2021年3月7日日曜日

2024年のトランプ再選を米国民は願望する。破綻示す民主党に失望し、実は健全だったトランプ政権の政策に気づく米国民に期待しよう。

 トランプ憎しであまりにもひどい情報操作が行われていたのは明らかで国民もバカではありませんから、今になってトランプ政権の功績に気づきつつあるということでしょうか。安全保障ではトランプの延長線にあることがあきらかです。この点で単純にトランプ色の払拭を望んでいたはずの中国には期待はずれでしょう。警察解体をめざし、英雄像の破壊、さらにはBLMという茶番までしかけ、文化大革命並の混乱をめざした某国の息がかかった極左勢力が今後どこまで暴れるかが心配です。またハリス副大統領の存在がとても危険でしょう。これまでは危険思想だったはずの層まで抱えてしまった民主党の行き過ぎがここにきてクローズアップされ、中間選挙まで行かなくても同党が崩壊してしまえば、こちらのほうが大きな混乱要素になります。健全な保守と中道の二大政党に戻れば米国の未来も安泰なのですが。政権批判だけしてれば良いと考える日本の野党にとっても無視はできないはずなのですが。


抗相手なき共和党の指導者としてトランプは、民主党が軽はずみな解決策を繰り出し、ジョー・バイデンが決断力不足を露呈すれば自身の大統領時代を懐かしむ声が出るのを待っていれば良い。

 

バイデン政権は最初の100日間のほぼ半分に差しかかり、1.9兆ドル規模のコロナウィルス対策でつまづいているようだ。一般国民数千万人に各1,400ドルがばらまかれるが、言語道断なのは見返り措置の横行で、下院議長ナンシー・ペロシはシリコンバレー直結の地下鉄線、上院院内総務チャック・シューマーはカナダ国境に追加の橋梁を実現しようとしている。これに対し、ドナルド・トランプ前大統領は2月28日オーランドで開催された保守政治行動委員会(CPAC) で2024年大統領選挙で再選の希望を明確に表示した。90分にわたり、政策目的・目標を再度発表した。共和党内で指導力を発揮し、方向性を定めると発表したほか、発言には慎重になり、政敵に攻撃の口実を与えないよう学んでいる効果を示した。

 

もっと重要な点は前回の選挙結果へ不満を繰り返しつつも、冷笑を呼ぶ誇張表現に走る傾向を回避したことだ。一般投票では勝利したと振る舞うことはなかった。だがパンデミック禍で投票方法が変更され、接戦州で実証不能な大量票がジョー・バイデンへの投票とされたことに深い疑念を改めて示した。これは1月6日の退任当日にワシントンDCで演説した内容と同じだ。トランプは最高裁判所にも不満を抱いており、テキサス州司法長官がその他16州の支持のもと提起したものの最高裁が退けた点に触れた。接戦州の投票結果が公平さを欠いていたというものだ。またトランプは前大統領は単にデマゴーグであり、不正選挙結果に異議を申し出ても根拠がないとの民主党によるいつもの主張に反論した。本人は選挙結果への懸念は正当であり、支持者数百万人の怒りも正当だと信じている。


議会議事堂への1月6日突入事件調査で浮かび上がってきた証拠とともに3月2日の上院議員からの質問へのFBI長官クリストファー・レイの回答から前大統領は突入計画に全く関わっていなかったことが明らかである。議会に突入したものの中で銃火器使用で訴追されたものは皆無だ。唯一の火器発射は警備員によるもので下院議場に乱入したトランプ支持者の生命を奪った。トランプが選挙結果に不満を感じ、仕組んで支持者をけしかけたとする説は破綻している。この破綻が明白になるとともに、事件を扇動したかどでトランプ弾劾したのは民主党全国組織のトランプ追放の動きから生まれたと白日にされされている。トランプをおとしめるだけが民主党の目標だった。弾劾裁判の茶番と別に、民主党議会内指導層がコロンビア特別区の連邦検察官に訴追を求めていたら、民主党支持者が93%の同地区住民が陪審員でありトランプの収監は確実だっただろう。連邦裁に控訴すれば手続きで二三年にわたり本人は動きがとれなくなっていたはずだ。

