2018年11月4日日曜日

日米加による大規模海軍演習キーン・スウォードが進行中

U.S. carrier leads warships in biggest ever Japan defense war game 米空母含む艦艇が日本最大の軍事演習に参加中

US Navy
USSロナルド・レーガン艦上にて---米戦闘機編隊が西太平洋上空に土曜日展開した。原子力空母USSロナルド・レーガンが日本の駆逐艦部隊およびカナダ艦艇に合流し最大規模の即応体制確認の演習が日本周辺で行われた。
キーン・スウォード演習が2018年11月3日実施され、米海軍、海上自衛隊、カナダ海軍が合流した。
演習には日米だけで総員57千名が加わり、戦闘、上陸作戦、弾道ミサイル防衛の各種訓練を展開する。自衛隊員で参加する47千名は日本の総兵力の5分の一に相当する。
「ここに集結したのは安定のためであり、いざという際の威力を維持するためでもある。キーンスウォードのような演習は必要だ」とレーガン空母打撃群司令カール・トーマス中将がF-18戦闘機が艦上で開かれた報道説明会で述べた。
空母には8隻が随行し対潜戦も演習する。日米両国は日増しに強くなる中国の影響力を警戒している。
この地域のみならずインド太平洋にかけて日米同盟は安定のため不可欠」と江川宏海将補もレーガン艦上で語った。
レーガンは横須賀を母港としアジアで最大の米軍艦で、乗組員5千名、F/A-18スーパーホーネット約90機を搭載する。

カナダが初参加

カナダ海軍の補給艦一隻も演習に加わっている。
日米二国間演習として1986年に始まった同演習でカナダの参加は初。在日カナダ大使館付き武官ヒューズ・カヌエル大佐は「多国間演習に復帰するもの」と今回の意義を語り、カナダはアジアでの軍事プレゼンスを強めたいとも述べた。
この地域で安全保障の役割を拡大しようとする西側国はカナダ以外に英国、フランスもあり、艦艇派遣を増やそうとしている。中国が南シナ海の軍事プレゼンスを増大し、インド太平洋への影響力を強めるのを横目で睨む形だ。
キーン・スウォードには英国、フランス、オーストラリア、韓国も視察団を派遣。

存在感を強める日本

各国がアジア安全保障へ関心を高めているのと日本の域内外交で軍事力誇示が増えてきたのは偶然の一致ではない。
同時に安倍晋三首相は中国との対話により東シナ海の軍事緊張緩和を探りつつ経済面の協力関係も模索中だ。
米中で貿易摩擦が強まる中、安倍首相は日本首相として7年ぶりに北京に飛び、習近平主席、李克強首相と会談し北朝鮮問題含む域内安全保障で日中両国で責任分担すると述べた。
ただし日本は北朝鮮より中国を警戒し、南シナ海での海上軍事力増強だけでなく太平洋インド洋への中国の進出も問題視する。
中国の今年の1600億ドルの国防予算は日本の三倍規模で、米国防費の三分の一に相当する。.

キーン・スウォードは「有志同盟国・協力国のコミットメントの表われだ。強力な実力を発揮し一致団結してインド太平洋で平和と安定を実現していく」と米海軍作戦部長ジョン・リチャードソン大将が述べている。■

