2020年3月2日月曜日

米空軍がMQ-9リーパー調達を終了する背景

米空軍がMQ-9リーパー調達を突如終了し、新型無人機調達に切り替えか
これまでジェネラルアトミックスが米無人機生産の中心だったが、戦術面の現実の前にこれも変わりそうだ。

第432航空団所属のMQ-9 リーパーと運行に当たる隊員がネヴァダの夕日の中に立つ。432ND WING PUBLIC AFFAIRS—PUBLIC DOMAIN


空軍の2021年度予算要求でMQ-9リーパー無人機の最終購入24機が盛り込まれている。これまで生産はまだ5年は続くと見られており、363機のMQ-9調達になると予想されていた。突然の変更には深い意味がある。まず、メーカーのジェネラルアトミックスには急な話でありとても歓迎できない話だ。二番目に空軍もやっと無人戦闘航空機の残存性に優先順位を認めたということだ。超大国間の戦闘で無人機にも大きな役割を期待される。 

MQ-9の生産継続に黄色信号がついたのをAir Force Magazineが2020年2月26日に伝えており、ジェネラルアトミックス副社長クリス・パーソンが同社の状況に触れていた。

「突然の生産ライン閉鎖ですが次への展望がないまま、情報偵察部門にも混乱が生まれます。この影響はゆくゆく戦闘の第一線に現れますよ。この機体は訓練用じゃないんです....当社は納入の22ヶ月前からリードタイムの長い部品を手当してるんです....衛星受信機やエンジンとか....政府にも最適価格を提供してきたんです」

サプライチェーンに投資する中で突然はしごを外された格好...生産画境中止になればすぐ影響が出ますよ。雇用にも。解雇やレイオフとなれば新機種を生産しようとしても必要な技能職がすぐ見つからなくなります」

ジェネラルアトミクスにはとても郎報といえない。同社にはリーパー派生型のスカイガーディアン事業もあり、通常の航空交通の中を飛び、40時間連続飛行や高度50千フィートまでの運用性能がある。だが、リーパー生産ラインが閉鎖されれば空軍の遠隔操縦機調達での同社の独壇場も終わりを告げることになる。MQ-9は空軍の戦闘用無人機部隊で中心的存在だ。


GENERAL ATOMICS
スカイガーディアン


また同社はエル・ミラージュに巨大な新設備を完工したばかりだ。新施設には120千平方フィートの大格納庫があり、スカイガーディアン事業のために建設したといわれるが、それだけでは大きすぎる規模だ。


GOOGLE EARTH
ジェネラルアトミックスのエルミラージュ施設。2018年撮影。巨大施設が同社事業所の東端に建設された。
PHOTO © 2020 PLANET LABS INC. ALL RIGHTS RESERVED. REPRINTED BY PERMISSION


スカイガーディアンを現時点で発注しているのは英国空軍とベルギーで、オーストラリア空軍も導入の意向ありといわれ、その他数カ国も関心を示している。
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MQ-9では米海軍が2020年度予算で海兵隊向けに2機調達したのがめだち、2021年度にも3機を導入する予定だった。

同時に空軍は委託業者によるオービット、つまり無人機による常時上空飛行の回数も減らす。無人機4機と運用チームによるオービットは現行の70が60に減らされる。


USAF
ジェネラルアトミックス保有の MQ-9が米空軍向け委託事業でポーランドのミロスラヴィエック 航空基地滑走路をタキシー中。2019年3月撮影。

米陸軍向けMQ-1Cグレイイーグルもプレデター・リーパーファミリーの一部で同じく生産が終わりに向かっている。陸軍の調達は2020年度でわずか9機、2021年度はゼロだ。

MQ-9は米国税関国境防備隊も使っており、ジェネラルアトミックスが同機につけたプレデターBの名称をそのまま使っている。NASAでは科学調査用途に二機を運用している。Air Force Magazineでは同社は小口需要にはスカイガーディアンに変更してもらい、1機種の生産に集中することで性能、価格面で効果が生まれると希望しているとのことだ。

今回の米空軍の動きの背景には互角の戦力を有する相手との戦いで機材には十分な残存性が必要と判断していることがある。MQ-9は高性能無人機で兵器「トラック」になるが、低速で、敵防空体制の前に脆弱と指摘されてきた。非国家勢力が相手の場合でも同様だ。

MQ-9に残存性をもっと与えようと空対空ミサイル、電子戦装備、対地攻撃手段まで搭載する案が検討されてきたが、これらを搭載したところで、大国同士の戦闘では同機の性能に限定がつく。 


読者の皆さんはもうご存知だろうが、空軍は自律性能に優れ、高速飛行しながら探知されにくい戦闘無人航空機(UCAVs)の調達を2000年代初期からめざしている。だがステルスUCAVの構想そのものが最初からなかったようにも見える。

構想が極秘のうちに結果を生んでいるのか、中途放棄されたのかは不明だが、いずれにせよ未だに姿を見せていないのは米国の安全保障に大きな影響が出ていることを意味する。


BOEING
ボーイングX-45Cが当初大いに期待されながら採用されなかったのは、別の極秘機の性能がさらに先を行っているため、あるいは空軍がそもそも開発を取り消したためか。

