2016年4月11日月曜日

★米海軍で深刻な情報漏えい発覚。電子情報収集関連で現役少佐を訴追 中国の影



本件はまだ詳細は不明ですが、中国が西側に対して展開している広範囲なスパイ活動の氷山の一角であるのはあきらかでしょう。どの情報が流れたのか、流れていないのかが今後判明すれば米軍のISR活動に大きな影響が出そうですね。

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U.S. Naval Flight Officer Lt. Cmdr. Edward Lin Accused of Giving U.S. Secrets to China

By: Sam LaGrone
April 10, 2016 3:13 PM • Updated: April 10, 2016 9:46 PM

Lt. Cmdr. Edward Lin
エドワード・リン少佐


情報収集活動で経験が豊かな米海軍の飛行士官が機密情報を中国へ手渡して海軍内部で訴追されていることがわかった。

  1. エドワード・C・リン少佐は海軍で最大機密度の情報収集機に搭乗した経験を有するが、スパイ活動他の容疑でノーフォーク(ヴァージニア州)で先週金曜日統一軍事裁判法典第32条による予備審問を受けている。
  2. リン少佐は台湾生まれで米国へ移住した一家の出身で、通信情報収集の専門家としてロッキード・マーティンEP-3EアリエスIIで勤務していたことが複数の筋から判明した。詳しい筋によれば少佐が情報を渡した相手は中国だが詳細は証拠等が機密扱いのためほとんどわからない。
  3. 編集の入った訴追文書ではリン少佐が米国外に機密情報を許可なく持ち出し帰国後に旅行先について虚偽申告したと記されている。文書では少佐は二回にわたり情報を持ち出し、別に三回もスパイ活動を試みたとしている。
  4. 海外に機密情報を持ち出した罪に加え少佐は売春婦のパトロンになり、姦通したかどでも統一軍事法違犯で告発されている。.
  5. リン少佐は現在ノーフォークの哨戒偵察部隊付けとなっており、軍事法廷に先立ち身柄を8か月にわたり拘束されていると判明した。
  6. 2008年時点の帰化市民を取り扱った海軍の発表資料では「リンは14歳で台湾を離れ世界を半分移動する途中多数の国を通過した」と記している。
Then-Lt. Edward Lin speaking at 2008 U.S. naturalization ceremony in Hawaii. US Navy Photo
当時は大尉だったエドワード・リンが2008年ハワイでの帰化式典でスピーチをしている。US Navy Photo

  1. 少佐は中国語を不自由なくあやつり、ハワイにある第二特殊プロジェクト哨戒飛行隊「ウィザーズ」(VPU-2)に配属されEP-3Eに搭乗していた。同機は対潜哨戒用途のP-3Cオライオンと外観は似ているが、用途は電子信号を収集することにある。
  2. 米軍が敵対勢力になる可能性のある相手からどのように電子情報を集めているかはもっとも強固に守られた機密事項だ。米軍の情報収集方法が分かれば、相手方も対抗手段を講じられる。リン少佐はEP-3E搭乗の経験からこの重要情報を知っていた可能性がある。
  3. その他にもリン少佐は2012年から2014年にかけて議会連絡係として海軍次官補(財務出納担当)を補助している。
  4. 海軍の現役将兵による重大なスパイ活動としてはジョン・ウォーカー事件があった。海軍で18年間勤務する下士官潜水艦乗員が軍事機密をソ連に渡していたが、1985年に摘発されている。■


カーター長官がTHHAD韓国配備は実施すると明言



Carter: THAAD in Korea 'Going to Happen'

