローバルホークの存続を巡り戦う中で今回の初飛行は時宜にかなったもの。これとは別にドイツが同じくグローバルホーク派生型のユーロホーク調達の中止を発表したのも同社には痛い結果となっていた。
  4. 良い面もあり、MQ-4C初飛行に先立ちオーストラリアがトライトンの性能、費用、購入可能性の情報開示を正式に要請してきた。ノースロップは今回の情報開示は販売につながると楽観的に見ており、オーストラリアはP-8A開発にも参画している。
  5. オー ストラリアの計画はロッキードAP-3CをP-8Aに交代させることだが、MQ-4Cにより高高度長距離飛行可能なUAVを海上監視偵察任務に投入するこ とも狙っている。しかし、オーストラリア国防省は今回の情報開示請求は「MQ-4C購入の確約にはつながらない」としている。インドもP-8導入国で MQ-4Cへの関心を表明している。
  6. 今 回初飛行したのはSDD-1と呼称のBAMSシステムズ開発実証(SDD)契約2機の初号機で二三ヶ月でSDD-2が加わるとノースロップは説明。MQ- 4C三号機はノースロップ自社資金で制作し、同じくパタクセントリバーへフェリー回送され2機に合流するのが2014年早々の予定。初期段階のテスト飛行 は7日あるいは10日間隔で飛行時間を徐々に伸ばしながら最終的には8時間ないし12時間連続飛行させる。
  7. 初 飛行実施が遅れた原因はソフトウェア開発工程の遅れで、同機の統合ミッション管理コンピュータintegrated mission management computer (IMMC)用のもの。MQ-4Cのミッションでは空軍仕様よりも低空・中程度の高度が増えるので機体バランスのためV字尾翼V-tail ruddervatorsの形状をわずかばかり変更している。
  8. テ スト機では高性能監視通信用センサー類の代わりにダミーを積み込む。センサー類の中でも多機能アクティブセンサーアクティブ電子操作式アレイ multifunction active sensor active electronically steered array (MFAS AESA) と呼称されるXバンドレーダーのテストがノースロップ社有ガルフストリームIIをBAMSに見立てテスト中。
  9. このMFASがトライトンの哨戒能力の核心部分で艦船探知追跡識別能力を実現すべく逆作動合成開口レーダーinverse synthetic aperture radar (ISAR)を利用する。
  10. MQ-4Cでは目標自動識別システムを搭載しており、VHFを介して海上船舶の世界規模での移動情報を受信する。またAN/ZLQ-1電子支援システムおよびITT Exelisが開発したレーダーも搭載し飛行中の他機と安全距離を保つことができる。■


2013年5月26日日曜日

F-35の機体単価が今後は下がるとの試算をペンタゴンが発表。ただし50年間供用が前提!

What Does Lockheed's F-35 Fighter Jet Really Cost?

By Reuters
aviationweek.com May 24, 2013
Credit: U.S. Defense Department


ペンタゴンが今週木曜日に合計78の兵器開発プログラムの費用見通しを発表し、F-35分ではこれまで費用が上昇する一方だったものが、はじめて減少見込みと表示されている。

同機開発に費用分担しているのは英国、オーストラリア、カナダ、トルコ、イタリア、ノルウェー、デンマーク、オランダの各国。イスラエルと日本が発注済みのほか、シンガポールがまもなくここに加わると米政府筋が明らかにした。ロッキードは韓国の60機発注を期待している。

それでは鍵となる数字を以下ながめてみよう。

計画全体の費用
  • 最新の米国防総省試算では同機の開発、テスト、生産の費用を3,912億ドルとし、昨年度の3,957億ドルより下がっている。試算は米国の購入規模を生産型2,433機、試験用14機と想定したもの。
  • テスト飛行中に見つかった問題の解決策を完成済み機体に実施する費用は17億ドル、これは生産バッチ10個分をカバーするとして政府会計検査院が弾きだした数字。
  • 新規生産分の運用、維持費用は1.1兆ドル、ただし耐用年数を50年と想定。ペンタゴンは今年秋にこの数字を見直す見込み。
  • ペンタゴン高官から同機の費用は負担範囲を超えているとの発言があった。関係者は段階的に運用費用の削減を図っており、プラット・アンド・ホイットニーに燃料消費効率の5%改善を求めている。

