2023年3月13日月曜日

ウクライナにブラックホークヘリが突如登場した背景について....

 

ウクライナ国防省情報本部


ウクライナ軍国防情報局に元米軍のUH-60Aらしき機体が登場した




クライナ軍は、S-70/H-60ブラックホークシリーズのヘリコプターの最初の機体を受領したようだ。同機は、ロシアとの戦争において、国境を越えたヘリコプター襲撃など、数々の大胆なミッションを指揮してきたウクライナ国防情報局の航空部門に配備されたようだ。ブラックホークは、ウクライナにこれまで寄贈された機体より近代的で、今後の納入に道を開く可能性もある。

 ウクライナ国防省情報本部が本日ウェブサイトに掲載した記事には、格納庫にあるブラックホークヘリコプターの写真が2枚掲載されている。1枚は、2人組の武装ヘリ隊員が機体の前でポーズをとる写真。もう1枚は、ブラックホークがウクライナのMi-24ハインドと一緒に写っており、こちらもクルー2名と4名の特殊作戦部隊らしき隊員が写っている。



ウクライナ某所の格納庫で、新たに確認されたブラックホークとMi-24、情報本部の兵士たち。 Main Directorate of Intelligence of the Ministry of Defense of Ukraine


添付文章を機械翻訳すると、次のようになった。「ウクライナの国防情報航空は、我が国の防衛の最前線で働き続けている。偵察機のパイロットは別の戦闘任務から戻ったばかりで、戦闘用ヘリコプターは情報本部の特殊部隊の能力と特殊作戦の有効性を大幅に向上させる。情報主管庁のパイロットは、戦線のあらゆる地域で敵を撃破し続けている。」

 明示されていないが、この文言は、ブラックホークとMi-24が、長官直属部隊に新たに加わったことを示唆している。過去には、ウクライナ軍のヘリ(主にソ連・ロシア製のMi-8とMi-17ヒップ)を臨時使用していたことが判明している。航空資産を持つことが大きな利点になるのは明らかだ。


ウクライナのMi-8 Hip。後部クラムシェルドアが取り外されており、情報局ミッションで飛行したものと同じ。 Ukraine MoD



 写っているブラックホークの塗装は、グロスブラックにブルーとシルバーのチートラインが胴体下部とエンジンハウジングの上部に入る独特のもので、ウクライナの丸マークと国旗も描かれている。

 この塗装は、米国アラバマ州ガンタースビルに本社を置くエース・エアロノーティクスAce Aeronautics, LLCが過去に運用したUH-60Aと類似しているように見える。エースエアロノーティクスは、S-70/H-60ファミリーを含むエイビオニクスのアップグレードを中心に、実験飛行試験、訓練、メンテナンス、修理、オーバーホール(MRO)などのサービスを提供している。

 このうち同社のUH-60Aは、同社ウェブサイトや下のビデオに登場する、ウクライナ機とほぼ一致する。過去には米国の民間登録番号N60FWで運用されており、連邦航空局によれば、同番号はまだ有効とある。「ブルー」の愛称で親しまれる同機は、かつてアメリカ陸軍の所属で、シリアルナンバーは80-23455だった。エースは、米軍からUH-60Aを購入し、顧客の仕様に合わせ再塗装や手直しを行った上で販売するサービスを行っている。

 N60FWの経歴を調べると、11ヶ月前まで売りに出されていたが、その後、掲載が削除された。最後の飛行記録は昨年11月28日のジョージア上空で、その時点ではまだエース航空の所有として掲載されていた。ウクライナのヘリコプターの塗装は明らかにN60FWと似ているが、もちろん、これは同じカラーリングで塗装された別の機体の可能性もあり、おそらく、オーダーメイドの再塗装サービスを提供する同社によるものだと思われる。

 エース・エアロノーティクスが過去に入手したUH-60Aには、青ではなく赤のチートラインが入った機体や、黒一色の機体があり、それぞれN60DKとN451VKの登録がある。


エースエアロノーティクス UH-60A N60FWとN60DKが一緒に飛行した。 Ace Aeronautics



 2枚の写真を見る限り、ウクライナ情報局が運用するUH-60Aには、電気光学センサーや武器、自己防護システムなど改造が施されていない。しかし、将来改造が行われば理想的なプラットフォームとなる。実際、エース・エアロノーティクスはN60FWを、胴体片側のスタブパイロンに外付けミニガンシステムと模擬空対地ミサイル2基を搭載し兵器化構成のテストベッドに使用していた。


 ウクライナ軍が受領したブラックホークがN60FWまたはその同系機なら、オリジナルのUH-60Aより多くの改良が加えられている可能性がある。N60FWに搭載されたガーミンG5000Hコックピットはタッチスクリーン操作のフルグラスコックピットで、ウクライナのMi-8やMi-24に見られるアナログ計器よりはるかに高度なものだ。