Aaron Mehta, Defense News5:50 p.m. EDT April 8, 2016

THAAD(Photo: Ralph Scott/DoD)
WASHINGTON — 最終段階高高度広域ミサイル防衛システムTHAADの韓国配備は実施に向かっているとアシュ・カーター国防長官が4月8日に発言した。
  1. 長官は外交問題評議会においてTHAADを朝鮮半島に配備するのかとの問いに単刀直入に答えている。
  2. 「配備は必要だ。これは米韓両国の問題で、半島内に駐留する米軍の防御に関することと同時に韓国防衛にもつながる。中国は関係ない。自国民を守るためであり、同盟諸国の防衛も必要だ」
  1. 相次ぐ北朝鮮のミサイル実験を受けて、韓国はTHAAD配備で米国との協議を公式に開始した。だが中国がTHAAD導入を巡って神経をとがらせており同時に導入するレーダーは中国領土内の監視スパイ活動につながると主張している。THAADの構成単位はトラック搭載発射台6基、迎撃ミサイル49発、射撃管制通信部分とAN/TPY-2レーダー一基だ。
  2. 中国はこれまでも米韓両国にTHAAD持ち込みを断念させようとしており、2月に米太平洋軍司令官ハリー・ハリス大将が以下述べていた。
  3. 「中国が米韓同盟関係に干渉しようとするのは本末転倒と言わざるを得ない。THAADは中国に脅威を与えるものではない」
  4. 同様にカーター長官もTHAADを米韓の問題と位置付けるが、強固な中韓のつながりに「大変勇気づけられている」と発言している。
  5. 長官は「中国がこちらと同じ方向に動き、北朝鮮にもっと効果的に働きかけ、ミサイル問題を阻止することを期待している」■

インドがSLBM発射実験に成功した模様


原子力潜水艦に弾道ミサイルを搭載したインドの意図がどこにあるのかわかりませんが、今回のミサイルは長射程であり、従来の仇敵パキスタンに加え中国も抑止力の対象にしているのでしょう。ただし、ベンガル湾を活動範囲とすればパキスタンより中国に近い発射地点が確保でき、防備を固めれば「聖域」にすることが可能ですね。
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EXPRESS EXCLUSIVE: Maiden Test of Undersea K-4 Missile From Arihant Submarine

By Hemant Kumar Rout | ENS
Published: 09th April 2016 12:17 AM
Last Updated: 09th April 2016 12:35 AM

  1. BALASORE: 国際社会の圧力をものともせず、インドは秘密裡に水中発射弾道ミサイルの発射実験に成功した。ミサイルの暗号名はK-4で、発射したのはINSアリハント、発射地点はベンガル湾の某所とされる。
  2. 信頼できる筋によれば発射は3月31日、アンドラプラデシュ州ヴィシャカパトナム沖合およそ45マイルでダミー弾頭を搭載。

KILLER K-4

中距離潜水艦発射弾道ミサイル
射程 – 3,500 km
全長 – 12 meter
直径 – 1.3 meter
重量 – 17 tonne
弾頭 – 2,000 kg
推進方式 – 固形燃料
精度 – CEPほぼゼロ

  1. 実験には戦略軍司令部(SFC) の要員が立ち会い、DRDO国防研究開発機構が全体を支援した。ミサイルは深度20メートルの潜水艦から発射された。INSアリハントはK-15(B-05)ミサイル試作型の発射に昨年11月に成功している。
  2. 実用射程が3,500キロ近くあるミサイルは北に向けて発射され700キロ近く飛翔したが、円形公算誤差(CEP)はほぼゼロだったと同筋は明らかにした。
  3. DRDOは今回の実験について言及を避けている。K-4関連、アリハント関連の各要員も口を閉ざしている。
  4. 3月7日には水中のはしけを潜水艦に見立てて同ミサイルを発射している。DRDOはこの挙行そのものを認めていないが実験は成功したらしい。
  5. K-4は昨年1月のエアロインディア航空ショーで展示されていた。K-4は滑空中に飛翔速度を上げて対弾道ミサイルをかわすといわれる。衛星信号により飛翔コースを修正する同ミサイルは極めて威力が高く、世界に類を見ない存在だとしている。
  6. INSアリハントは全長111メートルで垂直発射管を4つ備える。K-4ミサイルなら4発、B-05 (K-15) ミサイルは12発を搭載可能で533mm魚雷も6発積む。出力85MWの原子炉で濃縮ウラニウムを燃料とする同艦の最高速力は水上で15ノット、水中で24ノットで95名が乗り組む。
  7. K-4はアリハント級の建造中のINSアリダマンにも搭載され、同級は合計4隻の戦力になる。今後建造される艦では発射管が8本になる。■
By gagan@BRF (Gagan. Created on MS Paint) [Attribution], via Wikimedia Commons


