2021年3月17日水曜日

マッハ5超のSR-91は実在する?

 

ブラック案件がこの上なく好きな当方にはたまらない話題ですが、内容が浅いのはご容赦ください。

 

SR-91 Aurora

SR-91 Aurora, artist rendition. Image Credit: Creative Commons.

 

1980年代にマッハ5+極超音速偵察機の構想が空軍に生まれ、最速の有人機を目指した。試作機で目撃談が相次いだが、SR-91アウロラは実在するとしても構想段階を超えたことはないようだ。

 

SR-71ブラックバードの老朽化が進み、維持費が年間2-3億ドルと高額なため、後継機実現を目指した。特別アクセスプログラム(SAP)と呼称された極秘「ブラックプログラム」のためSR-91で判明している事実は皆無に等しい。アウロラの名称は1985年度予算要求資料の事前削除から漏れて流布したにすぎない。

 

2006年5月に英国防省の報告書が米空軍の優先事業としてマッハ4から6飛行可能な超音速機に触れていた。その後15年が経過しているが、これはSR-91アウロラのことだったのか、確認したくても情報があまりにも乏しい。

SR-91 Aurora

SR-91 Aurora, artist rendition. Image Credit: Creative Commons.

 

本当に存在しているのか

 

何度も繰り返される疑問はSR-91アウロラ試作機は実際に製造されたのか否かだ。製造を裏付ける証拠は皆無に等しい。

 

FighterJetsWorld.comによればSR-91かもしれない機体の未確認目撃ガ数回あったという。中でも広く知られているのは三角形機体を1989年8月北海で石油探索技術者クリス・ギブソンが目撃した事例だが、実態はB-2スピリットだった可能性がある。

 

あるいは可能性がもっと高いのはロッキードF-117ナイトホークで、実際に英空軍が1980年代末に同機をテストしていた。

 

情報が乏しい中でマッハ5飛行が本当に可能だったのかも不明で、機体形状も確認しようがなく、極秘機扱いの同機が北海上空で目撃されるほど低速飛行していたのか疑問だ。

 

さらに試作機なら一体どこから離陸し、着陸したのだろうか。北海は正確には絶海ではなく高性能機材のテストとしてはありえない場所のように思える。

 

もう一件しかないSR-91存在の「証拠」はロサンジェルス上空で何度も「空震」音が聞こえたとの記事で、グルームレイク(別名エリア51)から運用していた機体なのかもしれないが、アウロラと断定できない。

 

ロッキードのスカンクワークス(現ロッキード高度開発カンパニー)が主契約企業だったと言われる。だが本当にそのような機体があったとする情報は今に至るまで皆無に近い。こうしたことからアウロラは謎の機体のままというのが現時点の結論だ。■

 

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SR-91 Aurora: Mach 5 Hypersonic Spy Plane or Myth?

Peter Suciu

ByPeter Suciu

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He regularly writes about military small arms, and is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.


次期SSBNコロンビア級の技術的課題

 

 

 

 

中配備戦略抑止力の根本たる核弾道ミサイル潜水艦は見つかってはならず、探知されるす、姿を見せてはならない宿命だ。

 

この命題を維持するため潜水艦開発をいっそう複雑になっており、新型コロンビア級弾道ミサイル潜水艦はいまだかつてない静粛度を誇るステルス潜水艦となる。

 

コロンビア級はハイテクの駆使で探知を逃れる設定で、敵側が長距離高性能ソナー装備を使い探知能力を引き上げ、小型対潜無人潜水艇や航空機による潜水艦探知技術を進めているのを意識せざるを得ない。水面や浅海域レーザースキャナー技術も浮上しており、パトロール中の潜水艦の探知を目指していることにも注意が必要だ。

 

こうした中で海軍作戦部長マイケル・ギルディ大将のCNO NAVPLANで新型コロンビア級の運用開始を「時間通り」実現する必要を訴えるのは当然だろう。

 

