軍事航空、ISR、 無人機、サイバー、宇宙、安全保障、最新技術....防衛産業、軍事航空、軍用機、防衛関連宇宙開発等の最新技術動向を海外メディアからご紹介します。民間航空のニュースは「ターミナル1」をご覧ください。航空事故関連はT4へどうぞ。無断転載を禁じます。YouTubeでご利用の際はあらかじめご連絡ください。
2014年7月19日土曜日
マレーシア航空機撃墜事故で当面米海軍艦艇の黒海派遣は予定なし
Navy: No Ship Moves to Black Sea Following Airliner Crash, Plans Could Change
By: Sam LaGrone
Published: July 18, 2014 12:42 PM
Updated: July 18, 2014 12:42 PM
マレーシア航空17便が撃墜されたと見られる中、米海軍はウクライナ近くへ水上艦船を移動させる予定はないと海軍がUSNI Newsへ知らせてきた。
- 誘導ミサイル巡洋艦USSヴェラガルフ(CG-72)が火曜日にボスポラス海峡を通過し、黒海に米海軍艦艇は皆無となっている。
- ただしNATOフリゲート数隻、電子監視船、水雷艇数隻は機雷対策演習の後も黒海に残っている。
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- 海軍によれば誘導ミサイル駆逐艦USSドナルド・クック(DDG-75)がヴェラ・ガルフ付近に航行中という。
- 状況によっては両艦は黒海に派遣される可能性があるという。
- ただし黒海沿岸に領土を有しない諸国は1936年のモントルー条約により黒海内に21日以上軍艦を配置できない。
- NATOと米海軍の艦船はソチ冬季五輪から黒海に交代で派遣んされており、この示威ミッションはさらにロシアがクリミア半島を占拠したことで拡大されている。
- 米情報機関によればマレーシア航空機はウクライナ上空ロシア国境近くで木曜日に撃墜されている。■
米空軍にISR機能特化の第25空軍が発足へ
USAF Announces New Numbered Air Force
Air Force Magazine
—MARC V. SCHANZ7/15/2014
Air Force file photo.
米空軍は7月14日に分散していた情報収集監視偵察機能を統合し、第25空軍を新設すると発表した。正式発足は本年秋になるという。
発表では情報収集監視偵察部門は第25空軍として再編され、航空戦闘司令部Air Combat Command(ACC)隷下に置かれるが、「各戦闘司令官向け支援を改善し、既存の部局を作戦用に再編し、同様のミッションを行う組織を統合し、不要部門を廃止する」一環との説明だ。
これによりACCは戦術、戦域、全国レベルのいずれでもISRの実施が可能となり、「一層効率的になる」とACC司令官マイケル・ホステジ大将Gen. Michael Hostage が7月14日付発表で述べている。ISR要員は単一司令統制構造one-command structure に置かれることは空軍が目指すISRミッションの戦闘部隊での正規化と同様に重要な位置づけ。
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ISR部門を統括しているジャック・シャナハン少将Maj. Gen. Jack Shanahan,が第25空軍司令官に就任する。現在の空軍ISR局に所属する組織の大部分が新設空軍の一部となるが、国家航空宇宙情報センター National Air and Space Intelligence Center (ライトパターソン空軍基地内)は空軍幕僚部直属のまま変更なしと説明されている。新設空軍の司令部はラックランド共用基地(テキサス州)に置かれる。
2014年7月18日金曜日
ファーンボロショー:低コスト新型攻撃・ISR機スコーピオンは時間かけて熟成していくのか
ファーンボロでテキストロンが自社開発したスコーピオン攻撃・偵察機が展示されているようです。Aviation WeekのAresブログでその内容が紹介されていますが、なかなかよくできた機体のようです。今後要注意の機体になるかもしれません。
Sting In The Tail
テキストロン・エアランド Textron Airland のスコーピオンを初めて写真で見ての印象は芳しくなかった。タンデムコックピット、傾斜つき尾翼2枚、細い直線主翼はまるでセスナ・サイテーションがスーパーホーネットのコスチュームをかぶったようだったハロウィーンのようだった。
- 同機はふたつの機種の中間に埋没するのではと思った。軽攻撃機AT-6やトゥカーノに比べて生存可能性がすば抜けて高いとはいえず、偵察用では特殊任務用キングエアと同じセンサーを搭載するが機体価格・運用費用は高くなり、後席の兵装システム運用員は相当忙しくなるはずだ。
- ファーンボロ訪問前にテキストロン・エアランド社長ビル・アンダーソンBill Anderson と設計主任デイル・タット Dale Tuttと話す機会を作った。スコーピオンは以下の点を考慮して生まれた機体だ。スリップストリームが迎角が大きい時に尾翼を覆う問題から胴体は幅広とし、二枚の尾翼は合計重量が一枚構造より軽量にしてある。
