2023年2月16日木曜日

中国で開発中の第六世代機が米国の構想図とそっくり。肝心のステルス、AI能力はどうなのかがこれから問われる。

 


中国国営の環球時報は、国営第6世代設計が登場するビデオを引用している。中国航空工業集団公司。



中国の国営新聞環球時報は、開発中の第6世代航空機の「無尾翼」デザインレンダリングを初公開し、米国の第6世代航空機のデザインに酷似していることが明らかになった



国の第6世代機はすでに飛行しているが、その外観は保安上の理由でまだ公開されていない。第6世代ステルス戦闘機計画で競合をめざす米国ジェット機メーカー数社が提供する予備的な設計レンダリングでは、フィンや垂直構造のない、同様の「無尾翼」平らな混合翼ボディの設計が出ている。数年前にロッキードノースロップ・グラマンが提示したデザインは、尾翼もフィンもない滑らかな第6世代ステルス機だ。次世代航空優勢と呼ばれる米国の第6世代戦闘機の実際のプロトタイプや実証機のデザインは不明で、公開もされていないが、中国のデザインは、米国メーカーが数年前に提示したものと驚くほど似ている。


 同紙は、無尾翼・無フィン航空機の設計について、「より高い揚力、より長い航続距離、より低い燃料消費」を提供できる「混合翼体設計」と説明しているが、この設計に関する最大の利点は、ステルス性能と思われる。尾翼やフィンのような垂直構造物は、もちろん敵の防空当局が利用できるレーダーリターンシグネチャを減らすのに大いに役立つ。外部パイロンや武器ポッドにぶら下がる武器の輪郭は、敵のレーダーからの電磁波を検知しやすい形状や構造を提供し、その形状を「跳ね返す」ことで戻り信号を送信したりレンダリングできる。例えば、鋭角なエッジや尾翼は、B-2のような完全に滑らかな航空機よりも敵レーダーに探知されやすい。F-35のようなステルス戦闘機が、敵防空網にレーダー信号を返す可能性のある武器パイロンを排除し「滑らかな」外装を作るため、武器ポッドを内蔵して飛行するのはこのためだ。

 中国紙は、垂直尾翼がない航空機の「推力方向転換」に関連する工学的な課題をいくつか挙げている。

 「垂直尾翼がない場合、推力偏向制御可能なエンジンやスプリット・ブレーキ・ラダーなど、他の設計や技術で補わなければ、操縦性を失う」と、中国紙は軍事アナリストの言葉を引用している。

 ステルス性能や空力設計にかかわらず、この中国製航空機は数年前の米国製レンダリングの「模倣」に見える。もちろん、これは驚くべきことではない。なぜなら、米国の兵器仕様を単に「盗む」ために、間違いなく「透明な」中国の努力について、十分に文書化された懸念が存在するからだ。

 したがって、環球時報が伝えた提供された中国の第6世代技術に組み込まれた技術計画とシステム・アプリケーションの説明は、F-35の説明と同じように見えても驚くべきことではない。2020年の同紙記事によると、PLAAF第6世代航空機は、パイロットにさまざまな情報を収集、整理、提示するコンピュータによる自律的な能力を持つことになると伝えていた。

 2020年の環球時報記事は、J-20の設計者Yang Weiの言葉を引用して、「未来の戦闘機は一般的に、より長い戦闘距離、長い耐久性、より強いステルス能力、より多くの空対空および空対地兵器の搭載、そしてパイロットにわかりやすい戦場の状況画像と予測を提供する機能が必要だ」 としていた。

 パイロットに「わかりやすい」戦場情報を提供する技術の重点は、F-35の「センサーフュージョン」とほぼ一致する。F-35では、360度カメラ、長距離電子光学照準、航法詳細、脅威警告システム、その他速度、高度、進入角などの変数からのデータがすべて編集、抽出、分析、統合され1つのスクリーン上でパイロットに提示される。

 このような技術的現象は、中国の新世代戦闘機のビジョンと密接に類似している。例えば、記事では、「統合システムにおいて、航空機はネットワークを形成し、リアルタイムで統合された状況画像を描き、攻撃ルートを複数作成し、ミッションエリアを越えた目標情報をリアルタイムで伝達できるようになる 」とある。

 同時に、人工知能(AI)は、米国の第6世代ステルス戦闘機に関連する初期のコンセプトワークとプロトタイピングに関して、非常に重要な役割を担っている。電子戦、宇宙、レーダー警告受信機、サイバー、まだ知られていないタイプの指標など、おそらくさらに多くのデータが、AIシステムに組み込まれていくだろう。高度なアルゴリズムは、膨大な情報を素早く解析し、無限に見えるデータベースと照らし合わせ、ほぼリアルタイムで判断、計算、分析を行う。意思決定の速度を向上させ、パイロットに明確な情報を提供することは、しばしば 「認知的負担の軽減」と呼ばれる。これらは、AIを搭載したプログラムの基本的な考え方で、それゆえ、中国の新世代ステルス戦闘機に求められている重要性を説明する。

 米国が生み出した有名なOODAループの概念(観察、方向付け、判断、行動)を参照しながら、中国記事では次世代戦闘機を「OODAループ3.0」の開発としている。OODAループとは、戦場や部隊がどれだけ早く意思決定できるかを指す。敵のOODAループや判断・反応が自分より速ければ、優位性や主導権を失うという考え方だ。もちろん、中国はアメリカのF-22やF-35と比較して、次期ステルス戦闘機のOODAループが優れていることを望んでいるはずだ。

 「スマートスキン」と呼ばれる、機体に織り込まれたコンフォーマル・センサーは、第6世代戦闘機製造に役立つ新しいアプリケーションの例として考えられている技術の一部だ。追加または新しいステルス構成、レーザーなど高度な武器、適応型エンジン、「ドローンを指揮する能力」などは、すべて中国の報告書に引用されている属性だ。

 中国の第5世代機のステルス外観については、F-35のパクリに見えるという点で多くの議論がなされてきたが、先進的な中国戦闘機の内部技術仕様については、あまり知られていない。第5世代、第6世代の航空機が他の航空機より優れているか否かについて言えば、真の差は、おそらくAIの領域と、それがコンピューティング、センシング、ターゲティング、操縦、各種攻撃戦術に与える影響にあると思われる。■


China's 6th-Generation Stealth Fighter Design and Technology Plan Look Like US "Copycats"

By Kris Osborn, President, Center for Military Modernization

https://warriormaven.com/china/chinas-6th-generation-stealth-fighter-design-and-technology-plan-look-like-us-copycats


Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.


