2021年1月7日木曜日

ここに来てイスラエルがF-22取得に関心?トランプ政権末期に大どんでん返しがあるのか。火のないところに煙は立たないと言われるが、流石にこれは無理では。それとも....?

 Photo by Louis Briscese

 

 

スラエルがロッキード・マーティンF-22ラプター戦闘機の取得はありえないとされてきた。だが、イスラエル軍が高性能ステルス性能を有する同戦闘機で空軍の「質的軍事優位性」 (QME)(米国がこの維持を法的に必要とされる)が保てると主張しているとの報道が流れた。直後に、米国はロッキード・マーティンF-35ライトニングIIのアラブ首長国連邦向け売却を承認した。

 

報道はロンドンに本拠をおくアシャクアル−アワサットが伝え、イスラエル国防高官が空対空性能でF-35を凌ぐF-22がに着目し、同機調達に意欲を示しているという。

 

今のところ同機を供用するのは米空軍だけで、ヴァージニア州ラングレー空軍基地に第一戦闘航空団、アラスカ州エレメンドーフ-リチャードソン共用基地の第三戦闘航空団、ハワイ州ヒッカム空軍基地の154戦闘航空団に配備されている。

 

.S. Troops to Poland Really Deter Russia

 

問題はF-22輸出は連邦法が禁じていることで、ステルス技術含む極秘技術の秘匿が目的だ。2010年国防予算認可法で国防総省にF-22派生型輸出の際の費用および実施可能性に関する報告書作成を求める条項が加えらたものの、議会は引き続き輸出禁止措置を維持している。

 

ただし最大の焦点はF-22事業が2011年に終了していることだ。生産は195機で終了し、生産再開は高コストのため実現の芽はないと言われる。

 

Defence-Blogはイスラエル防衛関係者が同機への関心を伝える報道を否定したと伝え、「検討は俎上に上がっていない」との発言を引用した。だが、ドナルド・トランプ大統領が任期切れ直前に売却を承認する可能性が議論を呼んでいる。

 

もちろんこれで実現の可能性は高められないし、機体自体の生産が終了している中で生産再開となれば天文学的なコストが発生するのは必至、さらに機体は大幅改修が必要なはずだ。

 

「今回の報道内容は軍事装備品販売で友邦国を助けようと外交安全保障であらゆる手段を講じるトランプの姿勢が元になっている」とイスラエル・ハーレツ新聞が伝えている。

 

イスラエル空軍は現有のF-35Iアディールで当面をしのぐ必要がある。一部筋によれば同機は最高性能の機体で、今のところ外国仕様に大幅回収された唯一の型式だ。■

 

 

この記事は以下を再構成したものです。F-22生産再開となればイスラエルは助かるでしょうが、将来へのつなぎにしかならないのでは。であれば、日本の進めるF-3開発に加わる選択肢はいかがでしょうか。

 

 

 

Does Israel Need the F-22 Raptor Stealth Fighter?

January 6, 2021  Topic: F-22  Region: Middle East  Blog Brand: The Reboot  Tags: IsraelF-22 RaptorArms SalesMilitaryF-35UAE

by Peter Suciu

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com. This article first appeared two months ago and is being republished due to reader interest.


2021年1月5日火曜日

首を傾げたくなる韓国の軽空母LPX-II建造構想。なんのために、なぜ、そしてそもそも建造できるの?完成しても使いこなせるの?疑問だらけです。

 

 

 

国が軽空母LPX-II建造で最終形を2020年12月30日発表し、建造費用を2020年から24年までの中期防衛計画に計上した。

 

第一報を伝えた中央日報は初期計画と討論にほぼ一年をかけたが、建造事業が正式に開始されたと伝えている。

 

LPX-IIは航空作戦を重視する設計で、揚陸作戦用のウェルデッキはない。スキージャンプ式発艦も採用せず、艦橋はふたつある。搭載機材はF-35BライトニングIIでセンサー、兵装類はすべて国産とする。次世代駆逐艦KDDX用に開発中の弾道ミサイル防衛(BMD)対応の多機能レーダー(MFR)がLPX-IIにも搭載されると言う。