- スコーピオンは決して小型機ではない。最大離陸重量が21,250 lb.(約9.6トン)で機体寸法はアレニア・アエルマッキM-346あるいはセスナ・サイテーション・エクセルと同程度、9,300 ポンド(約4.2トン)を搭載でき、地上高も確保している。ジェット機なので速度と高度飛行能力はAT-6やキングエアの比ではないとアンダーソンは指摘する。
- キングエアやAT-6もテキストロン製品だが、スコーピオンは競合しないという。まずスコーピオンの機体価格は目標が20百万ドルで飛行時間コストは3,000ドルである。現在は戦闘機を投入しているすき間的ミッションがあるが、高価な費用を投入した空対空戦闘能力や生存力はまったく使う余地がないままになっている。
- テキストロン・エアランドでは「軽攻撃」という呼称は避けている。アンダーソンによればミッションはあくまでも情報収集監視偵察(ISR)および攻撃となる。むしろ「従来とは異なるISR」“non-traditional ISR” だとし、イラクやアフガニスタンで戦闘機が投入されていたミッションだという。「帰国したA-10パイロットに聞いてみた。被弾したか。なし。兵装を投下したか。95%のケースでなし、だった」とアンダーソンは言う。「A-10やF-16を投入すれば、一時間1万8千ドルかけて、高性能機の寿命を浪費するだけだ」
- アンダーソンはミッション例を列挙する。いわく、麻薬密輸対策、武装偵察、国境警備。搭載センサーが新型であり以上のミッションを高度15千フィートから実施できるので、通常の対空火砲から安全に飛行できる。スコーピオンは被弾しても耐えられるが、そもそも強固な防空体制に侵入する設計ではない。
- 機体は容積82cu ft.(約2,300リットル)の冷房・電源装備の兵装庫を中心に設計している。広胴型の機体は断面積は洋ナシ型で兵装庫の両側に竜骨が通り、下方の機体表面は自由に変更できる構造だ。兵装庫の扉が同機のISR-攻撃ミッションのカギとなり、大型特殊センサーを搭載可能で樹海透視型レーダーや広範囲監視システムが搭載できる。コックピットではタレス製低価格ヘルメット搭載型ディスプレイを採用し、このディスプレイもスコーピオンと呼称される。
- 胴体中央部はビーバーの尻尾のようにエンジンナセルの間で先細くなっている。空気取り入れ部のタクトは十分長くとってあり、異物の混入から守り、ジェット噴射口も長いため赤外線探知をしにくくしている。降着装置は全長を長くとってあり、兵装庫の搭載物入れ替えに便利だ。主翼には差左右各3か所にパイロンがあるが、不都合なほど高い位置にはならない。生産型の機体には空中給油装置もつけられる。
- タンデム構造のコックピットは国際市場で並列型より人気が高いとアンダーソンは言うが、タットからここにスコーピオンのもう一つの特長があると説明があった。コックピットがモジュラー構造になっており、タンデム式を単座に簡単に変えることができ、将来は無人型にもなる。その際は主翼を延長し、エンジンは小型化できるという。それとは別に量産型機体には尾部にスピードブレーキがつくが、かわりにアンテナを増設することを希望する顧客もあるだろう。
- 大きなフラップにより短距離離着陸が可能だ。スコーピオンは2,000フィート(約600メートル)あれば不完全な滑走路でも最大離陸重量で運用可能だ。飛行制御系はサイテーションXと似ており、二重油圧系とサーボタブを使った手動復帰がある。全体としてシステム設計はサイテーションと「99パーセント」同じだという。専用の地上支援設備は不要で、機内に酸素発生装置を搭載し、機体左側に搭乗用はしごも折りたたんで搭載している。
- 賢明にもアンダーソンは同機の販売予定を期日を未設定のままとしている。「初期段階ですでに照会があり、順調に進んでいる」とし、来年のパリ航空ショーまでにどこまで具体化するか関心あるところだ。■
2014年7月17日木曜日
黒海から米巡洋艦退去 NATO艦艇は引き続き残留
U.S. Cruiser Leaves Black Sea, Several NATO Ships Remain
By: Sam LaGrone
Published: July 15, 2014 3:00 PM
Updated: July 15, 2014 3:00 PM
USS Vella Gulf (CG 72) transits the Aegean Sea on July, 6 2014. US Navy Photo
米海軍の誘導ミサイル巡洋艦一隻が黒海から15日退去したが、NATO所属艦船数隻はひきつづき残りロシアへの示威任務についている。
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- USSヴェラガルフ(CG-72)がブルガリア主導の海軍演習のあと、黒海から出たと海軍関係者がUSNI Newsに16日伝えている。
- 同艦が黒海から出たことで米国籍艦船は黒海に皆無となったが、NATO加盟国艦船は3月から増えている。
- 7月9日現在でNATO艦船は合計9隻が黒海内に展開しているとロシア国営通信RIAノーボスティが伝えている。.
