2016年2月12日金曜日

★B-2の現況と進行中の性能改修策について



記事元サイトは航空宇宙専門ではなくスポーツ好きの男性用に軍事関連記事を掲載しているところのようですね。それでもこれだけの情報量があるのは感服ものでそれだけ米国民の国防関連情報のレベルが高いことを意味するのでしょうか。

 Special: Inside the Stealthy B-2 Bomber

KRIS OSBORN
Yesterday at 7:07 AM
B-2スピリット・ステルス爆撃機は2050年代まで運用すると空軍関係者は述べている。
「この機を操縦するのが夢でした。本当にスムーズです」とケント・ミケルソン少佐(第394戦闘訓練飛行隊、作戦部長)は本誌取材にこう答えている。

  1. B-2内部を取材する貴重な機会でミケルソン少佐は同機が1980年代に製造されたことを考慮しても現在でも高性能機のままだと述べた。ミケルソンはB-2でパイロット経験も豊富で2011年にはリビア空爆に参加している。
  2. 「2016年の現時点でも製造直後と同じ任務を遂行できるのは技術チームが優秀だった証拠です。近代化にも期待していますが、B-2で対応できないミッションはありません。まさに驚異的な技術の産物です」
  3. B-2のエイビオニクス、レーダー、通信装置は敵標的を高高度で遠隔地から識別し破壊する目的で搭載されている。「デジタル航空機といった趣で、一般にはグラスコックピットといわれるものを搭載しています」(ミケルソン)
  4. そのグラスコックピットには各種デジタル表示があり、そのひとつが合成開口レーダー(SAR)の情報で、機体下の地表の様子を示す。「SARで地表の様子が克明に表示され、パイロットは目標捕捉に使います」とミケルソンは説明してくれた。

  1. 「B-2は技術の点でB-52やB-1といった旧型機から大きく進んでいます。最高の技術を乗員に提供してくれます」(ミケルソン)
  2. 空軍は現在20機のB-2を運用中だが機材のほとんどはホワイトマン空軍基地(ミズーリ州)に配備している。高度50,000フィートまで到達し、40千ポンドのペイロードには通常弾頭に加え核兵器も運用可能だ。
  3. 運用開始は1980年代でイラク、リビア、アフガニスタンで実戦投入されている。空中給油なしで6千カイリの飛行が可能で、ミズーリからディエゴ・ガルシア島まで一気に移動し、そこからアフガニスタンに飛んだ。
  4. 「ホワイトマンを離陸しディエゴガルシア着陸はB-2でも最長の戦闘飛行となりました。アフガニスタン、イラク、リビアで効果的な任務を実施しています」
  5. B-2は二名運用の前提で射出座席も二名分しかない。乗員は一回40時間におよぶミッションの過酷さに耐える訓練を受けている。
  6. B-2乗員には「長時間用セット」を使う。折り畳み式寝台ほか長距離飛行の必需品がひとまとめになっているという。

B-2のミッション
  1. 冷戦が頂点時に設計されただけあり、B-2は探知されずにソ連防空網を潜り抜け攻撃する前提だった。このステルス技術は高周波「交戦」レーダーの探知を逃れ、同時に低周波の「監視」レーダーでも発見されないと業界専門家は解説する。
  2. B-2の役目は敵国領空で探知されることなく敵レーダーや防空網を破壊して「門を破り」友軍機にレーダーが無効な「回廊」を作り攻撃させることだ。
  3. ただし敵レーダーも大幅に性能向上しており、新型ではステルス機探知も可能になり、ネットワーク機能で高速コンピュータ処理の恩恵を受け、多数の周波数を駆使して長距離からの探知できるように進歩してきた。
  4. そこで米空軍はB-2を開発中の長距離打撃爆撃機(LRS-B)と一緒に2050年代まで運用するべくB-2の近代化改修を順次近代化改修中で、今後も有効性を維持するとミケルソンは説明してくれた。
  5. 改修の中心は防御管理システムと呼称される技術でB-2乗員に敵防空網の位置を教えるものだ。それによりB-2を探知できる敵防空体制の有効範囲外にとどまることができる。このシステムが利用可能になるのは2020年代中頃とミケルソンは説明。
  6. また通信手段はEHF極高周波衛星に切り替えている。通信能力の向上で乗員は大統領の攻撃命令を本土が核攻撃を受けても確実に受信できるようになる。
  7. 「これで有事の際は核攻撃、通常攻撃いずれでも通信が安全になります。利用可能な帯域が大幅に増えますので、データフロー速度が速くなります。この改良を心待ちにしています」(ミケルソン)
  8. 現在は広く使われているLINK-16とUHF、VHFのデータリンクを利用している。ミケルソンによればB-2は地上指揮命令所と交信可能で、同時にその他有人・無人機からの情報も受信できるという。
  9. ただし無人機の送る情報は今のところ地上指揮命令施設経由で受信する可能性が高い。つまり、付近を飛行する無人機の画像をリアルタイムで見られるようになる。
  10. また飛行制御処理プロセッサーも新型に交換し、機内の各コンピュータの能力をアップし新ソフトウェアを追加できるようにする。
  11. 現在は通常のケーブルだが、光ファイバーに更新する。これで機内の80年代では最新鋭だったコンピュータがデータ処理能力で限界に来ているのを回避できる。
  12. プロセッサー交換でエイビオニクスや機内コンピュータの性能は約1,000倍に引き上げられるという。交換作業は2016年中に完了し、費用は542百万ドルだ。