 

富裕層を目の敵にする急進派の求める税制法案がバイデン-サンダースの連携で提案されたが上院では全て否決されている。だが、戦術面で劣る民主党議会内指導層が急進法案をわざと提出し、党内の極左勢力をなだめようとしている。これを実施しても否決は確実でかえって左翼の不満を買うだけである一方でトランプ率いる共和党は機会あるごとに容赦なく民主党を叩き、授業再開もうまく進められない政権の不手際から民主党は党内分裂の様相さえ示している。急進勢力のテロ活動ともいうべき動きには一般の米国民も耐えられず、カナダからのキーストーンXLパイプライン建設の中止では巻き返しがすでに生まれている。気候変動への対応で存在感を示すジョン・ケリーがカーボン排出ニュートラルを今後9年で実現できなければ全人類が危険にさらされるとの説にしがみついており、このままでは数万名もの失業者が生まれそうだ。民主党には地雷が待ち構えている。


  


だがアメリカにはもっと身近な災厄がやってこようとしている。南部の国境地帯だ。すでに手のつけられない混乱状態だが、新政権はトランプ政権時代の不法移民流入を抑える政策に呼応し「檻」を設置するとして非難を一手に集めている。トランプ政権では工業団地や税優遇措置により少数派の所得を急上昇させたことで、前回の選挙でアフリカ系やラテン系有権者の支持を集めている。民主党にはまだ別の災厄も控えている。警察改革で、上院で通過の見込みはないものの国内の各警察組織に根強い人種差別意識がアフリカ系アメリカ人が法外な規模で警察官により殺害あるいは負傷されているとの主張に火をつけそうだ。事実を見てみよう。アフリカ系アメリカ人の人口比率はシカゴで23%、ニューヨーク市で33%、ロサンジェルスで9%だ。だがそれぞれ75、80、50%の犯罪をアフリカ系が犯している。この問題へのトランプの解決方法は雇用創出であり、失業の撲滅だった。

 

バイデンで一つ成功しているのは国民が求める静かな時の実現だ。常に全国民にその姿を示し、ツイッターで昼夜問わずメッセージを流したトランプには支持者でさえ振り回された。CPAC演説のあとで本人はフォックスニューズのインタビューに答え、ツイッターできなくなったことは気にならず、むしろストレスが下がった生活に満足していると発言。だが、トランプは歴代大統領をうわまわる支持者を集めている。年に8回10回と演説を行えば、共和党指導者として挑戦相手のない立場を維持できる。民主党が軽はずみな解決策を繰り出し、ジョー・バイデンが決断力不足を露呈し、自身の大統領時代を懐かしむ声が出るのを待てば良いのだ。

 

現時点ではっきり見えてきたのは共和党が中間選挙で相当の勝利を手に入れることであり、民主党への幻滅に苦しむ中でトランプが成功を収めることだ。■

 

 

 

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Why America Will Want Donald Trump Back in the White House


March 5, 2021  Topic: Politics  Region: Americas  Tags: Donald TrumpElectionRepublicansNationalismInsurrection

by Conrad Black

 

Conrad Black is a writer and former newspaper publisher whose most recent book is Donald J. Trump: A President Like No Other. He is Chairman Emeritus of the National Interest.

Image: Reuters



2021年3月6日土曜日

中国機へのスクランブル対応方針が変更されていた。スクランブル回数は大幅減。浮いた負担分を高度訓練に回す航空自衛隊の対応は正しいと言えるか。

 この方針変更が果たして良いのかわかりませんが、たしかにこのままのペースでは早晩日本側の負担が手に負えなくなるレベルになる器具はありました。中国からすれば日本を消耗させる目的が果たせなくなるのは確実です。それだけ航空自衛隊に中国機の目的、意図が手にとるようにわかる自信があるということでしょうか。なお、スクランブル回数の総量規制などと報じている新聞社もあるようですが、誤解を与えそうな表現ですね。メディアには高い専門性のある軍事記者が必要です。