- その構成はイタリアのフリゲートITSアヴィエル(F583),同じくイタリアの掃海艇ITSリミニ(M 5561)、トルコの掃海艇TCGアクチャイ(M270)、英海軍掃海艇HMSチディングフォールド(M37)を含む。.
- その他フランスのラファイエット級フリゲート・スルクフ(F711)、同じく情報収集艦デュピュイ・ド・ローム(A759)、イタリアの情報収集艦ITSエレットラ(A5340)も黒海内に残る。
- 黒海に自国沿岸を有しない各国籍の艦艇は1936年のモントルー条約の通航制度に従うことになり、黒海から21日以内に退去することになる。■
F-35 ファーンボロ航空ショー展示も断念 当面国際デビュー予定なし
F-35 Lightning II Will Not Strike At Farnborough
ペンタゴンからF-35は結局ファーンボロ航空ショーに出展しないとの発表が出た。
- 6月23日に発生したF-35A離陸前のエンジン出火事故をうけ全機が飛行停止になっていた。この事故がなければ事故の数日後に4機のF-35Bが大西洋横断飛行に出発するはずだった。
- エンジンメーカーのプラット&ホイットニーにとって出展中止は不名誉な結果になった。なお、ボンバルディアのCシリーズもプラット製エンジンからのオイル漏れのため飛行展示を取りやめている。
- 事故機意外に運用中98機のエンジンを調べたところ、事故機とおなじ不良現象は見つかっていないと判明、とF-35開発室長のクリストファー・ボグデン中将が発表している。
- ペンタゴンを代表しジョン・カービー海軍少将から7月15日遅くに「英国と協議の上、ファーンボロショーへの海兵隊および英軍F-35Bの派遣を取りやめることにした」と報道陣に明らかにした。
- この発表はファーンボロ会場では午後7時に明らかになったが、その時点で来場者は退去していた。会場では空軍長官デボラ・リー・ジェイムズDebora Lee Jamesはじめカービー提督などが相次いで同機の飛行展示が可能となる希望を表明していた。ジェイムズ長官はU.S.パビリオンで「飛行の可能性は高くなってきた」とまで語っていた。
- 会場では飛来するとの知らせに高揚したムードが一転して失望に変わった。
- 米軍の耐空証明認証機関が同機の飛行再開を許す一方、英国の航空当局はリスクを嫌うことで知られており今回の飛行展示を避けようとしていたが、両国協議の上で決定されたとの発表があった。
- 「ライトニングIIの飛行再開はうれしいが、英国に飛来できないことは残念」と英国防省報道官は発言している。「ただし、パイロットと機体の安全が常に優先事項であり、限定つき飛行再開のため大西洋横断飛行を実施しないという決定を完全に支持する。F-35開発に引き続き関与していき、英国仕様の機体が初期作戦能力を2018年に獲得できるよう努力していく」 なお、F-35開発では英国は第一級共同開発のステータスを有する唯一の存在である。
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- 海軍・空軍から同機の飛行再開を条件付きで認める措置が7月14日に発表されたが、具体的には性能のどこを制限するのかは明らかにされていない。ただし情報筋によれば調査継続中はgの制限となるらしい。
- またエグリン基地で発火した機体を全損扱いにするのかも不明だ。F-35の直近の目標単価は98百万ドルである。
- 「今回の決定は残念だが、開発配備はしっかり進めていくので、再度同機の性能を同盟各国、協力各国にお見せできる機会が生まれることを期待している」とカービー少将が述べた。
- 来年はパリ航空ショーがあるが、同機をフランス国内に持ち込むことには米関係者が消極的でもあり、他国を拠点にしない限りパリでの展示飛行は実現しそうにない。■
軍用輸送機でアメリカ製独占は終わったのか。欧州勢がんばる
Europe Leaving U.S. In Military Transport Dust
European airframers gain ground as airlifter market shifts to newer models
Sales Swing
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ヨーロッパの軍用輸送機メーカー各社の輸出が好調で世界シェアも上がってきた。