 

 

艦橋が2つという設計

LPX-IIの最新の姿も公開され、艦橋を2つ配置しているのは国際協力関係を反映している。

 

英米政府と両国企業が関与しているといわれる。米国はF-35B購入の見返りで強化甲板技術を移転する。英政府とバブコックインターナショナル(クイーンエリザベス級空母設計をまとめた)が韓国側に積極的関与したといわれ、これでLPX-IIの艦橋も2つになり英海軍空母を思わせる外観になったのだろう。なお、バブコックは韓国海軍の大型潜水艦KSS-III建造にも参加している。


 

LPX-II軽空母の初期構想図

 

LPX-IIとは

現代重工業(HHI)がLPX-II構想設計の契約の交付を受けており、LPX-IIは短距離陸垂直着陸型機を運用する大型揚陸艦となる。

 

HHIが構想設計案をまとめ、韓国海軍での供用を2030年代初頭目標とする。排水量は40千トンと当初より大型化しており、供用中のドクト級強襲揚陸艦(LPX-1)が基本形だが最新情報ではウェルデッキがなく、F-35Bを20機搭載するとある。


 

韓国海軍の将来像を示す想像図にLPX-IIとならび韓国空軍のF-35Bが見え、KSSIII潜水艦、KDXIIIバッチII・KDDX次世代駆逐艦の姿がある。

 

LPX-IIは今後制式化する海兵隊攻撃ヘリコプターMAHも搭載する。KAIがスリオン、ベルヘリコプターがAH-1Z、ボーイングがAH-64アパッチで採用を争っている。■

 

この記事は以下を再構成したものです。記事は人力翻訳でお届けしています。翻訳のご入用な方はお気軽にご連絡ください。これ、本当に建造するのでしょうか。どこまで真剣に海軍戦略を練っているのか不思議で仕方ありません。例の原子力潜水艦建造案も同様です。まさか軽空母をステータスシンボルと考えてはいないでしょうね。

 

South Korea Officially Starts LPX-II Aircraft Carrier Program

Xavier Vavasseur  04 Jan 2021


米空軍の新規演習「ブラックフラッグ」とは----空軍力の統合戦術演習、四半期毎に実施で総合力を高める。中国を意識か。

 


F-15Es and F-16s refuel from a KC-46.

422飛行実験評価飛行隊のF-15EとF-16が KC-46 から空中給油を受ける。2020年11月17日ネバダ試験演習地上空。大規模戦力テストイベント20.03(ブラックフラッグ)の一環。 (U.S. Air Force/1st Lt Savanah Bray)


 

空軍は各種装備の統合運用を試す新規演習ブラックフラッグを完了した。航空戦闘軍団司令マーク・ケリー大将が実施を認可した「ブラックフラッグ」はネリス空軍基地で展開された統合戦術演習だ。

 

「ブラックフラッグ演習はハイエンド大規模戦力の統合運用を加速するのがねらい」とケリー大将は述べている。「戦闘には大規模な部隊を投入するので演習でも大規模運用を試す必要がある」

 

空軍のフラッグレベル演習ではレッドフラッグが有名だ。

 

レッドフラッグは多様な部隊を投入し戦闘環境をシミュレートする演習で、やはりネリス基地が舞台だ。開始は1975年、ヴィエトナム戦終結の年で各種機材を投入し、空対空、空対地、防空指揮統制、情報収集、攻撃の各種の実力を養成するのが目的だ。

 

空軍はレッドフラッグで見つかった課題を元に、別の演習を立案した。

 

実は空軍には装備別の個別テストがすでにある。たとえばF-15Eストライクイーグルではイーグル・パッシブ/アクティブ警告残存システム (EPAWSS)、F-16にはアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーで各テストを行っている。ただし装備別テストでは実戦で各種装備を統合運用する必要があるのに対応する効果が生まれない。

 

