2016年4月27日水曜日

★オーストラリア潜水艦建造でフランス案が採択された理由



今回の結果には驚かされましたが国内では、中国の意図が裏にあったのではとの意見(ターンブル首相は中国と近い)、面倒な国外生産にならなくてよかったという安堵の両論が見られますが、選考の仕組みを考えると中国云々を言うのはいかがなものでしょうか。むしろ艦の設計でフランス艦に米系装備を取り入れさらに通常動力化する技術上の課題、国内造船業の救済として国内生産を選択したオーストラリアが予定通りの建造ができるのか、就航したあとの作戦運用が果たしてオーストラリアが想定する広大な海域で円滑に実施できるのかがポイントになるでしょう。日本側は熱意がないと見られていたことがわかりますね。きちんとした選定がされているのがわかりますので負け惜しみはやめましょう。
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French Design Wins Australia’s Next Generation Submarine Competition

By: Mike Yeo
April 26, 2016 9:06 AM

DCNS Shortfin Barracuda Block 1A. DCNS Photo
DCNSのショートフィン・バラクーダ・ブロック1A DCNS Photo

MELBOURNE, AUSTRALIA — フランスのDCNSが注目のオーストラリア総額385億ドル相当のプロジェクトSEA1000新型潜水艦建造計画で受注に成功した。オーストラリア海軍(RAN)のコリンズ級6隻の後継艦となる12隻の建造が始まる。
  1. オーストラリアのマルコム・ターンブル首相はマライズ・ペイン防衛相と並んで発表に臨みフランスのショートフィン・バラクーダ・ブロック1A案がドイツのティッセン・クルップ・マリンシステムズ(TKMS)および三菱重工業が代表の共同事業体を破り採択されたと明らかにした。ペイン国防相は競争評価手順 Competitive Evaluation Process (CEP) に従い厳正かつ規定通りに選考したと述べた。
  2. フランスの支援の下でオーストラリアのASCが南オーストラリア州の造船所で合計12隻を建造する。同社はコリンズ級潜水艦を建造しており、現在は稼働中の各艦の補修契約を受けている。
  3. ターンブル首相は談話で選定チームはDCNS提案がオーストラリアの求める航続距離と航続性で「疑いなく」一番近い内容だと結論を出し、またセンサー性能も優秀でステルス性にも優れ、同時に「価格、日程、実施面、可動期間中の支援および「オーストラリア産業の参画度合」が優秀だったと述べた。
  4. CEPは15か月におよび、新型潜水艦調達事業を率いるグレッグ・サムット少将を主査とし退役米海軍少将スティーブン・ジョンソンが総括役となった。後者はオハイオ級後継艦となる弾道ミサイル潜水艦SSBN(X)も担当している。
  5. 選考過程は中立の立場の専門委員会が監視し、ここに元米海軍長官ドナルド・ウィンター教授が入り、同時にポール・サリバン退役海軍中将およびトーマス・エクレス退役米海軍少将も加わっている。
  6. 入札参加三社にはオーストラリア国内で完全建造、海外で完全建造、海外建造と国内建造の組み合わせの三案をそれぞれ提案するよう求められた。
  7. DCNS案のショートフィン・バラクーダ・ブロック1Aはフランスのバラクーダ原子力攻撃潜水艦を通常動力にしたもので、同社は今年中にも最終設計案でオーストラリア政府の承認をうけたいとするが、実務上の話し合いの行方次第だという。
  8. 新型艦は「全長90メートル超、潜水時排水量4,000トン」とDCNSオーストラリア法人のCEOショーン・コステロは述べた。フランス提案では最新ステルス技術も完全公開するとしている。
  9. オーストラリアは米豪共同開発Mk48 Mod7共用広帯域高性能ソナーシステムCommon Broadband Advanced Sonar System (CBASS)を搭載した魚雷の運用を求めており、戦闘関連のシステムは米国製とし、ジェネラルダイナミクスのAN/BYG-1(コリンズ級で搭載)の発展形の搭載を想定している。
  10. そこでショートフィン・バラクーダ・ブロック1Aが採択されたことで多少のリスクがないわけではない。特に技術面では原子力推進を前提にした艦体に通常動力を搭載することになる。オーストラリア戦略研究所専務理事のペーター・ジェニングスはそれでも「ドイツの新型艦や日本提案にあった大幅な改修」に比べれば大した問題ではないとする。
  11. 今回の結果は日本には特に打撃だろう。安倍晋三首相は日本案に相当の力を入れて、これまでの平和主義から転じて動的な役割を安全保障や防衛面で示す政策の一部ととらえていたからだ。またオーストラリアとの戦略的なつながりを強化して中国の一層の域内拡大を抑えたいねらいもあった。
  12. ロイターによれば中谷元防衛相は今回の選定結果を「大変残念」と述べ、「オーストラリア側へは不採択理由の説明を求めていく」と発言したという。
  13. ただし外部には日本の行政官と民間防衛企業は本国政府の熱意を共有せず、フランスやドイツに比べて営業積極性に欠けていたとの評がある。多分に防衛装備の海外輸出契約の経験がないためだったのだろう。
  14. TKMSからは結果は残念だが、同社としては「誠実かつプロ意識」で行われた選考過程を尊重するとの発言が出ている。■


