2018年11月12日月曜日

J-31はこれから本格開発し、中国海軍空母に搭載する構想のようだ

Aviation Week & Space Technology

Avic’s J-31 Fighter Is a Winner After All AVICのJ-31は失敗機ではなかった

Nov 9, 2018Bradley Perrett and Steve Trimble | Aviation Week & Space Technology
J-31試作型の一号機は2014年の中国航空ショーに初めて姿を見せた。Credit: Yan Siming/International Aviation

Avic傘下の瀋陽航空機がJ-31戦闘機試作型の姿を2012年に初めて見せるとすぐさまアナリスト各位は中国軍向けの新型機ではないと見てきた。技術実証機以上の存在ではなく、国営企業の同社が二回連続で戦闘機競作に敗れて腹いせに作っただけの機体と見てきた。
そのJ-31が今や政府公認事業となり、J-15海軍版フランカーの失敗の穴埋め機材の位置づけになっている。実はJ-15のメーカーも瀋陽航空機であり、中国海軍のみならず空軍もJ-31を求めている。
他方で中国のもうひとつ国営企業、Avicの成都航空機が瀋陽航空機の提案に打ち勝って採用されたJ-10とJ-20の改良に取り組んでいる。11月6日から11日にかけて珠海で介されたエアショーチャイナでAvicが推力偏向ノズル付きJ-10を発表し、Cetcが展示したレーダーが広範囲の火器管制能力につながるとして注目を浴びていた。
J-31は国内向けで政府資金で開発が進められてきたと公式筋が説明している。同機は海軍向けの供用を想定していると同上筋は述べており、ここ二年ほどで浮上してきた噂や観測を裏づける格好だ。中国空軍もJ-31に関心を示していると同上筋は述べながらこれ以上の情報はもらえなかった。
瀋陽航空機はJ-31試作機を二機製造し、2016年に姿を表した二号機は一号機より大きい。
中国海軍がJ-31を艦載機としてJ-15の代わりに必要としているのは明らかだ。これも瀋陽航空機の製品であるJ-15は飛行中制御に難があるといわれ、空母着艦では大問題だ。
J-31はFC-31の別名でも知られ、海軍艦載機の地位を成都航空機のJ-20と競っていた。J-20は大型機であり空母搭載用途は考えにくい。失速速度を低く押させる必要があるが同機の主翼荷重は高く見える。
中国空軍がJ-31をここまで強く望んでいるとは意外だが海軍が本格開発を承認したことで説明がつく。空軍が瀋陽航空機のJ-31提案を8から10年前に一度却けたのはJ-10で迅速に機材を揃える必要があったためで、ここまでの高性能機は不要としたためでもある。第一線部隊に老朽機材が多く配備されていたのだ。その緊急性のためJ-10生産に全力を上げ輸出の可能性まで検討する余裕がなかったとAvic関係者が述べている。
だがJ-10は海軍向けJ-15の代替策にならない。同機は単発機であり、極端に高い信頼性がないと海上運用で安全性が深刻な問題になる。
当初のJ-31は最大機体重量が25トンだったが二号機は28トンに引き上げられたと中国報道で伝えている。海軍用途仕様では30トンになるとの情報もある。航続距離は1,500キロに延長されていると同報道にあるが、実際のミッションや兵装を特定しなければこんな数字に意味はない。■
コメント 本当にJ-31が今後本格開発されるのでしょうか。これまで塩漬けのままでFC-31として劣化版の輸出専用機友いわれていたのですが。これから開発し直すとして建造中の空母二号艦で試験運用するのでしょうか。もともとF-35の設計資料を大量に盗んでできたと言われる機体であり、東シナ海で日本のF-35Bがいわば本家としてこのバッタものの機体と対峙する日が来るのでしょうか