- このうちエアバス・ディフェンスアンドスペース Airbus Defense and Space によると2014年上半期の中型輸送機市場で受注の大部分は同社が獲得したという。ロッキード・マーティンC-130Jハーキュリーズ含む既存機種の受注が失速しているのは各国政府がA400Mに関心を示しているためとし、マレーシア(2005年)以降成約がない同機の輸出に期待している。
- そこで同社は輸出仕様を開発しており、「ITAR(武器国際取引規則)に準拠」とし、通信機材から暗号化機能を取り外し、同様に精密な軍用GPS航法も省いている。
- エアバスはA400M生産のピッチを上げており、今年は11機引き渡す予定だ。
- エアバスはC295受注も2014年だけで20機確定しており、新型C295W(ウィングレット付き)の型式証明確保に向け作業中だ。W型は航続距離が9%伸び、4トン搭載で2,500 nmになり燃料消費も6.5%改善される。
- 中型輸送機の需要がのびる背景に各国が多用途能力を求める動きがあり、オマーンはC295の海洋監視型を発注し、ヨルダンではC295をガンシップに改装する案がある。イタリアではC-27JをMC-27J情報収集監視偵察機材に改装する。またガンシップ改装案もある。
- 今年はC-27Jにまだ受注がないが、メーカーのアレニア・アエルマッキAlenia Aermacchi はペルー、オーストラリア向けに生産をしており、今年は米特殊作戦軍団と沿岸警備隊向けに各納入する。.
- ロッキード・マーティンのC-130J受注が伸び悩んでいる。韓国やイスラエル向けの引き渡しがあったものの、新規受注は低調だが、同社は悠然としている。一定のシェアがあり、受注残も相当残っている。
- ただし同社は民間向けの機体改造で型式証明を狙い、LM-100JとしてL-100を導入済みの買い替え需要に期待している。
- ボーイングはC-17グローブマスターの生産を終了させようとしている。うち12機は買い取り先が未定だが、インドが発注済み10機の上乗せとして6機を、サウジアラビアも買い増しを表明している。10機のC-17 にFAA機体登録をしており、今後の販売をにらんでいる。
- エンブラエルはKC-390試作機を組み立て中で、ブラジル軍から28機受注をうけたところだ。同機は 旧型C-130の後継機種となる。KC-390の初飛行は2015年末の予定で、ブラジル空軍での供用開始は2016年となる。エンブラエルには合計32機のの導入意思表示がアルゼンチン、チリ、コロンビア、チェコ共和国、ボルトガルから寄せられている。■
.コメント なるほど米国製の大型機よりも小型機を各用途に合わせ改装し運用するのは国防予算が厳しい各国の事情があるのでしょうね。その中でC-2の開発にてこずる日本は特異な存在なのでしょうか。C-1に政治的な制約から性能をあえて犠牲にした反動がC-2なのでしょうが、開発がここまで手こずるとは想定外なのでしょうね。C-1の後継機でSTOLかつ省燃費の機体があったら意外に各国の関心を呼んでいたのでは。ところで、米海軍のC-2と自衛隊のC-2は今後どう区別していくのでしょうか。興味深いところですね。
2014年7月16日水曜日
F-35限定つき飛行停止解除へ ファーンボロ行きは未定のまま
F-35 Cleared To Fly, But Not To Farnborough Yet
米空軍、海軍の耐空証明認証機関がそれぞれF-35に制限付き飛行停止措置を解除したが、ファーンボロ航空ショーでの同機の展示は依然微妙なまま。ショーは7月20日に閉幕する。ペンタゴン関係者はF-35B4機による大西洋横断の実施に希望をつないでいる。
- 飛行禁止措置の解除で「エンジン点検と制限付き飛行」が可能となったとジョン・カービー海軍少将 Rear Adm. John Kirbyが発表。制限付き飛行許可は「根本原因が解明されるまで」継続される。
- 6月23日にF-35A搭載のプラット&ホイットニー製F135エンジンが発火したのは統合ブレイドローター(IBR)で第三段目のファンが過剰摩擦したためと判明した。ただし、プラット&ホイットニー社、F-35開発室のいずれも飛行制限の内容について情報開示をしていない。
- 一方でペンタゴンの調達トップが7月14日に今回の事故の根本原因は各機共通の問題ではないと断言している。
