2021年12月18日土曜日

(再掲載)1956年のSAC核攻撃作戦案はソ連の完全破壊を狙い、2000か所に原水爆を投下し、民間人死傷者も発生もいとわない構想だった。

 

 

 

タンリー・クーブリック監督の冷戦時作品「博士の異常な愛情」で、大規模核攻撃が進行中と知りマーキン・マフリー大統領が逆上し、あわててこれを止めようとするシーンがあった。ピーター・セラーズ演じるマフリー大統領は米空軍将官が独断で爆撃機編隊をソ連に送り核攻撃すると知り、どう対処すべきか決断を迫られた。

 

「貴殿が口にしているのは大量虐殺であり、戦争ではない」と大統領はタージドソン将軍(演ジョージ・C・スコット)に話す。同将軍がこれから始まる攻撃が効果を上げると述べたためだ。タージドソンは「大統領、こちらはぐちゃぐちゃにならナイトや申しておりません」と答えた。

 

核の全面戦争の危機が高まっていた1964年に封切られた同作でクーブリックは現実と虚構が実際にどこまで似通っていたかを知る由もなかった。その8年前に米空軍はソ連、中国その他同盟国を完全に破壊する作戦構想をまとめていた。

 

ジョージ・ワシントン大の国家安全保障アーカイブはその文書を機密解除文書公開制度を使い入手し、2015年12月12日にオンライン公開した。

 

空軍文書には1956年原子兵器要求研究との退屈な題名がついており、第三次世界大戦で標的となる対象を網羅し、原爆等の必要数量を列挙している。全800ページにわたり、情報解析からソ連等の2,000か所超が投下地点に指定され、軍事基地にあわせ都市が含まれていた。

 

「SACによる検討は背筋が寒くなるほど詳細にわたっていた」と安全保障アーカイブの核研究者ウィリアム・バーが解説している。「文書作成者は優先攻撃対象や核爆撃戦術で付近の一般市民のみならず『友軍部隊や国民』も高レベル放射能降下物にさらされるとある」

 

1956年には米国による核の独占状態はもはや存在しないものの、米国は核軍拡レースで優位に立っていた。ソ連はその7年前に初の原爆実験に成功していたが、ペンタゴンはさらに強力な熱核兵器(水爆)の配備を開始していた。

 

当時は長距離弾道ミサイルは開発段階で、空軍は大型爆撃機と戦闘機を実戦に投入する構想だった。重力落下型爆弾あるいは初期の巡航ミサイルとして欠陥の多かったスナークを発射するとしていた。

 

1945年に登場した初の実用原子爆弾にはリトルボーイのニックネームがつき、広島市上空で爆発し、TNT換算15千トンの出力だった。マーク36水爆はその250倍の威力となり、巨大なB-52に各17千ポンドの同爆弾二発を搭載した。

 

検討内容では小型のB-47爆撃機編隊とF-101戦闘機編隊に小型原爆水爆を搭載して攻撃するとあった。空軍は合計2千機と同数の巡航ミサイルを動員する構想だった。また、欧州とトルコに配備の中距離弾道ミサイル180発も投入するとしていた。

 

ソ連はTu-16爆撃機等の航空戦力で反撃する,あるいは後続の米軍機を撃破する動きに出れば、米空軍はソ連圏内の航空基地全部を排除することに中心を切り替えることになっていた。その後、米軍機は二次標的を狙うことにしていた。

 

「ソ連圏空軍力と関係ない標的はシステマティックな破壊対象になる」と文書では説明している。

 

水爆は重要軍事標的用に温存する。その他標的には原爆を投下する。

 

一部標的には複数の爆弾を投下し、完全破壊を図るはずだった。「各軍司令官間で重要地点には重複攻撃を認める合意ができている」と同文書にある。

 

文書は分類別に5ページの要点を掲載し、ワルシャワ条約加盟の8か国の各種施設を示すカントリーコードをつけ、中国、北朝鮮、北ベトナムさらに帝政復帰前のイランには三桁コードが見られる。