米海軍潜水艦にアグレッサー部隊誕生。その他3Dプリンター技術などで将来の姿が変わる

Navy Creating Attack Sub Aggressor Unit to Train to Fight Against Russia, China 米海軍が攻撃潜水艦でアグレッサー部隊を創設しロシア、中国に勝つ訓練を開始する

November 8, 2018 4:00 AM • Updated: November 7, 2018 8:58 PM
ヴァージニア級高速攻撃潜水艦USSミズーリ(USS-780)。May 31, 2018. US Navy Photo

ARLINGTON, Va. — 米海軍潜水艦部隊にアグレッサー戦隊が生まれる。中国やロシアを想定した即戦力体制の効果をさらに引き上げるねらいがあると米海軍潜水艦部隊司令官が説明している。

チャールズ・リチャード中将中将は8月の就任式典で隷下部隊に「戦闘準備を進めよ」と述べ注目を浴びた。

中将は国家防衛戦略構想を反映しここ数ヶ月に渡り潜水艦部隊の構想を整備している。訓練、戦闘態勢の認定、新規手法の開発やハイエンド戦支援体制などだ。

構想は米潜水艦部隊及び支援組織に向けた司令官の施策方針と呼ばれ、攻撃潜水艦部隊の訓練体系の抜本的変革を目指すとリチャード中将が海軍潜水艦連盟の年次総会の隻上で披露した。

「高速攻撃潜水艦向け訓練期間を元に戻すことでハイエンド戦に対応できるようにする。戦術即応体制評価と呼んできた体制に戻し戦闘即応体制評価として戦闘に中心を置く」(リチャード中将)

「第一線配備への認証過程を見直し重複をなくし、適材適所を目指した。潜水艦部隊ですべてを競わせる。実戦同様に勝敗をはっきりさせる。敵対勢力がこちら以上の水準だと困る。敗者になれば帰港できないだけだ」

アグレッサー戦隊はこの延長でハイエンドの潜水艦対潜水艦の戦いで米海軍が勝利することを目的とする。リチャード中将は海軍航空部隊の「トップガン」からヒントを得たと認めている。

会場で海軍広報官サラ・セルフ-カイラー中佐が構想ではトップガンと違い訓練専用艦は配備しないとUSNI Newsに述べた。かわりに人員(規模未定)は専属とさせ、リチャード中将は現役退役の海軍要員と民間人の想定と述べている。

リチャード中将は新規部隊を「敵側部隊の戦術を再現し訓練、認証演習に投入し、海軍航空部隊から着想を得たアグレッサー戦隊として敵対勢力の能力で我が方部隊と対決させ最大限まで現実を再現した訓練とする。実戦時に発揮できる力を与えるのが目的」と述べた。

司令官の構想では同時に海中迅速戦力整備構想Undersea Rapid Capability Initiatives (URCI) と呼ぶ作戦構想、戦術、整備戦略その他の実現も進めるという。

「内容の性質上詳しくお話できないが、今後実現したい構想は26通りあり、トップが戦略抑止力であり、URCIに13個、作戦構想が11あり、その他海中戦の戦力増強につながる構想作業がある。さらに次世代兵器、複合ドメインセンサー、通信装備、航法支援装備、無人自律技術があります。一部では革命的な効果が生まれる」

迅速戦力実現のハードウェア面ではリチャード中将はデジタル戦整備室が全力で「人工知能、機械学習の海軍への応用、導入」を進めていると紹介。またDARPAが海軍研究本部と無人装備のプロトタイプ、高性能センサーの開発を進めている状況を紹介し、ここ数年で大きな進展があったと述べた。

さらに中将は付加製造(3Dプリンター製造技術)の艦艇導入に触れ、即応体制の引き上げならびに兵站上の負担軽減につながると述べた。「潜水艦上で海上整備修理体制の将来を先取りしている。付加製造の実証を積極的に行い各艦に迅速に導入する。まもなく3Dプリンターが全艦に搭載される」

