2014年1月10日金曜日

一筋縄ではいかない欧州の防衛装備協力体制


かつて欧州各国は列強と呼ばれていましたが、今や一国ですべての防衛体制を整備できなくなるところまで来ています。しかし総論賛成各論反対ではなかなか共同整備が実現しそうもないですね。こんなところにヨーロッパ世界の限界が見えてきます。それにしてもユーロのような人工通貨のいんちきさはいつ破綻するのでしょうか。


Europe Takes New Steps Toward Defense Cooperation

By Amy Svitak
Source: Aviation Week & Space Technology
aviationweek.com December 30, 2013
Credit: Sgt Pete Mobbs RAF Crown Copyright

ヨーロッパの共同防衛整備の可能性が12月に一歩遠のいた。ブリュッセルでの防衛サミットが不調に終わり、ヨーロッパ版無人航空機(UAV)他での協力事業で具体的な動きが出なかったためだ。
  1. 欧州理事会で28か国の首脳が合意を見たのが中核分野での共通ロードマップ作成と要求性能水準の把握だ。次世代UAVに加え、空中給油、衛星通信、サイバー安全保障のプロジェクトが想定されている。 
  2. ただし加盟各国は共同開発では具体的な負担策の表明を避けており、総論で合意しただけ。それでもEU加盟28か国が共通防衛戦略の検討開始に合意したことが前進の印とみられている。 
  3. 防衛サミットは5年ぶりで、加盟各国は「戦略再検討」を2015年中に行い、防衛戦力整備の主要4分野の進捗を点検することで合意した。各分野は欧州防衛庁 European Defense Agency (EDA) が策定したもの。
  4. UAVについては加盟各国でヨーロッパ版中高度長距離飛行可能なMALEシステムの工程表作成が合意されている。
  5. 2013年にフランス、ドイツ、イタリアの各防衛産業企業からEU加盟各国にUAV開発の出遅れを取り戻すチャンスを訴えていた。この意見を表明したのはドイツのエアバス・ディフェンス&スペース、フランスのダッソーエイビエーションとイタリアのフィンメカニカで昨年5月にフランスが米国製MQ-9リーパーを最大で16機導入する決定をしたことへの対応である。フランスはマリ内乱への介入でISR(情報収集、監視、偵察)能力の不足を痛感させられ、てっとり早い解決策を求めたのだ。
  6. なお、リーパーは英国とイタリアがすでに運用中で、フランスとおオランダがここに加わろうとしている。
  7. 11月にはEDAの呼びかけでMALE UAVユーザーコミュニティがフランス、ドイツ、ギリシア、イタリア、オランダ、ポーランド、スペインが加盟して発足している。それとは別にEDAは加盟8か国(オーストリア、ベルギー、チェコ、ドイツ、フランス、イタリア、英国)に50百万ユーロ(68百万ドル)を拠出させUAVを欧州の空域に共存させる研究を行っている。.
  8. 理事会ではEU全域に適用するUAV型式証明規程を2016年までに整備する目標を承認しており、これは業界にとって歓迎すべき動きだ。
  9. 「欧州での防衛装備型式証明手続きは悪夢そのもの」とヨーロッパの専門家は評する。「開発費用のおよそ2割が手続きに食われています」
  10. 同専門家は理事会サミットの結果に期待しないものの、各国政府が共通型式証明の樹立を2016年目標にすえることが必要と認識したのは評価している。
  11. 衛星通信分野では5か国が共同でユーザーグループを結成しており、次世代通信衛星の開発ロードマップを作成中だ。
  12. 現在独自の軍用通信衛星を運用中なのはドイツ、スペイン、フランス、イタリア、英国だが、衛星の中には数年以内に耐用限界に達するものが出てくる。
  13. 空中給油では理事会はここまでの進展に満足しており、昨年は9か国にノルウェーが加わり給油機の共同調達の内示書に署名している。オランダが音頭をとり、2020年に新型給油機が運用可能となるとみられ、機種はエアバスA330を基にした多用途輸送給油機になるだろう。.
  14. 理事会で討議はしたものの議決しなかったのは軍事活動費用の共同支出であり、念頭にあるのはフランスによる中央アフリカ共和国での作戦だ。
  15. フランスがEUの財政支援を求めているのは欧州全体に代わり同国が実施しているとの主張からだ。