 N60FWの以前のコンフィギュレーションと比較して、現在確かに欠けているものとして、昨年まで機首下に装備されていたセンサー・ターレットがある。しかし、このタレットマウントはエース・エアロノーティクスが開発したもので、将来的にセンサータレットを取り付けることは十分に容易で、L3Harris WESCAMFLIR Systemsなどエイビオニクスプロバイダーのタレットと互換性がある。

 本誌はエース・エアロノーティクスとウクライナ情報筋に、同ヘリコプターの譲渡の詳細と、それで国防情報局の任務がどう支えられているか問い合わせた。ブラックホーク・シリーズのヘリコプターがウクライナに譲渡された、あるいは譲渡される計画については、これまで報告はない。

 我々は過去に、ロシア領内に潜入して重要な標的を攻撃する特殊作戦部隊「シャーマン大隊」 Shaman Battalion など、ウクライナ国防情報局の活動について幅広く報じてきた。

 シャーマン大隊の1人は、昨年7月の『The War Zone』インタビューで、「本当に重要なのは、優れたヘリコプターパイロットだ」と語っている。「必要なすべての詳細を考慮した、非常に正確で、非常に書き込まれた計画を持っている人たちです。彼らはスーパーパイロットだ。強く、知的で、非常にモチベーションが高い」。


低空飛行中のウクライナのMi-8ヘリコプター。Metin Aktas/Anadolu Agency via Getty Images


 こうしたヘリコプターパイロットの部隊配属は、明らかになっていない。特殊部隊任務の訓練を受けたウクライナ陸軍航空隊の乗員で構成されていたようだが、ブラックホーク、Mi-24の少なくとも各1機は現在ウクライナ情報局所属と思われ、軍から移籍した独自の航空隊員がいるようだ。

 また、アゾフスタル製鉄所への補給に使われた16機のMi-8ヘリコプターを含む情報総局の任務についてもこれまで報告した。情報局長キーロ・ブダノフ准将Brig. Gen. Kyrylo BudanovがThe War Zone独占インタビューで語ったところによれば、ロシア軍の防空網と敵機によりヘリコプターの2機は破壊された。

 ブラックホークは、米陸軍特殊作戦司令部での活躍で知られるように、特殊部隊の支援プラットフォームとして実績がある。中でも「ナイトストーカーズ」として知られる第160特殊作戦航空連隊(SOAR)は、大きく改良されたMH-60Mブラックホークを飛ばしている。

 とはいえブラックホークが1機でも納入されたことは、ウクライナの軍事航空能力にとって大きな進展であることに変わりはない。キーウの同盟国から約40機のヘリコプターが提供されたが、これまではほとんどがソ連時代の機体でMi-8/17やMi-24が中心であった。欧米の軍用ヘリコプターはこれまで、ウクライナ海軍に旧イギリス海軍のシーキングを数機寄贈したのみである。

 ウクライナは西側およびNATO標準の装備を採用したいとしており、ブラックホークは回転翼機近代化で当然の選択肢だ。このクラスで最も広く使用されている西側軍用ヘリコプターS-70/ブラックホークは、軍のストックだけでなく、エース・エアロノーティクスなどサードパーティサプライヤーからも豊富に提供されているし、ヨーロッパをはじめ、世界各地で使用されている。

 そう考えると、ウクライナの格納庫にユニークな塗装のUH-60Aが登場したことは、同国の回転翼機の能力を高め、主にソ連時代の機体を置き換える大規模な取り組みの始まりである可能性がある。少なくとも、ブラックホークがウクライナの国防情報局の主要な機体となることは間違いない。■


UH-60 Black Hawk Unexpectedly Appears In Ukrainian Military Service


BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED FEB 21, 2023 3:01 PM

THE WAR ZONE



2023年3月12日日曜日

ブロック4の前にTR-3改修でF-35の性能はここまで拡大する。1機あたり25百万ドル、合計150億ドルの予定

 

ッキード・マーティンF-35ライトニングII、通称ジョイント・ストライク・ファイターが機密扱いのアップグレードを受ける。改良には、17の新しい武器システム、強力な新型レーダー、電子戦能力の強化、推進力のアップグレードなどが含まれるが、多くは膨大な機密のベールに包まれたままだ。



 F-35は技術的な後退やコスト超過に悩まされ、しばしばプラットフォーム自体に影を落としてきた。しかし今、F-35は新たな機能強化の数々を搭載し、ついに、このプラットフォームに対する批判的な声を黙らせ、データを駆使する空中戦の強豪を生み出すかもしれない...ただし、すべて計画通りに進んだ場合の話だ。

F-35は最も成功したステルス戦闘機だ

f-35 upgrade(U.S. Air Force photo/Senior Airman Christine Groening)