中将はSUBSAFE基準は今後も守るとしつつプリンターは輸液な存在になると述べた。攻撃型潜水艦USSヴァージニア(SSN-774)の乗組員は自前で3Dプリンターを購入し「部品を自製し航海日数を維持できた。こうした問題解決方法は連日のように部隊内で見つかっている」■

コメント:空のトップガンが生まれたのは空中戦での実力低下を憂えてのことでしたが、水中戦でも同様なのでしょうか。専属艦はないということですが、かつてスウェーデンの通常型潜水艦を借り上げたように同盟国の潜水艦をアグレッサーにしてはどうでしょうか。海上自衛隊のそうりゅう級が最適かもしれません。日本側乗組員にとっても「赤」の戦術を体得できる機会になるのでは。

2018年11月11日日曜日

米中が台灣巡り開戦に向かう可能性はあるのか、日本はどうするのか

Is a U.S.-China Clash Over Taiwan Inevitable? 台灣を巡る米中武力衝突は不可避なのだろうか


November 9, 2018  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Skeptics  Tags: WarMilitaryTechnologyChinaTaiwan
中の貿易戦争で決着の兆候がなく、中国の南シナ海政策が両国間で最大の懸念のまま、米中外交安全保障対話が重要性を増している。ジム・マティス国防長官、マイク・ポンペイオ国務長官は最新の対話は「信じられないほど生産的」であり「米国は冷戦や対中封じ込め政策は希求しない」とともに述べている。
報道を意識し安心させる発言と裏腹に米中関係が良好ではないのは明らかだ。最上の表現でも機能不全であり、開戦の可能性が高まるという気が休まらない状況だと言える。南シナ海の領有権問題がここ数年間背後にあり、中国は戦略拠点構築を続けたままだ。貿易問題以外では最大の懸念が台灣問題で米中両国は共通点を見いだせない事態におちいっている。
台灣を巡る見解相違は今に始まったものではない。米中国交樹立の前から台灣問題が両国関係で重しとなってきた。中国政府が本土に台灣を併合する政策で変更の可能性は皆無だ。米国政府が台湾関係法を放棄するあるいは米台防衛関係を縮小する可能性も同様に皆無だ。これまで米中両国関係者は台湾問題の対処として「合意しないことに合意する」態度に努めてきた。1982年の台灣向け武器輸出に関する米中共同声明は現在も両国間で有効であり、不完全ながらとりあえず十分な見返りが期待できる、つまり米政府が中国の台灣領有権主張を認める一方、中国は台灣への米製防衛装備売却を認めてきた。
ただしトランプ政権は冷戦終結後で最大にタカ派と言われる態度だ。大統領就任前にトランプが台灣総統に電話したが、この40年で誰もしていないことだ。中国政府は慌て、新大統領は1979年以来の米中関係の基礎原則、ひとつの中国政策にあえて手をかけるつもりなのかと警戒した。政権最初の二年間で米政府は17.5億ドル相当の軍事装備輸出を認め、魚雷、早期警戒装備、米製戦闘機の予備部品まで多岐にわたる。米議会はもちろん喜んで賛同した。2017年の台灣出張法、2018年の国防予算認可法はともに米台の国防関係を強化し、米台両国海軍艦艇の相互訪問を促し北京は半狂乱になった。
中国本土を隔てる台湾海峡でも動きがあった。4月、人民解放軍が実弾演習を行い、以前にもあった演習だが今回は全国人民代表者会議で習近平が中国は自国主権に挑戦する勢力に果断に対応していくと表明した一ヶ月後のことだけに注目された。「偉大なる母国領土は一インチといえども奪わせない」
台灣海峡上で米中海戦を予想する向きはないだろうが、両国関係では貿易、知財、サイバーセキュリティから軍事装備近代化や南シナ海まで戦略上の対立が中心となっており、安定化の兆しは見られない。米政府は引き下がる態度を示さず、米国は正しい倫理道徳に立つ国との信念を固持している。USSアンティータム、USSカーティス・ウィルバーの二隻が台湾海峡を通過し、航行の自由演習の一環として実施したが、トランプ政権になり太平洋での同演習実施は増えている。米国防関係者が台湾海峡で中国海軍との対決を想定するのは当然で南シナ海でも同様だ。北京大学のJie Dalei节大磊 は「同海峡で危機状況が発生しても想定外ではない」と書いている。