2014年1月8日水曜日

そもそもF-35の開発思想に誤りがあったのかーーーー同機はウェポンシステムとして失敗作なのか


もしF-35が各軍共用ではなく、各軍で独自に機体を開発していたら費用節減につながっていたはずとの分析結果をランド研究所が出しました。そもそもF-35の出発点に誤りがあったのでしょうか。大きすぎてつぶせない、といわれる同機ですが、すでに失敗作としてどうやって引導を渡すかを議論している感があります。それにしても西側の防衛を今後10年以上も空洞化しかねない同機には各方面から恨みつらみがたまりそうです。その機体を主力機として日韓が競って導入しようとしているのは皮肉な現象と言わざるを得ませんね。面白いので原文の読者コメントも参考までに載せてあります。
Contractors Dispute F-35 Cost Report
By Bill Sweetman

aviationweek.com December 30, 2013

ランド研究所 Rand Corp. による報告書でF-35共用打撃戦闘機事業は三軍による単独実施よりも多額のコストになっていると指摘している。早速ロッキード・マーティンが報告書に反論し、報告書作成者が「古いデータ」を使い運用コストを二倍に過剰見積もっていると主張。
  1. ロッキード・マーティンの反論が使う数字は同報告書には出ていない。同社は出典を明らかにしていないが、「政府の数字」だとしている。共用打撃戦闘機事業推進室は今回の論争から距離を保っており、同報告書について真剣に取り上げる内容はなく、ロッキードの数字についても確認をしていないという。
  2. ランド研究所の報告書は空軍資材軍団 Air Force Materiel Commandのドナルド・ホフマン大将(当時)Gen. Donald Hoffmanの求めで作成されたもので、その時点でJSFの就役が数年間遅れることは必至だった。
  3. 報告書が引用している数字は2011年11月時点までのデータで、2010年度の個別調達報告selected acquisition report (SAR)も含む。ランド研究所はそもそも空軍が発足させたシンクタンクであり、空軍との関係は密接だが、2011年度のSARは引用していない。このSARで開発遅延が三年にのぼり、2010年版よりコストが高くなることを指摘している。
  4. JSFは進行中の事業であり、他に同様の共用戦闘機開発は存在しないので、研究員は各種機材のデータとしてF/A-18E/F 、F-22 のほかT-6A練習機やE-8C監視機も使い各軍が共用で開発した場合、単独で開発した場合のコスト上昇の比較をしている。
  5. 研究では絶対費用ではなく、全面開発(マイルストーンB)とマイルストーンB後5年および9年時点の推定コストの増加率を取り上げている。
  6. そのデータから引き出された結論は各軍共用仕様の機体開発の推定コストは単一軍仕様の機体より高い増加率になり、5年経過後、9年経過後いずれもこの傾向がみられる。また共用機開発でコスト増加が最も低いといっても単一軍仕様開発の事例よりはるかに高くなっているという。T-6とC-17の例では前者が急速にコスト増となっており、そのためT-6調達はキャンセルになるところだった。

AviaionWeekの原文はここまで。以後読者の反応です。(一部手を加えています。)

Don Bacon

12:53 PM on 12/28/2013
過去のデータをいじるのは面白いかもしれないが、調達費用が上昇している問題の本質には触れていないし、F-35の場合は主契約企業ロッキード・マーティンにとっては恩恵が増え続けることになるのであり、同社の利益、配当、役員報酬は深刻なコスト超過、日程遅延にもかかわらずずっと増え続けている。.
また大がかりなゆがんだ構造も認識されていないようだ。同社はジャーナリストや退役軍人を同社の都合の良い形で雇用している。
調達方法には改善が必要だ。まず調達コストを管理下に置く唯一の方法は競争状態を通じてである。主契約企業は契約を獲得できなくなると感じてはじめて真剣になる。事業を失うと感じるとどんな企業も意欲を高める。以下がIBMセンターの研究で明示されている。
競争は初期設計や試作機製作の段階ではおおむね受け入れられているが、開発・生産の初期段階でもこれまでにまして受け入れられてきている。ただし生産期間中での競争には抵抗が生じている。生産段階における競争によるコスト節約効果には大きなものがあり、どんな形でも競争状況が生まれることをすすめるべきだ。単一メーカーによる調達が必要となる特殊例では実績が良くなりコストが低くなっていれば同社に追加契約を与える形で報奨をすればよい。ただし、競争させる選択肢は求める結果が出ていない時に使えばよい。
現時点のF-35調達モデルはコスト面で破たんは必至だ。

X-Planes

9:15 AM on 12/30/2013
三つの別個の開発事業でより特化した望ましい機体が各軍に生まれていただろう。「共用」では技術の共有で限界が生まれる。たしかにソフトウェア、材料、レーダー、エンジンでは共有効果があることは認めるが。ただ機体を共有するのはコンセプト形成時点で大きな間違いだった。

Ruckweiler

11:47 AM on 12/30/2013
F-4が海軍、海兵隊、空軍に採用されたことで国防総省は単一機体ですべての用途を満たす方法に夢中になっているのだろう。F-35ではコスト上昇で結局非常に高価な機材をごく小規模調達することになるのだろう。マクナマラの亡霊がもどってきた。

