2013年5月25日土曜日

順調に進んでいるP-8開発は本格生産体制へ

P-8 Entering Production Phase

By Guy Norris

Source: Aviation Week & Space Technology
 
aviationweek.com May 20, 2013
Credit: U.S. Navy
Guy Norris Los Angeles

P-8I初号機のインド引渡しが5月15日にあり、初期作戦能力テスト評価が完了したばかりだが、米海軍向けのP-8Aはまもなく開発段階から量産段階に移る。
  1. 「シ ステム開発実証計画は98%完了して、残るは疲労試験だけです」とボーイングP-8事業開発部長イーガン・グリーンスタインEgan Greensteinは説明している。「低率初期生産(LRIP)第二段階で米海軍向け8機とインド海軍向け3機を今年中に生産します」
  2. 5 月はじめには6機がボーイングフィールドの同社装着点検施設Installation and Check Out (ICO) に合流した際は生産の好調さを如実に示していた。「月産1機という大規模に聞こえないかもしれませんが実際には相当の部品点数が動くんです」(グリーンス タイン) 今年後半にもフル生産の認可が下りると今後2年間は生産活動は多忙を極めるだろう。
  3. 海 軍は合計117機調達で現在の契約は24機の生産分で、今月後半に通産9号機を納入する。LRIP-2契約は2011年に交付されており、11機製作の三 番目の契約が2012年9月にボーイングに与えられている。2014年度は13機、15年度は16機を生産する。ボーイングフィールドのICO施設は年間 24機を取り扱うことが可能で海外向け機体や将来の派生型もここで扱うとグリーンスタインは言う。ただし、米海軍、インド海より導入規模が増えるとして も、同施設で作業を受ける機体数は上限より相当低い水準だ。
  4. イ ンドは今月に続き第3第4四半期に2機を受領する。インドの確定注文は8機でボーイングはオプションの4機も2013年末か2014年に受注できると楽観 視している。またオーストラリアが最低8機を2014年に発注すると期待している。全体では「最低でも60機」の海外向け販売予測を立てている。「現時点 で各国で15件の営業を展開中」(グリーンスタイン)
  5. こ のうちオーストラリアは米海軍と覚書を交わしP-8Aの性能向上-2型の共同開発を2009年に決めており、2012年9月に同様に-3型でも合意してい る。-2型の内容には音響データ処理能力を上げてマルチスタティック・アクティブ・コヒレントmulti-static active coherent (MAC)対潜戦闘(ASW) システムの導入を含む。
  6. こ のMACは技術変更提案engineering change proposals (ECPs)として二つに分けて導入される予定で、一回目のECP 1でP-3おラインオンをサポートしているTacMobile地上局とのインターフェースを改良する。ECP 2では深深度での性能を実現する。第二段階ではP-8Aに改良型ソノブイを搭載して高高度型ASWを実現する。同時に高高度ASW兵器能力high- altitude ASW weapon capability (Haawc) も搭載する。これはマーク54魚雷にGPS誘導飛行翼と尾翼をつけて高度30,000 ft.からの投下を可能とするもの。ボーイングは19.2百万ドルでHaawc上空投下型キットを開発する契約を今年4月に海軍から受けている。
  7. -2 型は初期作戦能力の獲得が2016年度初めの予定でその後三番目の改修で「常時ネット接続」のシステム構成でより柔軟なソフトウェア能力向上およびネット 利用による対水上戦兵装の整備を行う。-3型のIOC獲得は2020年度予定。2017年までに138百万ドルをかけてボーイングは技術解析を長距離探 知、高解像度監視レーダーのレイセオン製高性能空中センサーAdvanced Aerial Sensor (AAS)を対象に実施する。このAASは電子スキャン方式のアクティブレーダーでアンテナ長40フィートで機体下部のポッドに搭載する。
  8. P-8Aの第一線配備開始は予定通り2013年12月で第16哨戒飛行隊がフロリダ州ジャクソンビルから沖縄の嘉手納空軍基地に機材を派遣する。■