米国の敵陣営も技術開発を続けている。地政学の要因と戦闘の様相が変化していることから空軍もついに残存性が高い戦闘無人機の開発に乗り出すことにしたようだ。ジェネラルアトミックスもこの変化に気づいており、次世代機の開発に乗り出しているようだ。

「MQ-9が現時点の機材なら、次世代機はもっと厳しい空域でも生き残れる機体にないrますよ。まだ正式要求はでていませんが、当然でてくると予測して手をうつことになります」とパーソンも語る。

Air Force Magazineによればパーソンは新型機構想があるのか明白に述べていないが、同社のQ-11つまりプレデターC別名アベンジャーより新しい構想になると述べている。


GENERAL ATOMICS
プレデターA、B、Cの各型。それぞれ、プレデター、リーパー、アヴェンジャーの名称もつく。 

アヴェンジャーは2009年初飛行しており、機体サイズが大型化しながら低視認性(ステルス)も兼ねそなているが、大口顧客の関心を集めていない。数機がアフガニスタンやシリアに投入されている。その際の評価は不明だが、残存性の高さが有効に活用された作戦があったようだ。

Q-11の運用面は極秘情報扱いだ。一部機材が中央情報局関連で運用されているようだ。アヴェンジャーの性能でも優秀な装備を運用する互角戦力を持った超大国相手では不足するので、ジェネラルアトミックスはアヴェンジャーを大幅に超えた新型機を登場させるようだ。

他方で消耗品扱いを覚悟すれば安価に調達できそうだ。低価格には魅力があるが、それでもある程度残存性があるのなら有人機との共同作戦に投入できそうだ。有人機を高高度高速飛行可能で長距離をカバーする兵装とセンサーの「トラック」にする。同社が次回に提示する新型機がこのすきま解決手段となるかもしれない。



USAF
重武装したMQ-9 が海外で運用されている。

ジェネラルアトミックスは海軍向けのMQ-25空母運用空中給油機(CBARS) の受注を逃したが、これまでの主力製品の調達をDoDが中止すれば、再度この分野の事業を立て直す必要がが出てくる。遠隔操縦機による戦闘作戦は同社が作ったと言っても過言ではない。このまま競合他社を前にしながら同社が姿を消すとはとても思えない。ロッキード・マーティンクレイトス他はこの機会を逃さないだろう。そこで同社が建設したエル・ミラージュ施設で機密性の高い事業が展開されるのではないか。

空軍がリーパー調達を打ち切りたいとしても議会承認が必要な点が重要だ。MQ-9各機は今後数十年にわたり重要な任務につく。

いずれにせよ、空軍の遠隔操縦機の重要な機種で生産が終わるというのはステルス無人航空機ほか残存性が高い機材の調達に空軍が本腰となったことを意味するのだろう。


この記事は以下から再構成したものです。
Abrupt End Of Air Force MQ-9 Reaper Buys Points To New Focus On Survivable Drones
General Atomics has supplied the backbone of America's drone force for decades. Now that may be ending due to stark tactical realities. 
BY TYLER ROGOWAYFEBRUARY 27, 2020
THE WAR ZONE

第6世代戦闘機に必要な要素をここで整理してみましょう。

ソラハピ


第6世代機に期待される装備や性能について専門家の意見をまとめた記事のご紹介です。運用はどうなり、ステルスはどこまで必要となるのでしょうか。F-3の大型化への方向性はまちがっていませんね。ただし、当ブログオーナーの意見はB-21サイズの超大型「戦闘航空機」を予想するものです。


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代の軍用機は「世代」で区別される。設計時期と応用技術が基準で、最新は「第5世代」戦闘機だ。米中露三カ国が開発中で、その後の機材となる第6世代機はどんな姿で、現行機とどこが違うのか。
まず、第5世代戦闘機の要素を見てみよう。ステルス、センサー、スーパークルーズだ。ステルスが必須要件で、機体形状でレーダー断面積を減らす。レーダー技術も進歩しており、ステルスに限界があるとなんども言われてきたが、多くは誇張であり、ステルスは電子戦、レーダーと並びジェット戦闘機の必要条件である。
第5世代機のセンサー類では高性能電子スキャンアレイ(AESA)レーダーや電子光学センサーで敵機の赤外線放射を遠距離から探知する。第4世代機でも同様の性能を搭載例があるが、第4世代機はこうしたセンサーの初期段階で搭載している。その他、センサー融合機能で、リアルタイム映像、拡張現実による目標捕捉、その他データがパイロットの目の前に現れる。特に重要なのが僚機、地上部隊あるいは海軍部隊のデータを取り込み戦闘に活用することだ。
そして第5世代戦闘機のエンジンではアフターバーナーを用いず超音速巡航し、これをスーパークルーズと呼ぶ。これにより任意の地点に迅速に移動でき、敵機に対し運動性で優位に立てるし、燃料も節約できる。第5世代機でもアフターバーナーはつくが、燃料を大量消費することもあり使用場面は限られる。
第6世代機は第5世代機の特徴を引き継ぐが、開発中の技術も採用する。そのため、就役するまでに新技術が実用化されると見込むが、予測はあくまでも現在開発中の技術内容を基礎とする。では第6世代機に採用される新技術を見てみよう。