- 三段構造のIBRはF135の前方ファンの後方に位置し、高圧コア部分に送る空気を圧縮するのが役目。各段は固定子で分離され、ケーシング内部で回転する。ケーシングは帯状の摩耗物で内貼りされており、ブレイド先端部とコンプレッサーのケーシング内壁のわずかな隙間を維持している。これにより圧力ロスを減らしつつ、隙間の公差を確保し、摩擦が一定程度におさまる設計になっている。
- 事故機AF-27のエンジン内部ではブレイドが設計想定以上に摩擦をおこし、過熱したうえブレイド内部で微細亀裂が発生していた。そのため疲労不良となり、同部分が「バラバラに」なったことで火災につながったとF-35開発室ボグデン中将は発表した。■
2014年7月15日火曜日
F-35のファーンボロ航空ショー出展はまだ微妙なまま
F-35 Misses Farnborough Kickoff
F-35はファーンボロ航空ショーの初日に姿を現すことはなくなったと主催者側から発表があった。
- 主催者側からは米国から出発する許可を軍耐空証明機関から待っている状態であるが、「週末までに飛来できると期待」しているという。
- 飛行停止措置なければF-35は英国で国際デビューをしていたはずだが、HMSクイーン・エリザベス命名式会場上空の飛行(7月4日)、RAFフェアフォード基地でのロイヤルインターナショナルエアタトゥー(7月11日)が中止されている。米海兵隊VMFA-121教育隊のF-35B三機はパタクセントリヴァー(メリーランド州)で大西洋横断飛行の許可を待っているが、英国登録のBK-3はまだエグリン空軍基地(フロリダ州)で待機中でパタクセントリヴァーまでまず移動する必要がある。
- 仮に各機がファーンボロ―に間に合ってもフェアフォード基地から発進しての飛行展示するだけしか想定されていない。
- 「今週の航空ショーに参加できるよう関係者各位が努力していますが、一方でパイロットとともにショー来場者の安全を一切妥協することはできません」とショー関係者が7月13日に報道発表している。■
2014年7月14日月曜日
F-35Aエンジン開催事故の原因はファンブレイドの「摩擦」
ファンブレイドの異常な摩擦とは一体?かえって謎が深まるような事故原因についてのコメントがペンタゴン高官から出ています。
Kendall: Fan-Blade Rubbing Cause of F-35 Fire
Jul. 13, 2014 - 05:25PM |
By AARON MEHTA
An F-35A flies a flight test at sunset at Edwards Air Force Base, California. (Lockheed Martin)
6月23日に発生したF-35A火災事故の原因が判明してきたが、調査陣はそもそもなぜ発生したのかを引き続き調査中。
火災原因はF135エンジン内部のファンブレイド部の「過剰な」摩擦だとフランク・ケンドール国防次官補(調達)がロンドンで記者団に語っている。
ケンドールはファーンボロ国際航空ショーの公開の場でより詳細な発表を14日月曜日に行うとみられる。
ただし今回が一回きりの事象なのか、全機で発生しうる問題なのかがわからない。全機共通の不良ではないとの見方もあるが、調査は引き続き行われている。
火災発生の機体はF-35A(AF-27)で、これが契機にF-35全機が飛行停止措置を受けている。その結果、ロイヤルインタナショナルエアタトゥーでの国際デビューも流れてしまった。
地上待機が続く中ファーンボロでの機体展示も危うくなっており、最終的には月曜日に主催者側が判断する。
ブラットアンドホイットニー製F135エンジンでファン関連の事故はこれが二件目だが、前回はエンジンの別の場所で発生しており、二件の関連は少ない。■
2014年7月13日日曜日
逆転 G・ワシントンの核燃料再補給実施の見込み、同艦の保持へ
Stackley: Navy Plans to Refuel Carrier George Washington
By: Sam LaGrone
Published: July 10, 2014 6:06 PM
Updated: July 10, 2014 9:06 PM
An E/A-18G Growler from the Scorpions of Electronic Attack Squadron (VAQ) 132 flies by the Nimitz-class aircraft carrier USS George Washington (CVN-73).