速報 パキスタン航空機でハイジャック未遂事件発生、RAFタイフーン緊急発進

RAF Typhoons intercept PIA flight after onboard incident



FlightglobalおよびAirsafetyから


5月24日パキスタン国際航空ボーイング777-300ER機内で緊急事態が発生し、ロンドンのスタンステッド空港へ目的地変更を迫られたが、その際に英空軍ユーロファイター・タイフーン2機が同機をエスコートすべくスクランブル発進した。


RAF2機はリンカンシャーのコニングスビ基地から発進。パキスタン航空PK709便は乗客297名でラホールからマンチェスターに向かっていた。マンチェスター到着予定時刻は13:30UTCだった。


同機がスタンステッド空港に着陸後、2機は基地に戻った。着陸後、現地エセックス警察が乗客の2名を「機体を危険に落としれた疑い」で逮捕した。30歳、41歳の両名は警察署で取り調べを受けている。


同機の報告では二人は再三にわたりコックピットに押し入ろうとしてたという。


高度をFL235に下げている際に同機から緊急事態発生の通報がった。さらにFL160まで高度を下げた際にRAF戦闘機が接近。スタンステッド空港着陸は13:10 UTCだった。■

2013年5月24日金曜日

X-51実証結果はどのように活用されることになっているのか。

High-Speed Strike Weapon To Build On X-51 Flight

By Guy Norris
Source: Aviation Week & Space Technology


aviationweek.com May 20, 2013
Credit: USAF
Guy Norris Los Angeles


スクラムジェット推進式X-51Aウェイブライダーは5月1日に高度64,000フィートで燃料を使い果たし、太平洋に落下し、同機開発計画は幕を下ろしたが、米空軍研究所は極超音速飛行の歴史が確実に一歩前進したことを確信できた。
  1. 飛 行時間6分でマッハ5.1に達した同機は空気取り入れ式極超音速飛行の歴史を塗り替える成果を示し、開発開始から9年、初飛行から2年でX-51A開発 チームは自由飛行方式でスクラムジェット推進の吸熱燃料endothermically fuelを使用した飛行体の有効性の証明に成功した。
  2. こ れからはデータ解析の段階となり、計画立案部門は次の機体へ関心を寄せている。X-51Aの成功は極超音速推進で長距離偵察、輸送あるいは空気取り入れ式 で初の宇宙アクセス可能な機体出現の可能性を示しており、近い将来ではミサイルとして応用できる。空軍の高速度兵器開発ロードマップの要求水準を参考にし た高速度打撃兵器体系 High Speed Strike Weapon (HSSW)の一部として応用が想定される。これは2020年をめどに基本型の実証作業が予定されている。この日程を見ると兵器としての利用は2020年 代中頃までに実現しそうだ。
  3. . ただし極超音速飛行開発は数々の失敗プロジェクトの歴史でもある。最近の国防高等研究プロジェクト庁Defense Advanced Research Projects Agency's (Darpa)のHTV-2および極超音速飛行実証機Hypersonics Flight Demonstration (HyFly)に加えX-51Aも2011年2012年と連続して失敗しているのであり、5月1日の飛行成功はやっと成功したというべきだ。
  4. 「ま だ丘の上の岩ころを一つにすぎません」と謙虚に語るのはAFRLでX-51A計画責任者をつとめるチャーリー・ブリンク Charlie Brinkだ。「もう少しで転機が来るとわかっていました。軍はこの技術の潜在意義に兵器としての可能性を見ていますが、今回のテストで科学技術面で大き な意義があったと思います」 一方、ボーイングのファントムワークスでX-51A担当の責任者であったジョセフ・ヴォーゲルJoseph Vogelは「初飛行の段階で問題の解決の方向性は理解できたのですが、信頼性確立のためには本当の成功をおさめる必要があり、それがミッションとなって いました。」と語る。
  5. ブ リンクによるとX-51Aの成功から研究開発陣には改良点のリストができており、戦術級極超音速兵器開発に応用できるという。基本的にはX-51Aと同等 の速度と機体寸法でHSSWのモデルが製作され、B-2AやF-35の兵装庫に収まるサイズとなる。議会公聴会で4月に空軍副次官補デイビッド・ウォー カーDeputy Assistant Air Force Secretary David Walker は「適当な高度から発射して性能を発揮できるエンジン開発も必要。飛行実証は戦術的に意味のあるマッハ5以上の速度で空気吸い込み式ミサイルとして実施さ れるだろう」と発言している。
