2021年4月17日土曜日

米空軍公式発表に載る想像図は第六世代機NGADの姿なのか。YF-23の話題がいまだに出ているのはここに理由があったのか。

 


Stealth Fighter

 

No Room For Error As Democratic Majority Slims

 

い観察眼をお持ちのかたならNGAD戦闘機の外観にYF-23ステルス戦闘機を思わせるものがあることに気づくはずだ。

米空軍が刊行した公式報告書に空軍が狙う次期制空戦闘機の構想図があり、次世代制空機材(NGAD)として開発中の機体なのか。

 

新型機は高性能第四世代機F-15と高性能ながら機数不足のF-22の間を埋める機体として期待されている。

 

米空軍が昨年9月にNGAD試作機を完成させ、飛行開始していると発表し世界が驚いた。同機が初の第六世代機なのか、詳細がほとんど入手できないが、航空ジャーナリストや専門家の多くがこの試作機の完成度は低いとみている。技術実証機として後に控える機体用の技術をテストしているというのだ。

 

今回発表された公式構想図から浮かび上がってきた情報がある。昨年の空軍によるNGADテスト飛行開始の発表と並行して、空軍創立73周年を祝い、現行機材のいずれとも共通点がない三角形機体の画像が発表されていた。この構想図には第六世代戦闘機としてロッキード・マーティンが先に公表していたイメージの影響が見えるが、NGADの発表とこのアートは意図的なタイミングを狙ったものとの意見がある。

 

今週月曜日に空軍は隔年刊の調達報告書が発表され、2019-2020年度を対象にしている。報告書では空軍が進める60件超の調達事業を取り上げており、ロシアや中国への優位性を引き続き確保するために重要となる技術に触れている。

 

その中でNGADは28ページに記述があり、興味をそそるイラストが添えられている。

 

今回のイラストと昨年9月発表の作品には類似性があり、無尾翼形状には前例がある。ノースロップ・グラマンのB-2スピリット、B-21レイダーだが、これ以外にロッキード・マーティンF-22に対抗し制空戦闘機の採用を狙ったYF-23ブラックウィドウIIも無尾翼に近い設計だった。

 

YF-23はずば抜けた性能を示し、ステルスや航続距離ではラプターをしのいでいた。いまだにYF-23が採択されていたら優秀な戦闘機になっていたはずと主張する向きがある。

 

ノースロップ・グラマンは米空軍向け次期ステルス爆撃機としてB-21レイダーの完成を急いでおり、NGAD契約の受注も狙っているはずだ。ここからNGAD想像図との微妙な類似性が説明できないか。想像図を見てもそれ以上の詳細情報はわからない。空対空ミサイル三本が左に描かれ、NGAD戦闘機が機体内部に兵装搭載することを示している。レーダー反射を最小限に抑えるため必要な措置だ。さらに図では右下に「終わりなき競合」とのキャプションがあり、電子戦対抗装置をさしているのだろう。さらに、エンジンを示す三つの図があり、「デジタル実験」が横に記してある。これは空軍が力を入れるデジタルテスト方法のことを指しているのだろう。

 

最後に二番目の機体想像図が背後にあり、技術開発を示しているのか、同時にこれまで空軍が繰り返し述べている、NGADとは単一機材ではなく、各種システムのファミリー構造だという主張を象徴しているのか。

 

2019/2020年版調達レポートもNGADを総括しており、目指す方向性や従来の戦闘機開発とどこが異なるかを説明している。F-35は世界最高の戦術機との定評がある一方で、何度も難題に遭遇し、予算超過問題が発生した事実から、悪い調達事業の好例とさえいわれている。

 

報告書では「次世代航空優勢機は各種性能を実現し、最も過酷な作戦環境でも航空優勢を実現するべく、デジタルエンジニアリング、アジャイルソフトウェア開発やオープンアーキテクチャアを駆使する」とある。

 

さらに、NGADで実現する機材は従来型のF-35やF-22と同時運行される想定と報告書にある。この区分に意味があるのは、空軍関係者からF-35の優先順位を下げようとの動きが出ているためだ。

 

「F-35、F-22さらに同盟国友好国の空軍部隊を補完しつつ制空任務に投入する想定の次世代航空優勢装備は高性能航空機となり、マルチドメインで状況認識を可能とし敵の防空網を突破し、各種能力を統合する存在になる」(同上報告書)■

 

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Picture Alert: Could This Be the U.S. Military's Next Stealth Fighter?