2023年2月15日水曜日

ウクライナへの戦車供与に同意したのは11カ国。戦闘機供与は進展なし。ただし、ロシア攻勢にそなえ、防空能力などの整備は拡大の模様。

 

ドイツがレオパルド戦車提供の国際連合を主導し、ウクライナの陸戦能力を

大幅に向上させようとしている (German Army on Twitter)


「ウクライナは最近投入した装甲車、歩兵戦闘車、戦車を統合し、地上作戦で同期砲撃を行うだろう」(マーク・ミリー統合参謀本部議長)


ーク・ミリー米統合参謀本部議長によると、ウクライナへの戦車供与に11カ国が署名し、春の攻勢を想定した軍事装備の供与が活発化している。

 本日ブリュッセルでのウクライナ国防連絡会議では、54の国防代表団が会合し、ミリー議長は、22カ国が歩兵戦闘車を、16カ国が「大砲と弾薬」をキーウに送ると公約したとも述べた。また、9カ国が防空システムの提供で支援している。

「ウクライナは、装甲車、歩兵戦闘車、戦車などの最近の公約を統合し、地上作戦と同期した効果を達成するための砲撃を行うだろう」(ミリー議長)。

 さらにカナダ、デンマーク、ドイツ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペインが参加する国際的なレオパルド主力戦車連合に参加する国の数が増加していることに言及しました。

 アメリカ、チェコ共和国、オランダは現在、ソビエト時代のT-72戦車を改修して納入する「過程にある」と確認した。米国は、エイブラムス主力戦車の供与も約束した。

 ウクライナは、春に予想されるロシアの新たな攻勢に対抗するため、供給パートナーに戦車、戦闘機、防空システムの提供を一貫して要求しているが、ロイド・オースティン米国防長官は、ロシア空軍による大規模な航空作戦が間もなく開始されるという考えに否定的だ。

 「ロシアが大規模空爆のために航空機を集結させているかどうかというと、今のところそのような様子は見受けられない。「ロシアには相当数の航空機があり、多くの能力が残されていることは分かっている。そのため、ウクライナに可能な限りの防空能力を持たせるために、できる限りのことをする必要があると強調してきた」。

 既存の防空設備には、米国のペイトリオットやイタリア、フランスのSAMP/Tシステムなどがあるが、オースティン長官によると、「不十分」とし、米国とコンタクトグループのパートナーは、ロシアの脅威に対抗するため、「もっと得られるまで押し続ける」と述べている。SAMP/T長距離地対空ミサイル防衛システムは、ヨーロッパの兵器メーカーMBDAとフランスのメーカーThalesの合弁会社Eurosamがフランスとイタリアのため開発したもので、タレス資料によれば、弾道ミサイル、高速戦術ミサイル、UAV、「高機動航空機、飽和攻撃シナリオに対抗する」。

 「現在、私たちの努力は、これらの(防空)能力をできるだけ早く国内に導入し、能力を統合することです」と説明しました。

オースティンは、ウクライナが「最近の」ロケットとミサイルの発射を阻止するため「信じられないような仕事」をしたと述べた。

 オースティン長官は、米戦闘機のウクライナ提供を拒否するジョセフ・バイデン米大統領の立場に同意し、この問題について「発表することはない」と述べた。「我々は、ウクライナの最も差し迫ったニーズに対応するためウクライナと協力し続ける。ロシアは春攻勢を計画している...だから我々は多くを成し遂げる必要がある」と付け加えた。

 戦闘機をめぐる議論は、政治的に非常に敏感であり、ワシントンはF-16戦闘機がキーウに到達することを拒否している。一方、戦闘機問題には「タブーはない」と発言していたフランスは、まだ決断していない。最近、英国はウクライナの戦闘機パイロットに西側機材での訓練を提供すると述べたが、この取り組みはウクライナの戦後軍体制を念頭に置いたものだ。この問題に関してNATO同盟全体で進展がないのは、エスカレーションへの懸念と一致している。

 イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長は、NATO国防相会合に先立つ本日の記者会見で、「航空機(戦闘機)の問題は、最緊急ではない」と述べた。 「しかし、進行中の議論である。、同盟国がウクライナに提供すべきシステムの種類については、同盟国間で継続的に協議している。今後も進化し続けるだろう」。■


11 countries to give tanks to Ukraine, as Kyiv is ‘contemplating’ spring offensive: US

By   TIM MARTIN

on February 14, 2023 

https://breakingdefense.com/2023/02/11-countries-to-give-tanks-to-ukraine-as-kyiv-is-contemplating-spring-offensive-us/?_ga=2.215954642.435876944.1676382659-1256044490.1668165814



2023年2月14日火曜日

ウクライナ戦の行方。侵攻の開始地点クリミア半島の奪還を目指すウクライナの作戦実行能力を西側が評価。ロシアに取っての悪夢がこれから始まるのか。

 

BBC


クライナ戦争で焦点となったのは、クリミア半島でのエスカレーションの恐れであった。クレムリンは核カードを使う方針とし、プーチン大統領が追い詰められたら核兵器を使うかもしれない、特にウクライナがクリミアに攻め込んできたら、という不安を西側諸国の人々に与えている。

