2015年7月15日水曜日

★米新軍事戦略が想定する考えたくない危険な可能性



ロシア、さらに中国との交戦を想定すると戦闘は長期化する、との予測でとりあえず新板の国家軍事戦略はできたが、中身はまだ未整備だというのが今回の指摘です。細部はともペンタゴンが現実の世界に対処する考え方をまとめはじめたということでしょうか。

New Military Strategy Shows A Dangerous World – But Not How To Deal With It

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on July 10, 2015 at 12:15 PM

WASHINGTON: ペンタゴンは世界の変化を痛いほど認識しているが、対応方法の答えが見えていない。
新国家軍事戦略National Military Strategyから見えてくるのはこんな頼りない結論だ。そもそも官僚の作文には高い期待はできないものだが、今回の新戦略構想ではこれまで存在しなかった脅威をどうとらえているのかのヒントが含まれている点が救いだ。ただし、対策は普通の域を脱していない。.
「良い点は全体の状況把握は正確で、戦略環境を正しく捉えていること。では軍としてどう対応すべきかという点になると、やはり以前通りの直線的な解釈に終始している」というのが陸軍大学校准教授ネイサン・フライアNathan Freierの評だ。
戦略案を発表したデンプシー統合参謀本部議長は複雑な安全保障環境から「軍歴40年の中で最も予測が難しい」と評している。テロリストのみならずロシアや中国といった大国との開戦のリスクが「拡大中」である状況が同時並行しており、その中間に「ハイブリッド脅威対象」としてゲリラ勢力が国家並みの装備を展開しているという認識だ。ロシアによるウクライナ併合は現地勢力を活用しつつ、特殊部隊も展開した点でハイブリッド型の例で軍事大国がゲリラ戦術を活用している点に注意が必要だ。イスラム国が支配地域を確保し維持しているのもハイブリッド型で非正規部隊が限定的ながら国家のように振舞っている例だ。
ただし新戦略ではすべての脅威対象を同じ軸に配置している。非国家勢力による戦闘が発生する確率は高いが、危険度は低い。一方で大国との戦闘は可能性は低いが発生すれば極めて危険だ。このように考えるのは単純化しすぎだろう。
Conflict spectrum from the 2015 National Military Strategy
2015年版国家軍事戦略構想より 紛争の分類
ロシアのような大国は通常型軍備を使わずに大きな損害を与えることが可能だ。天然ガス価格の操作、ハッカーの活用も武器になる。逆に非国家勢力のイスラム国が世界規模のテロ破壊活動を展開することは可能で。これまでの指揮命令系統を使用せずにソーシャルメディアを使って実施できる。
「10年20年までは指導層がないままの抵抗活動が最新の形態だった」とフライアは語る。「ところが指導層が存在しない抵抗活動が現実のものとなっている。バラバラの個人が遠隔地の思想に従い行動している」 テロリスト組織と直接の接触がない戦闘員が実質的に動員されているという。
次の大戦が発生したら?
指導層がなくても自主的に組織されたテロリスト集団はローエンドの悪夢だが、大国との戦闘はハイエンドの悪夢と言えよう。デンプシー議長はアメリカの技術優位性が失われつつあるとを警告する。この危機意識はこの数年間でペンタゴンの優先事項で最上位になっている。またデンプシーは戦争が「長期化」する可能性を指摘している。
だが21世紀に大規模戦闘が長期化するだろうか。大国間では戦争のない状態が長く続き、軍事技術は急速に進歩しているので、結果の想像が難しい。デンプシーは明言を避けるが、米国のスマート兵器が使い果たされ在庫が空になる可能性は高い。
第一次大戦では両陣営は戦前に備蓄した兵器を開戦後10週間までは使っていたとジョン・スティリオン John Stillion (戦略予算研究センター)は指摘する。「弾薬不足と火力による甚大な損失で戦闘はむしろ長期化した」という。第二次大戦では日米海軍は真珠湾攻撃後12ヶ月でそれぞれ相手陣営の空母を標的とした結果、「両国が空母部隊を再編する19ヶ月にわたり大規模な空母対決は発生しなかった」(スティリオン)
米国の南北戦争を見てもわかるとスティリオンは続ける。初期のブルランの戦いで両陣営は長期戦体制に入った。「歴史が証明しているのは大国同士の戦争は長期化する傾向があるのは、相手に一方的に損害を与えられないためであり、開戦直後に敵を圧倒的に制圧できないことも理由だ」
もし大国間の戦争が今勃発するとアフガニスタンとは様相が異なっても、第二次大戦とも全く違う形になるだろうと、CSBA研究員ブライアン・クラーク Bryan Clark:がコメントした。「現在の産業基盤では最新の高性能装備や兵器を急には増産できない」ので初期の交戦で損耗した装備の補充はできない。
だが大規模かつ長期にわたる軍事衝突は未経験の課題を残すだろう。
「この戦略の欠陥は戦略として機能していないことです」とクラークは更に続けた。「文書の上では資源に限りがあると認めているが、それを前提に米軍部隊がどう対処するのかは触れていないですね。たとえば、『敵の全滅』は不可能かもしれないし、限られた資源で目的をどう貫徹するのか、これまでのやり方は通用しません」
「結局、文書は意向を示すことに終始しており、実施可能な戦略になっていません。本当の戦略なら立案上、開発上あるいは予算認可の各段階で国防総省の限られた資源をどこに使うべきかを決定するのに役立つものであるべきです」とクラークはコメントした。■


2015年7月12日日曜日

★★F-35>ドッグファイト結果からパイロットの役割を考えよう



さすがに元空軍士官だけに問題の本質をパイロットの観点から整理しなおしています。このままではF-35が空軍の成り立ちを根本から変えるのは必至ですね 結局はパイロットの腕にかかってくるのですね。当面今回のドッグファイト試験の余波はつづきそうですね