April 15, 2021  Topic: Next Generation Air Dominance  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: Next Generation Air DominanceStealth FighterStealthMilitaryF-35

by Alex Hollings

23.3K

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Image: U.S. Military/Screengrab


2021年4月16日金曜日

中国をにらみ、日米同盟の強化に自衛隊の戦力増強は必須。自衛隊の戦力増強には現行憲法が障害となる。であれば、憲法改正が必要だ。中国はこれを知って日本の左翼勢力を支援する。

 

 

米両国が同盟関係を強化しているのは中国を意識してのことだ。

 

中国が日本領土へ侵攻すれば、米海軍は日本防衛に空母打撃群、グアムから展開する航空機材、さらに揚陸部隊まで展開することになろう。

 

米軍と自衛隊は相互に同盟関係を強化しつつ、訓練の機会をつくり、合同演習を展開して中国の挑発行動に備える姿勢を守っている。

 

ロイド・オースティン国防長官と岸信夫防衛相との会談では中国関連の懸念を共有し、南シナ海での挑発行為や東シナ海での尖閣諸島問題が話題に上がった。

 

「米軍と自衛隊で任務を実行するべく、さらに高度な二国間並びに多国間演習の実施が必要と双方が合意できた」と岸防衛相が発言したとペンタゴンが伝えている。

 

ロイド-岸会談で取り上げた重要問題の一つとして中国海警が尖閣諸島周辺のパトロール権限を与えられたことがある。2012年から中国は尖閣周辺に海軍艦艇を送り込んでいる。

 

日本側の懸念に対し米側は尖閣諸島は日米安全保障条約の第五条の適用範囲であり、米国による防衛義務の対象だと再度表明したとペンタゴンが伝えている。このことの意味は大きく、北大西洋条約にも第五条があり、敵対行為を受けた場合には集団で対応することをうたっているのと類似している。

 

中国が侵攻してくれば、太平洋にプレゼンスを常時維持する米海軍は、日本防衛に空母打撃群、グアムの航空機材さらに揚陸部隊まで送り込み、尖閣諸島の防衛にあたるだろう。

 

尖閣諸島は東シナ海で台湾の北、日本本土の南という戦略的に重要な場所である。

 

日米安全保障条約は堅固で、オースティン長官は両国の部隊間協力により大きな可能性を見ている。

 

「日本との同盟関係は極めて強固だ。さらに強化をめざしていく」(オースティン)

 

日本は多額予算で米製F-35ステルス戦闘機の調達を進めており、同機は長期にわたる両国協力の象徴となっている。その他の強力な装備品にSM-3迎撃ミサイル、グローバルホーク無人機、イージスレーダーシステムがある。こうした防衛力整備の目指す方向は明らかで、日本では憲法改正で国土防衛のため軍事作戦行動の拡大を目指す動きがある。

 

こうした軍事増強の動きの裏に急速な脅威環境の変化があり、日本が1947年憲法の改正に向かうかが注目される。同憲法は軍事力の行使権を放棄しており、その後1954年に自衛隊が創設されている。

 

ウェブサイトBaines Reportは自民党が現憲法に文言を追加し、「日本に自衛権があることを特記する」ことを目指している可能性があると指摘していた。

 

これが実現すれば、何らかの攻撃力整備に向かうのだろうか。純粋に抑止効果のための整備だろうか。戦争の予防のため、強力な軍事力を維持し潜在敵国に侵攻を断念させるのか。この場合、日米同盟の強固さならびに両国の技術協力の範囲が広がっていることを考えれば、米国も支持可能な内容だ。もっと大きな意味を生むとしたら、自衛隊の実力がさらに強力になれば、中国に対抗し封じ込める米国側の各国の中で重要な役割を果たせることになる。■

 

 

Japan is Revamping Their Military. With China in Mind?

April 14, 2021  Topic: China Japan  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: JapanJSDFSenkaku IslandsChinaMilitaryU.S. Military

by Kris Osborn

 

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.

Image: Reuters.


