2021年6月10日木曜日

日本ではだれも報道しないCovid-19発生源調査。報告書が出た後の対応はこうなる。

  

Coronavirus Origins

雪嵐が中西部を襲った2021年2月16日に電話報告を受けるジョー・バイデン大統領

(Official White House Photo by Lawrence Jackson)

 

Covid-19発生源の調査が始まった。道は平易ではない。ジョー・バイデン大統領が情報各機関に起源を90日以内に突き止める調査を命じ、何らかの答えが出てくる。実験室の漏出事故なのか、自然発生説が改めて確認されるのか、あるいは結局結論が出てこないのか、のいずれにせよ結果が生む影響は大きい。

 

調査結論が出て終わりではない

 

情報操作が武器になっている今日では、ウィルス陰謀説に政府への不信が加わり、調査結果が出てそれで終わりになるとは到底思えない。研究部門はじめ専門家でも意見が分かれる中で、中心となる情報各機関には評価の面で向かい風だ。情報機関は事実を暴くというよりも、自らが関与していたり、結論を都合よく取り繕い、事実を隠ぺいするのではないかとみる向きが国内外に多い。米陸軍が武漢にウイルスを持ち込んだとの主張があったことを思い起こしてもらいたい。何らかの結論が出てもゆがんだ意見が逆に出そうだ。

 

調査作業がこれから90日後に答えをだすはすだが、そのあとは、わが国外交政策や安全保障、公衆衛生、さらに国内情勢を平穏に保つ必要がある。調査結果と結論が出てそれで終わりではないのである。

 

調査結果後が大事だ

 

外交面では、民主体制国家間で連携を強める好機となる。分断化リスクもある。インド太平洋のみならず各国を巻き込んで進めるべきだ。同盟国友好国を同じ方向にまとめるためには、最初から各国を関与させるべきだ。中国当局を排除した協議ではまずい。世界保健機関も同様だ。排除すれば敵意が増殖する。中国にはドアを開けておく必要がある。ただし、中国が透明性や協力関係を拒む予測があるのだが。民主国家群の中に強固な連携が生まれ、自由で開かれたインド太平洋への支持を確保する。次の感染症の予防管理も含まれる。

 

武漢実験施設の管理のまずさを指摘する結論へ中国からは猛烈な反発が出るだろうし、流行発生後の管理方法も指摘されたくないはずだし、国際協力の不足も同様で、動物からヒトへの感染説も同じだ。こちら側は情報作戦力を強化し、調査結果への疑問や反発を想定し、あらかじめ準備をしておく必要がある。その中で、非難対象は中国政府であり、中国国民ではないと一貫して伝えるべきだ。9/11直後にジョージ・W・ブッシュ大統領が米国内のイスラム教徒に危害が及ばないよう配慮した事実を思い出してほしい。ただし、ウィルスの被害を考えると全く同じにはいかないだろう。

 

国内で備えるべきこと

 

国内ではアジア系や太平洋島しょに出自を持つ市民への乱暴な言動が随所に見られるのが現状だ。こうした状況を放置すれば悲劇の上乗せになる。ドナルド・トランプの実験室漏出説で世論が二分されている。専門家も当初は公の場で意見を述べなかったものの、ここにきて自由に主張し始めている。新情報が出てくれば、2019年末に発生した実験施設での発症事例に再び関心が集まり、再調査を求める声は必至だろう。過激対応は避けたいが、事実が公になればゼロとはいかないだろう。

 

米国はじめ世界各地での発症数、死亡数は本当に悲劇だった。発生後の医学調査分析は世界にとって救いになるべきであり、各方面の関係悪化を招いてはならない。■

 

 

筆者ウォーレス・C・グレグソンJr はCenter for the National Interest で中国太平洋部部長。2005年に海兵隊を中将で退役した。退役時職責は米海兵隊太平洋地区司令官、太平洋方面艦隊海兵隊部隊総監、太平洋地区海兵隊基地群司令。オバマ政権でアジア太平洋方面安全保障問題次官補。

 

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Coronavirus Origins: What Happens When We Have the Answer?

