2021年3月20日土曜日

ロッキード・マーティンに聞くイージス戦闘システムの現状と今後の姿。どう進化していくのか。中心的装備として各種装備に展開していく。(長文ご注意ください)ここまで全体像を解説する記事はほかにないのでは?

 

US NAVY/COMPOSITE

ージス戦闘システムはギリシア神話のゼウス神の盾から命名され、海軍水上艦艇に革命的変化を実現した。実戦化は40年近く前に始まった。イージスはコンピュータ、センサー、兵装、通信、ヒューマン・インタ―フェイスを組み合わせ高度の自動化を実現し、技術面の勝利となり、以前はSFの世界の性能を現実にした。その後、イージスは大幅に性能を向上し、水上艦艇で周囲の空域海域をコントロールできるようになった。

現在もシステムは威力を維持し、米海軍の主要水上戦闘艦ほぼ全艦に導入され、同盟国も採用しており、今後のさらなる発展が期待される。

今回ロッキード・マーティンで水上艦艇向けミッションシステム部長のリッチ・カラブリーズに取材する機会を得て、イージスの現状がよりよく理解できた。さらに、今後の方向性も聞けた。すべて驚くべき内容だった。

前口上はこれくらいに、インタビューの全体をご覧いただきたい。

タイラー:イージス戦闘システムはUSSタイコンデロガに搭載された40年前からどのくらい進化しているのか。イージスに代わる新しいシステムはあるのか、それともイージスは今後も今の姿のままになるのだろうか。

リッチ:ひとことで答えれば、劇的な変化だ。理解している人は少ないが、イージスの構成は一貫して進化している。機能上で大きな節目があったが、イージスの構成に機能を追加し、性能が向上し、形態が機能に追随し、構造が変わっていった。技術の進展もあった。

USN

USSノートンサウンドは水上機母艦だったが、イージス試験艦に改装され1973年から各種試験に強要された。AN/SPY-1Aが艦橋に設置されている。イージス開発は1960年代に始まり、1980年代初頭に実用化された。

 

イージスの出発点までさかのぼると、当時はCMS-2コンピュータ言語というアセンブリー言語で書いていたが、COTS言語の登場でC++、JAVAを導入し、今は各種スクリプト言語で作成している。イージス・ウェポンシステムでは処理能力も含め、すべての点で劇的な変化が40年間で生まれた。

イージス・ウェポンシステムの名前こそ同じだが、内部に大きな変化があり、ソフトウェアをモジュラー化し柔軟な構成にした他、新機能、新兵器、センサーを統合している。

今後を見通せば、情報ソース、データソースを活用し、システムの作動および構成を抜本的に変化させる。

USN

初の実用イージス搭載艦となった巡洋艦USSタイコンデロガ(CG-47)がスタンダードIIミサイルの発射を準備している。1983年4月9日。

 

タイラー:基本的に同じでも同時に全く違うシステムだという点は理解されていないと思う。時が流れ同じコンセプトでも違いが大きくなり、40年前から大きく近代化されているという理解で正しいかな。

リッチ:そうだね、それで正しい。ちゃんと理解している人は多くない。もうひとつ、コモン・ソース・ライブリーのことは知っているかな。この用語を聞いて思いつく点はないかな。

タイラー:思いつかないね。

リッチ:実力を発揮できるのはコモン・ソース・ライブリーCSLがあるからこそなんだ。CSLの役割は共通コンピュータプログラムでイージス・コンピュータプログラムをもとに水上艦多数をサポートすることにある。水上艦艇はLCS、新型フリゲートのコンステレーション級を含め、沿岸警備隊、イージス巡洋艦・駆逐艦、各国向け事業も含め全部イージスのコモン・ソース・ライブリー上に構築している。

LOCKHEED MARTIN

イージスほか関連装備の中心がCSLだ。

 

構造には柔軟性をもたせてあり、ロッキード・マーティンはツールや知見を発揮して、納入している。ミッション別にコンピュータプログラムを特定化しているといってよい。ミッションは多様で、沿岸警備隊の警備艦では麻薬流入の取り締まりが主だが、イージス駆逐艦では統合防空体制というハイエンドとなり、その中間がLCSのような艦と、ミッションや機能面の幅が広く、センサーの種類も異なる。すべてをCSLの形で同じイージスコンピュータプログラムで動かしている。

USN

フリーダム級LCSもCSLを利用しているが、任務内容に特化する形に編集している。

 

この形で機能を提供するように変更した意味は大きい。特定機能に焦点をあわせつつ、機能をつけたりはずしたりしている。このため、あとになって、機能が欲しくなった国でもCSLが組み込み済みなので、スイッチを入れるだけでその機能を有効にできる。ただし、必要なセンサーや兵装が艦に導入済みになっていることが条件だ。

タイラー:興味深いね。自動車業界のトレンドにも重なる。標準ソフトを搭載したままで、スイッチを入れれば機能が有効になるのと同じだね。そうなると、ソフトウェアが今は最大のハードルとなるわけか。

イージスのベースライン9で弾道ミサイル防衛と空気吸い込み式の脅威対象へ対応が有効となったね。巡航ミサイルや航空機とか。この点について話してもらえないかな。実現に際し何が課題だったのか、導入した水上艦艇で画期的な効果が生まれるのだろうか。

リッチ:うん、画期的な要素は艦艇でAAW機能または弾道ミサイル対応性能が統合防空ミサイル防衛体制の前に生まれたことだね。これまで長年に渡りコンピュータプログラムを別々に作成してきたが、状況に応じプログラムを使い分けできるようになった。統合防空ミサイル迎撃体制の導入で両方のミッションが実行可能になった。

USN

従来はイージス艦は防空戦あるいは弾道ミサイル迎撃を同時に実施できなかった。

 

