2014年10月18日土曜日

対ISIS作戦名称は「不滅の意思」



勢いが止まらないISISですが、地上ではイラク保安隊が無様な様子を示し、頼みの綱は勇猛果敢なクルド人生力だけということでしょうか。作戦名称がやっと決まったのももともとやりたくなかった作戦だからでしょうね。ISIS封じ込めには戦略の仕切り直しが必要なようですね。報道では『不動の決意』としているようですね。ちょっと訳が難しいと思います。

Campaign Against Islamic State Named 'Operation Inherent Resolve'

Oct. 15, 2014 - 02:11PM   |  
By JEFF SCHOGOL   |   Comments

イスラム国との戦闘に作戦名称がついた。「不滅の意思」作戦“Operation Inherent Resolve”である。
  1. 統合参謀本部の発表はイラクその後シリアのイスラム国勢力を標的にした作戦開始から10週間後となった。
  2. ウォールストリートジャーナルは10月3日付で米軍上層部は一度「不滅の意思」の名称を却下したと報道。語感が平凡だったと軍関係者が漏らしていた。
  3. 中央軍によれば名称は「合衆国および同盟各国による断固とした決意および深い責任感が同地域と全世界に対してあり、テロリスト集団ISILがイラク、同地域さらに広く国際社会にもたらす脅威を撲滅する目的を示す。同時に有志連合国が地域内友好国と密接に行動し、すべての国家の持つ外交・情報・軍事力でISILを最終的に除去する意思と献身ぶりを象徴する名称でもある」
  4. 15日午前現在で米国主導の連合軍は空爆510回を実施しており、このうち294回がイラク、216回はシリア向けだったことが国防総省報道官エリッサ・スミス海軍中佐から発表されている。このうち米国の実施は445回でイラク274回、シリア171回だった。
  5. 最近の米国による航空攻撃はトルコ国境に近いシリアのクルド人居住地コバニ Kobani に集中しており、クルド人民防衛隊がイスラム国の蛮行から防御しようと奮闘中である。米関係者はコバニ陥落の可能性を警告しており、B-1爆撃機まで投入してコバニ近郊の陣地を攻撃している。
  6. ただし爆弾投下、巡航ミサイル発射でもイスラム国がイラク西部アンバー地方を引き続き支配している事実にかわりなく、バグダッド近くまで侵攻しようとするのを食い止められない。
  7. それでも退役空軍将官チャールズ・ウォルド Charles Wald にいわせれば空爆作戦は効果があり今後も継続すべきという。
  8. ウォルドは空爆作戦でイスラム国を寸断し攻撃力を弱めるには時間が必要であると発言している。ウォルドは不朽の自由作戦でアフガニスタンの航空作戦を統括した経験がある。
  9. 特殊作戦部隊を展開し空爆と連携させる以外の地上兵力の投入にウォルドは反対の姿勢だ。
  10. 「地上兵力投入が必要と言う主張が完全に間違っている。boots on the ground とは「体制変更のための作戦を展開には地面が必要だ」と言っているのと同じだ。まず、対象となる体制が存在しない。二番目に戦う相手の法的な実態が存在しない。
  11. 三番目に地上部隊が必要となっても陸軍の通常部隊である必要はない。JFACs(Joint Forward Air Controllers統合前線航空管制官)であったりJTACs(Joint Terminal Attack Controllers統合最終攻撃地点統制官)でいい。所属は陸軍でも特殊兵科でも、空軍でもCIAでもよい。何らかの措置で現地で生き残る必要はあるでしょう」■


2014年10月17日金曜日

E-2D新型ホークアイがIOC獲得


海軍が進めるNIFC-CA構想で大きく期待されるE-2Dが初期作戦能力を獲得したというニュースです。機体スペースがない同機にさらに空中給油までやらせるのはいかがなものでしょうかね。(ポッドでするんでしょうが) 

Navy Declares IOC For E-2D Advanced Hawkeye

By: Dave Majumdar
Published: October 16, 2014 3:30 PM
Updated: October 16, 2014 3:30 PM
An E-2D Hawkeye assigned to the Tiger Tails of Carrier Airborne Early Warning Squadron (VAW) 125 launches off the flight deck of the aircraft carrier USS Theodore Roosevelt (CVN-71). US Navy Photo
艦載空中早期警戒飛行帯VAW-125のE-2Dホークアイが セオドア・ロウズベルト USS Theodore Roosevelt (CVN-71)から発進しようとしている。US Navy Photo