2016年4月26日火曜日

★楽しみな次世代垂直離着陸機、ベルV-280の機体が姿を見せる



この記事だとベル案の方が優位に見えますが、実は両案それぞれ欠点もあるのでしょうね。米陸軍は大変な決断を迫られそう。でも敗者も民間向けに大きな需要が狙えるかもしれません。ちょっと待ってください、ではオスプレイはあだ花になってしまうのでしょうか。それにしてもSB>1という呼称は落ち着きませんね。
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Rites of Spring: Mating V-280 Wing And Fuselage

By RICHARD WHITTLE on April 21, 2016 at 4:01 AM

V-280 wing mating April 2016 - 1V-280 Valor wing mating at Bell Helicopter Amarillo

ベルヘリコプターのアマリロ工場(テキサス)は春も真っ盛りだ。新しい生命が順調にいけば9月に生まれる。V-280ヴァラー中型ティルトローター輸送機の主翼部とナセルが胴体部分につながれた。ナセルとはV-280のローター二つを支えるポッドのことでローターを離着陸時に方向転換させる部材だ。
「3月にナセルを主翼に接合させました」と語るのはヴィンス・トービン(ベル高性能ティルトローター機およびV-280事業統括副社長)だ。「4月は各部を機体と同色に塗装しました。主翼と胴体の接合の前段取りをしています」 主翼-胴体の接合で配線、油圧系統、複合材表皮をすべてつなげるのは4月末になると米陸軍航空協会の総会(4月28日-30日、アトランタ)にちょうど間に合う形で大きな進展となる。
V-280はV-22オスプレイより小型だがベルがJMR-TD共用多用途技術実証機として参入を目指す重要な機体だ。JMR-TDは陸軍主導で進める国防総省のFVL次世代垂直離着陸輸送機の第一弾となる。FVLは回転翼機の速力上限と関係なく運航できる垂直離着陸機だ。V-280の巡航速度は280ノットと通常のヘリコプターの二倍以上になる。
SB1-Sikorsky-Boeing-JMR artist conceptionArtist’s conception of SB>1 Defiant
ロッキード・マーティンの子会社になったシコルスキーボーイングと組み別のJMR-TDを自社開発X2(2010年に非公式速度記録290マイル時を樹立)を元に製作中だ。シコルスキー=ボーイングチームはSB>1ディファイアントの最終組み立てを今夏に開始する。同機は同軸ローターと推進プロペラの複合ヘリコプターで高速を狙う。ディファイアント、ヴァラーの両機は2017年中にフライトテストを開始する。
各社とも陸軍UH-60ブラックホークはじめ派生型多数が各軍で運用中の機体の後継機種としての採用ををめざしている。ベルV-280ではまず陸軍採用を期待し、その後海兵隊はじめ各軍への導入を期待するとトービンは語る。
陸軍はV-22となった開発事業から1982年開始直後に抜け、オスプレイは海兵隊、空軍特殊部隊が運用中で、海軍と日本自衛隊がここに間もなく加わるが、高コストと仕様内容から陸軍は関心を示していない。だがベルはあえてティルトローターのV-280で陸軍に目を向けさせようとしている。
V-280 Army with tanksArtist’s conception of Army V-280
オスプレイでは翼端のナセルがエンジン、ローターを回転させるが、ヴァラーのエンジンは翼端に水平方向に固定する。V-280は地上に駐機するとローターは上方を向き、艦上の甲板を排気で傷つけたりガス発火を起こさない。V-22ではこれが発生している。エンジンを水平方向に固定したV-280では機体側面にブラックホーク同様のスライドドアが付き、兵員は楽に移動できる。オスプレイは後部ランプ方式で異なる。またオスプレイのハリケーン並みのローター吹きおろし突風はV-280では発生しない。一方、ヴァラーの最大機体重量は38,000 lbs.でオスプレイの52,600 lbs.と差があるが、V-280ではローター径は35フィートとオスプレイの38フィートとほぼ同じだ。大口径ローターで機体重量が軽いことでローター回転面の風圧はオスプレイの三分の二となり、吹きおろし効果も相応に低くなる。
主翼と胴体が接合したことで、トービンは次は尾部構造の接合だとする。ヴァラーではV字型でオスプレイのH字型と異なる。来年の今ごろはエイビオニクス、飛行制御系コンピュータ、ジェネラルエレクトリックT64-GE-419エンジン二基を装着しているだろうとする。「来年4月に地上走行、9月に初飛行となるでしょう」とトービンは述べた。■



北朝鮮がムスダンミサイル発射体制のまま待機中の模様




North Korea puts midrange missile on standby, report says

Associated Press
Published: April 26, 2016
korea defectorAP
脱北者が金正恩の写真に着色水入り風船を投げつけている。ソウルでの抗議集会にて、4月26日撮影。LEE JIN-MAN/AP
SEOUL, South Korea — 北朝鮮が新型中距離ミサイルを即発射できる体制に置いているとの報道が26日出た。
  1. 報道は北朝鮮が潜水艦から弾道ミサイル発射に成功したと発表して二日後にあたり、米韓合同演習はまだ継続中だ。
  2. 韓国の聯合通信によれば北朝鮮が中距離ムスダンミサイルの発射体制に入っている証拠を軍がつかんだと氏名不詳の韓国政府関係者が述べている。
  3. これに対し韓国国防省は情報は把握していないと述べた。韓国政府関係者が北朝鮮の軍事装備の話題を回避することはよくある。軍事極秘情報がからんでいるためだ。
  4. 聯合通信によればムスダンミサイル二発が待機状態にあり、北朝鮮は北東部に配置し、今月初めに一発を発射したという。
  5. 韓米両国の関係者からは4月15日建国の父故金日成の誕生日に北朝鮮がミサイル一発を発射したが、この際のミサイルがムスダンだったか公式に確認されていない。米関係者によれば発射は失敗に終わったという。
  6. ムスダンの射程距離は3,500キロと米軍のアジア内各基地を標的にできる。
  7. 北朝鮮は米韓の毎年恒例の春季演習の際にこれまでも軍事テストを繰り返してきている。北朝鮮は米韓演習を侵攻作戦のリハーサルと受け止めている。今回の演習は今週末終了する。
  8. 韓国大統領は北朝鮮が第五回目の核実験を準備中と発言しており、核実験場で活動が盛んになっているとの報道も出ている。
  9. 五月早々に労働党大会があり、核実験はその前に実施されると見るアナリストは多い。これにより金正恩が権力基盤を強固にし、国内を威圧することができるためだ。■

