2021年4月24日土曜日

自衛隊F-35Aにノルウェー開発ミサイルを搭載し、中国への大きな抑止力が実現する。

 

Naval Strike Missile, from website of Kongsberg

 

37.9K

Alexei Navalny's Adviser Says 'I Narrowly Escaped Arrest'

本はF-35を急速に増備しているが、ノルウェー技術の革新性を使い攻撃効果を引き上げようとしている。

ノルウェーの防衛技術企業コングスベルグの報道資料によれば日本政府向け共用打撃ミサイル調達契約が成立した。▼総額93百万ドルの今回の契約は日本向け共用打撃ミサイル(JSM)の第二段階調達にあたる。▼コングスベルグと日本のJSM契約には見かけ以上の価値があり、最新の契約内容は日本が運用するF-35を想定している。▼米国防安全保障協力庁による発表では米国務省がF-35の追加調達を日本に認めた。▼自衛隊は米国除き世界最大のF-35運用国になる。▼その日本向けF-35で最重要の兵装が共用打撃ミサイルだ。

 

JSMとは

JSMは高性能精密ミサイルで王立ノルウェー海軍、ポーランド海軍、米海軍、米海兵隊が供用中で陸上海上の移動目標を標的とする。▼ウィングレットを搭載し高度の制御性を発揮する。▼海上で発射した場合は敵探知を逃れる超低空飛翔パターンをとり、ミサイル本体のステルス性も効果を上げる。▼陸上運用でも低視認性を実現すべく、地形をはう飛翔パスをとる。公式発表としてコングスベルグはJSMの有効射程を100カイリと発表しているが、一部筋は500キロ程度とする。▼JSMのステルス低レーダー断面積と射程距離を生かせば、スタンドオフ運用が可能となり、F-35は遠距離からの発射で生存性を高める。

 

Naval Strike Missile

コングベルグは海軍用打撃ミサイルも生産しており、艦上発射用の対艦ミサイルではじまったが、米海兵隊も採用を最近決めた。▼米海兵隊ではNSMを地上発射式装備として共用軽戦術車両(JLTV)で運用する構想だ。▼このため改装JLTVは無人車両となり、NSM二発を荷台に搭載し、太平洋の島しょ部から発射する想定で中国のPLAN艦艇を狙う。▼理屈上はこの装備で艦艇を近づけない効果が生まれる。

 

中国をにらみ、米国と日本両国はPLAN艦艇を接近させない戦略をめざしている中で、コングスベルグのJSM、NSMの各ミサイルが大きな役割を演じる。■

 

What Happens When Japan and Norway Team Up? Even Deadlier F-35s.

April 21, 2021  Topic: F-35  Blog Brand: The Reboot  Tags: JapanJSDFF-35NorwayJoint Strike MissileMilitary

by Caleb Larson


Caleb Larson is a Defense Writer with The National Interest. He holds a Master of Public Policy and covers U.S. and Russian security, European defense issues, and German politics and culture.

 


2021年4月23日金曜日

B-1B全機が飛行停止措置。アフガニスタン等での酷使がたたっているのか。B-21に後退するまで引き続き活躍が期待されるランサーで重大な問題が見つかり緊急点検が始まった。

 THE WAR ZONE

B-1Bs at Tinker's Maintenance, Repair and Overhaul Training Center

72ND AIR BASE WING PUBLIC AFFAIR—PUBLIC DOMAIN

 

 

イラク、シリア、アフガニスタンと酷使が続いてきた可変翼爆撃機B-1の信頼性が著しく劣化している。

 

4月8日、機体番号86-0104のB-1Bが追加燃料ポンプのフィルターハウジングで異常したまま着陸する事態がサウスダコタ州エルスワース空軍基地で発生した。グローバルストライク軍団の広報部門は予防的措置としてB-1B全機の点検が実施中と認め、今回の事態を受け今週にかけ同型機全機が飛行停止措置に入ったとしている。

 

点検作業は時間経過技術適合命令(TCTO)で行い、各機は点検が終わり次第原隊復帰する。ただし、飛行再開時期は明示されていない。グローバルストライク軍団広報は残る爆撃機二型式B-52、B-2が引き続き各地戦闘指揮官の要望に応えるとしている。

 

USAF

 

86-104号機の緊急点検を翌4月8日に実施したところ、フィルターハウジングに大きな穴が見つかった。このフィルターの取り付け場所はF101-GE-102エンジン外側で、重要な機能を果たす。穴から大量の燃料が流出していた。86-104号機が未燃焼燃料の煙を引っ張って着陸する様子が見られた。燃料タンク自体が加圧されており危険だが、フィルターハウジングが機能しないとパイロットは補助推力、つまりアフターバーナーを使えなくなる。