機体単価
  • 今回のペンタゴン試算では空軍向け、海兵隊向けの機体耐用年数期間中の見積もりが低下している。ただし米海軍向け艦載型は上昇。
  • 通常離着陸型のAモデルの平均機体単価は研究開発費用を含めず76.8百万ドルで、昨年の見積より1.9百万ドル下がっている。B型は103.6百万ドル。
  • 艦載型の最新見積もりは単価88.7百万ドルで1.7百万ドル昨年より上昇。
  • 最新の第五バッチ発注分では直近のバッチより4%下がっており、今後も単価は着実に下がっていくとクリストファー・ボグダン空軍中将(F-35統括責任者)は見ている。
  • ロッキードは次回バッチ2回分の提案を1月提出ずみ、合意形成は今夏の見込み。
  • 先回の契約による空軍向け機材22機の契約単価は119百万ドルとボグダン中将は明らかにした。昨年は127百万ドルだった。
  • 海兵隊向けB型3機(第五バッチ)は単価153百万ドルで昨年の164百万ドルより低下。
  • 海軍のCモデルは同じ第五バッチで139百万ドルで昨年の148百万ドルから低下。

今後は生産機数の増加に応じて機体価格が下る見込みで、ボグダン中将から目標単価の達成についてA型で2020年との見込みとの発言があり、同年にオーストラリア向け100機受注分の引渡しが始まる。

ロッキード幹部からは政府試算数字は控えめ過ぎで今後の生産機体は2010年代末に量産体制になれば大幅に下がるはず、との発言が出ている。
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同機へ批判的な向きからは今回のペンタゴンの数字は低めに出ており、テスト中に見つかる技術問題で価格上昇の影響が今後の新造機にも出てくると見ている。

同機はロッキード・マーティンのフォートワース工場(テキサス)で生産中で、ノースロップ・グラマンおよびBAEシステムズPlsが主要サプライヤーとなっており、プラット・アンド・ホイットニーがエンジンを製作している。■