What the F-35 vs F-16 Dogfight Really Means: Think Pilots

By DAN WARD on July 08, 2015 at 4:01 AM
  1. 共用打撃戦闘機にドッグファイターとして欠陥ありとの報道が出るや、JSF推進派の反応は迅速かつ予想通りだった。多くがF-35はそのまま容認できるとし、中にはもともと空対空戦の想定はないのだから問題無いと言う向きまであらわれた。ただこの見解は長くは持ちそうもない。そもそもなぜ米空軍がこの段階になってF-16との模擬空中戦を実施したのか。おそらく空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将が2013年12月に説明しているように、「F-35はF-22を補完して空中優越性の確立のため実戦投入する」からだろう。言い換えれば米空軍にはF-35がドッグファイターとして必要なのだ。
  2. この他にも擁護派の説明では今回の想定は単なるテストで、リークされた報告書は実態をよく理解していない者が抜粋したものだとする。だから機体の価値を本件だけで判断すべきでないという。JSFの開発契約が1996年に成立してからはじめて今回基本戦闘機操縦テストに投入されたわけだが、(量産型機は2020年までこのテストに使われない)、だれも急いで結論を出そうとしていない。ただ軍用機のテストでそれなりの経験と一家言を持つ筆者として、一回のテストでも十分に意味のある性能データを得ることが可能だと断言できる。F-35支持派も逆にドッグファイトに勝利していたら同じ事を言っていただろう。
  3. ただ筆者はこれとは違う擁護派の発言に注目している。FighterSweep http://fightersweep.com/2548/f-35-v-f-16-article-garbage/ で発表された記事では今回の報道を「ゴミ」だと一蹴している。C.W.レモイン C. W. Lemoine が指摘するのはF-35がドッグファイトに負けた真の理由は技術的な欠陥などではなく、パイロットの技量不足だというのだ。レモイン自身はF-16とF/A-18の操縦経験があり、こう言っている。
  4. 「100時間ほどのF-35操縦経験しかないパイロットが1,500時間超のヴァイパーパイロットに対決したのだ。千時間超のF-16パイロットが複座D型で完成したばかりの単座ジェットに勝った例を見ている。コックピットでは経験の長さがものをいうのだ
  5. 「完成された戦術に長けたパイロットの手でF-35が同等の経験を有する対抗側にウェポンズスクールの模擬演習に臨んだらどうなるだろうか」
  6. 挑発的な言葉遣いと飛行時間の件はおいても、このレモインは重要な点を提示している。戦闘結果で決定的なのは「コックピットの中で何時間すごしたのか」だ。レモインの主張はF-35パイロットが経験を積むまで結論を保留すべきだとするが、技能不足そのものは重要なデータポイントだと思う。この点こそF-35が決定的に弱い点であり、今後相当長くそのままであろう。
  7. 効果的な戦術を開発し、うまく活用できるパイロットの養成には相当の飛行時間の蓄積が必要だ。しかし、F-35のパイロット陣には大きな障壁がある。パイロットは必要な経験が積めず、効果的な戦術の実証、開発もできないままである。想定される戦闘ミッション全般でも同様で、ドッグファイトも例外ではない。
  8. 機体価格が上昇の一途で、開発が恒常的に遅れいている実態からペンタゴンの調達機数が削減されるのは必至で受領も予定より遅れる。十分な数の機体がそろわなければパイロット養成もままならない。とくにF-35では飛行時間あたり費用が高いことが一番の問題だ。このため操縦時間が制約を受け、訓練時間が増やせない。更に予算環境が厳しいのが昨今だ。これらをあわせると実機の操縦体験を多く確保することは困難となり、レモインがいみじくも言うように飛行時間が短いパイロットが長く飛んでいる敵に勝てるはずがないのだ。
  9. ここに機体の複雑さが加わる。これは筆者の専門分野だが、複雑な機体はそれだけ学ぶのが難しくなり、テストも難しく、点検保守も難しくなる。F-35は疑いもなく史上最高に複雑な機体だ。たとえば、コンピュータコードは830万行あり、F-22の4倍以上だ。複雑性をすべて制御管理するため費用は高くなり、開発が遅くなり、テストでは飛行時間を確保できない
  10. 純粋に技術的な観点からは複雑性は信頼性を犠牲にすることになる。たとえば故障現象の種類が増えるとともに、故障箇所も増える。このためあちこちが不良を引き起こし、問題をひとつひとつ解明し対策を講ずるのに長時間が必要だ。保守点検が遅れれば機体がその間利用できなくなる。結論として複雑になる分だけ操縦時間が確保できなくなる。
  11. 故ジョン・ボイド大佐の不朽の発言にあるように、機械は戦闘を行わない。操縦者が行うのだ。ここに今回の事例の本質がある。F-16はドッグファイトでF-35に買ったわけではない。F-16を操縦した経験豊かなパイロットがF-35に乗る経験の浅いパイロットを負かしたのだ。この結果が将来に再発しないようにする唯一の方法は経験を積んだF-35パイロットを多数養成し、新戦術をマスターすることだが、現在のままではこれはとても困難だ。
  12. ということでF-35に近接空中戦の実施を期待できるのかという問題は忘れよう。また今回のテスト報告書が重要な意味を含んでいるのかという問題でも同様だ。JSFが優秀な機体になるとしたら、ドッグファイト他で真のプロフェッショナルな人材が必要なのだ。つまり「戦術開発に長けた」人材だ。つまりパイロットはコックピットで経験を重ねるべきであり、巨額の経費を考えると、遅延が重なっていることもあり、機体のとんでもない複雑さも考慮すると、F-35に経験豊かなパイロットを確保することは当面期待できない。■


2015年7月11日土曜日

★LRS-B>選定決定は秋ごろに延期、次期JSTARS機も選定に向かう



LRS-Bの契約選定が遅れるのは結果の重大性を考えると米空軍が相当に逡巡していることの証拠です。LRS-Bは既存技術を多用したかなり「常識的」な機体になりそうですが、受注に失敗した企業にとっては辛い結果になると言われてきましたが、実態はそうでもなさそうですね。注目したいのは下にさり気なく挿入されたJSTARSの次期機体の話題です。技術の進歩でかなりダウンサイズした期待になりそうですね。