双胴ミサイル艇で無害なボートを追い回す棒弱無人ぶりのPLANを南シナ海のことと無視できない日本。尖閣諸島にPLAN艦艇が進入しないのは海上自衛隊の抑止力の効果。覇権国家中国にどんな罰が待っているのか。

 THE WAR ZONE

PLAN

 

 

張高まる南シナ海でフィリピンメディアがチャーター船が中国のステルス双胴型高速攻撃ミサイル艇に遭遇した。ABS-CBN記者チアラ・ザンブラノによれば022型ホウベイ級数隻がセカンドトーマス礁に出現した。ここは紛糾するスプラトリー諸島の一部である。ミサイル艇は報道陣のボートをしつこく追尾してきたという。

 

フィリピン漁民が中国艦艇に嫌がらせ行為を受けているとの報道が相次いでいたが、同時に中国漁船が不法操業を行っている。フィリピン沿岸警備隊は3月に220隻を下回らない中国船がフィリピン統治下の別の環礁に集結していると発表していた。

 

PLAN

PLANの022型高速ミサイル攻撃艇が東シナ海で演習に参加していた。 

 

ザンブラノ記者は「アユンギン礁(セカンドトーマス礁のフィリピン名称)に向かう途中で、中国警備艇が接近してきた」「どんどん接近し、はっきり姿をとらえられた。さらに英語で無線交信してきて、当方の身元とこの地区で何をしているか問いただしてきた」と伝えている。

 

報道陣はパラワンへ戻ることにしたが、高速襲撃ミサイル艇は追尾を続けた。「二隻が追跡してきました。022型ホウベイ級高速攻撃艇でミサイル二発を搭載しています」(ザンブラノ記者)

 

セカンドトーマス礁は事実上のフィリピン領で、1999年にフィリピン海軍揚陸輸送艦BRPシエラマドレを意図的に座礁させたのが契機だ。以後、同艦は錆つきながらも維持され、にわか仕立ての軍事拠点となっている。

 

ところが2013年に入り、中国が同地区での海上プレゼンスを強化し、フィリピン政府が抗議の声を上げた。この地区は国際的に認知されたフィリピンの排他的経済水域(EEZ)の一部であり、付近は豊かな漁場だ。

 

ABS-CBN SCREENCAP

フィリピンABS-CBNニュースがセカンドトーマス礁付近を航行する022型の姿を放映した。

 

中国の漁船、沿岸警備隊艦艇が同礁に接近する目撃が相次いでいた。だが人民解放軍海軍(PLAN)所属のミサイル艇ホウベイ級が目視されたのは初めてだ。

 

先月末、ミスチーフ礁で停泊中の022型3隻が補給艦を伴う様子が見つかった。ここは中国の人工島で南シナ海での拠点だ。フィリピンはパンガニバン礁と呼称し、やはりフィリピンEEZの一部である。

 

上記を裏付ける画像はないようだが、大量の中国漁船が問題海域にここ数週間にわたり停泊しているのは疑いのない事実だ。

 

ただし、PLANの高速ミサイル攻撃艇がどこに投入され、恒久的あるいは半恒久的に南シナ海拠点に配備されているかは不明だ。

 

昨年の11月、「複数の」022型が南シナ海で071型強襲揚陸艦三隻と共同演習を行った。中国共産党の公式日刊紙環球時報は「実戦シナリオによる演習で、双胴艇を攻撃、防御、対空、対テロ作戦の想定で行った」と報じた。

 

022型各艦が参加したとされる演習の実施場所をPLANは明らかにしていない。南シナ海は広大である。だが、セカンドトーマス礁など中国本土より相当南方でミサイル艇が活動していることになる。

 

同型ミサイル艇80隻超を中国は建造している。沿岸防衛用装備と従来は目されていたが、遠隔地任務にも投入されているのが明らかになり、南シナ海で戦略的効果を示す可能性がある。

 

022型が搭載する装備を見るとこの用途を想定していることがわかる。強力なデータリンクはじめ指揮統制能力によりその他中国軍機や艦艇との連携が可能だ。

 

さらに、武装にはYJ-83亜音速対艦ミサイル発射装置8、高速射撃30mmH/PJ-13 ガトリング型機関砲を艦首に備え対空射撃にも投入し、火力支援を行う。短距離防空用途には携帯型対空射撃装備を乗組員が運用する。

 

PLA

30mm H/PJ-13 ガトリング型機関砲を発射する022型。

 