2018年11月3日土曜日

★F-35を飛ばした米空軍パイロット31名から判明した同機の事実9点とは

9 F-35 Facts We Were Told from 31 Air Force Pilots Who Flew the Stealth Jet F-35を飛ばした空軍パイロット31名からわかった関する9つの事実
November 2, 2018  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35Air ForceMilitaryTechnologyWorldWar
計174名の米軍パイロットがロッキード・マーティンF-35AライトニングIIの訓練過程を修了している。ヘリテージ財団はそのうち31名から聴取することができた。すべてF-15C、F-15E、F-16C、A-10からの機種転換組だ。全員がF-35Aに高い信頼を寄せていることがわかった。
今回わかったパイロットたちの知見を以下9点にまとめた。
1. 開発段階のため機体反応や操縦性に制限があるとはいえ、今回聴取したパイロット全員が空対空戦(ドッグファイト)なら以前の機種よりF-35Aを選ぶと答えた。
2.F-15C教官パイロットの経験があるものは模擬空戦で以前乗っていた機種を連続して打ち負かしていると述べた。
3. 以前F-16C教官パイロットだったものは空軍兵装教官課程(海軍のトップガン校に相当)も修了しており旋回ではG-制限のため制約が付くが方向舵を使った旋回には目を見張るものがあり毎秒28度が可能だという。制限が撤廃されればもっとすごい操縦が可能となるはずだ。
4. F-16CJワイルド・ウィーゼルの元教官パイロット三名からはF-35A一機でSAM陣地を今までより迅速に発見が可能で対応はF-16CJ三機分に等しい効果があると聴取した。
5. F-35Aのレーダーで敵戦闘機や地対空レーダーを電子攻撃し作動不能にできる。このため同機は敵レーダーに対して無敵だ。
6. A-10の元教官パイロットはF-35Aが搭載するセンサー装備で状況認識が向上し近接航空支援はA-10と同様あるいはそれ以上にこなせると述べた。
7. 研究開発の進歩によりF-35Aのステルス表面の整備が簡単になり出撃制約がF-22,F-117やB-2より低くなった。F-35Aでは戦闘、訓練いずれでも連日飛行が可能となった。
8. F-35Aが搭載する各種戦術センサーの情報は一つの画面にまとめられセンサー融合)るがまだ最適化されておらず、パイロットはほとんど全員が「ゴースト」が見えたり、同じ標的の情報が複数表示されると述べた。
9. 量産段階に入ればF-35Aの機体価格は第四プラス世代のユーロファイター・タイフーン、ラファールM、さらにF-15Kストライクイーグル後期機材より安価になる見込みだ。各機を上回る性能を空対地攻撃で示し、空対空戦でも各機が敵わない性能を示す。
F-35Aで開発と生産が同時進行シているとは確かに難題で遅延や費用超過のリスクが調達に影響を及ぼしているかと言うと必ずしもそうではない。
構成部品、センサー、機体構造の開発を同時に進めるため機体重量、寸法、性能で小規模の変更が生じ日程に変更が生まれればやはり機体重量、寸法、性能、全体の日程に影響が生まれる。
事業全体を時間どおり予算以内に抑えて進めるためには安定した指導体制が必要だ。米国は史上最高の技術を応用した高性能戦闘機を正しく配備できるかを問われていると言えよう。
同時並列開発方式によるF-35A事業で得られた教訓や制約条件は貴重だ。ペンタゴンは将来の大型装備案案件にこれを生かして陳腐化してしまう前に配備がすすむようにすべきだ。■
元ネタはヘリテージ財団なのでF-35Aについて好意的に見ていますね。初出は数年前らしいので現在は少し変わっているかもしれません。数十年供用し段階的に性能をアップデートするのはいいのですが何年たっても完璧な機体にならないのではそのうちに別の機体に追い越されてしまいますね。F-35という存在自体にいつも疑問を感じるのは私だけでしょうか。

2018年11月2日金曜日

中国空母二号艦の艦隊編入近づく 艦名は山東か

China’s Second Aircraft Carrier Sails Closer to Joining the Fleet 中国の空母二号艦の就役近づく

'Shandong' suffers the same limitations as her predecessor「山東」も一号艦同様の制約につきまとわれる

China’s Second Aircraft Carrier Sails Closer to Joining the Fleet
WIB SEA November 1, 2018 David Axe