だが個別テストでシステムは作動しても、各種機材でセンサー、レーダー、兵装を運用するとシステムが想定通り作動しないことがある。

 

レッドフラッグに新米パイロットと兵装士官が参加しても実際の状況をテストすることにならない。演習中に予想外の状況が発生するとどうしていいかわからなくなる。

 

「ブラックフラッグは各種装備が作動するのか否か見極めるイベントだ。機能しなければ解決策を考える。レッドフラッグでこの実証はできない。訓練が中断してしまうからだ。そこで経験豊かなパイロットを動員してのテストが必要となった」と運用テスト、戦術開発を担当する53航空団広報官は語る。

 

空軍以外の部隊も動員する訓練が重要度をましている。ブラックフラッグから装備に予算等を割り振る根拠が生まれ、航空団レベルでは不可能な部隊参集が可能となる。

 

ただし、空軍には類似構想は前からあり、共同作戦実行力のテストとしてオレンジフラッグ、エメラルドフラッグがある。ただし、各演習の目的は異なると防衛当局者は説明してくれた。オレンジフラッグは兵装システムが要求内容通りに作動するか確かめるのが目的で、ブラックフラッグは戦闘部隊の実効性に焦点を当て、カリフォーニアのエドワーズ空軍基地で展開する。

 

こみいったシナリオで各種技術が作動するかを確かめる点は共通するが、ブラックフラッグは共同作戦が必要なシナリオで各種兵装がニーズ通りに作動するかを確かめる。

 

これに対しエメラルドフラッグはマルチドメイン環境での情報伝達を実証する、あるいは空海地の各種装備に伝わるか確認する。これは53航空団の本拠地エグリン空軍基地(フロリダ)で展開する。

 

各演習で共通するのは開発テスト、運用テストとして各部隊が一層密接になってきていることと同上関係者は語り、個別テストだと運用上のニーズに対し時間がかかりすぎるという。

 

ブラックフラッグで空軍に各種戦力の統合効果を試す大規模演習が3種類そろった。ブラックフラッグは3ヶ月おきに実施するのが目標だ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。これも中国との大規模戦を想定しての訓練ですね。米空軍が統合作戦で各種システムの機能を実戦に近い形で実証する間に、中国空軍は10時間程度の連続飛行に成功したとおお喜びのようで、実戦力に相当の差があると思われます。これが2021年の現実です。

 

What is 'Black Flag?' Inside the Air Force's Newest Major Exercise

Military.com | By Oriana Pawlyk

29 Dec 2020


 


2021年1月4日月曜日

緊急 ニミッツ空母打撃群の帰国取り消し、中東に当面留まる。イランの軍事行動を警戒。ニミッツは出港後10ヶ月経過。

  

US NAVY

USS Nimitz underway. 

USSニミッツ空母打撃群はイランへの「緊張緩和」のあかしとして本国帰還を国防長官代行クリストファー・ミラーから命じられていたが、わずか2日でこれが取り消され、追って知らせあるまで、中東地区に留まることとなった。

同艦はソマリア沖合の「オクターヴクォーツ」作戦で米軍部隊のソマリア撤収さらに北アフリカ展開を支援していた。ワシントン州ブレマートンを出港し配備は10ヶ月に及び、COVID-19流行下でとくに厳しい任務になっている。本来の帰還時期はとうに過ぎているが、イランによる敵対行為の恐れが強まる中、ドナルド・トランプ大統領の命令が下れば即対応すべく当面帰国は延期された。

 

DOD

2021年1月3日発表のクリス・ミラー国防長官代行による緊急声明でニミッツ空母打撃群は中東地区にとどまることになった。

原子力潜水艦USSジョージアはトマホークミサイル、特殊部隊を搭載しきわめてまれなペルシア湾入りを12月21日にしており、ニミッツがアフリカの角地区に展開する間の穴埋めとなっていた。今後イランが戦闘行動を取ってもニミッツがペルシア湾入する可能性は少ないだろう。超大型空母はペルシア湾ではイラン対艦ミサイルの有効射程に入り、小型艇の集団攻撃、機雷、潜水艦の標的となる。