 

アフターバーナーが利用不能だと推力は大幅に減る。F101の定格推力はミリタリー出力(乾推力)で最大17,390ポンドだ。アフターバーナー全開で30,780ポンドになり、緊急時以外に通常操作でも必要となる。なかでも離陸時には絶対必要だ。B-1はアフターバーナーなしで飛行できない。

 

USAF

B-1Bは離陸時にアフターバーナーを作動させる。

 

 

今回の事態はB-1B部隊でここ数年発生している安全関連問題のひとつにすぎない。また、問題箇所の異常は今回初めて見つかったわけでもない。2018年に86-0109号機でも補助ポンプフィルターハウジング故障が見つかっている。

 

B-21に交代するまでB-1部隊には一時運行停止、大修理、改修が必要と当誌は訴えてきた。なかでも射出座席の故障で緊急着陸を迫られたテキサス州ミッドランドでの事態があった。

 

B-1の売りだった低高度飛行性能でも問題が発生しており、17機が予備機材に指定されており、このままだと2030年代の完全退役まで可動可能な機体は45機になりそうだ。

 

USAF

ジェネラルエレクトリックF101ターボファンエンジンをB-1Bランサーから取り外し、第7整備中隊の上級曹長チェイス・フェレルが点検している。

 

 

今回の飛行停止措置に関し空軍グローバルストライク軍団は次のとおり発表した。

空軍グローバルストライク軍団司令官ティム・レイ大将の指令により、4月20日より安全対策としてB-1Bランサー各機の飛行停止措置が始まった。空軍人材の安全は軍団の最重要事項である。今回の措置は4月8日サウスダコタ州エルスワース空軍基地に着陸したB-1Bで追加燃料ポンプフィルターハウジングの異常が検知されたことへの対応。予防的措置としてB-1B全機で点検を実施し、同様の問題が発生していないか見た。検討を進め、搭乗員の安全確保のため全機の飛行停止措置が必要と判断した。各機は安全が確認され次第、運用を再開する。今回の事態を深刻に受け止め、原因究明を続ける。空軍グローバルストライク軍団隷下のその他爆撃機機材は引き続き世界各地の戦闘部隊支援にあたる。

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All B-1B Bombers Have Been Grounded (Updated)

The swing-wing bombers have become increasingly unreliable after years of constant work over Iraq, Syria, and Afghanistan.

BY STEPHEN WALKER APRIL 22, 2021


2021年4月22日木曜日

三沢基地配備のF-16編隊がワイルドウィーゼル仕様で南シナ海へ展開。搭載兵装は実弾だった。


F-16CM Japan South China Sea

IORI

 

本に配備中の米空軍F-16編隊が南シナ海へ展開し、空対空ミサイル実弾を搭載したフル装備で対応した

 

競合状態が続く南シナ海に展開した米空軍F-16戦闘機の4機編隊が横田航空基地に着陸した。編隊は配備先の三沢に戻る途中だった。写真から各機に空対空ミサイル実弾の搭載がわかる。今回の南シナ海展開は人民解放軍が25機とこれまでで最大規模を台湾南西部の防空識別圏に現れたのと同じタイミングとなった。

 

ヴァイパー編隊を撮影したloriが各機の重装備ぶりを伝えている。視界外対応型のAIM-120C-7AMRAAM空対空ミサイル5本、短距離用AIM-9サイドワインダー1、最新のAIM-9Xを搭載した機もあり、残りの機には旧型AIM-9Mだった。機体下にはAN/ALQ-184電子対抗自機防御ポッドがついていた。すべて実弾というのが通常と異なり、とくに日本上空で実弾搭載を見るのはまれで、今回のフライトが長距離訓練飛行ではなかったことがわかる。計算の上で中国軍へシグナルを送ったものであり、緊急時対応運用だったのかもしれない。


IORI

実弾AIM-120C-7 AMRAAMミサイル三本のクローズアップ。

 

機体空気取り入れ口右側にAN/ASQ-213 HARM標的捕捉システムポッドをつけた機体はレーダー破壊用のワイルドウィーゼル仕様のF-16CMだが、今回はこれにも空対空ミサイルが目いっぱい搭載されていた。実弾を南シナ海に持ち込んだのは戦闘航空哨戒 (CAPs) を台湾近辺で展開する米軍の実力を誇示する意図があったのだろう。

