2015年7月24日金曜日

KC-46>ボーイングの自社追加負担が10億ドル超える


メーカーにとってはつらいのですが、これまでの事例で予算超過があまりにも多いためKC-46では空軍負担の上限額を超えれば即メーカー負担という契約になっているのですね。負担支出分は輸出機材に上乗せされるはずなので、エアバスにとっては有利に、日本のように米国装備の購入を第一に考えているような国には高い買い物になるのでは。この契約形態をF-35に適用していたら今ごろどうなっていたでしょうか。

Boeing’s Tanker Cost Overruns Exceed $1 Billion

Jul 17, 2015 Amy Butler | Aerospace Daily & Defense Report


Boeing / John D. Parker
ボーイングは再度自社負担で空軍向けKC-46給油機開発を続けることになった。
  1. 税引き後負担額536百万ドルは税引前は835百万ドルになる。そのうち最大の部分はボーイング・コマーシャルエアプレーンズの拠出する513百万ドルだが、ボーイングミリタリーエアクラフト(ボーイング・ディフェンススペースアンドセキュリティ傘下)が322百万ドルを負担する。7月22日には第二四半期営業報告の発表があり、その場で詳細が判明するだろう。
  2. この二年間でボーイングがKC-46事業に投入した自己資金は税引前12.6億ドルに上る。
  3. 直近の事例では機内の複雑な燃料系統の技術問題が理由だった。燃料系統は給油機の中核機能であり、ボーイングが給油機多数を製造している実績がエアバスにKC-X競合での大きな売りであった。この問題が発生したのは同社が「テスト準備をし、実施しシステム認証を第二四半期に」目指していた最中のことだったと7月17日に案内されている。ボーイング広報部門は第二四半期の4月から6月とだけ発表しているが、具体的なテスト実施日を口にしていない。
  4. このことから設計上の不備がいつ明らかになったのか、また社内上層部に報告がいつされたのかという疑問が生じる。広報はこの件について語っておらず、次回営業報告の機会を待ってほしいという。
  5. 「ボーイングはKC-46をウェポンシステムとして承認を受ける手続き中で、統合燃料供給システムはその中で中核的な部分」とデューク・リチャードソン准将(空軍給油機事業主幹)は語る。
  6. ボーイングは昨夏にも税引272百万ドル(税込み425百万ドル)を機内配線の設計不良のため負担している。空軍は機内の配線関係は「安全のため距離を空ける」ことを求めており、設計で不備があったため再設計の上、初飛行が数ヶ月遅れた。
  7. 統合燃料系統の不備では情報がほとんど開示されておらず、同じような問題だとの指摘があるが、ボーイングは技術上の再設計が必要だと認めており、再作業が必要となり、型式証明取得で追加作業が必要になる。
  8. 新CEOデニス・ミュイレンバーグによれば同社は「必要な資源を投入」してなんとしても2017年8月までにKC-46の最初の18機を引き渡す契約を履行する。「必要な作業な認識しており、KC-46の長期的な財務上の価値により今回の追加投入は回収できると信じています」と声明を発表している。ボーイングの考えは開発段階の損失は米国内ならびに海外販売で取り戻せるとする。ただし、直近でも韓国の給油機選定に敗れてエアバスA330が選定されており、同機は他に8ヶ国が運用中だ。
  9. KC-46の改修等でボーイングは2年間で12.6億ドルの追加支出をしている。
  10. ボーイングが自社負担を迫られているのは2011年に締結の開発契約では44億ドル固定価格制で政府は最大でも49億ドルしか負担する必要が無いためだ。
  11. ボーイング関係者は政府によるKC-46開発費用見積もりが高過ぎると不満を漏らして変更している。ボーイング広報は昨年12月に同社見積もりはそこまで高くないと発言したが、具体的な数字は上げていない。
  12. 政府は49億ドルを支出上限としているが、ここに12.6億ドルを加えると61.6億ドルとなり、政府の見積に近くなる。
  13. そもそもボーイングはエアバスより大幅に低価格を提示してエアバスに2011年に競り勝っている。リチャードソン准将は「KC-46初飛行を9月までに実施することは十分に可能」と見ている。
  14. ボーイング関係者も初飛行を9月と想定している。昨年12月に初飛行したのはKC-46に改装される前の767-2Cだった。
  15. 統合燃料系統の欠陥が表面化する前に空軍のリチャードソン准将は生産が6ヶ月程度遅れると見ていた。現時点では生産開始時期は不明で、2017年8月という第一期18機の引き渡し期限が重くのしかかってきた。
  16. 「ボーイングは目標18機の引き渡しを実現するだろうと見ています。ボーイングは政府の追加支出を期待せず自らの手で約束を守るはず」とリチャードソン准将は語った。■