 

個別標的には8桁コードがつき、爆撃百科事典の様相があった。まず最初の4桁が大まかな場所を示し、残る四桁で個別施設を表示した。

 

この方式だと最高9,999箇所の標的に対応できる。

 

作成者はあきらかに戦闘行為に関係する全施設の攻撃を念頭にしており、切削工具工場、タイヤ工場から抗生物質ストレプトマイシンまで標的にしていた。中でも目を引くのはコード275で「一般住民」を意味していた。

 

「作成者はソ連ブロックの都市部産業基盤のシステマティックな破壊を立案し、とくに全都市の「住民」も攻撃対象にした」とバーは解説し、「意図的に民間市民を標的とするのは国際規範で当時も禁止されていた」

 

しかし、同時代の他の資料では、国防総省が戦争行為に関係するあらゆる人物を軍事目標とみなしていたことがよくわかる。現在は機密解除されている1952年の米海軍の化学・生物兵器に関するフィルムには、「敵軍とそれを直接支援する人々の一部を無力化すること」が目標として明記されている。同様の考えで、米陸軍は放射線戦争を研究し、強力なダーティーボムを製造した。

 

ペンタゴンと空軍がこの結論に自然にったわけではない。ワシントンは、広島や長崎の破壊よりもはるかに致命的な焼夷弾を何千発も使って、想像を絶する破壊を日本にもたらした。表向きは、日本軍を支える家内工業等の活動を止める作戦だった。

 

第二次世界大戦中、連合国はダム、農場、発電所、地雷など、軍民両用施設を爆破していた。ベトナム戦争では、空軍機が同様の目標を爆撃した他、除草剤多数を散布し、ゲリラの食料となる作物を故意に破壊した。とはいえ、空軍研究が想定した核戦争は、もっと悲惨なものになっていただろう。当時、モスクワだけでも400万人以上の住民がいた。

 

現実になっていれば、『博士の異常な愛情』での見積もりを数桁上回る犠牲者が容易にうまれていたはずだ。さらに、放射性降下物による永続的な影響も考慮に入れていない。放射性降下物は、さらに多くの人々を殺し、農作地や地下水を汚染し、居住不可能な地域を生んでいただろう。

 

空軍は必要な爆弾数を最小限にするため全力を尽くしたしたと述べているが、その数字は今も機密扱いである。報告書は、爆弾を地表近くで爆発させれば、放射性降下物が減ると示唆している。

 

「匿名の編者は科学者でなかったかもしれない」とバーは言う。「しかし、放射性物質を世界中にまき散らした1954年のキャッスルブラボー実験があったので、もっとよく理解すべきだった」

 

しかし、空軍はこのような心配への余裕はないと説明していた。「放射性降下物が友軍や国民に影響を与える可能性は考慮するが、航空戦の勝利が他のすべての考慮事項に優先する」と文書は堂々と書いている。「航空戦に勝てないと友好国への影響はもっと悲惨なものになる」。

 

この仮説を検証する必要がなかったのが救いだ。■

 

Inside America's 1956 Nuclear War Plan against the USSR | The National Interest

December 13, 2021  Topic: Cold War  Region: Global  Blog Brand: The Reboot  Tags: RussiaChinaMilitaryTechnologyCold WarB-1Nuclear Weapons

by Robert Beckhusen

 

Robert Beckhusen is Managing Editor of WarIsBoring.

This first appeared earlier and is being reposted due to reader interest.

Image: Reuters.