アーキテクチャの最大の推進役はミッション・プランナーで、艦の位置に応じ最適な装備の投入が可能となる。ミッション、優先事項、その他を考慮し、レーダー資源をどう配分してミッションを達成するかを決めてくれる。この波及効果がシステム全体に広がり、信号処理、火器管制も決まる。だが最大の効果は各種機能の実行を同時実施できるようになったことだ。

イージス・ウェポンシステムの各機能では統合防空ミサイル防衛の実現で必要となる変更点を評価し、ここでもミッション・プランナーが鍵となる。リアルタイムの対応がこれからも変化していくミッションで実現できるようにしている。

タイラー:もし、今CIC(艦の神経中心というべき中央情報センター)にいて、弾道ミサイルの脅威を探知、との報告が入れば、わかっている情報から作戦を組み立てるのが大事になるね。ミッション・プランナーでこうした場合に柔軟な対応が可能になるのか。

リッチ:そうだね、作戦区域、現在地点の地理条件、脅威内容がわかるので、システムを微調整して一番可能性が高いシナリオへの対応が準備することになる。

USN

USSノーマンディ(CG-60)のCIC内部。

 

タイラー:そこにAESA、SPY-6レーダー、イージスベイスライン10仕様が登場する。海軍にどんな効果が生まれるのか。今後登場するフライトIII仕様のアーレイ・バーク級駆逐艦に搭載されるが、同時に供用中のフライトII艦一部にも導入される可能性がある。センサーのアップグレードやベイスライン10はイージスシステムの進化にどんな意味があるのか。

リッチ:レーダーの専門家ではないけど、まずレーダーで比較すると性能だ。どこまで探知できて、どこまで判別できるかだ。性能は上がるので判断時間で余裕が生まれる。脅威の高まりに応じ、必要な効果なのは当然だが、任務に適化したレーダーで戦闘システムが進化していく点で違いが生まれる。

GAO/NAVY

フライトIII仕様のアーレイ・バーク級駆逐艦にSPY-6レーダーが搭載される。

 

ベイスライン10では任務特化型レーダーに任務内容を伝え、どう作動すべきか指示する機能を導入する。レーダーはそのとおりに機能して戦闘システムに貢献する。この意味は大きい。もう一つ、各種センサーとの統合だ。水上センサー・コーディネーターの導入で、艦の資源配分を決め、センサー作動を微調整し環境に合わせ、脅威対象、地理条件に対応する。

そこにSPY-6導入の意味があり、任務特化型レーダー性能を実現し、性能と精度が向上し、戦闘システムも任務特化型レーダーを駆使できるようになる。ただ、同時にセンサーで得られるデータソースを戦闘システムで活用することがアーキテクチャ上の次の課題になった。

RAYTHEON

SPY-6 レーダー。 

 

任務特化型でないレーダーをベイスライン9搭載艦で使うコモン・ソース・ライブリーに戻すようにした。これをCSL一貫性と呼ぶ方向にもっていく。これはベイスライン9とフライトIII艦全体の機能水準をひとつにまとめることで、フライトII艦、フライトIII艦のアーキテクチャを統一することになる。ただし、レーダーの違いで機能や性能で違いが生まれる。DDG搭載のSPY-6は後付け搭載のSPY-6と異なり、より小型で回転式になる可能性もある。レーダー改修ではこれと別に旧型レーダーでも半導体レーダー並の性能の実現を目指している。旧式SPY-1でもSPY-6並になるということだ。

タイラー:イージスに赤外線探知システムのような新型センサーは統合されないのか。指向性エナジーのような新型兵装はどうか。システムの今後の姿を聞きたい。

リッチ:ここも手短に言えば、すべてだ。一貫して複合装備の統合融合機能をイージス・ウェポンシステムで実現しようとしており、新型兵装やセンサーに注目し、ハードキル、ソフトキルの調整をめざしている。ヘリオス・レーザーウェポンシステムにイージス・ウェポンシステムのCSLを統合する実験をニュージャージーで行っており、レーザー担当からはイージス・ウェポンシステムのコンピュータプログラムでレーザー試射に成功したと聞いている。兵装調整の機能を作り上げれば、ハードキルになる。ソフトキルでも自動化を目指し、ヘリオス・ウェポンシステムと連携している。

LOCKHEED MARTIN

「トウモロコシ畑の巡洋艦」USSランコカスはニュージャージーに設置されたイージス実験施設だ。 

 

同様にEW(電子戦)でもSEWIPやあらゆるデータソースがあり、艦のC4I(指揮・統制・通信・コンピュータ処理・情報)あるいはC6I、S6ISRといっても良いけど、これまでは壁があり、C4システムにデータソースが残ったまま、イージス・ウェポンシステムはSPYレーダーだけで運用していた。現在はデータすべての融合で状況判断水準の刷新をめざしており、どんな形のデータでも活用できるようにする。

タイラー:自動化が高度になれば艦内で兵装の投入が効率良く行えるようになり、標的の識別も簡単になれば、交戦の効果も上がるね。各種兵装の融合が目標なんだよね。

リッチ:そのとおり。水上センサー・コーディネーターにより目標の識別、設定、更に追尾が自動化されれば、兵装とセンサーの有効活用につながる。あらゆるセンサーを投入しなくても良い。別のセンサーで同じ情報が入手できるからだ。レーダーも全部使用しなくて良い。SPQ-9があればミッションに必要なデータは手に入る。

LOCKHEED MARTIN

イージスは六か国の海軍部隊で供用中だ。

 

タイラー:発展型シースパローミサイルのブロック2とSM-6をネットワーク化し、レーダー照射なしでもミサイルの最終飛翔段階での迎撃が可能になったが、システムはこれからどう変わっていくのか。単純化が可能になり、米海軍のイージス搭載駆逐艦や巡洋艦で標的へ照射は不要になるのだろうか。