  6. 「ス クラムジェット技術ならX-51のような軽量機がマッハ5か6で500から600海里先の目標に10分から12分で到達できる。戦闘対応性を広く確保でき る」とブリンクは言う。同機の実用飛行高度は 60,000から80,000 ftで「生存性に新しい意味が生まれる」とも言う。
  7. ブ リンク、ヴォーゲル他のX-51A開発チームはプラット・アンド・ホイットニー、Darpa、NASA, Navair(海軍航空本部)、空軍の第412飛行実験隊(在 カリフォーニア州エドワーズ空軍基地)と共同で先日の実験をエドワーズのカーク飛行テスト センターから見守っていた。「本当にハラハラして緊張がみなぎっていましたね」とヴォーゲルは振り返る。ドラマをさらに盛り上げたのはB-52H母機の離 陸が目的地ポイントマグー海軍演習海域に霧発生のため遅延したことだった。
  8. こ のB-52Hはエドワーズを離陸し、高度50,000 ftまで上昇のため燃料搭載を減らし軽量化をした制約条件で飛行していた。同機は陸軍戦術ミサイルシステム (Atacms) のブースターを主翼下に搭載。「文字通り一発勝負で正しい方向に向かったため青信号を出しました」とティモシー・ジョリス中佐(第412試験飛行隊)は言 う。
  9. 発 射地点まで到達したことでX-51Aはマッハ0.8で飛行中の母機が投下された。Atacmsが点火し、X-51A含む中間ステージに29秒にわたり推進 力を与えた。その時点で高度は 63,000 ft.速度マッハ4.9。X-51Aは分離して惰性でマッハ4.8になったところでスクラムジェットが作動しエチレンを燃焼。その後JP-7炭化水素燃料 に切り替え前回の飛行で失敗した段階を克服した。同機はその後210秒間飛行を続け、スクラムジェット推進で高度 64,000 ft.へ上昇し動圧dynamic pressure (q)軌道は平方フィートあたり 2,200-2,350 lb. で安定した。最大加速度は 0.2gを超えたとブリンクが明らかにした。
  10. 同 機はマッハ5.1まで到達したあと加速中に燃料タンクが空になったとヴォーゲルは言う。最初の段階で燃料は燃焼器の末端に霧状に散布され空気と燃料の混合 燃焼の衝撃で空気取り入れ口からの逆流を防ぐことで「不発」が発生しない設計だ。加速すると燃料はさらに前部方向へ噴射されて空気取り入れ口の圧力変化に 対応し、推力増加につながるようにする。これが第一回目の飛行ではうまくいかず、飛行65秒経過後に失敗している。
  11. 5月1日の飛行では「最初の吹付け段階に加え飛行中の燃料噴射にも成功し、機体は加速を続けました。これは初回テストでは失敗したことなので自分で合格マークを出しましたね。」(ブリンク)
  12. X- 51Aは当初マッハ6以上の飛行速度に挑戦する予定だったが実際にはマッハ5.1を超えた飛行は未実施。ブリンクは飛行テスト初期段階では「飛行時間と マッハ6の関係を議論していましたが、その結果としてエンジン加速制御の実証のほうが重要で、完全に燃料を消費するまで飛行させること、極超音速での飛行 制御のほうが大切となりました。5.1が目標だったとは申しません。マッハ5の中間になると思っていましたが、空気取り入れ口の重心により空気がくさび型 になる量が増えました。さらにカウリングでも変更がありました。そのため抗力が増えたことは判明していました。」
  13. エ ンジン停止で無動力状態になった機体に各種の指示が与えられ空力特性上の機体取り扱いと制御性の確認が行われた。これらのデータは減速と平行して集めら れ、「機体の安全度を実現するために」(ジョリス中佐)使われるという。テストが無動力状態時に実施されたのは「エンジンのパラメータは判明していたた め。機体そのものの理解を深めるべく、エンジンが切れた状態で純粋な空力特性を見ることにしたわけです。」 機体はピッチ、ロール、ヨーを入力して反応は NASAが作成した予測データと比較検証された。
  14. 高 度 20,000 ft.で遠隔測定データが途切れるまでテスト結果はモニターした。ポイントマグーとヴァンデンヴァーグ空軍基地からのレーダー追跡と遠隔データモニターが 中断したためだが、海軍のNP-3Dデータ中継機が受信していた。「海面突入までのデータは回収できました。今回はほしかったデータが得られたので有頂天 というところです」とブリンクはまとめた。■