最大速力は36-38ノットといわれるが、航続距離は不明だが300マイルほどだろう。022型はミスチーフ礁で補給艦との行動が見つかっており、航続距離をさらに伸ばしているはずだ。

 

スプラトリー諸島は中国がめざす南シナ海の野望で大きな意味があり、中国は人工拠点の建設に走った。フィアリークロス礁、ミスチーフ礁、スビ礁の三地点で中国は2014年から人工施設を建設してきた。防御用にHQ-9B地対空ミサイル、地上発射式YJ-12B対艦ミサイルが導入され、三地点それぞれに大型滑走路が作られ、一部は爆撃機運用も可能だ。

 

CIA

スプラトリー諸島、いわゆる九段線(緑で表示含む南シナ海地図。この海域の9割を中国は領有主張している。

 

スプラトリー諸島にはSu-30フランカー含む中国戦闘機部隊が定期的に配備されている。

 

だがスプラトリー諸島が軍用基地に変えられ、海上交通、資源、漁場として有望な排他的経済水域を主張する中国の有力な拠点になっていることが重要だ。各拠点から接近阻止領域拒否(A2/AD)の傘を広げ、全域支配を主張する。これまで中国は南シナ海に軍事拠点を設置しないと説明してきたが、事実は国際的な反対意見、「航行の自由」ミッションを実施する米軍等があっても、中国にはスプラトリー諸島、さらに北方のパラセル諸島の占拠を変える姿勢はない。

 

中国は人工島をつなぐ要塞ネットワークを形成し、南シナ海南端まで兵力投射をめざす。戦闘機、長距離センサー、ミサイル装備を常駐させればさらに堅固となる。022型の前方配備により防御態勢が追加され、各基地を拠点に外国海軍部隊への攻撃能力が実現する。とくに022型は浅水域で高速移動できることから、沿海域領有を主張する中国に適した装備である。さらに022型が少人数で運行可能なことから、環境未整備地でも局地的ながら強力なプレゼンスになる。

 

それ以上に、フィリピン他の南シナ海各国にはミサイル艇の登場が強いメッセージを送っている。■

 

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Now China Has Cruise Missile Carrying Catamarans Chasing Away Ships In The South China Sea

 

The appearance of the Chinese catamaran fast-attack missile craft adds a significant new player to these disputed waters.

BY THOMAS NEWDICK APRIL 8, 2021

 

Contact the author: thomas@thedrive.com


2021年4月15日木曜日

LCSは失敗作なのか。運航経費がDDG並みになり、いまだに当初想定の任務にも投入できない。一方で、新型フリゲート艦建造が始まり、米海軍はLCSの取り扱いに苦慮しそう。

 

Littoral combat ships

U.S. NAVY / PUBLIC DOMAIN

 

 

価なはずの沿海域戦闘艦(LCS)で運行コストが当初想定を上回り、能力的にはるかに上のアーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦並みになることが判明した。このため、海軍は契約企業から同級の管理を取り上げ、乗組員を増やし、保守管理に対応させることになった。当初は各艦の乗組員が小規模で済むのが大きなセールスポイントで運行経費切り下げに貢献するはずだったのだが。

 

Defense Newsのデイビッド・ラーターがLCSをめぐる迷走の最新状況を伝えている。予算データを入手し、LCS一隻の年間運航コストは現在70百万ドルちかくになっているが、アーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦(DDG)では約81百万ドルだ。

 

U.S. NAVY/MASS COMMUNICATION SPECIALIST 1ST CLASS ACE RHEAUME

沿海域戦闘艦USSインディペンデンス (LCS-2)

 

 

LCSの二形式別の公表金額はなく、アーレイ・バーク級でも各フライトで数字は異なる。現行のフライトIIAさらに今後登場するフライトIII艦の運行コストは初期のフライトIやII並みとなるのはLCSには不利な状況だ。

 

バーク級は米海軍で地位が確立されているものの、艦体ははるかに大きく、フライトIIIでは満載排水量は9,500トンとの予測がある。これに対しインディペンデンス級LCSは3,050トン、フリーダム級は3,450トンだ。

 