関連記事(未翻訳)

DATE IMPORTED:August 24, 2010Soldiers carry a surface-to-air missile named "Tien-Chien", or "Sky Sword" in Mandarin, onto a launcher during a military exercise at an air force base in Chiayi, southern Taiwan, August 24, 2010.

中国は台灣全面侵攻は(今の所は)実行不能 China Can't Launch a Full-Scale Military Invasion of Taiwan (Yet)

Image: Flickr

待ってろ、中国:米海兵隊は台湾へ派遣されるかGet Ready, China: Could the U.S. Marines Be Heading to Taiwan?

北朝鮮の真の脅威は戦争ではない(崩壊だ)The Real North Korea Disaster Isn't War (But Collapse)



両陣営が軍事挑発行動を露骨に示す、あるいは誤解から海上、空中で衝突事件が発生すれば世界最大の経済、軍事大国同士が国際危機を簡単に招きかねない。米中ともに瀬戸際へ追いやらずに、緊張緩和への道を殺したくところだ。
ただし中国は台灣を譲れない一線ととらえており、米国が台灣防衛をアジア政策の中核要素と考える中で過失の余地は危険なほど少ない。
Daniel R. DePetris is a world affairs columnist for Reuters, a frequent contributor to the American Conservative and the National Interest , and a foreign-policy analyst based in New York, NY.
Image: Reuters

コメント 台灣問題を避けると結局中国に有利な状況を作るだけです。これまでの日本なら台灣は専守防衛の対象外と逃げられましたが、世界の状況、日本の防衛コミットメントの状況が変わった今となっては日本としても傍観できる問題ではありません。国連安保理メンバーの中国があからさまな武力侵攻を行えば世界の非難は避けられないでしょうが、中国は自国問題として外国の干渉を退けるでしょう。台灣は日本経済にとっても重要な地域であり、通商交易上も台灣の自由が奪われる事態は看過できないと思います。これまで朝鮮にばかり目を向けてきましたが今や日本にとって本質問題とも言える中国の病んだ状況を直視すべき事態でしょう。

2018年11月10日土曜日

★ウクライナで墜落のSu-27で米空軍パイロットが死亡。同地で何をしていたのか

‘Emergency’ Caused A Ukrainian Su-27 Fighter To Crash, Killing A US Pilot 「緊急事態」のためウクライナSu-27が墜落し米パイロット一名が死亡した事故について

This is the latest.
November 9, 2018  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: UkraineSu-27U.S. Air ForceSeth NehringOperation Clear Skies