2016年4月10日日曜日

F-35受入態勢を整備する英国で基地整備工事が今月開始



UK announces F-35 infrastructure contracts

Gareth Jennings, London - IHS Jane's Defence Weekly
07 April 2016

RAFマーハム基地内に新設される設備の想像図。2018年に完工し、英国用機材の到着に間に合わせる。
Source: BAE Systems
英国防省はロッキード・マーティンへ142百万ポンド(200百万ドル)で英軍向け共用打撃戦闘機の本拠となる基地で設備を新設する契約を交付した。
  1. 4月7日に発表されたもので、ノーフォーク州マーハムの英空軍基地で英海軍が導入する短距離離陸垂直着陸型F-35B向け支援用施設を三棟建設する。
  2. ロッキード・マーティンは118百万ポンドでBAEシステムズに建設の監理を再委託し、建設はバルフォアビーティ Balfour Beatty社が行う。対象は兵站業務センター、統合訓練センター、保守点検最終仕上げ棟の三つだ。建設は今月末から始まり、2018に完工する。この時期に第617「ダムバスター」飛行隊とF-35Bの初号機が同基地に到着する。
  3. BAEシステムズの生産施設(ランカシャー州サムルズベリ)で第10号機の機体部分が完成しており、テキサス州フォートワースのF-35最終組立て工場へ搬送される。
  4. BAEシステムズは2015年12月にサムルズベリ工場を拡張し増産に備えると発表していた。同社は機体後部、垂直・水平尾翼部分と空母運用型の専用翼端部分を製造する。同社は燃料系統、乗員緊急脱出システム、生命維持装置、機体状態の診断管理装備、英海軍空母での運用に向けた調整も同時に担当している。
  5. 英国はJSFのレベル(ティア)1協力国として唯一の存在でおよそ15%の製造を受け持つ。英国の観点からすれば総額1.5丁億ドルのF-35各国向け調達は国内総生産では300億ポンドの経済効果を2009年から2036年にかけてもたらし、25千名にのぼる国内雇用を生むことになり、航空宇宙産業基盤の相当部分を占める存在だ。■


2016年4月9日土曜日

★BAEが陸上自衛隊向けAAV7A1の製造を受注したと発表



BAE Systems to Provide Upgraded Amphibious Assault Craft to Japan

POSTED BY: MATT COX APRIL 8, 2016

An upgraded version of BAE Systems' Assault Amphibious Vehicle. Photo: BAE Systems.
BAEの強襲水陸両用車両の改良型 Photo: BAE Systems.


BAEシステムズが日本の防衛省から新型強襲水陸両用車両の製造を受注した。
  1. 契約では陸上自衛隊が進める揚陸運用能力養成を支える内容になっていると同社は発表。
  2. 「日本軍の能力増強を当社の高性能水陸両用車両で支援できることを誇りに感じる」とディーン・メドランド戦闘車両事業担当副社長は語っている。「AAV製造メーカーとして当社には長い実績があります」
  3. BAEシステムズは契約の金額規模については何ら情報を開示していないが、AAV7A1を30両および補給部品と試験設備を提供するという。この車両はRAM/RSつまり信頼性・稼働性・保守性向上型と呼ばれ、同社は自衛隊向けに運用訓練も実施する。
  4. AAV7A1 RAM/RSはエンジン出力を増やし、駆動系も強化しており、サスペンションも改良しているのでAAV7A1通常型より性能が上がっていると同社は発表。さらに機動力、指揮統制能力、補修能力も引き上げられ、兵員や物資を揚陸艦から陸上へ運ぶことができる。
  5. 生産は同社のヨーク工場(ペンシルヴァニア州)で今年8月から始まり、初号車は来年8月に引き渡されるほか、同年年末までに全車両が日本へ納入される。■


★無人ASW艦シーハンターが海上公試へ



いきなり無人艦隊ができるわけではありませんが、重要な一歩になりますね。LCSとの組み合わせで海軍もダウンサイジングになっていくのでしょうか。どうせならもっと小型化して必要な場所に空輸投下して運用することはできないでしょうか。電動化が完成すれば、水中無人機も併せて海上に充電ステーションができれば燃料の問題が克服できます。(ステーションの防護が必要) 人工知能の導入でもっと高度な作戦も将来可能になるのでは。と夢がどんどん広がります。
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Unmanned Sub-Hunter To Begin Test Program