レーザー兵器の搭載
レーザー兵器が短距離空対空戦を一変させるはずだ。現行の戦闘機は化学エナジーを使う20ミリから30ミリの機関銃を搭載している。第5世代機のF-35も機関銃を搭載するが、兵装、燃料、センサーはすべて機内に搭載するため弾倉サイズに厳しく制限される。F-35Aの4本銃身25ミリ砲は182発しか搭載していない。発射制御機能では機関砲の発射速度、精度、重力の影響すべてを考慮する必要がある。
レーザー兵器は機関銃から大きな進歩となる。必要なのはレーザーと機体エンジンで生まれる電力のみだ。エナジー貯蔵が必要だが理論上は発射回数は無限だ。さらにレーザーは秒速186千マイルで直進するので敵機命中が容易になる。レーザーは敵ミサイルからの防御手段にもなる。

航続距離を伸ばすため機体大型化は必至
現行の戦闘機の戦闘行動半径は670カイリ以下が多い。超大国間の戦闘へ回帰する中で長距離性能が痛感されている。広大な太平洋、東欧、ロシアを考慮すると戦術機が長距離を移動する機会がでる。事態を複雑にするのがロシア、中国ともに大量のミサイルで、西側の航空基地や早期警戒機を使用不能にしようと構えていることだ。
新鋭機ではステルス性能のため外部燃料タンクを搭載できない。第6世代機で戦闘行動半径を4割伸ばそうとすれば物理的に大型機にして燃料搭載量を増やすしかない。航続距離が伸びれば広範な空域に戦力分散でき、対応も柔軟に可能となる。

無人機編隊を同行させる
現在開発中の高性能亜音速無人機に危険任務を無人機に任せる選択肢をパイロットに生む。米空軍の「忠実なるウィングマン」構想では戦闘機は無人機小編隊と飛び、偵察、電子戦、攻撃、空対空戦までこなさせる。低価格かつ使い捨て無人機により空軍は機材数を増やしつつ上昇する一方の有人機コストに対応できる。
敵地侵攻任務につく第6世代機に無人機編隊が同行するはずだ。一部は敵の地対空レーダー探知、対放射線ミサイルによる撃破任務を割り振られる。あるいは意図的に滞空して敵レーダーの再起動を待つはずだ。その他の無人機は強力な妨害信号を発信したり、有人第6世代機に偽装する一方、空対空ミサイル搭載の無人機がおとりとなり敵機を有人戦闘機のしかける罠に誘うだろう。有人機の兵装搭載量の限界を補うため、精密誘導ミサイルや爆弾を搭載する無人機も配備されるはずだ。

人工知能がパイロットを助ける
自機、僚機、艦船、地上部隊、衛星、その他から流入する大量データへパイロットが対応しきれなくなる。将来においてもパイロットの処理能力が大幅に増える予測はない。パイロットは自機操縦に専念すべきで、AIがかわりにデータの洪水をさばき、優先順位つきでパイロットに表示してくれる。
第6世代機のAIは例えばロシアの「チーズボード」レーダーを探知し、次にとるべき行動メを提示する。一緒に飛ぶ無人機の燃料残、飛行距離、兵装類の状況も把握する。機体が損傷した場合は代替基地を表示し、必要な燃料と距離を算出する。また緊急度の低いデータは別のAIに割り振り、重要データのみパイロットのAIに集中させミッション達成を確実にする。
こうした次世代ジェット戦闘機に応用が期待される新技術により第6世代機が実現するはずだ。ここにない新技術も導入される。いずれにせよ次世代機は現行機材から大きく進歩し、かつてない威力を空軍部隊は発揮するだろう。■

この記事は以下を再構成しています。

F-35s Are Old News: What Would a Sixth Generation Fighter Look Like?

September 14, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35Sixth-Generation FighterMilitaryLasersAI