Hardcore

3:50 PM on 12/30/2013
三機種作っておけば、ひとつぐらいは当面は通用するけ傑作機になっていただろう。その反対に傑作機1機種を最初から作ることで、そのあとで三軍で使うとリスクが高い選択になる。

msnova

8:43 AM on 12/31/2013
三軍に同一機種を提供するのは高額なのに効率が悪い選択だと思う。これまでもうまくいったためしがない。F-4は受容できる機体だったが、海軍には機体重量が大きいことから旧型空母には適した機体ではなかった。マクナマラは一つの機体で全部のニーズにあわせようとしたが失敗している。
また海軍が単発エンジン機を受け入れたことも驚きだ。海兵隊には近接航空支援機材が必要だが、スーパークルーズに目を奪われる必要はない。空軍は今回の対立で指導的立場にあるようで、数字を操作して主張を正当化することで同機を押し付けたとみる。

Performance2

10:23 AM on 12/31/2013
記事は触れていないが現時点で米国内で戦闘機メーカーが一社になっていることが重要だ。ロッキードである。同社が悪いわけではないが、次世代戦闘機の設計や開発で競争が成立するのか。F-35でロッキードに協力しているノースロップグラマンも戦闘機開発で競争力があるとみる向きがある。tだノースロップは主契約社でなく、開発全般での役割は限定的だった。この違いは大きい。設計能力の消滅は意図しなかったとはいえ甚大な損失だ。三機種開発にしておけば競争が生まれ生産技術の向上につながると同時に将来の戦闘で敵方が一つの技術優越性あるいは戦術でわが方の戦闘機部隊が全滅するリスクを軽減していただろう。

halseyjr61

12:33 PM on 12/31/2013
皆さんのコメントに感服している。F-35は基本思想ではうまくできていおり、コストを共同開発により引き下げるはずだったものが結局うまく行っておらずウェポンシステムとしても想定通りの機能は期待できない。
F-35は大失敗になっており、せっかくの次世代技術の利点も度重なる配備の遅れで帳消しの形だ。遅延とコスト超過の結果で妥協策の機体が技術欠陥をもったまま配備されようとしている。さらに生産面での妥協策で性能面で各軍の期待を下回る結果になっており、単一機体にあまりにも広範囲な設計パラメーターを与えているのもその原因だ。
実際に各軍に配備されれば同機の弱点は明白になり、これに敵側が付け込んでくるだろうし、すでに対空戦闘装備でこの動きが出ているとの調査報告が出ている。
悲しいことにかつては地球上でもっとも繁栄していた国家が今や国防予算削減でさらにこの問題が加速しているのを見守るしかない。
この失敗作に数十億ドル単位の予算が使われる中、同機の数少ない長所を拾い上げることしか救いがないが、現実はF-35開発は米国のウェポンシステム開発史上で比類ない高額の教訓となっているのであり、F-35をこのまま続けるとして米国がまだ大国であるのであれば各軍の仕様で専用の機材を作ることにもどるのだろう。

inspectorudy

4:02 PM on 12/31/2013
F-111の失敗で各軍は貴重な教訓を得たのではなかったのか。自分はF-4Bを操縦しており同機の優秀さを知っているが、ドッグファイターとしてはお粗末だった。同機より技術も低く価格も安い敵機が近接戦闘では十分互角に対応できた。
各軍のニーズは異なっており、ソフトウェアで克服できる性質のものではない。海軍にはもっと頑丈な機体が艦載機と指定必要だし、海兵隊にはそれに加え戦場での運用が独自に行える機体が必要だ。空軍はどんな機体でも購入可能なら必要と主張する傾向がある。海兵隊がこ
B型を前方進出基地で装備品がほとんどない状態で運用する場合が想定できるだろうか。だがこれが海兵隊の想定ののだ。敵側の第五世代戦闘機に互角に相手になれることがわかっているだろうか。同機のレーダー性能が優秀で攻撃モードについても知っているが米国は同機を購入したことを後悔する日が来ると思えて仕方がない。三機種開発する方法であればそのうちひとつや二つの機種はP-51マスタングあるいはヴォウト・コルセアのようになっていたかもしれない。たぶんその解決策はF-35がある程度機数がそろったところで一度中止し、機体の価値を確かめたうえで生産を続行すべきかを判断することになるのではないか。

BirdWatcher

10:04 PM on 12/31/2013
ランド報告書では「推定コストを導入時と大量生産時でパーセント比較する」といっているが、「推定」のところに注意が必要だ。これは気象予報士が過去の予報でどれだけ正確だったかを検討しているのと同じだ。「絶対」の気象結果を検討しないのと同じである。次に単一軍仕様で作った機材の成功例は多いと思う。B-1B、B-2に加え完成していればA-12やRAH-66もそこに加わっただろう。ヨーロッパにはラファール、タイフーン、グリペンがあり、各機は優秀だ。それでも反論をする向きがあるだろう。すべての投入資源を同じように見える機材に薄く広く分配したらどうなるのか。F-35については見切りをつけるのが早すぎると思う。