2015年7月23日木曜日

★LRS-B>受注企業の発表は9月に



いよいよということでしょうか。米空軍もかなり慎重になっているようですので、結果に期待しましょう。ただし敗れた側が承服できないと異議申立てをしてさらに混迷する事態にならないといいですね。B-2は結局史上最高額の爆撃機になると思いますが、現在空軍が想定している単価約680億円が現実劇なのか、既存技術も応用するから可能と空軍は言っているようですが、KC-46のように上限額を設定して超過分はメーカー負担という都合のよい話は今回は無理なのではないかと思えます。(輸出の可能性がなく、投資の回収が不可能)

Air Force Plans Bomber Contract for September

by KRIS OSBOR N on JULY 22, 2015

http://defensetech.org/2015/07/22/air-force-plans-bomber-contract-for-september/
米空軍は次期ステルス長距離爆撃機の契約交付先を9月に発表するとMilitary.comへ伝えてきた。
  1. 選定結果の発表は今年夏初めの予定だった。LRS-B(長距離打撃爆撃機)はB-2の後継機種となる。
  2. 空軍高官はMilitary.comに選定結果を正しいものにすべく審査を慎重に行うことで、長期に及ぶ調達で予算・時間双方の節約効果を狙うと語っている。空軍は2020年台中頃の配備を目指す。
  3. 「最終段階にあると言って良い。今後50年間の供用する機体だ。迅速に生産に移すためにもここは慎重に行きたい」とウィリアム・ラプランテ William LaPlante 空軍次官(調達)が戦略国際研究所主催の会合で発言している。
  4. 空軍は最終的に同機を80ないし100機調達する予定で、単価を550百万ドルと想定している。
  5. この数年間で空軍は一部国防企業と極秘研究開発を進めている。これまで10億ドルが技術開発に投じられた。.
  6. ノースロップ・グラマンがボーイング=ロッキード・マーティン連合と一騎打ちの様相だ。今年のスーパーボウルでノースロップ・グラマンがCMを流し、自社の空軍向け爆撃機製造での実績をアピールしていた。
  7. LRS-Bの詳細仕様は未公表だが、まず無人機としてミッションに投入し、必要に応じ有人ミッションとするとの空軍上層部の発言がある。
  8. 新型機は全世界に飛行可能とし、長距離兵器各種を運用する想定で、核・非核兵器を搭載する他、今後の新型兵装にも対応する。
  9. また防空技術の進歩でステルス機が高速プロセッサーやセンサーの高性能化の前で探知されやすくなってきた現実にも対応する技術が開発中。■


2015年7月21日火曜日

★速報 ロッキードがシコルスキーを90億ドルで買収



久々の大型買収です。ソースが米海軍協会なので海軍仕様の機体名が出てくるのはご愛嬌としましょう。しかし既存企業がどんどん寡占化してきましたね。買収金額は以前は80億ドルと言われていました。


Lockheed Martin to Buy Sikorsky, Including Navy’s MH-60 Line, For $9 Billion

By: Megan Eckstein
July 20, 2015 12:31 PMUpdated: July 20, 2015 2:25 PM


ロッキード・マーティンシコルスキー・エアクラフトユナイテッドテクノジーズから90億ドルで買収し、軍民の回転機製品群を引き継ぐと発表した。シコルスキー製品には米海軍のMH-60シーホークも含む。
  1. 手続が完了する2015年末あるいは2016年早々にシコルスキーはロッキード・マーティンのミッション・システムズ・アンド・トレーニング Mission Systems and Training (MST) の傘下に入る。同部門はこれまでもシコルスキーと業務提携をしており、MH-60RおよびS型シーホーク、VH-92大統領専用ヘリコプターおよび戦闘捜索救難ヘリ事案がある。
  2. 「シコルスキーはロッキード・マーティンの製品ポートフォリオでぴったりの存在となり、世界クラスの航空宇宙防衛製品の一部となる」とマリリン・ヒューソン会長兼社長兼CEOが20日付声明文で述べている。
  3. 「今回の企業取得により当社の中核事業がヘリコプター生産および保守という成長部門にも拡大します。新たな体制で強力なヘリコプター・ソリューションのポートフォリオを世界各地の顧客に提供するとともに、イノベーションや新技術開発を加速化します」
  4. 「業務は今と同様に継続されます。ロッキード・マーティンとシコルスキー両社の社員はともに作業し、顧客の求める重要な機能を実現化します」とロッキード・マーティン広報ダン・ネルソンがUSNI Newsに20日語っている。「手続が終了しだい、シコルスキーの業務を当社の枠組みに統合し、シナジー効果により最高水準の効率を実現します」
  5. ネルソンによるとすでに社内で各種検討が進んでいる。シコルスキーは本社機能をコネチカットに引き続き維持し、企業ブランドは「シコルスキー」を守る。ネルソンからはシコルスキーの執行体制がどうなるかは不明としたが、今回の企業買収効果の検証が終われば、何らかの変更が生まれるだろう。
  6. ロイターはテキストロン(ベル・ヘリコプターの親会社)もシコルスキー買収に手を上げたが、実現していればブラックホークや海軍仕様シーホークがヒューイやV-22オスプレイと同じ会社の製品になるところだった。逆にロッキード・マーティンが買収に成功したことで、F-35共用打撃戦闘機やKC-130スーパーハーキュリーズといった固定翼機に回転翼機も加わり、航空工業への関わりが更に深まる。■