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2020年2月29日土曜日

主張 サンダースを大統領にしてはならない

米民主党でサンダース上院議員が大統領候補に近づきつつあり、警戒心を感じています。貧富の格差をとりあげ、大学学費を無料にするなど若者へ焦点を当てた公約を掲げていますが、衆愚政治で選ばれてしまうとしたら悲劇です。このような人物を大統領にしてはいけません。ただし、今回の記事にあるように根本は政治屋であり、言ってることとやってることが違う典型例のようなので少し安心です。選挙区という地盤を持つ政治家がそれ以上の地位を追い求めていいのか、悩ましいところです。その点トランプのような人物は誠に稀有ですね。全国区という制度も地元を意識しなくても良い政治家を生む点では効果があるのではないでしょうか。
結局は雇用と資金の流れ
普段はハト派のサンダース議員だが出身州のヴァーモントにF-35が雇用と資金をもたらすことを熟知しており、連邦政府予算が同州に途切れずに流れるよう行動している。▶2019年4月7日、ヴァーモント州軍パイロットがF-16ファイティング・ファルコンの退役に際し、最後の展示飛行を行った。▶同州軍の第158戦闘航空団はF-16C、D型を1986年からバーリントン国際空港から運用してきた。2001年9月11日のテロ攻撃でニューヨーク市上空の防衛にあたった。▶F-16の後継機としてF-35Aの18機及び予備2機が到着した。『ヴァイパー』より機動性は劣るものの、F-35は戦闘シナリオの大部分を生き延びられるのはステルス性と長距離センサー能力に頼るところが大きい。▶ただし地元民に懸念の声もある。搭載するプラット&ホイットニーF135ターボファンエンジンはF-16より騒音レベルが高い。空軍調査では65デシベル超の騒音レベルが数千世帯にわたるという。「不適」な水準だ。▶ここからF-35反対派が生まれているが、同州選出の左傾上院議員、無党派のバーニー・サンダース、民主党パトリック・リーヒともにF-35配備を支持している。▶反対派は「空を救え」運動として退役空軍大佐ロザンヌ・グレコ(核交渉に参加)、ピエール・スプレー(兵器専門家でF-35批判者)、ベン・コーヘン(ベン&ジェリーアイスクリーム)を陣営に加えた。▶バーリントン空港付近の住民はF-16の騒音でさえ不快に感じていた。空港当局は住宅200棟を買い上げ、騒音に悩む人口を減らした。F-35配備反対派は高騒音の空港近くで育つ児童に健康面のみならず学業成績でも悪影響があるとの統計を使っている。▶2013年発表の州軍がによる環境インパクト調査では騒音水準の増加はごくわずかとしている。しかし住民から評価モデルそのものに疑問の声が出ている。▶さらに調査で対象4箇所のうちバーリントンが最低だったことがわかった。バーリントンを強く推したのがリーヒ上院議員だった。さらにメールがリークされ、州軍が騒音モデルを新たに作り、騒音評価を都合よく操作したことがわかった。▶さらに調査で使ったモデルはF-35がアフターバーナーを使う時間を5%に止めていることがわかった。アフターバーナーは28千ポンドのエンジン最高推力を44千ポンドに引き上げ、それだけ騒音も強くなる。ただしその後判明した文書ではF-35のアフターバーナー使用想定はミッション時間の半分であり、5%ではなかった。とくに同空港の滑走路が短いため、戦闘装備の機体は離陸時に推力が余分に必要であることがわかった。▶さらに空軍内部のメモが流出し、空軍でもバーリントン国際空港への機材配備に反対する声があることがわかった。人口密度の低い地点の基地の方が望ましいとある。

ヴァーモントに核兵器が持ち込まれる?
ヴァーモント州民にはライトニングが今後B61核爆弾運用能力を獲得することも反対の根拠としている。同核爆弾は前線で使う想定で出力は0.3から50キロトンの間だ。広島型原爆は15キロトンだった。▶「ヴァーモントへ核爆撃機配備に反対する会」の様な集団は戦術核兵器そのものに反対しており、同州が配備を受け入れればロシアや中国と戦争の際に攻撃対象になるとする。▶バーリントン市議会は2019年に核兵器運用可能機材の同地導入に反対する決議を全会一致で成立させている。ただしF-35配備については反対していない。▶ただし、ここでふたつ注意すべきことがある。F-16もB61爆弾搭載の構造となっていたし、F-35がB61運用可能となるのはブロック4にアップグレードされてからとなる。▶サンダース、リーヒ両上院議員は核兵器運用能力について聞いていれば同機導入への賛成を取り下げるとしている。▶だがまずF-35全機に核運用能力がつくわけではない。一方で核運用可能機材、訓練ずみ部隊、実際に核兵器を搭載している機材を示すことはしないとの方針だ。▶実務面を見れば、ペンタゴンがバーリントン国際空港内に核兵器貯蔵施設を建設することに乗り気なはずがない。反対派からすれば核兵器があろうがなかろうがF-35そのものが標的になると主張している。

政治経済とF-35
反対派はF-35の悪評高い予算超過と遅延を見れば、サンダース議員が同機配備を支持するのは本人が大統領当選の暁には軍事支出の統制不可能状態を是正するとの本人主張と矛盾するとする。▶リーヒ上院議員が導入を支持するのは上院内で州軍関連で本人が強い立場にあるためだ。サンダースはF-35導入支持の理由として州への経済効果をまずあげ、国家安全保障上は二の次としている。▶2014年の地元集会でサンダースは「現実の世界で、機体が製造され、ヴァーモント州がその場所に選ばれれそうなときにサウスカロライナやフロリダも候補なら、米国上院議員としてどう選択すべきでしょうか。サウスカロライナに流れて我慢できますか。現実面で言えば、やはりサウスカロライナではなくヴァーモントに持ってきてもらいたい。ヴァーモント州軍も同じ意見でしょう。何百という雇用がこの町に生まれます。それがねらいです」▶ヴァーモントではF-35の兵装庫、GAU-22「イーコライザー」5銃身ガトリング砲のメーカーがあり、CNBCはその規模を雇用1,600名分、金額で2.22億ドルとしている。▶ペンタゴンはF-35を2,400機調達する予定で、今後同機が配備される地方都市も増えそうだ。すでにアイダホ州やアリゾナ州でも同機の騒音に反対する声が生まれている。▶F-35配備が政治面での意見対立のシンボルとなり、米軍の役割や適正規模についても議論を巻き起こしそうだ。■

この記事は以下を再構成したものです。

It's All Politics: The 1 Reason Bernie Sanders Loves the F-35 Stealth Fighter


February 24, 2020  Topic: Politics  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: Bernie SandersF-35 MilitaryU.S. Air Force Stealth Fighters