 

一方で、水中無人潜水艇が急速な進展を示しており、静粛で小型かつ探知が困難なため、潜水艦艦長に新しい脅威となってきた。

 

中国は新型普級弾道ミサイル潜水艦の建造を進めており、JL-3長距離核ミサイルを搭載する。JL-3ミサイルにより中国は米本土をこれまでより広く射程に収め、米国への核攻撃がより現実味を帯びる。

 

こうした中、米海軍が高性能弾道ミサイル潜水艦の新型多数を必要とするのは当然だが、新型潜水艦はステルス性をこれまで以上に必要とし、海軍は新型水中戦技術をコロンビア級に統合する。

 

海軍の科学技術開発の成果がコロンビア級に搭載されるが、一部はブロックIIIヴァージニア級攻撃潜水艦から流用する。光ファイパー方式潜望鏡で、従来のように潜望鏡の下に立つことなく、艦の周囲を見ることができる。またフライ・バイ・ワイヤ航法は機械式の油圧機構と違い、高度の自動化で深度、速力等を制御できる。

 

コロンビア級に全く新しい静粛化技術が採用される可能性は高い。海軍兵装開発部門で話題に登っているのが電気推進技術だ。従来装備よりはるかに静粛で瞬時に機動性を実現できるが、艦内に高性能電子装備が多数搭載されるはずだ。指揮統制機能、自動航法システム、電動兵装、センサーのインターフェースが実現するはずだ。

 

探知を難しくする方法にミサイル発射管から運用する水中偵察機がある。海軍が開発中の各種無人機は潜水艦からの発進、回収を実現し、水中戦での情報収集に役立てる。無人ソナー・センサー装備としてリアルタイムで潜水艦本体に情報を伝えれば、コロンビア級潜水艦は探知されない位置に長くとどまることが可能となり、無人水中機を前方へ移動させハイリスク水域で敵潜水艦等を監視することになろう。■

 

 

Columbia-Class Submarine: The Most Stealth Submarine Ever Built?


January 17, 2021  Topic: Columbia-Class Stealth  Blog Brand: The Buzz  Tags: Columbia-class StealthColumbia-ClassU.S. NavyNavyMilitary

by Kris Osborn

 

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.


2021年3月16日火曜日

イスラエル空軍は米空軍の余剰F-15取得を期待。これまでもF-15バズとしてイスラエル仕様に強化改修した実績がある技術力の高さが背景に。F-35取得とあわせ、中東での航空戦力優越を狙う。

 本日(3月16日)は東京で日米外交防衛トップ会談があり、日本側はF-15JSIの価格急騰を話題にするとの報道があります。まさかEX導入に急遽切り替わるような大幅な方向転換はないと思いますが、イスラエル並みの技術力(あわせて意思の強さ)がないと、足元をみられてしますね。

Israeli Air Force exercise "Blue Flag"SARA LEMEL/PICTURE-ALLIANCE/DPA/

 

5世代戦闘機のみ調達するはずだった米空軍はF-15EX導入で方針変更した。新型イーグル配備の影響は今後長く続き、米空軍以外にも現れそうだ。

一つ考えられるのがイスラエル空軍IAFで、米国が提供する大型商談で高性能版F-15とともにF-35追加導入に動くものと見られていた。F-15EXにイスラエルは今の所音無しの構えで、F-35追加導入は発表があったが、新型F-15に全く言及がない。

イスラエルはF-15A/B/C/D各型『バズ』Bazを自国仕様にあわせ改修しているが、同機がIAFに登場したほぼ50年前が出発点だ。イスラエルは当初『対地攻撃能力皆無』のイーグルを長距離攻撃機材に変え、機体一体型燃料タンクも導入した。これはF-15Eストライクイーグルの登場前の話だ。さらに「イスラエル化」され、バズ2000改修は大幅なものになった。現在も真の多任務戦闘機として供用中で、米・イスラエル製兵装を搭載し長距離攻撃が可能だ。複座B/D型を特にIAFが重宝するのはネットワークや衛星通信中継機として指揮統制機能を強化しているからだ。