Air Force: Next-gen bomber award could slip into fall

By Brian Everstine, Staff writer3:01 p.m. EDT July 9, 2015

米空軍は新型長距離打撃爆撃機(LRS-B)の契約交付を先送りし、三ヶ月程度遅らせると発表した。
  1. 空軍次官(調達)ビル・ラプランテBill LaPlanteによれば公表時期は「でき次第」だとし、拙速より正しい結果を重視するという。導入機材は50年間の供用の予定で、発表時期を急ぐ必要はないとの考えだ。
  2. ラプランテは「正しい結果を得るべく、正しい時期に正しい方法で始めるのが肝要だ」と戦略国際研究センター(ワシントンDC)で7月9日に語った。
  3. ラプランテ発言の前に空軍長官デボラ・リー・ジェイムズがロイター通信に契約交付は9月になりそうだと伝えている。
  4. 契約獲得をめぐり争う二社は結果如何で大きな影響を受けそうだ。B-2で実績があるノースロップ・グラマンロッキード・マーティンボーイング共同事業体だ。
  5. B-52後継機として空軍は80機ないし100機の導入を希望し、導入開始を2020年、機体単価を500百万ドル、事業規模は総額800億ドルと見込んでいる。
  6. この事業は議会の批判の的となっており、下院による2016年度国防予算認可法案では460百万ドル減額されたが、実際の開発研究予算は非公開あるいは「闇の」予算に盛り込まれている。
  7. 空軍は新型爆撃機について口を閉ざしており、ステルス性以外に核・非核運用、任意で有人操縦とする、とだけわかっている。
  8. また空軍は共用監視目標捕捉攻撃レーダーシステム(JSTARS)の次期機種に関し第一選定で三社程度に絞り込む意向だ。空軍は最終的に一社に契約交付し、実機の生産を開始させるとラプランテは説明した。
  9. 米空軍は現在JSTARS18機を運用しており、各機は長距離レーダーで地上車両の探知、捕捉ができる。機体は旧式になったボーイング707-300で、ボーイングはすでに同機の生産を終了して久しく、代替機を探すのは困難かつ高価格になっている。
  10. ロッキード・マーティン、レイセオンボンバルディアは共同で長距離ボンバルディアビジネスジェットを基にした案を提案している。ノースロップ・グラマンはガルフストリームL-3の各社と組んでガルフストリームG550の改修案を発表済み。ボーイングは737で参入を図る。■


2015年7月10日金曜日

★オーストラリア>F-35B導入を断念




Australia Abandons Proposal To Order F-35B

Jul 8, 2015 Bradley Perrett | Aerospace Daily & Defense Report

オーストラリアは大型強襲艦2隻へ短距離離陸垂直着陸型(Stovl)のロッキード・マーティンF-35Bライトニングの導入を断念したと同国国防筋が明かしている。まもなく発表の国防白書の準備中に決定された。
  1. Stovl戦闘機導入は昨年にトニー・アボット首相が決めたことだが、実施すると強襲揚陸艦の大幅改修が必要とわかり、導入を断念することになったという。
  2. またオーストラリア軍内部でF-35B導入に反対の意見が広がっていたと同上国防筋はAviation Weekに語っている。
  3. また艦載航空兵力を投入する作戦想定はオーストラリアに少ないと指摘するのはオーストラリア戦略政策研究所のベン・シュリア Ben Schreer 研究員だ。シュリアの主張は同機を運用した場合の効果よりもっと重要な支出項目があるというものだ。
  4. オーストラリア空軍はF-35Aが100機は必要としており、F-35B発注の場合これが削減される可能性があった。ただオーストラリアの確定発注はF-35Aを72機。シュリアはF-35B飛行隊を2個(各18ないし24機装備)整備する案があると指摘していた。強襲揚陸艦2隻の改修費用は50億オーストラリアドル(44億ドル)以上と見られていた。
  5. 二隻のうちHMASキャンベラは就役ずみで、二番艦アデレイドが公試中だ。両艦はLHD型でドック式で全通型飛行甲板を有するが、大型陸軍用ヘリコプターの運用を想定している。■


2015年7月8日水曜日

★国産哨戒機P-1が英国で国際デビューへ



US-2の輸出話がなかなか見えてこない中で、P-1が英国に飛び、次期哨戒機として売込みを図ることになった、という報道です。これでC-2が軌道に乗っていれば、三羽烏となるところなのですが。P-1は今後が期待できそうです。

Kawasaki P-1 To Make International Debut In U.K.

Jul 7, 2015Tony Osborne | Aerospace Daily & Defense Report

Kawasaki Heavy Industries

日本は新型対潜哨戒機川崎P-1を2機英国に送り、英国に売込みを図る
  1. 海上自衛隊所属の2機がロイヤル・インターナショナル・エアタトゥーに7月17日から19日まで出展され待望の国際デビューをする。地上展示のほか、飛行展示をRAFフェアフォード基地(グロスタシャー州)で行う。
  2. 日本は四発の同機を海外に売りこむ一環として英国の新型海洋哨戒機仕様に十分答えられると示したいところだ。英国は今年末に発表予定の国防戦略計画で新型哨戒機の必要をうたうと見られる。
  3. 日本の国産軍用機が海外のエアショーに展示されるのは1997年以来はじめてのことで大きな意義がある。また、海外売込みを目指して海外での展示イベントに機体を持ち込むのは今回が初めてだ。
  4. 日本は軍用装備輸出規制を2014年に緩和している。.
  5. 1月の報道で日本は昨年のファーンボロ航空ショーでP-1の出展を検討していたと判明している。日英両国は防衛協力を模索する中で日本の新型シーカーヘッド技術を英国のMBDAメテオ空対空ミサイルへ応用することなどで協議が続いている。
  6. 川崎P-1はロッキード・マーティンP-3オライオンにかわる機体だ。2013年から運用が始まっている。2021年にかけ20機が納入される。
  7. もうひとつ日本が輸出を狙うのが新明和US-2水陸両用長距離パトロール機だ。
  8. 航空自衛隊が過去のエアタトゥーに出展しており、ボーイングKC-767空中給油機が2012年、2014年と続けて飛来している。
  9. ただし英国関係者の注目を集めるのはP-1だけではない。ボーイングは英海軍向けP-8ポセイドン哨戒機およびチャレンジャー(ビジネスジェットを原型にした海洋監視専用機の試作型を出展する。■