イラン代理勢力による攻撃、イラン自体による攻撃の可能性はカセム・ソレイマニ・イラン革命防衛隊司令の殺害一周年をめぐり着実に増えている。ソレイマニは2020年1月3日イラクのバグダッド国際空港近郊で米軍無人機の攻撃で死亡した。同時にイラク国内有数のイラン支援を受けた戦闘員集団カテイブ・ヘズボラ首領のアブ・マーデ・アル・ムハンディスも現場で死亡している。

米情報機関の評価ではイラン軍部隊のうち防空部隊、海軍部隊は警戒態勢を強めている。イランが攻撃に踏み切った際の米報復攻撃に備えているのか、米軍の脅威を現実のものと受け止めているのか不明だ。

昨年12月はじめアリ・ハメネイ最高指導者、ハッサン・ロウハニ大統領はじめとするイラン高官がソレイマニ殺害の報復を声高に叫んだ。とくにロウハニは穏健派で知られる。こうした論調のままイランは新年を迎えた。

新年最初にイラン最高裁長官エブラヒム・ライシは「殺害したのか殺害を命じたのかをとわず、米大統領といえども正義の実行を免れることはできない。暗殺に関与したものは犯罪者でありこの世で安全ではいられない」

「米国内にいるものが関与していた可能性がある」とソレイマニを継いでクッズ部隊司令となったエスマイル・ガーニも同席し発言した。

 

イランに近い戦闘員集団は中東全域で同様に正義と報復を叫んでいる。バグダッドの本日タヒール広場で大規模集会がひらかれ米政府へ抗議の声を上げた。

ただし、こうした動きは開戦に即つながるものではない。空母打撃群を該当地区の配備は短期間かもしれないが以下ふたつの効果を生む。まず、イランに対し強い抑止効果を目に見える形で実現する。次に、現地司令官に選択の幅を広げ、イランの弾道ミサイル部隊に狙われ脆弱になる陸上航空基地以外の攻撃拠点を提供する。

今後情報が入り次第、追加投稿したい。■

この記事は以下を再構成したものです。なお、この記事は人力翻訳でお送りしています

USS Nimitz Carrier Strike Group Ordered Back To Middle East Due To Iran Threat

BY TYLER ROGOWAY AND JOSEPH TREVITHICK JANUARY 3, 2021

THE WAR ZONE


歴史に残らなかった機体20 ノースロップXF-85ゴブリンはB-36を空中母機にする護衛戦闘機構想だった

 歴史に残らなかった機体20 XF-85

爆撃機に援護戦闘機が必要だが、初期ジェット機の航続距離は短い。じゃあ、爆撃機に格納可能な超小型戦闘機を作ればいいという発想にはすごいものがあります。思いついたら実現させるのが軍の得意技ですが、結局実用化もできず新型機の性能の前に陳腐化してしまったというかわいそうな機体です。合掌。

 

のジェット機は卵形の外観でメーカーがつけた「ゴブリン」(邪悪な小人の妖精)とはピッタリの名称だった。マクダネルXF-85はJ34ターボジェットのてっぺんに与圧コックピットを載せたようだった。小型後退翼は内側に折りたたむ構造だった。尾部には安定板が三枚あり、サメのヒレのようだった。大型フックが空気取入口付近についていた。

 

ゴブリンには降着装置がついておらず、引き込み式の金属ソリを緊急事態に使う想定だった。これはXF-85が「寄生戦闘機」だったからだ。大型核爆撃機に運ばれ空中投下され母機を敵戦闘機の攻撃から守るのが任務だった。任務を終えた機体は母機に回収する手はずだった。

 