キーウが国土の相当部分を取り戻した今、南ウクライナ軍(ZSU)は半島を射程圏内に収めることができるだろう。モスクワは「追い詰められたと感じたらどうするか」というハッタリをかましたが、ウクライナがどのようにクリミアを取り戻すか、その対価は見合うのか、世界で議論が沸騰している。実はクレムリンは追い詰められてはいないが、ロシアに支配権があるとの神話がモスクワ自身に破滅を招きかねない。


ロシアにとってクリミアが意味するもの

クリミアは、プーチンの強権支配の究極の目的地だ。半島はロシア帝国ナショナリズムの焦点で、征服の世界にいまだに生きている国民の心を長く悩ませてきた。ロシア超国家主義者の帝国主義的な頭の中では、ロシアはクレムリンから独立した植民地後の国々にだまされてきた。アレクセイ・ナヴァルニーのような反プーチンの野党の人物でさえ、クリミアを当然自分たちのものと考えている。

ロシアの2014年のクリミア半島侵攻と併合は、このように帝国の再来を意味し、民族主義者にとっては、それを失うことは帝国の栄光の残滓を失うことを意味する。ウクライナのロシア軍は、いわゆる不沈空母を維持するため、他の占領地域を支配するために戦ってきた以上に、間違いなく厳しい戦いを強いられるだろう。


クリミアが侵略の始まりの地

戦前、ロシアはクリミアのセヴァストポリの海軍基地をウクライナから租借していた。2014年、クリミアに無印の緑の部隊が現れたことが、半島を奪ったロシアの侵略の始まりとなった。

この地域では、クリミア・タタール人などの少数民族が迫害され続けている。タタール人は、クリミアでスターリン主義の粛清と国外追放により、人口動態の崩壊に直面しており、プーチンも同様の政策を続けている。クリミア・タタール人の反対派は、クレムリンによって投獄され拷問を受けており、2014年に運よく逃亡できた人々は、ロシアの植民地主義者に家屋を差し押さえられている。

100万人近いロシア人が半島に移住する可能性があり、人口移動に関する国際法に違反する。モスクワは、新人口がクレムリンが「迫害されたロシア語話者」であると主張しているが、実際は多くは半島に住む軍人、FSB、およびその家族だ。

2022年の空爆が転機をもたらした

モスクワがクリミア支配を固めたとき、彼らは何年も前からロシア国民に「クリミアはロシアの支配下にあり、ウクライナには攻撃手段がない」と伝えていた。それが2022年の夏、ロシアの重要な空軍基地を攻撃したことで一変した。

この攻撃の衝撃をプーチンは隠せず、半島を離れたロシア人は大パニックに陥った。「ロシア領」クリミアへの攻撃をめぐるレッドラインが何度も破られ、昨年8月以降、ロシアの黒海艦隊の航空機の半分が損傷または破壊された。

また、ロシアの復帰の象徴とされ、違法に建設されたケルチ橋を叩くことで、キーウは戦略的にも士気的にも大きな打撃を与えた。2023年後半まで完全使用復帰の見込みの同橋を損傷することで、ウクライナはクリミア駐留ロシア軍への主要補給路を奪った。


南方攻勢で最大限の圧力をかける

この数週間、当初はウクライナのクリミア奪還に懐疑的だった米国が、キーウに半島を奪取する能力があるかもしれないと発言している。米国は、ウクライナのクリミア奪還を支援する考えを温めている。NATO加盟国がウクライナに戦車やジェット機など近代兵器を供給する計画を立てたので、ZSUは占領地の残りの地域でも複合武器作戦が実行できるかもしれない。

国防当局者はゼレンスキー政権に対し、バフムートの状況は依然として危機的であり、ロシアが主張するほど戦略的な都市でもないため、新たな部隊を送り込む代わりに、ドンバス地域の強固な防衛線へ後退するよう指示した。代わり、キーウに南方攻勢の計画を準備するよう伝えた。その最も可能性の高い目標は、重要な都市メリトポリだ。

メリトポリへのZSU攻勢は、クリミアの大部分をHIMARSやその他の長距離ロケットシステムの射程内に置くことになる。メリトポリが解放されれば、ロシア軍は南と東から半減し、プーチンはドンバス地域の支配を維持するか、クリミアを守るかのどちらかを優先せざるを得なくなる。

消耗戦

キーウがザポリージャ解放に成功すれば、作戦区域の縮小を有利に利用できる。作戦地域が狭まれば、ロシア軍は凝縮され、クリミア攻撃が成功する可能性が高まる。これは、ZSUがケルソン攻撃でロシア軍守備隊を凝縮させたときと同じだ。

クリミア攻撃以来、ロシアが誇る黒海艦隊のウクライナ沿岸への出動回数は減少している。これは、攻撃によってロシア艦隊が緊張状態にあることを示しており、南部ロシア軍に対する航空支援は、特にクリミアで固定翼機多数を失った後では、期待薄だ。

キーウのこれまでの戦略は、補給線、燃料・弾薬庫、指揮統制拠点に対する消耗作戦である。南方攻勢でZSUをクリミアに接近させれば、半島でこうした作戦をさらに展開できる。

クリミアに圧力をかければ、ウクライナ軍を投入することなく、駐留ロシア軍を不安定な状況に追い込める。十分な補給もなく、ほぼ毎日砲撃を受けながら半島を保持しようとするか、自らの意思で撤退するかだ。

米国防総省はロシア国防省とバックチャンネルを維持していることを確認し、クレムリンの核兵器による妨害行為は、レッドラインを何度も越えているため沈静化しているとワシントンは述べている。NATO首脳は、ウクライナに長距離ロケットシステムや戦車、場合によってはジェット機を提供することを表明し、核戦争のリスクは消えた、ロシアの脅威はもはや意味がいと考えていることを示している。このことは中国も認めており、プーチンがすでに人気のない戦争で自暴自棄になって核攻撃を命令する可能性に軽蔑の念を表明している。