Christopher P. Cavas, Defense News11:59 a.m. EDT April 7, 2016
WASHINGTON ASW対潜水艦戦には忍耐と限界がいつも試される。乗組員はどこまで耐えられるのか。いつまで追跡の主導権を握れるか。原子力潜水艦でない場合は海中でいつまで機関を運転できるか。
  1. そこで無人艦が登場する。燃料という制約条件こそあるが乗員関連の制約はない。小型無人水上艇や水中艇はこれまでも存在しているが、米海軍はこれまでと一線を画した対潜戦連続追跡無人艦Anti-Submarine Warfare Continuous Trail Unmanned Vessel (ACTUV)(排水量145トン、全長132フィート)を開発した。最長三か月洋上で潜水艦探知をめざす。
  2. ACTUVは『アクティブ』と発音し、「高水準の自律運用を実現する」と開発にあたったDARPAのスコット・リトルフィールドが報道陣に語っている。「たんなる遠隔操縦ボートとは次元が違う」
  3. 操縦操艦はコンピュータ制御だが人員が絶えず監視して必要なら操艦を引き継ぐとリトルフィールドは説明した。この方式はスパース監視制御と呼ばれる。
  4. 開発はDARPA国防高等研究プロジェクト庁が当たり、主契約企業はレイドス、建造はヴィガー造船所(オレゴン州ポートランド)が行った。特殊用途の小舟艇の建造が得意な施設だ。
  5. ACTUVは1月に進水し、シーハンターの名称がつきポートランドで公試を行っていたが、本日正式に就役し、今後サンディエゴへ回航されDARPAと海軍研究所(ONR)が二年間かけて構想の有効性とともに各種センサーを試す。
  6. シーハンターは燃料40トンを搭載する。これまでの公試での最高速度は27ノットだったとリトルフィールドは述べているが、海上の状態や燃料の残量で速度は変わる。想定する運用上の海面状況はわずかな波高の第五段階から六段階で波は最高半フィートで風速21ノットとしているが、第七段階(荒天かつ波高20フィート)でも生き残れる。
  7. 船体には複合材が多用され形状はポリネシアの戦闘カヌーのように長細く、両弦に平行してついたフロートが船体を支える。
The Sea Hunter was launched by crane at Vigor Shipyards,シーハンターはクレーンによりオレゴン州ポートランドのヴィガー造船所で2016年1月に進水した。(Photo: DARPA)
  1. シーハンターは武器を搭載せずセンサーで潜水艦を探知追跡する。沿海戦闘艦LCSとの共同運用する構想でLCSのASW装備の一部となるとリトルフィールドは説明。
  2. 試験期間中は取り外し式の乗員操作部をに一名が乗り込み、「安全とバックアップ支援にあたる」とリトルフィールドは説明した。「信頼性の問題が証明されるまで継続して待機する」
  3. DARPA事業としてシーハンターも海軍の作戦用艦艇の試作型の位置づけではないが、そうなる可能性はある。リトルフィールドも「経済的で大量に調達できるものを作る」のが目標だという。
  4. 一号目ということでシーハンターはやや高めの価格がついている。「建造費は22百万ドルから23百万ドルの間になりそうです。量産化すれば20百万ドルになるでしょう。安くはないですが、有人艦艇よりは低価格になります」とリトルフィールドは述べている。一日当たりの運用コストは15千ドルから20千ドルだという。
  5. ただしこのコストには事業経費としての技術開発、設計、ソフトウェア関連は含まれていない。■
A small, removable pilot house is fitted on the Sea小型取り外し可能な操作員用の収納スペースがシーハンターに搭載され海上公試に臨む。(Photo: DARPA)



2016年4月8日金曜日

米海軍がイエメン向け大量の兵器を洋上で押収しています


おそらく洋上で搬入を阻止された火器類は氷山の一角でイランが中東の戦乱に相当の役割を果たしていることが推察されます。オバマ政権が末期にイラン、キューバと連続してこれまでの政策を変更していますが、こんな事態が普通にあるのであればイランについてはその真意を疑わざるを得ませんね
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U.S. Navy Seizes Suspected Iranian Arms Shipment Bound for Yemen