NAVAL STATION NORFOLK — 米海軍はノースロップ・グラマンE-2D発展型ホークアイが初期作戦能力(IOC)を獲得したと発表。最初の飛行隊は空母早期警戒機飛行隊VAW-125でノーフォーク海軍基地(ヴァージニア州)で運用する。
  1. 今回のIOCでUSSセオドア・ロウズベルト(CVN-71)が再就役(2015年)する時点で海軍は5機種を運用することになる。.
  2. 海軍にはすでに15機のE-2Dが納入されており、今後も断続的に引き渡しがある。50機が発注済みで、最終的に75機を導入すると2027年になり、その時点でE-2Cは全機退役している。.
  3. E-2Dの位置づけは重要で、構築中の海軍統合火器管制対空対抗手段Naval Integrated Fire Control-Counter Air (NIFC-CA) でネット接続の中心となる。セオドア・ロウズベルト空母打撃群はNIFC-CA運用可能となる。
  4. 今年早々に海軍はNIFC-CA機能の実証としてロッキード・マーティンAPY-9UHFレーダーでLink-16と協調交戦能力Cooperative Engagement Capability (CEC) のデータリンクでボーイングF/A-18とイージス艦に目標情報を流し、レイセオン製スタンダードSM-6艦対空ミサイルを発射させている。
  5. 将来はE-2Dに戦術標的ネットワーク技術 Tactical Targeting Network Technologies (TTNT) によるデータリンクを搭載し、帯域と有効距離を大幅に拡大する。来年にも新型データリンクをE-2Dに搭載するとレモン大佐は言う。
  6. 他方でホークアイに空中給油能力を付与する作業も進行中だ。レモン大佐によれば給油能力が加わるのは2020年になるという。■

2014年10月15日水曜日

オーストラリアOTHレーダーの性能改修が完了 マレーシア航空370便は探知していたのか




Australia’s Jindalee Radar System Gets Performance Boost

Sep 22, 2014
Bradley Perrett | Aviation Week & Space Technology
人口23百万人のオーストラリアは国防装備の整備で慎重になる。資金不足、専門人材の手薄さが避けて通れないからだ。
  1. そのオーストラリアが数十年にわたり取り組んできたのがジンダリーJindalee超水平線レーダーシステムだ。
  2. 大幅改修がこのたび完成した。アウトバック奥地に巨大なアンテナ群が3つあり、高周波無線ビームを電離層に放射し、3,000 km 先を監視する。改修で動作速度、感度、精密度が上がり、オーストラリア空軍(RAAF)の指揮統制システムに組み込んだ
  3. さらに2015年の再改修の準備が進み、RAAFは2040年ごろまで利用する。
  4. オーストラリアはジンダリーの多くを明らかにせず、作動原理の以上の情報は出てこない。しかしAviation Weekの取材に国防資材機構Defense Material Organization (DMO) は今回の改修内容および次の目標を語ってくれが、依然として性能は数値で明らかにしていない。
  5. 直近の改修は第五段階で、国防相デイビッド・ジョンストンが5月28日に目標性能を達成と発表した。実は目標水準は昨年末に達成とDMOのマイク・ウォーキントン准将 Air Commo. Mike Walkingtonは述べた。
  6. 完成は予定より2年遅れたがほぼ全部が予算内で実現できたとウィルキントンは言う。実施主体はロッキード・マーティンBAEシステムズのオーストラリア事業体で、国防科学技術機構 Defense Science & Technology Organizationが支援した。予算規模は非公表。
 
オーストラリアはジンダレーレーダーを三か所、各奥地に配備している。昨年完了した改修工事でレーダー有効範囲は変わっていないとされるが、実際の距離は相当拡大しているだろう。Credit: Australian Defense Ministry
  1. これにより西オーストラリアにあるラヴァートン Lavertonおよびクイーンズランド州ロングリーチ Longreachの各レーダー施設が国内中央部アリススプリングス Alice Springsと同じ性能水準になった。
  2. 第五段階は高速電子装置を多用し、アレイはこれまでより多くデータを集め、アデレイド近郊のRAAFエディンバラ空軍基地(オーストラリア南部)に送信し、同基地から各レーダーを操作する。基地との間の帯域幅は大幅に拡大された。
  3. エディンバラで生情報からトラックデータを抽出し、ニューカッスル(ニューサウルウェールズ州)のRAAFウィリアムタウン空軍基地に送信する。同基地でボーイングの指揮統制システム、ヴィジレアVigilareにデータを送り、戦術航空情報に統合する。ジンダレーは以前からヴィジレアに接続されているが、統合度が向上したとウォーキントンは述べる。
  4. 感度を上げたジンダレーはノイズと目標を仕分けて、大きさで分類する。位置も割り出し、速度と方位が従来より正確に把握できるらしい。
  5. 国防省はジェット練習機または300トンクラス哨戒艇まで探知可能としているが、実際の性能はこれ以上かもしれない。
  6. センサーはドップラー効果で目標探知するが、電離層の予測不可能な変動により、ビーム反射が不鮮明・不安定になるとはいえ、有効距離は相当大きい。数千キロメートルの距離で反射するエネルギーは極小だが、アレイを巨大にして対応する。アリススプリングスの送信用アレイは全長2.8km。
ジンダレーレーダー施設の設置場所と有効範囲