 

File photo taken in January 2018 shows a Japanese Air Self-Defense Force F-35A stealth fighter at Misawa base in Aomori Prefecture, northeastern Japan. (Kyodo) ==Kyodo

 

 

 

本政府は中国軍機へのスクランブル発進を領空侵犯の恐れが高い機体への対応に限る方針に変更していることがわかった。政府筋が3月2日に明らかにした。

 

今回の方針変更は防衛省が事後対応型をあらため、機材をF-35を使った高度訓練に振り向けるべく先取りの監視体制に切り替える動きの一環。

 

2020年度のスクランブル回数はこの新方針により大幅に減ったが、中国は新型コロナウィルス流行の中でも東シナ海での強硬な主張に変化はないと防衛省は述べている。

 

そもそもスクランブルは相手に軍事力を示威し、領空侵入を抑止するのが目的だ。航空自衛隊はF-35の導入を続けているが、同機はスクランブル対応には不向きである。

 

スクランブル回数が減ったことで、パイロット負担が軽減しているが、運用効率を引き上げるねらいもあるのだろう。空自パイロットはF-35で高度訓練の機会を増やせる。

 

日本政府が尖閣諸島国有化を宣言した2012年9月から中国の東シナ海における軍事活動が強化された。

 

2016年度に中国機へのスクランブル出動は851回だったが、2019年度は675回だった。だが、新方針により2020年度は当初9ヶ月で331回になっており、前年同期から192回減っている。

 

航空自衛隊では領空外に設定した防空識別圏内を飛行する機体の国籍、飛行経路をレーダー基地や早期警戒機が監視している。

 

脅威と判定されればジェット戦闘機が直ちに発進するが、警戒は24時間体制だ。■


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Japan scrambling jets less against China as more F-35 deployment eyed

KYODO NEWS KYODO NEWS - Mar 3, 2021 - 02:06 | All, Japan



SR-72ダークスターはいつ完成するのか。実在の事業なのか。(これは確か)極超音速ミサイルの時代に爆撃機として投入可能になるのか。なぜ、情報が出てこないのか。(理由がある)

 


SR-72 Darkstar: A Mach 6 Bomber Coming Soon?


March 5, 2021  Topic: SR-72  Blog Brand: The Reboot  Tags: SR-72MilitaryDefenseWarU.S. MilitarySR-71

by Peter Suciu

 

ッキード・マーティンSR-72には「ブラックバード二世」の愛称もついているが、実在するのかで意見が別れている。今後公開予定のトム・クルーズ主演1986年制作のトップガン続編 Top Gun: Maverickに登場するとの報道もある。

 

同機が生産段階にあるのは疑う余地がないが、飛行可能な状態にあるのかは別の話になる。同機の任務内容でも不明点が多い。

 

SR-72ダークスターでわかっていること(おそらく) 

 

SR-72ダークスターは複合サイクルエンジンを採用しているといわれ、タービンエンジンとラムジェットを組み合わせ、スクラムジェットとも呼ばれる。これによりマッハ6へ加速が可能となり、SR-71の2倍のスピードを実現する。

 

これだけのスピードがあればダークスターは記録を破る移動時間で世界中の地点に移動可能だ。さらに、兵装を搭載すれば宇宙一歩手前の高度から任意の地点を攻撃可能だ。SR-71後継機として情報収集偵察監視(ISR)任務につくとされるが、爆撃機としても極めて高機能機材になる可能性がある。

 

2013年からSR-72の性能について議論がにぎやかだ。一方で既製品の材料を使うなど予算環境の厳しさも反映した設計になっている。

 

ロッキード・マーティンF-35はいうまでもなく、B-2スピリット、さらにB-21レイダーのステルス性能が話題に上ることが多いが、もっと重要なのはスピードなのだ。

 

目に見えなければ撃墜できないのは確かだが、高性能レーダーに対空装備を組み合わせたロシア製S−400トリウンフのような装備ではステルス機の迎撃が可能といわれる。だが超高速は別で、超高速を「新しいステルス」と呼ぶ向きがあるが、実際にはステルスよりはるかに優れた性能となる。