ウクライナ戦争はクリミア侵攻と併合で始まり、半島の解放で終わらざるを得なくなってきた。モスクワは不沈空母をキーウに対する作戦の中継点として使っているので、ロシア軍をクリミア半島から追放しない限り、この国が安全になることはない。■


Putin’s Greatest Fear: How Ukraine Can Take Back Crimea

ByJulian McBride

https://www.19fortyfive.com/2023/02/putins-greatest-fear-how-ukraine-can-take-back-crimea/


Julian McBride is a forensic anthropologist and independent journalist born in New York. He reports and documents the plight of people around the world who are affected by conflicts, rogue geopolitics, and war, and also tells the stories of war victims whose voices are never heard. Julian is the founder and director of the Reflections of War Initiative (ROW), an anthropological NGO which aims to tell the stories of the victims of war through art therapy. As a former Marine, he uses this technique not only to help heal PTSD but also to share people’s stories through art, which conveys “the message of the brutality of war better than most news organizations.”

In this article:Crimea, Europe, featured, Putin, Russia, Russian Military, Ukraine, War in Ukraine



2023年2月13日月曜日

3日で3回目。今度はF-16が五大湖上空で「気球」を撃墜。

 



USAF/Google Earth

3日間で3回目の未知の物体が撃墜されたと、ミシガン州の米下院議員が日曜日に発表した。

別の未知の物体が、今度はヒューロン湖の上空で撃墜されたと、ミシガン州選出の下院議員エリッサ・スロトキン氏とジャック・バーグマン氏が発表した。

「物体は、米空軍と州軍パイロットによって撃墜された "と、スロトキン は、日曜日午後にツイートしました。「空中と司令部双方で任務を遂行した全員々の素晴らしい仕事だ。この物体の正体、目的に興味がある」

バーグマン議員は、日曜日の午後、ツイッターで、「五大湖地域全体の作戦に関して、国防総省と連絡を取っている。 米軍はヒューロン湖上空で別の『物体』を排除した。戦闘機パイロットの果断な行動を評価する。アメリカ国民は、私たちが得たものよりはるかに多くの答えを得る資格がある」。

国防総省の担当者は、コメントを求めたが、返答はなかった。国防総省から何か情報があれば、この記事を更新する。

今回の撃墜事件は、米国防総省とカナダ国防省が五大湖とカナダの上空を閉鎖したことを受けたものである。

これらの空域は、ウィスコンシン州グリーンベイ付近のミシガン湖上空とカナダのトバモリー付近のヒューロン湖上空で、過去数日間にアラスカとカナダのユーコンでそれぞれ2つの物体が撃墜されたことを受けて閉鎖された。また、中国のスパイ気球が米国を横断した後、サウスカロライナ州の海岸で撃墜されて1週間余り経過している。

航空関係者への通知(NOTAM)は日曜日の午後にグリーンベイエリアで発行され, その後, 1つはカナダ当局が発行した. これは東部標準時の午後3時30分現在、まだ有効である。

飛行追跡サイトによると、ペンシルベニア州ピッツバーグに近い第171航空給油隊のKC-135ストラトタンカーが同地域の上空を周回しており、オクラホマ州のティンカー基地からE-3セントリーAWACSがこの地域にいる。

A KC-135 Stratotanker from the 171st Air Refueling Wing was making orbits over the Great Lakes Sunday. (FlightRadar24 image)

An E-3 Sentry AWACS from Tinker Air Force Base in Oklahoma was also flying over the area Sunday. (FlightRadar24 image)

「北米航空宇宙司令部(NORAD)は、連邦航空局の協力を得て、2023年2月12日午後12時頃(東部標準時)、NORAD運用中の同地域を通過する空気の安全を確保するため、ミシガン湖上空で一時的な飛行制限空域を実施しました」と NORADはメディアリリースで述べている。一時的な飛行規制はその後解除された。

国防総省報道官デヴィン・ロビンソン空軍中佐は、FAAのノータムについて尋ねられ、The War Zone Sundayに「現時点では共有できる情報はない」と言った。

「FAAは国防総省の活動を支援するためにミシガン湖の上空を一時的に閉鎖した」とFAAはThe War Zone Sundayへの電子メールで述べた。「空域は再開された」 と述べた。

UPDATE: 4:44PM EST

2人の無線モニターによると、148戦闘航空団「ブルドッグ」F-16C/Dのペアが、AESIRコールサインで午前10時30分頃にウィスコンシン州マディソンから発進し、警戒スクランブルを行い、ライブインターセプトになったとのことです。我々は、彼らが物体を撃墜したと言うことはできませんが、少なくともこのイベントに関与しています。彼らはKC-135タンカーによってサポートされていた。第148飛行隊はミネソタ州ダルースを拠点としているが、地元の第115飛行隊がF-35に移行する間、NORADミッションの即応警戒任務に当たっている。これはよくある配置です。

A 148th Fighter Wing F-16C. Tomás Del Coro/Wikicommons:

更新: 5:06PM EST—

複数の無線傍受機によると、ターゲット・オブ・インタレスト(TOI)は約2万フィートで、これまでの遭遇よりはるかに低い位置にあった。これが最終的な目標であったことは確認できませんが、最初の通報であったため、注目に値します。

更新: 5:22 pm EST

バーグマン議員がフォックスニュースに語ったところによると、物体は「八角形」で、F-16が約2万フィート上空でAIM-9ミサイルで撃墜したとおい。

ADSBExchange.comの追跡情報によると、KC-135とE-3が現在基地に戻っているようです。



ここ数日の出来事をめぐるいくつかの問題にも触れておこう。チャック・シューマー上院議員は、金曜日と土曜日に撃墜された2つの物体は気球だったと述べ、「彼らは、そうだと信じている。しかし、最初のものよりもはるかに小さい "と述べた。