2013年5月25日土曜日

順調に進んでいるP-8開発は本格生産体制へ

P-8 Entering Production Phase

By Guy Norris

Source: Aviation Week & Space Technology
 
aviationweek.com May 20, 2013
Credit: U.S. Navy
Guy Norris Los Angeles

P-8I初号機のインド引渡しが5月15日にあり、初期作戦能力テスト評価が完了したばかりだが、米海軍向けのP-8Aはまもなく開発段階から量産段階に移る。
  1. 「シ ステム開発実証計画は98%完了して、残るは疲労試験だけです」とボーイングP-8事業開発部長イーガン・グリーンスタインEgan Greensteinは説明している。「低率初期生産(LRIP)第二段階で米海軍向け8機とインド海軍向け3機を今年中に生産します」
  2. 5 月はじめには6機がボーイングフィールドの同社装着点検施設Installation and Check Out (ICO) に合流した際は生産の好調さを如実に示していた。「月産1機という大規模に聞こえないかもしれませんが実際には相当の部品点数が動くんです」(グリーンス タイン) 今年後半にもフル生産の認可が下りると今後2年間は生産活動は多忙を極めるだろう。
  3. 海 軍は合計117機調達で現在の契約は24機の生産分で、今月後半に通産9号機を納入する。LRIP-2契約は2011年に交付されており、11機製作の三 番目の契約が2012年9月にボーイングに与えられている。2014年度は13機、15年度は16機を生産する。ボーイングフィールドのICO施設は年間 24機を取り扱うことが可能で海外向け機体や将来の派生型もここで扱うとグリーンスタインは言う。ただし、米海軍、インド海より導入規模が増えるとして も、同施設で作業を受ける機体数は上限より相当低い水準だ。
  4. イ ンドは今月に続き第3第4四半期に2機を受領する。インドの確定注文は8機でボーイングはオプションの4機も2013年末か2014年に受注できると楽観 視している。またオーストラリアが最低8機を2014年に発注すると期待している。全体では「最低でも60機」の海外向け販売予測を立てている。「現時点 で各国で15件の営業を展開中」(グリーンスタイン)
  5. こ のうちオーストラリアは米海軍と覚書を交わしP-8Aの性能向上-2型の共同開発を2009年に決めており、2012年9月に同様に-3型でも合意してい る。-2型の内容には音響データ処理能力を上げてマルチスタティック・アクティブ・コヒレントmulti-static active coherent (MAC)対潜戦闘(ASW) システムの導入を含む。
  6. こ のMACは技術変更提案engineering change proposals (ECPs)として二つに分けて導入される予定で、一回目のECP 1でP-3おラインオンをサポートしているTacMobile地上局とのインターフェースを改良する。ECP 2では深深度での性能を実現する。第二段階ではP-8Aに改良型ソノブイを搭載して高高度型ASWを実現する。同時に高高度ASW兵器能力high- altitude ASW weapon capability (Haawc) も搭載する。これはマーク54魚雷にGPS誘導飛行翼と尾翼をつけて高度30,000 ft.からの投下を可能とするもの。ボーイングは19.2百万ドルでHaawc上空投下型キットを開発する契約を今年4月に海軍から受けている。
  7. -2 型は初期作戦能力の獲得が2016年度初めの予定でその後三番目の改修で「常時ネット接続」のシステム構成でより柔軟なソフトウェア能力向上およびネット 利用による対水上戦兵装の整備を行う。-3型のIOC獲得は2020年度予定。2017年までに138百万ドルをかけてボーイングは技術解析を長距離探 知、高解像度監視レーダーのレイセオン製高性能空中センサーAdvanced Aerial Sensor (AAS)を対象に実施する。このAASは電子スキャン方式のアクティブレーダーでアンテナ長40フィートで機体下部のポッドに搭載する。
  8. P-8Aの第一線配備開始は予定通り2013年12月で第16哨戒飛行隊がフロリダ州ジャクソンビルから沖縄の嘉手納空軍基地に機材を派遣する。■

速報 パキスタン航空機でハイジャック未遂事件発生、RAFタイフーン緊急発進

RAF Typhoons intercept PIA flight after onboard incident



FlightglobalおよびAirsafetyから


5月24日パキスタン国際航空ボーイング777-300ER機内で緊急事態が発生し、ロンドンのスタンステッド空港へ目的地変更を迫られたが、その際に英空軍ユーロファイター・タイフーン2機が同機をエスコートすべくスクランブル発進した。


RAF2機はリンカンシャーのコニングスビ基地から発進。パキスタン航空PK709便は乗客297名でラホールからマンチェスターに向かっていた。マンチェスター到着予定時刻は13:30UTCだった。


同機がスタンステッド空港に着陸後、2機は基地に戻った。着陸後、現地エセックス警察が乗客の2名を「機体を危険に落としれた疑い」で逮捕した。30歳、41歳の両名は警察署で取り調べを受けている。


同機の報告では二人は再三にわたりコックピットに押し入ろうとしてたという。


高度をFL235に下げている際に同機から緊急事態発生の通報がった。さらにFL160まで高度を下げた際にRAF戦闘機が接近。スタンステッド空港着陸は13:10 UTCだった。■