USAF

F-15バズ

 

米空軍の余剰F-15はイスラエルに流れ、バズ機材となっている。最近もF-15Dの余剰機材がIAFに渡り、対イラン戦で極めて重要な機材になる期待が高い。

受領した機材はD型でも最古のものだが、IAFはダビデの星マークに塗り替えただけではない。まず、慎重に分解して大幅改修を施してから再組立てした。その後、損耗機材のかわりに配備されている。

IAF

初期導入のF-15Dはイスラエルにより徹底的に手を加えられている。

 

ではIAFが新造F-15を導入する、導入しない話がどうからむのか。USAFが144機のF-15EX導入を発表したのは、旧型C/D機材の更新用とされたが、旧型機は合計210機ある。そのうち、178機はゴールデンイーグル・ロードマップで今後も供用を続ける予定だった。その中で最古参機には主翼交換が2020年代末までに必要とされ、多大な費用がかかるとされていた。こうした機材の主任務は本土防衛とならび極超音速ミサイル運用の想定で、空軍は結局旧型機の改修よりも新規製造のF-15EX導入に方針を変えた。

 

USAF

改修型F-15Dバズ

 

F-15X構想が突如登場したことで、200機以上ある後期製造分のF-15C/DをUSAFが余剰機材に区分する見込みが現実のものとなった。F-15EX調達が進めば、空軍で不要となるF-15が出現する可能性が高い。F-15Dの最後の機体がイスラエルに無償移譲されれば非常に魅力的な話になる。新規製造F-15EXの機体単価が80-90百万ドルになり、製造まで時間がかかることを考えればなおさらだ。

ストライクイーグルが原型のF-15Iがイスラエルに25機あり、現状ではイスラエル航空戦力の中心的存在だ。そこにF-35と新型スタンドオフミサイルが導入されれば、あえて第4世代戦闘機の新規製造機体に重点をおかなくてもよくなる。必要なのは兵装運搬手段でありネットワーク機能を充実した機体でイスラエルの求める仕様に特化し、国内装備品を搭載した機体だ。必要な追加F-15の8割を2割のコストで実現できれば、抵抗するのはが極めて困難だ。

USAF

イスラエルはストライクイーグルをF-15Iとして25機運用中。 

 

同様に改修を加えるF-35Iは攻撃任務に適化して、航空作戦の初期段階で敵防空能力が高い状態での活躍を期待される。F-15は後衛につき、長距離戦術支援機材あるいは兵装トラックとして、スタンドオフ兵器を運用し、ネットワーク指揮統制機能を発揮することで、F-35I含む僚機に機能を発揮させる。しかも非常に魅力的な機体価格でこれが実現する。ここにF-15C/Dの伝説的とも言える空対空対応能力が加わる。有人機・無人機の並行運用も「忠実なるウィングマン」の登場で現実のものになりつつある。複座F-15Dを改修すればこの任務にも理想的となろう。

更に大きな可能性がある。イスラエルは後期生産型のF-15Cを単座バズ部隊に導入する構想も練っている。USAFのF-15Cでは多くがAN/APG-63(V)3アクティブ電子スキャンアレイ方式(AESA)レーダーを搭載し、最強の空対空戦闘機用レーダーとなっている。改修費用は米空軍が負担済みで、そのまま引き渡されそうだ。

AUTHOR/TYLER ROGOWAY

米空軍142戦闘航空団のF-15Cに新たに搭載されたAN/APG-63V3 レーダー

 