XF-85はB-35全翼機やB-36ピースメイカー戦略爆撃機の防御用に生まれた機体で爆弾倉に収容する発想だった。

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漫画の世界そのままに聞こえるが、寄生戦闘機には長い歴史がある。最初は英複葉機を飛行船に係留した第一次大戦のことで、1930年代には米海軍が全長236メートルの硬式飛行船アクロン、メイコンにそれぞれF9Cスパロウホーク複葉機数機を搭載した。戦闘機はフックで飛行船に「着艦」したのだった。ただし、両飛行船が墜落してしまった。第二次大戦中はソ連がI-16戦闘機をTB-3爆撃機に搭載し空爆作戦を一時的に実施したが、日本はロケット推進方式の桜花カミカゼ攻撃機をG4M一式陸攻に搭載した。

 

米陸軍航空軍も長距離爆撃機がドイツ戦闘機部隊から多大な被害を受けるのを見て、1944年1月に寄生戦闘機の開発に乗り出した。短期的解決策としてP-47やP-51に落下式燃料タンクをつけ、爆撃機部隊を援護させた。

 

だが航空軍はジェット戦闘機の登場でピストンエンジン機は一気に見劣りする機体になると見ていたが、燃料消費の多さが難点だった。そこで爆撃機に寄生ジェット戦闘機を運ばせ、敵の領空内で運用すれば航続距離の不足を解消できると考えた。

 

空軍の呼びかけに応じたのはセントルイスが本社のマクダネル航空機だけだった。1945年3月のことだ。同年10月にXP-85試作型2機が発注され制式名称はその後XF-85となり、B-36爆撃機に収納する機能が検討され、爆弾倉全体を使えばXF-85を三機収納できるとわかった。

 

ゴブリンは実際には操縦性が機敏で時速650マイルが可能のはずだった。.50口径機関銃4門と比較的軽武装だった。

 

結局B-35は実用化されず、B-36が開発中の1948年にゴブリンは特殊改造のEB-29「モンストロ」の胴体に取り付けられた。小型ジェット機は格納式フックで接続され、これはアクロンで使った装置と同じもので、ゴブリンの機体下部は収容しきれず露出したままだった。ゴブリン#46-523は風洞試験中にクレーンの誤操作で損傷し、#46-524 は飛行可能だったが一回しか飛行していなかった。

 

第一回目はXF-85は空中に運ばれたが投下されなかった。ついに1948年8月23日にマクダネルのテストパイロット、エドウィン・ショーチがXF-85を係留装置から解放した。ショーチは海軍でヘルダイバー急降下爆撃機のパイロットでレイテ海戦では日本の戦艦に損傷を与えている。

 

だがモンストロのエンジンからの乱気流でショーチがフックにゆっくり接近し回収を試みたが、ゴブリンは空中回収を練習したF-80の半分の機体重量しかなかった。

 

フック回収に10分も使ったが成功せず、B-29乗員はXF-85キャノピーがフックにぶつかる光景を恐怖を持って見守った。衝撃でガラスが割れ、ショーチのヘルメット、酸素マスクがもぎとられた。

 

ゴブリンは降下したがショーチは制御を回復し、南部カリフォーニアのミューロック乾湖にソリ着陸した。

 

それでもくじけずショーチは10月14日のテスト再開を申し出、修理したゴブリンは翼端を上方向折りたたみ式で機体制御をより精密にした。

 

その後ショーチはEB-29へのフック回収に三回成功している。だが2回は失敗しフックが壊れてしまった。ショーチはXF-85を毎回緊急着陸を迫られ、翌年4月8日の回収実験にも失敗した。

 

マクダネルは回収装置の改造に取り組んでいたが、XF-85の空中回収の難しさに予算難が加わり空軍は1949年10月に正式に打ち切りを決定し、ゴブリンを飛行したパイロットはショーチただひとりとなった。

 

ペンタゴンが関心を失った背景には別対策の進展があった。ソ連のMiG-15にXF-85の性能では太刀打ちできなかった。空軍は新型長距離援護戦闘機のXF-88、XF-90試作型を製作中だった。空中給油技術の改良も戦闘機の航続距離延長に利用できる見通しがついていた。

 