2013年5月24日金曜日

X-51実証結果はどのように活用されることになっているのか。

High-Speed Strike Weapon To Build On X-51 Flight

By Guy Norris
Source: Aviation Week & Space Technology


aviationweek.com May 20, 2013
Credit: USAF
Guy Norris Los Angeles


スクラムジェット推進式X-51Aウェイブライダーは5月1日に高度64,000フィートで燃料を使い果たし、太平洋に落下し、同機開発計画は幕を下ろしたが、米空軍研究所は極超音速飛行の歴史が確実に一歩前進したことを確信できた。
  1. 飛 行時間6分でマッハ5.1に達した同機は空気取り入れ式極超音速飛行の歴史を塗り替える成果を示し、開発開始から9年、初飛行から2年でX-51A開発 チームは自由飛行方式でスクラムジェット推進の吸熱燃料endothermically fuelを使用した飛行体の有効性の証明に成功した。
  2. こ れからはデータ解析の段階となり、計画立案部門は次の機体へ関心を寄せている。X-51Aの成功は極超音速推進で長距離偵察、輸送あるいは空気取り入れ式 で初の宇宙アクセス可能な機体出現の可能性を示しており、近い将来ではミサイルとして応用できる。空軍の高速度兵器開発ロードマップの要求水準を参考にし た高速度打撃兵器体系 High Speed Strike Weapon (HSSW)の一部として応用が想定される。これは2020年をめどに基本型の実証作業が予定されている。この日程を見ると兵器としての利用は2020年 代中頃までに実現しそうだ。
  3. . ただし極超音速飛行開発は数々の失敗プロジェクトの歴史でもある。最近の国防高等研究プロジェクト庁Defense Advanced Research Projects Agency's (Darpa)のHTV-2および極超音速飛行実証機Hypersonics Flight Demonstration (HyFly)に加えX-51Aも2011年2012年と連続して失敗しているのであり、5月1日の飛行成功はやっと成功したというべきだ。
  4. 「ま だ丘の上の岩ころを一つにすぎません」と謙虚に語るのはAFRLでX-51A計画責任者をつとめるチャーリー・ブリンク Charlie Brinkだ。「もう少しで転機が来るとわかっていました。軍はこの技術の潜在意義に兵器としての可能性を見ていますが、今回のテストで科学技術面で大き な意義があったと思います」 一方、ボーイングのファントムワークスでX-51A担当の責任者であったジョセフ・ヴォーゲルJoseph Vogelは「初飛行の段階で問題の解決の方向性は理解できたのですが、信頼性確立のためには本当の成功をおさめる必要があり、それがミッションとなって いました。」と語る。
  5. ブ リンクによるとX-51Aの成功から研究開発陣には改良点のリストができており、戦術級極超音速兵器開発に応用できるという。基本的にはX-51Aと同等 の速度と機体寸法でHSSWのモデルが製作され、B-2AやF-35の兵装庫に収まるサイズとなる。議会公聴会で4月に空軍副次官補デイビッド・ウォー カーDeputy Assistant Air Force Secretary David Walker は「適当な高度から発射して性能を発揮できるエンジン開発も必要。飛行実証は戦術的に意味のあるマッハ5以上の速度で空気吸い込み式ミサイルとして実施さ れるだろう」と発言している。
  6. 「ス クラムジェット技術ならX-51のような軽量機がマッハ5か6で500から600海里先の目標に10分から12分で到達できる。戦闘対応性を広く確保でき る」とブリンクは言う。同機の実用飛行高度は 60,000から80,000 ftで「生存性に新しい意味が生まれる」とも言う。