By: Sam LaGrone
April 4, 2016 10:50 AM • Updated: April 4, 2016 11:41 AM

A cache of weapons is assembled on the deck of the guided-missile destroyer USS Gravely (DDG 107). The weapons were seized from a stateless dhow which was intercepted by the Coastal Patrol ship USS Sirocco (PC 6) on March 28. US Navy Photo
押収した武器の山が誘導ミサイル駆逐艦USSグレイヴリー(DDG-107)艦内に集められた。火器類は国籍のないダウ船にあり、沿岸警備艇USSシロッコ(PC-6)が3月28日に押収したもの。 US Navy Photo

米海軍艦艇二隻が貨物船を拿捕し、不法に運び込もうとしていた武器をペルシア湾で押収した。貨物船はイエメンのフーシ戦闘員への補給を狙っていたと海軍が4月4日に発表した。

  1. 国籍のないダウ輸送船はサイクロン級哨戒艇USSシロッコ(PC-6)が3月28日に停船させ、臨検隊がAK-47自動小銃1,500丁、RPG発射機200丁、50口径機関銃21丁を船倉で見つけており、イランを出港したと見られた。
200 RPG launchers as part of the seizure. US Navy Photo
押収した武器類にはRPG発射機200丁もあった US Navy Photo

  1. シロッコは応援を求め誘導ミサイル駆逐艦USSグレイヴリー (DDG-107) が拿捕と武器押収を行ったと第五艦隊は発表。
  2. 「今回の拿捕はイランから出発し不法に武器類を搬入しようとする一連の流れの最新事例」と米海軍は発表している。「武器類は米国管理下にあり、最終処分方針を待つ状態だ。輸送船と乗員は武器押収の直後に帰港を許された」
USS Sirocco (PC 6) assigned to Commander, Task Force (CTF) 55 during a bilateral exercise with the Iraqi Navy. US Navy Photo
USS シロッコ(PC-6) US Navy Photo

  1. ペルシア湾では有志連合軍による同様の武器押収が続いている。「オーストラリア海軍のHMASダーウィンが2月27日に海上でAK-47およそ2千丁、ロケット推進手りゅう弾発射機100丁、PKM汎用機関銃49丁、PKM予備弾倉39個、60ミリ迫撃砲砲身20丁を押収している」と海軍は発表。
  2. 「3月20日にはフランス海軍の駆逐艦FSプロヴァンスがAK-47を2千丁、狙撃ライフル64丁、対戦車ミサイル9本他を押収した」
  3. シロッコは前方配備としてバーレーンから運用しており、グレイヴリーはハリー・S・トルーマン空母打撃群に所属。■

純増に転じた世界の国防支出傾向、世界はどちらへ向かうのか 



Global Military Spending Grows For First Time Since 2011

Aaron Mehta, Defense News6:19 p.m. EDT April 4, 2016
WASHINGTON — 2015年の世界全体の軍事支出は1.6兆ドル超と、前年よりおよそ1パーセント増加したとストックホルム国際平和研究所 (SIPRI)が明らかにした。
  1. 2011年以来初めて増加に転じたことになる。とくに目立つのがアジアとオセアニア、中欧東欧や一部湾岸諸国。米国では逆に減少したもののペースは前年よりゆるやかになっている。
  2. SIPRIは年次報告で世界規模の軍事支出を追っている。発表と同時にSIPRIはワシントンDCのスティムソンセンターでセミナーを開催し記者はパネリストとして出席している。
  3. SIPRIは「軍事支出」の定義として各国軍部向けの支出活動に平和維持活動や国防関係の中央省庁等の費用に加え訓練や装備調達、さらに軍事関連の宇宙活動も含めている。
  4. 最大の軍事支出国は米国で5,960億ドルで中国が2,150億ドルなのでほぼ三倍の規模だ。ただし、この米国の数字は2014年より2.4パーセント縮小している。
  5. サウジアラビア(872億ドル)がロシア(664億ドル)を追い越し三位になった。この原因にルーブル安があるという。同様にユーロ安で英国(555億ドル)とフランス(509億ドル)はそれぞれ5位、7位になった。
  6. レポートでは原油価格の下落が国防支出に与える影響を取り上げ、「唐突な国防支出削減」がアンゴラ、チャド、エクアドル、カザフスタン、オマーン、南スーダン、ヴェネズエラの各国で発生したと述べている。財政が原油輸出に依存しているロシアやサウジアラビアはその流れに逆らっているが、2016年には支出減に向かうとレポートは予想している。
  7. 地域別では、アジアオセアニアが5.4パーセント増の4,380億ドルでこのうち49パーセントが中国だ。中国の軍事支出はインドの四倍を上回り、2006年との比較で64パーセント拡大した域内の軍事支出増大傾向で先頭に立っている。
  8. ヨーロッパ全体の軍事支出は1.7パーセント増の3,280億ドルで東欧の伸びが大きい。ロシアやロシアのウクライナ領併合で動揺した各国がここに入る。東欧に限れば2006年との比較では90パーセントも増えている。
  9. ラテンアメリカやカリブ海各国の軍事支出は2015年は2.9パーセント減で670億ドルになったが、アフリカも5.3パーセント減の370億ドルになった。ただし中東については個別データ公表を差し控えた。「2015年分のデータが入手できない」ためだという。■