 

ただし、少なくとも今はステルスに優位性があり、ロッキード・マーティンで高性能兵装の開発にあたるスカンクワークスはSR-72に関する限り高いステルス性を示している。いろいろな情報が飛びかったが、2018年になり縮小版の無人機として米空軍パームデール施設付近を飛行している様子を目撃されている。スカンクワークスも同地に本拠地をおいている。

 

消えない疑問

 

答えが出ていない疑問点のひとつに極超音速ミサイルの登場で爆撃機そのものが無用の存在になるのかという点がある。ただし、一つ言えるのは高高度で超高速飛行する爆撃機に極超音速ミサイルを搭載すれば、対抗措置はほぼ不可能となることだ。

 

高速ではないSR-72の要素が開発期間だ。SR-71含め、従来の機材では軍の要求を実現するべく、素材開発から実寸大機体の完成まで時間が必要だった。

 

予算も考慮の対象となるが、ステルスUAVがあればISR任務の大部分を実施できると主張する向きがある。一方で米空軍はB-21レイダーの実現に注力している。

 

こうしたこともありSR-72の話題が聞こえてこないのだろう。だがらといって同機の実現がないわけでもない。現時点ではステルスモードにはいっているといったところではないだろうか。■

 

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Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He regularly writes about military small arms, and is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.


2021年3月5日金曜日

B-21の機体寸法を大胆に推測する----B-2より一回り小さいことが新築の戸外シェルターからわかる

 

 

 

空軍はサウスダコタ州のエルスワース空軍基地内にB-21爆撃機用の臨時シェルターを構築した。同基地はB-21の試験評価に使われ、B-21運用基地の知見を集める目的がある。空軍の報道資料写真から同機の外寸が推定できる。B-21の寸法等はこれまで一切公表されていない。

 

写真からエルスワース基地内に完成した臨時シェルターの全体像がわかる。シェルターの横にはフォードF-150あるいはシェヴィ・シルバラードと思しき車輛がある。両型車とも全長20フィートほどだ。コンクリートの区切り線も20フィートほどなのでシェルターの全長は150フィートほどで、奥行き80フィートとわかる。空軍は報道資料でシェルターが機体全体を覆うと発表している。

 

B-2爆撃機が翼幅172フィート、全長約70フィートである。B-2用の臨時シェルターは空気膨張式で250フィートx126フィートの大きさがあり、余裕をもたせている。

 

こうした数字からB-21は翼幅約140フィート全長50フィート程度だろう。

B-21Graphics: Dash Parham/staff; Illustration: Mike Tsukamoto/staff

 

空軍からはシェルター外寸についてコメントはまだない。シェルターは格納庫外での機体作業を容易にし、機体を守りながら、飛行を迅速に開始する意義がある。

 

また太陽の紫外線から機体を守り、長期間供用を可能にする意義もある。積雪があっても解氷作業を省略できる。格納庫への移動を減らす効果も期待される。

 

重整備作業は格納庫内で行うが、B-21レイダーでは通常の保守整備はフライトラインでも実施可能な設計になっている。

 

今回のシェルターは完成形ではなく、実地使用で適なシェリター形状を今後決定していくという。B-21はエルスワースの他、ホワイトマン空軍基地(ミズーリ州)、ダイエス空軍基地(テキサス州)にも配備されるが、シェルターのテストにエルスワースが選ばれたのは、同基地の天候条件が基地3箇所で最も過酷なためだ。

 

B-2スピリット各機に専用格納庫がホワイトマン基地にあり、空軍は膨張式シェルターも同基地に配備している。ディエゴ・ガルシア、グアムでも同様で、B-2の低視認性を実現する機体表面は必要に応じ展開中でも補修する体制ができている。B-21がB-2より小型になると、B-2用シェルターもそのままB-21に使えるはずだ。

 

B-21統合システム室は空軍の迅速性能室(RCO)内のB-21事業室と連携し、運用部隊と調達部門の密接な協同作業を目指していくと空軍は述べている。

 