米海軍の建艦最高責任者が議会に対して海軍は70億ドルの予算を組みなおし原子力空母USSジョージ・ワシントン(CVN-73)の燃料交換を実施し同艦を維持する予定と述べた。同空母の運命は軍事予算環境が厳しい中で今年初めから議論の的となっていた。
- 「70億ドルを確保して核燃料交換を実施し、同艦の航空隊、兵員、支援体制を維持します」と海軍次官補(研究開発調達)ショーン・スタッキーSean Stackley, Assistant Secretary of the Navy for Research, Development & Acquisition (RDA)が下院軍事員会のシーパワー・兵力投射小委員会の聴聞会で7月10日に発言している。
- 「2014年度先行調達予算の残高を発表しており、引き続き熟練作業員を造船の現場で確保する一方、議会が2016年度の強制予算削減をどう取り扱うのかを待っているところでですが、その間に他の事業が圧迫されてきます」
- 今回の動きはそもそも海軍がジョージ・ワシントンの燃料交換を2015年度予算に計上しなかったことに対し、議会内の委員会三つが予算計上を求める意見を上申してきたことへの対応だ。
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- 国防総省も同艦を保持しようとしつつ、燃料交換および大規模修繕refueling and complex overhaul (RCOH)要に2016年度に40億ドルを議会が承認するかは不確定だと一貫して表明していた。議会が2011年予算管理法を根拠とする強制削減による予算制限を解除するとは思えないとしていた。
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- これに対し国防長官チャック・ヘイゲルは2月に強制削減が解除されない限り、ジョージ・ワシントンおよび空母航空隊は現役艦艇から外されると発言していた。
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- 「海軍は米太平洋軍司令官の言葉を借りれば悲惨な結果を生みかねなず、米国の安全保障を危うくしようとしている」と小委員会議長ランディー・フォーブス議員(共、ヴァージニア)はUSNI News充てに書面で意見を表明している。
- 「合衆国が世界を支配できる海軍力を主力艦たる空母を解体しても維持できると信じるのは妄想である」、
- スタックリー次官補はヘイゲル長官の2月発言を受け議会からは海軍にRCOHを2016年度予算の一部として実施を許す動きがみられると言っていた。16年度予算要求は現在海軍が編成中である。
- 「この件に関し前に進め予算配分し、造船所と予定を詰めるべき段階に来ていると考える」とスタッキー次官補はUSNI News取材に答えている。
- 「2016年度予算案編成中では議会が予算管理法および強制削減に手を付ける予測で予算を作っているが、議会が実際に行動するのを待ってから予算を編成する余裕がないのが現状」
- 議会と国防総省の間で国防予算を巡る駆け引きの中で、ペンタゴンは同艦の燃料交換をしないと脅かしたのが最大の効果を上げている。
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- 海軍は2014年度にRCOHの先行調達分として243百万ドルを計上していた。直近の2015年度予算要求でも796百万ドルが長納期対象費目に796百万ドルを計上していた。
- RCOHを工期四年間で請け負うハンティントン・インガルス工業 Huntington Ingalls Industriesは今回の発言を慎重に受け止めつつ楽観視している。
- 「RCOH予算によい動きが出てきましたが、非常に複雑な工程なので引き続き状況を注視していきます」と同社はUSNI News充てに書面で回答している。■
2014年7月12日土曜日
イラク軍はISILに勝てるのか---勝てないとイラクはどうなるのか
What if Iraqi Military Can't Defeat ISIL?