HitOrMiss

3:49 AM on 1/2/2014
皆さんは間違った方向から見ているようですね。まずF-35はF-117の後継機種であり、F-16と同様のエイビオニクスを搭載sたもの。あるいはF-16にF-117のステルス性を付けたものと理解すべき。
次にこの機体が成功できなかったのは議会の事情で政治上の計算から予算が継続していたためだ。同機開発をもたつかせたのは議会であり公聴会で議会関係者がこれだけ同機開発を遅らせて費用を高騰させたのはだれか「想像できない」とと発言しているのは笑止千万だ。
最後にこの機体は「共用」ではなく、名称が同じでも三機種にわかれており、共通構造はたかが25%しかないのであり、そもそもが三軍同時調達の意味がない。
未来の空軍力を知りたければノースロップグラマンのガンマファイヤストライクラボGamma Firestrike labsにいけばよい。最高100KW の出力を4レーザー5本を束ねて発生させることに成功している。常時この出力を出せれば亜音速戦術機は過去の遺物になるだろう。恐竜のように。


2014年1月7日火曜日

MQ-4Cトライトン テストは順調に進展中


Navy’s MQ-4C Triton Hits Testing Milestone

By: Dave Majumdar
USNI Neews, Monday, January 6, 2014
MQ-9C Trition. Northrop Grumman Photo

ノースロップグラマンは米海軍とMQ-4Cトライトン無人機の飛行テストを加速中。
  1. 同社から1月6日に同機が昨年5月の初飛行以来9回の飛行を完了し、安全限界の確認過程の半分が完了したと発表があった。
  2. 「安全飛行限界の拡大によりテストチームはトライトン用監視センサー類の搭載にとりかかることができます」(マイク・マッケイMike Mackey、ノースロップグラマンのトライトン事業責任者)
  3. トライトンに搭載予定なのは360度監視AN/ZPY-3多機能アクティブセンサー(MFAS)、MTS-B電子光学赤外線カメラ、AN/ZL-1電子支援装置一式および自動識別装置(AIS)の受信機である。また衛星通信およびリンク16戦術データリンク能力により艦隊へ通信中継をする。
  4. 今回の安全性能領域拡大過程でフライトテストチームは飛行速度・高度を徐々に上げ機体重量も変えていった。その狙いは同機が設計通りに飛行可能なのか、そして飛行中に遭遇する問題を修正できるかを確認することにあった。
  5. ノースロップによるとMQ-4Cは最高高度5万フィートで9.4時間の滞空性能を示したという。またダブルスと呼ぶ飛行操作をし、気流の乱れによる飛行経路の障害から回復する能力を試した。
  6. 米海軍はMQ-4Cを合計68機導入する予定で、そのうち20機は常時周回警戒飛行任務に投入する。トライトンの運用はボーイングP-8Aポセイドン哨戒機と連携が前提。■


2014年1月4日土曜日

このままでは米国製軍用機に未来はない

2014年最初の投稿は暗い内容です。これまでの軍用機開発生産の慣行は維持できない所まで来ているのでしょうね。コストを重視して管理した挙句がF-35のような西側国防体制を内部から崩壊させかねない機体しか出現していないのは嘆かわしいことですが、一方で記事が提言する産業基盤の維持という観点が出てきたのは歓迎すべきでしょう。日本はこの考え方でこれまでずっと高い価格を負担してきたのですがね。また単一国での本格開発は困難になってきたので、国際協力、共同開発がこれからの方向でしょうか。F-35の唯一の功績はこの体制づくりの基礎を作ったことと後世では記憶されるでしょうね。日本の産業基盤が役に立つ時代がやってきそうです。ご関心の向きはF-3、F-X、F/A-XXで検索して過去の記事を御覧ください。