RCO室長のランドール・G・ウォルデンはAir Force Magazine取材でB-21爆撃機の整備部門は設計開発部門からあらゆる面で参加しており、機体が円滑に運用開始できる体制にあると述べている。

 

「技術製造開発段階を通じ、整備部門要員が設計内容の決定に加わっており、同機配備が始まっても技術問題が発生しないよう今から対応している」とB-21システム事業調達を透過するジェイソン・ヴーテイス大佐が発言し、「設計段階で機体の整備、維持上の要求内容を反映している」という。

 

ダイエス、エルスワース、ホワイトマンの各基地がB-21の配備先に選定されたが、今夏まで正式な配備基地は発表されない。環境影響研究結果が出ていないためだ。が、各基地は現時点も爆撃機の運用基地になっており、支障を与える新要素が出るとは思われない。エルスワースが真っ先にB-21の初飛行隊の本拠地になり、次の飛行隊はダイエスに配備される。空軍は各基地所属のB-1爆撃機の一部で退役を開始したところだ。■

 

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B-21 Bomber Shelter May Reveal Size of Secret Jet

BREAKING

March 3, 2021 | By John A. Tirpak


期待はずれに終わった装備品----実戦化したものの失敗した装備品から教訓を学ぶ----(1)米陸軍向けM551シェリダン軽戦車の場合

 

 

この装備品はなぜ失敗に終わったのか

失敗から学ぶ兵器史 M551シェリダン

 

現場部隊は必要な場面で現れるシェリダンを頼もしく思ったが、兵装に問題があり、機構上のトラブルが多すぎた。

 

M551シェリダン軽戦車は今となっては懐古の趣がある。登場した当時は画期的な兵器システムだったが、いろいろな要素がからみ、実戦で失敗作だと実証してしまった。しかし、同戦車数百両が戦役3回に投入され、それなりに有益さを発揮し、1990年代に用途廃止されると戦力構造でギャップを残し、米陸軍は今もその穴埋めに苦慮している。シェリダンは空輸で容易に移動可能で、パラシュート投下もできたためだ。

 

南北戦争時の北軍騎兵隊将軍の名前を冠した同戦車が導入された時点で米陸軍は主力戦車を優先し、軽戦車の概念そのものは廃止寸前だった。装甲、火砲を犠牲にし高速力を実現する軽戦車は、全てをバランスよく実現した車両が生まれれば無用の存在になると思われていた。

 

ただし、当時のパットン戦車は最大時速30マイル程度と低速で、空挺師団に軽戦車は不足していた。第二次大戦の経験から空挺部隊は敵装甲部隊の前には脆弱とわかっていた。米陸軍はこれ以前にグライダー搭載可能のM22ローカスト戦車を開発し、ライン河作戦で空挺部隊と投下されてていた。さらにソ連は水陸両用のPT-76軽戦車の配備を始めており、米陸軍も同等装備品の導入の必要を痛感した。

 

 

そこで13億ドルを投じ「装甲偵察/空挺強襲車輛」M551シェリダンが実質上の戦車として1,562両が1966年から1970年に量産された。車両重量15トン、時速43マイルのシェリダンは乗員4名を薄い鋼鉄装甲砲塔とアルミ車体に乗せた。浮体装備をつけ、時速3マイルで渡河通行が可能だった。

 

シェリダンで最も目を引く特徴がM81で152ミリ主砲・ミサイル発射装備だった。パットン戦車の90ミリ・115ミリ主砲より強力な薬莢なしの砲弾を発射可能な短砲身では必要な精度が長距離射撃で得られず、敵戦車の装甲貫徹も不可能だった。そこで、中長距離の敵装甲車輛にはMGM-151シレーラ対戦車ミサイルを発射した。射程は3キロ程度であった。シェリダンはシレーラを9発、砲弾20発を標準搭載し、.50機関銃、7.62ミリ機関銃も搭載した。強力な火力を軽戦車に詰め込むのはすぐれた発想のように思われた。

 