20年以上にわたるF-35プログラムは、長い間、2つの非常に異なるレンズで見られてきた。ある人は、F-35の調達プロセスの大失敗が、F-35そのものを定義するようになり、度重なる技術的な後退、予算超過、機体維持に関わる膨大なコストなどが、この機が戦いにもたらす能力に影を落としていると考える。

 しかし、F-35に搭乗している人たちの話は、まったく違う。彼らはしばしば、F-35を航空戦力の革命にほかならないと喧伝し、多くの外国政府もそれに同意しているようだ。現在、16カ国がF-35の納入を待ち、890機以上が生産されており、F-35はその他第5世代戦闘機(F-22、J-20、Su-57)の合計よりも多く就役している。

 批判勢力は財政的な失敗を強調しているが、共用打撃戦闘機という大失策が生み出した航空機は、客観的には地球上で最も先進的で幅広い能力を持つ戦術戦闘機で、情報、監視、偵察から電子戦、戦域管理まで、各種軍用機の役割を同時に果たすことができる。F-35はしばしば空のクォーターバックと呼ばれ、戦いの最中に司令部レベルの認識と驚くべき生存能力を提供する。

 しかし、今日のF-35がいかに高性能でも、20年以上前のシステム・アーキテクチャの上に構築されているため、先進的とはいえ、今後20年間に出現する課題に追いつけるのか。

 F-35は現在も空で最も先進的な戦闘機かもしれないが、F-35プログラムオフィスは、そうでなくなる日のため計画をすでに立てている。そこで、F-35のテクノロジー・リフレッシュ-3(TR-3)とブロック4のアップグレードが登場する。


テクノロジーリフレッシュ-3で F-35 に新しい頭脳が生まれる

f-35 upgrade


ブロック4アップグレードの前に、コアコンピューティング能力の大幅な刷新が必要だった。今日、F-35は現役戦闘機各種の中で最も先進的な戦闘機であることに変わりはないが、コンピューティングの観点から見ると、F-35の搭載システムには20年以上前のものもあり、2023年時点で最高級とは程遠い。

 しかし、TR-3の取り組みは、今後の大規模なアップグレードで土台作りとも言えるが、実はこの取り組みだけで、戦闘機の能力は飛躍的に向上するのだ。

 ある意味、TR-3は、計算能力とメモリストレージを飛躍的に向上させ、搭載されているほぼすべてのシステムの機能を改善するだけでなく、将来の改良にむけたプロセスを合理化する新しいシステムアーキテクチャとともに、戦闘機の脳移植とみなすことができる。

 「テクノロジー・リフレッシュ3は、F-35の計算機コアを近代化するもので、新しいハードウェアとソフトウェアは、同機の機能に影響を与えます」と、第461飛行試験飛行隊司令官でF-35統合試験軍ディレクターのクリストファー・キャンベル中佐は1月に説明していた。

 TR-3の新しいコンピューティングコアは、現在F-35の処理能力の25倍という驚異的な性能で、請負業者であるL3 Harrisによれば、最終的には他の改良と組み合わせて、驚くべき「37倍の処理能力向上」を達成する。プロセッサーのアップグレードは、レーダー処理、分散開口システム、電子戦スイート、通信、誘導など、搭載システム多数に影響を及ぼすと言われている。この新しいパワーを支えるのは、20倍に増加したデータストレージです。

 F-35のパノラマコクピットディスプレイも大幅にアップグレードされ、ディスプレイ処理能力が5倍に向上し、左右のコクピットディスプレイの「クリティカルディスプレイプロセッサー」が、何らかのシステム障害が発生した場合に冗長性を発揮する。

 先月、Steve TrimbleがAviation Weekで報告したように、これらの新システムは、生産中のブロック15のF-35ですでに組立ラインで生まれているが、来年のブロック16からのTR-3アップグレードに、現行システムの3倍の能力を提供する改良型電子戦プロセッサーも搭載される。さらに2025年から、ブロック17に、敵レーダーやその他の信号伝達の位置を検知して三角測量できる電子戦用レシーバーが20個以上搭載される。現行機はレシーバーを5個しか搭載しておらず、能力が75%増となる。

 しかし、これらのアップグレードは印象的かもしれないが...実はすべて、さらに本質的なアップグレードの下準備に過ぎない。



スーパーライトニング II登場か?