とはいえIAFにF-15EX導入の可能性がないわけではない。20年前のF-15I導入と同じ話だ。同型機導入構想に有利な条件もある。なんといっても新規製造機材の信頼性・高寿命に対抗できる選択肢は他にない。またF-15EXの性能水準も否定しがたい。それでも、F-15バズ改修でUSAF提供の最古参D型機を再生するのに成功しており、イスラエルはF-15EXの高性能なみの水準を想定しているのではないか。現状のF-15A-Dバズが50-55機、F-15Iラアムが25機あるところにF-15を追加導入し、さらにF-35も追加導入しても両立は可能だろう。

USAFは現行の「制空任務イーグル」全機を用途廃止しF-15EX導入を進めるようだ。これでIAFに夢だった事態が現実になる。バズ改修で第4世代重戦闘機のニーズが満たされ、十分な数の機材が低価格で入手できれば、IAFがF-15EXを真剣に導入する必要はなくなる。とりあえず、今回は。■

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Israel Could Be Waiting For Surplus US Air Force F-15s Instead Of Buying New Advanced Eagles


米空軍がF-15EX導入を進める中、イスラエル空軍は余剰機材を入手する機会を待つ

BY TYLER ROGOWAY MARCH 13, 2021


2021年3月15日月曜日

歴史に残る艦(2) 日本海軍に対抗し建造され、真珠湾攻撃も生き延びたUSSフィーニックスは、アルゼンチンへ売却されへネラル・ベルグラーノとして英原潜の魚雷攻撃で生涯を閉じた。

 


 

 

れまで原子力潜水艦で沈められた艦艇は一隻のみだ。日本軍と戦う想定で建造されたUSSフィーニックスは真珠湾攻撃を生き残り、太平洋各地で戦闘に加わった。真珠湾攻撃の41年後に、同鑑はフォークランド諸島沖大西洋で英潜水艦HMSコンカラーに撃沈された。

 

USSフィーニックスは軽巡洋艦ブルックリン級5番艦で設計はロンドン海軍条約(1930年)による制約を受けた。主要国海軍は戦艦建造に制限がつき、巡洋艦に着目した。新条約体制で加盟国間の重巡洋艦の8インチ主砲搭載数で制約がついた。英国は帝国各地の警備用に軽巡洋艦が必要で、6インチ主砲の新型巡洋艦で小型化を狙った。

 

予算難の英海軍本部に不幸だったのは米国と日本の優先事項が別だったことだ。日本は6インチ主砲15門を三連装5砲塔に搭載し、全長は重巡洋艦並みの軽巡最上級を建造した。これに対抗したのがブルックリン級で同じく6インチ砲15門を搭載した。ブルックリン級の排水量は10千トンと最上級よりわずかに低く、最大速力は33ノットだった。当時の米海軍の考え方では軽巡洋艦は主力艦戦列に沿い火力を展開し、敵駆逐艦の接近を拒む任務を期待された。機能面で重巡洋艦と軽巡洋艦の違いは軽微で、6インチ主砲は8インチ主砲より威力が劣ったものの、再装填時間が短く大きな効果があった。

 

 

USSフィーニックスは1935年起工され、1938年末に就役し真珠湾へ配備されたが、真珠湾攻撃を無傷で過ごした。攻撃当日の午後にフィーニックスは急遽編成された日本の機動部隊追尾部隊に加わった。1942年はじめ南太平洋へ展開し、蘭印東インディーズ諸島制圧をねらう日本の動きを封じようとした。1943年は大部分を修理に費やしたが同年12月に第一線復帰した。

 

太平洋に戻ると同艦はダグラス・マッカーサーのニューギニア攻略作戦に加わり、フィリピン解放にも投入された。1944年6月に日本軍の空襲を受けたが、目立つ損傷はなかった。ジェシー・オルデンドーフ提督のもと、スリガオ海峡海戦に1944年10月に加わり、日本の戦艦山城の撃破を助けた。その後は援護役にまわることが多くなり、援護対象艦が神風攻撃をうけたが、フィーニックスに損傷は皆無だった。戦後に予備役にまわされた。

 