米海兵隊がAAVの洋上運用を停止中。水陸両用作戦のカギを握る装備品だけに心配なニュースが入ってきました

 海兵隊が揚陸作戦に頼りにするAAVが水上運用に耐えられないとして現在陸上運用に限定していると聞くと、日本も同型を58両導入しており大丈夫なのかと心配になりませんか。装備品としては長く使いすぎたとはいえ、どうしてそうなっているんでしょうか。USNI Newsの記事をまず見てましょう。


ノルウェーのブラティンダンで強襲水陸両用車(AAV)を使った実戦演習を欧州・アフリカ海兵回転部隊21.1(MRF-E)の海兵隊員たちが展開した。 March 16, 2021. US Marine Corps Photo

 

海兵隊は長年供用開始してい水陸両用強襲車両AAVsを緊急時除き、水上運用しないことにした。海兵隊が12月15日発表した。

 

 

 

この措置でAAVsは今後水面で利用できなくなる。1970年代に生まれた古参装備となったAAVは2020年の事故でカリフォーニア沿岸沖合の演習時に海兵隊員8名と海軍水兵1名の生命を奪い、その後調査が行われていた。

 

「海兵隊は、2020年夏以来ののAAVのトラブルに関する複数調査で得た提言を支持しており、提言の実施と持続により、AAVは水陸両用作戦において安全かつ有効な車両となる」との声明が海兵隊から出た。

 

「とはいえ、水陸両用車の現状を踏まえ、海兵隊総監は、AAVを定期的配備や軍事演習中の水中訓練に参加させないことを決定した。AAVは、危機対応に必要な場合にのみ水中活動に運用する。この決定は、水陸両用車整備の長期的な健全性と将来の能力実現のために下された。AAVは今後も陸上運用を続け、実際に任務の76%は陸上で行われている。必要性が生じた場合にこの決定を覆す能力を留保している」

 

海兵隊は1970年代からAAVを使用しており、世界中で広く採用されています。海兵隊は2010年に遠征戦闘車Expeditionary Fighting Vehicle開発を中止しており、水陸両用戦闘車Amphibious Combat Vehicle (ACV)の導入をめざしている。

 

ACVは水上運用で独自の制約を受けている。

「海兵隊は、現在の殺傷能力を継続しつつ、水陸両用戦闘車の配備に引き続き尽力する」と声明を発表している。

「ACVは、牽引機構で見つかった問題の解決に取り組むため、外洋での水上作戦を一時的に停止した。その問題は間もなく解決され、新年早々にACVが水上復帰するものと思われる」

 

海兵隊は9月上旬、牽引機構に問題が見つかり、ACVの水上運用を一時停止すると発表していた。

ACVでは、海兵隊員が実車を試し、改善点をフィードバックする初期運用試験・評価段階(IOT&E)を経て、昨年末に本格的な生産に入っている。

 

海兵隊員が試験中に経験した問題の例に、車両タイヤのパンクがありるが、海兵隊員はジャッキを使用できなかったため、この問題に迅速に対処できなかったといわれる。国防総省の兵器試験官トップは、この問題に対処するため、海兵隊にスペアタイヤ搭載を提案した。

 

海兵隊は、人員輸送車、回収車、指揮統制車、30ミリ砲搭載車の4種類のACVを購入する予定。ACVの製造元BAE Systems社は、海兵隊がIOT&Eで試験したACVの人員輸送車から始め、2月には最初の指揮統制用ACVを提供したと発表している。■

 

BREAKING: Marines Keeping AAVs Out of the Water Permanently - USNI News

By: Sam LaGrone

December 15, 2021 3:14 PM • Updated: December 15, 2021 4:50 PM

 

 

いまいちよくわからないのでNational Interest記事を見てみましょう

 

Image: Reuters

 

海兵隊総監はAAVsは水上運用で安全ではないと結論を出している。

海兵隊の報道発表によると、冷戦時代の水陸両用強襲戦闘車両は水上運用を停止し、陸上のみの活動に限定している。

 

昨年夏、カリフォルニア州沖で行われた定期訓練中にAAVが沈没し、9名が死亡した。原因調査のから沈没の主原因は、訓練不足、整備ミス、過労とされた。

 

海兵隊の水陸両用強襲車両は、海兵隊装備の中でも最も古く、半世紀近く使用されている。水上運航はしないものの引き続き陸上で活動する予定です。

 