Opinion: U.S. Military Aircraft Fly Toward A Waterfall

By Richard Aboulafia
Source: Aviation Week & Space Technology

aviationweek.com December 30, 2013

1990年代の防衛産業合併ブームは冷戦終結による生産能力過剰の解決が目的だった。ただ完全に生産が終了したのはグラマンF-14とノースロップB-2だけで、大部分の機種は性能改修や輸出でラインを維持した。
  1. これからの苦境を予感させる動きが出てきた。9月にはボーイングがC-17ラインを2015年で閉鎖と発表。その一ヶ月後に韓国がボーイングF-15をF-X 3選定で落選としサイレントイーグルの将来がなくなり、同機ラインは2018年で閉鎖に追い込まれる。12月にはボーイングF/A-18E/FがブラジルのFX-2選定に漏れ、同社の国際営業で大きな敗退となった。一度は確実だった海軍によるスーパーホーネット36機追加発注がすぐに取消になっている。これで同機の最終号機納入は2016年となり、ボーイングは今年3月にも同機生産ラインを自社費用で維持すべきか決断する。
  2. ボーイングだけではない。ロッキード・マーティンも昨年でF-22全機を納入しており、F-16生産も2017年で終了する。ビーチクラフトのT-6最終機の引き渡しは2016年予定で、ベル・ボーイングV-22は追加受注がないと2020年で終わりそうだ。回転翼機の生産ラインは健在だが、2011年から18年の発注機数は半減している。
  3. これで米国に残るまともな固定翼軍用機生産ラインはわずか2つになる。両方ともロッキード・マーティンでF-35とC-130Jがそれ。ボーイングが生産を続けるのはKC-46とP-8だが後者は2020年ごろで終了する予定。
  4. 開発中の新型機はわずか。空軍のT-X次期練習機には既存機種を流用して開発をはやめるとはいえ2010年台には姿をあらわさない。長距離打撃爆撃機の開発は始まっ
  5. たが生産は早くても2025年開始だろう。
  6. C-130Jは空軍、特殊作戦司令部、海兵隊、輸出需要があり例外的に安定しているとはいえ、削減をかろうじて逃れたに過ぎない。わずか8年前に国防総省は同機の生産ラインを閉鎖しようとした。仮にこの通り実施していたら旧型C-130の機齢が40年を越える中で交替機材がなくなるところだった。.
  7. 米国はアジア重視の部隊再配備を実施中で、これまでにまして長距離戦略空輸能力が必要なのに唯一の戦略輸送機C-17の生産を止めようとしている。海軍内部にスーパーホーネット生産を継続したい向きがあるのもF-35Cの空母運用能力が実証されていないためだ。
  8. 国防予算の状況が厳しいことから、今後も1ないし2機種の継続が精一杯だろう。ただし、航空機開発の進め方を米国が変更する可能性が出てきた。現状では開発含む全体計画はいかにしたら早く実現できるかを目的にしている。各軍は予算さえ管理できれば報酬を与える仕組みを作っており、生産量を増やすことで単価を下げることに注力している。各企業にとっても売上を伸ばし利益を確保することが励みとなり、各議員には地元選挙区に雇用を持ってくることが目標となっている。
  9. たしかに理解できる理由付けではあるものの、各関係者は産業基盤の保存という観点を無視している。むしろ単価はわずかでも上げて各機の事業をより長く維持できるようにすべきである。年48機生産を10年間続ける代わりに36機生産を13年間続ければいいではないか。輸出需要を生産量増加の口実にするのではなく、国内需要の補完に使えばいい。
  10. 産業基盤を重視する考え方に今からでも切り替えれば、今後に良い結果を生むだろうが、とりあえず現時点では工場閉鎖や数千人単位の解雇が目に入るだけで、国防資産の消失につながる。冷戦後の軍用機生産の真の意味の精算が不気味に迫っている。■

2013年12月30日月曜日

これはひどい 中国新型ヘリZ-20はブラックホークのコピーではないか

Chinese Military Utility Helo Makes First Flight

By Bradley Perrett perrett@aviationweek.com
Source: AWIN First

aviationweek.com December 24, 2013

 

シコルスキーH-60に相当する中国の新型軍用多用途ヘリコプターが12月23日に初飛行したと同国国営報道機関が伝えている。

  1. このヘリコプターにはZ-20の名称がついているとされるが未確認で、機体重量は10トン (22,000 lb.) で高地運用に最適化されていると中国中央テレビが伝えている。これまでは中国は1980年代に購入したUH-60ブラックホーク24機を運用してきた。
  2. Z-20の外観はブラックホークに驚くほど類似している。
  3. 中国技術陣はH-60と似た機体の製作を命じられ米国製ヘリを参考に設計したのだろう。さらに中国軍はH-60の機体構造を軍の支援ミッションに最適と判断したのかもしれない。
  4. ただしすぐわかる相違点は同機は5枚ブレイドであり、H-60は4枚である点だ。
  5. 初飛行は中国北部で行われたと同テレビは伝えている。その意味は同機はハルビン航空機の製品であることを暗示している。同社はAvicの回転機部門Avicopterの傘下にある。
  6. 同機はH-60やNH Industries製NH-60と同様な使用用途として兵員輸送や対潜戦闘が想定されているのだろう。軍用用途を前提とした設計ではあるが、民生用途にも使われる。ただし西側の型式証明が得られなければ海外販売の可能性も限定される。
  7. 10トンクラスの機材はAvicopterが揃えている機種の中でこれまでなかったものだ。
cheap ultram

2013年12月28日土曜日

米海軍のF/A-XX構想に注目


UCLASSが大型化して給油機、ミサイル発射母体など多用な支援ミッションを期待しているとの米海軍の見解がありましたが(本ブログ12月26日記事参照)、要は有人戦闘機を支援する手段と見ているとのことだったのですね。F-35Cよりも次世代のF/A-XXへの期待を高めざるを得ないのが実情のようですが、2030年代までは現行機種(F-35Cも含め)を使わざるを得ないというのは相当苦しい事情ではないでしょうか。また米空軍F-Xとの関連も気になるところですが、日本のF-3もここに加わるのでしょうか。一国(一軍)だけでは主力戦闘機開発が実現しない時代がきそうですね。

Major Work to Replace Navy’s Super Hornet to Start in 2015

By: Dave Majumdar
USNI News, Thursday, December 26, 2013
Boeing artist’s conception of a potential design for F/A-XX.
Boeing Photo