2013年5月23日木曜日

無人機で大きく遅れたフランスは米国、イスラエルに供給を要請。

France In Talks With U.S., Israel To Buy UAVs: Minister

By Reuters
aviationweek.com May 20, 2013
Credit: Tony Osborne
フランスが米国・イスラエルと情報収集用途の無人機購入の交渉中。機材近代化を図りたいと国防相ジャン・イブ・ルドリアン Defence Minister Jean-Yves Le Drianが明らかにした。

フランスの現有機材は旧式化しており、マリへの軍事介入で監視偵察用無人機の不足が露呈した。実際は米国がニジェールから発進させた無人機でフランス軍司令部へ情報を提供している。

「わが国はこの分野の能力を短期間で確保する必要がある。現時点で無人機を製造できるのは米国とイスラエルしかない」とルドリアンは発言。

ルモンドによるとフランスは米国防総省よりリーパー購入の許可を取得済みで米議会の承認を待つのみという。同紙によるとフランスは5機ないし7機のリーパーで300百万ユーロ(384百万ドル)で購入を想定し、今年末までに2機をマリに投入したいと考えている。

ハードウェアの海外調達はフランスにとって微妙な問題で、これまでも同国は国防装備整備で同盟国への依存は極力避けている。

ルドリアン国防相によればフランスは無人機では他国に大きく水をあけられているが、長期的には自国ならびに欧州内で国産無人機を生産するべく整備するとしている。■

2013年5月22日水曜日

F-35パイロット訓練は着実に進展中

F-35 Training Capability Slowly Expanding

By Graham Warwick
Source: Aerospace Daily & Defense Report

May 17, 2013
Credit: USAF/Master Sgt. John R. Nimmo; Sr.

ロッキード・マーティンF-35統合打撃戦闘機のパイロット養成がフロリダ州エグリン空軍基地で活発化しており、米空軍の教官パイロットがF-35Aで空中給油を実施している。
  1. .リー・クルース中佐Lt. Col. Lee Kloos(在エグリン基地統合訓練センター(ITC)第58戦闘機中隊隊長)が5月14日にテストパイロット以外ではじめてF-35の空中給油に挑戦した。
  2. これにより空中給油がエグリン基地の標準教程になり、訓練の飛行時間も延長できる。「これでパイロット訓練の対象を増やせる」(同中佐)
  3. 「今週は教官パイロット12名全員が認定を受け、ブロック1B過程の空中給油を全員が実施しました」と中佐は語る。「時間がかかりますが、少しずつ同機の性能を引き出しています」
  4. 最近数ヶ月でITCはF-35搭載の電子光学式照準装置と兵装シミュレータの使用による訓練ミッションの実施ができるようになったと中佐は言う。
  5. 4月末までにエグリン基地で44名がF-35操縦資格を得ており、うち2名は英国人で合計1,700飛行時間を記録しているとロッキード・マーティン副社長メアリー・アン・ホーターMary Ann Horterが明らかにしている。
  6. 機体にはブロック1Bソフトウェアが搭載されており、これは初期訓練用の性能しか提供できない。ブロック2Aも訓練用だが、10月に完成するとホーターは説明する。
  7. 二番目の訓練センターは米海兵隊向けF-35B用でボーフォート海兵隊航空基地(サウスカロライナ州)に2014年に、三番目のセンターが米空軍F-35Aおよび各国向けにルーク空軍基地(アリゾナ州)に完成するのは2015年予定。
  8. クルース中佐によるとF-35は空中給油時の飛行が安定しているという。給油機の背後に回るとロッキード・マーティンF-16は「砂利道を運転するみたいだが、F-35は滑らかな舗装道路を走る感覚ですよ」とのこと。
  9. こ の意見に賛同するウィリアム・ジョー・パーカー軍曹Tech Sgt. William Joe Parker,(第336空中給油飛行隊でボーイングKC-135のブーム操作員)は今回の空中給油ミッションに参加している。「パイロットはこちらの後 ろぴったりに駐車したみたいだった」
  10. F-35の操縦特性は空中給油用の扉が開くことで変化し、パイロットは微調整がしやすくなるが、これと同じ技法がF-16でも使われている。
  11. エ グリンでの訓練ミッションは空中給油実施が再承認された直後に開始されている。最初の承認は2011年にブーム切り離しが遅れる問題がテスト飛行中にエド ワーズ基地で見つかったため取り消されている。この問題はテスト用の少数機だけの問題として扱われるようになったと、クルース中佐は語る。■