水陸両用戦闘車(Amphibious Combat Vehicle 

米海兵隊は2018年にAAVの後継機として「水陸両用戦闘車」を選定した。ACVは旧型AAVと異なり4x4輪駆動を選択した。新型ACVはAAVに対し特に陸上でスピード増を提供するものの、水上移動は旧型AAVに近いスピードで批判を受けている。

 

50年近く活躍してきた水陸両用車(Amphibious Assault Vehicle)が、静かに引退の時を迎えていることは、驚くにはあたらない。またAAVの最近のトラブルを考えれば、早すぎるということはない。■

 

Why Amphibious Assault Vehicles are Banned from Swimming | The National Interest

by Caleb Larson 

December 17, 2021  Topic: U.S. Marines  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: U.S. Marine CorpsAmphibious Assault VehiclesSwimmingRetirementMilitary

Caleb Larson is a multimedia journalist and defense writer with the National Interest. A graduate of UCLA, he also holds a Master of Public Policy and lives in Berlin. He covers the intersection of conflict, security, and technology, focusing on American foreign policy, European security, and German society for both print and radio. Follow him on Twitter @calebmlarson 


1956年のSAC核攻撃作戦案はソ連の完全破壊を狙い、2000か所に原水爆を投下し、民間人死傷者も発生もいとわない構想だった。

 

 

タンリー・クーブリック監督の冷戦時作品「博士の異常な愛情」で、大規模核攻撃が進行中と知りマーキン・マフリー大統領が逆上し、あわててこれを止めようとするシーンがあった。ピーター・セラーズ演じるマフリー大統領は米空軍将官が独断で爆撃機編隊をソ連に送り核攻撃すると知り、どう対処すべきか決断を迫られた。

 

「貴殿が口にしているのは大量虐殺であり、戦争ではない」と大統領はタージドソン将軍(演ジョージ・C・スコット)に話す。同将軍がこれから始まる攻撃が効果を上げると述べたためだ。タージドソンは「大統領、こちらはぐちゃぐちゃにならナイトや申しておりません」と答えた。

 

核の全面戦争の危機が高まっていた1964年に封切られた同作でクーブリックは現実と虚構が実際にどこまで似通っていたかを知る由もなかった。その8年前に米空軍はソ連、中国その他同盟国を完全に破壊する作戦構想をまとめていた。

 

ジョージ・ワシントン大の国家安全保障アーカイブはその文書を機密解除文書公開制度を使い入手し、2015年12月12日にオンライン公開した。

 

空軍文書には1956年原子兵器要求研究との退屈な題名がついており、第三次世界大戦で標的となる対象を網羅し、原爆等の必要数量を列挙している。全800ページにわたり、情報解析からソ連等の2,000か所超が投下地点に指定され、軍事基地にあわせ都市が含まれていた。

 

「SACによる検討は背筋が寒くなるほど詳細にわたっていた」と安全保障アーカイブの核研究者ウィリアム・バーが解説している。「文書作成者は優先攻撃対象や核爆撃戦術で付近の一般市民のみならず『友軍部隊や国民』も高レベル放射能降下物にさらされるとある」

 

1956年には米国による核の独占状態はもはや存在しないものの、米国は核軍拡レースで優位に立っていた。ソ連はその7年前に初の原爆実験に成功していたが、ペンタゴンはさらに強力な熱核兵器(水爆)の配備を開始していた。

 

当時は長距離弾道ミサイルは開発段階で、空軍は大型爆撃機と戦闘機を実戦に投入する構想だった。重力落下型爆弾あるいは初期の巡航ミサイルとして欠陥の多かったスナークを発射するとしていた。

 

1945年に登場した初の実用原子爆弾にはリトルボーイのニックネームがつき、広島市上空で爆発し、TNT換算15千トンの出力だった。マーク36水爆はその250倍の威力となり、巨大なB-52に各17千ポンドの同爆弾二発を搭載した。

 