  1. 第五段階で大きく変化したのは処理速度。ジンダレーのような大型レーダーは見通し線を走査するのではなく、タイルと呼ぶ区画を観察する。改修が完了した三基のジンダレー施設は「短時間で今までより大きなタイルを見ることができる」とウォーキントンは語る。ただし、各タイルの処理時間は明らかにしていない。第五段階でデジタル化が進んだが、完全デジタル化ではないとウォーキントンは述べる。アナログ・デジタル変換は瞬時ではなく、アンテナがフェイズドアレーとなり、ビームを包囲核に電子操作してタイル一枚ずつレーダー観察するようだ。二枚以上のタイルを同時に観察できるかという質問に、ウォーキントンは「レーダーは三基ある」とだけ答えた。
  2. ウォーキントンが性能で口にしたのは有効範囲が最低で1,000 km、最高3,000 kmだけだ。この数字は国防省、RAAFが前から発表している。オーストラリアの国防専門家は電離層の状態が良好なら有効範囲は伸びると見る。
  3. 第五段階で感度・精度の向上範囲が相当大きい証拠がある。ひとつ、国防省は次期改良に大きな期待をしていない。ウォーキントンは「探知精度を向上していくべく電離層の状態は常に把握していく」と言っており、ここにデータ抽出の鍵がありそうだ。
  4. もうひとつ、感度が向上したが運営費用は下がっているらしい。各レーダーは従来より低出力で作動し、今後10年の節減効果は100百万オーストラリアドル(93百万ドル)と見込まれる。第五段階で高周波数増幅器は更新されていない。当初の出力で十分ということだ。.
  5. RAAFはジンダレーを常時作動させていない。コスト以外に平時に連続運転の必要がないためだ。しかし低出力運転が可能となり運転時間を延長する可能性が出てきた。.
  6. マレーシア航空370便が行方不明になった直後に、Aviation Week はジンダレーが同機を追尾したか照会している。可能性は低いとわかっていた、夜間の電離層反射は弱くなり超水平線レーダーの効力が落ちるからだが、問題の777機がジンダレーレーダーのタイルの中を飛行していたらと考えたのだ。国防省からは情報は全部マレーシアに渡したと回答があったが、超水平線レーダー施設への言及はなかった。
  7. 第五段階改修は予定より遅れ2003年にジンダレーが稼働状態に入ってから実施された。
  8. ジンダレーの大きな利点はオーストラリアが動員する航空機、艦船を最小限に抑える効果、とオーストラリア戦略政策研究所のアンドリュー・デイヴィスAndrew Davies of the Australian Strategic Policy Institute.は語る。システムからのデータはそのままでは不正確だが、その他の監視システム、ボーイングのウェッジテイル早期警戒レーダー機やロッキードP-3オライオンを使う。また同盟各国のデータも利用できるはずだ。
  9. 答えが期待できない質問にジンダレーで戦闘機を目標へ正確に誘導できるのかというものがある。開発が開始された24年前だったら不可能だと思われていたことが米空軍の発表からうかがわれる。.
  10. 超水平線レーダーの利点はステルス機の探知だ。英王立合同軍組織研究所Royal United Services Instituteのロシア人研究員イゴール・スチャジンIgor Sutyaginは超長波レーダーなら可能との論文を今月に発表した。「より長い波長、デカメーター(10m)バンドのレーダー」としてロシアのレゾナンスーNEならノースロップ・グラマンのB-2等を探知できると主張。ステルス機は超高周波(メートル級バンド)のレーダー探知を回避する設計になっているとスチャジンは言う。
  11. ジンダレーの作動バンドはこれに近い。米国の技術文献によると超長波は実機の物理的な大きさに近づくと、これまでのレーダー断面積削減策は効果がないとしている。
  12. 改修後のジンダレーはゆっくりと始動された。ほぼ二年が初期段階で無駄になり、納期も2年遅れたのは製造に携わった人員が現場を離れたことが大きい。単独で高性能防空システムを構築するのは人材の薄いオーストラリアには難題だ。
  13. 次回の第六段階でも作業員不足の危険がある。そこで国防省は中核人材60名ほどを確保する。
  14. 第六段階の課題には別にレーダー解析ツールの開発があり、波形発生器と受信機の技術改良が期待される。多チャンネルデジタル受信機の開発で機材数を削減する効果が期待され、電離層測深機を改良しソフトウェアツールを開発して長期間使用とするのも課題だ。
  15. 第六段階では技術陳腐化対策を狙う。国防省としては2015年上半期に政府承認を勝ち取り、契約企業各社の入札を絞りたいとする。二年後に契約書の承認を得るとしているが、国防方針の見直しで影響を受けそうだ。
  16. 第六段階では、操作員がタイルの大きさを変更できるようになるだろう。ネットワーク 能力も改良の対象となろう。■

2014年10月14日火曜日

EW: 実戦能力向上に年間追加20億ドル必要との報告書



EWの話題が急に増えてきました。それだけ米国で能力のギャップが認識されていることでしょう。F-35にこれ以上予算を消費されると大変だという危機感もあるのでしょう。かねてから空軍はこの分野で手抜きをしており、海軍に頼らざるを得ない状態ですが、当面このままで続きそうですね。