 

撮影は4月17日で各機は南シナ海で4月12日に展開しており、横田基地への着陸は現地時間午後3時ごろで、燃料補給のためだったのだろう。同日午後5時ごろに出発している。横田から三沢までは400マイルほどの行程だ。

 

4月12日に始まった今回の展開場所は不明だが、嘉手納航空基地を利用したはずだ。沖縄は台湾から300マイルの地点で、米空軍の集積度も高い。とはいえ、展開には空中給油が必要で、KC-135ストラトタンカー4機が台湾南部に展開していたのが判明している。

 

IORI

F-16CM serial number シリアルナンバー91-0357のF-16CMには第35戦闘航空団司令の標識がついていた。 

 

南シナ海上空で同編隊は空母USSセオドア・ロウズヴェルト(CVN-71)上空を通過飛行している。

 

あわせて同編隊は武装哨戒飛行を行ったが、人民解放軍は25機もの軍用機を台湾南西の防空識別圏内に送った。内訳はJ-16が14機、J-10多用途戦闘機4機、H-6Kミサイル搭載爆撃機4機、KQ-200対潜哨戒機2機、KJ-500空中早期警戒統制機1機だった。

 

TAIWANESE MINISTRY OF NATIONAL DEFENSE

台湾国防部の公式発表で4月12日、台湾南西部ADIZへの中国機進入のフライトパスが示されている。

 

同空域に現れた中国機編隊としては先月の規模を上まわり、機体編成はほぼ同じだった。3月26日、一部中国機が南シナ海方面に展開してから帰投したのは、台湾東部の攻撃パターンを意識してのことだろう。

 

IORI

横田航空基地に着陸態勢のF-16CMの一機でASQ-213 HARM標的捕捉ポッドが空気取り入れ口付近についているのがわかる。

 

これにたいし4月12日のPLA機は南シナ海北東末端へ向け、おおむね直線コースを取ってから本土へ帰投している。同様の飛行パターンは1月24日にも見られた。

 

PLAが南シナ海とならび台湾ADIZで大規模航空運用することが増えている。動員されている機体数の多さだけでなく、長距離爆撃機や空中早期警戒機を伴うなど挑発的な機体構成になっていることも要注意だ。

 

TAIWANESE MINISTRY OF NATIONAL DEFENSE

人民解放軍空軍のKJ-200 AEW&C機。

 

台湾は都度スクランブル出動で対応しており、防空ミサイルの準備も整えているが、米空軍が同地区にプレゼンスを示したのは異例のことで、発進地が日本の三沢基地という点に注意が必要だ。

 

今回の米戦闘機部隊の投入は挑発行動を示すPLA機への直接対応というよりは、USSセオドア・ロウズヴェルトの展開に合わせた展開だったのは明らかだ。同空母にPLAは南シナ海で模擬攻撃を頻繁にかけたと伝えられる。とはいえ、今回の事例は米国の兵力投射能力を示しており、有事の際には陸上配備機材をはるか遠くの対決場所まで展開できることを如実に示した。

 

U.S. NAVY/MASS COMMUNICATION SPECIALIST 3RD CLASS CARLOS W. HOPPER

T第13戦闘飛行隊のF-16CM4機がUSSセオドア・ロウズヴェルト上空を通過飛行した。4月12日。

 

中国が武力で台湾統合をねらっていると米関係者が声を上げることがふえてきた。「米国を追い抜き、法の支配を基礎とする国際秩序に代わろうとする中国の野望が増大しているのが心配だ。これを中国は2050年ごろまでに実現したいとする。心配なのはその達成が早まるころだ」とインド太平洋軍司令官だったフィル・デイヴィッドソン海軍大将が今年初頭に議会で発言している。「野望のひとつが台湾であるのは明らかで、2020年代中に脅威は明確になり、今後6年間で強まるだろう」

 

三沢基地を離陸したF-16編隊は相当の距離を克服し、域内戦略バランスで重要な役割を示した。また、ワイルド・ウィーゼル任務の武功は有名で、尾翼に「WW」を記した各機は空対空戦でも重装備だった。

 

U.S. NAVY/MASS COMMUNICATION SPECIALIST 3RD CLASS CARLOS W. HOPPER

F-16の一機がバンクしAMRAAMに加えAIM-9一本を搭載している姿を示した。

 

 