 TR-3アップデートは、関係者間ではブロック4F-35の「ITバックボーン」として知られており、現行機から約75点の主要アップグレードを含む。アップグレードはすべて、長年にわたって親しまれてきたF-35A/B/C各型に組み込まれるが、システム改善と追加機能は非常に劇的で、新型戦闘機を能力の低い兄弟機と区別するため新名称が必要かもしれないとさえ考えられている。

 しかし、ブロック4の内容の多くは謎に包まれたままだ。この取り組みに携わる請負業者は、どのようなシステムが改良されるのかについて一般的な説明は行うものの、具体的内容は語ろうとしない。75点以上のアップグレードがブロック4.1、4.2、4.3といった単位で展開されることは確かで、アップグレードの多くは、すでに存在するハードウェアやアップグレードの初期段階で追加されるハードウェアの能力拡張用のソフトウェア調整に基づくと分かっている。

 また、ブロック4は最も野心的なアップグレードだと統合開発室が説明していることも分かっている。その他、確実な情報を以下お伝えする。


ブロック4は合計17種類の兵装を搭載する

ブロック4アップグレードの大部分は、新たに統合された武器の形で行われる。一部報道で、ジョイント・ストライク・ミサイル、スタンドオフ・レンジで敵の防空を狩るAGM-88G Advanced Anti-Radiation Guided Missile Extended Range (AARGM-ER)、高性能なヨーロッパのメテオ空対空ミサイルなどが含まれる。しかし、新兵器がすべて「キネティック」つまり従来型弾薬ではなく、ブロック4アップグレードには、まだ公開されていない電子戦の新機能も数多く組み込まれそうだ。

 おそらく最も重要なのは、ブロック4がF-35の機内兵装搭載能力の拡張を含むことだ。現在のF-35は、ステルス性を維持しながら最大4点を機内収納し飛行しているが、ブロック4では6点まで増やす。


強力オンボードレーダーと分散型開口システムも導入する


現行型F-35は、ノースロップ・グラマンが開発したAN/APG-81アクティブ電子走査アレイレーダーを搭載し、戦術戦闘機のレーダーシステムの中で最も強力で高性能なものとして広く知られている。このシステムは非常に強力で、地表や空中のターゲットを識別・追跡するだけでなく、飛行中に敵のレーダーアレイを妨害する電子戦アセットとしても活用できる。しかし、AN/APG-85と呼ばれるさらに強力なレーダーアレイに交代する予定だ。

 ノースロップグラマンは、新型レーダーシステムについて、「利用可能な最新技術を取り入れ、航空優勢の確保に役立つ」とだけ述べている。この新型レーダーはGaN(窒化ガリウム)ベースのTRM(送受信モジュール)を活用するのではないかと、多くが推測している。新しいTRMは、電子対抗措置と競合しても、電力伝送と透明度が大幅に向上し、熱管理も優れているため、目標捕捉と電子戦の両方の任務で、より多くの電力を送り込むことができる。

 Aviation WeekでSteve Trimbleが報じたように、新レーダーは、同じ出力と同じサイズのアレイでF-35の目標検出範囲を2倍にする可能性があり、目視範囲を超えた交戦でF-35に際立った優位性を与える。

 国防総省は、「より大きなピクセルのフォーカルプレーンアレイ」と「より高い動作温度」で性能と信頼性を向上させる「次世代」分散アパーチャシステムが、搭載レーダーから得られるデータの大幅な増加に追加されると述べている。このアップグレードはレーダーほど注目されていないが、同じく重要だと考えられる。

 F-35の既存のAN/AAQ-37電気光学分散開口システム(DAS)は、パイロットが機体周囲に取り付けられた赤外線カメラ6台で周辺状況を把握できるだけでなく、赤外線サーチ&トラック(IRST)機能の進化形として、遠距離のステルス敵を熱信号で識別しターゲットにするのも可能だ。F-35が最も高度な敵を前に手強い空対空戦闘機となるのはほぼ間違いない。


電源強化、航続距離拡大、推力増加

(U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Nicolas Myers)

こうした新システムを動かすため、F-35はエンジンのアップグレードが必要だ。このテーマは、GEとF-35の現在のエンジンメーカーであるプラット&ホイットニーのエンジンプロバイダー間の争いに発展している。先週、国防総省はプラット・アンド・ホイットニーとロット17までエンジンを供給し続ける契約をまとめた。これはTR-3の残りの期間にも及び、同社がブロック4の改良型エンジンを供給し続ける最有力候補となりそうだ。

 一方のGEは、次世代戦闘機用に設計された新しいアダプティブサイクルエンジンを提案しており、航続距離、推力、出力が大幅に飛躍するものの、より高いプレミアムが付く。

 プラット&ホイットニーは、既存のF135エンジンの推力を10%向上させ、燃費を5%改善し、航続距離を7%向上させる進化型ECU(Engine Core Upgrade)を提案している。GEは、燃費を25%向上させ、推力を20%向上させ、熱管理を2倍にし、航続距離を35%向上させるXA100アダプティブサイクルエンジンを提案している。

 このアダプティブサイクル・エンジンはF-35に搭載されることになるが、GE提案に従うと、ブロック4の導入に関連するスケジュールとコストが延びる可能性があり、より予算的で控えめな改良のプラット&ホイットニー提案に関係者を向かわせそうだ。


これだけではない…

A list of some F-35 upgrades expected in Block 4.