国初の国産建造001A型空母が第三回海上公試に2018年10月28日大連港を出発した。同艦は早ければ2019年に艦隊に編入と米国防総省は見ており、中国が二隻目の空母を供用開始すれば世界第二位の空母戦力が中国に出現する。
今回の公試は兵装、指揮、通信の各装備のテストが目的と環球時報が伝えている。
排水量55千トンの同艦は「山東」と命名されると言われ、一号艦遼寧の改良型だ。遼寧はソ連が1980年代に建造開始しながら未完の旧ワリヤーグだ。
中国は同艦を1998年購入し、2012年に遼寧として就役させた。J-15戦闘機部隊とヘリコプターを搭載する遼寧は2018年1月に西太平洋で初めて実戦さながらの演習に投入された。
山東は遼寧と同じレイアウトで制約条件をそのまま共有する。カタパルトがないため、艦載機は傾斜付き飛行甲板から自力発艦させる。機体重量が大きく制限され兵装、燃料の搭載量が限られる。
米海軍空母では蒸気カタパルトで艦載機を発艦させ、最大重量は50トンにものぼる。これに対し遼寧では30トンが限度だという。J-15の空虚重量は20トン近い。ペイロード10トンで燃料が大部分を占めれば兵装は小型ミサイル数本に限られるだろう。
だが今後登場する中国の新型空母ではこの点が改善され、中国が投入してきた巨額予算がついに効果を見せるはずだ。中国は4隻から6隻の空母を整備し、遼寧、今回の001A型のほか二隻ないし四隻の体制となると米議会調査サービスが2018年8月に伝えていた。
米国は最大の空母運用国で10隻が供用中だ。フランス、英国、インド、ロシアの各国が一隻ずつ保有する。揚陸強襲艦を保有するその他国も固定翼機の運用が可能となろう。
三号艦が上海で建造中と伝えられており、この艦にはカタパルトがつくとの報道がある。「中国の次世代空母は航続距離が伸び各種固定翼機を運用する。その中には電子戦用機、早期警戒対潜哨戒機も含まれるはず」米国防総省は2018年度版の中国の軍事力報告で述べている。
空母が増えれば中国は太平洋からインド洋にかけて今以上に強い影響力を展開できるようになる。「2020年になれば空母搭載の航空兵力が限定的ながら防空任務を水上艦隊の上空に展開できるようなる」と海軍情報部は2014年に見ていた。
ペンタゴンの2018年版中国の軍事力報告では「こうした進展で空母戦闘群が近海から遠隔地にまで中国の権益を守る存在になる」と述べていた。■

This story originally appeared at The National Interest.

2018年11月1日木曜日

米海軍が開発をめざすロボット駆潜艇はASWの様相を一変する可能性


The Navy Could Secretly Be Looking for a New Way to Stalk Diesel Submarines 米海軍が密かに狙うディーゼル潜水艦の新対策とは