2013年5月21日火曜日

フランス向けA400M初号機引渡し近づく

France Anticipating First A400M Delivery

By Amy Svitak svitak@aviationweek.comt



aviationweek.com May 17, 2013
(写真はエアバスミリタリー社のホームページより)


フランスはエアバスミリタリーA400Mの受領を7月14日以前に実現し同日の革命記念日パレードで飛行展示させたい意向だと国防省関係者が明らかにした。
.
エアバスミリタリーは同機の軍用型式証明取得を6月中に完了する目標ですすめており、パリ航空ショー(6月17日より)で飛行できると期待するが、それまでに型式証明が間に合うのか不明。


フランスが同機を受領すると予定より3年遅れとなる。引き渡し後も各種性能改修が行われる。一号機が初期作戦能力を認められるのは輸送機機能に限定される。


なお同機の民間型式証明は3月に取得ずみでエアバス関係者によるとテスト時間は5、000時間を超えたという。また戦術空輸他軍用能力を順次追加していくという。フランスは今年中に3機受領
し、トルコ空軍が1機のひきわたしをうける予定。■

2013年5月20日月曜日

グローバルホークの将来に不安材料② ドイツが導入を断念

Germany pulls plug on Euro Hawk UAV programme

By:   Michael Gubisch London
16 May 2013
Source:
.ドイツがノースロップ・グラマンのユーロホーク無人機5機の総額13億ドル購入を取り消した。民間空路と並存する形では同機の滞空証明取得は困難というのが理由だ。

ドイツ国防相が同機導入に立ちふさがる「滞空証明で困難性が大きいこと」を認め、高高度長距離飛行の実施は安全の観点から実施不可能と判断するに至ったと発言。
.
RQ-4グローバルホークの派生型として同機はミュンヘン郊外のマンシング Manching空軍基地に配備され、2011年からテスト飛行を実施していた。その結果を待ちドイツは4機を追加購入し空軍で運用する予定だった。

だが試験運用の結果同機の飛行制御システムで問題が見つかり、ノースロップは情報提供を拒みドイツ認証機関は同機の理解を深めることができなかったと国防相は発言。

ドイツ政府はこれまで730百万ドルを支出しており、うちテスト飛行だけで70百万ドルかかっている。しかし、325百万ドルで開発した偵察機材は有人機に搭載する予定だ。