P-8AにPRC駆逐艦がレーザー照射、フィリピン海上空

今回の事件の背景に法律、規範、約束を守る姿勢が希薄な中国人の思考形式がある気がします。幸いにもことは大事に至りませんでしたが、もっと深刻な事故が早々に発生しそうな気がします
国駆逐艦が米海軍P-8A哨戒機にレーザー照射する事件が発生した。グアム西方380マイルの国際空域を同機は飛行していたと米太平洋艦隊が声明文を発表。
レーザーは視認できなかったが搭載センサーが探知した。太平洋艦隊は「危険かつ無分別」と表現し、発生したのは2月17日だったという。
駆逐艦は052D旅游III型のフフホトHohhot(艦体番号161)で昨年就役したばかりだ。
Type 052D Destroyer Hohot (161). Photo via Naval News
太平洋艦隊の発表ではレーザー照射は米海軍と人民解放軍海軍PLANの合意事項に反し、2014年版の合意内容にはレーザー使用は人員や機器に危害を生むと明記してある。
以下太平洋艦隊の発表文を掲載する。
ハワイ・パールハーバー 米海軍P-8Aポセイドン海洋哨戒機が中華人民共和国PRC海軍駆逐艦161から2月17日レーザー照射を受けた。同機はグアム西方約380マイルの公海上空を飛行中だった。
同機は国際空域で国際法に乗っ取り行動中だったが、PRC海軍駆逐艦の行為は危険かつ無分別なものだった。さらにこうした行為は海上突発遭遇時の行動規範CUESに違反するものであり、2014年に西太平洋海軍シンポジウムで合意されたその内容では海上での偶発事故の減少をめざしたものである。CUESではレーザー光線の使用は人員に危害を与えたり機器に損傷を与える可能性がると具体的に述べている。今回の駆逐艦の行動は米国防総省とPRC国防部間で取り交わした覚書MOUに違反しており、空中海上での遭遇時に採るべき行動と反する。
レーザーは裸眼では視認できなかったがP-8A搭載センサーが探知した。兵器級レーザーは航空機乗員に深刻な危害を及ぼす恐れがある他、艦艇や機体にも損害を与える可能性がある。
同機はVP-48所属でフロリダ州ジャクソンビルに本拠を置き、前方配備で沖縄嘉手納基地に展開していた。同飛行隊は海上哨戒行動、偵察飛行を定期的に米第7艦隊所轄区域で展開している。
米海軍所属機はフィリピン海を定期的に飛行してきた。米海軍機、艦艇は今後も国際法の枠内で飛行航行を続ける。
米7艦隊は世界最大規模の艦艇数を誇り、その他35カ国の海洋国家との同盟協力関係を維持している。米海軍はインド太平洋で一世紀にわたり活動し、平和の維持、紛争の予防に効果的な軍事力を実現している。■
この記事は以下から構成しました。

Chinese Destroyer Lases U.S. Navy P-8A Plane Operating Near Guam

February 27, 2020 6:16 PM • Updated: February 27, 2020 6:56 PM

2020年2月27日木曜日

戦艦のカムバックで中国に対抗せよ


21世紀の現在に戦艦? いえいえ、ここで言う戦艦とは攻撃力と防御力を兼ね備えた一定程度の大きさを持った艦艇のようです。ズムワルト級ぐらいの大きさでしょうか。大は小を兼ねるといいますが、果たして海軍当局が採用するかどうか。ところで時々CNNなどの同時通訳を聞いていてびっくりすることがあるのですが、どうもwarshipを戦艦と誤って訳しているんですね。軍艦ということばは死語になっているのでしょうか。