飛行中の緊急事態でウクライナ空軍所属のSu-27Bが墜落し米人、ウクライナ人のパイロット各一名が死亡する事故が10月に発生した。このたびウクライナ空軍トップが以下発表した。
「問題のSu-27戦闘機は上昇中に緊急事態に陥り、このため大惨事につながった」とウクライナ軍上級大将セルギイ・ドロズドフが述べている。「ウクライナ国防省は調査委員会を組織し調査が続いている」
米側も調査に陪席し、透明性を極力確保する。ドロズドフ大将は今週木曜日に米空軍参謀総長ディヴィッド・ゴールドフェイン大将と会見し報道陣に上のように語った。調査で事故原因が正確に把握次第ウクライナ政府が発表することになっている。
カリフォーニア州軍航空部隊第144戦闘航空団のセス・「ジェスロ」・ネーリング中佐は事故発生の10月16日に習熟飛行で同機に搭乗していた。事故地点はキエフ南西175マイル地点。同乗中のウクライナ空軍イワン・ペトレンコ中佐も死亡した。
ドロズドフ、ゴールドフェイン両大将は木曜日の会見後で5年計画で両国空軍同士の協力関係拡大を検討していた。会見後に報道陣に対し空軍パイロット喪失は大変な事態とゴールドフェイン大将は以下述べている。
「御遺族に心からの哀悼をお伝えしつつ今回の事故の原因の完全解明をお約束したい」「今回はウクライナ空軍主導で調査を進める。再度、御遺族にお悔やみを申し上げる」■
This article by Jeff Schogol originally appeared at Task & Purpose. Follow Task & Purpose onTwitter . This article first appeared in 2018.
「習熟訓練」とは何を意味していたのでしょうか。ロシアが神経を高ぶらせそうですが、米空軍がこれからウクライナとの協力関係を強める意味には機材の提供も当然あるのでしょうね。これもロシアや中国を睨んだ動きでしょうから、ロシアとしてはますますウクライナを適するのは当然かも

2018年11月8日木曜日

☆中国も推力偏向技術を実用化した模様

Aerospace Daily & Defense Report

J-10B Confirms China’s Thrust Vectoring Capability J-10Bで中国も推力偏向技術の実用化を達成

Nov 6, 2018Steve Trimble | Aerospace Daily & Defense Report


J-10B: Chinese internet


ZHUHAI, China—.11月6日、AVIC社有のJ-10Bテスト機が試験装備の推力偏向制御による飛行操縦性能を飛行展示した。
数千人が見守る中、中国航空ショー会場でJ-10Bは非対称式噴射口によるアクロバット飛行の実力を見せつけ、敏捷性の高さを示した。
推力偏向によりパイロットは機体を低速度で失速させてから高迎え角を与えることができる。偏向式噴射口でエンジンの推力を回転させつつパイロットは統制の取れた操縦を通常の航空機では不可能な形で行える。
中でも目をみはる操縦は機首をほぼ90度引き起こしながら推力変更制御で迅速に機体向きを変える「Jターン」だった。
この.J-10Bはロシア戦闘機同等のアクロバット飛行も見せつけた。機首を低速で90度引き起こし、推力偏向により飛行制御を守った。
こうしたスタント飛行は航空ショーでおなじみだが最新の戦闘航空機の敵機対応では限定的な意味しかない。ただし失速後の機体制御は別の意味を有する。たとえば空中早期警戒レーダーの探知を逃れるべく探知の設定条件より低い速度で飛行できるからだ。

推力偏向技術はロシア、米国では1990年代に実用化されているが、中国での導入は最近のことだ。スホイSu-35S戦闘機の第一陣が今年始めに人民解放軍空軍に配属された。ほぼ同時にAVICのJ-10B試験機に推力偏向噴射口がついた写真が出回り始めた。■

2018年11月6日火曜日

★米空軍F-15Cにいよいよ退役が近づいているのか。それとも....投資すればステルス機対応は十分可能(なはず)



The Boeing F-15C Eagle Is Undefeated in Battle (104 to 0). But Retirement Is Coming. Why? ボーイングF-15Cは戦闘で無敵の実績(104対0)を誇るが退役が近づいている。なぜか。