米海軍は現行のボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネットの後継騎手となるF/A-XX次世代機の代替策研究analysis of alternatives (AoA) を2015会計年度から開始する。.
  1. 新型機および関連「システムファミリー」の実戦配備は2035年頃の予想だ。
  2. .「現在検討中の結果を代替策検討に反映させる」とマイク・マナジル少将 Rear Adm. Mike ManazirがUSNIニュース取材に答えている。
  3. 「ただし15年度早々に代替策検討を開始し、2030年の調達を目指して取得過程を開始するでしょう」
  4. 海軍はF/A-XXがどんな機体にするのかをまとめきれていないが、スーパーホーネットが9,000時間の機体寿命に到達する2035年ごろを想定して必要な性能内容を定義する作業を始めている。
  5. 「現時点ではF/A-18E/Fがなくなったら失う機能は何か、全部リスト化しているところ」とマナジルは説明。
  6. 例としてスーパーホーネットは給油機としても使用されているが、海軍が計画中のUCLASS無人艦上発信空中偵察攻撃機が給油機となれば、F/A-XX に給油機ミッションは必要なくなるのではないか。
  7. 明確な定義づけが未完成とはいえ、F/A-XXで最終的に実現すべき機能はすでにはっきりしている。
  8. 「ミサイルを運ぶ機体は必要ですし、指向性エネルギー兵器の使用には十分な発電能力と冷却能力が必要となり、レーダー断面積は最小にしておく必要がありますね」とマナジルは言い、F/A-XXのシステムファミリーにはサイバー戦能力も必要とされるだろうとする。
  9. F/A-XXの開発の前にロッキード・マーティンF-35CおよびUCLASSが艦隊航空部隊で運用される。
  10. 「F/A-18E/F後継機にはF-35CやUCLASSで実現する性能を理解したうえで期待する内容が出てきます」
  11. 海軍は米空軍と密接に連携してF/A-XXの作業を進めている。空軍には独自のF-X計画がありロッキードF-22ラプター後継機を想定している。
  12. 「空軍と一緒に作業中です」とマナジル少将は認め「共用運営した際の性能や連携機能を検討中で機体に盛り込みます」
  13. 空軍用、海軍用の機体は兵装やセンサー装置を共通化するが、機体は異なる可能性がある。協力関係が特に強いのは機体の推進機構で両軍が協力して高性能変動サイクルエンジン技術の開発を進めている。
  14. 「エンジン技術では協力は密で、空軍は長距離を高速飛行する性能を求めるので機体は海軍用とは外観が違います。一方当方も同じ性能が必要ですが、空母運用が前提ですから」
  15. 最終的にF/A-XXがどんな機体になるにせよ、地球上のもっとも強力な敵勢力を打破する性能となるはずである。
  16. 「空母から発進させて敵を圧倒的に上回る性能を戦闘空域内で実現する必要があるのです」とマナジル少将は説明する。

2013年12月27日金曜日

中期防を詳しく海軍協会が紹介しています。


AviationWeekより詳しい内容の日本の防衛力整備に関する記事が米海軍協会ウェブに出てきましたのでご紹介しましょう。こういった話題を米国経由で知るのはちょっと変ですけどね。


Inside Japan’s New Defense Plan

By: Kyle Mizokami
US Naval Institute, Friday, December 20, 2013
JDS Myoko (DDG 175) pulls out of Joint Base Pearl Harbor-Hickam to support Rim of the Pacific (RIMPAC) 2012. US Navy Photo

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日本が今後5ヵ年をにらんだ中期防衛力整備計画Mid Term Defense Plan (MTDP) をまとめ、政策立案者、政治家、国民に日本の防衛政策の優先事項や今後の防衛の方向性を示している。
  1. 今回の中期防は新しく設定された防衛大綱 National Defense Program Guidelinesを意識し、日本周辺の安全保障環境を「いっそう厳しさを増している」と表現している。大綱では情報収集・監視・偵察(ISR)能力の拡充、離島が攻撃を受けた際の即応力、弾道ミサイル防衛、サイバー防衛、自然災害対応に加え、統合作戦運用能力の拡充を求めている。
  2. 中期防には中国との摩擦が大きく影響を与えている。中国が日本領土の一部である尖閣諸島の領有主張を2010年から強めており、中期防では北朝鮮の弾道ミサイル開発にも懸念を示している。
  3. また中期防では日米安保条約を防衛力の基軸と強調し、日米同盟以外にもロシア、インド、オーストラリア、韓国ならびにASEAN諸国との地域内防衛協力体制を進めるべきと提言している。
  4. また国際社会への貢献として軍備管理、武装解除、不拡散でEU、NATO、OSCE他欧州各国との連携もあり、日本独自では平和維持活動を南スーダンやゴラン高原で展開中だ。
  5. 関係悪化は続いているが大綱では中国との関係維持を防衛政策対話や交流により続けるべきとしている。
  6. 日本の防衛予算は1992年からほぼ一定になっており、2002年から12年にかけて実際に減額されている。これが今後5年間で5%増の2,470億ドルになる。同時に自衛隊部隊の再配置で南西部分を重視する形になる。