2015年7月7日火曜日

陸上自衛隊>米豪共同演習に初参加し、オーストラリアで


この件は陸上自衛隊も公表していないようです。(7月7日現在) 安全保障法制で国会が揺れる中で報道してもらいたくないのでしょうか。もしそんな内向きな姿勢があるとしたら嘆かわしいことですね。

Japan Joins US-Australia War Games Amid China Tensions

Agence France-Presse12:17 p.m. EDT July 5, 2015

SYDNEY — 7月5日に開始された恒例の米豪合同軍事演習に日本がはじめて参加している。
  1. 演習は「Talisman Sabre」の名称で二週間に渡りクィーンズランド州と北方特別地域にまたがり展開し、米豪から3万名が陸海空の作戦を実施する。
  2. 陸上自衛隊から40名が米軍部隊に加わり演習に参加する。またニュージーランドも500名を派遣する。
  3. 「とても重要な同盟関係だ」とトニー・アボット豪首相はUSSブルー・リッジ艦上で米豪関係を念頭に発言している。「重要な関係だが、今日では世界各地で多くの課題に直面している。とくに中東で」
  4. 今回の演習は六回目で中国が地域内で存在を増す中での実施になった。
  5. 中国は南シナ海で人工島や施設を建設し問題を起こしている他、東シナ海でも日本と尖閣諸島をめぐり対立している。
  6. シドニー大学で中国専門家のジョン・リーJohn Leeは「微妙なメッセージが色々なレベルで出ている。米国は同盟国と中国に対応するべく密接に連携している」と語った。「これまでより強圧的になっている中国と向きあう国には大きな問題で、中国が巨額の軍事費を投入して装備を強化し、南シナ海で特に主張を強めていることが問題だ」
  7. 中国は南シナ海での活動への米国からの批判を一蹴している。5月のシャングリラ対話の席上で、中国は主権を行使しているにすぎないと主張。
  8. 米国が展開中のアジアに「軸足」を移す外交政策へは中国が苛立ちを募らせており、米海兵隊はオーストラリア北部に定期的に駐留を開始している。そこで日本が演習に参加することを中国は不快に感じても意外には思わないはずだと専門家は指摘する。
  9. オーストラリアは日本との関係強化をこの数年間進めており、昨年7月にオーストラリアを公式訪問した安倍晋三首相をアボット首相は「とても身近な友人」と表現した。
  10. オーストラリア政府は日本からそうりゅう級潜水艦数隻の導入を検討しており、実現すれば米国製ウェポンシステムを搭載するとリーは見ている。
  11. 「日豪の安全保障協力関係は引き続き強化される」とアンドリュー・デイビス(オーストラリア戦略政策研究所主任国防アナリスト)は演習に日本が参加する意義を語った。
  12. 「かれこれ十年間にわたり続いてきたが、ここにきて勢いが増してきた。オーストラリアと日本はともに軍事面で協力できる可能性を模索している」.
  13. 同時に米国がこの地域で展開する戦略方針は中国の動きが表面化する前から変化を遂げており、二国間協力より多国間同盟関係を重視する方向に変化しているとデイビスは指摘する。
  14. オーストラリアの他の同盟国にはシンガポール、マレーシア、インド、ベトナム、フィリピンがあり、今回の演習には好意的な態度であり、日豪共同作戦でも同様だろうとリーは見ている。
  15. 「米国ならびに強力な同盟国へ中国に対応してほしいと見るが今回の演習を好意的に捉えると疑いがない」
  16. 日本の参画には国内政治状況も作用していると、ディーキン大学アジア安全保障問題を専門とするクレイグ・スナイダーは指摘する。安倍内閣は地域大の安全保障への関与を増やそうとしているからだ。■

2015年7月4日土曜日

★F-35>F-16に敗れた模擬空中戦結果を受けて米空軍主流派はこう見解を示している



本ブログはF-35に批判的な論調を展開していますが、前回のドッグファイト結果記事を掲載したところ相当の反響がありました。いただいたコメントはともに実施条件がおかしい、F-35の性能はそんなんじゃないとまるでメーカー広報のような論調でしたが、以下の新しいエントリーも空軍の見解を反映して同じ論調になっているのは実に興味深い点です。問題はF-22とペアで運用できるのは米空軍だけであり、その他各国はそんなぜいたくはできないこと、さらに実機の第一線配備がまだ実現していないことです。戦闘機に多額の投資をすることがほかの装備調達にどんなストレスを与えているのかが問題であり、2020年代にかけて西側の空軍力が実力ダウンにならないことを祈るばかりです。