イージス戦闘システムを搭載したDDG-51級駆逐艦は戦闘能力でもはるか上を行く。各艦の兵装は強力で5インチ主砲、25mmチェーンガン、20mm近接兵装システム(CIWS)、魚雷発射管に加えMH-60Rシーホークヘリコプターも二機搭載する。フライトI、IIの各艦ではミサイル垂直発射管を90セル備え、フライトIIAおよびIIIでは96セルに増える。運用可能な兵装にはSM-2、SM-6対空ミサイルに加えトマホーク対地攻撃巡航ミサイルも運用できる。

 

他方、LCSには垂直発射セルは皆無だ。LCSでもUSSゲイブリエル・ギフォーズのみにRGM-184A海軍打撃ミサイル(NSM)が搭載されたが、艦との統合には苦労した。ただ、海軍はフリーダム級、インディペンデンス級k各8隻にNSM搭載の想定はしていない。

 

U.S. NAVY

 

LCSにはAGM-114L発射装置1、ブッシュマスターチェーンガンを水上戦モジュールとして搭載しており、一部艦に57mm自動砲がある。将来はレーザー兵器をLCSに搭載する構想もある。今のところ各艦で最も威力のある装備はMH-60Rシーホークヘリコプターであり、一部にはMQ-8ファイヤースカウト無人機が搭載されている。

 

LCSの当初の乗員構成はインディペンデンス級で士官8名、兵員32名とされたが、これが保守管理コストを引き上げる効果を生んでいる。業務を契約企業任せにしているためだ。そこで、海軍は保守作業を内部で実施する体制にする。

 

これは言うは易し、の話となる。海軍は必要定員の確保に苦労しており、乗員規模の縮小他の対策を迫られ、なんとか稼働率を維持しているのが現状だ。また、海軍は534隻体制への拡大を模索しており、無人艦艇もここに加えざるを得ない。

 

「現状ではDDGと比べてもLCSの運航費用は極めて高い水準だ」と海軍作戦部長マイケル・ギルディ大将が報道陣に対し述べている。「だが契約企業任せの保守管理モデルを乗員中心あるいは海軍が中心のモデルに変換させる」

 

「これが実現すれば相当の費用節約になる。もちろん、これを実施するのに十分な人員がそろっているのかは検討する必要があるし、段階的に実施するなら、所要期間を求める必要がある」

 

乗組員を増やせば別の問題も発生する。居住空間の確保もその一つだ。重要なミッション装置のスペースを犠牲にせずに確保できるのか。LCS各艦の乗組員数はこれまでにすでに増えており、ほぼ二倍になっている。最近ではフリーダム、インディペンデンス各級を単独行動想定を考慮し人員増で対応している。

 

総じてギルディ作戦部長は人員増によるコスト節約効果には適正な予備部品の確保が前提条件だとみている。

 

一方、LCSの各級でその他の問題にも直面している。直近で見つかった重大な問題は信頼性関連でトランスミッションのかみ合わせギアがフリーダム級で見つかり、以後の新造艦の就役前に解決が必要だと関係者が認めている。この問題が浮上したのは今年1月で、フリーダム級10隻が引き渡し済みでさらに5隻が建造中、さらに一隻が発注されている。

 

これに対し、今回のDefense News記事では主契約企業ロッキード・マーティンが対象装置のメーカーRENK AGとともに解決策を見つけたとあり、ギルディ大将も今月にテスト開始すると述べている。これまでも保守管理問題でLCS運用には支援艦を遠征維持基地として運用する必要があるとの懸念が出ていた。

 

LCSの特徴ともいえるミッションモジュールでも問題が見られる。当初はミッションモジュールは停泊中に切り替える構想だったが、これは放棄された。現在はほぼ恒久的に各艦にミッションモジュールが固定搭載されており、対潜戦や機雷戦用パッケージの登場は来年以降となる。

 

他方で一部艦の早期退役の話が出ている。今後登場する新型フリゲート艦が海軍に「真のフリゲート」を実現するためだ。とくに最初に建造されたLCS各級の二隻の将来が危ぶまれているのはその後建造の各艦と異なる特徴があるためだ。このため海軍はこの二隻から退役させるのではとの観測があるが、USSフリーダム(LCS-1)は現在麻薬取締任務に投入されており、これが最後の任務ともいわれる中、退役案に揺り戻しの動きも出よう。

 