October 31, 2018  
海軍が実現をめざすロボット艇は4,500マイルを無人航走し危険地帯に侵入する。
中型無人水上艦艇Medium Unmanned Surface Vehicle の用途について海軍は口を閉ざす。だがFedBizOppsの連邦政府公式調達情報にある要求内容からDARPAと海軍がディーゼル潜水艦を探知追尾可能なロボット艇の実用化を狙っていることがわかる。
海軍水上システムズ本部(NAVSEA)による公告が出たFedBizOppsでは「海軍が目指す独自展開可能の中型無人水上艇(MUSVs)の要求水準を満たす技術提供を求む。MUSVsは全長12メートルから50メートル以内の艇と定義。NAVSEAは既存、有人または無人水上艦艇設計で無人水上艇に急速に転用できる技術要素を民間部門から広く募集する」とある。
海軍が求めるMUSVの主な性能は「航続距離、巡航速力、信頼性のいずれも従来を上回ること」としている。だがNAVSEAの公告一覧はさらに詳しく以下の性能を想定している。
- 航続距離4,500カイリを最小16ノットで実現すること
- 24から27ノット速力を維持すること
- 第四海上荒天条件(波高4から8フィート)でも搭載ペイロードの運用を安定して行えること
- 第五海上荒天条件(波高8から13フィート)に耐えられること
- 人員による保守整備なしで60から90日海上活動を行えること
- 40フィート海上輸送コンテナー一個および20フィートコンテナー一個を搭載する事が可能なこと。興味深いことにNAVSEA公告ではMUSVの目的に一切触れていない。「最低条件は各コンテナーから180度視界があることとし、望ましいのは270度視界とする」とあり、海上輸送コンテナーとは何らかのセンサーを意味するとわかる。海軍は同時に各種通信アンテナの搭載場所も必要としており、米海軍及びNATOで標準装備の戦術データ共有装置も含むとする。
-「艇に防御装備は不要」と海軍は述べている。「カメラ複数で艇へ乗り込もうとする試みを遠隔地人員に知らせること」ともあり、ここから艇が戦闘状況に投入される事態を想定していることがわかる。
-.海上衝突回避国際規則COLREGSに準拠し自律操艦が可能なこと。COLREGSは相互に航行する複数の船舶でどちらに優先権があるかなどを規定している。
MUSVの要求性能はDARPAによるACTUVロボット潜水艦ハンターと酷似している。ACTUVは現在は海軍研究所でシーハンター計画として稼働中だ。
シーハンターは全長132フィートで速力27ノットだが後続距離10,000マイルはMUSVを上回る。曳航式ソナーアレイを搭載したシーハンターは自律長距離長期間運行可能艦艇の実証プロジェクトでセンサーを搭載し、静かなディーゼル潜水艦の探知もめざしながら一旦探知した潜水艦を数日間にわたり追尾し味方の有人潜水艦が現れるまで現場に残る構想だ。
本誌からMUSVとシーハンターの類似性を尋ねたところNAVSEA広報官アラン・バリボーは「FBO公告は市場調査の目的のみで発表されたもの。米政府は民間業界に情報開示を求めることはよくある。お尋ねの両事業を比較するのは時期尚早だ」と回答してきた。
いずれにせよ、無人潜水艦ハンターの実現が迫っているようだ。潜水艦追尾を無人艇に任せれば有人艦艇、哨戒機に他の任務をさせられる。自律運用艦艇の実現で最大の障害はCOLREGSに準拠した人工知能だろう。というのは海上交通関係者はロボット艇が混雑した水路を無鉄砲に走り回るのは見たくないからだ。だがこれが解決できればこれまで忍耐力を必要としてきた対潜戦は退屈を感じないマシンには最適な任務になるだろう。■

Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter andFacebook .

2018年10月30日火曜日

★中国J-20がF-22・F-35に勝てっこない理由

China's J-20 Is No Match for the F-22 of F-35 中国のJ-20はF-22やF-35の敵たりえない

China’s first fifth-generation aircraft is having a major issue.中国初の第5世代戦闘機には大問題がつきまとう
by Zachary Keck
October 29, 2018  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: StealthAir ForceChinaAmericaJ-20F-22F-35MilitaryTechnology


国がJ-20ステルス戦闘機で初期作戦能力を獲得したと中国国防省は2月9日に発表した。中国では西側の独壇場だったステルス機に中国が参入したと大いに宣伝している。「J-20の登場でアジア太平洋の空軍力の構図は変わる。これまで米国及び同盟国の日本だけがステルス機を運用してきたが、中国J-20の登場で独占状態は消えた」と国営通信社が配信した。


確かに中国はJ-20を米国製第5世代機のF-22やF-35に競合する存在と表現してきた。だが新たな報道記事によりこの主張が疑わしくなっている。サウスチャイナ・モーニング・ポストから「中国は初のステルス戦闘機の供用を急ぐあまり、エンジンを間に合わせのものですませた」との報道が出た。同紙によれば「性能が大幅に制限され、操縦性や燃料消費効率のみならず超音速域でステルス性へ影響が出ている」とある。