なお、ドイツ政府はひきつづきUAV活用を進め、将来は偵察・攻撃用の機種を使用する予定があると付け加えている。■

グローバルホークの将来に不安材料①ブロック30早期退役を回避したいノースロップの事情

Northrop Proposes Cost Cuts, Sensor Change To Save Global Hawk

By Graham Warwick
Source: Aerospace Daily & Defense Report

aviationweek.com May 17, 2013
Credit: Northrop Grumman
ノースロップ・グラマンがグローバルホーク無人機の存続に努力しているのは米空軍が機齢が若いRQ-4Bブロック30を早期退役させ、代替するはずのロッキードU-2を優遇しようとしているためだ。
  1. 同社からはブロック30各機の運用コスト削減と航続距離拡大、電子光学赤外線画像センサーの解像度向上が内容の自主提案が固定価格で出ており、同機を2014年度以降も運用可能にしようとしている。
  2. 「議 論の中心が運用コスト・支援コストの削減と航続距離延長、解像度向上にあることは承知しています」とノースロップ・グラマンエアロスペースシステムズ社長 トム・ヴァイス Tom Vice, president of Northrop Grumman Aerospace Systemsは語る。
  3. 同 社は同機の委託ロジスティクス支援contractor logistics support (CLS)で10年間固定価格制の契約提案を米空軍に送っている。これでブロック30の時間あたり飛行コストcost per flight hour (CPFH)を2011年度実績比で4割下げるという。
  4. さらに今回の固定価格提案には航続距離・解像度の向上のためU-2のSYERS-2多周波数帯センサーまたは湿板式光学式パノラマカメラ Optical Bar Cameraをブロック30機体に空軍予測を下回る破格の価格で装着する内容も含む。
  5. 米空軍が.議会向けに作成した報告書ではブロック30とU-2の2012年度CPFHはでグローバルホークが $33,564、U-2が$33,407で「ほぼ同額」としている。
  6. .ただ目標地点への移動時間が長くなる傾向があり、長距離飛行で優れるグローバルホークがU-2より運用コストが下がるはずで、その理由として超高度飛行に投入する機数を減らせるからだと同報告書は指摘している。
  7. 空 軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将Air Force chief of staff Gen. Mark Welshから議会に対して、コストは実は重大な要素ではなく、収集情報の質こそが大事なのであり、現場司令官は「U-2を好む傾向がある」と発言があっ た。U-2のセンサー有効距離から国境内部に侵入しなくても情報が集められるからだとする。
  8. 空軍が同等のセンサーで性能求めているため、ノースロップは自社資金でペイロード調整装置universal payload adaptor (UPA) を開発し、ブロック30のセンサーを換装し有効距離・解像度の向上を実現できるようにした。
  9. この装置を使いU-2のグッドリッチ製SYERS-2B EO/IRセンサーをブロック30にも搭載し、高解像度、直距離slant rangesも拡大させる。その他光学パノラマカメラと開発中のSYERS-3センサーの装着も提案。
  10. 空軍試算ではグローバルホークのセンサー換装は18機のブロック30機体対象で開発含み総額855百万ドル。
  11. ただ議会向け報告書では同じ18機へのSYERS-2B・光学パノラマカメラ装着を487百万ドルと記載。ヴァイス社長によればノースロップ提案の固定価格方式ではSYERS-2装着で空軍試算費用より6%低くくでき、政府もリスクを回避できるという。
  12. SYERS-2はGEF製でブロック30の6機への装着は50百万ドル未満で実施可能とヴァイスはいう。SYERS-2センサーはUU-2から流用する。
  13. 「同社提案は6機のセンサー交換で、空軍がほしいのは18機分」とウェルシュ参謀総長は議会で発言し、「提案ではU-2から装置をとりはずすのでU-2該当機は使用できなくなる」としている。
  14. 同社提案では湿板式パノラマカメラ、デジタル方式のSYERS-3他センサーの統合で「最高のセンサー性能」が実現するとヴァイス社長は言う。
  15. ただ大型カメラ搭載のため機体腹部搭載の合成開口レーダーを取り外す必要がある。SYERS-2やパノラマカメラ他のセンサーはその代わりに取り付ける装着調整器を通じて搭載される。ブロック30の通信情報収集センサーはそのまま搭載を続ける。
  16. また自社提案でブロック30で予定の21機の残り3機生産も持ちかけている。この予算は2013年に計上しているが、空軍は執行義務がなく、運用予定のない機体を購入する事は理にかなわない。
  17. この三機生産は海軍向けRQ-4Cトライトン最大68機の生産開始が遅れている中で同社にとってつなぎの意味を持つとヴァイスは認める。■

