Is Japan Destined to Have Aircraft Carriers Armed with F-35s? 日本は空母にF-35を搭載することになるのか
Sorry, but Tokyo calls them "helicopter destroyers."日本政府は「ヘリコプター駆逐艦」と呼称している
自衛艦いずもは海上自衛隊最大の艦容を誇り排水量は27千トンもある。全長にわたる航空甲板は248メートルとフットボール競技場二個半に相当する。通常はSH-60Kヘリコプター7機を搭載し、敵潜水艦を探知掃討するのが役目だが、その他捜索救難用ヘリコプター二機も運用する他、最大28機のヘリコプターを搭載できる。
こうしてみるといずもは立派な航空母艦なのに姉妹艦かがとともに「ヘリコプター駆逐艦」として就航しているのだ。
この呼称には怪しい点がある。先立って建造されたひゅうが級には魚雷と中距離対空・対潜ミサイルが搭載されているがいずも級には通常の「駆逐艦」が搭載する長射程兵装がない。唯一の武装は短距離ファランクスとSeaRAMによる自艦防御だけだ。
この区分は日本政府で「空母」とは攻撃兵器であるとの認識から生まれたものであり、攻撃兵器は日本国憲法第九条で自衛隊装備として禁じられているのである。
「攻撃」と「防御」兵器の違いは議論を呼ぶだろう。攻撃を主眼とする国であっても防衛は必要だし、防衛力も抑止効果や反撃のため攻撃手段を必要とすることがある。空母が浮かぶ航空基地として他国攻撃に用いられてきたことは否定できない。
実は日本こそ空母戦力の作戦運用を初めて行った国である。第一次大戦開始とともに日本巡洋艦の一隻が艦載水上機を使い歴史で初めてドイツ巡洋艦を爆撃した。英海軍は1918年に飛行甲板つき空母を初めて作戦投入している。帝国海軍はその後大型空母部隊を1920年代30年代通じ整備し1941年12月の真珠湾奇襲攻撃につながった。最強を誇った日本部隊もミッドウェイ開戦で米海軍空母部隊の前に敗退し、その後空母、パイロットともに消耗していった。
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ただし空母の役割は攻撃のみではない。戦闘機を発進させ友軍の水上艦艇や基地を攻撃から守ること、敵艦船や潜水艦を探知紹介することもある。自衛隊は特に遠隔島しょ部の防衛を重要視しており、列島線南西部の尖閣諸島や琉球列島を意識している。こうした島しょ部は本土より数百マイルも離れているため防空とともに奪還作戦を複雑にしかねない。
もちろんヘリコプター空母は対潜戦で極めて高い効果を発揮する。またそのため基本的に防御装備と言えるが、上空援護や地上航空支援は行えない。だが日本がいずも級でジャンプジェットの運用を可能に設計している可能性はある。
日本はジャンプジェット機材を保有していないが、報道では取得に向け前向きであるとある。米海兵隊が運用するF-35BライトニングIIは小型揚陸艦でも運用が可能であり、9月27日にアフガニスタンに投入され初の実戦テストを行ったばかりだ。日本はF-35Bを購入していないが、通常型F-35Aはライセンス生産で42機を整備する。
F-35は優れたステルス性とコンピュータ性能が取り柄だが、飛行性能では第四世代機と比べて見劣りがするのも事実だ。(速力と操縦性)それでも従来のジャンプジェットのハリヤーやYak-38より遥かに高性能だ。ライトニングは一般的な航空優勢戦闘機より速力が劣るものの、強力なセンサー性能と低視認性で速力や操縦性で勝る敵を出し抜くだろう。つまり敵に長距離ミサイルを先にお見舞いしてから探知される前に逃れることだ。
すでに2018年5月にいずも、かがに米海兵隊機材を搭載し日本防衛を図る検討案が日本で公表されている。その前には日本国内紙が政府が航空自衛隊向けにF-35B最大40機の調達を検討中と報道していた。これはF-15Jの後継機とあったがF-35Bはリフトファンがあるので遠隔島しょ部での運用も可能だし、いずも級を改装し最大10機を運用する場合の費用も検討している。
改装では甲板に耐熱塗装が必要となる。F-35Bの垂直上昇で高熱が発生し飛行甲板が損傷するからである。ただし一部筋によれば甲板にはそのことを考慮した工事が実施済みであり、設計時から「ヘリコプター駆逐艦」から空母へ転換する前提だったことになる。ただしいずも級にはスキージャンプ式ランプがあれば垂直離陸による燃料の大量消費や甲板損傷を避けられる。
それでも空母から固定翼機を運用すれば平和主義志向の強い日本で微妙な問題となる。これは中国にも同様だ。中国も空母航空兵力の整備を進めており、PLA海軍は五年間で中型空母二隻保有まで進歩した。2020年代中頃までに4隻追加する構想といわれる。中国からはいずも級の性能について不満が出ており、日本の新鋭艦は軍国主義のあらわれとしている。
日本が空母航空兵力を再整備すれば帝国海軍の戦時中の行いを連想させかねない。だが二隻がジェット戦闘機十数機を搭載しても日本の外交方針が急に強硬になるわけでもあるまい。世界にはブラジルのように空母運用しつつも領土拡張の野心を示さない国もある。豊かな島国の日本で空母数隻を運用して長大な領土防衛にあてることは理解の範囲内だ。
日中間の感情的対立こそがいずも級で建造時から空母運用を想定しつつも「ヘリコプター駆逐艦」との用語をつけざるを得なかった理由だろう。だが日本の保守政権が防衛予算を史上最高額まで拡大して中国の海軍力の拡張に対抗させようとする中でジャンプジェットを空母から運用する構想はこれまでの控えめな姿勢を目で見える形に転換する効果を生みそうだ。■
Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring .
Image: Wikimedia Commons.