F-16 Vs. F-35 In A Dogfight: JPO, Air Force Weigh In On Who’s Best

By COLIN CLARKon July 02, 2015 at 2:45 PM

F-35 and F-16
WASHINGTON: ステルス機の時代にドッグファイトは重要だろうか。F-16がF-35をドッグファイトで凌駕したらどうなるのか。初期型のF-35がF-16の後期型に対し優位に立てないとしたらどうなるか。
  1. そんな疑問に答えていこう。War Is Boringが問題の文書を入手した。F-35パイロットによるF-35対F-16のもぎ空中戦の初期評価内容だ。デイビッド・アックスDavid Axe のスクープだ。F-35のテストパイロットはF-16が殆どの場合でF-35を凌駕したと近接交戦の模様を伝えており、これは一般人がドッグファイトと呼ぶものだ。
  2. ただし事態はちょっと複雑だ。もちろんF-35パイロットがドッグファイトで負ければ大変だ。しかし、空軍や海兵隊のパイロットと話をしてみると、ハリヤー、F-18やF-16の操縦経験からF-35は優れた機体であると異口同音に話す。USSワスプ艦上でこの話が出た。USSエンタープライズの艦上でも同じで、ペンタゴン内部でもF-35とF-16を生産するフォートワースでも同じだ。
  3. 機体外部に兵装を搭載しないF-35が大型燃料タンクを外部に装着したF-16Dに対し優位にたてないとしたら皆どう言うだろうか。聞きたくもなるというものだ。F-35のステルス性能とセンサーは敵機を先に探知し、武装を敵機にロックして気づかれないうちに撃墜できる。
  4. 軍高官やパイロットからF-35が実戦でどんな活躍を示してくれるか期待が寄せられており、少なくとも半ダースのパイロットがF-35はF-18やハリヤー、F-16とは比べ物にならないと発言している。もし大規模戦闘が勃発した場合、最初の10日間でF-35がどんな動きをするかについてマイク・ホステジ大将(退役)(航空戦闘軍団司令官)はこう語っている。「開戦直後はグラウラー、F-16やF-15Eは戦場に送らない。代わりに第五世代機を送る」とし、同時にF-35はドッグファイト用には送らないとも発言。高性能統合防空システム(IADS)であるロシアのS-300やS-400の除去に向けられる初の米軍機だという。その後に進入し敵の戦闘機と近接戦闘をするのはF-22だ。
  5. 「F-35ではF-22と同等の速度、高度は無理だが、ステルス性ではF-22に勝る」とホステジは語っている。「F-35は敵地に侵入して地上目標を除去するのが役割だ」 事実、開戦初期ではF-22なら2機あれば実施できるミッションをF-35だと8機必要になる。
  6. F-35のレーダー断面積はF-22より相当小さいが、だからといってF-35がF-22より勝っているとはいえないとホステジは指摘。デスクに座ったままの将軍のコメントだろうとたかをくくる向きにはホステジはF-22のほかF-15とF-16のほぼ全部の型の操縦経験があると指摘しておこう。
  7. もうひとりはF-35の開発過程を内部から見守り、戦闘経験が豊かなデイブ・デプチュラ(空軍協会のミッチェル研究所所長)だ。デプチュラもF-15の操縦経験があり、イラクとアフガニスタンで合同任務部隊を指揮している。
  8. デプチュラは今回のテストパイロットの発言に対して「興味をそそるが、実際の作戦レベルになるとF-35が持つ大きな優位性とは関係がない話だ。つまり、低視認性、センサー性能、情報統合機能によりF-35は旧式機に対し相当の優位性を持つ」
  9. デプチュラは「F-35反対派は前世紀の空中戦にこだわっており、F-22やF-35が提供する情報面での優位性については理解できないのだろう」という。
  10. デプチュラはF-35やF-22で「戦闘機」の表現を軽視する。「これまで長年にわたり発言しており、今後も言い続けますが、第五世代機は戦闘機ではありません。『センサー搭載発射機』であり、各種の脅威に対応し、F(戦闘機)、B(爆撃機)、A(攻撃機) RC(偵察機) E(電子機) EA(電子攻撃機)、AWACSの機能を有する機体です」
  11. デプチュラはF-35一機で「従来型の機体数十機分の仕事ができ、従来機が数十機束になってもF-22やF-35一機ないし二機の仕事をこなせない」という。ドッグファイトは航空戦の必須条件ではないともいう。敵に発見される前に撃墜すればよい。「結論は、すべては情報だということです」
  12. これに対しF-35共同開発室は公式な声明を発表している。
  13. 「F-35の有する技術の狙いは、敵を発見し、発射し、長距離で撃墜することであり、目視のドッグファイトは除外している。F-35四機編隊でF-16四機編隊に交戦するシミュレーションを何回も行っているが、F-35が毎回勝利を収めているのは優れたセンサー、兵装、ステルスによるものだ」”
  14. そしてJPOからは今回のテスト機には最新のミッションシステムズソフトウェアが搭載されていないことに注意を喚起している。このソフトは相当の距離から敵を捕捉するものだが、テスト機には搭載されていないため、パイロットはヘルメットを介した旋回、標的、発射ができず、つど機体を目標に合わせる必要があった」
  15. 空軍少将ジェフリー・L・ハリジアンF-35統合室長の公式見解は簡素なものだ。「同機の操縦取り回しについて結論を出すのは時期尚早である。F-35は現在配備中の戦術戦闘機と操縦性において同等の性能を発揮できる設計だ。これによりF-16では生き残りが不可能な環境でも作戦を実施できる機体になっている。」 ホステジも実質的に同じことを昨年発言していた。では今回の結果から無難な結論はこんなところだろう。F-35はトップクラスのドッグファイト戦闘機ではない。なぜならもともとそのための設計ではないからだ。また敵を長距離から狙い撃破する設計で、敵がF-35を探知する前に撃破するのでドッグファイトは設計時に想定していない。■


2015年7月3日金曜日

★★ F-35A>F-16との模擬空中戦に負ける 防空任務を任せられるのか



F-35がF-16との空中戦に勝てなければ、その他国の新鋭戦闘機に接近空中戦で勝つ見込みは少ないということになりませんか。ドッグファイト向きでないので、とロッキードは弁明しているようですが、電子戦用途を想定する米海軍除き、すべての導入予定国はF-16等の更新機材として想定知るのではないでしょうか。つくづくこの機体に西側防空体制が振り回され、致命的な穴があかないことを祈らざるを得ません。