検討内容では小型のB-47爆撃機編隊とF-101戦闘機編隊に小型原爆水爆を搭載して攻撃するとあった。空軍は合計2千機と同数の巡航ミサイルを動員する構想だった。また、欧州とトルコに配備の中距離弾道ミサイル180発も投入するとしていた。

 

ソ連はTu-16爆撃機等の航空戦力で反撃する,あるいは後続の米軍機を撃破する動きに出れば、米空軍はソ連圏内の航空基地全部を排除することに中心を切り替えることになっていた。その後、米軍機は二次標的を狙うことにしていた。

 

「ソ連圏空軍力と関係ない標的はシステマティックな破壊対象になる」と文書では説明している。

 

水爆は重要軍事標的用に温存する。その他標的には原爆を投下する。

 

一部標的には複数の爆弾を投下し、完全破壊を図るはずだった。「各軍司令官間で重要地点には重複攻撃を認める合意ができている」と同文書にある。

 

文書は分類別に5ページの要点を掲載し、ワルシャワ条約加盟の8か国の各種施設を示すカントリーコードをつけ、中国、北朝鮮、北ベトナムさらに帝政復帰前のイランには三桁コードが見られる。

 

個別標的には8桁コードがつき、爆撃百科事典の様相があった。まず最初の4桁が大まかな場所を示し、残る四桁で個別施設を表示した。

 

この方式だと最高9,999箇所の標的に対応できる。

 

作成者はあきらかに戦闘行為に関係する全施設の攻撃を念頭にしており、切削工具工場、タイヤ工場から抗生物質ストレプトマイシンまで標的にしていた。中でも目を引くのはコード275で「一般住民」を意味していた。

 

「作成者はソ連ブロックの都市部産業基盤のシステマティックな破壊を立案し、とくに全都市の「住民」も攻撃対象にした」とバーは解説し、「意図的に民間市民を標的とするのは国際規範で当時も禁止されていた」

 

しかし、同時代の他の資料では、国防総省が戦争行為に関係するあらゆる人物を軍事目標とみなしていたことがよくわかる。現在は機密解除されている1952年の米海軍の化学・生物兵器に関するフィルムには、「敵軍とそれを直接支援する人々の一部を無力化すること」が目標として明記されている。同様の考えで、米陸軍は放射線戦争を研究し、強力なダーティーボムを製造した。

 

ペンタゴンと空軍がこの結論に自然にったわけではない。ワシントンは、広島や長崎の破壊よりもはるかに致命的な焼夷弾を何千発も使って、想像を絶する破壊を日本にもたらした。表向きは、日本軍を支える家内工業等の活動を止める作戦だった。

 

第二次世界大戦中、連合国はダム、農場、発電所、地雷など、軍民両用施設を爆破していた。ベトナム戦争では、空軍機が同様の目標を爆撃した他、除草剤多数を散布し、ゲリラの食料となる作物を故意に破壊した。とはいえ、空軍研究が想定した核戦争は、もっと悲惨なものになっていただろう。当時、モスクワだけでも400万人以上の住民がいた。

 

現実になっていれば、『博士の異常な愛情』での見積もりを数桁上回る犠牲者が容易にうまれていたはずだ。さらに、放射性降下物による永続的な影響も考慮に入れていない。放射性降下物は、さらに多くの人々を殺し、農作地や地下水を汚染し、居住不可能な地域を生んでいただろう。

 

空軍は必要な爆弾数を最小限にするため全力を尽くしたしたと述べているが、その数字は今も機密扱いである。報告書は、爆弾を地表近くで爆発させれば、放射性降下物が減ると示唆している。

 

「匿名の編者は科学者でなかったかもしれない」とバーは言う。「しかし、放射性物質を世界中にまき散らした1954年のキャッスルブラボー実験があったので、もっとよく理解すべきだった」

 

しかし、空軍はこのような心配への余裕はないと説明していた。「放射性降下物が友軍や国民に影響を与える可能性は考慮するが、航空戦の勝利が他のすべての考慮事項に優先する」と文書は堂々と書いている。「航空戦に勝てないと友好国への影響はもっと悲惨なものになる」。

 

この仮説を検証する必要がなかったのが救いだ。■

 

Inside America's 1956 Nuclear War Plan against the USSR | The National Interest

December 13, 2021  Topic: Cold War  Region: Global  Blog Brand: The Reboot  Tags: RussiaChinaMilitaryTechnologyCold WarB-1Nuclear Weapons

by Robert Beckhusen

 

Robert Beckhusen is Managing Editor of WarIsBoring.