2016年4月25日月曜日

★F-22生産再開>本当に実施したらどうなるのか 専門家による検討結果



政治家の発想から始まった今回の案件ですが、どこまで真剣な議論なのかわかりません。とりあえず専門家の見地から実施できるのか、実施するとしたらどうなるのかを手短にまとめていますのでご参考に供します。ゲイツ長官がせっかく正しい結論を出していたのにここにきて戦闘機万能主義がまた出てきたのでは航空戦力の正常な進化が数十年後退しませんかね。とはいえ日本、イスラエルが生産に参加できる条件なら検討してみるのもいいかもしれません。
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Want More F-22s? Here’s What That Would Take

APRIL 22, 2016 BY MARCUS WEISGERBER

Lockheed Martin F-22 Raptors line up on a runway in 2006.LOCKHEED MARTIN

ラプター生産ラインは閉鎖から5年近くたっている


米議会がF-22ラプター戦闘機の生産再開の検討を空軍に求めているが、これは小切手を切って照明を再点灯するような簡単な話ではない。

2017年度国防予算認可法案の審議で下院軍事委員会から空軍に194機のラプターを新規製造した際の検討を求めている。実現すれば空軍が算定した必要機数381機に十分となる。同委員会の委員長マック・ソーンべリー議員(共、テキサス)他は世界は2009年から変化したと主張。ロバート・ゲイツ国防長官(当時)がF-22製造を187機で打ち切り、F-35共用打撃戦闘機に比重を移したのがその年だ。ステルスで超音速巡航飛行が可能なラプターは敵となる相手のない制空戦闘機としての地位を数十年は保持すると見られていたがこれは楽観的過ぎると判明した。
「ロシア、中国両国が予想を上回る高速の機体を開発しています」とジェイムズ・ホームズ中将(空軍参謀次長、立案要求部門担当)が上院軍事委員会の公聴会で3月8日に話している。
「増産が有効な回答になるのかわからないが、選挙区の住民会合で支持者からこの件が持ち出された」とソーンベリー議員は国防記者朝食会で述べている。「当時から議会ではあの決断には疑問があり、今回もペンタゴンがどう言うかが関心の的だ。答えは『つじつまが合わない』になるかもしれない。わからないがこの質問は出していく」

答えは想像がつく。言うは易し、だ

資金はどこから確保するのか

まず空軍は予算を見つけなければならない。現時点で予算はない。すでにF-35の調達機数を削り予算削減に対応しているくらいだ。さらに空中給油機、ステルス爆撃機、レーダー搭載機、捜索救難ヘリコプター、ジェット練習機、新型エアフォースワン、ICBM運航用のヘリコプター調達が決まっている。「F-22生産再開となれば他の機材が犠牲になる」と戦略国際研究所でペンタゴン予算を専門に見ているトッド・ハリソンは言う。

ロッキードがF-22最終組み立てラインを閉鎖する2年前、RAND研究所が75機を追加生産した場合の試算で170億ドルが必要とはじき出した。インフレを加味し、194機まで拡大した場合の最終費用は300億ドル近くになるだろう。

「数百億ドル規模で新型機を買うというが空軍は近代化改修が必要な機材が多数あり、正気を疑う話だ」(ハリソン)

一方でペンタゴン予算の上限が2021年まで設定されており、議会と次期大統領がこれを反故にするのなら他の予算費目を削って予算を確保する必要があるということだ。

生産再開の費用を海外販売で外国に負担させるのはどうか。日本、イスラエル、オーストラリアはそれぞれラプター導入の希望を表明していた。だがここには落とし穴がある。同機の海外販売は違法だ。その根拠となる法案を作成したデイヴ・オベイ下院議員(民、オハイオ)で2011年に引退している。だが今回検討を求めている議員連はオベイ修正法案が足かせになるとは見ておらず、空軍には海外需要の評価も同時に求めている。

機体装備の再設計をどうする

次の問題はチャンスになるかもしれない。新型ラプターに新型電子装備を装備することだ。原型の電子装備仕様は陳腐化している。何しろ初飛行が1997年で配備開始が2005年である。空軍は現存する183機のラプターに15億ドルでソフトウェア、ハードウェアの更新の真っ最中だ。

新型電子装備でF-22に新しい息吹を加え、耐用年数を延長することができる。生産を再開するとしても初号機の完成は5年以上先のことで、現時点の標準で作りこめば完成した時点ですでに数年前の技術となってしまう。これとは別に機体内部のハードウェア各部が旧式化しており、新型に切り替える必要もある。

そこでF-22Bの名称で高性能コンピュータ処理能力やレーダーをF-35から流用すればよいとの主張がある。

「F-35の優秀なミッション装備には優秀な機体が必要で、F-22は優れた機体だが優秀なミッション装備が必要だ」とTeal Groupのリチャード・アブラフィアは指摘する。双発のラプターはライトニングIIよりはるかに敏捷性ですぐれている。