F-35のブロック4アップグレードは、10年以上の工期で約150億ドルかかると推定されるが、中には、外から見ている私たちが決して知ることのできない、秘密または機密の改良が数多く含まれている。例えば、レーダー誘導ミサイルを混乱させるチャフが、従来型と大きく異なるため、独自の呼称を持つようになったという報告もある。

 ブロック4のF-35アップグレードには、センサーや武器システムなど、他の資産と積極的にネットワーク化し、国防総省が「キル・ウェブ」と呼ぶ効果を作り出す能力の大幅向上も含まれている。F-35のMADL(Multifunction Advanced Datalink)を、NATO戦闘機が使用するリンク16データリンクや、上空の衛星と互換性を持たせるとともに、地域の友軍にライブ映像を直接配信する機能も追加される。

 リストは、意図的に曖昧にされているため、評価するのは難しいが、航空機の能力セットのほぼすべてに何らかの調整、調整、改良が施されてるのは確かだ。改良は非常に広範囲に及び、1機あたり約2500万ドル(平均機体単価の約25%)と言われる。

 しかし、ここまで多額の投資によって、F-35の空対空および空対地戦闘能力は飛躍的に向上し、電子戦とセンサーフュージョンの能力も大幅に向上する。完成すれば、ブロック4のF-35は従来型よりはるかに高性能になり、同機を激しく批判する人々でさえ自分の立場を見直す立場に追いやられそうだ。■


The F-35 is getting a $15 billion upgrade that'll make it a whole new beast - Sandboxx

Alex Hollings | March 8, 2023




Alex Hollings

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University.



2023年3月11日土曜日

AUKUS  オーストラリアの原子力潜水艦取得の道筋(の輪郭)が明らかになった。最初は米国より中古艦を導入か。

 

Image: BAE Systems


AUKUSで原子力潜水艦がオーストラリアにやってくる



今週、オーストラリアがAUKUSで、どのような潜水艦を獲得するつもりなのか、詳細がようやく明らかになった。オーストラリア、英国、米国の多くの人々が、オーストラリアの潜水艦部隊、ひいてはオーストラリア海軍(RAN)の戦力態勢を完全に刷新する計画に満足しているようだ。

 オーストラリアは、2030年代に外国製の原子力潜水艦の導入を開始し、最終的には世界最高水準の攻撃型潜水艦を国内建造する目論見だ。


AUKUS


2021年夏に発表されたAUKUS協定(オーストラリア、英国、米国)は、前例のない規模の技術移転を約束した。数十年かけて、オーストラリアは原子力攻撃型潜水艦本体だけでなく、国内建造する能力も受け取ることになる。

 超長期的には、シドニー、ワシントン、ロンドンを結び、西太平洋での競争力を確保する軍事的・技術的同盟を結ぶことを意図している。

 短期的には、オーストラリアは世界最大級の最新鋭原子力潜水艦を手に入れようと期待している。

 AUKUSでオーストラリアとフランス間の主要な製造協定が中止となり、パリは深刻な外交的困惑に陥った。この出来事は、米仏関係に大きな混乱をもたらす恐れがあったが、ロシアのウクライナ侵攻で生まれた連帯感は、永久的な損害に対する懸念を静めたようだ。


Virginia-class Submarine

US Navy Virginia-class Submarine Under Construction.


原子力潜水艦(SSN)は、太平洋が広大なため、オーストラリアにとって特に有用だ。SSNは遠隔地で長時間活動できるため、台湾付近、韓国付近、インド洋での作戦に貢献する。そのため、オーストラリア海軍の行動範囲は格段に広がり、同盟国の基地から独立して活動する自由も得られる。

 オーストラリア国民には、ヴァージニア級を購入することより、英国の潜水艦を建造または取得することの方が気になるようだ。また、この契約はオーストラリアを米国と密接に結びつけすぎると懸念する人もいる。しかし、オーストラリア軍事力が急速に向上すれば、他の安全保障上の懸念を明らか払拭する。


ヴァージニア級か


ヴァージニア級は非常に高性能な攻撃型潜水艦である。オーストラリアが受領するのは、アメリカの中古艦艇らしいが、現時点では詳細が不明だ。

 ブロックVを受領した場合、水中重量は約1万トン、速力は25ノットを超え、魚雷や巡航ミサイルなど約65の兵器を搭載する。古い艦は性能が落ちる。

 オーストラリアが、米国の造船能力の向上にも投資するだろう。実際、造船所の能力は、中国の造船がより急速に進むことを見越して自国の艦隊を拡大しようとする米国にとって、課題である。

 しかし、クレイグ・フーパーは、オーストラリアに艦を輸出することで、弱体化している米国の潜水艦整備インフラへの圧力を軽減できると主張している。


Astute-class

Astute-class Submarine. Image Credit: BAE Systems.