  7. ブ リンク、ヴォーゲル他のX-51A開発チームはプラット・アンド・ホイットニー、Darpa、NASA, Navair(海軍航空本部)、空軍の第412飛行実験隊(在 カリフォーニア州エドワーズ空軍基地)と共同で先日の実験をエドワーズのカーク飛行テスト センターから見守っていた。「本当にハラハラして緊張がみなぎっていましたね」とヴォーゲルは振り返る。ドラマをさらに盛り上げたのはB-52H母機の離 陸が目的地ポイントマグー海軍演習海域に霧発生のため遅延したことだった。
  8. こ のB-52Hはエドワーズを離陸し、高度50,000 ftまで上昇のため燃料搭載を減らし軽量化をした制約条件で飛行していた。同機は陸軍戦術ミサイルシステム (Atacms) のブースターを主翼下に搭載。「文字通り一発勝負で正しい方向に向かったため青信号を出しました」とティモシー・ジョリス中佐(第412試験飛行隊)は言 う。
  9. 発 射地点まで到達したことでX-51Aはマッハ0.8で飛行中の母機が投下された。Atacmsが点火し、X-51A含む中間ステージに29秒にわたり推進 力を与えた。その時点で高度は 63,000 ft.速度マッハ4.9。X-51Aは分離して惰性でマッハ4.8になったところでスクラムジェットが作動しエチレンを燃焼。その後JP-7炭化水素燃料 に切り替え前回の飛行で失敗した段階を克服した。同機はその後210秒間飛行を続け、スクラムジェット推進で高度 64,000 ft.へ上昇し動圧dynamic pressure (q)軌道は平方フィートあたり 2,200-2,350 lb. で安定した。最大加速度は 0.2gを超えたとブリンクが明らかにした。
  10. 同 機はマッハ5.1まで到達したあと加速中に燃料タンクが空になったとヴォーゲルは言う。最初の段階で燃料は燃焼器の末端に霧状に散布され空気と燃料の混合 燃焼の衝撃で空気取り入れ口からの逆流を防ぐことで「不発」が発生しない設計だ。加速すると燃料はさらに前部方向へ噴射されて空気取り入れ口の圧力変化に 対応し、推力増加につながるようにする。これが第一回目の飛行ではうまくいかず、飛行65秒経過後に失敗している。
  11. 5月1日の飛行では「最初の吹付け段階に加え飛行中の燃料噴射にも成功し、機体は加速を続けました。これは初回テストでは失敗したことなので自分で合格マークを出しましたね。」(ブリンク)
  12. X- 51Aは当初マッハ6以上の飛行速度に挑戦する予定だったが実際にはマッハ5.1を超えた飛行は未実施。ブリンクは飛行テスト初期段階では「飛行時間と マッハ6の関係を議論していましたが、その結果としてエンジン加速制御の実証のほうが重要で、完全に燃料を消費するまで飛行させること、極超音速での飛行 制御のほうが大切となりました。5.1が目標だったとは申しません。マッハ5の中間になると思っていましたが、空気取り入れ口の重心により空気がくさび型 になる量が増えました。さらにカウリングでも変更がありました。そのため抗力が増えたことは判明していました。」
  13. エ ンジン停止で無動力状態になった機体に各種の指示が与えられ空力特性上の機体取り扱いと制御性の確認が行われた。これらのデータは減速と平行して集めら れ、「機体の安全度を実現するために」(ジョリス中佐)使われるという。テストが無動力状態時に実施されたのは「エンジンのパラメータは判明していたた め。機体そのものの理解を深めるべく、エンジンが切れた状態で純粋な空力特性を見ることにしたわけです。」 機体はピッチ、ロール、ヨーを入力して反応は NASAが作成した予測データと比較検証された。
  14. 高 度 20,000 ft.で遠隔測定データが途切れるまでテスト結果はモニターした。ポイントマグーとヴァンデンヴァーグ空軍基地からのレーダー追跡と遠隔データモニターが 中断したためだが、海軍のNP-3Dデータ中継機が受信していた。「海面突入までのデータは回収できました。今回はほしかったデータが得られたので有頂天 というところです」とブリンクはまとめた。■