更新: 5:53pm EST-

CNNが報じたように、八角形の物体には糸が垂れ下がっていたが、ペイロードは付いていなかったとの詳細情報が出ている。

国防総省の発表によると、これはモンタナ上空でレーダーで捉えられたが、F-15が到着したときには見つけられなかったものと同じものであったようだ。

「本日午後2時42分、バイデン大統領の指示のもと、オースティン長官と軍の指導者の勧告に基づき、F-16がAIM9xを発射し、ミシガン州のヒューロン湖上空を高度約2万フィートで飛行していた物体を撃墜するのに成功した。その経路と高度から、民間航空への危険性が懸念されていました。今回の撃墜は、地上の人々への影響を避けつつ、破片の回収の可能性を高めることができる場所を選択した。民間人が負傷したり、その他の影響を受けたという兆候はない。北米航空宇宙防衛司令部は日曜日の朝、この物体を探知し、目視とレーダーによる追跡を続けている。飛行経路とデータから、この物体はモンタナ州上空で拾ったレーダー信号と合理的に関連付けることができ、国防総省の機密施設の近くを飛行していたものである。私たちは、この物体が地上の何かに対する運動学的な軍事的脅威であるとは評価しませんでしたが、安全な飛行の危険性と潜在的な監視能力による脅威であると評価しています。我々のチームは今後、この物体を回収し、さらなる情報を得るために努力する予定である。

更新:6:54pm EST-

国防総省の記者会見が1時間遅れで行われましたが、まもなく始まるはずですので、また報告します。

これらの物体について収集された高忠実度の視覚情報が構築されていることは言及する価値がある。F-16は、現在の慣例通り、警戒中のターゲティングポッド-第148部隊の場合は、高い能力を持つスナイパーATP-を搭載するる。低空で昼間に迎撃することで、撃墜前に対象物の全体像を高品質なIR/EOビデオで収集することができたはずだ。

更新: 7:07pm PST-

先日、マディソンから目標に向かってスクランブル発進した第148空軍「ブルドッグ」のF-16Cが任務終了後、回復する様子を撮影した画像を入手しました。ご覧の通り、91-0405「AESIR11」の1機はAIM-9Xを搭載する翼下のステーションを空にして着陸しています。この機体がキルを獲得したのだろう。さらに、前回のアップデートで説明したように、ジェット機はスナイパーターゲティングポッドを搭載しています。これらの画像は、Instagramでフォローしている友人、@Badger_wingsから送られてきたものです。彼に大感謝です

更新: 8:00pmEST

国防総省は、国土防衛・半球問題担当のメリッサ・ダルトン国防次官補と、NORADおよびUSNORTHCOMのグレン・ヴァンハーク司令官とのオフカメラ記者会見を開催し、The War Zoneも出席した。ここでは、そのハイライトに関するいくつかの基本事項をお知らせする。トランスクリプト全体を解析した後、さらに詳細を追加する予定だ。

-今日のヒューロン湖上空の物体の調査には、カナダのCF-18とタンカーが関与した。

-物体はカナダ水域に着水したようだ。

-モンタナ上空で発見されたものと 同じ物である可能性があるが、F-15は現場に到着した後、発見できなかった

-ウィスコンシン州のF-16、ピッツバーグのKC-135タンカー、オクラホマ州のE-3 AWACSが今日の作戦に参加した。

-NORADは先週の中国風船事件以来、空域をより深く精査し始め、「レーダーを強化」している。

-物体の正体は正確にはわからないが、バイデン大統領の指示により、用心深さからレーダーを強化した。

-小型未確認物体の目的と性質を理解しようとしている。

-レーダーは低速クラッタなどのクラッタに基づく情報をフィルタリングする。彼らは、中国の風船事件の後、そこに何があるのかを見るために、速度や高度ゲートなど、それらのフィルター「ゲート」の一部を調整した。これは、この種のターゲットを探すために警戒を強化したことと対になっている。

-NORADがアメリカ領空で飛行物体に対し運動行動をとったのは初めてのことだ。

-気球とは断定していない -推進システムがあるとも言っている -ガス状である可能性はありますが 彼らは彼らがどの国から来るか分からない。宇宙人について尋ねられたとき、彼らは現時点で何も除外することはないと言いました。

分析によると、物体は運動学的な脅威を与えていない。明確な敵対行為をしていない。

-敵対行為とはミサイルを撃ったり爆弾を落としたりすることです。敵対的な意図とはNORADの管制官や他の航空機に対して攻撃的に操縦することですが、いずれもそのようなことはしていません。

-重要施設の上空を通過することが危険かどうか、空中の航空機や地上の人々にとって危険かどうかを評価しているのです。これらはすべて、関心のあるターゲットに対してどのように行動するかというリスクアセスメントに含まれる。

-スクランブル出動した戦闘機を追跡しているが、その戦闘機が何を見たのか関連付けることができない。何年もの間、何機かの戦闘機を識別することができない。彼らは姿勢が変化した今、見過ごされていた事件を振り返るかもしれません。

-アラスカ北岸で撮影された物体の捜索を続けている。海軍のP-8とヘリコプターが探しているが、今は持っていない。

-サウスカロライナ沖で墜落した大型気球は中国からのものであるという特別な情報があった。

-民間航空へのリスクは、これらの最近の小型気球をダウンさせることを決定する大きな要因である。

-レーダーで追跡するのは困難。AIM-120では成功確率が低い。昨日と今日、銃で撃つことも考えたが、標的の大きさが問題で、昨日のものは高度が問題だった。対象物に接近しすぎて、破片の中に飛び込んだり、当たる可能性がある。AIM-9Xが選択された武器だ。巻き添え被害を最小限に抑えるため、細心の注意を払った。空域を確保し、パイロットは周辺の船員や航空機をチェックし、それからパイロットが考える最高の武器を使用する。