いずれにせよ、これらの艦艇は、オーストラリアの既存の潜水艦艦隊、すなわちRANが運用と維持に苦労して能力的に困難なコリンズ級を大幅にアップグレードすることになる。コリンズ級はヴァージニア級の3分の1の大きさで、耐久性は2カ月以上、武器搭載数は12個程度に制限されている。

 また、この計画には野心的な人的資源開発戦略も含まれる。原子力潜水艦の整備は通常潜水艦と異なり、オーストラリアはコリンズ艇の乗組員にも苦労してきた。

 どうやら、オーストラリアの最初の艦は、オーストラリア人指揮官のもと二重国籍のオーストラリア=アメリカ両国民の乗組員で運用する可能性がある。このような配置は珍しいが、両大戦におけるオーストラリアには歴史的な前例がある。


次世代型アスチュート級になるのか

 オーストラリア初の国産艦がどのようなものになるかは、それほど明確ではない。

 イギリスはオーストラリアと建設と設計面で提携するが、艦にはアメリカ製部品も含まれるようである。

 豪州の造船能力の向上は、すべてがうまくいったと仮定すれば、AUKUS契約の最も重要な成果の1つとなる。

 英国海軍の攻撃型潜水艦プロジェクト(SSNR)は、垂直発射システムを搭載することで、米国の同系列艦に似た世代の潜水艦を想定している。もし、第2世代のオーストラリア艦が、ヴァージニアで運用中の部品を欠くとしたら、かなり奇妙なことであり、したがって、オーストラリア潜水艦がSSNRに酷似することは十分に推測される。

 2つの異なるクラスの原子力潜水艦を運用することは、豪州にとって挑戦だが、克服できないことはない。これまで原子力潜水艦を建造したほとんどの海軍が、複数の艦種を同時運用した経験がある。オーストラリアは原子力艦を運用する最小の国となるが、決して貧乏な国ではない。2種類の攻撃型潜水艦を運用することは、フランスやイギリスがSSNとSSBNの両方を運用する現状に比べれば、オーストラリアにとって過大な挑戦ではない。


Virginia-Class

Image of Virginia-class Submarine features. Image Credit: Creative Commons.


AUKUSの今後を占う


 すべてうまくいけば、オーストラリアはAUKUSで世界クラスの原子力攻撃型潜水艦部隊を持つことになる。オーストラリア海軍の総合的な能力は、中国、フランス、英国に匹敵するものになる。

 もちろん、オーストラリア海軍が長期的にこれらの艦船を運用・維持しながら、その他の広範な責務を果たすことができるかどうかなど、多くの疑問が残る。

 AUKUS契約は、未定部分が多く、うまくいかない可能性がある。しかし、うまくいけば、オーストラリアは一流の軍事力と素晴らしい産業基盤を獲得し、米国は強力な同盟国の育成に貢献することになる。


AUKUS: How Australia Is Getting Nuclear-Powered Attack Submarines

By

Robert Farley

https://www.19fortyfive.com/2023/03/aukus-how-australia-is-getting-nuclear-powered-attack-submarines/


Author Biography and Expertise 

Dr. Robert Farley has taught security and diplomacy courses at the Patterson School since 2005. He received his BS from the University of Oregon in 1997, and his Ph. D. from the University of Washington in 2004. Dr. Farley is the author of Grounded: The Case for Abolishing the United States Air Force (University Press of Kentucky, 2014), the Battleship Book (Wildside, 2016), Patents for Power: Intellectual Property Law and the Diffusion of Military Technology (University of Chicago, 2020), and most recently Waging War with Gold: National Security and the Finance Domain Across the Ages (Lynne Rienner, 2023). He has contributed extensively to a number of journals and magazines, including the National Interest, the Diplomat: APAC, World Politics Review, and the American Prospect. Dr. Farley is also a founder and senior editor of Lawyers, Guns and Money.