1951年4月にフィーニックスはアルゼンチンへ売却され、ディエシシエテ・デ・オクトゥーブレと命名された。姉妹艦ボイシーも同じくヌエヴォ・デ・フリオになった。ブルックリン級軽巡は南米各国の旧式戦艦の後釜になった。アルゼンチンにつづき、チリも2隻、ブラジルは一隻導入した。1956年にアルゼンチン独立の指導者にちなみヘネラル・ベルグラーノに改称された。

 

フォークランド戦争でアルゼンチン海軍は諸端こそ上陸作戦を展開したものの、それ以外は動きがわずかだった。1982年4月26日、へネラル・ベルグラード投入が決まり、駆逐艦二隻とフォークランド諸島南方へ展開することになった。この展開は政治的に意味が明らかだったが、軍事上では意図不明だった。へネラル・ベルグラーノには当時の新鋭艦にも十分対応する武力があった。英艦が12マイル以内に迷い込めば6インチ主砲に撃破する火力があった。同艦の装甲は戦艦並とはいかなかったが、当時の対艦ミサイルには防御力は十分だった。ただし、同艦の活動範囲に英水上艦が入る可能性は極めて低く、対空・対潜装備が皆無のため、戦闘の行方に貢献する機能も低かった。5月2日、へネラル・ベルグラーノは随行艦とアルゼンチン本国への帰還コースをとった。

 

アルゼンチンに不幸な展開はHMSコンカラーが4月29日に同艦を探知していたことだ。コンカラーは追尾を続け、英国政府は攻撃を決断した。5月2日、コンカラーは魚雷発射地点に移動し、通常型非誘導式魚雷3本をへネラル・ベルグラーノに発射した。命中したのは2本と、護衛駆逐艦二隻が報告している。戦闘後に駆逐艦の一隻に不発魚雷が衝突していたとわかり、改めてコンカラー乗員の技量の高さを示した。へネラル・ベルグラーノは大きく損傷を受け、転覆したのち沈没した。攻撃を受けて30分後だった。乗員のうち770名が救助されたが、323名が死亡した。

 

へネラル・ベルグラーノ撃沈まで事態収拾の望みもあったが、巡洋艦が海に沈むと期待も消えた。アルゼンチン側は英国の非を追求した。攻撃地点が事前発表の攻撃対象圏外であり、同艦は英機動部隊から離れる航路だったと主張。事実はへネラル・ベルグラーノは撤収ではなく再配備の途中で、老朽化で限界があったといえ、依然として英軍には脅威対象だった。同艦が英軍作戦へ支障を与える可能性もあった。ただし、へネラル・ベルグラーノを喪失し、アルゼンチン海軍はその後の活動が不活発になり、英軍作戦を助けた。

 

結語

 

へネラル・ベルグラーノ撃沈はいまも論争のたねであり、アルゼンチン及び英国内左翼陣営が批判を展開している。これに対しアルゼンチン海軍ならびにベルグラーノ艦長は攻撃は合法だったと説明。ただし、ベルグラーノの最後へ焦点をあわせると、第二次大戦時のUSSフィーニックスによる太平洋の戦歴が隠れる。真珠湾攻撃を生き残り、その後も供用を続けた最後の艦艇が敵攻撃の前に海に没したのであり、「敵」が英海軍だったというのもなんとも皮肉だ。■

 

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History Tells Us Nuclear Submarines Don't Really Kill Anything

March 11, 2021  Topic: Nuclear Submarines  Blog Brand: The Reboot  Tags: Nuclear SubmarinesU.S. NavyMilitaryWorld War IIArgentine

by Robert Farley 

Robert Farley, a frequent contributor to The National Interest, is a Visiting Professor at the United States Army War College. The views expressed are those of the author and do not necessarily reflect the official policy or position of the Department of the Army, Department of Defense, or the U.S. Government. This article first appeared last year.