-報告があるように、センサーに干渉したかどうかについては話せない。

-現在、他の物体は追跡していない。今は他の物体を追跡していない。そこにある可能性はあるが、最近これらを見逃していないかどうか、古いデータを調べる必要がある。

-形状によっては検出が難しい。形状が検出を難しくしている可能性があるため、「実際に手に取って」確認する必要がある。彼らが見ている形状について詳しく説明することはありません。

-撃墜するかどうかについては、毎回ケースバイケースで判断している。


F-16 Shoots Down “Octagonal Object” Over Lake Huron (Updated)


BYHOWARD ALTMAN, TYLER ROGOWAY|UPDATED FEB 12, 2023 6:57 PM

THE WAR ZONE

https://www.thedrive.com/the-war-zone/fighters-shoot-down-object-over-lake-huron



RAND研究所が日本の防衛政策転換にあたり、実施上の懸念事項を指摘。正しい優先順位を示せるのは専門家だ。政治家ではない。

 


本政府は「国家安全保障戦略」「防衛戦略」「防衛力整備計画」という画期的な戦略文書3点を発表した。日本が米国と戦略的ビジョンを共有するにとどまらず、自国防衛のため従来より多くを行うと約束したことを示している。

第二次世界大戦後の日本の防衛政策は、漸進主義と非弾力性で定義されてきた。 1970年代以降の日本は防衛費をGDPの1%に抑制する傾向にあった。1990年代半ばにバブルが崩壊すると、日本の経済成長は著しく鈍化し、その結果、日本の防衛費も事実上停滞した。2021年の防衛費は、25年前の水準からわずか9%増加したに過ぎない。したがって、12月16日の東京の発表は、計画されている防衛投資の量と、日本が獲得をめざす能力の両方において、変曲点を意味する。これらの変化は、日本における抑止力概念とその維持が進化してきたことを反映しており、実施されれば、米国の同盟国として重要な戦力拡大役として、より高い能力を発揮するだろう。

冷戦後のほとんどの期間、日本の安全保障への貢献が経済的地位に見合っていないとの不満がワシントンにあったが、今回の新たなコミットメント表明は、日本にとって大きな前進となる。計画を実行に移せば、日本は今後10年間で強力な防衛力として台頭する可能性がある。ワシントンの国家安全保障と防衛戦略において日本が果たす役割がますます重要になっていることを考えれば、これは日米同盟にとって良いニュースだ。しかし、5年間で60%近い防衛予算の増額が計画されているように、支出が大幅増加しても、資源が効果的に使われ、競合する重点分野に薄く広がらないようにするには、明確な優先順位付けが不可欠なのだ。

日本の新しい防衛アプローチと背後にある資源は、地域、日米同盟、日本自身にとってプラスとなる。同時に、実施を遅らせたり変更する可能性のある課題や障害を予期しておくのが重要だる。この地域で中心に位置する同盟国として、日本が成功することはワシントンの政策立案者にとっても重要だ。これを念頭に置き、日本が今後数年間、戦略を実施する上で直面する可能性のある4つの主要な課題分野に焦点を当てよう。 

日本の新しいアプローチ

日本の安全保障環境を「第二次世界大戦後、最も厳しく、複雑」と表現した日本政府の国家安全保障・防衛戦略は、前例のない変革をめざした計画を打ち出している。まず、日本は2027年までに年間防衛費を60%近く増やし、GDPの約1%という長年の非公式な壁を打ち破る。計画の初年度である2023年度の防衛省の予算要求は、今年度比で20%以上の増加となり、それ自体、歴史的な変化を意味する。第二に、北朝鮮や中国の領土の奥深くまで攻撃可能な長距離精密攻撃陸上ミサイルなど、これまで敬遠してきた能力を獲得する。日本政府は、新戦略が現行憲法と戦後防衛戦略に合致すると主張しているが、伝統的に日本自身を武力攻撃する部隊の撃退に焦点を合わせてきた日本の防衛・抑止のアプローチに重要な進化をもたらす。今日、日本の戦略は防衛に軸足を置いたままだが、抑止の焦点は日本の領土をはるかに超え、日本への攻撃を支援する可能性のある施設への攻撃にまで及んでいる。その背景には、敵が日本を攻撃または侵略しようとする場合への対応として、防空・ミサイル防衛能力に依存するだけでは不十分であることを、日本の意思決定者が認識していることがある。反撃能力は、敵領土の奥深くにある軍事施設を標的にし、日本への侵略コストを高めることで抑止力を強化するものだ。

防衛戦略では、長距離精密打撃を含むスタンドオフ能力、統合防空・ミサイル防衛、無人システム、宇宙、サイバー、電磁能力を含むクロスドメイン能力、機動力と揚力、情報、弾薬在庫、即応性と整備、施設の強化などの分野を含む「持続性」というカテゴリーを設定し、防衛力増強に重点を置いた7つの大枠を定めている。うまくすれば、日本は今後10年間で、この地域の米軍にとって信頼できる戦力増強効果¥を果たす恐ろしい戦力を保有することができるだろう。しかし、ここまで焦点を幅広くしていることは、資源が増加した環境だとしても、実施と優先順位付けに懸念を抱かせる。

 スタンドオフ防衛能力

最も注目されるのは、日本が長距離反撃能力の整備を決定し、るミサイルの在庫を増やしたことである。日本列島全体を脅かす中国や北朝鮮のミサイル能力の急速な進展を考えれば、この決定は戦略的に意味を生む可能性がある。日本の統合防空・ミサイル防衛力は強固で、新計画の下でもさらに拡充されるが、日本上空のミサイルを迎撃することだけに焦点を当てていては、ほぼ確実に不十分となる。日本がミサイル攻撃に対応可能になれば、平壌と北京の意思決定に新たな変数が加わり、両国は投資を増やさざるを得なくなる可能性がある。