リッチ:そうだね、ミッションごとに見ていけば、「打ちっぱなし」ミサイルがどこまで信頼できるかの話になるね。標的へ照射が不要になればミサイル対応が楽になるし、タイコンデロガ級巡洋艦では照射装備が4基、アーレイ・バーク級では3基と限定があるからね。ここでも火器管制のアーキテクチャが重要で、スマート兵器が最適対応を可能としてくれる。この自動化効果はイージス・ウェポンシステムに組み入れてある。

兵装の選択、組み合わせができ、今使用可能な兵装も把握できる。打ちっぱなしミサイルで柔軟度が生まれるが、やはり結局はミッション、標的、時間要素を正しく理解することだ。

タイラー:自動化はどこまで可能になるのだろうか。指揮命令所にいれば、システムが最適な選択を提案してくれるのだろうか。どのように作動するのだろうか。

リッチ:面白い質問だね。実はイージスは誕生当時から理論上は完全自律型で作られており、どこまで信頼するかの問題なんだ。このため、今の改良点はシステムが提示する内容の信頼度が高くなるようにアルゴリズムを投入し、決定を可能にするよう目指しているとところだ。システムの決定については確率や合理性についても説明できるけど、行動計画が急速展開する中では、水上センサーコーディネーター他の搭載を進め、自動化範囲を広げたい。乗組員に時間の余裕はないからね。

現場では状況は乗組員にもわかっており、背景事情も理解しているので、正しい判断を下せるはずだ。そのため情報を活用する。だが自動化へ依存度を高める必要があり、システムの一部に組み込まれることになる。実はこれはイージス・ウェポンシステムの当初からある話だ。データ融合で情報量が増えると、兵装の選択肢が増える。このため環境は複雑になる。一方で脅威も強力になっており、自動化に頼る度合いが増え、意思決定の補助手段が登場する。センサーリソースのバランス取りや攻撃兵器を標的に合わせた組み合わせにするとかがミッションの成功に不可欠となる。

タイラー:ペイスライン10仕様が登場し、既成艦に搭載されるとどんな姿になるのか。アップデートの内容はハードウェア全体を交換しソフトウェアを更新するのか。あるいはソフトウェア移植が中心となるのか。

リッチ:すべて各艦の状況次第だね。ベイスライン9ではTI-12HやTI-16といったハードウェアを撤去した。これは処理能力の問題で、旧世代になってしまったからだ。

ベイスライン9搭載艦で後期ハードウェアを作動させる場合はソフトウェア更新が中心となる。ベイスライン10が完成すれば、ベイスライン9と交代させる。当然ながら、センサー兵装をすべてそのまま使うことにならない。そのため、一部で性能が変わるが、機能面では同じで、ベイスライン9、10搭載艦で共通性をもたせる。

最新仕様にアップデートされていない艦では、旧式装置を取り外し、新型コンピュータ能力やTI-16ハードウェアに交代させる。旧式ハードウェアの撤去は大仕事で時間費用ともに相当の規模になるんだ。

ただ、現時点で当社が旧式艦に提供しているのは「仮想化」イージス・ウェポンシステムで、ハードウェア面の必要条件は小さい。

USN

イージス艦はネットワーク接続し、戦闘チームとして機能する想定で作られた。 

 

そこで当面はベイスライン5仕様艦に注目する。BMDとしては初期性能の艦で処理系装備は搭載しているものの、技術面で更新が必要な艦だ。更新で処理環境が変わり、追加演算能力が生まれるが、仮想イージス・ウェポンシステムで演算装備の小型化に成功したので、ベイスライン9やベイスライン10の設計思想をベイスライン5艦に応用し追加ハードウェアなしに実現するという、これまでの近代化と違う方向に進める。

タイラー:仮想化の実態は何なのか。イージスでどう定義するのかな。

リッチ:仮想化の意味は仮想マシンの導入だよ。仮想マシンは処理系機器のソフトウェアと思ってもらいたい。ハードウェアというと金属筐体を想像すると思うけど、仮想マシンはコンピュータプログラムであり、日頃使っているコンピュータと同じ存在なんだ。

そこで、TI-16ラックのハードウェアを作動させたら、ブレイドサーバーがあれば、フィジカルのブレイドサーバーでなくてもいいんだ。というのはサーバー内にTI-16ブレイドサーバーを10個仮想的に作るからだ。そこでイージス・ウェポンシステムを全部稼働させてもコンピューターシステムは遥かに小型化しつつ、現在の処理能力のレベルを活用できる。金属筐体に話を戻すと市販の仮想マシン、もともとのイージス・ウェポンシステムのコンピュータプログラムとオペレーティンすシステムその他を収納することになるんだ。

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イージス艦のCICIは技術の進歩で変化してきたが、共通するのはSF映画のような雰囲気だ。小型化しつつ処理能力が向上したため設置場所をとらなくなった。写真はタイコンデロガ級巡洋艦の初期の姿。 

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これが巡洋艦USSノーマンディのCICの貴重な写真。共通性もあるが、以前より高性能技術が導入されているのがわかる。

こうした動きの一方で、イージス・ウェポンシステムを小型艦に搭載したいとか、陸上配備仕様にする動きがあるが、当社はヴァリアントシールドValiant Shieldのような試行を大幅に進めている。ヴァリアントシールドはコンピュータプログラムで、仮想化イージス・ウェポンシステムを搭載した小さな箱で、全く同じ機能を発揮するが、搭載機器の収納スペースは不要となる。

タイラー:つまり、コンピュータハードウェアの小型化で前提が変わるのかな、大型ハードウェアの調整は不要となり、旧型艦でも最新のイージス機能が実現するのかな。

リッチ:そうだね、その作業は不要になる。対象艦艇全部を見たわけではないけど、旧式装備は撤去して小さな箱の中に仮想イージス・ウェポンシステムを入れるのは可能だ。古いインターフェイスでは新形ネットワークとの互換性がネックになるし、処理能力の向上や仮想化が難しい場合もあるので簡単ではないけどね。.