インド太平洋地区での有事に備え、35戦闘航空団のF-16二個飛行隊、第13戦闘飛行隊「パンサーズ」と第14戦闘飛行隊「サムライズ」が待機している。台湾をめぐる最悪のシナリオは中国本土からの攻撃あるいは揚陸侵攻作戦だ。米航空戦力がこうした攻撃の際に大きな役割を果たす。ただし、米国は軍事作戦を展開すべきではないと主張する向きもある。

 

だが中国以外にも脅威がある。太平洋空軍責任区域(AOR)の1億平方マイルを受け持つ三沢のF-16部隊には北朝鮮、ロシアへの対応ミッションも想定されている。また、米中央軍AORに派遣され、対ISIS戦闘に投入されている。

 

今回のF-16編隊は未整備施設での運用も試した可能性がある。グアムでF-16、F-35を使い、同様の試行を今年早々に実施している。この作戦構想は大規模事態への対応で重要な要素となり、戦力を各地に分散した作戦となるようだ。この構想の背後には太平洋地区で弾道ミサイル攻撃が現実の脅威となっていることがある。三沢基地はミサイル攻撃の対象となりそうだ。

 

第35戦闘航空団司令だったR・スコット・ジョウブ大佐(現准将)は「三沢配備のF-16部隊は小規模ながら強力できわめて敏捷で、現在配備中のいかなる戦闘機に対抗可能だ」と筆者に語ってくれた。

 

今後台湾周辺に米戦術機が展開するのが日常的になり、特に南シナ海も活動範囲におさめるかに関心が集まるだろう。■


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 Here's A Closer Look At The Heavily Armed F-16 Fighter Jets That Ventured Into The South China Sea

 

BY THOMAS NEWDICK APRIL 19, 2021


インドネシア海軍209型潜水艦ナンガラが消息不明、捜索活動が展開中。同艦は韓国で改修工事を受けていた。

 

Indonesian submarine KRI Nanggala

U.S. NAVY

 

ンドネシア海軍がチャクラ級潜水艦ナンガラNanggalaの捜索活動を展開している。同艦は4月21日現地時間4:30 AMを最後に交信が途絶えている。訓練に従事していた同艦で最後に判明していた場所はバリ海で、スラバヤ沖合でバリ島北方60マイル地点。

 

ナンガラは二隻ある209型ディーゼル電気推進攻撃型潜水艦の一隻で、インドネシアは1980年代はじめに西ドイツから調達していた。今回の訓練では魚雷攻撃に従事していたとインドネシア海軍は発表している。潜航時排水量1,390トン、全長195フィートの同艦はインドネシア東方艦隊に所属。

 

INDONESIAN NAVY

インドネシア海軍の209/1300型ディーゼル電気推進攻撃型潜水艦チャクラ。

 

 

未確認報道ではナンガラは潜航開始後に接触を断ったとある。現地の海域の深度は2,300フィート程度といわれる。

 

通常は34名で運行する同艦に53名が乗っていたが、追加人員が搭乗していた理由は不明だ。

 

チャクラ級は533mm魚雷発射管8門を艦首に備え、AEG SUT大型魚雷を14本まで搭載する。今回は「実弾」訓練といわれるが、魚雷が実弾だったかは不明。

 

同艦の捜索活動が展開中でインドネシア海軍艦艇が付近に展開し、同国はオーストラリア及びシンガポールに支援を求めている。この両国海軍には潜水艦救難艦がある。

 

シンガポールはMVスイフトレスキューを派遣し、インドネシアと協力し潜水艦救難をめざす。スイフトレスキューは専用潜水艦支援救難艦(SSRV)でシンガポール海軍が運用する。深度潜航救難艇(DSRV)で沈没潜水艦の乗員を回収できる。

 

U.S. NAVY/MASS COMMUNICATION SPECIALIST 2ND CLASS TRISTIN BARTH

救難艦MVスイフトレスキュー。シンガポールのチャンギ海軍基地にて。2019年撮影。

 

ロイター通信は空中捜索でナンガラの潜航地点付近で油膜が見つかったとしているが、同艦のものかは不明だ。

 

チャクラ級各艦は南朝鮮のデーウー造船で大幅改修を受けている。今回のナンガラは2011年に改修を終えている。改修内容にバッテリーの交換、エンジン分解修理、戦闘装備の更新があったといわれる。

 

インドネシアにはチャクラ級より新型の南朝鮮設計のナガパサNagapasa級ディーゼル電気推進攻撃型潜水艦もある。このうち最新のアルゴロがインドネシア建造により今年3月に就役している。

 

あらたな情報が入ればお伝えする。■

 

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The Search Is On For A Missing Indonesian Navy Submarine

Indonesian Navy vessels and other specialist ships are joining the search for the West German-built submarine Nanggala.