☆★★川崎P-1の国際デビューと現地での反応をご紹介しましょう

ジブチでの運用をチェックするために派遣したP-1編隊はその前に米国経由で英国入りし、その後でジブチへ移動し、地球を一周して日本へ帰ってくることになりました。航空ショーでは知名度が低いこともあり、余計に関心を高めたようですが、航空ファン、業界人が多い原記事の読者には日本製の機体としてとくにエンジンに不安を覚える向きが多いようで今回わざと読者の投稿もご紹介することにしました。彼の地のファンの視点がわかりますね。

「aviation week」の画像検索結果

Kawasaki P-1 Flies At Air Tattoo

Jul 15, 2015 by Tony Osborne in Ares



RAFフェアフォード基地で日本から飛来した川崎重工業P-1を集まった航空ファンが見ている。


海上自衛隊(JMSDF)がロイヤル・インターナショナル・エアタトゥーへ派遣したもので、開催に先駆け展示飛行のリハーサルを行った。
All photos: Tony Osborne/Aviation Week


7月14日に飛来した二機は.厚木基地を7月10日に出発し、米国経由で、オセアナ海軍航空基地(ヴァージニア州)から大西洋をノンストップで横断し英国に到着した。
川崎重工による展示は簡素ながら十分に効果のあるもので、ローパスを数回したが、一回は兵倉庫扉を開放していた。機体はダグラスDC-8に似ており同機をすっきりさせたようで、魅力的な性能で滑走路長4-5,000フィートで離陸急上昇していた。飛行機動性が十分にあることが伺われた。
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川崎P-1は同航空ショー15年の歴史上で一番興味をそそられる機体になった。世界が相互に依存度を高めている現代とはいえ、同機の開発状況はほとんど報道されておらずボーイングのP-8ポセイドンやBAeニムロッドとは対照的だ。ショーではP-1はP-8の横に駐機し、来場者が自由に両機を比較できる。

日本はP-1の輸出へ期待しており、英国では今年後半に海上パトロール機の要求性能が英戦略国防安全保障検討の一部として示される。今後、同機のもっと多くを紹介できるだろう。Aviation Week の記事を待たれたい。エアタトゥーは7月17日から19日に開催される。

この記事への読者の反応(ハンドルネーム等は削除しています)

  • P-1とP-8 の燃料満載での飛行時間比較を知りたい。4発機なのか。防御システムはどうなっているのか。同じミッションで飛行時間がどれだけ違うのかが関心。厚木基地には1973年勤務していた。

  • .P-1自体が商品競争力がないとしても武器輸出の経験を積むのは日本のためになる。

  • 興味深い機体だ。自分なら IHI P7-10エンジンをPW1215Gに換装し、MRJ70/90と共通化するところだ。設計が新しく、同じ機体サイズで燃料消費率が優れていれば飛行距離が伸びるが、各機の歴史を見ると機体重量は供用開始後に増える傾向がある。エンジンが「ユニーク」でなくなればもっと販売の可能性が出てくるだろう。また商用エンジンの基盤も利用可能となる。ハードポイントを使い、自衛手段を講じるべきだろう。そのため第一、第四エンジンの外側にも装着場所を追加したらよい。(編集者:その可能性はないようだ)

  • なぜ四発なのか

  • 冗長性をもたせているからでは。エンジン一基を失ってもミッションは継続できるだろうが、P-8では直ちに基地に戻る必要があるね。

  • 単に日本製エンジンが非力なためではないか

  • 日本ではまだ強力なエンジンは作れない。エンジンが二基増える利点は逆に燃料消費の増加で打ち消される。西側の新鋭ターボファンエンジンでは故障発生は驚くほど低くなっている。

  • 双発機には単発でも離陸できるよう出力には十分な余裕があるが、四発機だと一基作動しなくても3発で離陸できるようになっている。

  • 軍用仕様では年間利用が500時間未満ということもあり燃料消費率の重要性は低い。小型機で大口径のターボファンを主翼下に装着するとファンの直径の大きさが制約される。