兵装の能力向上策
  1. また改装では次世代デジタル核兵器としてB-61 Mod12や長距離スタンドオフ兵器(LRSO)の空中発射式誘導核弾頭巡航ミサイルの運用も可能になるという。
  2. このうちB-61 Mod 12はB-61各型をまとめ誘導用の尾翼を追加するものだ。慣性航法システムを内蔵する。
  3. このほかB-61 Mod 11核兵器の搭載も実現するだろう。これは貫通効果を狙ったものだと空軍は説明。LRSOは今はB-52だけに搭載されている現行のALCM(空中発射式巡航ミサイル)に代わるものだ。
  4. 通常兵器の搭載では種類は幅広く、精密誘導式2,000ポンドの共用直接攻撃弾(JDAMs),
  5. 5,000ポンドのJDAMs、共用スタンドオフ兵器、共用空対地スタンドオフミサイルやGBU 28(5,000ポンドのバンカーバスター爆弾)などを選択可能だ。
  6. また長距離通常弾頭空対地スタンドオフ兵器(JASSM-EM 共用空対地スタンドオフミサイル拡大射程版)も運用の検討中だ。
  7. また開発中の30,000ポンドの大型貫通爆弾も一発搭載できる。「これはGBU-28にステロイド駐車したみたいなやつで地下深くの標的を破壊できます」とミケルソンは説明してくれた。■


アジア最大規模のシンガポール航空ショーは2月16日より開催


Asia's Biggest Air Show Set To Open in Singapore

By Wendell Minnick2:57 p.m. EST February 9, 2016
TAIPEI — アジア最大の航空ショーが2月16日からシンガポールのチャンギ展示場で開催される。商用機、軍用機の双方でアジア、北米、ヨーロッパの最新鋭機が展示される。
  1. ロッキード・マーティンはF-35ステルス戦闘機とF-16中途改修機(MLU)を出展する。韓国、台湾、シンガポールがMLUを発注しており、ノースロップ・グラマンのSABR(拡張可能機動ビームレーダー)を搭載する。SABRはアクティブ電子式スキャンアレイレーダーの一種だ。
  2. アグスタウェストランドーフィンメカニカは電動ティルトローター技術の実証機プロジェクトゼロを展示する。最初に2013年パリ航空ショーで公開されている。
  3. Defense Newsはショー事務局に頭角を現してきたソウルADEX、エアショーチャイナ(珠海)との違いを聞いてみた。事務局はシンガポールは依然としてアジア最大規模であり、世界有数の航空宇宙、防衛装備の展示会であると主張。2018年までに防衛予算はアジア太平洋全体で19パーセント伸び、6.120億ドル規模になると関係者は述べた。
  4. 「アジア太平洋諸国では急成長を背景に国家予算を装備調達と研究開発に重点的に配分しており、この地域は防衛装備品の主要市場になっただけでなく国防技術の革新や実用化で中心的な場所になっている」
  5. シンガポールショーの特徴として東西の軍用機が多く出展されることがあり、F-22ラプター、F-16、F-15、V-22、C-17グローブマスターIII、AH-64D攻撃ヘリ、韓国のブラックイーグルス所属のT-50B、ダッソー・ラファール戦闘機、マレーシア所属のSu-30MKMが見られる。
  6. 「当ショーでは各方面と連携し、エアバス、ベルヘリコプター、ボーイング、ボンバルディア、エンブラエルなどと最大限の機種ラインアップを展示します」とショーの広報資料はうたっている。「来訪者はビジネスジェット、商用機、、軍用機、輸送機から軍用ヘリ、民間ヘリ、さらに無人機まで各種機体を直接見ることができます」
  7. UAV分野ではイスラエルのヘルメス450とヘロン1、アエロヴォイロンメントのUAVと支援装備、エイジアンエアロスペースコンゴロメレイト、中航技进出口有限责任公司(CATIC)、ジェネラルアトミックス・エアロノーティカル・システムズ、インシティトゥパシフィック、ノースロップ・グラマン、SCHIEBEL、STエンジニアリング、UAVファクトリーLtd、アンマンドインテグレイテッドシステムズが出展するとみられる。
  8. CATIC含む中国企業が多大な関心を集めるだろう。西側アナリストの観点では中国の進める軍事装備近代化と海洋進出が域内の防衛装備調達とくに新規性能要求を引き上げている原動力だと映る。
  9. CATICは今年もシャーレとブースを設けるが、自社でブースまで構える中国系企業はす少ない。CATICは国営企業で航空防衛関連、民生製品の輸出販売を行っている。中国航空工業集団の傘下企業である。
  10. その他中国関連出展社にはDornier Seawingsがあり、ドイツのドルニエと中国に企業(社名不明、ともに江蘇省無錫市)の合弁企業である。同社は水陸両用機で多用途のシースターを展示する予定で、沿岸監視、巡視、緊急医療搬送、捜索救難、密輸防止、災害救助に活用できるという。中国政府は南シナ海進出に伴い、飛行艇への関心を強めている。
  11. Defense Newsは専門チームを派遣しショーを取材する。
  12. ショーの主催はイクスペリア・イヴェンツ社で、会場は同時に各国の航空業界にとって重要な商談の場になる。ショーの詳細については主催者ウェブサイトを参照されたい。■