BY THOMAS NEWDICK APRIL 21, 2021


2021年4月21日水曜日

中国のサイバースパイ活動に対応を強めるFBI等米法執行機関。中国の軍民融合戦略に西側はどう対応すべきか。

  

 

 

 APRIL 14: FBI Director Christopher Wray testifies at a Senate Select Committee on Intelligence hearing on Capitol Hill on April 14, 2021 in Washington, DC.

APRIL 14: FBI Director Christopher Wray testifies at a Senate Select Committee on Intelligence hearing on Capitol Hill on April 14, 2021 in Washington, DC. PHOTO BY SAUL LOEB-POOL/GETTY IMAGES

 

 

国の脅威は多方面に及び、苛烈になっており、ウクライナでのロシア軍、イランの核開発、北朝鮮の核兵器等といった脅威集団の中で群を抜く存在と米情報機関トップが上4月14日に院情報委員会で証言した。

 

「中国政府が主犯で捜査中の事案は2千件を超えている」とFBI長官クリス・レイが聴聞会で発言。「経済諜報活動だけでも、ここ数年で1,300パーセント増加した。新規捜査案件が10時間ごとに追加されている

 

影響は知的財産の窃盗以外にも及び、米国他に在住中の中国人への個人攻撃ではFBIは昨年10月に「キツネ狩り」と呼ぶ作戦を展開した。上院の話題は中国技術に集中した。

 

国家情報局長のエイヴリル・ヘインズからは「中国の挑戦にさらされる技術分野は多い」とし、中国独自の軍民融合戦略による急速な進歩に触れた。中国は民間の技術開発を公的に支援し、成果を国家目的に利用している。「中国が優位に立っているのは疑いない」(ヘインズ)

 

また中国は海外投資により他国政府への影響力を強めている。だがヘインズによればこうした中国の動きに反動もある。海外諸国の情報機関から問い合わせが入っており、「この話題が多く出ていることに驚くばかり」だという。

 

米国には中国の技術関連投資にブレーキをかける手段がある。海外投資委員会(CFIUS)が米企業への中国投資を精査している。ヘインズによれば「CFIUS式の手続きを採用する国が増えている」。

 

昨年発生したロシアによるソラーウィンズ事案で官民ネットワークが混乱したのを踏まえ、サイバー攻撃への強靭性対策を強めている。上院はポール・ナカソネ大将(米サイバー軍団司令兼NSA長官)に米ネットワークを脅かす敵性海外勢力への対策で権限強化が必要か問いただした。これに対し、ナカソネ大将は権限強化よりも米デジタルインフラで発生中の状況の正確な理解が情報各機関に必要と回答している。

 

イラン、北朝鮮、ロシアも実力をつけており、特にロシアがクリミアとウクライナ東部で戦力増強を図る中、CIA長官ウィリアム・バーンズは部隊集結は恐喝と見つつ、「限定的ながら軍事侵攻につながる条件となりうる」と発言した。■

 

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FBI Opens a Case on Chinese Activity ‘Every 10 Hours,’ Intel Chiefs Say

China leads a pack of threats to the United States, they tell lawmakers.

BY PATRICK TUCKER

TECHNOLOGY EDITOR

APRIL 14, 2021


2021年4月20日火曜日

無人ヘリコプター、インジェヌイティの火星初飛行はライト兄弟に匹敵する航空宇宙史の1ページになった。ICAOは正式に飛行場として火星に命名。フライヤー1の一部をつけ飛翔し火星のキティホークになった。

 

  • 今回はT1・T2共通記事です。ここまで細かく報道がされていないようなので。宇宙ヘリコプターと伝えているメディアがありましたが、大気がない場所では飛翔できないので、火星ヘリコプターとすべきでしょう。ライト兄弟に並ぶ偉業というなら、せめてロマンのあふれるエピソードにしてもらいたいですね。

Helicopter Mars first flight

NASA

 

NASAは無人ヘリコプター、インジェヌイティの火星での初飛行に成功した。パーシヴィアランスローバー宇宙機に搭載し2月に火星へ到着していた。飛翔は1分間たらずだったが、地球以外で初の動力飛行になった。