2023年3月10日金曜日

NGAD戦闘機型200機、F-35の300機、高性能ドローン1,000機で次世代戦力を構成すると米空軍トップが明らかにした

 


Northrop Grumman


次世代「戦闘機」200機と300機のF-35、1,000機の高性能ドローンが、将来の米空軍を支えるとの構想が明らかになった



空軍は、高度な自律性を持つ約1,000機の高度なドローンと、200機の次世代ステルス戦闘機を想定した将来の航空戦力計画を策定している。この2種類の航空機で計画の範囲と規模が明らかになったのは今回が初めて。また、F-35の一部が先進的なドローンとペアになることが予想され、構想に関わる乗員・非乗員の比率についての詳細もわかった。

 フランク・ケンドール空軍長官は、コロラド州オーロラで開催された2023年航空宇宙軍協会シンポジウムで基調講演を行い、現在CCAと呼ばれている戦闘機と、将来の第6世代乗員戦闘機に関する空軍の計画について新たな詳細を発表した。ケンドールは、アンドリュー・ハンター空軍次官補(取得・技術・兵站担当)と共に、その後のメディア向けラウンドテーブルで、これらのトピックについて追加のコメントを発表した。The War Zoneは、この2つのイベントに出席した。



右上のF-35 Joint Strike Fighterが、様々な種類の無搭乗機と一緒に飛行する様子を描いたロッキード・マーティン社のコンセプトアート。ロッキード・マーチン


「DAF(空軍省)は、次世代の制空権のためのシステムファミリーを進めている」。とケンドールは演説で述べた。「NGADプラットフォームと、飛躍的な費用対効果を提供するための無搭乗型協働機の導入の両方が含まれる」。

 長官が言及したNGADプラットフォームとは、現在開発中の第6世代ステルス乗員戦闘機だ。将来の乗員型戦闘機とCCAは、空軍の広範なNGAD構想の一部で、構想には、新しい武器、センサー、ネットワーキングと戦闘管理能力、先進ジェットエンジンなどに関する作業も含まれる。

 空軍指導層は、「計画担当部門に、想定する共同戦闘機の名目的な数量を与えた。計画の前提は1,000機のCCAだ」とケンドールは続けた。「この数字は、200機のNGADプラットフォームにそれぞれCCA2機を想定し、300機のF-35でもそれぞれに2機、合計1,000機を想定して導き出された」。

 合計200機のNGAD戦闘機は、空軍のF-22ラプターステルス戦闘機隊の規模にほぼ匹敵する。空軍は2021年にF-22を段階的に縮小する意向を示し、同型機がこの新型戦闘機に取って代わられることを明確に示唆した。また、F-22が後継機の開発サポートに使用されていることも分かっている。


ロッキード・マーティンが2022年に発表した未来のステルス戦闘機の設計図のイメージ図。ロッキード・マーチン


 ケンドールが示した数字は、空軍が、少なくとも当初は、有人戦闘機1機につき2機のCCAを配置する作戦概念を検討していることを示している。

 この数字は「やや恣意的」だが、「私たちは、基本的に妥当な最初のトランシェと妥当な比率と考えられるものを中心に構成する方法としている」と、長官はラウンドテーブルで詳しく説明した。「歩きながら学んでいく」。

 空軍はこれまで、少なくとも当初は、CCAが乗員付き戦闘機と協調動作する期待を明らかにしていた。ケンドールは演説の中で、間もなく登場するNGAD戦闘機とステルス性の高いF-35共用打撃戦闘機にしか言及しなかったのは注目に値する。しかし、CCAや別途開発された先進的なドローンは、旧式の戦闘機やタンカーやエアリフターなどの支援プラットフォーム含む非ステルス型と組み合わせ、能力を大幅に向上させる可能性がある。

 ケンドールは、ラウンドテーブルでCCAとB-21レイダー・ステルス爆撃機とのペアリングのアイデアについて議論した。長官は、空軍がこのようなことを検討した結果、「B-21と同等の航続距離と意味のあるペイロードを持つ機材は、費用対効果が高くないことが判明した」と述べた。「CCAをB-21と結合させる方法があるかもしれないが、そのためにはある程度前進しなければならないだろう」と付け加え、レイダーの膨大な作戦範囲について語った。


空軍が乗員・非乗員チーム編成や自律性などの作業を支援するために数年前から使用しているXQ-58A Valkyrieドローンが、中央のF-35A統合打撃戦闘機とF-22ラプターと一緒に飛行している. USAF



空軍関係者は、CCAの導入が、より広範な部隊構造やインフラの大幅変更を促す可能性があることを、過去に強調していた。しかし、ケンドールは今日、空軍のCCA構想が、有人戦闘機の計画に影響を与えることはないと強調した。

 現在議論されているCCAの基本的な規模を説明すると、1000機のドローンフリートは、空軍のF-22ラプターステルス戦闘機、F-15Eストライクイーグル戦闘機、A-10地上攻撃機を合わせた機体数よりも大きい。また、現在保有しているMQ-9リーパー無人機の数の3倍以上になる。

 CCAはもちろん、限定されたミッションセット、それも一度に1つだけ実行することに重点を置いた能力を期待されている。このため、取得と維持のコストを比較的低く抑えると期待されている。

 「CCAはF-35の数分の一のコストを目指している」とケンドールはラウンドテーブルで語り、予想されるコストについて詳細な説明はしなかった。「CCAプログラムを開始する動機の1つは...手頃な価格だ」。