2016年4月7日木曜日

★★CH-47チヌークは2060年代まで現役で活躍する



もちろん同じ機体が100年間飛行できるわけではありませんが、基本設計が100年間有効というのは驚くべきことで、昔は想像もつかなかったことですね。同様にC-130も一世紀にわたる機体になるのでしょうか。100年とはいかなくても50年以上同一機体が運用される事例もこれから増えるでしょう。
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Army Chinook Helicopter to Fly for 100 Years


KRIS OSBORN
03/10/2016

CH-47チヌークは改良を重ね2060年代まで供用される見込み。

  1. 米陸軍はヴィエトナム時代から稼働してきたCH-47チヌーク輸送ヘリコプターを100年間にわたり供用する。各種の改装で性能は向上し、機体重量、エイビオニクス、貨物取り扱いで改良が目立つ。陸軍が同機を2060年まで使うと供用期間は100年を超える。
  2. 最新型のチヌークFは技術進歩の成果を取りこみ、糧食、兵員、補給品をアフガニスタンの高地で運搬している。
  3. 最高速度は170ノット、航続半径400カイリで最高18,000フィートまで上昇できる。高高度性能はアフガニスタン山地での運用で頼りにされている。全長52フィートで離陸最大重量は50千ポンドで26千ポンドの貨物を搭載できる。さらに機関銃三丁を搭載できる。
  4. F型はさらに改良を受けており、デジタルコックピットは共通エイビオニクスアーキテクチャシステム(CAAS)と呼ばれ、パイロットと機体のインターフェースで大幅な改善がみられる。また搭載コンピュータの性能が上がり乗員は正しい判断を迅速に行えるようになった。
  5. 米陸軍はF型を2018年までに440機整備する。F型は2020年にブロック2改装で高高度高温環境すなわち高度6,000フィート華氏95度での機体操縦性を高める。
  6. ブロック2では最大離陸重量を54千ポンドに引き上げ、新型共用軽量戦術車両 Joint Light Tactical Vehicle を機体下につりさげて運搬できるようになる。これにより陸軍は車両他の装備を戦術的に効果的な形で地上走行させずに展開できるようになる。これはアフガニスタンのような地上インフラが未整備の地では有効策となる。

  1. ブロック2ではエンジンはハネウェルT55-715が搭載され出力が2割増えるとAviation Weekが伝えている。また新設計のローターに複合材を使い、4千ポンドの揚力追加を狙う。.
  2. そのほかの特徴として貨物搭載積み下ろしシステムCOOLSがあり、機内の床面にローラーを配置し、貨物をペレット単位で移動させる。これにより機体の防御性能が高まるという副次効果も期待できる。
  3. この他F型では自動操縦機能もあり、パイロットが負傷しても飛行を続け、障害物を回避できる。
  4. 機体構成の見直しでこれまでのリベット多数が不要となった。機体構造の見直しでMH-47G(特殊作戦用機材)で採用した機首と後部構造をF型に流用するという。
  5. この他、小型携帯型の診断装置を導入し、整備が必要な個所を事前に示し、故障を予防すると陸軍は発表している。
  6. ATIRCMつまり高性能赤外線脅威対策を軽量化したのがCIRCMで、ハイテクのレーザージャマーで誘導ミサイルを回避することがミサイルの軌跡を赤外線で探知することで可能になる。複数バンドの熱レーザーをミサイルに放射して軌跡を変えるのだ。ATIRCMはイラク、アフガニスタンで投入中のヘリコプターにはすでに搭載されており、CIRCMはその後継装備として重量が軽減されており、今後多数の機体に導入されるだろう。
  1. その他として有用性が戦場で証明済みの防御装備が供用ミサイル警戒システムCMWSがあり、紫外線センサーで接近してくる攻撃を感知してからフレアを放出し、ミサイルの飛行経路を狂わす。
  2. さらに小火器探知システムが長年かけて整備されており、機体に向けられる敵の小火器銃撃の発射地点を割り出し、機体乗員を守る仕組みができている。■