F-22Bにはプラット&ホイットニーが開発中の新型B-21ステルス爆撃機用の極秘ジェットエンジンを搭載すれば一気に次世代エンジン技術が利用できるとアブラフィアは言う。

F-22内部の装備でアップグレードは必要だが、機体構造は十分実用に耐えるとアブラフィアは見る。

どこで生産するのか

次にどこで機体や数々の専用部品を製造するかが問題だ。F-22ではロッキード、ボーイング、プラット&ホイットニーの三社が主要契約企業だったが、同時に全米44州で1千社超の企業がF-22の各種部品製造に携わっていたと議会調査部がまとめている。ロッキードによれば全部で25千名相当の雇用が同機から生まれていた。

同機の組み立て場所だったところは別事業で使用中だ。ボーイングのシアトル工場はラプターの主翼部分や機体後部を製作していたが、今は民生用で稼働中だ。プラットもラプター向けにF119エンジンを生産していたが、現在はティンカー空軍基地(オクラホマ)で同エンジンの点検修理を行っているだけだ。

最終機体組み立ては空軍の第六工場内で行っていた。ジョージアのドビンス空軍予備基地内の施設だが、ロッキードは現在はそこでC-130Jを生産し、F-35共用打撃戦闘機の中央主翼部分を製造するほかC-5ギャラクシー貨物機のオーバーホールを行っている。

F-22最終号機が空軍へ納入されたのは2012年初めのことで、すべての治工具類、生産設備は梱包されシエラ陸軍保管施設(カリフォーニア)へ送られた。

仮に生産用のスペースが見つかり、治工具類を再度可動開始させても、F-22製造に必要な技術技能を新規作業員に体得させるのは並大抵ではない。ロッキードは生産終了前に可能な限りの知識情報を集めており、「F-22組み立て工程はそれぞれ録画、写真撮影、記録し保管してある」と同社は2012年に発表していた。

だがハリソンはそれは一部にすぎないとする。「映像は助けになるが、技能習得の効率はそれだけでは高くならない。結局、新規採用の各自が一から学ぶことになるのではないか」

すべてを勘案すると空軍が生産再開を提言する検討結果を出し、資金のめどがついて、設計に手を入れて、サプライチェーンが再建され、生産用のスペースを確保し、新規の作業者が訓練を受けて初めてラプター新型が実現するが、その完成は2020年より先のことだ。

「10年近く閉鎖したままの状態を再起動するわけですから」とハリソンは言う。

だが安全保障を真剣に考えれば、時間と労力をかける価値があると見る向きもあろう。F-22を巡りゲイツ長官と対立した当時の空軍参謀総長T・マイケル・モズレーは今でも空軍はもっと多くのラプターが必要だと信じている。「生産再開は絶対必要だ。これで空軍戦力は新しく向上できる」という。■


本稿の執筆者マーカス・ワイスガーバーは Defense One のビジネス記事編集者で、ビジネスと国家安全保障の接点が専門。国防、安全保障関連の記事を多数執筆しており、Defense Newsでペンタゴン特派員を務めたこともある。



INSアリハント>インド初の弾道ミサイル原潜の就役が近づく 


India’s First Boomer Leaves On Acceptance Trials

April 20, 2016 11:56 AM

INS Arihant in December 2014. Indian Navy Photo
INS Arihant in December 2014. Indian Navy Photo

インド初の国産弾道ミサイル原子力潜水艦が今春就役すると現地報道が伝えている。

  1. The Times of India はINSアリハントがインド南東部のヴィシャーカパトナムを出港し一週間の海上公試に向かったと報じている。
  2. 同艦は深度潜航試験に合格しており、今回の引渡し前公試の後海軍へ編入すると東部海軍司令官H.C.S. ビシト中将が報道陣に語った。
  3. 排水量6,000トンの同艦は射程450マイルから1,200マイルのK-15サガリカ潜水艦発射ミサイル12発、あるいは射程2,200マイルのK-4中距離潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)4発を搭載する。インド海軍は同型潜水艦を3隻ないし6隻導入し戦略抑止力を整備する。アリハントは三月にK-4ミサイル(弾頭なし)数発の試射に成功している。
  4. 潜水艦本体とSLBMの公試の成功は国内造船産業にとって大きな成果とエリック・ワーサイム(海軍専門家、米海軍協会編世界の戦闘艦艇の著者)はUSNI Newsに語っている。「潜水艦の設計と開発は常にもっとも難易度が高い事業で、原子力推進で各装備の潜水艦となると特に政府、造船業の双方には敷居が高い」
  5. アリハントに加え、インドは合計45隻の海軍艦艇を建造中で初の国産空母INSヴィクラントもその一隻。■