ByWallace GregsonPublished13 hours ago

 

 

 


2021年6月9日水曜日

台湾への連日のようなPLAAF機接近飛行のいやがらせは、第三次中東戦争の前にイスラエル空軍が展開した欺瞞作戦に通じるものがある。警戒すべきだ。

 

ここがポイント: 連日のような中国機の台湾近辺への飛行接近とイスラエルが六日間戦争前にエジプトを対象に展開した欺瞞作戦の間に戦略的な類似性があることを見逃してはならない。

 

54年前の1967年6月5日早朝、イスラエル空軍(IAF)がエジプトの主要航空基地、防空陣地、指揮命令所へ奇襲攻撃をしかけ、六日間戦争が始まった。同日午後までにIAFはエジプト航空基地17か所を500ソーティーで攻撃していた。エジプト空軍は約200機を失い、大部分は地上で撃破された。IAFは同時にシリア、ヨルダン、イラクにも攻撃を実施し、同日夜までに航空優勢を確立できた。奇襲攻撃によりイスラエル陸軍部隊はシナイ半島の奥深くまで侵攻し、6月10日までにシナイ半島はイスラエルの占領地となった。さらにガザ回廊、西岸地区、東エルサレムに加えゴラン高原も占領した。驚くほどの規模で戦勝できた背景に航空戦力の存在があり、地上部隊は敵機の妨害を受けずに進軍できた。さらにIAFは近接航空支援(CAS)を自由に展開しつつ、敵部隊を制圧できた。

 

だが、なぜIAFはエジプトを奇襲攻撃できたのか。またこの事例は今日の台湾にも教訓となるだろうか。

 

IAFは数年間にわたりネゲブ砂漠上空への飛行を繰り返していた。エジプト軍も最初こそ、レーダー追尾し、戦闘機をスクランブル出撃していたが、あまりにも長く続いたことで事態に慣れ、そのうち真剣に取り合わなくなった。六日間戦争の二年前、IAFはほぼ毎日地中海方面へ機体を飛ばし、波頭ギリギリの低空飛行でエジプトレーダーの追尾を無効にし、その後上昇して帰投することを繰り返していた。そこで、6月5日早朝のイスラエル奇襲攻撃だが、エジプト防空部門は毎日繰り返されるIAF機の飛行だと警戒していなかった。IAFによる欺瞞作戦が効を奏した。無害なフライトを繰り返して奇襲攻撃が成功した。

 

これは中国人民解放軍空軍(PLAAF)が台湾の防衛識別圏(ADIZ)内への飛行を繰り返している事態に重なる。PLAAFは台湾ADIZ内に昨年以来ほぼ毎日機体を飛ばしており、台湾海峡の中央線を越えさせ、台湾防空体制にゆさぶりをかけている。2020年1月から10月にかけ、台湾空軍(中華民国空軍ROCAF)のスクランブル回数は2,972回になり、PLAAF機を台湾ADIZ内でインターセプトした。台湾国防部は2020年9月からこうした侵犯事例を発生の都度公表している。

 

PLAAF機インターセプトに機体を発進させるのは高い負担につく。台湾は2020年度国防予算の9パーセントに相当する10億ドルを支出している。それ以外にもROCAF戦闘機が恒常的にスクランブル発進していることで機体の疲労破損が進み、整備費が上昇し、いざというときに対応可能な機数も減る。

 

今年3月にこうしたスクランブル対応が大きな負担となったとの認識で、ROCAAFはPLAAF機体がADIZに進入しても毎回スクランブルせず、レーダーと対空ミサイルでPLAAF機の動向を追尾監視することとした。これに対し中国はほぼ連日の台湾ADIZ侵入のペースを緩める兆候を見せていない。4月12日にPLAAFは25機と最大規模の航空展開を見せ、うち14機が瀋陽J-16攻撃戦闘機、成都J-10多任務戦闘機4機、西安H-6戦略爆撃機が4機だった。

 

こうしたPLAAF機の動きの背後にある意図の解釈には諸説あり、バシー海峡の監視活動、台湾軍や米海軍に自軍の威容を見せつける、新型機を動員しての長距離演習だとか、米台両国への政治的なメッセージとの解釈があり、真相はわからない。とはいえ、中国機の展開状況と六日戦争前のエジプトへのイスラエルの欺瞞作戦に類似性が見られ、深刻に受け止めるべきである。■

 

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Why Israel’s 1967 Surprise Attack on Egypt Is a Warning for Taiwan

June 7, 2021  Topic: Taiwan  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: TaiwanIsraelSix Day WarMilitaryIsraeli Air ForceChinese Air Force

by Adam Leong Kok Wey

Dr. Adam Leong Kok Wey is associate professor in strategic studies and Deputy Director of Research in the Centre for Defence and International Security Studies (CDiSS) at the National Defence University of Malaysia.