This first appeared earlier and is being reposted due to reader interest.

Image: Reuters.

2021年12月17日金曜日

2022年度米国防認可法が上下両院で圧倒的賛成多数で可決。バイデン政権の弱気な予算案に250億ドル追加し、国防力整備に党派を超えた共通認識を示しているのは世界が危険になりつつあるため。

  

ハワイ州軍航空隊のF-22ラプター。

 

上院は2022年度国防認可法を88対11で昨日可決し、下院での363対70の大差可決に歩調を合わせた。国防は党派の差なく合意できる数少ない分野であると上下両院が示した格好だ。ジョー・バイデン大統領提案の活気のない国防予算提案は両院がを却下している。大統領案はインフレを考慮しても十分といいがたいものであった。逆に立法府は250億ドルを追加し、艦艇建造、航空機調達、弾薬類さらに即応体制強化に必要な資金を手当てした。

 

下院は国防体制整備への支援を表明した。まず332対86の大差でアレクサンドリア・オカシオ-コーテス議員(民、N.Y.)提案の国防予算10%削減の修正案を否決した。国防予算縮小を求める声が少数派に過ぎないことが証明された。

 

バイデン政権側は国防に適切規模の財源を振り向けるべきとの声を上げておらず、これは習近平やウラジミール・プーチンとは対照的で、中ロ両国は着々と米国に危険な世界状況をつくりつつある。

 

ロシアがウクライナ国境沿いに大規模部隊を集結させ、中国は核兵器、極超音速ミサイル開発を強力に進めつつ、台湾へ航空機多数を差し向け脅かしており、米インフラや企業へのサイバー攻撃は連日続いており、イランのウラン濃縮は兵器製造水準に近づいている。

 

こうした展開に対し、米軍戦力のギリギリな状況の象徴が老朽化した艦艇建造施設、飛行時間の削減、調達事業の縮小であり、立法府も党派を超えて有効な対策に乗り出したのだ。

 

議会の成果は、以前の常識を覆した。数ヶ月前までは、長年ペンタゴンを負ってきた人々や統合参謀本部議長でさえ、世界の安全保障体制が悪化しても国防予算は当面増額はありえないと予測していた。 マーク・ミリー陸軍大将は、予算に関する質問に答え、「せいぜい国防総省予算が横ばいになる程度だろう」と答えていた。その時点で、議会が国防予算に250億ドルを追加すると予測したら嘲笑されたことだろう。

 

ただし国防認可法案に署名し、承認されただけ国防総省への資金提供にはならない。そのためには、国防予算法案も審議されさければならないが、現在の継続決議が切れる2月18日までに実現の見込みは、依然として不透明なままだ。

 

Aircraft Carriers

西太平洋で空母USSロナルド・レーガン(CVN76)から発進する戦闘攻撃飛行隊(VFA)115の米海軍F/A-18Eスーパーホーネット(2017年11月11日撮影)。

 

 

2022年予算の実現に影を落とすのは前例のない国内支出の「Build Back Better」法案だ。バイデン大統領提案の国防支出増加はわずか1.6パーセントなのに対し、国防以外の裁量支出は平均16.5パーセント増を議会に求めている。

 

また、"Build Back Better "には、物議をかもしだす内容の政策が含まれ、賛成多数による承認は難しくなるはずだ。そのため、必要不可欠な資金が国防総省に届くまで長い道のりが控える。当面は、記録的なインフレと1月1日実施の2.7%昇給に対処しつつ、今年の予算水準で国防任務を達成せねばならない。

 