こうした逆風がある中で、すでに数十隻が就役しているものの、海軍はいまも各艦のミッション内容の定義に取り組んでいる。その背景に上述のような乗員規模と保守管理業務の実施の問題がある。本来は沿海域での制海任務用に構想されたLCSが中央軍担当区域に多い沿海部にいまだ投入されていないことには驚くしかない。

 

LCSを国防調達の悪い事例と受け取る向きが多いが、各艦は経済的に任務を実施するべく構想されたものの、運行経費が駆逐艦並みになり、パトロール任務に投入するのにもいまだに苦労していることから、あらためて失敗例との見方が新たなレベルに引き上げられそうだ。■

 

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Navy's 'Cheap' Littoral Combat Ships Cost Nearly As Much To Run As Guided Missile Destroyers

The Navy’s Littoral Combat Ships continue to make waves, now due to their comparatively astronomical operating costs.

BY THOMAS NEWDICK AND TYLER ROGOWAY APRIL 12, 2021

 


2021年4月14日水曜日

米議会調査局がまとめた日米関係の現況。米議員はこうしたブリーフィングを受けている。対して、我が国国会議員には? 星条旗と旭日旗の合体は格好いいですね。

 


 

米議会調査局が2021年4月6日議会に提出した日米関係に関する報告書の要旨を紹介する。

 

From the report

 

日本は米国の外交政策上の種々の面で重要なパートナーで、域内の安全保障もその一つで、中国の軍事力近代化への保険から北朝鮮の脅威への対抗まで幅広い課題に対応する。日米軍事同盟は1952年に生まれ、米軍は日本領土内に駐留を許されており、現在はおよそ54千名規模になっている。これが米軍部隊の東アジアにおける「前方配備」だ。両国は二国間並びに多国間枠組みを活用して科学技術、保健医療、エナジー、農業など多様な問題で提携している。

 

両国首脳部が一新された中、両国は相互関係を再確認し、新たな取り組みに迅速に取り組んでいる。そのひとつがオーストラリア、インドを巻き込む「クアッド」枠組みで、ほかにも気候変動やエナジー分野と幅広い。トランプ大統領、安部首相時代は個人間の共感への依存が強かったが、バイデン大統領・菅首相は従来型の枠組み中心に復帰しそうだ。菅首相は外交政策の継続性を守ると述べ、バイデン大統領は二国間関係の再整備で北朝鮮非核化や中国の海洋進出、人権蹂躙や新経済秩序樹立をめざす対外投資の動きへの対応をめざす。2021年の両国はコロナウィルス流行の抑制を優先しながら経済回復を優先するとみられ、両国とも外交面へ注力できなくなりそうだ。

 

これまでも米日防衛協力は進化改良されており、折々の安全保障課題に対応してきた。北朝鮮ミサイル脅威、日中で島しょ部をめぐる対立もその例だ。こうした進展の半面で、より自主的な防衛体制を目指す動きが日本に現れ、米軍の防衛へ依存度を減らしたい意向が現れている。さらに普天間基地の移設問題の実施が懸念事項で、負担割合の交渉も2022年に先送りとなっていることも懸念事項だ。米軍駐留部隊の経費負担を定めた五か年合意が2021年4月に失効するが、両国は交渉を来年まで延期する合意ができている。

 

米国の貿易相手国として日本は四番目の規模である。米国向け直接投資では日本企業は第二位の規模で、米国債では日本が最大保有国になっている。トランプ政権が米貿易赤字を再度とりあげ、両国の貿易面での緊張が高まった。2020年1月に限定的な合意が発効し、関税引き下げやデジタル貿易への対応が始まった。トランプ政権が公約したものの実行に移していなかった日本との貿易交渉についてバイデン政権から重要視する姿勢は出ていないものの、議会内には実行を求める声がある。バイデン政権は日本含む同盟国と共同で中国の経済面での挑戦に対応する姿勢を重視している。

 

日本政界では自由民主党の多数体制が崩壊する兆候はない。ただし、菅首相には党内で対抗勢力が現れる可能性がある。なかでも2021年夏のオリンピック開催が世界規模のコロナウィルス流行の中で最大の課題になろう。■

 

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(報告書全文は hereからダウンロードできます。)

 

Report to Congress on Japan-US Relations - USNI News

Report to Congress on Japan-U.S. Relations

April 9, 2021 5:34 AM