タイラー:今後の話では極超音速ミサイル防衛や無人装備の統制などシステムはどう変わっていくのかな。無人装備自身が独自のウェポンシステムを搭載しており、何らかの統制が必要になるのでは。この二点で今後どうなって、イージスとの接点はどうなるのか。

リッチ:LUSVつまり大型無人水上艦艇向けの作業は始まっているよ。その制御システムをUOC無人作戦センターと呼んでおり、全体機能の定義に取り掛かっている。これはイージスや今後登場するフリゲート艦にも搭載される。また、LUSV自体にもコモン・ソース・ライブラリーを導入する。そうなると別の場所のイージス・ウェポンシステムのようなコンピュータプログラムで無人艦の兵装管理を実行する、とか制御装置としてイージスのCSLのような形で制御することもありうる。

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技術実証艇シーハンターSea Hunter は「ゴーストフリート」構想実現に向けた重要な役割を果たしており、ペンタゴンの戦略機能実現室が協力しながら、各種無人艦艇の投入を目指す。運用には遠隔操作が必要となり、イージスがこの基盤となる可能性がある。

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コモン・ソース・ライブラリーをファミリー展開した相互通信が出発点となる。構想はすでに動いており設計の初期段階だ。LUSVの艦体と戦闘システムの構築は別でコモン・ソース・ライブラリーのコンピュータープログラムをネットワーク化したファミリー構成になるのではないか。

敵側の脅威も一貫して強化されている。そこでイージス能力迅速整備Aegis Speed To Capability (ASTOC)と呼び、現実のギャップから、今後あり得るギャップを想定して従来より早く戦力を実現していく。ASTOCの例として極超音速兵器の追尾能力があり、極超音速兵器との交戦能力の実現を目指している。先を見通した対応に集中しているんだけど、現時点ではあまりお話できない....

一つ言えるのは、イージスが対応する脅威評価作業を政府と継続していくことだ。政府が脅威を定義する。政府が優先事項を決める。当社はその情報を社内の研究開発部門と共有し、政府と連携してアーキテクチャの改良点を提言する。イージス・ウェポンシステムの設計面のサポートも目指し、想定される脅威にどこまで対応できるかを示す。情報収集から評価までの一貫した作業を続けて、イージス・ウェポンシステムを脅威に対抗できるよう維持していく。

USN

 ゴーストフリートの試験艦が昨年9月にフェイズ1を完了した。民間の高速補給艇を無人水上艦艇(USV)に改装しオーヴァーロードテストに投入した。米海軍はこれを通じ今後のUSV運用に備える

 

タイラー:協調型交戦能力Cooperative Engagement Capability (CEC)やネットワーク砲運用を各種装備で行うのはイージスシステムが中心になるでは。将来のイージスはどんな姿になるだろうか。

リッチ:進化が進むだらおう。CECは特化したため制約もある。今想定しているのは通信の枠をうちやぶることでCECだけに依存する通信ではなく、利用できるソースを活用してネットワークの結節点を作ることだ。

目指している究極の姿はCSL全体でイージスだが、イージスというときはLCSやフリゲートも含む。また当社が艦艇自衛システムShip Self-Defense System, the SSDSの受注に成功したことをご存知だろう。戦闘システムを空母や揚陸艦にも展開する。各艦艇共通の内容として、CECに通じるものがあるが、通信経路は別に確保する。

USN

米海軍が目指すのは戦闘場面で各装備をネットワーク化し、攻撃力やセンサー能力を分散化させることだ。そこでイージスが重要な存在となる。

 

NIFC-CA(海軍統合火器管制防空能力)が例だ。NIFC-CAでは通信経路を別に確保して交戦に活用するんだ。

タイラー:駆逐艦や巡洋艦あるいは150マイル離れた地点にいるF-35で敵を撃破したいときに、敵の姿が見えないときはF-35のセンサーをネットワーク接続して兵装の投入を決めるということか。そのアーキテクチュアはどうなるのか。

リッチ:F-35の統合はすでに実施済みだ。実証実験している。アーキテクチャの構成部品はできている。F-35発のデータを受信し、兵装管制し交戦に活用できるようになる。F-35を目として使い、データを得ることになる。艦上のデータ融合機能はすごいものになる。データを活用できれば、打ちっぱなしミサイルの話に戻るけど、F-35をネットワークに組み込んで戦闘空間を拡大し、イージスの構成部品やイージスの結節点を使い、共有できることになる。

タイラー:よく耳にする「イージス・ライト」は公式にCOMBATTS-21と呼称されており、新型フリゲート艦FFG-Xに搭載されるが、同じバージョンがLCSやほかの艦にも搭載されるよね。イージスとCOMBATTS-21の違いはどこなのか。

リッチ:LCSとイージス艦で機能をどう差別化するかの問題だ。ここでもCOMBATSS-21はコモン・ソース・ライブラリーの応用のひとつなんだ。フリゲートで一部にLCSの戦闘システムの発展型とみる人がいるけど、今はフリゲート・イージス・ウェポンシステムと呼んでおり、フリゲートにイージス艦に近い機能をもたせようとしており、LCSとは方向が違ってくる。

USN

FFG(X)と呼ばれてきたコンステレーション級誘導ミサイルフリゲート艦の想像図。

 

大きな違いは兵装だ。LCSは単純な構成で、イージス艦のような兵装の活用は必要ない。COMBATSS-21では、C&Dつまりコマンドと意思決定の要素、ADSつまりイージス・ディスプレイシステム、ACIつまりイージス・コンピューティング・インフラストラクチャアがある。この三つもLCSに搭載され、TRS-3Dあるいは4DのレーダーもLCSに搭載され、砲とRAMミサイルを管制する。