  • 日本はロールスロイス、GEやPW製エンジン技術より30年遅れているので、日本製エンジン二発では十分な推力が確保できないのだ。

  • 日本の航空宇宙産業政策の上ではP-1は日本製エンジンを採用し、国内エンジンの開発促進が求められたので、三菱が4発を提供したのだ。

  • そうだろうか。C-2と主翼やシステムを共有しており、C-2ではGEエンジン双発になっているぞ。

  • P-1は川崎が同時に開発する二機種のうちエンジン性能については要求水準がひくいので、非力かつ未実証の日本製エンジン搭載となり、C-2には安全かつ実証済みGEエンジンを搭載したのだ。

  • このこともあり、P-1の運航費用はP-8より相当高くなっており、燃料消費率が高いこととパーツ類の単価が生産量の少ないことが理由だ。P-8はエンジン含む多くの部品を737から流用しているが、P-1はカスタムマシーンだといえる。

  • それは正しいのだが、本当の理由はTRDI/IHIが相当の年数と予算を投入してP7-10 エンジンを開発したことにある。P-1は純国産機との触れ込みで国産エンジンを採用した。ミッション実施には四発が必要なのだ。

  • 海上自衛隊がP-3と同様に外側エンジン二基を停止し、燃料消費を節約するミッションプロファイルを持っているのか。P-3でこの策を実施していたものだ。

  • それだと停止した二基のエンジンが抗力となる

  • RAFのニムロッドはこれを実施していた。また航続距離が伸びるし、いざというときは加速性能を確保できる。

  • 主翼下に大口径ターボファンを装着し、双発にするのは滑走路を削る効果に終わる。

  • そうだろうか。ボーイングやエアバスの設計を見てほしい。現在の主役は双発機で、かつ各機の主翼は低い配置になっているが、ターボファンエンジンが主翼下についているぞ。

  • 海上哨戒機が高度3万フィートを巡航することはない。はるか下を飛行し、エンジン出力を失えばただちに緊急事態になる。ミッションの実施上4発あるほうがすぐれている。それだけシステムが複雑化するだろうが、P-1は最初から哨戒機として作られているのだ。

  • P-8なら単発で十分飛行できる。

  • 哨戒機はずっと前からあるが、専用機はあっただろうか。ニムロッドはちがう。オライオンもちがう。両機とも旅客機が原型だ。P-8も同様である。

  • P-8Aはこれまでの海上哨戒機より高い高度で運用する想定で、目標を探知し、武器を発射できる。

  • そもそもエンジン出力は上昇性能の要求から決まるものだ。767やA300 で単発で離陸するのを見たことがあるぞ。

  • 上の書き込みは事実と反対だ。双発機で高度2万フィート未満はエンジン一基でも最高性能が引き出せる。高度が低いほど性能は高い。燃料消費の問題ではない。

  • なかなかきれいな機体だ。ほしくなる。

  • 2013年5月13日のP-1第5号機のテストフライトでIHI F7-1- 10エンジン4基がすべて停止している。ソフトウェアに欠陥があった。乗員は再始動に成功し、無事着陸させている。

  • 海上自衛隊はニムロッドやP-8Aの採用は見送ったが、両機とも短距離陸性能がないためと説明していた。

  • いいや、P-1開発開始はP-8を米国が開始する以前のことで、海自はP-7採用を認めなかったのだ。P-3のアップグレード版だったためで、自前の機体を求めたのだ。

  • 日本はP-1で楽しい時間をすごしているようだが、ボーイングP-8ポセイドンの採用を真剣に考えるべきときがきた。

  • ポセイドンは非常に高価な期待だ。日本は国産ASW技術が豊富にあり、機体アレイレーダーまで国産化している。

  • いい機体だ。西側競合メーカーをくぎ付けにするはずだ。

  • P-8との比較で興味深い機体だ。二機が並んで展示されるのは偶然ではない。英国がニムロッド後継機種を求める中でP-8とP-1が最右翼候補だからだ。

  • RAFがP-8を真剣に希望しているのは相互作戦運用が理由だ。英政府がP-1を採用するとしたら国内雇用が理由だろう。英国の国防装備調達ではおなじみの理由だ。

  • 英国防省の希望はP-8で、変更になったとの兆候はない。ボーイングの成約は確実だ。

  • 川崎と自衛隊はP-1のエンジンをもっと新型に換装しないと輸出できないのではないか。

  • 各自愛国心からの技術的な議論はやめよう。「アメリカ製はいつも優秀」というが、航空機大好きな人なら見栄えのいい機体だと認めるはずで、DC-8をすっきりさせた、というのはうまい表現だと思う。