アトミックゴルフ


性能な装甲を備えた現代の戦艦があれば、危険な状況からも十分帰還できる艦艇が生まれる。
第二次大戦で日本海軍が投入した超大型戦艦、大和と武蔵は18.1インチ砲という史上最大の主砲を搭載しながら、1隻も米艦船を沈めていない。航空戦力が優勢となり、両艦は鋼鉄の恐竜と化した。
だが鋼鉄の恐竜を倒すのは容易ではなかった。大和は魚雷11本、爆弾6発の命中で沈んだ。武蔵には魚雷命中19本、爆弾17発が必要だった。戦略面で両艦は無益な存在だったが、撃破は極めて困難だった。
海軍艦艇の建造には数十年におよぶ計画が必要で、直近の戦闘事例に対応させてしまうリスクがついてまわる。第二次大戦終結後の米海軍は航空母艦中心に整備してきた。だが大規模戦闘は皆無に近く、別の任務が逆に増えた。中国の台頭に対抗すべく最も頻繁になっているのが航行の自由作戦(FONOPs)で、戦闘はまったく想定していない。
ここ数年の中国は根拠のない主張を南シナ海で強硬に繰り返している。対応して米国も定期的にFONOPsを実行し、中国の人工島沖合12カイリを米駆逐艦に航行させ、中国の領海主張を拒絶している。今の所中国は米作戦に真っ向から対抗する無分別さは示していない。
だが駆逐艦の艦体は脆弱だ。USSフィッツジェラルドがコンテナ船に衝突し乗員7名が死亡した事故があった。その後、USSジョン・S・マケインが石油タンカーと衝突し沈没寸前となった。この際は乗員10名が死亡した。タンカーには負傷者はなかった。二回の衝突事例から現在の海軍艦艇の根本的欠陥が見える。残存性が低い。海軍艦艇といえば石油タンカーを恐れさせる存在だったが、今や逆になっている。
米海軍には空母打撃群の攻撃力とならび誘導ミサイル駆逐艦も必要な戦力だ。だが攻撃を受けても航行を続けられる艦艇も必要ではないか。中国が精密攻撃能力を整備する中、そこまでの強靭さが重要になる。南シナ海で非装甲艦艇の航行が危険になる事態が生まれてもおかしくない。
攻撃を免れる手段にステルスがあり、米海軍はステルス駆逐艦の開発で先を進んでいる。だがステルスではFONOPsの目的を達しない。視認させないと意味がないのだ。古式ふるめかしい戦艦はまさしく姿を見せるのが目的でしかも威容を誇る。だが21世紀に昔同様の戦艦を建造する必要はない。まったく新しい形の戦艦を作れば良い。
現在の戦艦は高性能装甲素材と自動損傷復旧を組み合わせ、事実上の不沈艦とすればよい。攻撃手段は任務にあわせ選択すればよいが、鍵となるのは残存性だ。危険な状況に突入しても、帰還する可能性が高い艦となる。
この「未来型戦艦」があれば中国の接近阻止領域拒否(A2/AD) 戦略を否定し、米国は西太平洋での航行を維持できる。中国は沿岸部、沿海部、宇宙空間にセンサー網を整備中で、中国本土と日本、台湾、フィリピンを結ぶ第一列島線間を移動する全てを監視する体制が生まれるのは時間の問題だ。また精密攻撃手段の進歩により探知したすべてを攻撃する能力を中国は入手できる。
これに対する米国の戦術対抗案はエアシーバトル、JAM-GC、第3相殺とめまぐるしく変更された。各案で共通するのは最良の防衛策は最良の攻撃である、という点だ。中国のA2/AD攻撃からの防御ではなく、米国が先に指揮命令系統を破壊し、中国センサーによる精密攻撃を不可能にする。問題はこの場合は全面戦にただちにエスカレートすることだ。
そこで未来型戦艦が活用できる。限定紛争シナリオで防御という選択肢が米国に生まれる。たとえば未来型戦艦が中国の挑発に反応して中国の海中センサーを破壊したり、中国の海底ケーブルを切断したとする。同艦なら敵艦船が衝突を試みても残存できる。中国や北朝鮮箱の衝突戦術を多用する。また両陣営がミサイルを打ち合う事態になっても、同艦は危険地点で運用可能でその間に事態の変化を待てば良い。
米海軍が大艦巨砲主義に復帰することはないが、海軍艦艇における装甲の意義を再検討すべき時だ。将来型戦艦により米海軍に敵の完全敗北以外の選択肢が生まれる。FONOPsによりこの選択肢の必要性が痛感されている。A2/ADから、さらに危険なミッションが生まれるだろうが、頑丈な未来型戦艦は安全な艦艇として機能するはずだ。■
ベルリッツ

この記事は以下を再構成したものです。

Why The Battleship Could Make a Comeback (Thanks to China)

These aren't your grandpa's battleships.
February 23, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: BattleshipChinaA2/adNavyMilitaryTechnologyU.S. Navy
Salvatore Babones is an associate professor of Sociology and Social Policy at the University of Sydney. (This first appeared last year.)

2020年2月26日水曜日

中国経済はどこまで水増し発表されているのか



今年はいろいろな面で中国が実態を隠しきれなくなる年、
共産党の支配構造がほころぶ年と見ています。経済については最初から
中国の数字には疑問がついてきましたが、嘘に嘘を塗り固めた都合のよい
報告が繰り返され、何が実態なのかわからなくなっているのでしょう。
今回の武漢ウィルスでいったん時代を戻し、中国に依存しない体制
(とうぜん価格が上がっても喜んで支払いたいものです)を考え直すべき
時期に来たと思いますが、皆さんはどうお思いでしょうか。