2016年2月11日木曜日

中国に台湾進攻の能力なし、今のところは、との専門家見解発表




Atlantic Council Panel: China Likely Doesn’t Have the Ability to Invade Taiwan, Yet

By: John Grady
February 10, 2016 11:44 AM

Chinese amphibious warship Changbaishan deploys what appear to be several ZBD-05 infantry fighting vehicles as part of Joint Sea 2015 on Aug. 25, 2015. Chinese MoD Photo
揚陸艦 長白山 が ZBD-05歩兵戦闘艇多数を展開している。2015年8月25日撮影。Chinese MoD Photo

中国本土から見れば台湾への軍事行動で最大の障害は依然として台湾海峡で、台湾総統選挙で独立支持派が多数となった台湾政局があってもすぐに行動に出ることはないと安全保障の専門家が見ていることが2月9日に明らかになった。

  1. ワシントンDCの大西洋協議会で講演したトーマス・L・マクノーガー(ジョージタウン大教授)は陸軍主体の軍事組織構造を有し上陸作戦の経験がない中国には台湾進攻は「高リスク作戦」だという。

  1. 台湾海峡を横断して「中国が同時に展開できるのは二個師団」と教授は質問に答えた。だがその弱点の「克服に向かっている」とも答えた。

  1. ロジャー・クリフ(大西洋協議会のブレント・スコウクロフト国際安全保障研究センター研究員)からは中国は過去20年で国防支出を600パーセント増額したが、技術、補給、訓練、組織構造で「深刻な弱点」が残ったままだと指摘した。

  1. 例としてクリフは実戦装備の保守管理を紹介した。「整備工場へ送り返し」ているので作戦の継続は困難だ。また洋上補給や空中給油も弱点だという。

  1. 中国は1995年、それまでの「国土戦」方針を転換し、奇襲・謀略・間接侵略を中心に置くようになったが、組織は依然として中央統制型であり、「リスクを避け、創造性は勧奨していない」が「忠誠度と命令服従」は是としているという。有事にはクリフは中国の量的優位性が「組織上の欠陥を補う」可能性を認める。

  1. 20年前も台湾が初の総統選挙を実施した際に露骨な脅かしをかけた中国に対して米国は空母戦闘群二個を台湾海峡へ送ったが、中国はその位置を探知できなかった。台湾は米国と条約による関係はないが、中華人民共和国と国交樹立後、米議会は台湾関係法を成立させ、台湾への武器売却を可能とした。

  1. 北京は台湾併合に踏み来るのか、「問題はそこだ」とティファニー・マ(スコウクロフトセンター政治安全保障研究部長)は指摘する。中国が台湾に向かうとすれば「状況が中国に有利でなくなってきた」と感じるときか、米国に「油断」がある場合と述べた。

  1. 台湾の蔡英文Tsai Ing-wen次期政権は防衛力増備を続けると表明している。マクノーガーも香港が中国施政下に復帰してからの状況を見れば、「台湾が中国に復帰したいとは思わないはず」と述べる。台湾経済は活況を呈している。