記事ではJ-20は専用のW-15エンジンを搭載予定だった。しかし2015年のテストでW-15エンジンが爆発し幸い負傷者は出なかったが、中国技術陣は「原因は複雑で単結晶タービンブレードの品質管理で疑問が発生している」と同紙に述べていた。具体的に言えばW-15の単結晶タービンブレードでは高温条件下でJ-20の操縦性を支えられない。


高性能に耐えられるエンジンが第5世代機に不可欠だ。記事ではF-22では搭載するプラットアンドホイットニーF119エンジンはアフターバーナーなしで超音速加速が可能なためステルス性維持にもつながるが、J-20で同様のエンジンが無いと超音速飛行中にステルス性が確保できないとする。


この問題は短期間では解決できそうもない。別の中国軍事筋によると中国技術陣は最高水準の単結晶タービンブレード作成は十分可能だとする。ただし高度技術の量産ができないという。このため西側の経験を活かしたテストを多数実施しながら問題が解決不能のままという。そこでとりあえずWS-10Bエンジンを搭載することにした。同エンジンは第四世代戦闘機のJ-10やJ-11戦闘機が搭載するWS-10の改良型だ。しかしWS-10Bの推力重量比ではJ-20はアフターバーナー無しで超音速飛行が不可能だ。


J-20のエンジン変更は今回がはじめてではない。当初はロシア製AL-31を使ったが、これはWS-10Bよりさらに性能が劣る。中国はロシアに働きかけ高性能エンジン売却を迫ったが中国がリバースエンジニアリングする恐れがあるとしてロシアが拒否した。実際に中国はその他軍事装備品で前科がある。ロシアから拒絶された中国は巨額費用でエンジン国内生産を目指した。「軍内部筋」によれば2010年から2015年にかけ237億ドルを投じて新型航空宇宙エンジン実現を狙ったという。中国国営通信はこうした投資が結果を生んだとし、中国中央電視台はW-15エンジンはプラットのF119に匹敵する性能を実現と喧伝していた。明らかに事実は違う。


今回のサウスチャイナ・モーニング・ポスト記事の前にも報道があった。2016年1月のロイター記事が中国が第5世代戦闘機用エンジンの製作で苦労する様子が伝えられていた。「中国のエンジンメーカー各社は多数の問題に直面している」とシンガポールのS・ラジャラトナム国際問題研究院助教授のマイケル・ラスカの発言を同記事が伝えた。ロイター記事ではJ-20、J-31はともにアフターバナーなしでスーパークルーズができず、ロッキード・マーティンのF-22やF-35に差をつけられているともある。

それでも中国はいつの日か高性能航空宇宙エンジンの生産に成功するはずと見ている。ロイター記事では中国が海外技術陣を雇用し、中国空軍関係者が生産を支援するとあるが、ロイターはその裏を取れなかった。また民生防衛双方で使うエンジン開発のため中国は3,000億ドルを今後二十年に投入するとの観測もある。

こうしてみると中国機は米国機材と同等の立場にはない。当面は。■

Zachary Keck ( @ZacharyKeck) is a former managing editor of The National Interest

★日本が空母保有に向かうのは既定方針



Is Japan Destined to Have Aircraft Carriers Armed with F-35s? 日本は空母にF-35を搭載することになるのか

Sorry, but Tokyo calls them "helicopter destroyers."日本政府は「ヘリコプター駆逐艦」と呼称している
October 27, 2018  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWarWeaponsJapan


衛艦いずもは海上自衛隊最大の艦容を誇り排水量は27千トンもある。全長にわたる航空甲板は248メートルとフットボール競技場二個半に相当する。通常はSH-60Kヘリコプター7機を搭載し、敵潜水艦を探知掃討するのが役目だが、その他捜索救難用ヘリコプター二機も運用する他、最大28機のヘリコプターを搭載できる。