EW Needs $2B More A Year; ‘Major Deficiencies’ Found By Defense Science Board

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on October 08, 2014 at 2:30 PM
Paul Kaminskiポール・カミンスキー
WASHINGTON: 国防科学委員会 Defense Science Board (DSB)が極秘検討結果を国防副長官ロバート・ワークに届けた。電子戦に備え、年間20億ドルを追加支出し、上位執行委員会にEW関連支出を監督させるべきとの提言が出ている。
  1. 「過去20年間で電子戦能力が大きく低下しています」とボール・カミンスキー Paul Kaminski が述べている。今回の検討を提案した本人で、報告書は仮題として『21世紀の軍事作戦環境を複雑な電磁環境で考える』となっており、18か月前にカミンスキーが国防科学委員会の座長を務めていた時に開始した作業だ。カミンスキーは1990年代に国防調達を取り仕切った伝説的な人物で、その職位は現在務めるフランク・ケンドール国防次官提案されている執行委員会を束ねるとみられる。また統合参謀本部副議長ジェイムズ・ウィネフェルド提督 Adm. James “Sandy” Winnefeld も参加する見込みだ。
  2. カミンスキーは検討中に「大きな欠陥を見つけた」という。.
  3. 米国はソ連崩壊後一貫してEW軽視を続け、9/11後はアフガニスタン、イラクの低技術脅威を対応の重点とした。その間にF-22ラプターやF-35が予算を食いつぶし、投資が手薄になった。反対にロシア、中国、イラン他は潤沢な予算で技術を進歩させ、米軍のセンサー類、ネットワーク、GPSを妨害、盗聴、欺瞞する能力を確立。電磁環境下でも戦闘を調整する能力が必要とカミンスキーはまとめている。
  4. 「多方面で努力が必要ですが、EW問題はこれまでの軽視もあり解決策は相当高価になるでしょう」とカミンスキーは言い、「予算以外にも上層部がもっと関心を寄せるべきです」
  5. カミンスキーの発言をまとめると、DSBの結論として現状のEW関連投資に20億ドル追加が必要としている。
  6. それだけ追加資金を投入しても「何かを犠牲にすることになるでしょうね。機材調達数を減らし別の支出を増やす、とか」
  7. 厳しい決断は上位組織が下す。ケンドール、ウィネフェルド、各軍代表、関連機関のトップがここに参加する。
  8. では戦略軍の役割はどうなるか。同軍はEWの推進役であるが、作戦担当責任者は実際の推進には権限も予算も足りないと嘆いている。
  9. 「戦略司令部と太平洋軍司令部の役割を拡大する余地はありますね」とカミンスキーは記者に語る。各軍のEW能力を向上させ新戦術と技術を実用化することを想定している。太平洋軍が実施中のNorthern Edge演習がモデルになると見ている。
  10. 「モデル化とシミュレーション、さらにテストと演習が必要です」(カミンスキー) だが、公の席ではこのモデル化とシミュレーションが作戦レベルで弱いと発言していた。演習だけが複雑なモデルの有効性を実証できるのだ。
  11. 訓練が中途半端なことで「意思決定者が電子戦の意義を理解できていない」と、カミンスキーは講演している。またEW開発の努力はあるが各軍バラバラになっている状態で、共同作業や相互運用は存在していない。空軍と海軍が主導するエアシーバトル構想には期待できるが、「統合司令部や地域司令部の意向が強く働いている」とし、特に太平洋軍司令部を意識している。
  12. また、調達業務の仕組みがあまりにも遅すぎるとする。ムーアの法則でコンピュータ処理が18ヶ月で二倍に成長し、ソフトウェアが電磁プロファイルそのものを変えてしまう事態を想定している。
  13. 「ソフトウェアが中心のデジタル世界への移行に高性能電子製品が加わり、世界のパラダイムが変わります」(カミンスキー) 冷戦時ならソ連の新型ハードウェアを発見し、研究の上、公式に「文書で認定された脅威」と分類してから対抗手段を開発、テスト、配備していた。「10年から12年後にその対抗手段を第一線に配備していた」といい、これでは今日には通用しない、成功の可能性はない、と述べた。■

2014年10月13日月曜日

元在韓米軍司令官が冷静な議論を求める:核、ミサイル防衛、安全保障



韓国については感情が表に立った論調が目立ちますが、地政学や安全保障の観点からは冷静な議論が必要なことは言うまでもありません。THAAD配備となれば中国は自国の核ミサイルの威力が削がれるのをおそれているのでしょうが、韓国にとっては中国に慮るのか、自由陣営(最近使われない言葉ですね)の一員として行動するのか厳しい選択に直面しているのでしょう。本当に「無駄な議論」が多くて本質を見逃している気がしますね。地雷の件は良く知っている方からご教示ください。

Former U.S. Commander in Korea: North Korea Could Use More Than Missiles to Deploy Nuclear Weapons

By: John Grady
Published: October 8, 2014 10:23 AM
Updated: October 8, 2014 10:47 AM
2012 North Korean missile test.
2012年の北朝鮮ミサイル発射テスト

北朝鮮の核ミサイル脅威が合衆国、韓国、日本で話題になる中、在韓米軍の元司令官が真の脅威を見過ごしていると警告。「核でソウルを攻撃するなら一番いいのは旧式航空機や無人機、あるいは近隣港湾に船舶を送ること」という。