 


2021年6月8日火曜日

MQ-25スティングレイが初の空中給油に成功。艦載無人給油機の実用化に大きな一歩となった。IOC獲得を2025年目標とし、タンカー任務以外にも期待が広がる。

 MQ-25 refueling

Boeing 

 

ーイングMQ-25スティングレイのテスト機T1が初の無人給油機として有人機への空中給油に成功した。MQ-25を空母航空団(CVW)に加えようとする米海軍に大きな一歩となった。

 

海軍航空システムズ本部(NAVAIR)とボーイングが本日発表した内容ではT1テスト機はF/A-18Fスーパーホーネットへの空中給油に2021年6月4日に成功したとある。MQ-25はイリノイ州マスクータのミッドアメリカ空港を離陸し、主翼下の空中給油タンクAerial Refueling Store (ARS) からスーパーホーネットへの給油に成功した。

 

BOEING

6月4日、MQ-25のT1がF/A-18Fへ空中給油に成功した。

 

戦闘機が給油前に無人機に20フィートまで接近した。給油機は曳航するバスケット状のドローグをスーパーホーネットの標準型給油受け口に接続した。両機は実際の給油時の速度、高度を維持したとボーイングは発表。

 

「今回のフライトは空母運用につながる基礎となり、有人機無人機チーム構想の能力を拡げる」と無人航空攻撃兵器の事業評価室長ブライアン・コーリ海軍少将が述べている。「MQ-25により将来の空母航空戦力の飛行距離、飛行時間が大幅に伸びる。空母の搭載機材を増やす野と同じ効果が生まれる」

 

「今回の歴史的な達成はボーイング=海軍チームがめざすMQ-25による空中給油能力の実用化に大きな意味がある」とボーイング・ディフェンス・スペース&セキュリティ社長兼CEOリーアン・キャレットもコメントを発表した。「近い将来に無人装備を防衛作戦に安全かつ確実に統合する際にチームの作業が推進役となっている」

 

「無人給油機により攻撃機材が給油機任務から解放され、空母航空団は飛行距離を伸ばし、柔軟かつ高い機能を発揮できるようになる」と海軍無人空母航空機材事業室の主査チャド・リード大佐も述べている。「MQ-25がF/A-18への空中給油に成功したことでMQ-25が空母搭載への道を着実に歩んでいることが証明された」

 

初の有人機向け空中給油作業で各種データが収集できた。両機間でどんな空気力学が発生するのか、また誘導制御システムの信頼性についてだ。こうしたデータが集まり、テストチームは無人機側の飛行制御ソフトウェアに必要な改良を検討する。

 

6月4日の実証は史上初の無人給油機による有人機向け空中給油となったが、空中給油に無人機を使う発想は以前からあるものだ。

 

2015年にノースロップグラマンは海軍とともに完全自律式の空中給油に成功した。この際はX-47B無人戦闘航空システム実証機 (UCAS-D)がボーイング707改装タンカーから給油を受け、初の無人機への空中給油となった。

 

U.S. NAVY

X-47Bは初の自律空中給油の実証に2015年4月22日成功した。チェサピーク湾上空だった。 

 

これに先立ち、2012年にはDARPAの高高度空中給油開発事業で完全自律空中給油を無人機間で実証している。この際は改装したRQ-4グローバルホーク2機を接近飛行させ、プローブ-ドローグ方式で接続させた。

 

今回のMQ-25による初の空中給油の前に同機のデジタルモデルによる空中給油シミュレーションが相当回数にわたり実施されていた。

 

NAVAIRは「T1のテストは今後数カ月にわたり続け、飛行性能の限界を徐々に伸ばし、エンジンもテストし、空母艦上での取り回し実証も今年後半に行う」としている。初めて搭同機を載する空母もUSSジョージ・H・W・ブッシュ(CVN-77)と決まった。

 

MQ-25はARSポッドを搭載したままで飛行を昨年12月から始め、T1はこれまでミッドアメリカセントルイス空港を本拠地として飛行を続けてきた。同機の初飛行も同空港で2019年9月に行われた。ARSの製造はコバム社が行い、同社はF/A-18スーパーホーネット用の給油用ポッドを流用している。

 

米海軍の最新予算要求文書では「MQ-25スティングレイによりCVWミッションの有効飛行距離が伸び、現在痛感されている空母打撃群(CSG)のISR能力不足を部分的にせよ解消し、将来のCVW給油機不足を補うことが可能となり、攻撃戦闘機不足を緩和しつつ、F/A-18E/Fの機体寿命を維持する効果が期待できる」とある。

 