Image: Wikipedia


2021年3月14日日曜日

中国の弱み 規模こそ巨大だが中国の空軍力にはまだ実力が不足しているのが現状だ。

 


 

ハイライト PLAAF ・PLANAFあわせた戦闘機材の三分の一が旧世代機で戦闘性能に制約がつく。一斉飽和攻撃しか活躍の余地がないといってよい。28%の機材が戦略爆撃機など性能は高いが第3世代設計の旧型機だ。

 

人民解放軍空軍PLAAF、人民解放軍海軍航空隊PLANAFと合計1.700機と相当な規模の戦闘機材を運用している。これを上回るのは3,400機供用する米国だけだ。中国は多様な機種を運用しており、一部は西側も把握できていない。

 

ただし、中国の軍用機は大部分がロシア、米国の設計をもとにしており、出自がわかれば性能の推定も困難ではない。

 

ソ連機のクローン

ソ連と共産中国は1950年代に最良の友好関係にあり、ソ連は戦車、ジェット戦闘機など大量の技術を移転してくれた。中国生産の初期機体にJ-6があり、これは超音速MiG-19のクローンだった。J-6は大量生産され、一部を除き今日でも供用が続いている。同機の派生型南昌Q-5は対地攻撃機で供用中で、精密誘導弾運用の改修を受けている。

 

ところが中ソ関係は1960年ごろから怪しくなった。それでも1962年にソ連は最新のMiG-21戦闘機を友好の証として贈与している。中国は甘い言葉にはつられず機材をリバースエンジニアリングで堅牢かつ重量を増やした成都J-7に変えた。文革の影響で生産開始が遅れたが、1978年から2013年にかけ数千機が生産され、現在も400機近くがPLAAF、PLANAFで供用中。

 

J-7は1950年代設計としては操縦性、速力がすぐれ、F-16並にマッハ2飛行も可能だが、燃料兵装の搭載量が少ない。J-7Gは2004年に登場し、イスラエル性ドップラーレーダー(探知距離37マイル)、改良型ミサイル、視界外対応能力、デジタル「グラスコックピット」を備える。

 

こうした機材では第4世代戦闘機へ対応は苦しいだろう。敵機には遠距離探知能力がある。仮説だが、一度に大量投入し敵を圧倒する攻撃形態を想定しているのだろう。

 

中国のB-52

もうひとつソ連時代のクローン機材が西安H-6双発戦略爆撃機で原型は1950年代初頭のTu-16バジャーだ。米B-52、ロシアTu-95ベアのような大型機と比べれば性能は劣るが、空中給油対応となったH-6Kは今も有効な機体で長距離大型巡航ミサイルを敵の防空圏外から発射できる。ただし、PLAAFはこの想定で同機への期待を捨てたようで、西安航空機では新形H-20戦略爆撃機の開発を進めていると言われる。だが同機の情報は皆無に等しい。

 

国産戦闘機の開発

中国は国産戦闘機開発を1960年代中に開始し、1979年に瀋陽J-8が生まれた。大型双発超音速迎撃機のJ-8は最高速度マッハ2.2を実現し、MiG-21とSu-15の中間の存在となった。ただし、エイビオニクスは旧型で操縦性も劣った。とはいえ、J-8IIではイスラエル製レーダーの導入でエイビオニクスを改良し、大量兵装を運用するところはF-4ファントムを思わせる。現在も150機が活躍している。

 

1992年に供用開始した西安JH-7飛豹は200機以上が第一線にあり、大型複座の海軍用戦闘爆撃機として20千ポンドのミサイル等を搭載し最大速度はマッハ1.75だ。ドッグファイトには不向きだが、対艦ミサイルを長距離発射すれば安全だ。

 

成都J-10猛竜は対照的に中国のF-16で、高度の操縦性能の軽量多任務戦闘機でフライ・バイ・ワイヤのエイビオニクスで空気力学上の不安定さを補正している。エンジンはロシア製AL-31Fターボファンに頼らざるを得ず、J-10B型が21世紀にふさわしいエイビオニクスとして赤外線探知追尾装備やアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーを搭載し、後者はF-16でも一部にしか搭載されていない。250機ほど供用中のJ-10で死亡事故が数件発生しているのはフライ・バイ・ワイヤ関連で問題があるのか。