Japan Maritime Self-Defense Force (JMSDF) Oyashio class submarine, JS Mochishio (SS-600) arrives at Joint Base Pearl Harbor-Hickam. US Navy Photo

  1. 海軍に相当する海上自衛隊 Maritime Self Defense Force (MSDF)は艦船数で大きな伸びは期待できない。そのうちディーゼル推進潜水艦は22隻に増強される。潜水艦建造は一年一隻のペースを守り、隻数を増やすため本来なら退役する予定のおやしおクラスの艦を再整備する。日本ではこれまで就役から18年たった時点で潜水艦を退役させてきたので、艦齢が一番古い艦でも他国の標準ではまだ新しい艦となる。
  2. 海上自衛隊では駆逐艦7隻を調達し、増強する。そのうち2隻はイージス艦だ。駆逐艦の隻数は47隻が54隻になり、イージス艦は8隻になる。護衛部隊の編成も変更になり、追加編成が加わる。
  3. また海上自衛隊が沿海戦闘艦の導入を検討しているとの報道がある。毎日新聞によると小型高速エスコート艦が琉球諸島特に宮古海峡部分での作戦に最適と見られている。単価は582百万ドルとの見積もりがある


An undated photo of a Kawasaki P1

  1. 川崎P-1哨戒機は4機を導入し、合計6機体制とする。P-1は国産開発機でロッキードP-3Cオライオンの後継機と位置づけられている。同機はP-8ポセイドンと同様の形状だが、最大の違いは磁気異常検出用のブームを機体後部に搭載していることだ。P-1は70機の調達が予定されている。
  2. 航空自衛隊は部隊編成の改変とともに新機種の導入が行われる。海外より飛来する航空機への迎撃回数は急激に増加しており、とくに日本海上空および東シナ海上空で多い。対応して機材を南方に展開するだけでなく、支援航空機や地上レーダー部隊もぞ供している。主力戦闘機もわずかながら増強される。.
  3. 空中早期警戒機にはE-767(4機)AWACSおよびE-2Cホークアイ(13機)があるが、AWACSを4機追加調達し、飛行隊も現状の2から3にする。うち一個飛行隊を沖縄に常駐させ、琉球地方と東シナ海方面を警戒する。地上レーダー部隊は計28隊に増加する。


A Mitsubishi F-15J

  1. 同時に南方への戦闘機配備を進める。那覇空港にはF-15J制空戦闘機の二個目の飛行隊が移動してくる。これで同基地に40機が配備される。飛行隊の総数も現状の12が13になり、戦闘機の合計も260機から280機に増える。F-35A共用打撃戦闘機を28機取得し、14機を中期防の対象期間後に調達する。おそらくF-35Bをいずもやひゅうがクラスのヘリコプター搭載艦への導入も次期調達で実現するだろう。
  2. 防衛大綱で情報収集が強調されていることに対応してグローバルホーク無人機を計3機導入する。平成26年度予算では同機導入の研究費が盛りこもれており、一号機は2015年に調達される予定だ。.
  3. 最大の変化が発生するのが陸上自衛隊で、部隊編成が大きく変わる。多らしい陸上自衛隊の姿は即応型師団(3)、即応型旅団(3)、空挺旅団(1)、ヘリコプター旅団(1)、水陸両用旅団(1)になる。
  4. このうち水陸両用旅団は西部方面普通化連隊をもとに編成し、連隊規模の海兵隊として長崎に駐屯させる。同連隊はこれまでも水陸両用戦の実証に投入されており、米軍のアイアンフィストやドーンブリッツ演習にも参加している。
  5. 新設部隊の装備品は米海兵隊に範をとるものだが、海兵隊はこれまでも西部方面隊に各種指導をしてきた経緯がある。同部隊にはAAV-7水陸両用軍用車両52台を米国から購入して投入する。また機動戦闘車両 Maneuver Combat Vehicle (MCV) を新規に導入する。車重26トンの8x8装甲車両で105mm砲を搭載し、新型C-2輸送機で迅速に離島に展開することが可能だ。
  6. またV-22オスプレイ17機を調達して新設部隊は米海兵隊と同様の空中移動力を手に入れる。オスプレイ一号機の調達は2014年4月に開始され、今後5年間は継続されるだろう。
  7. 水陸両用部隊は長崎に駐屯する予定だが、北海道にも小規模の訓練隊が編成されるとの現地報道がある。
  8. 中期防と防衛大綱はそれぞれ日本の防衛政策の変化を体現している。ISR機材、統合運用、水陸両用対応部隊の新設で代表される新機能はこれから長い時間をかけて日本の防衛力でこれまで欠けていた部分を埋めていくもの。また部隊再編やオスプレイ、グローバルホークといった新装備の導入は南方諸島の防衛の基礎を形成するだろう。