★海軍向けオスプレイCMV-22Bの開発がスタート



海軍版のオスプレイですが、文中にある複数年度契約で調達実績に空白ができる云々のくだりはよくわかりませんが、長年続いたグラマンの海軍向け機材の伝統もこれで空白期間が生まれることになりますね。
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NAVAIR Awards Bell-Boeing $151 Million To Begin Navy-Variant V-22 Design

By: Megan Eckstein
April 1, 2016 12:36 PMUpdated: April 1, 2016 5:20 PM
A Marine MV-22 on USS George Washington (CVN-73) in support of Operation Damayan on Nov. 18, 2013. US Navy Photo
海兵隊のMV-22がUSSジョージ・ワシントン(CVN-73)に着艦し、大型台風の被害を受けたフィリピンの災害支援作戦Operation Damayanの支援にあたった。2013年11月18日。 US Navy Photo
米海軍航空システムズ本部NAVAIRはベル=ボーイング共同事業体に151百万ドルで海軍用V-22オスプレイの初期技術開発作業を実施する契約を交付した。海軍は同機を空母輸送機(COD)として使用する。

  1. 今回の契約でベル=ボーイングは飛行距離の延長と高周波見通し線外通信、機内通報装置を原型MV-22に加える。海軍は今年二月に海軍版はCMV-22と呼称すると発表していた。空軍には多用途・特殊軍団向けCV-22があり、海兵隊用のMV-22を合わせた呼称になっている。
  2. 2016年度の予算手当は短期開発の開始部分に相当し、2018年度に一号機の調達を2018年に目指し、2020年度に引き渡し開始を想定する。海軍は44機を調達する。
  3. 海軍長官レイ・メイバスは上院軍事委員会公聴会で海兵隊向けMV-22調達が減少する一方でCOD後継機は加速し、オスプレイの複数年度調達予算の一部に経費を盛り込めると説明。海兵隊は2017年度はオスプレイの発注はしていなかったが議会の予算合意で国防費が抑制されたため2機を追加する動きを示している。
  4. 公聴会の席上でジャック・リード上院議員(民、ロードアイランド)から海兵隊調達の海軍のCMV-22B調達の間に空白が生まれるのは複数年度調達契約の違反になるとの指摘があった。これに対しメイバス長官は「複数年度事業を中断するのは本意ではない」と回答した。しかしリード議員の広報担当はUSNI Newsに対し「提出通りの予算を承認すれば複数年度契約の不履行となり、リード上院議員は引き続き状況を監視していく」と伝えてきた。
A C-2A Greyhound assigned to the Rawhides of Fleet Logistics Support Squadron (VRC) 40 launches from the flight deck of the aircraft carrier USS Dwight D. Eisenhower (CVN 69) on Jan. 31, 2016. US Navy photo.
C-2Aグレイハウンド(所属VRC-40艦隊第40兵站支援航空隊ローハイズ)がUSSドワイト・D・アイゼンハワー’CVN-69)から発艦している。2016年1月31日。 US Navy photo.

  1. CMV-22Bが交代するのはノースロップ・グラマンC-2Aグレイハウンド・ターボプロップ機で、海軍は1965年から同機を使用しており、1984年に追加発注している。グレイハウンドは陸上基地に配備され、空母航空隊の一部ではないが、人員・郵便物・貨物を陸上基地から空母へシャトル輸送するのが任務。ヘリコプターが空母から他艦へ貨物を配送する。オスプレイの場合は陸上基地、空母に加え海軍海上輸送本部が運用する補給艦、駆逐艦、揚陸艦他にも離発着できるので高い効率性を発揮するだろう。
  2. 海軍はCMV-22Bをどう運用するのか発表していないが、そもそもの任務を「緊急長距離輸送を実現し、人員・郵便物・重要貨物を前進基地から海上基地に補給する」と想定していることからグレイハウンドで実施してきたハブアンドスポーク方式以外の輸送補給任務も想定していると思われる。■


2016年4月6日水曜日

人体強化兵士、人工知能兵器の可能性について国防副長官の見解は....