  1. B.B.ベル退役陸軍大将がヘリテージ財団で発言し、合衆国政府はTHAAD最終段階高高度地域防衛弾道ミサイル防衛システムの韓国配備では拙速を避け、韓国政府に導入が必要な理由を自国民へ説明する時間を与えるべきだと主張。
  2. この問題が韓国で論争の種になっている背景について、同大将は予算、北朝鮮長距離火砲の脅威、中国との関係悪化を恐れる韓国事情、敵視する日本との関係を理由に挙げた。
  3. 同時に合衆国は中国へ圧力をかけ、北朝鮮の核兵力整備の野望を止めさせるべきと発言。「THAADに中国が反対するのは100%確実」ともいう。
  4. ミサイル防衛システムやXバンドレーダー施設は抑止力で防衛手段だとする。ヨーロッパでも提案されイラン核ミサイル対策で期待されたが、現在は先送りになっている。
  5. ベルは北朝鮮が核兵器を恫喝の手段とする以上合衆国は在韓部隊の「統制権」を維持すべきと主張。韓国への統制権移管はジョージ・W・ブッシュ政権中に協議されたが、現実の脅威の前に議論は低調になっている。
  6. 「アメリカが国家統制権を譲ることはありえない」「韓国軍の実力が問題なのではない」とし、北朝鮮の核脅威の現実が問題だという。
  7. なぜ韓国にTHAADや海上配備SM-3が必要なのか。ベルは第一次湾岸戦争でイラクのスカッドミサイルが発射数分でサウジアラビアやイスラエルに着弾した事実をあげる。ミサイルが核、生物、化学だったら、低高度迎撃で地上への影響は甚大と発言。
  8. 「無駄な議論はやめ正しいことをしましょう」と北東アジア内に相互運用可能で統合されたミサイル防衛体制を構築すべきだと主張。仮にミサイルが発射されても直後は、オサン空軍基地か日本かグアムの海軍施設なのか「目標はだれもわからない」。「同盟各国が単独で処理できる問題ではない」
  9. ベルは有事に日韓両国は相互に助け合うとみつつ、相互安全保障取り決めが未締結であると指摘する。
  10. 韓国駐留3万人の米陸軍、空軍のプレゼンスは抑止力であり、早期撤退はありえないと主張。また将来の地雷撤去条約の検討では空中投下型の時限式地雷は削減対象から外せと求めた。■


2014年10月12日日曜日

日米防衛協力ガイドラインの見直しが示す方向性


日米ガイドライン見直し中間報告ですが、日本の報道と微妙に違っているのが読み取れるでしょうか。グローバルと言う言葉は確かに日本でも報道されていますが、その背景にある事実関係と想定を伝えないのはいかがなものでしょうか。報道機関の責任は重大です。国民に正しい情報を伝え、考えさせるという意味で。報道機関の主張は誰も知らなくてもいいのです。正確な報道をお願いしたいところです。

Tokyo and Washington Writing New Guidelines for Military Partnerships

Oct. 8, 2014 - 11:43AM   |  
By PAUL McLEARY   |   Comments

WASHINGTON — 米日関係者が「Vision Statement」の作成で協議中。これは両国の防衛協力分野を定めた1997年の文書に基づき今後の協力を定めるもの、とペンタゴン高官が説明している。
  1. 作業経過を示す資料が日米関係者から東京で発表されたが、協力分野の想定は災害救難、ISR、サイバー、情報共有、技術協力と多岐にわたっている。
  2. 中でも「宇宙とサイバー」が中心だと国務省関係者が匿名で語った。「1997年には想定しなかった分野です」
  3. 日米防衛協力ガイドラインも制定後17年で世界状況が様変わりした。
  4. 拘束力のない合意内容が今年末に公開の見込みだが、「同盟関係の範囲が拡大し、日本が遠く離れた地点でも活動を展開していることが見直しの大きな理由だ」と前出関係者は説明する。アフガニスタンやアフリカの紛争地帯が念頭にある。
  5. 日米で「有事の際の意思決定システムの改良」で意見が一致していると同関係者は言い、新ガイドラインは地球規模のミッションで「両国の役割分担」の大枠になるという。
  6. 中間報告は国防副長官ボブ・ワークがアジア各国歴訪から帰国したタイミングで発表された。ワークはオバマ政権によるアジア太平洋「再均衡」方針が中東情勢や予算削減でも変わることはないと説明したという。
  7. 9月30日の外交関係協議会でワークは中国と領土紛争が発生すれば日本を支援すると強く確認したばかりだ。.
  8. 「日本が尖閣諸島を統治下におく限り、第五条が適用され尖閣占拠の動きが発生すれば迅速に対応する」とし、「その場合軍事行動でいかなる事態にも対応する」と加えた。また、日本は「アジア同盟各国の中心的存在」と表現した。
  9. 合衆国は「アジアは地理的に広大で、作戦上は活発、政治上は持続させるべき対象....政府予算にかかわらず目指すべき方向性を維持する」とも発言。