ただし寄生戦闘機構想はこれで取り消しとならず、戦闘機運搬構想 (FICON)でF-84サンダージェット戦闘爆撃機とB-36の組み合わせを模索していた。

 

ティップトウプロジェクトで改装EF-84D二機をEB-29で牽引飛行したが、F-84がB-29と接触し墜落し事業は打ち切りとなった。

 

トムトムプロジェクトでは同じ翼端牽引方式を改装型GRB-36ピースメーカーとRF-84Fサンダージェット二機で試みたが切り離しに失敗し、悲惨な結果になった。

 

空軍はゴブリン式の機内搭載型ジェット機運用に立ち戻り、F-84をGRB-36に収納させようとしたがサンダージェットは完全に収納できなかった。

 

この案は成功し、GRB-36は10機、RF-84サンダージェット偵察戦闘機は25機が1955年から56年にかけ運用可能となったが、U-2スパイ機の登場で廃止された。

 

ゴブリンは静かに退役し、オハイオ州デイトンの米空軍博物館とネブラスカ州アシュランドの戦略空軍航空宇宙博物館で展示されている。

 

この記事は以下を再構成したものです。本ブログは人力翻訳でお届けしています。

 

A Defender or Parasite? The Strange XF-85 Goblin Was a Bit of Both

January 1, 2021  Topic: Security  Blog Brand: The Reboot  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarNuclear

by Sebastien Roblin

 

 

Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

Image: Wikimedia Commons.


中国の弱み① 人口減と少子高齢化の波のインパクトが毎年拡大し、経済減速が避けられない。

 

 

国は遠大な構想を有している。だが経済成長と安定した政治で中国をまとめCCPは権力を維持できるのだろうか。大人口のまま高齢化が進めば中国の資源はなくなる。

 

一見とどまるところを知らない中国の成長に障害が現れた。人口構成だ。共産党の進めた一人っ子政策の効果を逆転させようと必死だが、時間切れとの声専門家にが強い。

 

中国政府の研究では人口は2029年の14億人がピークの後は減少に歯止めが聞かず、2050年に13.6億人となり、労働人口は2億人減少する。

 

出産率がこのままでは2065年に11.7億人に減少すると中国社会科学院は予測している。

 

人口増加対を食い止めようと登場した一人っ子政策は罰金、中絶、不妊化手術で成功をおさめ、出生率は1979年の2.9人が1995年に1.6人に下がった。上限は2016年に2人に引き上げられ出産数は一時的に上がったが再び低下した。昨年の新生児は15.2百万だが一部都市圏や地方省で35%減少した例もある。

 

中国の公式出生率は1.6で、人口維持に必要な2.1に届かないが、実際の数字は1.18程度と見る専門家もある。1.3だと80年で人口は半減する。

 

一人っ子政策のため女性の数が不足している。跡継ぎに男児を好む傾向や性別による中絶処置で中国の男性数は女性を34百万人上回っており2020年で結婚相手を見つられない男性は24百万人に及んだ。

 

北京、上海など発展した地域の出生数が青海省など西部地区より低くいは人口移動と関連がある。中国の「ラストベルト」東北部では経済活動が低下している。「結婚観、家族観の伝統」の変化が理由とする向きがある。結婚届は毎年減る一方で離婚が増えている。

 

転換点

北京大エコノミストのYi Fuxianは人口減少は2018年に始まったと指摘している。「2018年が歴史的転換点だった」とニューヨークタイムズにこう語り、「人口減少と急速な高齢化が始まった。経済活力は下がっていく」

 

まず労働人口の減少が悪影響を及ぼす。15歳-64歳人口は2013年のピークを経て、4年連続で減少している。その結果、扶養比率を構成する小児老人は2011年から上昇しており、今後も増加が止まらないと予測される。高齢者は2035年に4億人の大台を突破する政府予測がある。

 

すでに政府予算に影響が出ている。年金支出は6400億元(900億ドル)を2016年に記録し、5年前の140%増だ。今後さらに増加し、2050年には60兆元になる予測もあり、政府支出の20%相当となる。