影響力の強いクレイトン・エイブラムズ大将がシェリダン構想を支持し、152ミリ砲弾が利用可能となると、第一陣として200両をヴィエトナムに1969年1月に送り込まれた。第4騎兵連隊第3戦隊ならびに第11装甲騎兵連隊「ブラックホース」の各戦車中隊に導入され、大型で鈍足のM48パットン戦車に交代した。だが、実戦投入されると新発想の兵装が欠点を露呈した。

 

シェリダンの軽量車体は主砲発射で飛び跳ねる事が判明した。車長がハッチから外を覗いていれば胸部負傷の恐れがあり、ミサイル用の電子装備が機能不全になった。これに自動装填装備の実行速度が低いことが加わり、毎分2発しか発射できなかったが、M48では経験をつんだ搭乗員なら毎分12発以上発射できた。さらに、無薬莢砲弾の推進剤が漏れやすく戦闘場面で危険な状況になることがあった。

 

ただしシェリダンの最大の欠点は軽戦車の宿命とうべき残存性にあった。M551の装甲は重機関銃なら跳ね返したが、地雷やロケット推進手榴弾には脆弱だった。更に悪いことに敵弾が貫通し車内で152ミリ無薬莢砲弾が誘爆すると致命的だった。アルミ車体は引火しやすく、乗員の生存は厳しかった。第12装甲騎兵連隊は渡河作戦で一度に3両のシェリダンを地雷で喪失した。第11装甲騎兵連隊では5両がヴィエトコンのロケット推進手榴弾で破壊された。あわせて約100両をヴィエトナムで喪失している。ヴィエトナムにはシレーラミサイルは投入されなかったが、この装備も失望ものだった。故障が多く、赤外線センサーは800メートル以上ないとロックできなかった。陸軍はM81とシェリダンをM60A2「スターシップ」パットン戦車の後継装備品として投入したが、供用期間は10年に満たず第一線を退いた。

 

とはいえ、シェリダンは現場部隊に好評だったとの報道がある。152ミリ砲弾は強力な威力を印象づけ、M625キャニスターにフレシェット弾数千発を入れ、タイニン、ビエンホアの両戦闘でヴィエトコン部隊に大損害を与えた。またシェリダンの低地上圧はパットン戦車では通行不能な場所でも有効でヴィエトナムの地形に合っていた。前線部隊ではシェリダンを改造し、.50機関銃に防御板をつけたり、地雷対策として追加側面装甲をつけていた。

 

装甲騎兵連隊の撤退が1972年に完了し、シェリダンもヴィエトナムでの供用を完了した。陸軍は1970年代末から順次この複雑な構造の車輛を騎兵部隊から廃止していった。しかし、空挺部隊では後継機種がないため、そのまま残り、M551A1 TTS仕様として熱探知機能で夜間戦闘に備えた改良型になった。

 

1989年のパナマ侵攻には73装甲師団第3大隊のシェリダン10両がC-130から初めてパラシュート投下されたが、これが唯一の事例となった。M551はさらに4両が戦闘開始前に送り込まれ、パナマ警備隊陣地を強力な火砲で攻撃した。その際に使われた低速空中投下用パラシュートの作動には困難がつきまとい、M551のうち2両は沼地に投下され、回収できなくなった。残りの車輛は稼働状態にされ、パナマ独裁者ノリエガの部隊と市街戦を展開した。

 

一年後にシェリダン51両が第82空挺師団とサウジアラビアに急派された。砂漠の嵐作戦で、米陸軍の軽歩兵部隊の防御にあてられた。この動きでサダム・フセインのサウジアラビア侵攻を食い止める期待があったが、大量の装甲部隊による侵攻シナリオが実現せず幸運だったと言える。その間に米国は重装甲部隊を現地に送り、戦力を構築できた。

 

シェリダンが実戦投入されていれば、イラク戦車の餌食になっていただろう。それでも同軽戦車にも湾岸戦争で活躍の機会がやってきた。イラク陣地にミサイル数発を発射し、T-59戦車一両を撃破している。これが88千発も生産されたシレーラで唯一の戦果となった。