  • 海上哨戒機が救難捜索機にも転用される事実をだれも指摘していない。高度3万フィートから船舶を探し出したり、救難ボードを投下することはできない。まして夜間や悪天候ならなおさらだ。両機とも潜望鏡を探知する能力があると見ている。船員の救助は低い高度で低速で行うべきで、失速速度と主翼荷重が大きな要素となる。北大西洋の荒天で高度300フィートで任務を両機がこなせるのだろうか。

  • そうだね。ターボプロップが低高度やロイタリングに向いている。C-130だと大きすぎる。P-1,P-3,P-8の各機はちょうどいい大きさだ。双発ターボプロップが理想的なのは海上長距離飛行での信頼性が理由だ。できれば三発ターボプロップがよい。中央線上に配置したエンジンは一定の高度に達すればフェザリングさせればよい。

  • P-1がフライバイライト技術を導入した初の量産機なのだろうか。

2015年7月20日月曜日

★中国への備え、離島防衛>陸上自衛隊が米陸軍の先行事例になる

防衛を中心に整備をしてきた陸上自衛隊が米陸軍のモデルになる、という指摘ですが、米陸軍が皮肉にも日本(あるいは台湾?)から装備を供与受けることになるかもしれないという予測です。攻撃にまわってなんぼという米戦略で防衛だけに専念することは難しく、かつドクトリンの変更が必要になるのでしょうね
「breaking defense」の画像検索結果

Japan Blazes Trail For US Army: Coastal Defense Vs. China

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on July 15, 2015 at 2:58 PM

WASHINGTON: 脅威度を上げてきた中国を抑止し敗退させるためには海軍・空軍だけで十分とはいえない。陸上自衛隊の現状は煮え切らない態度の米陸軍に参考になりそうだ。
  1. 「陸自は待ちの姿勢になっていませんね」とアンドリュー・クレピネヴィッチAndrew Krepinevich(戦略予算評価センター理事長)がアジア歴訪の直後に記者に語ってくれた。「日本は『第一列島線』の北方部分の防衛への関与を望んでいます。琉球諸島で施設拡充を進め、中国の侵攻を食い止めようというのは非常にすばらしいことです」
  2. 陸上自衛隊はクレピネヴィッチがForeign Affairs 2月号に寄稿した「列島防衛」構想と同じ方向を向いている。
Andrew KrepinevichAndrew Krepinevich
  1. クレピネヴィッチは「中国人民解放軍の防衛体制の中に海軍艦船を送り込むのではなく、米国及び同盟国は地上兵力を第一列島線上に配備し、移動式ミサイル発射装置に対艦巡航ミサイルを装備することで対応が可能だ」と著述している。対空ミサイルやミサイル防衛体制の整備も同時に可能だ。クレピネヴィッチ構想では海軍艦艇と空軍長距離爆撃機は移動予備兵力で陸上防衛線の背後に配置し、被攻撃地点の補強にあたり、中国軍の突破を防ぐ。艦隊は中国の支配部分から遠い地点にとどまる。
  2. クレピネヴィッチはさらに「西太平洋では我が方に大きな利点がある。これまでは兵力投射をしてきたが、今回は同盟各国の防衛にあたる。進出してくるのは中国の側だ」と語る。
  3. つまり敵国への侵攻や敵軍の壊滅は想定しない。逆に相手側に侵攻させる。米艦船や航空機を中国本土のミサイル射程内に送り込めば、損失は甚大なものにる。
  4. これは米軍にとって気持ちのよい話ではない。冷戦以後、防御一辺倒に回った事例はなく、ソ連軍事力が崩壊すると米軍は兵力投射に中心を移し、航空母艦、戦闘攻撃機、迅速展開部隊を重視してきた。敵国の領土に侵攻し、目標破壊につとめる、というのが現在の標準だ。米陸軍はアフガニスタン後の現実では急速展開能力を重視し、島嶼防衛は二の次だとしている。
  5. だが島嶼防衛は日本の自衛隊には違和感がない。硫黄島の激戦が証明している。また専守防衛が日本の防衛政策で大きな柱である。
  6. クレピネヴィッチはForeign Affairs論文で琉球諸島への対艦ミサイル配備構想に着目している。実際に日本を訪問し、実態が先行しているのを目の当たりにした。「西部方面隊の司令部へ招待されたのですが、地上兵力を中心に取り上げてた私の論文に司令官は大変興奮していましたね」
  7. 防空ミサイルとミサイル防衛装備が琉球諸島に配備され、中国の侵攻に備える。また沿岸に対艦ミサイルが配備される。さらに機雷敷設の訓練もしている。米海兵隊の協力を得て、揚陸作戦連隊の創設を目指し、島嶼の確保能力を確立する。
  8. ただしクレピネヴィッチは揚陸部隊を予備機動部隊とすることに懐疑的で、「接近阻止領域拒否(A2/AD)環境で精密攻撃ミサイルがある中で兵力を展開するのは困難。展開するのは我が方も敵も支配していない地帯だろう」としている。
  9. 一番頼りになる援軍は長距離ミサイルとクレプネヴィッチは言う。西太平洋地区の地理条件から、防衛地点の島が敵の飽和攻撃を受けても、残りの島々が同じ防衛線上にあれば長距離兵器を発射して防衛できる。
  10. ではミサイルはどこまで届くのか。「INF(中距離核兵器)条約の制約があり300マイル、つまり500キロが限度でしょう」とクレプネヴィッチは語る。「300マイルあれば相当の効果があげられ、地上兵力の投入は不要になります」
  11. 長距離ミサイルがあっても日本は単独で長距離にひろがる脅威対象地区すべての防衛は不可能だ。「日本側が分担を考えていることがわかりました。第一列島線の北部は日本が一義的に担当し、米側は南部を担当します」 日本、韓国、台湾の北方部分各国が北方の守りを固めて、南方にあるフィリピンなど各国はそれほど豊かでなく米軍の援助がないと防衛しきれない。
  12. ただし米陸軍にはここで想定される装備すべてが導入されておらず、とくに対艦ミサイルがない。だが日本から購入できるし、日本以外の同盟国が供給することも可能だ。もし、米陸軍が導入を決意すれば。
  13. だが米陸軍はそこまで踏み込んでいない。「予算削減で最大の犠牲を求められていることもあり、陸軍は大きなプレッシャーに直面しています」とクレプネヴィッチは言う。米陸軍は西太平洋以外に中東やヨーロッパでも義務がある。上下両院の軍事委員会から陸軍に対して沿岸配備の対艦ミサイル導入を求めてきたが、「国防総省の上層部は陸軍が第一列島線防衛に寄与できるか把握しきれていません」
  14. 「陸軍の価値観を揺るがす話題になり、列島部分の防衛は旅団単位の戦闘部隊では不可能です」とクレプネヴィッチは言う。日本は普通科地上部隊を縮小させ装備資源を新設の沿岸防衛部隊に振り向けようとしている。予算が限られる前提で米陸軍も同じ選択に迫られよう。米陸軍は予算削減の影響を直接受ける最中であり、新規の予算を確保することは困難だ。■