 

フランカーの導入

ソ連崩壊後のロシアはキャッシュほしさにイデオロギー対立は捨てて、当時最新鋭のスホイSu-27を求める中国の要望を受け入れた。Su-27は双発で高度の操縦性を誇り、F-15イーグルに匹敵する長距離運用とペイロードを実現した。これが運命的な決定になった。今日、Su-27原型の各機が中国の新鋭戦闘機部隊の中心となっている。

 

Su-27を輸入した中国は国内生産ライセンスを購入し、瀋陽J-11が生まれたが、ロシアにとって悲報は中国がより高性能のJ-11B型、D型を勝手に製造したことだった。

 

ロシアは怒りつつ、さらに76機の新型対地攻撃仕様のSu-30MKK、海軍仕様のSu-30MK2を売却した。問題は中国がSu-30からも独自の派生型を瀋陽J-16紅鷲としてAESAレーダー搭載、空母運用用の瀋陽J-15飛鮫を製造したことだ。後者はウクライナから調達したSu-33が原型で約20機を001型空母遼寧で運用中。さらにJ-16Dはジャミングポッドを搭載した電子戦用機材で米海軍のEA-18グラウラーに匹敵する。

 

中国のスホイ派生型各機は理論上は第4世代機のF-15やF-16に対抗可能のはずだが国産WS-10ターボファンエンジンが整備性の悪さ、推力の性能不足で足を引っ張っている。ジェットエンジン技術が中国軍用機で大きな制約条件となっている。2016年に高性能版フランカーSu-35の24機を購入したのは、AL-41Fターボファンエンジン取得が目的だったのだろう。

 

ステルス戦闘機

驚くべき短期間で中国はステルス戦闘機2型式を開発した。成都J-20は20機がPLAAFで2017年から供用されている。J-20はF-22、F-35のいずれとも異なり大型双発の機体でスピードと航続距離、大量兵装を運用する狙いで操縦性は二の次にしている。

 

J-20は対地対艦の奇襲攻撃に最適だろう。ただし、機体後部のレーダー断面積の大きさが問題になりそうだ。あるいは敵陣営に忍び込み、脆弱な支援機材の給油機やAWACSレーダー機を狩るねらいがあるのか。任務特定型のステルス戦闘機として高度な作戦内容の実行を始めたばかりの中国には意味のある機体になりそうだ。

 

他方で、小型の瀋陽J-31シロハヤブサ(別名FC-31)はF-35ライトニングを双発にしたような機体だ。ロッキード社のコンピュータに侵入して得たデータを流用している可能性が高い。中国は垂直離着陸用の構造など空気力学を洗練させているが、ライトニング並みの高性能センサーやデータ融合機能は搭載していないはずだ。

 

J-31は今後登場する002型空母に搭載をするようだ。また輸出用にはF-35より相当低価格に設定されるだろう。ただし、同機もロシア製エンジンを搭載しており、中国製WS-13エンジンが信頼性十分になるまで本格生産はお預けのようだ。

 

展望

PLAAF・PLANAFの戦闘機材のほぼ三分の一が第2世代戦闘機や戦闘能力に限定がつく機材で、一斉攻撃に投入するしか使いみちがないはずだ。28%が戦略爆撃機など一定の性能はあるものの第3世代機だ。第4世代機は38%でF-15やF-16に対決可能な機材で、ステルス戦闘機は1%相当だ。

 

だが、機体の性能だけがすべてではない。同様に重要性を持ってくるのが訓練であり、組織の運用思想であり、支援体制だ。

 

中国にも情報収集機材があり、空母攻撃用のミサイルや機材があるのは事実だ。だが、各機材を一体運用しキルチェーンを構成するのは簡単ではない。2016年のRAND研究所レポートでは中国の訓練方法には現実的な状況設定が欠如し、地上海上部隊と一体化した運用経験は未確立とある。