 

シェリダン戦車は82空挺師団の急速展開部隊用にその後も共用されたが、1996年に用途廃止となった。多くが敵軍想定部隊として国家訓練センターで使われたが、これも2003年に廃止され、その後人工環礁として生涯を終えている。

 

空挺部隊にはシェリダン戦車を上回る後継装備品は実現していない。陸軍はM551に軽量105ミリ砲を搭載し、同様の火力を搭載したXM8と試用した。結局、車輪走行式のM1128ストライカー機動砲装備を採用した。

 

現時点の空挺部隊には対戦車装備としてジェヴェリンがあるが、他方で軽戦車があれば敵拠点の突破など歩兵部隊に頼もしい支援が実現する。小火器攻撃なら無傷でいられる。近年のアクティブ防御装備なら小型対戦車兵器にも有効だろう。

 

M1エイブラムズ戦車にはシェリダンと同等の高速走破性能があり、火力装甲ともに相当強力なうえ、C-5輸送機に搭載可能だ。だが、車重70トンの同戦車は橋梁も破壊しかねず、燃料補給や整備が負担となる。当然、パラシュート投下は不可能だ。■

 

 

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Tank Trash: Why the M551 Sheridan Ultimately Failed`

March 3, 2021  Topic: Technology  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: U.S. ArmyTanksArtilleryDefenseMilitarySheridan Tank

The tank had troublesome armament and inadequate armor.

by Sebastien Roblin

 

Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

 

This article first appeared in 2019.

Image: Wikimedia Commons

 


2021年3月3日水曜日

太平洋の島しょを移動しながら作戦を行い、中国の攻撃を免れようとするアジャイル戦闘展開構想を試行したコープノース演習

 Two F-35A Lightning IIs fly over the Atlantic Ocean in 2018.

Two F-35A Lightning IIs fly over the Atlantic Ocean in 2018. U.S. AIR FORCE PHOTO BY AIRMAN 1ST CLASS ALEXANDER COOK

 


ジェット2機が同日内で別の飛行施設から発進し、別々のミッションを展開し、攻撃を狙う中国を混乱させる...

太平洋空軍(PACAF)は遠隔島しょ部基地多数からの攻撃を統合し、中国軍の標的になる前に迅速に作戦を展開しようと必死で、このたびコープノース演習でこのコンセプトを試行した。

 

「アラスカのエイルソン空軍基地のF-35の2機をグアムのアンダーセン空軍基地まで展開し、翌日に2機を出動させ、パラウに着陸させた」と太平洋空軍司令官ケネス・S・ウィルバック大将が空軍協会主催イベントで述べた。「C-130を地上給油用に1機派遣し、2機が地上にいたのは一時間未満で、そのまま離陸し、別のミッションをこなしてからアンダーセンへ帰投した」


今回試されたのはアジャイル戦闘展開ACEで指揮命令系統似従来より機動性を持たせるのが狙いだ。ウィルバック大将は中国を念頭に強力な敵軍と対峙を想定すれば必要な新機軸だと説明している。「アジャイル戦闘展開では出発地に戻らないことが多くなる...それだけ敵にとっては出発地点が見つけにくくなるし、何時間展開しているのか、どこから出発したのかがわかりにくくなり、敵としては標的の策定が困難になる」

 

欧州の米空軍部隊も同じコンセプトを試行している。しかし、ヨーロッパの基地の防御はずっと簡単だとウィルバック大将は指摘する。「各基地には道路網が接続しているが、こちらにはない。そのためこちらでは補給活動の難易度が高い。ということはこちらの基地防御も極めて薄く、艦船機材も絶えず移動させておく必要がある」

 

PACAFでは空軍隊員の訓練を進め広範な任務を実施する能力を確保することがアジャイルにつながる。これをコープノース演習でも行っている。警備担当の隊員が給油作業について、さらに通信について学ぶといった格好だ。「これで少ない人数でも一定の機能を実施できるし、補給活動そのものも減らせる」とウィルバック大将は述べた。

 