国は十数年にわたり、毎年の経済成長を水増しし、実際のGDPよりおよそ2割多く報告している。なぜ中国は統計数字を公明正大に発表できないのか。
中国経済の専門家四名(Wei Chen, Xilu Chen and Michael Song of the Chinese University of Hong Kong, along with Chang-Tai Hsieh of the University of Chicago)が2008年以来の公表経済データを精査したところ、年平均1.7パーセントも過大報告されてきたことがわかった。▶毎年の過大報告の累計効果を除くと中国のGDPは実際より2割過大報告されている。▶四名は中国経済の実態解明のため、税収、衛星から見た夜間照明、発電量、鉄道貨物、商品輸出など操作しにくいデータに頼り、2008年の世界金融危機以来の実質成長率を探った。その結果は中国国家統計局発表の数字より一貫して低い。▶中国の2018年GDPは公式発表で93.15兆元で13.4兆米ドルに相当する。米経済の65%大になったわけだが、人口では中国は米国の4倍強で一人あたりGDPは中国が9,800ドル、米国が63千ドルになる。
四名の経済専門家による数字がブルッキングス研究所から発表され、捏造であると判明し、GDP規模とGDP成長率双方がこれまでの公表数字より低かったことがわかる。中国が2008年から一貫して正しい数字を発表していれば2018年時点では11.1兆ドルになっていたはずで、米経済の54パーセントに相当する。▶一人あたりわずか8千ドル付近になり、メキシコの9,600ドルに足りず、米国の8分の1程度になる。ただし、これも2008年の数字そのものが水増しされていなかったとの前提だ。2007年に李克強(当時は地方の党書紀、現首相)が数字を「人為的」と述べ注目を集めた。2008年の実績が実はもっと低いものだったら今日の水準も低くなっていたはずだ。▶中国の2018年成長率が公表の6.5パーセントから1.7ポイント下がり4.8パーセントだと、ヴィエトナムやインド(ともに7.3パーセント)をも下回っていたことになる。同時に現行の成長率でも中国は米国に簡単に追いつけない。中国の成長率を4.8パーセント、米国を平均実績の2.1パーセントとすると、中国経済が米国を追い抜かすのは2036年、一人あたりGDPで米国を上回るのは2076年となる。あくまでも予測であるが。
東アジア新興国のこれまでのデータを見ると、簡単にそうは行かないことがわかる。韓国、台湾の急成長は2000年代早々に終焉している。当時は両国の国民一人当たりGDPで米国の三分の一未満という規模だった。▶両国は20年も懸命に努力して米国の国民一人当たりGDPのやっと半分に到達した。それでも両国とも米国内で最貧のミシシッピ州の水準にも達していない。日本は下から二番目のアラバマ州と肩を並べる程度だ。▶中国で繁栄を謳歌する北京、上海、広州深センは東アジア新興国の水準に近づいているが、地方の大部分は貧困のままだ。▶中国が経済で米国に挑戦するという構図は非現実的だ。経済成長の実態を見る限り、裸の王様である。四名の経済専門家により、証明に必要な証拠が手に入ったといえる。■

この記事は以下をもとに再構成しています。

Surprise: China's Economy Is Smaller Than You Think

Why does China overvalue its GDP?
February 26, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaEconomyTradeFinanceNational Security


2020年2月25日火曜日

2020年米国防力の現況 ②陸軍

米陸軍の現状:「大変革」を2020年に実現したいが、中東の緊張のため超大国間競合への対応準備が遅れそう。
 ず、郎報から。米陸軍の状況は一年前から好転している。まず、隊員採用で定員割れがなくなった。また部隊は十分な装備で柔軟運用をめざしており、まさしくマーク・ミリー統合参謀本部議長が陸軍参謀長在任中に思い描いた姿だ。だが、実現まで長い道のりとなり、「超大国間交戦」を太平洋地区で想定する国家国防戦略構想へ準備が整うのはまだ先の話だ。
その理由として陸軍が特殊旅団「保安部隊補助旅団」SFABsの整備を続けていることがある。SFABは世界各地の危険地帯展開を目的とし、六個部隊整備が目標だ。中央軍、南方軍、欧州軍、インド太平洋軍、アフリカ軍へ各一個配備する。これまで三個旅団が整備され、アフガニスタンへ派遣中だが、損耗が厳しい。だがこれも変わる。第一SFABの任務をアフリカ軍が引き継ぐと陸軍が発表している。
次は中国の裏庭への配備だ。国家安全保障戦略の「超大国」想定立案に歩調をあわせ、陸軍長官ライアン・マッカーシーは太平洋地区のSFABが早ければ今年10月に発足し、ワシントン州フォートルイスの第5SFABから顧問団がインド太平洋軍に加わり、その後フル装備の旅団が移動すると1月に発表している。まだ不明な点が多いが、戦闘部隊であることに変わりない。アフリカ、欧州、南アメリカ向けSFABが完全稼働を開始する日程について言及はない。
いずれにせよ、「SFABがアフリカや欧州想定の配備でもそのままアフガニスタンに展開するわけではない」とマッカーシー長官は述べ、「一部地域で戦力増強すれば別地域の部隊をもってこざるをえず、対象部隊の指揮官に不満が生まれるが、必要な場所に必要な部隊を投入せざるを得ない」
有事の場面に投入されるのはSFABだけではない。101空挺師団の第3旅団戦闘チームがケニアに派遣されたのは1月5日のアル・シャバブによる米軍基地襲撃のためだ。同部隊はアフリカ軍に編入され危機対応にあたった。別のグローバル即応部隊がクウェートにあり、3,500名の第82空挺師団隊員が中央軍区域に1月3日のイランのカセム・ソレイマニ将軍殺害のあとに進駐している。
最近の配備では隊員は私物のラップトップコンピュータや携帯電話の持参を許されていない。陸軍はマルチドメイン作戦として作戦立案・実施を宇宙、サイバー、空、海さらに陸軍の本来の活躍場所陸上を横断して実施している。すべてミリー大将が2018年に著した「ロシア、中国が戦略面競合により軍事指導教義や作戦面の分析で新技術を導入している...そのため米国の戦闘方式も進化が必要」との背後にある2028年までに戦闘のあり方を一変させる主張があり、野心的な目標だが、ミリーは「教義上の進化で最初の一歩となる」としていた。
新参謀長ジェイムズ・マッコンヴィル大将によれば今後待ち構える変革はダイヤル電話がiPhoneに変わるのと同様だという。マッコンヴィルは陸軍協会主催の講演でこのたとえを紹介し、2028年までにサイバー軍という名称を情報戦軍に変えると述べた。「武力衝突と別の次元で対抗するため」だという。
陸軍が2019年に掲げていた優先目標に有効射程の拡大、防空能力の向上があったが、一年経っても題目の域を脱していない。だがマッコンヴィル大将は「まもなく500キロ先から敵へ攻撃できる能力が確立できると確信している」と述べ、実現は早くて2023年とし、極超音速ミサイルの導入も示唆した。
「画期的な変革で今後の課題を克服し、自信を持って対応できる」「これで競合できる。抑止力にもなる。必要ならこれで将来の戦場で勝利できる」(マッコンヴィル)
太平洋地区での米陸軍運用を根本的に変えるため巨額予算を投じる。これが原因で陸軍長官、海軍長官で意見対立につながった。中国の玄関口で抑止効果を生み、戦闘の主導権を握るのはどちらかが論点だった。
「陸軍は前世紀に世界各地で陸上戦3例に携わった」「最大の抑止力は世界各地で同盟国と肩を並べ地上に配備した部隊であり、その効果はヨーロッパで実証ずみだ。また同じ効果を東アジアで今年拡大する」とマッカーシー長官は述べている。
一方で陸軍の課題は以下の諸点だ。
  • 武力衝突やミサイル攻撃を想定したイラン付近米防空部隊をいつまで配備するのか
  • イラク国会はソレイマニ殺害を受けて決議した米部隊の国外退去は現実になるのか。
  • ホワイトハウスはアフガニスタンのタリバンと協定を成立させるのか。
  • 2020年にアフリカでの米プレゼンスは減らされるの
  • 米韓交渉が決裂しても在韓米軍約17千名は来年にかけ現地にとどまれるのか
  • メキシコ国境地帯に展開中の数千名規模隊員はいつ原隊復帰できるのか