★北朝鮮のSLBM発射実験は失敗ではなかった可能性



N. Korea: Sub-launched missile expands nuclear strike capability

Stars and Stripes
Published: April 24, 2016

SEOUL, South Korea — 北朝鮮が4月23日土曜日、弾道ミサイル一発の潜水艦発射に成功し、核攻撃能力整備で大きな一歩をしるしたと発表した。
  1. 北朝鮮が初のSLBM発射に成功したとすれば、憂慮すべき出来事である。潜水艦発射ミサイルは探知が難しく迎撃が困難だからだ。
  2. 報道はテストの日付を伝えていないが、米韓関係者は土曜日に北朝鮮東海岸での発射を探知し、韓国統合参謀本部はミサイルは20マイルしか飛翔していないと発表があり、成功の尺度たる190マイルには達しなかった。米戦略軍は北朝鮮ミサイルの発射を同日探知したが、「北米への脅威ではない」と強調している。
  3. 韓国軍は警戒態勢を高めており、北朝鮮が五回目の核実験を実施するとみている。米国、韓国、日本は制裁措置の強化で合意しており、北朝鮮が挑発をさらに行えば過去20年で最大規模の制裁を受ける。
  4. 国務省報道官ジョン・カービーは今回のミサイル発射は国連安全保障理事会決議の「あからさまな違反」だと論評。「北朝鮮には不安定な状況を作らないよう自制を求める」と声明を発表した。
  5. 今回の対応措置として米国は国連行事でニューヨーク滞在中の北朝鮮外相リ・スンヨンの米国内移動を制限するとAP通信が伝えている。
  6. 韓国政府はミサイル発射を強く非難し、「あからさまな挑発行為であり、相応の対応をする」と聯合通信が伝えている。報道では韓国政府は各国と協議を開始し、国連安全保障理事会の前に本件を取り上げるとしている。
  7. アナリストの多くが金正恩は核実験に間もなく踏み切り、来月の朝鮮労働党大会に向け権力基盤強化に利用すると予測する。党大会はこの30年開かれていない。
  8. 北朝鮮の国営朝鮮中央通信KCNAによれば金はミサイル発射を視察し、その後北朝鮮は「強力な核攻撃手段を複数手に入れた」と宣言し、今回のテストで「朝鮮独自の水中ミサイル発射システムの信頼度を完全に確認でき、技術要求水準を完璧に満たしている」とし、北朝鮮軍は「南朝鮮のかいらい軍および米帝国主義者の背中をいつでも刺すことができる」という。
  9. 米関係者は今回の発射テストは潜水艦発射の信頼度を示すものと述べた。潜水艦発射に成功したとの発表が昨年もあったが、写真から水中発射台からの発射と判明している。今回の公表映像ではミサイルが潜水艦の発射管から飛び出している状況が写っている。
  10. 北朝鮮外相は土曜日のAP取材で核実験を中止する用意はあるが、米国が毎年実施している韓国との軍事演習を中止した場合に限ると述べている。また北朝鮮は国際制裁に屈しないとも発言している。
  11. 北朝鮮は米韓軍事演習は北侵攻の予行演習と受け止め、同様の提案を過去にも行っているが、米政府は北に交渉の前に核兵器開発を断念するよう求めている。
  12. 北朝鮮がミサイル発射数回に踏み切り、四回目の核実験を1月6日に強行した後戦時のような発言を繰り返して緊張が高まっており、その後長距離ロケット発射もしたことが国連制裁の追加につながった。
  13. その後、北朝鮮は米大陸部まで到達可能な核ミサイル開発で進展したとし、核弾頭の小型化、大気圏再突入の際に核弾頭を保護する技術も確立したとも発表している。
  14. また固形燃料式のロケットエンジンのテストに成功し、移動発射台からのミサイル発射で液体燃料式よりも迅速に発射できると発表した。土曜日のミサイルは固形燃料式と述べている。■


2016年4月24日日曜日

南シナ海>フィリピン分遣隊のA-10がパトロール飛行をクラーク基地から開始


中国が始めた強硬策が遂にフィリピンへの米軍プレゼンスを20有余年ぶりに復活させてしまいました。これを中国がどう受け止めるのか。南シナ海では相変わらず中国が基地建設など進めていますが、これからどう事態を収拾するのかちゃんと考えているのでしょうか。数週間単位のローテーション配備ということですが在韓米軍や在日米軍の機材も対象となり、微妙なバランス変化につながりませんかね。
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PACAF A-10s, HH-60s fly first air contingent missions in Philippines

By Staff Sgt. Benjamin Stratton, Pacific Air Forces Public Affairs / Published April 22, 2016

An A-10C Thunderbolt II with the 51st Fighter Wing at Osan Air Base, South Korea, takes off from Clark Air Base, Philippines, April 19, 2016. The A-10Cs flew as part of a newly stood up air contingent in the Indo-Asia-Pacific region. The air contingent will promote interoperability and provide greater and more transparent air and maritime situational awareness to ensure safety for military and civilian activities in international waters and airspace. (U.S. Air Force photo/Staff Sgt. Benjamin W. Stratton)
韓国烏山基地駐留の第51戦闘航空団所属 A-10CサンダーボルトII がフィリピンのクラーク基地から離陸している。April 19, 2016. (U.S. Air Force photo/Staff Sgt. Benjamin W. Stratton)

A HH-60G Pave Hawk with the 33rd Rescue Squadron at Kadena Air Base, Japan, takes off from Clark Air Base, Philippines, April 19, 2016. The HH-60Gs flew in support of a newly stood up U.S. Pacific Command air contingent in the Indo-Asia-Pacific region. The air contingent will promote interoperability and provide greater and more transparent air and maritime situational awareness to ensure safety for military and civilian activities in international waters and airspace. This first deployment is conducting operations from Clark AB and consists of five A-10C Thunderbolt IIs, three HH-60G Pave Hawks and approximately 200 personnel deployed from multiple Pacific Air Forces units. (U.S. Air Force photo/Staff Sgt. Benjamin W. Stratton)

HH-60Gぺイヴホーク(第三十三救難飛行隊、嘉手納基地所属)がクラーク航空基地から離陸中。 April 19, 2016. (U.S. Air Force photo/Staff Sgt. Benjamin W. Stratton)