黒海に派遣された米駆逐艦USSコール


USSコールといえば、アルカイダのテロ攻撃で横腹に大穴を開けられた駆逐艦です。その後本国へ送還され、無事復帰していたのですね。そういえば真珠湾で大破した戦艦群も修理され戦列に復帰していましたね。いずれもやられても黙ってはいないアメリカの精神を具現化していますね。黒海は米ロ対立の現場になっているようです

USS Cole to Enter Black Sea On Friday

By: Sam LaGrone
Published: October 9, 2014 5:15 PM
Updated: October 9, 2014 5:15 PM
USS Cole (DDG 67) makes preparations for getting underway after a scheduled port visit to Haifa, Israel on Sept. 18, 2014. US Navy Photo
USS コール(DDG 67) がハイファ(イスラエル)から出港準備している 2014年9月18日撮影 US Navy Photo

10月10日に誘導ミサイル駆逐艦USSコール Cole (DDG-67)が黒海に派遣され、3月にロシアがクリミア半島を占拠してから継続している示威任務に合流する。
  1. 米第六艦隊から「合衆国は集団安全保障の責任を果たすべくNATO加盟国および関係国に対し地域内の平和と安定に貢献していく。ロシアによるウクライナ干渉がその念頭にある」との声明文がでた。
  2. コールはNATO海軍演習Sea Breaze 2014の終了後に初めて黒海入りする米艦となる。USSロスRoss (DDG -71) が9月12日に黒海から退去してから米艦はいなかった。
  3. クリミア併合が起こってからNATO艦船が黒海にとどまる頻度が増しており、これまでにない事態となっている。特にフランスと合衆国が継続して艦船を派遣しており示威行動を維持してきた。
  4. フランス情報収集艦デピュイ・ド・ロームDupuy de Lôme (A759)は黒海に出入りを繰り返しており、その他フランスはフリゲート艦2隻を順番に黒海へ派遣していいる。
  5. 黒海沿岸に領土を有さない各国は1936年のモントルー条約で黒海に21日以上軍艦を派遣できない。■
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2014年10月11日土曜日

B-52エンジン換装は今度こそ実現するのか




B-52 Re-engine Resurfaces As USAF Reviews Studies

Oct 10, 2014
Bill Sweetman | Aerospace Daily & Defense Report
http://aviationweek.com/defense/b-52-re-engine-resurfaces-usaf-reviews-studies
米空軍は機齢50年超のB-52各機を民生用エンジンに換装する提案を検討中であるとグローバル攻撃軍団司令官スティーブン・ウィルソン中将Lt. Gen. Stephen Wilson が明らかにした。
  1. 空軍は10月9日に実施した場合の節減効果を検討する。B-52は2040年まで使用の見込み。
  2. ウィルソン中将は提案企業名を明らかにしていないし、提案が一社か複数かも明示しなかったが、業界筋から確認からとれたのはボーイングが「企画骨子」を提出、ジェネラルエレクトリックがCF34-10エンジン8発換装案を検討しており、プラット&ホイットニーも独自案を準備中だという。
  3. エンジン換装の狙いは燃料消費の改善で、結果として給油機への依存が減るとウィルソン中将は語る。さらに民間基準の適用で定期点検のたびにエンジン取り外しが不要になる。
  4. ただし、エンジン換装で障害となるのが予算と規制問題ダとウィルソン中将は言う。エアラインの運用実績を軍用耐空証明に使うことと、初期投資は運用費用を下げることで回収しても、燃料費の節約部分は基地施設の改修に使い、機材改修に支出できないしばりがあるという。
  5. B-52は現在TF33エンジン8基を搭載しているが、このエンジンはボーイング707用エンジンと類似している。今回の検討はエンジン換装案として三回目となる。
  6. ブラット&ホイットニーから1982年にPW2000エンジン4基換装案が提案されていた。1996年にはボーイングとロールスロイスが共同でRB211-535エンジン4発(リース調達)換装案が出た。B-1やB-2でB-52が1990年代に退役する予定だったため最初の提案は実現せず、二回目の案も軍用装備にリースを使うことへの抵抗と経済効果評価の不備で頓挫している。
  7. 2004年度の国防科学委員会報告によれば米空軍は空中給油の経費を試算に入れていなかった。その時点での給油機による燃料はガロン当たり17.5ドルで、地上でのガソリン価格の14倍になっていた。同委員会の作業部会は「全員一致で空軍にB-52Hのエンジン換装を直ちに提言する」としたが、空軍はなんら反応しなかった。
  8. 「その時点で手を打っておけば、いかに先見の明があるかを堂々と自慢できていたのに」とウィルソンは言う。
  9. GEのCF34-10エンジン(定格推力17,640-20,360-lb)8発案だと推力は増加する。プラット&ホイットニーからは5月に提案されたPW1135G-JM(定格推力35,000-lb.)もTF33の2倍の推力を出す。それぞれ1996年当時の案より性能が高く、燃料消費効率は向上する。
  10. RB211-535の生産はボーイング757の生産終了とともに行われていないが、PW2000の軍用版F117もC-17の最終号機に搭載されているので、両エンジンは候補として弱い点がある。■