2013年5月19日日曜日

SM-3IB三回目の迎撃テスト成功、標的ミサイルモックアップをC-17から投下実験に成功、MDAが同時に二件のテストを達成

MDA Scores Two Successful Flight Tests

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First


May 16, 2013
Credit: Lockheed Martin


米ミサイル防衛庁がレイセオンSM-3 IB迎撃ミサイルに加えロッキード・マーティンが制作した新型弾道ミサイル標的の初の飛行実証テストの双方に成功している。
  1. . このうち SM-3 IBテストは4回中3回目の成功。これは5月16日に太平洋上で巡洋艦USSレイク・エリーがMDAがいうところの「空中で分離する短距離弾道ミサイル標 的」に対しSM-3 IBを誘導し迎撃に成功した。今後はもっと複雑な形で目標捕捉センサーの実力も試すテストが予定されている。
  2. SM-3 IBは性能向上型2色赤外線シーカーならびに調整可能な姿勢制御システムが搭載しており、この点でこれらがなかったSM-3 IAと異なる。
  3. SM-3 IAも分離型目標を相手に効力を発揮しているが、レイセオンはデータ解析が完了していない現時点では二型式の迎撃ミサイルの実力比較はできないとしている。ただし、IB搭載のシーカーは予想以上の性能を発揮した模様。
  4. 次回のSM-3 IBテストは年末の予定で複数標的に同時迎撃発射をする見込みだという。関係者は来年までにあと二回の迎撃飛行テストの実施をしたいとしている。
  5. SM- 3テストの三日前にMDAが支援する形で飛行距離拡大中距離弾道ミサイル Extended Medium-Range Ballistic Missile標的プログラムでプロトタイプの飛行実験がアリゾナ州ユマ実験場で実施されている。目標ミサイルの実物大モックアップがC-17輸送機より 高度25,000 ftで投下されたとロッキード・マーティンが発表。「ERBM空中発射装置と本体取り出しシステムはテスト

2013年5月18日土曜日

最終テストを開始したX-47B---現場からの報告

X-47B Heads For Final Tests
aviationweek.com  Ares A Defense Technology Blog Posted by Bill Sweetman 7:20 AM on May 16, 2013

ノースロップ・グラマンX-47Bは数日後にタッチアンドゴー方式で空母ジョージ・ブッシュへの着艦を実施する見込みで、それに先立つ火曜日に実初のカタパルト発進を施した際に同席していたので現地で見聞したことを以下お伝えしたい。

同機は予想より早く発艦前準備を完了し、カタバルトの端までの移動はごく短時間で完了していた。このテスト用にわざわざ開発した遠隔操作用の器具は無用の長物になっていた。
とはいうものの関係者の見方はすでにこの後に来るUclass用の技術という観点だった。開発チームは原理原則の有効性を証明したと感じている。つまり、無人機も有人機と同じ命令に従って空母艦上で取り扱い可能だということだ。
.
X-47Bのアプローチは実に安定しており、二回目の通過では大気の乱れで若干ローリングしていたが、甲板上空50フィートで翼を左右に振って見せた。
こ の振りは予定外だったが以下の可能性がある。機体自体で自動的に行った、ミッション操作員によるもの、パドルすなわち着艦信号士官によるもの、あるいは管 制塔のPri-Flyすなわち主任飛行制御管制官によるもの、である。ミッション操作員もパイロットと同様に「ボールを読む」(着陸姿勢の表示灯の数を読 む)ことができ、着陸装置のライトは同機がこれから着陸する意思があることを示す。

海 軍士官は海軍と空軍の違いを明確に理解しており、空軍が遠隔パイロットで操縦される航空機の活用を主張する一方で海軍の「無人航空システム」は操作員が飛 行させるのであり、パイロットによる操縦ではないとしている。海軍としてもパイロット資格を持つ人員を一度にUAVで交代させるつもりはなく、ここで も 空軍との違いが明白だ。(プレデター/リーパーは米空軍ではF-16に次ぐ機体数になっている。)操縦桿とラダーでUAVを飛ばすのはエアバス関係者 がボーイング777の操縦桿についていったことを引用すると馬にハンドルをつけるようなものだ。「パイロット」はちょっと間違った言葉の使い方ではない か。

パイロットといえば海軍がX-47Bの自動着陸技術を有人機に応用しようというのは正しい判断だ。この恩恵は機体疲労の軽減に加え航空団の訓練時間短縮にもつながり、安全性が高まる効果は大きいといえる。

コメント  歴史的な現場に立ち会うことが許されるのはAviation Week関係者ならではの特権ですね。うらやましい限りです。UAVが今後発展して敵機撃墜するようになると空軍内部でエースパイロットが本土の安全な コンソールに座る操作員から発生し、議論を呼ぶのでしょうね。(もう呼んでいる?) 一方、海軍はもともとtailhookersと自称し空軍とは違う文 化をもっていることもあり、まちがってもUAVの操作員はパイロットAviatorとは呼ばないことで一致しているのだと思いますが、ここもやがて議論を 避けて通れなくなる事態が来るのではないかと思います。