5月には2回目の演習をアラスカで行う。ウィルバック大将は「さらに大規模になる」とし、海軍、陸軍も参加するという。■


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Island-Hopping F-35s Test Pacific Air Forces’ Agility Concept

BY PATRICK TUCKER

TECHNOLOGY EDITOR

FEBRUARY 24, 2021


2021年3月2日火曜日

B-2スピリットにあらためてEMP攻撃への防御力を強化する意味とは。


EMP攻撃が制御可能な形で実施できるのか不明ですが、シナリオとしてはもっとも恐ろしい影響を与えるはずで、我々の生活が電気中心となっているなか、テキサス州のように大規模停電が発生すれば飲水も確保できなくなります。防御策を強化しても攻撃側が出力を増やせば効果がなくなるといういたちごっこの構図になるはずですが、サイバー含め日本も真剣にこのシナリオを考えておかないとまたもや想定外として言い逃れをする状況を許すことになります。



Airmen prepare a B-2 Spirit for takeoff.

Airmen prepare a B-2 Spirit for takeoff at Naval Support Facility Diego Garcia in support of a Bomber Task Force mission, Aug. 17, 2020. (U.S. Air Force/Tech. Sgt. Heather Salazar)

 

空軍がB-2スピリット爆撃機で電磁パルスEMP攻撃への防御強化を目指していることが政府調達関連公表サイトから判明した。

 

空軍物資司令部が先月から「B-2をEMPから防御する技術の性能一式」及び関連提案を公募していることをMilitary.comに認めた。

 

情報開示の締切はすでに終わっているが、空軍は引き続き同機の「残存性増強」のため近代化改装を狙っていると同司令部は述べている。「B-2装備担当部門は近代改修を続け核攻撃の指揮統制通信 (NC3) の機能を維持していく」(同司令部)。

 

EMPとは核爆発の際に発生する膨大なエナジー放出で電気系統を機能一時停止あるいは破壊する効果がある。中国のEMP攻撃に米国は脆弱と警告する向きもあるが、EMPより核爆発そのものに注意すべきとの声もある。

 

EMPは自然現象の地磁気嵐でも発生するが、いずれにせよ爆撃機には脅威となる。ドナルド・トランプ大統領は2019年に米政府各省庁に対し、EMP攻撃への対応での調整を求める大統領命令を発出した。その内容では研究開発を続けて脅威が最も深刻な影響を及ぼしかねない機能の防御策を求めており、全国送電網や軍事装備品、基地を対象としていた。

 

B-2のエイビオニクスは一部兵器からの攻撃に「耐える」強化策を施されている。今回想定する改修では「画期的手段により接近阻止領域拒否環境でも兵装としての有効性を維持し残存性を高める」のが目的と物資司令部は述べている。A2/ADとは敵部隊の陸海空活動をさせないための軍事戦略であり実施体制を意味する。

 

B-2の性能を段階的に引き上げる計画だが、具体的な内容は保安上の理由で説明できないと物資司令部は説明している。

 

B-2は20機あり、B-21の供用開始となる2020年代中頃までは唯一のステルス爆撃機だ。ただし、空軍はB-2の退役を2032年より開始する予定。

 

B-52Hストラトフォートレスは2050年代まで供用予定で、現時点でEMP防護テストが行われている。

 

空軍発表資料によればティンカー空軍基地(オクラホマ)のコンパス・ローズテスト施設でアンテナから電磁エナジーを機体に放出する実験を昨年行っていた。

 

EMPで機体がどう反応するかを実証すると、同基地の第555ソフトウェアエンジニアリング飛行隊が説明していた。機体に何が発生するのか、性能への影響はどうなるのか、電子装備に影響が出るのかをテストしたという。

 

空軍は実験はトランプ大統領指令に沿うものであり、同時に2017年の国家安全保障戦略でも中国、ロシアの脅威の高まりを強調し、両国がEMP技術に関心を高めていると指摘していた、と説明している。■

 

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Air Force Wants to Harden the B-2 Bomber to Withstand an EMP Attack

22 Feb 2021

Military.com | By Oriana Pawlyk