この記事は以下を再構成したものです。
The State of Defense----Army

By Ben Watson

ヴァージニア級新型艦へ極超音速ミサイル搭載が決まる

攻撃型潜水艦にさらに攻撃力が加わるわけですが、世界いかなる場所も一時間で攻撃可能というのはカタログスペックでしょう。とはいえ、米国がこの機能を実現すれば、中露もいずれ獲得し、潜水艦の攻撃手段としての地位が高まるとともに、ASWが一層重要になるのでは。
Rendering of Block V Virginia-class submarine with Virginia Payload Module. General Dynamics Electric Boat Image
海軍は通常弾頭付き極超音速兵器をヴァージニア級攻撃型潜水艦に搭載する。オハイオ級誘導ミサイル潜水艦(SSGN)への搭載案も検討されていた。
2021年度予算案で海軍は研究開発を5%増額し、215億ドルで「コロンビア級建造、F-35、海上型トマホーク、通常型迅速攻撃手段(極超音速兵器)、無人装備、レーザー各種、デジタル戦、人工知能、海兵隊遠征運用能力装備」の開発を進める。
このうち、通常型迅速攻撃手段Conventional Prompt Strike(CPS)の研究開発に10億ドルを投じる。
「CPSのねらいは精密かつ迅速な攻撃能力を水上艦、潜水艦に与えること」と予算書にある。「CPSは共通極超音速滑空体Common Hypersonic Glide Body (C-HGB) および34.5インチ二段式ブースターをもとに構成する。2028年度に初期作戦能力獲得をめざし、ヴァージニア級潜水艦のペイロードモジュールに導入する」
通常型迅速汎地球攻撃能力が実現すれば世界いかなる場所を1時間未満で精密攻撃できる。迅速攻撃能力手段は水上艦艇、潜水艦、地上から発射可能となる。
2017年秋に海軍、国防総省は共同で「初の通常型迅速攻撃ミサイル」をテストしたと、テリー・ベネディクト中将(退役)は述べる。「画期的成果となった」
誘導ミサイル潜水艦SSGNに改装ずみのオハイオ級SSBNのうち4隻、またはヴァージニア級攻撃型潜水艦でヴァージニア・ペイロードモジュール導入ずみの艦への搭載を想定していたと海軍はUSNI Newsに伝えていた。
ヴァージニア・ペイロードモジュールとはヴァージニア級の艦体中央に追加されたミサイル発射管28本を指し、40発のミサイル運用が可能。ブロックV建造艦から採用される。
その一年後、2018年秋にベネディクトの後任ジョニー・ウルフ中将が各軍共通の弾頭形状の極超音速誘導手段が開発中だと明かし、海軍仕様は水上艦、潜水艦に搭載すると述べていた。
「海軍の視点で極超音速滑空体用のブースターを開発中で、今回は水中発射という厳しい条件だが、実現すれば妨害をまったく受けない画期的な攻撃手段になる」とウルフ中将は述べていた。
予算書では2021年度研究開発の対象に「同兵器装備の継続開発ならびに飛翔用サブシステム、装備品統合、今後の能力拡充に向けた弾頭部分の開発、通信機能の拡充、航法別手段、最終段階センサー技術の高度研究がある」を列挙している。■
この記事は以下を再構成しました。

Navy Confirms Global Strike Hypersonic Weapon Will First Deploy on Virginia Attack Subs

February 18, 2020 4:55 PM