CLARK AIR BASE, Philippines (AFNS) --
PACOM米太平洋軍隷下の航空分遣隊がクラーク航空基地から4月19日運用を開始し、A-10Cサンダーボルト4機とHH-60Gべイヴホーク2機が同基地を離陸した。

各機は新設の分遣隊に所属し、空海領土の保全、人員救助、海賊対策、国際法に準拠した空路航路の自由航行の保証など各種任務にあたる。

A-10編隊とHH-60各機はフィリピン西方のスカーボロ環礁付近の国際空域を飛行し、海空でのパトロールを行った。この任務で国際水域空域での通行の安全と透明性を確保するのが目的であり、米国が同盟国協力国に引き続きインドアジア太平洋地区で安定性の確保に尽力していくことを示すものだ。

「当部隊の役割は海上、空中で国際法に準拠して開かれた環境を維持することです。国際経済上でも極めて重要で自由貿易は自由に物資を移動することに依存していますからね」とラリー・カード大佐(航空分遣隊隊長)は語っている。「今や一国だけで経済活動を全うできる国はありませんから」

A-10のミッションは同地域の上空飛行により航行の自由を保障する米軍の一部となることだ。

任務の成功には米比両軍の密接な協力関係が条件だ。両国の空軍地上軍は密接なつながりを軍事演習を通じて強めてきた。

「フィリピン軍との共同作戦体制が基礎です。航空分遣隊はこれまでの基礎の上に改めて米国のインドアジア太平洋地区での役割を再確認する意義があります」(カード大佐)

カード大佐はこのために必要となるのは機材投入だけでないという。

「空軍隊員がなんといっても最上位の存在です。今回の分遣隊隊員とは先月から一緒に活動しており優秀さは折り紙付きです。次の段階に進む際にも十分期待できる能力を示してくれています」

今回の初回派遣に参加中の人員はすべて太平洋空軍部隊の各基地から選抜された搭乗員、整備要員、補給支援要員だ。

「空軍隊員の能力、ミッションを迅速に理解する力、不慣れな環境でもすぐにやる気を出してミッションを最高に実行してくれることに誇りを感じます。各隊員は本当に優秀な中でもさらに優秀です」

PACOMは今回の第一回派遣は今後数週間継続する予定だ。次回の分遣隊では各種機材と人員を空軍あるいは他軍部隊から選抜し派遣する。■

台湾>防空体制の見直しで戦闘機中心の装備整備はどうなる


台湾が自由と主権を守るために防衛力を整備するのは当然として、大陸との軍事力の差が開いている事実を前にいろいろ知恵を出佐是ルを得なくなっています。以下はランド研究所が刊行した分析の要約のようですが、ここでも戦闘機第一のこれまでの空軍の価値観が大きく揺さぶられることになりますね。ミサイル防衛の対象が防衛軍の装備、運用基地であることが改めて理解できます。
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Taiwan Forced To Rethink Its Air Defense Strategy

Michael J. Lostumbo, Special to Defense News 4:23 p.m. EDT April 13, 2016
TAIWAN-CHINA-MILITARY-DRILL(Photo: Sam Yeh/AFP/Getty Images)
台湾の防衛当局が難題に直面している。中国への抑止効果を上げるべく軍事力近代化でこの25年間巨額の予算を投入してきたが、空の優越性だけでは十分ではなく陸上、海上での軍事作戦も準備しなければならない。
  1. このため中国の人民解放軍(PLA)が航空優勢を確立できなくするのが重要課題だ。中国は台湾の戦闘機を制圧戦術を確立しており、台湾にとって戦闘機部隊は国防予算で効果の低い支出項目になった。
  2. そこで台湾は戦闘機のみに依存する防空体制を見直すべきだ。地対空ミサイル(SAMs)こそが高い防空効果を発揮できる装備であり、支出効果も高い。
  3. 中国により台湾戦闘機には三方向で脅威が高まっている。まず地上は脆弱で機数でもかなわない。また空中でも大きく劣勢だ。中国はミサイルを整備し台湾基地を正確に狙い、滑走路の脆弱性が特に危惧される。
  4. 山岳地帯に機材を避難させても、山岳地帯からでは作戦の継続支援は困難だろう。高速道路を滑走路にする構想もあるが、問題解決策としては不十分だ。PLAは台湾機の一挙一動を追跡探知する能力があり、着陸地点が判明すれば即座に攻撃してくるだろう。
  5. 台湾戦闘機は地上で標的になるだけでなく、空中でも劣勢だ。中国が数量ともに優勢な機材を配備する一方台湾機は1990年代に第一線配備された機材だ。F-16でレーダー換装など近代化改修がすすむが完成してもPLAの機材以上の性能にならない。
  6. PLAが大規模攻撃を仕掛けた場合に台湾空軍の戦闘機が主導権を握ることは期待できない。PLAは簡単に制空権を得るだろう。1991年の湾岸戦争では米国は精密空爆を繰り返した場合に地上兵力の残存はほぼ絶望的だとイラクを相手に実証している。台湾の場合はPLAの航空優勢に対抗できないことが波及効果を生み、台湾軍は防衛作戦を有効に実施できなくなる。台湾が必要とするのは分散型防空体制で防衛効果を上げることだ。
  7. PLAの軍事力により台湾は防空体制を再構築する必要が生まれている。台湾空軍の戦闘機およそ300機は今後の防衛予算で相当の比重となるが、前述のように戦闘機に対する脅威は現実のもので、戦闘機はもはや台湾の防空体制の主役ではない。
  8. 中国の攻撃を抑止できる防空体制の整備が台湾の課題だ。SAMsは完璧な解決策ではないが、戦闘機より残存性は高くPLAへの対抗で有効だろう。SAMsを効果的に使用する場合は、固定目標を防御するよりも敵に攻撃の代償を払わせることだ。もっと効果があるのはSAMsで台湾軍をPLA航空攻撃から守ることだ。台湾部隊の損失を減らしつつ防衛効果を引き上げられる。
  9. 今後も台湾は相当の予算を防空能力整備に使い、その効果を期待する。SAMsは投資効果を最大にするので、台湾は防空には戦闘機ではなくSAMsを中心とすべきだろう。