Jul. 9, 2014 - 03:45AM |
By JOHN T. BENNETT | Comments
.カール・レヴィン上院議員によればイラク陸軍の能力評価が米国の取る最初の一歩でその後に追加行動を選択すべきだという。 (Mark Wilson / Getty Images)
合衆国にとって最悪のシナリオはこうだ。イラクの各民族が統合政権の樹立に失敗(あるいは放棄)、軍が崩壊する。
- ある上院議員はCongressWatchにほとんどの関係者はその可能性を「排除」していると告げた。ただし専門家はその可能性はあると言っている。
- 米軍上層部は「評価チーム」をイラクに送り、バラク・オバマ大統領と政府上層部に状況を正確に理解させようとしている。
- 政権内部と議員は派遣計6チームから解体状態のイラク軍の状況、軍再建の必要条件を聞こうと待ち受けている。
- ホワイトハウス関係者、議員、専門家からはイラク・レヴァント・イスラム国家 (ISIL)が占拠した地点を奪回するには二つ条件があるという。ISILはこの数週間でイラク西部北部各地を占拠している。
- 一つがイラク軍がISILの戦闘部隊を打破すること。ISILはイラク可国内で米軍部隊と、またシリア内線でも戦闘経験が豊かだ。
- もう一つは政治枠組みを変え、マリキ首相とシーア派優遇をあらため、残る主要民族集団スンニ派とクルド族への締め付けを改めることだ。
- 上院軍事委員会委員長カール・レヴィン議員(民、ミシガン)に記者団が8日にイラク派遣部隊を300人から780人に引き上げている米国はこれから大規模なイラク派兵に向かうのかと言う質問を浴びている。
- レヴィン委員長はこの問題に直接答えず、まずペンタゴンによるイラク軍事情勢評価結果を見てみたいと答えている。「今この段階で必要なのはイラク陸軍の戦闘能力を正しく評価すること」
- 米国の軍事評価は「イラク国内に団結して共通の敵とたたく意思があるのか」との問いへの答えとなるだろう。
- 「イラク軍がISILの動きを止める力があるのかどうかの評価が出るまで、下手に動くわけにいかない」
- では評価結果でイラク軍再建が無理でISILを打ち破り国境の外まで追い返す能力がないと判定されたらどうなるのか。
- 「その場合、政治指導者がイラクで共同戦線を張り、政権基盤を強くし、これまで同国政府がしてこなかったことをするかどうか、つまりスンニ派をもっと巻き込んで国を政治的に統一出来るかどうか、と言う点だな」(レヴィン)
- CongressWatchはレヴィン議員に米国の見直しにイラク軍がまだその任務ができる状態でなく、スンニ、シーア、クルド間の政治再建にも失敗した場合どうなるのかを尋ねてみた。「みんなその可能性は最初から除外しているよ」
- だが真の意味の挙国一致政権がイラクで生まれるかは微妙だ。カーネギー平和財団のマーワン・ムアシャーMarwan Muasher からイラクでそんな形の政権を作ること、社会を変えることには「苦痛が伴い、スピードは遅い」ものになると警鐘を鳴らしている。「イラク情勢は好転するよりも悪化する可能性が高いが、最終的には排他主義的政策ではちゃんとした社会を構築できません」
- ブルッキングス研究所のマイケル・オハントンMichael O’Hanlon 、ジョンズホプキンス大のエドワード・ジョセフ Edward Joseph はもう一歩先を行き、イラクを三つの自治区に分割しそれぞれの出身民族別にする構想を提唱している。そのいわんとする点は全民族を統合する政権は成立しえないという点だ。
- この二人は社説欄に共同投稿し、「連邦制でも機能しないだろう。合衆国と欧州がイラクで目指しているのはイラクの弱体化でもなければ分割した姿でもないが、そのどちらにでも結果を受け入れることは可能だ。それよりも大事な目標はISIL打倒である」
- イラク陸軍が問題だ。ISILの6月進攻ではたびたび武器を放棄し、戦線を離れている。
- 国際戦略研究所による直近の報告書ではイラク軍への期待は見られないと総括している。「イラク軍は引き続き兵站、情報収集能力を欠いている。政治が指揮命令系統に介入し、指揮官の職位が売買されているほか内部汚職が多数見られる。米軍から委譲受けた施設やシステムの維持ができておらず、他にも問題が多数ある状態だ」としている。■
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