Controversy Flares Over F-35 Air Combat Report

Jul 2, 2015 Bill Sweetman | Aviation Week & Space Technology
ロッキード・マーティンF-35A供用打撃戦闘機(JSF)はF-16に基本戦闘機操縦性能で勝てなかった。演習で証明された。実機を操縦したパイロットのロッキード・マーティン向け報告書がリークされている。
  1. エネルギー機動性energy maneuverability (EM)、ピッチレート、飛行性のいずれも「直感的でなく好ましく思えなかった」ことが模擬空戦の大部分であてはまったためF-16に戦術的優位性が与えられ、F-16パイロットはミサイル、機関銃の双方でF-35を狙う位置につけた。またヘルメットが大型のためF-35のキャノピー内で後方視野が制限されたのも欠点だ。
  2. ロッキード・マーティンとJSF推進室が報告書の存在を認め、最初に War is Boringのホームページに掲載され、偽造ではないことがわかった。ただし、「今回のシナリオの解釈は誤解につながりかねない」と米空軍でF-35実戦化をすすめるジェフリー・ハリジアン少将 Maj. Gen. Jeffrey Harrigianは言い、結論を出すのは「時期尚早」だという。
  3. JSFの開発は1996年から続いており、これまで800億ドル超が投入されている。

  1. 報告書が言及しているテストミッションは1月14日に行われたエドワーズ空軍基地を離陸したロッキード・マーティン社主任テストパイロット、デイヴィッド・「ドク」・ネルソンが操縦したフライトのことだろう。これはすでにAW&STが4月に報じている。記事では模擬交戦で有利に立ったのはどちらの機種か論じていなかった。なおAviation Weekは作成者氏名が削除されてた報告書の写しを入手した。
  2. 基本性能から言ってJSFはF-16やF/A-18C/Dに対し格闘戦で優位になれないが、gや加速を瞬時に得られ、持続できる点で有利になっている。しかし、ロッキード・マーティンの幹部やパイロットからはセンサー融合機能、ステルス性、その他を勘案すればF-35は空戦で優位性を確立できると言明しており、「第四世代戦闘機」(この用語はロッキード・マーティンの造語)に対しその差は 400-600%に及ぶとしてきた。
  3. 1月のテストでF-35に対して優位に立ったF-16はブロック40のD型で、F-16の中では比較的性能が低い方で1987年から1994年にかけて納入されている。ブロック40は武装を強化して、ハブ・グラスレーダー断面積削減措置が施されている他、空虚重量が増えたが、ブロック50から導入された高性能エンジンは搭載していない。テスト機のF-16は370ガロンの外部燃料タンクを搭載していたため機体操縦は7gに制限されていた。
  4. ロッキード・マーティンからはテストに投入したAF-2は初期開発機体であり、ステルス塗装がないと説明があった。しかし 有視界交戦within-visual-range (WVR)にステルスは無関係であり、むしろ塗装膜のなき機体は軽量だったはずだ。またロッキード・マーティンはAF-2には「ヘルメットで旋回、照準し、敵機攻撃を機体の方向を変えずに可能にするソフトウェアが搭載されていなかった」と説明するが、好天の昼間ではこの機能はテストのF-16にもなかった。またテストではF-35はステルス性を発揮できていないが、機内に搭載する空対空ミサイルで高機動型はまだ使用できるものがないのが現状だ。
  5. 報告書ではF-35の飛行制御ソフトウェアに欠陥が見つかったと指摘している。ただし、ソフトウェアをいじっても高機動性の不足は解消できない。なぜなら機体がどの速度で飛んでいても、抗力と重量が加速、上昇、方向転換を決めるからだ。
  6. F-35の迎え角 angle-of-attack (AoA) の制限はF-16より大きい。これは通常なら有利になるが、ピッチレートの成約やEMが低いことが加わると実用性が低くなる。高いAoAを実現するまでに時間が相当かかり、エネルギー機動性が低いということはF-35は高速飛行での再加速が俊敏でないことを意味する。
  7. 飛行テストでは模擬空戦を17回行い、高度は18,000 から22,000 ft. の間、下限は10,000-ft. で速度は380 から440 kt表示速度だったと報告書は記載している。テストは「高AoAを実用上想定される反応操作に与え、AoAを上げるとともに操縦入力を過激に与える」ものだった。操縦パイロットはテストは「飛行条件を制限した通常テストでは得られないデータを得られた点で極めて効果的だった」と評している。
  8. 報告書ではまず「F-35Aの飛行特性でもっとも目立つのはエネルギー機動性の欠如だ」とあり、操縦パイロットはF-35Aの主翼はF-15Eより小さいことを指摘している。両機は機体重量はほぼ同じだが、推力は15,000 lb.もF-15が小さい。
  9. 「ピッチレートが充分でないためEM不足が悪化した」と操縦パイロットは報告している。エネルギーが連続して低下したため、パイロットは機首をあげようとした。F-35にはピッチレートの制約がなければ武器発射のチャンスはもっとあったはずだ。ピッチレートは空力特性よりも飛行原理による制約を受ける。攻撃、防御ともに期間銃の反応は鈍く、簡単に相手に見つかり対策を取られていると報告書にあり、飛行中のg 最高値は6.5gだった。F-35の機体は9gに耐える設計だ。
  10. 高AoAのフライトでF-16へ「攻勢に回る機会はわずか」だったという。F-16もロールとヨーでAoA制約はある。たとえば、フルラダーの入力を長く与えるとF-35は鋭いヨーを起こし、F-16は機首を横切り、ミサイル発射の好機が生まれると報告書は指摘。だがこの操縦で「エネルギーを失う覚悟」が必要で、機体は設定高度の下限に向かい、「敵が間違いを犯さない限り、撃墜されることを意味する」という。
  11. F-35は繊細な飛行制御システム (FCS) を搭載し、操縦桿やラダーの入力に対する反応を変更するのは機体が性能上限に向かい、AoAが低いあるいは高い状態で、角度が20から26度にある際だ。この範囲での空戦能力が最高だったと操縦パイロットは報告している。ただし、操縦は容易ではなく、飛行性が「直感的でなく、また楽でもなかった」ことと「横方向と飛行方向での反応で予想がつかないことがあった」ためだ。
  12. 操縦パイロットの所見ではFCSがAoAに応じて入力反応を調整してしまうことが問題だという。飛行テスト時にはAoAを設定し、特定の反応をパイロットは想定できるが、動的なフライトでは「AoAがどうのこうのというより敵機の動きに注意を集中し、機体反応は戸惑わせるものがあった」という。
  13. ある例では操縦パイロットがフルラダーを試みたがまったく効果が生まれず、そのため操縦桿に入力し、ラダーを踏むこむのと同じ効果を試みた。操縦パイロットは更に強くラダーを試み、「大変大きなヨー」を期待したが、FCSのスピン防止機能で即座に打ち消されてしまった。
  14. スピンできない飛行制御とピッチレートが低いことからF-35はF-16の銃撃から逃れることはできなかった。「銃撃への防御で有効策はなかった」と報告書は指摘している。例えば標準的な回避行動はピッチレートが低いことで有効に使えなかったため、パイロットは「圏外脱出行動を執らざるを得ず、簡単に追尾されていしまった」という。
  15. ヘルメット装着ディスプレイの大きさも問題になった。「敵機が目視出来る場合の位置確認にヘルメットが邪魔だった」と報告書にある。バイザー部分も視野の邪魔になることが数回あった。
  16. そこで報告書では対策を数点指摘している。例としてAoA制限の緩和とピッチレートがある。ともに迅速な移動や高AoAの実施を妨げている。これが実現すればF-35はF-16に対する操縦性魚の優位性を確保できる。また操縦パイロットからは「混合」飛行制御の枠を拡げ、戦闘時に飛行制御が変化しないようにするとともに、スピン制御よりももっとヨーをおこなえるようにすべきだとする。
  17. エネルギー機動性が足りないことの解決はもっと困難だ。最新世代戦闘機でのAoA制約が低いことを考えると、「F-35がスホイやタイフーンを相手にすると、簡単に餌食になる」と経験豊かな軍のパイロットが評している。「向こうのほうが旋回率で優れており(推力に余裕があるため)エネルギーの有効利用でも優れている」
  18. 報告書を見た別のパイロットがAviation Weekに語ってくれた。その全員が戦闘機メーカーと関係があるわけではない。全員が一様にエネルギー機動性の不足に驚いている。ブロック40のF-16に制約があり、機外タンク装着も「F-35に有利に働いたはずだ」とそのひとりは指摘し、有視界戦闘であればF-35のエンジンが強力で新型であり有利になっていたはずだという。
  19. 「F-35の実態に目を向けるべきでしょう」と別の海軍パイロットは指摘する。「同機は格闘戦向け軽量戦闘機ではない。F/A-18E/Fの初期生産でも同じことがあり、コードを数百万行書き換え、何度も改修を行っています。ただ今回はコードの書き換えはずっと容易になっているはずですが」
  20. 「誰が見ても俊敏な戦闘機ではない」と三番目のパイロットが語る。フライトテストで条件を変えたことが問題になっていると指摘し、パイロットの操縦時間が削られ、飛行訓練を別の低価格機やシミュレーターで代用すれば問題になるという。
  21. 今回の報告書漏洩でロッキード・マーティンは空戦時の操縦特性は重要ではないと主張している。「F-35が搭載する技術は交戦し、射撃し、敵を長距離から排除することが目的です。目視による『ドッグファイト』は必らずしも必要ではありません」 ただし、Aviation Week’の情報入手先の一つが指摘している。視界外での交戦は開戦初期には困難だろうという。あるいは交戦規則が長距離攻撃を制約するかもしれない。「F-35に対する有効な対策は思い切り接近すること」だという。■
なお、報告書の原文は下を参照してください。