本稿の執筆者マイケル・J・ロスタンボはRand Corp.で国際政策分野の上級研究員。


2016年4月23日土曜日

★米空軍>無人機の増加で内部価値観の変革を求められる 組織を動かすのはやはり人員の質だ



米空軍で発生している事態は自衛隊でもいつか起こるのでしょうか。米空軍ほど無人機が今のところ日本では活用されていませんし、無人機操縦パイロットが生まれてもいないわけですが、これまで戦闘機パイロットを頂点にした価値観が米空軍では崩れかけているのに、待遇条件など一気に無人機用人員を重用できず、やはり有人機パイロットを慮る苦しい対応が米空軍で続いているようですが、早晩限界が来るのではないでしょうか。組織、構成員、ヒト-マシンの関係など目が離せない話題です
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Aviation Week & Space Technology

USAF Wrestles With Remotely Piloted Aircraft Workforce Issues

Who will pilot unmanned aircraft is becoming an issue
Apr 14, 2016 Caitlin Lee | Aviation Week & Space Technology

2012年のこと、米空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将はアフガニスタンから帰還したMQ-1プレデターとMQ-9リーパーの処遇で悩んだ。「各機をどう運用したものか。追加調達をここでするのは賢い選択ではない」と記者団にこぼしていた。
  1. 一気に2016年になり空軍は今もウェルシュ大将がトップだが遠隔操縦航空機(RPA)が拡大中の中、プレデターが初めて導入された1990年代から続く隊員の士気問題に取り組んでいる最中だ。
  2. 導入当初はゲリラ戦対応というすきま任務用と受け止めていた無人機がイスラム国の台頭やロシアの再登場であらたな意義を見いだされオバマ政権は秘密裡に攻撃を実施しつつ乗員の生命を危険にさらさない無人機が持つ政治的優位性をフルに活用している。パキスタンのような場所で。
  3. 無人機への需要は限りなく増えており、空軍もRPA部隊の長期整備計画を策定する必要を認めるに至った。実は空軍は無人機操縦要員を大量に失っており、補充が追いついていない。年間250名が去り、150名が訓練を修了している。この不足で飛行要員には大きな負担が加わっている。RPAパイロットは6日間操縦、操縦以外の業務を一日こなし、2日間休息をとっている。
  4. 「戦闘指揮官はみんな君たちを頼りにしている」とウェルシュ大将は3月にクリーチ空軍基地(ネヴァダ州)を訪ねRPA要員に話しかけた。「同時に現在の過剰要求を理解してもらいたい」
  5. 乗員の負担軽減策として無人機による戦闘空中哨戒CPA回数を70回にする。だが対策の中心はRPAパイロットを2019年までに400名超に増やすことだ。問題は無人機教官パイロットが不足気味なことで第一線から引き抜きが難しい。ペンタゴンはこのためCPA回数を60回に2015年引き下げ、余裕を作ったが、新案ではホローマン空軍基地での訓練体制を強化して逆にCPA増加に対応させる。
  6. 新対策では無人機運用を企業委託するという物議をかもす提案もあり、民間人を戦闘に参画させれば法的な問題に加え道義的問題も発生しそうだ。2015年12月には下士官によるRQ-4グローバルホークの操縦を2016年ないし2017年早々に認めるとの空軍発表があり、プレデターやリーパーにも同様の措置が広がるとの観測が生まれている。
  7. もう一つが航空手当の増額でRPAパイロットを引き留める策だ。3月には上院公聴会でジョン・マケイン議員(共、アリゾナ)から空軍が議会が承認済みの無人機パイロット残留時の支給金一回35千ドルを支給しておらず、逆に報奨手当の上限を25千ドルにしていると苦言が出ている。空軍はこれは有人機パイロットと釣り合いを取るためと説明し、ウェルシュ大将は法務部と相談の上今年中に有人機、無人機共通の奨励金として年35千ドル支給を認める規程を作成すると答えていた。
  8. さらに空軍は価値観および手順改善事業Culture and Process Improvement Program (CPIP) を2015年に立ち上げ、RPA部門の発展を妨げている組織内要因の解決に取り組んでいる。無人機では士気の低さが大きな問題となっており、RPA関係者の多くが有人機パイロット出身で自発的に無人機操縦任務についているわけではない。RPAパイロット、センサー操作員114名への調査で空軍内で「二級市民」と見られていると判明した。
  9. CPIPはRPAパイロットの士気向上を求めている。2千名と面談し、1千件の回答を得た結果だ。調査結果を見てウェルシュ大将は12月に議会が承認次第、30億ドルを投じて、RPA乗員の過労状態に対応すると発表。
  10. 提案ではリーパーは現行の175機、プレデター150機あにリーパー75機を追加し、人員では3,500名をパイロット、センサー操作員他下士官含め新規養成する。無人機運用飛行隊も増設し、航空団も一つ追加する。
  11. ただしこの空軍構想で無人機部隊が増強されてもRPA需要が高いままで、その場しのぎの対策にならないか。ディヴィッド・デプチュラは空軍情報部門を2006年から2010年にかけて率いたRPA推進派の重鎮だが、空軍案は「妥当な内容」にしかすぎないといい、「断言するには時期尚早だが意味のある変革につながるか」と言う。■