2013年5月23日木曜日

無人機で大きく遅れたフランスは米国、イスラエルに供給を要請。

France In Talks With U.S., Israel To Buy UAVs: Minister

By Reuters
aviationweek.com May 20, 2013
Credit: Tony Osborne
フランスが米国・イスラエルと情報収集用途の無人機購入の交渉中。機材近代化を図りたいと国防相ジャン・イブ・ルドリアン Defence Minister Jean-Yves Le Drianが明らかにした。

フランスの現有機材は旧式化しており、マリへの軍事介入で監視偵察用無人機の不足が露呈した。実際は米国がニジェールから発進させた無人機でフランス軍司令部へ情報を提供している。

「わが国はこの分野の能力を短期間で確保する必要がある。現時点で無人機を製造できるのは米国とイスラエルしかない」とルドリアンは発言。

ルモンドによるとフランスは米国防総省よりリーパー購入の許可を取得済みで米議会の承認を待つのみという。同紙によるとフランスは5機ないし7機のリーパーで300百万ユーロ(384百万ドル)で購入を想定し、今年末までに2機をマリに投入したいと考えている。

ハードウェアの海外調達はフランスにとって微妙な問題で、これまでも同国は国防装備整備で同盟国への依存は極力避けている。

ルドリアン国防相によればフランスは無人機では他国に大きく水をあけられているが、長期的には自国ならびに欧州内で国産無人機を生産するべく整備するとしている。■

2013年5月22日水曜日

F-35パイロット訓練は着実に進展中

F-35 Training Capability Slowly Expanding

By Graham Warwick
Source: Aerospace Daily & Defense Report

May 17, 2013
Credit: USAF/Master Sgt. John R. Nimmo; Sr.

ロッキード・マーティンF-35統合打撃戦闘機のパイロット養成がフロリダ州エグリン空軍基地で活発化しており、米空軍の教官パイロットがF-35Aで空中給油を実施している。
  1. .リー・クルース中佐Lt. Col. Lee Kloos(在エグリン基地統合訓練センター(ITC)第58戦闘機中隊隊長)が5月14日にテストパイロット以外ではじめてF-35の空中給油に挑戦した。
  2. これにより空中給油がエグリン基地の標準教程になり、訓練の飛行時間も延長できる。「これでパイロット訓練の対象を増やせる」(同中佐)
  3. 「今週は教官パイロット12名全員が認定を受け、ブロック1B過程の空中給油を全員が実施しました」と中佐は語る。「時間がかかりますが、少しずつ同機の性能を引き出しています」
  4. 最近数ヶ月でITCはF-35搭載の電子光学式照準装置と兵装シミュレータの使用による訓練ミッションの実施ができるようになったと中佐は言う。
  5. 4月末までにエグリン基地で44名がF-35操縦資格を得ており、うち2名は英国人で合計1,700飛行時間を記録しているとロッキード・マーティン副社長メアリー・アン・ホーターMary Ann Horterが明らかにしている。
  6. 機体にはブロック1Bソフトウェアが搭載されており、これは初期訓練用の性能しか提供できない。ブロック2Aも訓練用だが、10月に完成するとホーターは説明する。
  7. 二番目の訓練センターは米海兵隊向けF-35B用でボーフォート海兵隊航空基地(サウスカロライナ州)に2014年に、三番目のセンターが米空軍F-35Aおよび各国向けにルーク空軍基地(アリゾナ州)に完成するのは2015年予定。
  8. クルース中佐によるとF-35は空中給油時の飛行が安定しているという。給油機の背後に回るとロッキード・マーティンF-16は「砂利道を運転するみたいだが、F-35は滑らかな舗装道路を走る感覚ですよ」とのこと。
  9. こ の意見に賛同するウィリアム・ジョー・パーカー軍曹Tech Sgt. William Joe Parker,(第336空中給油飛行隊でボーイングKC-135のブーム操作員)は今回の空中給油ミッションに参加している。「パイロットはこちらの後 ろぴったりに駐車したみたいだった」
  10. F-35の操縦特性は空中給油用の扉が開くことで変化し、パイロットは微調整がしやすくなるが、これと同じ技法がF-16でも使われている。
  11. エ グリンでの訓練ミッションは空中給油実施が再承認された直後に開始されている。最初の承認は2011年にブーム切り離しが遅れる問題がテスト飛行中にエド ワーズ基地で見つかったため取り消されている。この問題はテスト用の少数機だけの問題として扱われるようになったと、クルース中佐は語る。■