MQ-25では給油ミッション以外に情報集監視偵察(ISR)任務も行わせるとしている。また、これ以外の可能性もある。

 

とはいえ、MQ-25で期待される性能内容は以前あった無人空母運用航空偵察攻撃機(UCLASS)構想より現実的な範囲におさまっている。UCLASSはステルス無人機として高度な防空体制を突破し、攻撃任務と合わせISRミッションも行う想定だった。この点で、MQ-25実証機はUCLASSの焼き直しであり、ステルス機能を保持しているが、機体上部に設けられた空気取り入れ口機構など高度な内容も実現している。

 

他方でMQ-25のT1は専用テスト機として今後のスティングレイの完成形ではない。まず技術生産開発(EMD)用に4機が2018年契約に基づき完成する。昨年はさらに3機の改修契約を海軍はボーイングに交付している。タンカー/ISR任務に加え、各機で海軍は初の空母搭載無人機を使い「海上運用のC4I無人機技術の実証を試み、多任務UAS実現に道を開き今後の脅威に対応させたい」としている。

 

数か年かけてボーイングはEDM機材を納入し、セントルイスでテスト作業を続ける。機材はその後パタクセントリヴァー海軍航空基地(メリーランド)に移り、残りの飛行テストに供される。テストはレイクハースト(ニュージャージー)やエグリン空軍基地(フロリダ)でも展開される。

 

ただし、MQ-25事業に遅延が発生している。海軍は設計と機体強度の適正化のため設計作業が中断したこと、製造工程で見つかった品質問題(詳細不明)に加えCOVID-19大流行の影響が製造、引き渡しに発生したと述べている。このためEDM一号機の引き渡し時期がはっきりしない。とはいえ、同機の飛行テストは2022年度に始まる予定だ。

 

海軍はMQ-25を72機導入する計画としており、2025年度に初期作戦能力獲得を目指し、まずE-2部隊でスティングレイと共同運用訓練を行う。

 

ともあれ、今回MQ-25実証機で初の空中給油に成功したことは重要な一歩となり、海軍は初の艦載無人機の実現に近づいた。■


追補

 

米海軍の報道機関向け発表で6月4日の歴史的フライトの詳細が以下明らかになった。T1ととんだF/A-18Fは海軍テスト評価飛行隊23(VX-23)の機体だった。

 

フライトは4.5時間におよび、F/A-18Eが無人機に接近し、標準的な目視観察位置につき、ホース、ドローグの様子を点検した。スーパーホーネットが接続前位置につくと地上のMQ-25操作員がF/A-18に無線交信し、バスケットが稼働した。戦闘機側が無人機に接近し、後流の影響を調査した。テストパイロットによれば無人機から戦闘機への影響は無視できる範囲であり、安定度はかなり高かったという。

 

F/A-18はいったん後退し、T1がホース、ドローグを展開すると、スーパーホーネットがその様子をチェックした。無人機主翼下から展開するドローグの見易さもその一つで、これまでは戦闘機中心線下にポッドがあるためだ。一回目のコンタクトは燃料を通過させず、その後実際に燃料を投入したコンタクトを高度10千フィートで実施した。

 

T1の主翼タンクとARSには燃料配管がないため、今回の給油ポッドには500ポンドしか搭載されていなかった。合計325ポンドの燃料を移送し、次に高度15千フィートで別の給油を試み、今回は燃料を流さず接続だけした。

 

海軍の説明では今後六カ月にわたりT1で空母運用実証を行い、給油対象機材にE-2を加えるという。T1を停泊中の空母に搭載し、艦上での取り回しを実証する。同機にはカタパルト発艦、拘束回収の装備は搭載していない。本来、MQ-25は空母運用想定にもかかわらずT1にこの装備がない点に関心を覚える。

 

EMD機材一号機は2022年秋の引き渡しになる。外観上はT1と大きく異なる機体にはならない。エンジンもロールスロイスAE3007Nターボファンで共通だ。

 

EMD-1の製造はセントルイスで進行中で、EMD機材は7機と静止試験用2機が発注されている。初期作戦能力獲得は2025年早々に予定されている。■

 


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The Navy's Tanker Drone Makes History By Refueling A Manned Aircraft For The First Time (Updated)

BY THOMAS NEWDICK JUNE 7, 2021

2021年6月7日月曜日

M60パットン戦車を今も供用中の国は多い。今後も活躍すべく改修が効果を出している。冷戦時の装備がいかにしっかり作ってあったかの証明か。

 

 

 

 