こうしてみるといずもは立派な航空母艦なのに姉妹艦かがとともに「ヘリコプター駆逐艦」として就航しているのだ。


この呼称には怪しい点がある。先立って建造されたひゅうが級には魚雷と中距離対空・対潜ミサイルが搭載されているがいずも級には通常の「駆逐艦」が搭載する長射程兵装がない。唯一の武装は短距離ファランクスとSeaRAMによる自艦防御だけだ。


この区分は日本政府で「空母」とは攻撃兵器であるとの認識から生まれたものであり、攻撃兵器は日本国憲法第九条で自衛隊装備として禁じられているのである。


「攻撃」と「防御」兵器の違いは議論を呼ぶだろう。攻撃を主眼とする国であっても防衛は必要だし、防衛力も抑止効果や反撃のため攻撃手段を必要とすることがある。空母が浮かぶ航空基地として他国攻撃に用いられてきたことは否定できない。


実は日本こそ空母戦力の作戦運用を初めて行った国である。第一次大戦開始とともに日本巡洋艦の一隻が艦載水上機を使い歴史で初めてドイツ巡洋艦を爆撃した。英海軍は1918年に飛行甲板つき空母を初めて作戦投入している。帝国海軍はその後大型空母部隊を1920年代30年代通じ整備し1941年12月の真珠湾奇襲攻撃につながった。最強を誇った日本部隊もミッドウェイ開戦で米海軍空母部隊の前に敗退し、その後空母、パイロットともに消耗していった。


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ただし空母の役割は攻撃のみではない。戦闘機を発進させ友軍の水上艦艇や基地を攻撃から守ること、敵艦船や潜水艦を探知紹介することもある。自衛隊は特に遠隔島しょ部の防衛を重要視しており、列島線南西部の尖閣諸島や琉球列島を意識している。こうした島しょ部は本土より数百マイルも離れているため防空とともに奪還作戦を複雑にしかねない。


もちろんヘリコプター空母は対潜戦で極めて高い効果を発揮する。またそのため基本的に防御装備と言えるが、上空援護や地上航空支援は行えない。だが日本がいずも級でジャンプジェットの運用を可能に設計している可能性はある。


日本はジャンプジェット機材を保有していないが、報道では取得に向け前向きであるとある。米海兵隊が運用するF-35BライトニングIIは小型揚陸艦でも運用が可能であり、9月27日にアフガニスタンに投入され初の実戦テストを行ったばかりだ。日本はF-35Bを購入していないが、通常型F-35Aはライセンス生産で42機を整備する。


F-35は優れたステルス性とコンピュータ性能が取り柄だが、飛行性能では第四世代機と比べて見劣りがするのも事実だ。(速力と操縦性)それでも従来のジャンプジェットのハリヤーやYak-38より遥かに高性能だ。ライトニングは一般的な航空優勢戦闘機より速力が劣るものの、強力なセンサー性能と低視認性で速力や操縦性で勝る敵を出し抜くだろう。つまり敵に長距離ミサイルを先にお見舞いしてから探知される前に逃れることだ。


すでに2018年5月にいずも、かがに米海兵隊機材を搭載し日本防衛を図る検討案が日本で公表されている。その前には日本国内紙が政府が航空自衛隊向けにF-35B最大40機の調達を検討中と報道していた。これはF-15Jの後継機とあったがF-35Bはリフトファンがあるので遠隔島しょ部での運用も可能だし、いずも級を改装し最大10機を運用する場合の費用も検討している。

改装では甲板に耐熱塗装が必要となる。F-35Bの垂直上昇で高熱が発生し飛行甲板が損傷するからである。ただし一部筋によれば甲板にはそのことを考慮した工事が実施済みであり、設計時から「ヘリコプター駆逐艦」から空母へ転換する前提だったことになる。ただしいずも級にはスキージャンプ式ランプがあれば垂直離陸による燃料の大量消費や甲板損傷を避けられる。