2015年7月18日土曜日

★F-35模擬空中戦報道>関連背景事情を理解しましょう



F-16との模擬空中戦で精細を欠いたF-35Aのニュースが当ブログでも話題になりましたが、根はもっと深いのです。ただし、とりあえず今回の記事でこの話題は一旦終了とさせてください。F-35が決して万能の機体ではないこと、F-35だけに依存することで防衛予算が消費されることがどれだけ危険かをご理解いただければ幸いです。

Behind That F-35 Air Combat Report

Jul 6, 2015 by Bill Sweetman in Ares

ロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機(JSF)のテストパイロットによる報告書がリークされたが、以前にも同様事例があった。2008年の事例ではRAND研究所がF-35をスホイSu-35その他機体と比較した資料がリークされていた。
「米空軍による解析を引用しつつ、チャールス・デイビス中将’ Maj. Gen. Charles Davis 当時JSF推進責任者)はF-35は少なくとも空対空戦でスホイ含む各国の最新鋭戦闘機よりも少なくとも400%優秀だ。
「ロッキード・マーティンによればF-35の3型式でそれぞれ動力性能はいかなる第四世代戦闘機を凌駕しているという。比較の対象は遷音速加速性能で空対空装備のユーロファイター・タイフーンに対し、また高迎え角での戦闘能力でボーイングのスーパーホーネットにそれぞれ優越しているというもの。「F-35は空対空戦の各性能ですべて既存機を上回ている』とロッキード・マーティン社テストパイロット、ビル・フリンが語っている」
以上もあり今回はF-35がエネルギー機動性でブロック40のF-16に劣るとの報道が話題になったのだろう。F-16がタイフーンと飛行速度で同等だと思う人はいないはずだし、スーパーホーネットの高迎え角性能でも同等だとは思わない。あるいはSu-35がこの両者を実現していることも承知のはずだ。F-35推進派の反応も注視に値する。
まず出てきたのはロッキード・マーティンが資金を援助するレキシントン研究所のダン・グア Dan Goure による「F-35がドッグファイトをこなせないって? いいではないか」との記事だ。グアは航空戦闘の機体制御をすべてドッグファイトと関連付けているが、搭載銃による撃墜事例全数を調べた戦略予算評価センターのジョン・ステリィオン John Stillion による報告書を引用してセンサー、ネットワーク、武装の組み合わせが空中機動性を無意味にしたと断言している。「結論としてF-35はそんなに悪い機体ではない」とグアはまとめ、「一方で既存第四世代機はどんどん陳腐化している」とした。
英空軍の要求水準ではF-35Bに航空戦ミッションすべてを行わせ空母航空隊に編入する。F-35Bの空虚重量はF-35Aより3,200ポンドも重いので機動性で不利だ。ロッキード・マーティン重役で RAFでトーネードを操縦していたアンドリュー・リンステッドAndrew Linstead がデイリー・テレグラフ紙にF-35の状況認識能力を評価し、空中戦も変化していると語っている。「慣れ親しんだ方法論にしがみつく人は感情的なつながりさえ覚えるものだが、違う角度から考える必要がある。戦場の状況は二者択一の選択を求めてくる。敵を避けるか、必ず勝てる状況で対決するかだ」
グア、リンステッド、フリンの三人は論争の反対側にいるように写る。30年ほど前に戦闘機主流派がステルス至上主義者と論争したのは高性能戦術戦闘機(ATF)構想の要求性能が対象だった。当時、ステルスは潜水艦戦と同じだと主張する向きがあった。「最後に浮上して甲板の銃で戦う」のと同じだというのだ。AMRAAMミサイルが当時開発中であり、戦場ではたえず初回の 有視界外 beyond-visual-range (BVR) のミサイル交戦を生き残る機体が必ずあり、近接有視界射程within visual range (WVR)に入れば、ステルスに意味はないと主張した。