したがって、今回の反撃能力を獲得する決断は重要で、それ自体、かなりの資源を消費する。日本の予算案では、様々な射程のスタンドオフ能力に2027年までに5兆円(約500億ドル)の支出を想定している。これには、統合打撃ミサイルや統合空対地スタンドオフ・ミサイル-エクステンデッド・レンジのように、これまでコミットしてきた短射程兵器への投資、トマホーク対地攻撃巡航ミサイルの取得、12式巡航ミサイルの強化、国産の極超音速ミサイルの開発などを含む。

日本の攻撃能力整備計画の信頼性を左右する可能性がある要因として、以下2つを今後数年間追跡することが重要である。第一は数量だ。歴史的に、日本の軍需品投資は低く、軍需品に確保されたわずかな予算でさえ、他の優先事項のため共食いの犠牲となってきた。日本の攻撃能力を象徴的な存在にするためには、備蓄と貯蔵に専心する必要がある。5カ年計画で示された資源量は、日米で未決定のトマホーク巡航ミサイルを除く各システムに関連する具体的な支出額を含んでおり、ミサイル基地の充実が実効性のある抑止に不可欠だとの認識を反映していると思われ、2023年度予算要求では軍需品貯蔵に重点が置かれている。実際の調達・備蓄数は非公表のため、政府は目標を縮小したり、目標に充てる資金を流用する誘惑に負けてはいけない。

第二が、キルチェーンアーキテクチャと日本の反撃能力の運用概念だ。東京とワシントンは、日本の能力、特にトマホークを米国の情報、監視、偵察、標的、戦闘被害評価のアーキテクチャに統合するため努力する。これは賢い戦略で、日本のコストを削減し、日本が2026年までに実現したいと考えている能力を稼働開始するスケジュールを早めることができる。しかし、防衛大綱は、日本が最終的に独自の自律型キルチェーンアーキテクチャ開発を目指すのかという問題を残したままだ。防衛力整備計画では、陸上と海上の目標を「高い頻度で」観測・追跡する宇宙ベースの能力を強化する「必要性」を指摘しており、日本のメディアでも報道されたように、反撃作戦を支援する強固な国産衛星アーキテクチャの開発への関心を指摘している。独自の衛星アーキテクチャを開発する努力は、予算の枯渇する可能性がある。また、衛星群開発にはかなりのコストがかかるため、長期的には米国とアーキテクチャ統合を含む戦略が最も賢明だ。

 サイバー能力

日本側文書では、多方面でのサイバー能力の強化に大きな重点を置いている。計画にある取り組みとして、日本政府全体のサイバーセキュリティ基準を設定し、重要インフラに対するサイバー脅威に関する官民の情報共有を促進するため、より広い権限を持つ新しい国家事故対応センターの設立が含まれている。文書では、敵のコンピュータネットワークに侵入し、破壊する能力を持つ「積極的防衛」サイバー能力を開発するよう求めている。日本の防衛戦略では、自衛隊のサイバー部隊を大幅拡大し、現在の約800人から2027年までに約4000人、サイバー機能を担う部隊の総人員は2万人に増やし、重要ネットワークのサイバー防衛強化に注力するとある。

国家安全保障戦略と国家防衛戦略がサイバー戦力の強化に焦点を当てるのは、日本政府のサイバーセキュリティの脆弱性への米国政府の懸念があるためだが、重要な疑問は未解決のままだ。想定される形でサイバー部隊を成長させるには、高度なスキルを持つ人材が必要になるが、人材確保に課題があるため、目標達成は難しいかもしれない。また、政府の能動的な防衛力をどこに置くかも不明確である。マスコミ報道では、2024年までに策定されるサイバー防衛に関する新たな法的枠組みの一環として、自衛隊の任務を拡大し、民間企業の重要インフラ一部の防衛を含む計画があるとされている。これらのイニシアチブを進めるために関連する新しい法律が必要となる。日本におけるプライバシー問題への敏感さや、政府がサイバースペースに深く関与することに関連する問題を考えれば、この問題の進展に相当な政治的資本が必要となりそうだ。

防衛省の計画は、間違いなく政府内で先行したもので国家安全保障の役割を担う他省庁も同様に歩み寄る必要があるかもしれない。日本政府で最優先すべきは、システム全体に共通するネットワーク・セキュリティ基準とサイバーセキュリティの実践を強化することだ。この文脈で、「能動的防衛」能力を開発する計画は、二次的な優先事項である。

非搭乗員装備品

日本は今後10年間で、情報収集や監視だけでなく、戦闘支援を含む任務を遂行するため、3自衛隊で非搭乗員能力の規模と種類を増やす。つまり、意思決定を遠隔地の人員や脆弱な通信回線に大きく依存するのではなく、部分的にコンピュータに依存することになる。これは、日本が中国という量的に大きな敵に直面していることや、自衛隊での採用が遅れたままであることを考えれば、理にかなっている。非乗員型プラットフォームは、乗員型プラットフォームより広い範囲と持続的なプレゼンスを提供でき、より多く調達でき、より手頃で消耗しやすいオプションを日本に提供できるため、両方の課題を解決することができる。また、非搭乗型プラットフォーム用の施設はは一般に小規模で、列島各地に分散できるため、維持管理の問題にも対処できる。

今日まで、グローバル・ホークのような非搭乗型プラットフォームへの暫定的なステップはあったものの、日本は非搭乗型オプションを真剣に追求してこなかった。このため、現在の3機のグローバル・ホークから、10年後にはAIを組み込んだ幅広い非搭乗員型プラットフォームに移行する計画は、野心的に見える。

課題のひとつは、プラットフォームや領域を超えた統合だ。別々の領域にある無人システム間のコミュニケーションと、これらのプラットフォームをレガシーシステムと使用する方法の両方がある。統合を成功させ、複数プラットフォームを協調動作させることは合理的な目標ではあるものの、非常に破壊的な戦闘環境でうまく行うことを10年後に実現するのは困難かもしれない。また、日本がこれらのプラットフォームを制御する信頼できる方法をどのように確立しようとしているのかについても疑問がある。日本がこれらの兵器を配備することに最も関心がありそうな地域は、日本本土から遠く離れており、海中など地図データが乏しい場所で運用したり、敵の妨害電波で運用できなくなる可能性のある衛星に依存する必要がある。日本は、こうした懸念に対応できる衛星群の配備を望んでいるものの、現在の軍事通信衛星は慢性的に負荷が高く、帯域の取り合いになっているのが現状だ。