 ケンドールは続けて、F-35AやF-15EXといった現世代機や、将来のNGAD戦闘機だけ買い続けると、空軍は「手の届かない」状態になり、CCAは「手頃な質量」を提供することになると述べている。また、「(CCAに)多くを求めすぎると、必要なものを得ようとして泥沼にはまる」とし、重要な追加運用上の利点をもたらすため無人機に「金メッキ」する必要はないとも述べている。

 「CCAを考える1つの方法は、有人航空機の主翼下に搭載されている標的ポッド、電子戦ポッド、または武器の遠隔操作バージョンです」とケンドール長官は演説で述べた。「CCAは、乗員航空機の性能を劇的に向上させ、パイロットのリスクを大幅に低減させる」。

 空軍は、少なくとも当初は、CCAと一緒に働く乗員型プラットフォームとの間に高度な「テザリング」を期待していることを示しているようだ。これは、乗員付きプラットフォームと密接に連携して運用されるドローンの、いわゆる「忠実なウイングマン」というこれまでの運用コンセプトと一致している。また、1,000機のドローンフリートが想定しているCCA2機対クルー付きプラットフォーム1機の比率ともマッチする。

 CCAが乗員型プラットフォームのセンサー、電子戦、武器の延長で機能するというケンドール長官の具体的な説明は、空軍がこれまで公開してきたオフボード・センシング・ステーション(OBSS)プログラム構想とよく一致している。


空軍のOBSSプログラムをサポートするために製造と飛行テストが決定したGeneral Atomics社のGambitファミリーのドローンのイメージ図。. GA-ASI



しかし、空軍と、CCAやNGAD構想の他の関連要素についてすでに関与している業界パートナーには、現在の構成を越えて、最終的にはドローンがより自律的に様々なタスクを実行することができる、より協力的な環境への移行が望ましいと指摘している。さらに、空軍が何種類のCCAを取得することに興味があるのか、さまざまな層の要件を満たすため当局が現在どのような目標を見ているのか、長期計画が有人戦闘機部隊の規模と構成にどう影響する可能性があるのかは、不明なままだ。

 空軍は、将来のCCAドローンの要件について、その能力や採用方法などを含め、詰めようとしている。また、このプログラムは、空軍や米軍の他の要素が多くの個別のプロジェクトを通じて実施している、乗員・非乗員のチーム編成、自律性、その他の関連開発に関する作業を活用している。

 メディア向けラウンドテーブルでケンドールは、米国国防高等研究計画局(DARPA)のエアコンバット・エボリューション(ACE)プログラム、およびオーストラリア空軍(RAAF)のためボーイングが開発した先進のステルス性忠実なるウィングマンドローンについて特に強調した。後者は現在、MQ-28ゴーストバットと呼ばれており、空軍はペンタゴンを通じて、このドローンを少なくとも1機、テスト目的で入手している。

 空軍長官はまた、空軍独自のスカイボーグ構想についても言及しました。スカイボーグと関連する自律型航空機実験(AAx)テストキャンペーンは、人工知能(AI)駆動の「コンピューターブレイン」と、さまざまな航空機に高度な自律能力を提供するための関連システムの開発に重点を置いてきた。これらの技術は、現在AAxでテストされている。

空軍がスカイボーグと連携したAAxテストの取り組みで使用している4つの主要プラットフォームを説明するインフォグラフィック。 USAF


「我々は、各プログラムを進めるための資源と、運用、組織、サポートコンセプトの検討、技術的リスクの低減を可能にする関連リスク低減活動を要求している」とケンドールは述べた。

「また、予算内でいくつかのことを行う.部隊での実験と、究極のCCAではない資産を購入するだ」とケンドールはラウンドテーブルで述べた。「これらの資産は)さまざまなことに利用できる。作戦コンセプト開発、技術開発、CCAのオーバーヘッドリスクの軽減、そして訓練方法や組織構造など、さまざまなことを考え始める。ですから、やるべきことはまだたくさんあります」。

 このことを念頭に置くと、より一般的なプログラムに関する追加情報は、来週公開される2024会計年度の空軍予算案に含まれる可能性がある。しかし、ケンドール長官らはこれまで、CCAプログラムの多くが高度に機密化されると述べてきた。

 ケンドール発言で明らかなのは、空軍が将来のCCAとNGAD戦闘機のビジョンを固めるため、質問の多くに答えようと取り組んでいることだ。有人NGADプラットフォームの整備数案が明らかになったことがさらに重要だ。■


200 NGAD Fighters, 1,000 Advanced Drones In USAF's Future Plans


BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED MAR 7, 2023 4:17 PM

THE WAR ZONE


Howard Altman contributed to this report.