共通しているのはイージスシステム上と同じになることだ。イージス艦ではSPYコンピュータプログラムがあり、兵装管制システムがある。兵装もセンサーも強力だ。そこでこうした機能を追加すれば、共通部分が生まれる。LCSにもイージスの中核部分が見られる。レベルがCOMBATSS-21になるだけだ。そこで追加機能がLCSで必要となれば、COMBATSS-21搭載艦との差別化が生まれ、これもイージス艦と呼んでよい。

USN

沿岸警備隊のカッターとフライトIIのアーレイ・バーク級駆逐艦はCSLを利用する戦闘システムで共通しており、ともにイージスの系譜だ

 

タイラー:将来の大型水上戦闘艦構想にイージスシステムも搭載されるのだろうか。CSLは別の扱いになるのか。

リッチ:そうだね、活躍の舞台は当社から見れば大きな規模ではない。ソフトウェアの観点からは。そのため重視していない。海軍の構想はCSLを発展させ将来の艦艇で戦闘システムに使うことで、海軍は統合戦闘システムと呼んでおり、将来の大型水上戦闘艦を想定しているんだろう。

進化は続いており、今取り掛かっているのはコンポーネント化し、さらに迅速に艦上搭載が実現するアーキテクチャアだ。今ある機能をすべて継続統合と呼ぶ工程に放り込んで、新機能を迅速に実現する意味で、小幅改修で艦艇に導入することなんだ。

今のベイスラインは大規模すぎて構想から実証まで何年もかかる。今後登場する大型水上戦闘艦や統合戦闘システムでは機能を部分に分けて迅速導入を可能とする。ASTOCs(イージス迅速能力実現)の話題は先に話したよね。

USN

海軍は戦闘艦の隻数増加に躍起となっている。無人艦艇が重要となる一方で、CSL搭載の従来型水上艦の増強が急務だ。

 

すべての作業は統合戦闘システムの目標達成に向けられ、大型水上戦闘艦の目標も達成するほか、LUSVやUSVでも同様だし、その他装備品の目標も実現する。第一線にこれまでより早く必要な機能を届けることを念頭に、設計期間、統合回数、引き渡しをDevSecOpsパイプラインの形で実現していく。これにより、進化は継続していく。イージス・ウェポンシステムにはパイプラインとして継続作業中の要素があり、当社は海軍と歩調を合わせ実現をめざしているんだ。

タイラー:DDG-1000の一隻については別のシステムになるのかな。たしか残りは一隻しかないが...

リッチ:DDG-1000は異色の艦だね。仮想イージス・ウェポンシステムをDDG-1000に移植する構想はある。SPYレーダーをDDG-1000へ後付け搭載する検討をしている。海軍が合意すればすぐ実施できる。とはいえ、やはり異例の艦種だ。CSLではないし、SSDSはCSLでもない。ただ、今はSSDSをフリゲート艦とイージス艦に搭載しようとしており、将来的には横展開できそうだ。

DDG-1001 FACEBOOK PAGE

USSマイケル・マンソー含みズムワルト級駆逐艦は三隻ある 


空母で成果が生まれればイージス艦にも応用できる。フリゲートのSSDSで成果が生まれれば、すごいことになる。各種プログラムを取り揃えており、シナジー効果を水上艦部隊全体に応用できるだろう。DDG-1000では共用性をさらに引き上げる機会を期待している。今は単独仕様の戦闘システムでもシナジー効果が各種プログラムにあらわれるからだ。

くりかえすが、SSDSはコモン・ソース・ライブラリーの一部ではない。ただ、戦闘システムのファミリーの一部として当社が実現をめざしている。そこで、個別の知見を共有する機会が生まれ、要求仕様、設計、さらにコンピューターソフトウェアも共有できそうだ。

タイラー:そのほか付け加えたいことはないかな。

リッチ:言いたいのは今のイージスはひと昔前と違う存在になっていることだ。今のイージスは各種艦艇の中心装備で、コモン・ソース・ライブリーの内容を共有し、今後も進化させて新しい脅威に対応させる。同時に装備品の提供方法も変え、充実した性能を迅速に提供していくためDevSecOpsパイプラインを活用し、実際にこれを実施している。ベイスライン10、ベイスライン9両方の実力を実証中で、小幅改良にして従来より早く実現させていく。

リッチ・カラブリースと広報担当のメリッサ・チャドウィックには今回の詳細な取材に対応してもらい感謝の念を伝えたい

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmail.comへご連絡ください

 

Everything You Ever Wanted To Know About The Navy's Ever-Evolving Aegis Combat System


We go in-depth with Lockheed's point man on Aegis about the combat system's revolutionary past, evolving present, and universal future.

BY TYLER ROGOWAY MARCH 4, 2021

 


中国が台湾海峡をにらみ、新ヘリコプター運用基地を福建省で構築中。台湾周辺の制圧を狙うのか。米中台の緊張が高まる中で注目を集める。

 A satellite image showing a new heliport under construction in China near the Strait of Taiwan. The inset is a map showing the general location of the site in question in China.

GOOGLE EARTH/GOOGLE MAPS

 

星画像から大規模ヘリポートが中国国内で台湾海峡をにらむ地点に建設中と判明した。造成工事は続いており、建設場所は台湾から150マイルの地点で、その他台湾が占拠する諸島へはもっと近い。ときあたかも中国は米国、台湾と論戦を展開している。近い将来に台湾海峡を横断する侵攻作戦の支援基地として戦略的な地点にある。

 

オープンソース情報アナリストの@detresfa_,が、福建省漳浦県Zhangpu Countyで事態が進展していると先週紹介した。基地の正式名称は不明だが、工事は2019年5月から6月の間に開始していることがPlanet Labs公開の画像からわかる。

 

GOOGLE EARTH

福建省漳浦県で建設が進むヘリポート基地の様子。 

 