2016年4月22日金曜日

★F-22生産再開を求める動きにフォーブス議員の選挙戦事情があった



なんだそういうことだったのか。F-22生産再開の主張の中心がフォーブス議員だと分かりましたが、選挙が二年ごとにあり全員改選されるのが下院議員ですから当選されなければ意味がなくなります。F-22再開で国防力整備をうたっておきながら、ちゃっかり再選を狙っているわけですね。ただこの議論でF-35とF-22の違いがあらためて理解されれば効能が生まれるわけですが。ハイローミックスができるのは米国だけですから、日本含む各国は既存の戦闘機を今後も稼働させてなんとかバランスをとらなければなりません。この話題は今後急速に失速しそうですね。
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Facing Election Fight, Forbes Pushes F-22 Revival

Lara Seligman, Defense News 5:24 p.m. EDT April 21, 2016

1st Fighter Wing hosts coalition aerial exercise(Photo: Senior Airman Kayla Newman/Air Force)
WASHINGTON — ロッキード・マーティンF-22ステルス戦闘機の生産再開推進の前面に立つランディ・フォーブス下院議員だが選挙区変更で厳しい選挙戦に直面している。生産再開の可能性もまずない。
  1. ヴァージニア州選出のベテラン共和党議員フォーブスは国防法案で空軍にF-22生産再開を求める動きで先鋒となっている。同議員は下院軍事委員会の戦術航空機陸上兵力小委員会に籍を置かないが、小委員会はフォーブスの文言を盛り込んだ法案を今週公表した。
  1. ロッキード・マーティンがF-22生産を終了したのは2011年で、当時の国防長官ロバート・ゲイツの決定で187機生産にとどまった。原案は749機調達だった。だが米軍が技術優位性をロシアや中国に対し失いつつある中、フォーブス議員は空軍へ将来の航空優勢をどう確保するのか「総合的に検討」するよう求めている。
  2. 「航空優勢ではF-22の話題は避けられない。同機は世界最高の戦闘航空機だからだ」とフォーブス議員は Defense News 独占インタビューで21日に述べている。「世界最高の機体だからこそ生産再開した場合の費用を検討する意味がある」
  3. フォーブスがF-22生産再開を強く推す背景には自らの選挙区ヴァージニア州第二区で再選が楽でない事情がある。同選挙区には第一戦闘航空団を擁するラングレー空軍基地があり、F-22の三分の一の機体が本拠地としている。
  4. フォーブス議員はヴァージニア州第四区で2001年以来再選されてきたが、今年の改革で同選挙区はこれまでの共和党指定席から民主党有利に変わった。今年初めにフォーブス議員は第二区へ鞍替えを発表したが、共和党で三番手となっている。現在同区からはスコット・リゲル(共)が選出されているが、リゲルは四選を断念しフォーブス支持に回ると表明している。同じ共和党では州議会議員スコット・テイラーと弁護士パット・カードウェルが第二区で出馬を表明しており、指名を狙う。
  5. フォーブス議員がF-22復活を提唱するのは今回が初めてだ。本人は下院軍事委員会のシーパワーおよび兵力投射小委員会の委員長で海軍、海兵隊、艦船建造と空軍の長距離爆撃機案件を担当している。ただしフォーブス議員はF-22生産ラインの閉鎖に当初から疑問視していたと述べる。
  6. 「記録を見てもらえれば、生産中止と決めた段階から当方が疑問を呈していたとわかるはずだ。その時点でも今と同じ質問をしており、昨日、今日ではなく、一貫している」(フォーブス)
  7. 厳しい予算環境の中でF-22生産再開の可能性が少ないのも事実だ。空軍関係者は実施したら支出規模は膨大になるとみる。2010年時点のRAND研究所による空軍委託調査では75機追加した場合は170億ドル、ただし2008年ドル価値で、としていた。
  8. だが戦場にいる男女を防護するのに価格が高すぎるということはないとフォーブス議員は力を入れる。
  9. 「数字の問題ではない。必要な装備を与えないで無事帰国させられなくなっていいのか。下院軍事委員会の面々は軍の男女が博物館もの装備でフライトしている現状にも、訓練も本来の半分しか与えられていないことにもあきあきしている」
  10. 「祖父の時代の機体で若者を戦闘に送り出したくない。だからこの国を守るために十分な装備が今必要なのだ」
  11. 現在の空軍にF-22ラインを再開する予定はないが、ペンタゴンはF-35を2,443機調達し、各軍で旧式ジェット機と交代させる。しかし、フォーブス議員は二機種は全く違う役割でF-22は空対空戦では「無敵」の存在だが、F-35はもともと空対地戦用だとする。
  12. 「F-22とF-35の組み合わせはどうあるべきか考えており、今回求める検討で答えが出ることを期待したい」
  13. フォーブス議員はF-22生産終了の決定が出た時点で全体生産機数を187機とする根拠はなかったと述べている。「幹部など多くの部署で、あれはペンタゴンでこの20年間最悪の決定というだろう」■