それでも空母から固定翼機を運用すれば平和主義志向の強い日本で微妙な問題となる。これは中国にも同様だ。中国も空母航空兵力の整備を進めており、PLA海軍は五年間で中型空母二隻保有まで進歩した。2020年代中頃までに4隻追加する構想といわれる。中国からはいずも級の性能について不満が出ており、日本の新鋭艦は軍国主義のあらわれとしている。

日本が空母航空兵力を再整備すれば帝国海軍の戦時中の行いを連想させかねない。だが二隻がジェット戦闘機十数機を搭載しても日本の外交方針が急に強硬になるわけでもあるまい。世界にはブラジルのように空母運用しつつも領土拡張の野心を示さない国もある。豊かな島国の日本で空母数隻を運用して長大な領土防衛にあてることは理解の範囲内だ。

日中間の感情的対立こそがいずも級で建造時から空母運用を想定しつつも「ヘリコプター駆逐艦」との用語をつけざるを得なかった理由だろう。だが日本の保守政権が防衛予算を史上最高額まで拡大して中国の海軍力の拡張に対抗させようとする中でジャンプジェットを空母から運用する構想はこれまでの控えめな姿勢を目で見える形に転換する効果を生みそうだ。■

Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring .
Image: Wikimedia Commons.

2018年10月29日月曜日

ベルギーがF-35を採択、ヨーロッパで存在感を増す米製装備品

Belgium chooses Lockheed's F-35 over Eurofighter: Belga ベルギーがユーロファイターを敗りロッキードF-35を選定


ルギーがロッキード・マーティンF-35をF-16後継機として選定しユーロファイター・タイフーンを採択しなかった。あらためて米製軍用装備の採用が欧州で進む形になった。
同国は10月29日を期限に34機の調達で機種選定を検討してきた。
国防省報道官は選定結果についてコメントを拒んでいるが、ロッキード・マーティン広報は選定結果について確認していないもののF-35がベルギーに最適な選択だと自信たっぷりだ。「F-35によりベルギー空軍は大きく変身し、世界規模で最先端機の共同運用に加わります」
そのとおりならベルギーはF-35導入で12番目の国となり、ロッキードにとっては今後控えるスイス、フィンランド、ドイツでの採択にはずみがつく効果が生まれる。
今回の選定についてロイターが先に伝えていたが今年7月に開かれたNATOサミットの会場で既に予想されていた。発注すれば2023年の納入となり36億ユーロ(41.4億ドル)規模となる。
米政府はベルギーの要求に応じて10月31日に購入条件を提示しており、選定が遅延すれば価格も変更になると伝えていた。
ロッキードからはベルギ企業にもF-35事業のグローバル展開に参加する機会が生まれると発言が出ていた。

ユーロファイターへ打撃

ベルギー首相シャルル・ミシェルからはF-16後継機選定は5月総選挙前に済ませたいとの発言が出ていた。また国防相も年末の退任前に本件を決着させたいと述べていた。
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ロッキードが受注すれば英国、ドイツ、イタリア、スペイン四カ国が参画するユーロファイター事業は黒星とな李、これまでの強力なロビー活動が無駄になる。
またダッソー・ラファールを競合に参加させていないフランスにとっても不満を覚える結果になりそうだ。同国はベルギーに対してこれ以上F-35を欧州で採択させないため密接な強力を申し出ていたためだ。
その他F-35導入を決めた欧州各国として英国、オランダ、デンマーク、イタリア、トルコ、ノルウェーがある。■

ドイツも米製装備の採択に向かうなどここに来て欧州で米国製品の存在が強まっています。欧州のプライドだけでは有事に役立たたないということですね。防衛産業基盤の弱体化にもつながりかねず、安全保障地図の変化が生まれそうです。そういう日本も企業マインドとしては防衛産業に魅力を感じなくなってきているはずなのでのんびりしたことは言えませんが。