現時点でヘリポートには長さは約2,140フィートとみられる滑走路一本があり、東端に機体回転用スペースもある。フライトラインは全長6,000フィートだが比較的狭い。衛星画像は2021年2月18日撮影でGoogle Earthが公開している。(上写真)ハンガーが18あり、さらに9基の建設が進行中だ。また滑走路北東にヘリパッドが10箇所見られ、ターマック上に大型四角にマークされたスポット17箇所がある。@detresfa_.はこれをヘリコプター起動用場所と見る。写真では人民解放軍で供用中Mi-8/Mi-17ヒップ型ヘリコプターが駐機している。

 

GOOGLE EARTH

滑走路、フライトラインをクローズアップするとヘリパッドがわかり、 Mi-8/M-17型のヘリコプター3機がランプ上にみられる。2021年2月18日撮影。

 

 

この基地の運用状況は不明だ。管理棟のような建屋、兵舎、小規模建造物が南西部分にみられ、建設が未完とわかる。2月18日撮影画像では施設内の道路が未整備なのがわかる。

 

GOOGLE EARTH

2月18日現在の支援建屋の様子では建築中だとわかる

 

 

滑走路は作戦使用が可能な状態にあり、Planet Labsには低解像度写真がここ4カ月分あり、フライトライン上に暗く写る場所がみられ、ヘリコプターと思われる。2020年12月画像ではヘリコプター20機近くが見られた。

 

フライトライン機能が未完成とはいえ、この新造ヘリポートは訓練施設のほか、台湾海峡を狙う作戦の中間地点となるはずだ。立地場所から見て戦略的な価値は明らかで、台湾本土のほか、台湾が実効支配する諸島にも近い。

 

台湾から150マイルほどの位置だが、金門島へは50マイルに過ぎない。金門島は台湾が実効支配している。さらに同様に台湾支配下の 澎湖県 Penghu Countyには110マイルしかない。また台湾の戦略で重要な南シナ海の東沙諸島へは240マイルとなる。

 

GOOGLE MAPS

.新ヘリポートの建設地点を赤で示した。一番近いのが金門島で、澎湖が台湾海峡の東端、東沙諸島は南西にあたる。

 

漳浦県の新基地からPLAは大規模航空機動作戦を展開し、狙いを定めた地点にヘリコプターを集中投入し、台湾あるいはその周辺を短期間に制圧する能力が実現する。基地が対潜ヘリコプターにも活用されれば、台湾海峡を狙う作戦の陸上基地として理想的だ。また南シナ海北部をにらんだ作戦にも活用できる。台湾は現在潜水艦部隊を増強中だ。

 

さらに滑走路周辺の建設状況を見ると、大部分が完成しているようで、長距離無人機の運用にも活用できそうだ。同基地から無人機を発進させれば、台湾周辺の情報収集監視偵察(ISR)任務に有利となる。

 

台湾国内メディア報道には同基地がさらに拡張され大型有人機運用に使われるとの危惧があるが、@detresfa_は少なくとも現在の姿から見て同基地は戦闘機材特に有人固定翼機の運用に不適とみている。滑走路に折り返し地点がなく、その他支援施設も有人機用と異なっているからだ。

 

建設が二年前に始まっているが、すでにヘリコプター運用が始まっていることから基地建設が大きく進んでいることがわかる。台湾と中国、さらに米国を巻き込んで緊張が高まっている中での進展である。

 

「中国が米国と米国の指導的立場にとってかかわり、法が支配する国際秩序を崩す野望を加速化していることに危惧している。2050年までにこの実現を狙っている」とインド太平洋軍司令官のフィル・デイヴィッドソン海軍大将が先週議会で発言した。「台湾は野望の対象で、2020年代中に脅威が現実になるとみており、今後6年以内が危ない」

 

中国が台湾進攻の準備を着々と進めているのは秘密でもなんでもない。台湾を反逆地方とみる北京政府は台湾が独立宣言すれば、武力制圧に進むと公言している。内蒙古には朱日和Zhurihe基地があり、市街戦の訓練拠点になっており、総統府など台湾政庁の実際の建物を再現している。

 

CHINESE STATE MEDIA

朱日和訓練基地で訓練する中国兵士。建物は台湾総統府を模している

 

 

緊張は蔡英文総統の再選があった2020年1月から高まった。再選を決めた総統は台湾憲法の改正案を示し、正式に独立への道を進める姿勢だ。これを境に中台双方で台湾海峡付近で軍事演習が増えた。米国も軍事活動を同地区で強化し、中国の反発を招いた。米政府は台湾を独立国として承認していないが、台湾の地位が最終的に確立するまでは、外交面で介入する権利を保留し、大規模軍事装備売却を通じ、台湾の国防力を支援している。

 

李克強首相は今月の全人代開幕にあたり、台湾米国間の「共謀」を非難し、「高度の警戒姿勢を堅持し、台湾独立をめざす分離主義の動きは断固として阻止する」と発言した。

 

同上発言と同様の兆候が北京から出ており、中でも専門家が注目するのは中国政府が東沙諸島を占拠する可能性だ。台湾本島の南西部に位置する同諸島を台湾から遮断すれば、PLA航空作戦、海軍の活動が容易になる。

 

「中央軍事委員会委員長が米国との開戦は不可避と発言している」と米陸軍少将リチャード・コフマン(次世代戦闘車両機能横断チーム長)が先週の戦略国際研究センター主催のイベントで語った。「中国最高位の将軍が『不可避』と聞いたらどうなるか。先制攻撃に進むと思う。不可避なら、敵の攻撃を甘んじるはずがない」

 

コフマン少将が言及しているのは人民解放軍空軍 (PLAAF) の許其亮Xu Qiliang大将(中央軍事委員会副委員長)がPLAは「トゥキディデスの罠」に備えるべきと発言したことだ。これは新興勢力と既存勢力の間で交戦が不可避となる状況を指す。今回の全人代で許大将は米国を名指しこそしなかったが、米国以外にトゥキディデスの罠があてはまる国は考えにくい。ただし、同大将が米中開戦が不可避と考えているのか、あるいは中国軍に将来のリスクへ備えるべきと言ったのかは不明だ。