 
この話題は以前からお伝えしていますが、背景には西側とは異なる倫理観を持つロシア、中国が人体改造を行っているのではとの危惧があるのでしょうね。それとは別に文中で指摘されているような生物兵器による食糧生産の妨害や水資源の汚染という現実的な課題もあるのでしょう。遺伝子操作とまでいかなくてもエクソスケルトンのような補装具が現実のものとなっている今、軍の兵力が人体の限界から解放される日が近づいているのかもしれません。一方でAIの進展が今後の戦場をどう変えるのかが注目されます。
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By COLIN CLARK on March 30, 2016 at 5:37 PM

Terminator army Credit: Warner Bros.Terminator army Credit: Warner Bros.
WASHINGTON: 米軍上層部は遺伝子操作による人体強化および人工知能を備えたマシンの二つが一番悩ましい政策内容だと認めている。
  1. 国防副長官ボブ・ワークはこの問題を把握しており、米国は人工知能兵器やその他自動化装備による殺傷は認めないと語っている。ただし人体の遺伝子操作を米軍が実施するかについては言葉を濁し、「実施すれば物議をかもすだろう」とだけ述べた。
  2. ワシントンポストの人気コラムニスト、デイヴィッド・イグナシウスから敵がロボットに強力な威力を与えることを躊躇しないとしたら米国はどう対抗するのかと聞かれたワーク副長官は「人体機能支援」と「人体機能強化」の違いを説明することであいまいな答えに終始した。前者はコンピュータやセンサーで人体機能を引き上げること、後者は遺伝子改良された人体のことだという。「今のところ、人体機能支援の範囲で考えている」とワークは答えた。
  3. DARPAの案件をチェックすれば、生物工学部などで最先端のプロジェクトがあり、改良型人体につながる要素が見えてくるはずだ。
  4. たとえばDARPAによる複雑環境下での生体頑強度実現 Biological Robustness in Complex Settings (BRICS) 研究の主眼は以下の通りとしている。
  5. 「各種技術と技法を開発し、遺伝物質の迅速な処理、合成、操作を行うことで、合成生物学の熟成化加速に成功した。合成生物学の応用分野にはオンデマンドによる新薬、燃料、表面塗装剤で生物学的生産を行い、微生物レベルの操作でヒトの健康維持、疾病の予防あるいは治療を可能にすることが考えられる
  6. 「もし上述の応用が実現すれば、生体上の頑健度や工学操作した生体の安定度が実現する一方で生体の安全の維持向上につながる。本事業は技術開発を促進し、工学操作した生命体の安全な応用での前提条件を形成することであるが、国防総省が関心を有する全領域での応用が必要で、まずは実験室の制御された条件において成立させる」
  7. 遺伝子工学が浮上してきたのは米国にとって生物兵器が最上位の脅威になっているからだろう (国内の農業生産が目標となるのか、国民あるいは水資源が狙われる可能性がある) 敵のこのような攻撃に対して人員を防護するためには反作用薬や遺伝子強化を組み込んだ特効薬の素早い生産が必要になる。
  8. もちろん補装具を開発すれば今以上の体力や耐久力、スピードを有するヒトを遺伝子操作がなくても実現できる。
  9. ワーク副長官の発言のに先立ち統合参謀本部副議長ポール・セルヴァ大将は映画ターミネーター問題 the Terminator Conundrumと発言している。
  10. 記者はセルヴァ大将にこの問題を1月に尋ねており、本人はこう言っていた。
  11. 「どこで一線を超えるのか、だれがまず一線を超えるのか」とセルヴァ大将は人体へのマイクロエレクトロニクス埋込みの可能性について述べている。「人体改造はどの時点で許されるか。まただれがこれを一番早く実施するのか。これは本当に困難な倫理上の問題だ」と国際的な議論が必要だとし、本人は明らかにジュネーブ条約の改正あるいは追加または全く新しい国際合意の形成を考えていた。
  12. ボブ・ワーク副長官はそんな議論を歓迎しそうだ。■