太陽光電池で作動する重量4ポンドのヘリコプターにはライト兄弟のフライヤー1号から採取した小さな布をつけた。フライヤー1号は地球の大気中で初の動力飛行に成功した機体で、1903年ノースカロライナのキティホークでのことだった。ライト兄弟が地球上での航空機の可能性を実証したのに対し、今回のインジェヌイティ無人ヘリコプターが火星で同じ画期的な技術実証機の役割を果たす期待がある。

下に示した写真はインジェヌイテイ搭載の航法カメラで撮影したもので、火星表面上を飛翔する同機の影が映っている。本日送信してきた。飛翔は完全自律式で行った。ただし、火星から地球への送信には11分間かかるため、同機はカメラ二台を搭載し、航法カメラは白黒で地表を向き、もう一つ高解像度カラーカメラで地平線をスキャンしている。

NASA

 

「人類の手で別の惑星上で回転翼機を飛翔させた」とNASAジェット推進研究所(JPL)デインジェヌイティを主管するミミ・オンが高らかに宣言した。同ヘリコプターはJPLが製造した。「ライト兄弟の偉業を火星で実現した」

NASAの科学技術担当トーマス・ザーブヘンは「ライト兄弟の地球上での初飛行から117年後にNASAのインジェヌイティヘリコプターが別世界で同じ偉業を達成した。航空史上でそれぞれ大きな出来事になったが、その間には年月とともに173百万マイルの宇宙空間の差があるが、これで永遠に双方がつながった」と述べた。

インジェヌイティには失敗も現実の可能性だった。火星の重力は地球の38%程度で、大気密度は地球の1パーセントだ。これは地球でいえば海抜50千フィート地点での飛翔に等しく、この環境で飛行可能な回転翼機はない。つまり、ヘリコプターの回転翼で揚力を発生するのが大変だということだ。このため、インジェヌイティでは軽量構造を目指し、回転翼は毎分2,500回転させた。

地上の制御部門はインジェヌイティが10フィートまで上昇する様子を見守り、同機は約40秒後に着地した。

NASA

NASA’s Ingenuity Mars helicopter seen in a close-up taken by one of the cameras aboard the Perseverance Rover.

今のところ実際の飛行の様子は多くわからないままだ。帯域に制限があるためパーシヴィアランスから送信できたのは短いビデオクリップに限定されている。なお、宇宙機本体はヘリコプターから200フィートほど離れた地点にあり、受信まで数時間かかった。追加映像画像が今後数日で入手できるはずだ。

インジェヌイティはあと5回の飛行が予定されており、高度、距離をふやしていく。これを30火星日(31地球日)以内に実施する。ライト兄弟になぞらえ、インジェヌイティの飛行場所はライトブラザーズフィールドと命名された。場所はジェゼロインパクトクレーター付近でかつては湖だった場所だ。国際民間航空機関ICAOはIGYのコールサインを地球上の飛行場同様に命名している。

 

NASA

A low-resolution view of the floor of the Jezero Crater and a portion of two wheels of the Perseverance Mars rover, captured by the color imager aboard the Ingenuity helicopter, on April 3, 2021. At this point, the rotorcraft was still beneath the rover.

 

パーシヴィアランスではそのほかにも古代の微生物の痕跡をさがしたり、ロボット応用の可能性を実証する任務が期待される。同宇宙機は地質調査も行い、過去の天候状態を推定するため火星の岩石・チリを収集し地球に持ち帰る初のミッションとなる。これ自体が遠大な目標の標本回収ミッション(MSR)となる。今後は「フェッチローバー」を軌道に打ち上げ、別の軌道宇宙機と火星軌道でランデブーののち地球に帰還させる。最終的に有人火星飛行へ道を開く。

こうした宇宙機があれば、インジェヌイティのように広大な対象範囲でデータを集めることが可能となる。無人ヘリコプター利用で次の企画としてNASAは土星最大の衛星タイタンを想定して、2030年代中ごろの実施を想定している。ほぼ同時期に火星に人類が着陸するはずで、あるいは月に再び有人飛行がおこなわるはずだ。一方で火星での固定翼機運用の評価が始まっており、全翼機形状を想定している。

今回はヘリコプターが火星上で飛行し第一歩を記したが、ほかの惑星や衛星で展開される航空新時代がこれからはじまりそうだ。■

 

One Small Leap For A Drone Helicopter On Mars, One Giant Step For Mankind


Delivered by the Perseverance Rover, NASA’s Ingenuity helicopter drone is the first aircraft to make a powered, lift-borne flight on another planet.

BY THOMAS NEWDICK APRIL 19, 2021