この記事の原著者カイル・ミゾカミは国防安全保障関連でアジア特に日本に焦点を当てて執筆中。以下のブログを主宰Japan Security Watch, Asia Security Watch、 War Is Boring
また以下の各誌に寄稿 Medium, The Atlantic.com, Salon, The Japan Times、The Diplomat


2013年12月26日木曜日

米海軍のUCLASS構想は大型化し、ミッションも多様になる方向へ


Navy: UCLASS Will be Stealthy and ‘Tomcat Size’

By: Dave Majumdar and Sam LaGrone
USNI News,Monday, December 23, 2013
X-47B Unmanned Combat Air System (UCAS) demonstrator taxies on the flight deck of the aircraft carrier USS George H.W. Bush (CVN-77) in May 2013. US Navy Photo


米海軍の無人空母運用偵察攻撃機 unmanned carrier launched airborne surveillance and strike (UCLASS) 開発計画はこれまでより機体寸法が大型になり多くの機能を盛り込もうしていると明らかになった。「推力70から80千ポンド級の機体を考えている」とマイク・マナジル少将Rear Adm. Mike Manazir(航空戦力整備責任者)が米海軍協会取材に答えた。「F-14トムキャットぐらいの寸法を想定している」

  1. UCLASS構想の変化は海軍が仕様書を業界に公表するのにあわせて明らかになったものだが、これまでペンタゴン内部で同機の位置づけを巡り意見が分かれていた。
  2. 「コンセプトは何度も変わりました。空母発進の無人ISR機だけでなくもっと多くの機能が盛り込まれています」と同少将は説明。「性能を伸ばして高度のISR機能とともに攻撃機能を、さらにセンサー搭載量を増やすことも考えています」
  3. ロッキード・マーティンボーイングノースロップ・グラマンジェネラルアトミックスの各社がいまやわずかになっている国防総省の新規開発案件の受注を狙っている。
  4. 海軍が現時点で考えているUCLASS構想ではノースロップ・グラマンX-47B無人戦闘航空システム実証機(UCAS-D)の重量44,000-lb.よりずっと大きな機体を想定している。
  5. UCLASS構想では全長 68 ft. 以上の機体も想定しており、ボーイングF/A-18E/F スーパーホーネットより大きい。
  6. その寸法と重量から双発あるいはプラット&ホイットニーF135エンジン(推力28,000 lbs.)の採用を想定しているようだ。
  7. また海軍はUCLASSを空中給油機として使う意向でロッキード・マーティンF-35Cはじめとする戦術機の飛行距離を伸ばすのだという。「燃料20,000 lbs. を搭載し7.5時間の滞空が可能」(マナジル)
  8. またUCLASSに敵領空に侵入させ戦闘識別任務を行わせる構想もある。
  9. ただしUCLASSにはF-35Cに匹敵するステルス性はないとマナジルは言う。
  10. またUCLASSを武装し、F/A-18やF-35Cの無人ウィングマンとする構想もある。AMRAAM(高性能中距離空対空ミサイル)を満載し、指揮命令を与える有人機とペアにするというもの。.
  11. UCLASSに移管するミッションの内容は今後も変化していくだろう。マナジル少将によれば2030年までに海軍はUCLASS運営経験を蓄積して空母航空戦力の一部として無人機をどう運用すべきかを組織として学んでいるはずだという。
  12. 2006年に想定されていたものが国防長官官房により安価かつ対テロ作戦用に空母から運用する構想に切り替わっていたが、今回のマナジル少将の説明は大きくそこから変わっていることを示している。


2013年12月25日水曜日

KC-46原形機完成は2014年早々に


First KC-46 Airframe Rollout Set For Early In 2014

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First

aviationweek.com December 24, 2013

プラット&ホイットニーのエンジンセットが納入され、米空軍向けKC-46試験機となるボーイング767-2Cのロールアウト予定が近づいてきた。
  1. プラット&ホイットニーPW4062エンジン二基がボーイングのエヴァレット工場に納入された。推力は各62,000 lb.でテスト機材に搭載される。なお、同エンジンは商用767、MD-11、747初期型にも使われている。
  2. 767-2Cの飛行開始は来年6月でKC-46としての飛行テストは2015年1月開始予定
  3. ボーイングが総額49億ドルで契約を勝ち取ったのが2011年2月で、18機を2017年までに納入する。その後179機を生産し、老朽化進むKC-135 部隊と交代する。
  4. KC-46は空軍の優先調達三案件のひとつで、残りはF-35と新型長距離爆撃機だ。
  5. ただしKC-46のコストが今後ボーイングにどんな影響を与えるかは不明だ。予定規模で調達した場合の政府試算は56億ドルで、ボーイング社内試算より5億ドル高く、空軍の契約上限から7億ドル高くなっている。固定価格方式契約のため、超過費用はボーイング負担となる。■