もう一つの課題は、これらのシステムにAIを組み込むことだ。AIは、自律性を実現し、作業を自動化し、乗組員による対応より迅速な意思決定を行えるため、魅力的だ。今後10年以内に、AIは画像認識やマルチタスクなど、人間より優れたタスクを実行できるようになるかもしれない。しかし、AIシステムが機能するにはデータが必要で、多くのAIシステムは、人間が入力した制御環境下のデータを使って訓練されている。AI搭載の無人プラットフォームが、激しく変動する環境下でうまく機能するようになるのは、文書が示唆するよりずっと先のことかもしれない。決定的なのは、日本が長年にわたり武力行使に制限を加え、自衛隊に厳しい交戦規定を課してきたことを考えれば、武力行使の交戦判断を自動化に委ねるとは考えにくいことだ。非殺傷任務であっても、指揮系統に意思決定を委ねてきた慣行のある日本では、意思決定者が軍事作戦をコンピュータに委ねることに抵抗があるだろう。

日本が推進する無人プラットフォームやAIが、将来の軍事利用において重要な役割を果たす可能性で間違っていると言っているのではない。むしろ、日本の計画は非常に楽観的である可能性がある。AIと無人プラットフォームをあらゆる軍事システムに統合することは、10年以内で達成できるものではなく、むしろ漸進的な変化になるかもしれない。

マンパワーが包括的な課題

日本が直面する課題の中で、マンパワーの制約が最も大きなものだろう。日本は前例のない防衛力増強に着手する構えだが、自衛隊の規模を拡大せずに、任務を遂行させようと考えている。陸上自衛隊から海上自衛隊や航空自衛隊に約2,000人の人員配置を行うが、自衛隊全体の規模は拡大しない。日本の人口減少という現実と、採用目標を達成するための従来の課題から、実質的な成長は不可能になる可能性がある。未搭乗員装備の導入に加えて、この戦略はいくつかの人事的アプローチを想定している。隊員の定年退職年齢の引き上げ、女性勤務の条件の改善、訓練や人材開発のため退職者の活用、契約や業務委託などがある。マンパワーの制限を考えれば、これらの手段は理にかなっているが、効果については議論の余地がある。

まず、定年退職年齢の引き上げと退職者の活用だ。2020年のRAND研究所報告が指摘したように、これらの選択肢は兵力の高齢化を招き、地域的な有事の際の日本の支援能力に悪影響を及ぼす。なぜなら、高齢者は健康上の問題が大きく、新しい技術を取り入れることに若年者より不慣れとなる可能性が高いからだ。民間企業との契約や外部委託は、平時には自衛隊が訓練や自然災害への緊急対応で船舶や飛行機による輸送サービスを利用すできるため有効だが、戦闘状況下で民間の能力の利用がどれほど現実的であるかは不明である。また、無人化能力の導入を推し進めることが、人員問題の部分的な解決策と考えられるとしても、こうした装備にも人員を必要とする。実際、これらのプラットフォームの性質とAIの組み込みを考えると、日本は、レガシーシステムの運用に現在採用されている人材より高度な訓練を受けた人材を必要となる可能性がある。

サイバー部隊の増強、非乗員型プラットフォームのオペレーター養成、弾道ミサイル防衛に特化した艦艇の導入、既存の統合幕僚監部と異なる常設の統合作戦本部の設置など、戦略の他の要素と組み合わせると、人材を十分確保することが戦略目的で大きなハードルになる可能性がある。例えば、陸上自衛隊の歩兵部隊の人員不足で、他の部隊に任務を移すことができるが、海上自衛隊や航空自衛隊の人員不足は、一定の人数を必要とする艦船や航空機の運用問題に発展しかねない。防衛戦略大綱では、マンパワー問題への認識を示しているものの、大綱で想定するより強固で抑止力のある戦力を整備するため提案された解決策がどれほど有効であるかは不明だ。もし、実現できなければ、戦略の実行は困難となる可能性がある。

結語

日本の新しい戦略文書は、前例のない安全保障上の課題に直面している日本が、自国防衛のためもっと努力しなければならないと日本政府が認識していることを示しているように思われる。資源の投入、新しい能力の追求、より強固な防衛への包括的なコミットメントはすべて、米国の重要な同盟国として画期的な変化を示す重要な動きであり、実際、この地域におけるここ数年で最も重要な戦略的進展の一つだ。このようにポジティブに見える一方で、資源、人員、技術、政治的な意志の不足びのため、文書に示されたスケジュール通りに、いくつかの野望が実現できなくなるリスクもある。

課題に取り組む日本を支援することは、米国の利益となる。米国は、技術支援、主要装備品の販売、コンセプトやドクトリンの開発、現実的な訓練などを通じ、可能な限り日本を支援できる。また、限りある資源が薄く行き渡らないよう、日本の取り組みに優先順位をつける手助けも可能だ。今、こうしたステップを踏めば、10年後、米国は強固な防衛同盟国になった日本を得ることになる。■


Japan’s Strategic Shift Is Significant, but Implementation Hurdles Await - War on the Rocks

JEFFREY W. HORNUNG AND CHRISTOPHER B. JOHNSTONE

JANUARY 27, 2023


Jeffrey W. Hornung is a senior political scientist at the RAND Corporation and adjunct professor at Georgetown University.

Christopher B. Johnstone is Japan chair and a senior adviser at the Center for Strategic and International Studies. He served on the staff of the National Security Council during the Biden and Obama administrations, and in the Office of the Secretary of Defense for more than a decade.