社会保障が充実していると思われがちな中国だが医療、年金は制約が多く、推定9億人が社会保障の恩恵を受けずに暮らしている。

 

アジア最大の経済規模を誇る同国は十分に豊かになる前に高齢化中と言える。

 

「先進国でも高齢人口は1950年から2015年で倍増した時点で国民一人当たり所得はおよそ41千ドルだった。中国では同じ現象が12年で発生する。だが2025年の国民一人あたり所得は2015年時点のその他先進国水準の3分の1しかない」(Bloomberg Opinionに寄稿したShuli Ren)

 

規制緩和

危機を意識して中国政府は家族計画を更に緩和する動きに出ている。罰金を廃止し出産制限そのものも全廃するとある。中国の全国健康委員会はその他省庁とともに「税制、雇用、社会保障、住宅問題の改善及び検討をすすめ、全国的な子どもふたり政策の実施を進めようとしている」とChina Dailyが伝えている。

 

対策の一つに現行の定年55歳を女性で60歳、男性は65歳に引き上げ国際水準並みにする提案がある。地方政府も補助金で対応し出産休暇などの優遇策を講じている。ただしその他先進国同様に下がった出産率を逆転するのは極度に困難で極端な優遇策でも難しい。

 

エコノミストのライマン・ストーンは北欧並の寛大な支援策でも長期的な出生率改善には効果が薄いと研究でわかったという。また先進国でおしなべて出生率が低下している現象はかつてない規模だ。

 

経済の減速で二桁成長のGDPが一桁になり、債務残高は2018年末時点でGDP比254パーセントになった。海外から労働力を受け入れる、あるいは労働生産性を上げる、この2つで労働人口縮小に対応する。ただしハーヴァードビジネスレビューに寄稿したJ・スチュワート・ブラックおよびアレン・J・モリソンは生産の伸びが低下し、海外への開放度が低い中国企業の動向など阻害要因が多いと見ている。「日本企業同様に中国企業もグローバル500リストの圏外に落ちるだろう」とし、人口ボーナスと無尽蔵の低賃金労働を利用する経済モデルは勢いを失った。

 

JPモーガンアナリストの両著者は中国の経済成長率は現行6.5パーセントが2025年に5.5パーセントに低下し、さらに2030年までに4.5パーセントまで低下し、米国から世界最大の経済大国の座を奪う中国の夢は困難となる見ている。「中国は第予想より長く二位のまま残る」という。

 

人口減でGDP成長率も低下すると、一帯一路構想のような海外への野心を支える財務力も落ちる。経済停滞と格差拡大から共産党体制も批判を受けそうだ。

 

他方でインド、インドネシア、米国の労働力は今後も伸び、少なくとも2060年までこの勢いを持続しそうだ。米国は出生率が高く流入人口も多いので2017年に3.24億人、2050年に3.9億人になる予測で、インドは2027年に中国の人口を上回る。

 

人口構成が示すとおりなら、中国はいまだかつてない課題に直面しながら解決策が視野にない状況に苦しむことになる。

 

この記事は以下を再構成したものです。なお、記事は人力翻訳でおこなっています。コロナ禍で米国経済が停滞する間に中国が順調に伸び世界一の地位に予想より早くつくとの脳天気な予測が出ていますが、情報操作の一環でしょう。台頭が早いぶんだけ退潮も早い中国は世界にお騒がせな存在になるでしょう。一方で、国力があるうちに軍事冒険主義に走る可能性も高くなるのでは、警戒が必要です。マスクスより怖いのはマルサスです。

 

1.4 Billion by 2019 and Aging Fast: Can China Manage Such Rapid Change?

December 21, 2020  Topic: Economics  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: ChinaDemographicsOne Child LawSocial SecurityCCP

by Anthony Fensom

 

Anthony Fensom is an Australia-based freelance writer and consultant with more than a decade of experience in Asia-Pacific financial/media industries. This article appeared last year and is being republished due to reader interest. 

Image: Reuters