従来の主流派が勝利した。F-22ラプターは高度の機動性を備えた大型で多様な戦闘性能を実現すべく巨大な尾翼を備え、AIM-9ミサイルを機体前方ならどの方向にも発射できる機能を実現したが、代償に機内スペースを相当割いている。
これに対しJSF推進派は機動性を重視しないが立案者はBVRで勝利をおさめることは可能と主張した。それはステル性と状況認識能力によるものであり、WVRでは360度標的捕捉能力と分散型開口システムDistributed Aperture System (DAS) で対空ミサイルを発射できると見ていた。
ここで語られていないのは実は同機は両方とも実施できないことだ。F-22や成都J-20やスホイT-50のような機体側部兵装庫がなく、AAMをレイルから発射できない。F-35 ではAIM-9 を外部搭載するとステルス性はなくなるとロッキード・マーティンは認めている。
これは偶然ではなく、事業の実施で実現したことでもない。F-35は「空対地攻撃に7割、空対空戦に3割」という構想で始まった機体だ。これは共用高性能攻撃機技術 Joint Advanced Strike Technology (JAST)と呼ばれていた1995年時点に責任者ジョージ・ミューリナー George Muellner,が使っていたことばだ。F-117ナイトホークは第一次湾岸戦争のヒーローになったが、3つの制約があった。自機で目標を補足できず、移動目標は攻撃できず、状況認識能力も昼間の生存に必要な装甲もなかった。そこでJASTはすべての任務をこなした上で外部兵装搭載ポイントもつけ、防衛網を破壊したあとの第二陣攻撃に投入されるF-16の役割も果たそうとしたのだった。
1995年当時の空軍は F-22を442機調達しいかなる敵戦闘機にも対応させる構想で、短距離離陸垂直着陸機にはAAM搭載用の機体側部装備は大きさと重量の問題からそぐわないと判断された。Stovlには機体重量と主翼の大きさ、さらに機体全長で制約があった。
ATF正統派がまちがっていたらどうなるか。グアとリンステッドがこの点を指摘しているようだ。またWVR戦闘を避けることができるか。グアがスティリオン報告書を引用したことに2つの皮肉な効果がある。まず、スティリオンは前出のRAND報告の共同執筆者であり、二番目にスティリオンによるCSBA研究成果によれば将来の空中戦に勝ち残るためにはF-35もF-22も不要であり、高度ステルス無人航空機からAAMを発射すべきだという。無人機の制御は長距離打撃爆撃機のような機体から行えば良いとする。高性能な戦闘機はどうしても短距離しか飛行できず、それ自体は強力としても給油機は脆弱なままだ。(中国のJ-20が給油機等支援機材を直接狙う機体と考えるのは筆者だけではない)
この航空戦の捉え方の裏付けに航空戦の実績を広く研究したスティルトンの成果がある。機銃から短距離AAR、さらにBVR用AAMへの変遷がある。しかし、ここでちょっと待てとの疑義が出し、。これとは違う流れを見る向きもあろう。MBDAメテオ事業の関係者はBVR戦闘には今以上の機体操縦を高速度で行う必要があると見ている。歴史は確かに何かを教えてくれるが、それで全てが決まるわけではない。
注目すべきは空対空戦ではこの30年間でバランスが欠けていることだ。 米国および同盟国側が装備面で大きく有利な形で交戦してきた。西側にはスホイ高性能戦闘機との交戦経験はないし、ロシア製新型戦闘機と対戦しているが、ほとんどが初期型のMiG-29で、短距離しか飛べず、ソ連時代の地上管制による指示を受けて飛行していた。訓練と経験では西側が大きく有利だった。また空中早期警戒機の支援も西側にあり、その他情報収集機や電子妨害機の支援もあった。
交戦事例からBVRが生まれたのは驚くに値しないが、WVR交戦に持ち込むのは危険だとの認識が敵側にも生まれている。だが、このような均衡を欠いた状態がいつまでも続くはずがない。ダン・グアはF-35の機動性欠如を問題視していないようだが、本人は戦闘に参加しないのだ。■