 

いずれにせよ、米国と中国は多方面で地政学上の摩擦に直面している真っ最中だ。台湾もそのひとつだが、南シナ海はじめとする領土主権問題もあり、国際貿易でも意見が衝突し、COVID-19の世界流行の発生源でも緊張は一層熱くなっている。台湾側も大陸との意見対立を一層強めている。

 

PLAの戦力増強にあわせ関連施設の充実も注目を集めている。今回のヘリポートがまさしくこの例で、建設は後期に入り、管制すれば、事態のエスカレーションが避けられず、言葉の応酬や軍事シグナルの強化につながるはずだ、当面は。■

 

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Massive New Chinese Military Heliport Taking Shape Right Across From Taiwan

BY JOSEPH TREVITHICK MARCH 18, 2021

 


2021年3月18日木曜日

エリア51から太平洋にかけ高高度の制限飛行経路が設定されていた。利用した極秘機材とは何か

  

A map showing the route outlined in an unusual airspace restriction notice in March 2021.

FOREFLIGHT

 

週末、連邦航空局の航空関係者向け通達つまりNOTAMのデータベースに興味深い告知が加わっていた。米軍の極秘テスト施設、エリア51として知られるグルーム湖、トノパ試射場空港からサンフランシスコ南西を経由し太平洋に至る経路上の高高度飛行に注意喚起していた。

 

このNOTAMに気づいたのはDreamlandresort.comの掲示板で発出は2021年3月12日の日付だが実際に公表されていたのは翌日の現地時間5:45PMから8:15PMのみだった。通常は時間帯を最小に限定する軍の訓練やテスト活動としては不自然だ。通達では幅20カイリ、全長426カイリでフライトレベル450、600つまり45千フィートと60千フィートの設定で、ウェイポイント数カ所を設定し、ウェブサイトForeFlightは下のように図示した。

 

FOREFLIGHT

今回のNOTAMで設定した経路の全体像。

 

 

太平洋からはサンフランシスコへ104カイリ伸びて、次にモンテレイ西から54マイル先でカリフォーニアでも人口密度が低い地点で内陸上空に達し、ネヴァダ西部に入っている。

 

この飛行経路はネヴァダ上空の制限軍事空域R-4807Aの端で終わっている。R-4807Aは米空軍の広大なネヴァダ試験訓練施設の一部で、その北部にはR-4809としてトノパ試射場と空港がある。また南部にはR-4808Nが設定され、中にR-4808Aが「The Box」の設定がある。ここが極度に制限されているエリア51付近の空域だ。

 

実際の公示は以下の通りだった:

!CARF 03/165 ZOA AIRSPACE STNR ALT RESERVATION DEFINED AS 10NM

EITHER SIDE OF A LINE FM BEBOP TO PIRAT TO CYPRS TO CANDA TO RUSME

TO LIDAT TO TPH168031. FL450-FL600

2103140145-2103140415

 

今回の飛行制限は静止ALTRVとよばれ、ALTRVとは高度事前承認要求の略だ。今回はNTTR(ネヴァダ試験訓練施設)を太平洋と接続させ、高高度を飛行する対象用に設定したようだ。ALTRV対象経路を飛行中の航空機は交信が不要で、トランスポンダーを作動させる必要がない。

 

FOREFLIGHT

今回の飛行経路の東端を拡大した。ネヴァダテスト訓練施設(NTTR)の各種飛行制限空域がわかる。ここでKTNXはトノパ試射場空港のコードで、KXTAはエリア51専用のホーミー空港のコード

USAF

NTTR全体の地図で、エリア51付近の飛行制限空域もわかる。「The Box」と呼ばれるのは4808A。

 

 

今回の飛行ルートで興味を感じる理由がある。ここ数年のNOTAMからThe War Zone が推論した内容に非常に似て、NTTRとカリフォーニア北部沖間をいつも通過している。

 

もう一つ興味深いのはモンテレイ付近を通過する極秘の機体についてThe War Zone に語る航空機追跡愛好家があらわれたことだ。こうした機体が高高度の飛行回廊を通過し、太平洋東に設定のある米軍試射場に安全に移動できるよう手配されているのか。また極秘機材を米本土の外へ可能な限り効率よく迅速に東太平洋上空へ移動させ、回収したのか。

 

問題の飛行回廊を利用した機体が有人機とは限らない。こうした経路を無人極秘機が海上移動に利用する場合がある。では機材は何か。RQ-170の可能性がある。試験機はパームデイルから飛行しているが、その際はチェイス機が一緒に飛び、交信しながら通常の空域を一貫して利用している。

 

また、RQ-170が太平洋演習区域で何回も飛行していることがわかっている。さらに秘密に覆われた大型の「RQ-180」の可能性もあるが、カリフォーニア沖合の高高度を飛行する機体が実在するのは公然の秘密だ。今回は単独飛行で、給油機も付近におらず、また時間帯も夜間だった。

 

NTTR周辺の無線交信を熱心にモニターする航空機スポッターはエリア51、TTRで今回の飛行経路に関連する動きはなかったと言っている。これまでも同様の投稿があっても、スポッターから不自然な交信や動きの報告はなかった。

 

いいかえれば、今回の機体は全く存在を知らせない点で完璧だったことになる。■

 

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Mysterious High-Altitude Flight Corridor Was Opened Up Between Area 51 And The Pacific

The restricted strip of airspace bridged the Nevada Test and Training Range with the Pacific Ocean during a few-hour window last Saturday evening.