国防総省は予算不足に直面したままだが、国家安全保障に対する緊急の脅威に直面したとき、「力による平和」アジェンダに超党派の合意が確保できることが認識できたことに意味がある。

 

政策研究センターCentre for Policy Studiesが正しく指摘している。「経済的、物理的な安全なくして、繁栄はありえない。人々は良い仕事を求め、望んでいる。同時にテロや戦争、暴力や専制政治の影から解放され、自由に行動できることも必要であり、また望んでいる」

 

立法府も同じ結論にたどりついたようだ。■

 

 

A Strong US Military: The 1 Thing Democrats and Republicans Agree On - 19FortyFive

ByThomas SpoehrPublished5 hours ago

 

Thomas Spoehr serves as director of Heritage’s Center for National Defense where he is responsible for supervising research on matters involving U.S. national defense. Prior to joining Heritage, Spoehr served for over 36 years in the U.S. Army, attaining the rank of Lieutenant General. He is an expert on national defense policy and strategy, and has testified before the U.S. Congress on defense strategy, budgets and equipment modernization. Spoehr’s articles and commentary have been published widely in both civilian and military media and he is often called upon to provide expert commentary and analysis.

 


艦首喪失したまま太平洋横断したUSSコネティカットがサンディエゴをあわただしく出港し、母港ブレマートンへ移動中

SANDIEGOWEBCAM VIA @WARSHIPCAM

 

ーウルフ級高速攻撃型潜水艦USSコネティカット(SSN 22)はここ数カ月大変な目にあっている。南シナ海での水中衝突後にグアムに二カ月停泊し、本格修理のため米本土へ全行程6千マイルを移動しサンディエゴに帰還したが、航海は全行程浮上したままで乗員には決して愉快なものではなく、さらにサンディエゴ入港も事前発表はなく最終寄港地が別にあることが推定されていた。海軍は同艦は母港ブレマートン(ワシントン州)に移動し、修理すると発表した。同艦はサンディエゴを出港し、太平洋岸北西部に向かう。

 

海軍艦艇の動きを追う@warshipcamが本日午後のサンディエゴ港ウェブカム映像を投稿しており、艦首がないままのコネティカットが出港する姿が見られる。サンディエゴへはわずか三日の寄港となった。同艦は12月12日日曜日朝に同港へ到着し、駆逐艦USSマスティン(DDG 89)が随行して入港しており、太平洋横断中も安全確保と護送にあたったものと思われる。同艦はコネティカットと同時にサンディエゴを出港しており、この観測の通りだったと判明した。

 

出港時の映像からコネティカットの損傷がよくわかる。


SANDIEGOWEBCAM

SANDIEGOWEBCAM

 

米海軍からはコネティカットの行動について情報開示はなく、サンディエゴ到着し、太平洋横断後の状態は良いとの発表があったのみだ。

 

ワシントン州に直行せず、同艦がサンディエゴにまず入港した理由が不明だ。カリフォーニアに悪天候で降雨量が増えたことを考慮し、入港地を変更したのだろう。あるいは最初から真珠湾など途中停泊が想定されていたのかもしれない。ただし、グアムからハワイへの距離はサンディエゴあるいはワシントンよりも遠い。

 

コネティカットを再び作戦投入可能状態に戻す長く困難な作業については今後もお伝えしていく。

 

コネティカットが浮上したまま航海したことがどれだけつらかったかがわかるクリップが出た。潜水艦乗りアーロン・エイミックが潜水艦で6千マイル超を3週間かけて航行するのがいかに大変化を伝えている。さらに、コネティカットの場合は艦首を喪失したままの状態だったので大変だったはずだ。

この大変な航行を実行した潜水艦乗員に大きな感謝を表したい。■

 

Damaged Submarine USS Connecticut Has Left San Diego On Its Voyage Home (Updated)

The submarine is making its way back to its home in Washington State after slamming into a seamount in the South China Sea months ago.

BY TYLER ROGOWAY DECEMBER 15, 2021