November 3, 2018  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-15F-15CMilitaryTechnologyWorldRussia
年供用中のボーイングF-15Cイーグルは世界最高の制空戦闘機としての名声を誇り、一方的な撃墜実績(104対ゼロ)で有名だが、どうやら運用が最終段階に入ったようだ。強力な戦闘機として退役することになりそうだ。
米空軍はイーグル改修を先延ばししてきた。新型電子戦装備の搭載もそのひとつで老朽化してきた機体を今後も保持するのか方針が決まり次第実施するとしている。F-15Cで本格的な機体補修が必要だと米空軍も承知しており、構造強化策があれば2020年代を超えても十分供用に耐えるという。議会がA-10ウォートホッグ退役案に拒否反応を示したが、空軍は本来ならF-15Cを退役させて浮いた予算で緊急性の高い案件を実現したいところだ。ただしF-15Eストライクイーグル阻止任務機は当面供用を続ける。
ただし当面はF-15Cが米空軍の航空優勢機材の半数近くを占める。これはロッキード・マーティンF-22ラプターの調達が当初の半数以下で終わったためだ。そのため空軍は侵攻型制空機(PCA)のような新型機材を開発し、2030年代には新型機に先陣を切らせF-15CやF-22が後に続く攻撃方法を想定し、ロシア、中国が第5世代戦闘機のスホイSu-57PAK-FAなどを投入する事態に備える。
Su-57が新型二段エンジン双発を搭載すると第四世代戦闘機では対処が難しくなる。速力、操縦性、ステルス、電子戦能力も手強い。しかし米空軍には敵ステルス機を撃破する構想があり対抗策の開発に既に着手している。
その答えは長波赤外線スペクトラムで、現時点のステルス戦闘機はこれに対応する設計となっていない。既存機種に長波赤外線センサーを搭載すれば長距離探知が可能となるが今のところ対抗手段は存在しない。長波赤外線探知を逃れる新技術が今後登場する可能性もあるが、機体に最初から新技術を取り入れないかぎり有効対策は不可能だ。
ロッキード・マーティンは現在Legion ポッドを開発中で、F-15Cで長波赤外線方式の探知追尾(IRST)能力が実現する。同社はLegionポッド130セットを生産したいとし、「レーダーが使えない環境」で長距離から敵を探知追尾を可能とするのがねらいだ。ボーイングは米空軍の主要契約企業としてロッキード・マーティンに技術開発、試作品製造、改良、本格生産契約を今年中にも交付したいとする。
「納入日程が短期間でこれまでにない探知性能が備わったLegionポッドがあれば一足飛びに我が方の戦闘機の性能があがりパッシブ攻撃能力の不足が解消する」とロッキード・マーティンミサイルズ・アンド・ファイヤーコントロール社副社長ポール・レモが語っている。「当社はボーイングとの共同活動に実績があり米海軍向けF/A-18E/Fの IRST21やF-15のIRST製品がありますのでF-15CのLegionポッドでも成功は間違いなしです」
米海軍と業界関係者からは以前にも The National Interest に対して長波IRSTと高速データネットワークを組み合わせればステルス機の探知捕捉が可能になると述べていた。IRST搭載機同士でデータ共有すれば精度がもっと高くなる。「これが海軍のステルス対策の中心です」と業界関係者も述べていた。
F-15CにLegionポッドを搭載すればSu-57も優位性を失う。イーグルがSu-57を探知すれば、同時に強力なレイセオンAN/APG-63(v)3アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーでスキャン焦点を合わせロシア機が捕捉可能となる。いずれにせよF-15CはSu-57に対して有効な追尾捕捉ができ、その後レイセオンのAIM-120D長距離AMRAAMミサイルをお見舞いすればよい。
Su-57がミサイル攻撃を生き残りミサイルで反撃してくると抜群の操縦性能を誇るロシア機の前にF-15Cは不利になる。だがF-15C部隊は同様に優秀な操縦性能を備えたF-22相手に訓練を繰り返しており、不利とはいえラプター相手にイーグルが勝利することもある。さらに共用ヘルメット装着指示システムが最近導入されており、レイセオンのAIM-9XとあわせF-15Cは視程外戦で高い能力を備えることになった。パイロットが顔を向けた方向にミサイルが飛んで敵を撃墜できる。演習では訓練次第で敵を撃墜しつつ残存できることがわかってきた。
こうしてみると機体構造強化策に必要な費用を確保して新装備を追加すればF-15Cは今後も十分共用可能なようだ。ただし、機体の経年変化以外に敵戦力が一貫して強化されているため空軍が次期機材PCAに投資するほうが賢明とみる可能性がある。議会がA-10の場合のように退役を認めない可能性もある。なんらかの手を打たないとF-15Cに残された時間がなくなりそうだ。■
Dave Majumdar is the former defense editor for the National Interest . You can follow him on Twitter: @davemajumdar .