BY TYLER ROGOWAY AND JOSEPH TREVITHICK MARCH 15, 2021

 


中国核ミサイル潜水艦を空から狩るP-8Aポセイドンは新しい抑止力の姿だ。ネットワーク機能で水上艦、潜水艦と連携して中国を封じ込めるのが狙い。

https://www.reutersconnect.com/all?id=tag%3Areuters.com%2C2016%3Anewsml_S1AEUDFCCOAA&share=true

 

強続くP-8Aポセイドン部隊の主任務は潜水艦の探知だ。ポセイドンは強力な威力を発揮する。米海軍は同機の増強に注力している。

 

中国の核ミサイル搭載潜水艦がグローバル規模の運用能力を増強する中、JL-2ミサイルは米国の一部も射程に入れているといわれる。対抗して米湖海軍は攻撃型潜水艦建造を進め、長距離無人装備を太平洋に配備し、対潜攻撃能力を備えたP-8Aポセイドンの調達を続けている。

 

太平洋の「距離の横暴」を克服しつつ、中国潜水艦部隊の追尾を図ろうとする海軍はヴァージニア級攻撃型潜水艦の年間3隻建造で議会の協力を取り付けようとしており、現行の年二隻建造体制から脱却を図る。空では新型トライトン無人機をグアムに配備し、ボーイングに24億ドルでP-8Aポセイドン哨戒攻撃機を19機追加生産させる。

 

ポセイドンの高性能監視能力は中国のインチキ島造成を南シナ海で監視したことで実証済み、高性能センサー類、ソノブイ、兵装で中国の拡張を抑え込む用途が実施されているのは想像に難くないし、中国の弾道ミサイル潜水艦(SSBN)への抑止効果を実現しているといえる。


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ここ数年のPLA海軍は太平洋の外まで活動範囲を広げており、軍事大国化を目指している。中国のSSBNが西太平洋を外れた地点で目視される例が増えており、搭載するSLBMのJL-2、今後登場するJL-3が米国に悩みの種となる。国家航空宇宙情報センターによれば、中国は2017年時点でJL-2を48発潜水艦に搭載していた。JL-2の射程は4,500マイル超で中国周辺の米拠点を十分射程に収める。

 

昨年のことだが、米太平洋艦隊で情報作戦部長を務めたジェイムズ・ファネル大佐が中国核ミサイル潜水艦の追尾対抗が必要と議会に訴えていた。

 

「中国のSSBNの出港を近くから監視し、核搭載ICBMがわが方に向け発射される前にSSBNを撃破する必要がある」と議会で語ったと国防大学の発行した「中国の新しい海中抑止戦略の教義及び能力」(トシ・ヨシハラ、ジェイムズ・ホームズ共著)にある。


同上文献ではさらに中国が発射するSLBMの迎撃が困難なため、「中国SSBNをミサイル発射前に捕捉、撃破する」のが賢明な選択とある。

 

ポセイドンをISR能力を強化したSSN攻撃型潜水艦と併用すればSSBN狩りミッションに最適な組み合わせとなる。P-8の時速564マイルの速力が従来のP-3オライオンより相当速いことに加え、燃料搭載量が増えて対応範囲が伸びている。海軍によればポセイドンは10時間のミッションを1,200カイリ範囲で実行できる。ポセイドンは広範な海洋で中国SSBNを探知できるようになる。

 

P-8Aはボーイングの民生737-800が原型で、魚雷、ハープーンのほか、ソノブイ129個、空中給油装備があり、長距離をカバーし、対潜戦では各種深度で各種シナリオに対応できる。P-8はソノブイを高高度から投下できるので、敵の反撃を受けるリスクが減る。その他無人機やISR機材でも探知は可能だが、ポセイドンは攻撃も可能な点が異なる。

 

AN/APY-10監視レーダー、MXシリーズの電子光学赤外線カメラで海面をスキャンするほか、パラシュート投下するソノブイは潜水艦を各種深度で探知する。また、同機は対潜ネットワークを構成する水上艦、無人艦艇、無人機搭載のセンサー類、さらに潜水艦といった各種装備の「中継点」になる。その場合、ポセイドンはアクティブ電子スキャンアレイ、合成開口レーダー、地上移動目標探知能力を駆使する。

 

水中聴音機、磁気コンパスをあらかじめ決めた深度に入れて、ケーブルで接続した水上発信機からポセイドンのソノブイは音響エナジーを信号に変換し、機内コンピュータで処理される。

 

ポセイドンが投下するソノブイが水中聴音機、センサーを配備した水中防衛ラインにも役立つ。これは中国北部からフィリピンを経由しインドネシアまで伸びていると、カーネギー平和財団の発表した「中国の核弾道ミサイル潜水艦と戦略安定性」と題されたエッセイに出ている。ポセイドンによる対潜能力の向上でこの水中防衛ラインの機能が高まり、中国SSBN各艦は探知されずに移動できなくなる。

 

興味深いことに、ポセイドンで敵SSBNを空中から探知撃破する高度技術が実用化できたことでペンタゴンの核抑止姿勢にも大きな変化を生まれそうだ。ペンタゴンの核三本柱による戦略抑止力では「攻撃力が最良の防衛」とされ、ポセイドンの投入はこの姿勢にも合致する。中国SSBNの活動を抑えれば、中国は潜水艦からの核攻撃に困難をきたす。その意味でポセイドンは核の三本柱の水中及び空中部分をつなぐ存在になる。ポセイドンは三本柱の空の部分を強化しつつ、重要な情報を水上艦、潜水艦に提供し、中国SSBNの追尾に役立てるだろう。

 

現在、米海軍以外には英国、ノルウェー、インド、オーストラリアの各国が同機を供用中で、採用国は増えそうだ。■


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How the P-8A Poseidon Will Hunt Chinese Submarines

March 15, 2021  Topic: U.S. Navy  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: ChinaMilitaryTechnologyWorldSubmarines

by Kris Osborn

 

Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University. This first appeared earlier and is being reposted due to reader interest.

Image: Reuters.