ここがポイント: 現在も相当数のM60が第一線で供用されており、M60の性能改修需要は相当の規模に及ぶ。国防産業大手のレイセオンやレオナードはすでにM60改修を事業化している。

 

2020年夏、M60パットン戦車一両がトレーラーから降ろされ、インディアナ州リッチモンドのウェイン郡軍人記念公園の特別陳列物になった。

 

陳列中のM60に実戦機会は訪れないが、世界では多数のM60が実戦投入に備えている。原型が生まれたのは1959年でソ連戦車への急場しのぎ対応として設計されたM60はつなぎ装備以上の存在になった。昨年時点でM60を現役で供用する国は17か国に及び、原設計の優秀性を証明している。

 

中でもエジプトがM60の最大使用国でM60A1が300両、M60A3派生型850両が陸軍にあり、サウジアラビアも400両近くを供用中だ。

 

M60改修の内容

 

トルコは国産アルタイ主力戦車の導入も進めているが、M60の供用は今後も続く。Forbes.comの記事ではトルコ戦車部隊の主力はM60で1,000両が今も稼働しているとあり、原型のままではなく改修を受けている。

 

トルコは域内提携先のイスラエルの支援を受け、M60の性能向上を図ってきた。イスラエルはイスラエル国防軍のM48、M60パットンに実施したのと同じ改修を提供した。

 

トルコでは687百万ドルで170両をM60Tに改装した。アクティブ、パッシブ両方の装甲を搭載し、火器管制システムを改良し、主砲を120mm平滑砲に換装し、エンジンは1,000馬力になった。

 

さらにトルコはM60Tにプラートアクティブ防御機能(APS)を車体六ケ所に追加し、ミサイル等への360度防御を実現した。

 

M60は改修で生き残る

 

これだけ多くのM60が供用中であることから、M60改装の国際市場が相当の規模になっても不思議ではない。国防産業大手のレイセオンレオナードがM60改修を事業化しており、各車の供用期間を延ばすとしている。改修は120mm平滑砲への換装しNATO標準弾の運用が可能となり、エンジン性能を改修し、その他パッシブ装甲も搭載する。

 

イタリアに本社を置くレオナードでは装甲改修も引き受けており、複合材モジュールを砲塔部分と車体に導入し、同社の説明ではM60は第3世代装備のM1エイブラムズやドイツ製レパード2に匹敵する戦車になる。この見解には疑問も残るが、大規模戦車部隊の維持を狙う各国には性能向上のチャンスとなるのは確実だ。■

 

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Study This Weapon: The Ancient M60 Tank Keeps on Fighting

by Peter Suciu

June 6, 2021  Topic: M60 Tank  Blog Brand: The Reboot  Tags: M60 TankTanksMilitaryM60Defense

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He regularly writes about military small arms, and is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com. This article is being republished due to reader interest.

Image: Wikipedia.


2021年6月6日日曜日

米空軍エアフォースツーC-32A後継機は一気に超音速機になりそう。新興企業による技術ブレイクスルーに期待する米空軍。

 US Air Force Boom VIP

BOOM SUPERSONIC

 

 

空軍は超音速あるいは極超音速人員輸送機の開発で、現行のC-32A特別空輸機(原型は生産終了済みボーイング757-200)と大幅に異なる後継機の実現を目指す。C-32Aは副大統領の搭乗時のコールサイン「エアフォースツー」のほうが有名だ。

 

英仏共同開発のコンコードが2003年に運行停止した以降、高速飛行性能と低水準運行経費の両立が難題になっている。ただし、ユナイテッドエアラインズがマッハ1.7で飛行可能なオーヴァーチュア旅客機をブーム・スーパーソニック社から15機導入する基本合意ができたと本を発表したことで、空軍が目指す技術が現実に近づいてきた観がある。

 

TYLER ROGOWAY

米空軍はC-32A特別空輸機を4機運用中だ。

 

 

空軍の2022年度予算案ではC-32高官輸送機再生事業が消えており、2021年度に同事業に計上されていた6.2百万ドルが浮く。

 

C-32A再整備事業の削除で特に関心を呼ぶのは空軍がその分の予算を高速輸送機の研究にす流用していると明らかにしている点だ。空軍の供用中VIP機材は既存型の旅客機やビズジェットを大幅に改装したものだ。

 

「2020年以降の予算は高性能高速輸送機材の評価、技術成熟化に投じられており、C-32A後継機を適切な時期に実現するべく国防産業基盤の強化に充てている」と空軍の予算文書にある。

 