2015年7月2日木曜日

★なぜISISは一向に弱体化せず、逆に強くなっているのか



最後の発言が救いで経済振興ができれば過激主義に走る必要も減るのはだれでも理解できます。問題はどうやって世界全体が繁栄できるのかであり、暴力の連鎖を止めることなのですが、残念ながら暴力が最高の解決手段であることにかわりなく、対ISIS(今やアルカイダも的とみなし撲滅を誓っている)作戦は今後10年単位の期間がかかるだろうというのがブログ主の悲観的な見方です。

Panel: ISIS ‘Stronger, Tougher and Smarter’ Than Expected

By: John Grady
June 29, 2015 1:46 PM

イラク第二の都市モスルの陥落から一年たったが、イラク・シリアのイスラム国(ISISあるいはISIL)は「今までより強く、打たれ強く、賢い」敵となり、米国の予想を超え、中核構成員を失い死傷者を多数出しても迅速な回復力を示している。

  1. 会場の戦略国際研究所(CSIS)でワシントン・ポストのデイビッド・イグナティウスDavid Ignatius は「ISISの作戦展開の価値観は超高速、一方米国は超低速」と評した。

  1. CIA元副長官スティーブン・カップスStephen Kappasからはテロリスト対策で「9.11以後の教訓を忘れている」米国には驚きを隠せないと発言があった。また米国には「以前はうまくいったのに今度は失敗する事を作る」能力があると評している。またISISはイラク、シリア両国ならびに北アフリカで「真空地帯すべてを埋め尽くした」とも発言。

  1. 「ISIS戦闘分子は生き残る決意が固く、実際に生き残っている」とカップスは評し、日本兵が数週間に及ぶ空襲や砲弾の雨を生き残り、海兵隊相手に太平洋各地でしぶとく戦った第二次大戦の例をあげた。

  1. また質疑応答の部ではカップスはイラク国内のスンニ派と米国の同盟国・協力国は今回の戦闘が「厳しい局面になろうとも米国は見放さない」と理解すべきだと回答。

  1. イグナティウスからは米戦略でイラクのヌーン・アル=マリキに首相職を降ろさせ、国際有志連合でイスラム過激主義の敗退を目指し、治安部隊を動員し、スンニ派を巻き込んだのは基本的に正しい戦略だったとの発言があった。