2018年11月5日月曜日

★納入したばかりの装備が使えない、ドイツ軍装備品が大変なことになっている理由とは

ドイツ連邦軍の装備が悲惨な状態にあることはかねてからお伝えしているとおりですが、事態はさらに深刻なようです。根本には予算削減があるようですが、安全保障に対するヨーロッパの考え方がまちがっていたのではないでしょうか。ロシア、イラン他が全然手綱を緩めない間にヨーロッパでは新世紀とともに国防支出を削減してしまったためでしょう。しわよせが整備や部品の不足で表れているのでは。ヨーロッパでは自前防衛装備設計の優秀さを誇りながら、生産が追い付かず挙句の宛にはここにきて米製装備の採用が増えているようです。その結果、地場の防衛産業は衰退するでしょう。日本にも良い教訓になりそうですね。

Brand-new German tanks, helicopters need improvement before deployment ドイツ軍新型戦車、ヘリコプターで配備前に重整備が必要な事態へ


Deutschland Bundeswehr Truppenübungsplatz (picture alliance/dpa/H. Hollemann)

イツで2017年納入ずみの大型装備品で稼働前に整備が不要だったのは39パーセントにとどまったと国防省が報告している。
連邦軍へ納入済みの戦車、戦闘機、ヘリコプター多数が稼働できない状況と国防省が発表。納品98品目で完全に作戦投入可能なのは38のみと判明した。
納品済み装備の品質は「改善が必要」と国務相ペーター・トーバーが述べた。トーバーはアンヘラ・メルケル率いる保守政党キリスト教民主党(CDU)で幹事長を務めていた人物だ。
これは野党議員の質問に答える発言だたがドイツ軍がノルウェーでのNATO演習で即応体制に国防相ウルスラ・フォン・デア・レイエンはじめ関係者から疑問が出ている中での質疑となった。
ドイツDPA通信社配信のトーバー答弁では連邦軍装備の7割が常時稼働可能状態と述べている。2017年にはわずか39パーセントしかだった。「以前と同様、業界には契約通りの性能諸元の実現を可能な限り迅速にお願いしたい」
だが心配なのがエアバスA400M軍用輸送機とプーマ歩兵戦闘車両(写真上)だ。後者はドイツのクラウス-マッファイ・ベグマン(KMW)とラインメタル・ディフェンスの共同事業体が2010年から納入中だ。
エアバスはA400Mを「最高性能かつ実績実証ずみの輸送機で21世紀の最新技術で現在さらに将来の軍のニーズにこたえる機体」と豪語していた。
装甲車両の共同事業体はプーマでは乗員が「最新鋭の防御技術で守られる」と述べていた。
DPA調べで作戦投入可能なのは昨年度納入のピューマ71両のうち27両、A400M8機中半分、ティーゲル戦闘ヘリコプター7機のうち2機、NH90輸送ヘリコプターでは7機中4機のみだ。ユーロファイターは昨年4機が納入されたが使用可能なのは1機しかない。残る機体は主コンピュータの換装中だ。
「ユーロファイターで残る3機の稼働許可は間もなく下りる」とトーバーは議会で答弁した。
これに対し野党議員はフォン・デア・レイエン国防相が「防衛産業のだらしなさを放置し、そのつけを納税者に回している」と非難。

6月にフォン・デア・レイエン国防相は議会へドイツ国防予算の増額を求め、冷戦後の予算削減で保守整備が不十分になり、交換部品入手も困難になっていると危機を訴えていた。■