空軍はC-32A(現有4機)と同水準の機材を後継機にすることに関心をなくし、かわりに高速高官輸送機材に焦点をあてている。

 

実際に作業は小規模ながら進んでいる。空軍は新興企業三社に契約を昨年交付し、高速高官輸送機材への応用を検討している。そのうち、前述のブーム・スーパーソニックはXB-1「ベイビーブーム」超音速実証機を昨年10月にロールアウトさせた。XB-1テストからオーヴァーチュア旅客機を誕生させる狙いがある。100%再生可能燃料を使い、乗客65-88名のオーヴァーチュアは2026年に路線就航する予定だ。

 

 

残る二社は同じく超音速機開発をめざすエグソソニックExosonicと極超音速機の実現にとりかかるハーミウスHermeus Corporationだ。

 

C-32Aは後継機種がないまま、航空機動軍団で2040年まで供用されると予算資料にあり、平均18年の耐用年数が残っている。C-32Aの就役開始は1998年で第89航空輸送団の第一空輸飛行隊がアンドリュース共用基地(メリーランド州)で運用している。

 

C-32Aでは改修作業も予定されており、2022年度には1.9百万ドルが計上されているが、2021年度の2.9百万ドルより減っている。予算資料では「プログラム管理装備(PMA)、助言支援機能(A&AS)、システム統合作業、訓練機器、その他政府関連費用に加え、高官用通信装備の更新を行う」とある。

 

さらにC-32A改装では機内意匠を「エアフォースワン」VC-25Aの大統領搭乗区画に近づける「内装リフレッシュ」作業も続いている。うち一機の内装改装が2018年に16百万ドルで発注されている。

 

 

その他の改装作業にコックピットのエイビオニクス改修、機体防御装備、通信機能の大幅向上がある。

 

これまで空軍は海軍とC-32A高官空輸機(EA)のみならず、E-4B国家空中作戦センター(NAOC)通称「審判の日」機、E-6B空中指揮命令所(ABNCP)、通信中継機(TACAMO)まですべて単一機材に更新する大胆な構想を進めてきた。空軍は現有の各機材は「老朽化し運用がどんどん難しくなっている」としている。

 

構想は各機の頭文字をとりNEATと呼ばれてきたが、昨年9月に中止となった。そこで空軍はE-4B後継機の検討を始め、海軍はC-130Jを次のTACAMO機候補としている。

 

となると、空軍が模索する高速高官空輸機はどうなるのか。新興企業三社向けの進展は予測不能だ。ただし、これまでの契約実績は研究中心で規模も少額であることに留意すべきだ。たとえば、ハーミウスには2百万ドル未満しか交付されていない。

 

HERMEUS CORPORATION

極超音速旅客機を空軍仕様にした想像図

 

 

そこで要求性能水準と実用性が問題となる。高官を乗せ世界各地を高速移動しつつ運航効率が高い、長距離を短期予定で移動できる性能は歓迎されるだろうが、単一機種として調達すれば非常に高額な装備になりそうだ。また、運行面では大陸上空の超音速飛行は米国、欧州で依然として禁止されたままであり、機体性能を活用できない。これは軍用、民生用共通だ。

 

一方で、超音速機がこの機体サイズで実現すればその他任務にも投入できる。例として情報収集監視偵察(ISR) 、さらに攻撃任務も想定できる。ごく少数の人員や機材を長距離かつ高速に移動させられる。高速輸送機は搭載力が限られるとしても魅力ある選択肢に残る。 


うまく調整すればその他予算項目からの流用も可能になるのではないか。であればC-32A近代化改修は終了となりそうだ。

 

そうなると、C-32Aの後継機種がないまま、将来の「エアフォースツー」に高官が乗り超音速、あるいはそれ以上のスピードで移動する日が来るかもしれない。大手エアラインが信頼を示したことで空軍にもVIP高速輸送の夢が近づいたのではないか。■

 

次期大統領専用機VC-25Bの供用開始が遅れ気味になっています。一方で、超音速VIP機が空軍に納入されれば、副大統領が高スピードで移動し、大統領はゆっくり移動することになるのでしょうか。大統領の移動となると随行員や装備の関係で小型機では対応できないので、やはりこのままなのでしょうかねユナイテッドのブーム機材購入の話題はT1でお伝え済みです。

https://aviationspacet1.blogspot.com/



 

 

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'Air Force Two' Replacement Dropped With Funds Redirected To Supersonic Transport Research

BY THOMAS NEWDICK JUNE 3, 2021