2014年10月10日金曜日

ISRで三機種を同時運用が必要とする米海軍の事情


空軍の新型機開発が(目に見える範囲では)パッとしないのに対し、海軍の活動が活発なのはこれまでもお伝えしている通りですが、その中身を見るとなかなか通用しにくい論理が働いているようです。とくにUCLASSの行方がはっきりしません。また、せっかくP-8が就役しても無人トライトンの遠隔操作予算がついていないなど情けない状態があるようです。

Triton, Poseidon, & UCLASS: The Navy’s ISR Balancing Act

http://www.google.com/url?q=http%3A%2F%2Fbreakingdefense.com%2F2014%2F10%2Ftriton-poseidon-uclass-the-navys-isr-balancing-act%2F&sa=D&sntz=1&usg=AFQjCNGExojjuqLdNF9dKDWvoTfPN-4igw
By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on October 01, 2014 at 4:00 AM
The first MQ-4C Triton drone to arrive at Patuxent River Naval Air Station. MQ-4C トライトン
PATUXENT RIVER NAVAL AIR STATION---米海軍の長距離偵察の未来を担うMQ-4Cトライトン無人機が当地の格納庫にあり、ボーイング737より翼巾は13フィート長く、機体重量は8割軽い。
  1. 高度50,000フィートで24時間超連続飛行する想定のトライトンは任務を単独で完結できない。高高度戦域全体を対象とした同機とは別に戦術偵察機として有人P-8ポセイドンと無人艦載偵察攻撃機(UCLASS)があり、海軍は三機種の同時運用を求めているが予算は厳しい。
  2. P-8はトライトンと共同作戦が可能。だがP-8乗員がトライトンを遠隔操作する機能は「予算化されていない」とジム・ホウク大佐Capt. Jim Hoke(トライトン事業責任者)は本誌記者に認めた。Triton program manager Capt. James Hoke.
トライトン開発を統括するジム・ホウク大佐
  1. トライトン三機が10月末にパックスリヴァーに揃いテストに備える。だが衝突回避レーダー開発が遅れている。2017年にグアムで作戦稼働を開始するが、当初の68機購入は微妙だ。ホウク大佐は高信頼性で整備所要時間が想定より少ないことで購入機数が減るのは確実という。
  2. UCLASS最終設計案の提出がいまだに業界に要求されていない。また、海軍の想定性能が「攻撃」より「監視」を重視していることが議論を呼んでいる。
  3. 「三機種すべてが必要だ」とマシアス・ウィンター少将Rear Adm. Mathias Winterは強調する。しかし記者が情報収集監視偵察 (ISR)で二機種必要な理由を問うと、少将はトライトンは戦域司令官のニーズに対応し、UCLASSは空母打撃群司令官が利用する、と回答。
A notional map of the areas Triton could cover from its five land bases.トライトンを世界5か所の基地から運用した際に監視対象となる地域を概念的に示した図