  1. 「現在の問題は事実だがこの戦略を否定するものではない」とし、地域内連携やイラク国内部隊の動員が例だとする。

  1. イグナティウスはオバマ大統領には「作戦の責任を取る人物が必要だ。ジョン・アレン(退役海兵隊大将)はその責をとったが、ホワイトハウスでは誰も取っていない」と評した。実際には国務省にポストが生まれ、中央軍を相手にスンニ派過激主義者を撃退したのはどちらか言い争っているという。

  1. カップスは「各国駐在大使に信を置く」とし、ライアン・クロッカー Ryan Crocker 元大使とデイヴィッド・ペトレアス将軍Gen. David Petraeus がイラクでともに戦い、目標を達成していると指摘。

  1. スンニ派の「地方部族は一度足らずとも」米国を助けているとカップスは指摘。ISISとの戦いに再度勝つことは8年前「に増して困難な仕事」になったという。「不信感はいったん生まれると急速に拡大する」

  1. ふたりともイラクが単一国家として存続できるか疑問に感じており、スンニ派が政府を信用しない限り無理だという。

  1. 逆にふたりとも米国が今後数年間のうちに大規模地上部隊を派兵するとは見ていないが、前線航空統制官の派遣、物資提供の拡大、訓練教官の増強はありうるという。

  1. 「訓練や支援とは大変難しい業務だ」とカップスは言い「一緒にいなければならない仕事」で小銃の使い方を体得させたからといって帰国できないのだという。

  1. ただ米国の関与が拡大していない理由についてイグナティウスは「イラクと聞くだけでアレルギー反応を示す国がひとつある。アメリカ国民よりも大統領のほうが拒絶反応を示している」

  1. 米国には現在もイラク国内に情報源があるが、シリアには少ない。事実は「敵のことが十分わかっていない」のだとイグナティウスは言う。

  1. カップスはイランまで含み多くのレベルで「交戦を確信しているCIA情報官は多い」という。ここにシリアも含み、バシャ・アル=アサドに権力の座を降りるか、カダフィのリビアのように野垂れ死にするかの選択しかないと説得できるシリア人がいるという。

  1. イグナティウスはイランQuds部隊がISISの攻撃下にあったイルビルに最初に到着していると指摘。イルビルはイランの代理をつとめるシーア派戦闘分子を抱えるイラクの都市だ。イランは現地にかけつけて「戦闘開始の能力』があることを見せつけ、チクリットやアンバール県でも同様だったが、それぞれスンニ派が優勢な地方で「完勝をおさめていない」と指摘している。

  1. カップスは「外国人戦闘員の数が2万人と言われるが、にわかに信じがたい」と発言。イラク戦争時にはアルカイダ系外国人戦闘員の推定数はISISの十分の一だったとする。
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  1. 今の懸念は外国人戦闘員がそれぞれ帰国したらどうなるかという点だ。「みつけだすことができるだろうか」との疑問があり、安全保障と法執行の中間で迅速さが重要だという。

  1. 「対テロ作戦の有効な方法は『雇用創出』だ。国内、国外問わず」とカップスは言う。働き口があれば若者をつなぎとめISISのような過激集団に加わらないようになるというのだ。■


2015年7月1日水曜日

★韓国がエアバス給油機を採用、次の焦点は日本



次の焦点は日本だと、エアバス、ボーイング両社は見ているようです。KC-767を導入済みとはいえ、KC-46Aは別の機体と言っても良い存在なので、一からの商戦になるのではないでしょうか。米国装備中心の日本のため、エアバス採用は考えにくいと見る向きが多いと思いますが、逆に考えれば価格面でボーイングが譲歩すれば日本としてはよい買い物になるチャンスかもしれませんね。

South Korea Selects Airbus for $1.33B Tanker Contract

By Aaron Mehta and Agence France-Presse4:15 p.m. EDT June 30, 2015
FRANCE-EUROPE-DEFENCE-MILITARY(Photo: Pascal Pavani/AFP)
SEOUL and WASHINGTON — エアバスが総額13.3億ドルの商戦を勝ち取り、韓国に空中給油機を納入する。ボーイングは敗退した。
  1. 1.488兆ウォンでエアバス・ディフェンスアンドスペースはA3300MRTTを4機2019年までに韓国空軍に納入する。
  2. A330MRTTはA330-200旅客機の派生型でボーイングKC-46Aに競り勝ったと韓国政府が発表した。
  3. 韓国初の空中給油機をとなりジェット戦闘機はより多くの兵装を搭載して離陸できる。
  4. 韓国の国防調達計画庁によればエアバス提案が価格と性能さらに搭載量で高得点だった。
  5. 韓国の空軍装備調達ではこれまで圧倒的に米国製装備が多かったのは、米韓両国の密接なつながりが背景にあった。しかし欧州勢もエアバスはじめ一定の契約受注に成功している。
  6. たとえば2005年にはエアバス・ヘリコプターが輸送ヘリ「スリオン」で韓国航空宇宙工業(KAI)との提携関係を樹立しており、スリオン1号機は2009年に発表されている。
  7. 今年3月にはエアバス・ヘリコプターは16億ドルでこれもKAIと提携して300機以上の民生・軍用ヘリコプター生産の契約を調印している。
  8. KC-46で海外の買い手を探している中でのエアバス選定はボーイングには痛手だ。
  9. ボーイング広報からは選定結果に「失望」したが、「今後も韓国とのパートナーシップを維持する」と発表している。
  10. A330給油機型は海外市場ではボーイングより成約数が多い。韓国は英国、UAE、サウジアラビア、シンガポール、オーストラリアに続いて同機の運用国となる。インド、フランスでは契約はまだないが、同機導入に傾いている。
  11. エアバス、ボーイングの次の商戦の舞台は日本で、この国もずっと米国装備の導入実績が圧倒的だが、選定では価格が決め手になりそうだ。■