2015年7月17日金曜日

日本向MV-22第一陣5機の売却決まる


まず第一期分ですね。オスプレイを他国に先駆けて導入するあたりが日本がいかに米国と近しいかの現れなのでしょうね。それとも各国とも導入したいが、ヘリコプターがあり、国防予算縮小のあおりで躊躇しているのか。どちらにせよオスプレイの真価が理解されれば導入は進むと見ているのですがいかがでしょう。

Japan Finalizes Purchase of 5 MV-22s in First International Osprey Sale

July 14, 2015 6:10 PM

U.S. Marines inspect an MV-22 Osprey tilt-rotor aircraft after landing on the Japan Maritime Self-Defense Force helicopter destroyer JS Hyuga (DDH 181) during amphibious exercise Dawn Blitz 2014. US Navy photo.
米海兵隊のMV-22オスプレイが海上自衛隊のヘリコプター護衛艦JSひゅうが (DDH-181)に着艦している。揚陸演習ドーン・ブリッツ2014で撮影  US Navy photo.


日本はMV-22を17機導入する計画だたが、まず5機の調達を決定した。日本がオスプレで最初の海外顧客になった。

米海軍は総額332.5百万ドルでベル・ボーイングに複数年度契約を交付し、同型機の製造、引き渡しに加え、サポート、訓練、装備も行わせることとしたと14日にベルヘリコプターとボーイングが共同発表した。

「V-22ティルトローター機は陸上自衛隊の能力を大幅に引き上げ、災害救助に理想的な機材です」(プレスリリースより)

米国防安全保障協力庁(DSCA)からは総額30億ドルで17機を販売すると議会に5月に通告していた。


「日本は防衛任務の支援強化策として輸送手段の更改に向かっている」とDSCAは述べており、「今回提案のV-22B ブロックC型は陸上自衛隊の災害対策人道救難ミッション以外に揚陸作戦の支援へも活用が期待される。今回の売却で同盟国日本から負担分担ならびに米軍との相互運用性の向上が期待される。日本は同型機の編入を容易に実現するだろう」

現時点でMV-22を運用するのは米海兵隊のみだが、米空軍は特殊作戦軍団が独自仕様のCV-22を運用し、米海軍も名称未決定の海軍仕様44機の導入を決定している。日本向販売は初の国際売却事例となる。■

2015年7月16日木曜日

ロシア>軍用機墜落相次ぐ、今度はTu-95爆撃機が中国国境付近で墜落



このところロシアで軍用機事故が連続発生しているのは興味深い現象です。プーチン大統領がめざす大国としてのロシアと、これまでの経緯から整備状況、訓練にお金をかけてこなかった空軍の現実のギャップが大きいのではと推察します。

Tu-95 Bear Bomber Crashes Near Russia’s Border With China

July 14, 2015 9:47 AM

A Russian Tupolev Tu-95 Bear 'H' off the coast of Scotland in 2014. UK Royal Air Force Photo
ロシアのツボレフ Tu-95ベア H型、スコットランド沿岸で2014年、英空軍撮影

ロシア空軍の戦略爆撃機が中国国境線に近いハバロフスク近郊で墜落したと14日ロシア国防省が現地報道を通じ発表した。

  1. 事故機はツボレフTu-95MSベア爆撃機で訓練中にロシア東方軍区司令部から50マイル地点に墜落したとTASS通信が配信。「7月14日現地時間午前9時50分、Tu-95MS機が定期的訓練飛行途中にハバロフスクから約80キロ地点で墜落した。乗員は機外脱出した」
  2. 「機長が緊急事態を宣言し乗員にパラシュート脱出を命じた。捜索救難隊が乗員を捜索中」
  3. またTASS通信によれば捜索救難活動にアントノフAn-12、ミルMi-8ヘリコプター2機が動員されている。
  4. この事故を受けロシア空軍は同型機の飛行を中止している。事故機ではエンジンで問題が発生したとの報道がある。■