  1. 「空母打撃群では指揮命令と実行を迅速に行うことが肝要だ」とウィンターは記者に説明。UCLASSは空母から発進し、600から1,200マイルの範囲をパトロールするが、2,000マイル超の攻撃も可能だ。これに対し、トライトンは陸上施設五か所から発進し、作戦行動半径はほぼ2,000マイル。:
  2. 仮に十分な機数のトライトンを調達し、各空母を常時カバーできたら、また空母をトライトンの飛行対応範囲外に航行させないとどうなのか、ウィンターはそれでもUCLASSは必要だ、なぜなら性能が違うからと言う。
  3. 「トライトンは戦術攻撃用ではありません。武装を想定せず、UCLASSで想定の1,000ポンド爆弾も運べません。また空母打撃群での運用も想定外」なので指揮命令系統に入れない。これに対し「UCLASSはグラウラーと共同運用を想定しており、ホーネットやF-35とも攻撃に投入できるが、トライトンはできない」
Rear Adm. Mathias Winters, head of unmanned programs at Naval Air Systems Command (NAVAIR).
マシアス・ウィンター海軍少将は海軍航空システム本部(NAVAIR)の無人機事業を統括している。
  1. 行間からはUCLASSが高性能のようだ。長距離長時間飛行のカギは燃料消費効率だ。トライトンの主翼は長く、薄く、まっすぐで、P-8の20千フィート上空を飛行できる。「高度50千フィートだと燃料は大量に使いません」とホウク大佐は言う。空気が薄いためだ。その結果、トライトンの燃料消費はP-3のおよそ1割と言う。だが飛行距離と飛行時間のため機動性と速力が犠牲になった。UCLASSでも監視偵察ミッションに最適化すれば攻撃力が犠牲になるし、その逆もまた真である。
  2. トライトンの飛行高度では機体にストレスとなる操縦は発生しない、とウィンターは説明。それに対しP-3やP-8は低空・高Gの捜索や攻撃を行う。両機種は民間旅客機が原型で戦闘機の敏捷性はない。UCLASSでは要求性能が非公開あるいは変更中だが、発艦着艦というパイロットに一番負担を強いる機動が前提だ。
  3. 戦闘能力が優れるのはUCLASSで、トライトンンを補完できる。だが戦闘に投入できる性能がUCLASSに本当にあるのか。
A CSBA diagram shows the ranges needed to defeat a modern "anti-access/area denial" defense.
CSBAが作成した接近拒否領域阻止の防空体制における必要な飛行距離を示す概念図
  1. 記者はウィンター少将の説明内容をUCLASSに批判的な専門家2名に開示した。
  2. 「ISRを優先すべきではない」というのは戦略予算評価センター(CSBA)のロバート・マーティネージRobert Martinage。トライトンで空母をカバーできるとし、「MQ-4Cは海洋占有認識 maritime domain awareness (MDA)を空母打撃群で実現することを目的としている。世界各地にMQ-4C運用の基地を確保するのはMDAを一貫して実現するのが目的だ」
  3. 「空母近辺では戦術レベルのMDAとして、E-2Dホークアイと無人回転翼機M-8Cファイヤスカウトを組み合わせればよい」
CSBA scholar Robert Martinage.CSBA研究員のロバート・マーティネージ
  1. 偵察機材整備をすすめる海軍に長距離攻撃が不足しているという。「接近阻止領域拒否(A2/AD)の防衛体制をとる中国は機雷、潜水艦、攻撃機、長距離対艦ミサイルを駆使するので、米空母は沖合に留まらざるを得ない。これでは短距離しか飛べないF-18やF-35では内陸部を攻撃できない」と言う。A2/AD対抗には長距離重武装かつステルスが必要とマーティンネージは説明するが、UCLASSはこのいずれも目指していないという。
  2. 見識の高い某議会スタッフも同意見だ。ISR専用の無人機は「空母搭載機材として優れている」が、「空母航空部隊で一番必要な機材ではない」し、 新規案件への予算制約をすると、「どう考えてもは武力投射型UCLASSの優先順位が高くなるはず」という。
  3. 「ISR特化か攻撃型UCLASSかの議論からもっと大きな問題が見えてきた。そもそも、無人機を航空隊に組み入れる検討をしっかりしているだろうか」
  4. 空母運用型無人機を二種類準備する予算は確保できる可能性は低いので、海軍のもくろみは偵察用のULCASSを出し、あとで爆撃機に転用するのだろう。その実現はペンタゴンの文民幹部と議会が決めることだ。■

2014年10月9日木曜日

米軍向け次世代ヘリ試作機にベル、シコルスキー/ボーイング二案が選定されました



選定は予想通りというところでしょうか。複合ヘリ、ティルトローターともに今後が期待される技術ですが、陸軍の次期主力ヘリ選定に漏れた方が民生用に活路を見出す、というかつてのボーイング747の事例を思い出していますが、その可能性はどうでしょうかね。ボーイングはベルと仲がいいのかと思っていたら今度はシコルスキーとタッグを組んでいますね。技術の優位性を冷静に判断したのでしょうか。

U.S. Army Selects Bell and Sikorsky/Boeing to Build Prototypes for Next Generation Helicopter Program

By: Dave Majumdar
Published: October 3, 2014 5:27 PM
Updated: October 3, 2014 5:33 PM
SB-1 Defiant. Boeing Photo
SB-1 Defiant. Boeing Photo
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米陸軍はベルヘリコプターおよびシコルスキー/ボーイングチームの二社を共用多用途(JMR)高速ヘリコプター開発業者に選定した。

  1. 各チームは技術実証(TD)機を完成させ2017年にフライトテストを開始する、と陸軍はUSNI News向けに文書で開示した。

  1. 試作機二機種は共用多用途技術実証飛行機体の位置づけで、陸軍が進める次世代垂直輸送機.(FVL)につながり、シコルスキーUH-60ブラックホークおよびボーイングAH-64Eアパッチの後継機種となる。FVLは米海軍のMH-XXにもなり、MH-60シーホークに代わる機体となる。


  1. 陸軍のJMR/FVL事業主査ダン・ベイリー Dan Bailey, the Army’s JMR/FVL program directorは「JMR TDで差知識獲得を最大化し、リスクを減らしてFVL調達に進むのが目的」と語る。「予算環境を考えて基本設計4案をまず2案に絞り込んだ」

Bell-V2280. Bell Image
Bell-V2280. Bell Image

  1. 今回選定に外れたのはカマンエアクラフトAVXエアクラフトだが、陸軍は両社の技術内容にも関心を示している。

  1. シコルスキー・ボーイングチームのSB-1デファイアントDefiant案は、同軸ローター複数と推進用プロペラを組み合わせた複合ヘリだ。原型はシコルスキーの革命的なX2で、200ノットが限度だった従来型ヘリコプターの性能を非対称揚力dissymmetry of lift で実現した。

  1. ベルヘリコプター案はV-280ヴァラーValorで発達型ティルトローター機としてベル・ボーイングV-22オスプレイを原型とする。V-280は小型だが300ノット超と高速かつ操縦性でオスプレイを上回る。

  1. 不採択となったAVX案はデファイアントに似た複合ヘリだった。カマンからの提案は可変ティルトローターでベル案と似通っていた。■