追記 すでにタッチアンドゴー実証も始まっているようです。(以下写真はUS Navy websiteより)



2013年5月17日金曜日

RAF向けRC-135リヴェットジョイント一号機の写真が初公開

U.K. Rivet Joint - First "Official" Picture
aviaitonweek.com Ares
 Posted by Tony Osborne 3:34 PM on May 14, 2013
USAF Photographers have snapped the first RC-135 Rivet Joint destined for the U.K. Royal Air Force.
米空軍カメラマンが撮影した英国空軍向けのRC-135リヴェットジョイント一号機の写真
Image Credit: USAF via RAF Waddington

機体番号ZZ664がL-3社のグリーンヴィル事業所(テキサス州)のハンガーを前にしている。動悸は4月にロールアウトしている。Aviation WeekはこのRC-135の写真を初めて掲載している。同機はRAFによりエアシーカーAirseekerと呼称される。

RAFはRC-135を三機発注しており、英国はRC-135V/Wシギント機の初の海外顧客となる。各機は1964年に就役したボーイングKC-135ストラトタンカーを改修する。

同機が配属されるRAFワディントン基地の関係者によればエアシーカー一号機は2013年末までに第51飛行隊に編入されるという。

同飛行隊の隊員は機種転換訓練をオファット空軍基地(ネブラスカ州)で受けており、すでに訓練を修了した英国乗員は米空軍のリベットジョイントで実際のミッションに同乗参加している。

コメント 中古改造機とはいえ、立派なリヴェットジョイントを購入するのはISR機材の重要性を英国が認識している証拠なのでしょう。また米国も売却を承認しているのは情報の共有化で二国間合意ができているからでしょう。


2013年5月16日木曜日

中国が開発中の全翼機UAVの写真がインターネットに流出


X-47Bが空母から無人発艦した快挙をお伝えした直後に中国からまた怪しい機体の写真が出てきました。航空技術の優位性はまだ西側にあるとはいえ、差はどんどん縮まる方向にあるようです。

PICTURE: New Chinese advances in tailless UAV designs revealed


By:   Stephen Trimble Washington DC
Flightglobal, 15 May 2013
Source:

中 国のインターネットフォーラムに写真が掲載された無尾翼無人ステルス機が初飛行に備えているように見える。中国軍事装備に目を光らせるアナリストは同 機をLijian(鋭い剣)無人戦闘航空機(UCAV)の実証機だとする。同機はジェット練習機メーカーのHongdu供都航空とShenyang瀋陽航空(二大戦闘機メーカーのひとつ)の共同開発だという。

写真でみる同機の外寸と形状はボーイングのファントムレイ、ダッソーのニューロン、ロッキード・マーティンのRQ-170、ノースロップグラマンX-47Bと類似している。

た だしLijianの設計にはステルス性が十分あるとは思えない。多分アフターバーナー用のノズルが大きく、ジェットエンジンは機体後部に被覆せずにむき出 しでこれではレーダー探知の絶好の的だ。同様なことは中国から出てきたステルス機と説明される気体全般に言えることで、成都J-20や瀋陽J-31でも例 外ではない。

反面で写真を見ると中国航空機設計で大きな進展をしていることが明らかだ。Lijianは全翼機形態で無尾翼構造となっており、中国が空力特性と飛行制御で最大の難関に取り組んでいることが見えてくる。

一方でこの機体形状では制御が困難な空力効果も生んでしまうのだ。その例が「ピッチダイブ」と呼ばれる現象で低速度で機体が突然制御を失い上下逆転したまま回復できなくなることだ。

実は中国は無尾翼全翼機の設計に長年にわたりとりくんでいる。瀋陽からは2007年に学術論文「全翼機形状の偵察用UCAV1への応用」が発表されており、その結論は無尾翼設計は空気力学上で「最適な選択」であるとしている。

2011年には瀋陽大学が無人機の「大祭り」を開催し、研究者が縮小サイズのUAVで賞金をかけた飛行競争を行っている。その中に無線操縦の機体で翼幅2メートルの全翼機がありLijianと形状が似ているものがあった。■