 

いずれにせよ、中国に旧型機の更新を急ぐ様子はない。国内航空産業が実力をつけるまで大規模な新型機調達事業は待つという考えなのだろう。■

 

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Size Isn’t Everything: Why China’s Huge Air Force Is Not That Scary


March 10, 2021  Topic: China Air Force  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: ChinaMilitaryTechnologyWorldAir ForceJ-20J-10

Size Isn’t Everything: Why China’s Huge Air Force Is Not That Scary

by Sebastien Roblin

 

Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring. (This first appeared several years ago.)

 


2021年3月13日土曜日

着実に進む日本と米国の宇宙空間安全保障協力....米宇宙軍、宇宙司令部との連携はここまで来ている

米ペイロードを日本の準天頂衛星で2回にわたり打上げる合意書に内閣府宇宙開発戦略推進事務局が署名する歴史的瞬間が生まれた。


本がフランス、ドイツに続き宇宙軍との連携を公認された。


「SPACECOMは日本との連携で合意書を取り交わす」と宇宙軍報道官が2021年3月21日認めた。


宇宙作戦部長ジェイ・レイモンド大将は日本を同軍の多国間連携事業に加える方針を2月の議会公聴会で表明していた。


「ヴァンデンバーグAFBの多国間宇宙連携室を強化し、ドイツ、フランス、英国の連絡官の常駐で政策及びTTP(戦術、技術、手順)の調整を図っている」「同室の業務拡大として日本、イタリア、南朝鮮を次に加えたい」


多国間宇宙連携室はSPACECOMの連合宇宙作戦センター(CSpOC)と別組織だが同じヴァンデンバーグAFB内に設置されている。CSpOCにはファイブアイズ対象国のオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国が米国関係者も米衛星運用を見守り、脅威対象のブリーフィングにも立ち会う。多国間連携部門はそれより軽度の機密情報を扱い、ファイブアイズ並の機密アクセスが認められない同盟国も加わることができる。


SPACECOMトップのジェイムズ・ディキンソン陸軍大将は多国間協力のネットワーク構築に前向きで、各国連絡官の常駐もめざす。


宇宙軍も国際協力へ焦点をあわせ、特にインド太平洋地区で中国の宇宙進出を警戒している。「ここ数年で各国との協力体制を大幅強化し、フランス、ドイツ、日本に加え大韓民国への拡大をめざしている」(宇宙軍作戦次長DT・トンプソン大将)


「世界各地で米国単独の実行はありえない。宇宙空間も同じだ」とニーナ・M・アーマニョ中将(宇宙軍幕僚長)が昨日発言していた。「宇宙でも同盟関係を構築することが宇宙軍の業務遂行に不可欠だ」


米国は日本と宇宙空間の状況認識能力拡充で協力を進めている。日本は米国製の宇宙状況認識 (SSA) センサーを搭載する準天頂衛星システム(QZSS)を静止軌道に打ち上げ、中国軍の宇宙活動へ監視を強める。


昨年12月宇宙軍は宇宙ミサイルシステムズセンター作成の光学センサーペイロードを日本の衛星に搭載し、種子島宇宙センターから2023年、2024年と連続打ち上げする正式合意を発表していた。


「宇宙ドメインでの状況認識能力向上は両国の宇宙協力を進める一歩に過ぎない」と空軍次官(国際分野)ケリー・シーボルトが報道会見で述べている。「今回の合意をもとに宇宙分野での協力を信頼が高い同盟国日本と進める」■


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SPACECOM To Tighten Ties To Japan

By   THERESA HITCHENS

on March 12, 2021 at 2:54 PM

https://breakingdefense.com/2021/03/spacecom-to-tighten-ties-to-japan/?_ga=2.33145150.1089004909.1615598621-1283241457.1614466581