  1. 中国が東シナ海、南シナ海で露骨な領土主張をしていることから台湾は域内の支持を一層期待できる状況にあるとマも述べた。

  1. マクノーガーは台湾は自国防衛体制の向上が必要で、米国は太平洋における基地戦略を見直す必要があるという。とくに日本国内の空軍基地の耐じん性向上が必要だという。

  1. クリフは台湾防衛では空からの侵攻と海上封鎖に備えるべきと進言。海防艦、潜水艦、機雷に加えF-16のような新鋭機材や移動式防空装備が必要だという。台湾はGDP3%を防衛に支出すると発表し40億ドルでディーゼル動力潜水艦8隻を建造するとしていたが、契約は未成立だ。

  1. 中国が台湾封鎖に踏み切れば米海軍の強力なプレゼンスを意識せざるを得なくなるだろうとマクノーガーは発言。台湾進攻の場合は「台湾住民の抵抗意識を軽視できなくなる」とマも述べた。■

2016年2月10日水曜日

米情報機関トップの考える脅威対象の序列が興味深いものになっています。


情報機関トップ二人が現在の課題、状況を国民にも伝わる形で述べる、これが民主主義でしょう。また行数の多さ、位置関係からどの問題を深刻に考えているかがよくわかります。北朝鮮についてもミサイル開発そのものよりもWMDの海外販売を米上院議員は憂慮していることがわかりますね。また北朝鮮に比べるとイランのほうが相当たちが悪いことがわかります。



National Intelligence Director Clapper: ISIS ‘Most Significant’ Non-State Threat to U.S., Allies

By: John Grady
February 9, 2016 5:36 PM

DIA Director James Clapper and Lt. Gen. Vincent Stewart on Feb. 9, 2016 before the Senate Armed Services Committee. C-SPAN Image
国家情報局長ジェイムズ・クラッパーと国防情報局局長ヴィンセント・スチュワート海兵隊中将が上院軍事委員会で証言した。2016年2月9日C-SPAN Image


米国や同盟国にとって最大の非国家勢力の脅威は依然イスラム国だと国家情報長官が上院軍事委員会で述べ、イスラム国が引き続き外国人戦闘員の勧誘やリビアはじめとする各地で勢力を拡大していることを理由に挙げた。

イスラム国
  1. イラク・シリアのイスラム国(ISISあるいはISIL)の脅威は「アルカイダを超えている」とジェイムズ・クラッパー長官は冒頭でまずこう述べた。
  2. これは2017年度予算案関連で委員会が初めて開いた公聴会で直面する脅威内容や軍事対応について意見を聞いた。
  3. 国防情報局長官ヴィンセント・スチュワート海兵隊中将はこう発言している。「もしイスラム国に立ち向かっているスンニ派を支援しないと、この人たちは死に絶えてしまう」 中将はシーア派が独占しているバグダッド政権にスンニ派も加えるべきだと主張。さもないと各派は「旗色を伺うか最悪の選択」としてイスラム国との協調に向かうだろうとした。
  4. 中将とクラッパー長官はともにイラクでの進展に楽観的な見方を紹介したが、スチュワートはモスルの今年中の奪回には否定的だ。モスルは人口250万人でイスラム国が占拠している。
  5. アラブ首長国とサウジアラビアから地上軍を派遣しイスラム国と対決すると発表が先週あったことについてクラッパー長官はUAEは「能力が高い軍部隊を保有しているが、規模が小さすぎる」とし、サウジにとっても介入は「課題になる」と紹介した。
  6. UAEとサウジはともにイランが支援するシーア派のフーシ反乱勢力とイエメンで戦っており、クラッパー長官は当面戦闘は続くとの見方を披露した。
  7. スチュワート中将からはロシアがシリアに軍事介入を開始してバシャル・アル・アサド政権の基盤が強化されたとし、「今後一年ほどは」この大勢に変化はないとの見方を紹介した。
  8. クラッパー長官はシリア内戦でこれまで25万人が死亡し、4.4百万人が難民になったと述べ、アサド政権側についたロシア、イランがこれまで以上にヒズボラはじめとする各派に矛先を向けていると発言。
イラン
  1. イランもロシアも現時点ではアサド政権のテコ入れで意見を共にしているが、クラッパー長官はロシアは「アサド以外に誰がいるのか」とアサドの延命を求め、ロシアの同盟国としてとどめおこうとするだろうと発言。
  2. イランが核兵器開発を制限する国際合意を守るだろうかとの問いにクラッパー長官は、肯定したものの「各情報機関」は「信用せず、確証を見守る」姿勢だと述べた。さらにもしイランが合意内容を違反すれば情報機関は探知することは確実とも答えている。さらにイランは遠心分離機などの開発も続けて合意の期限が来ればいつでも利用できるようにするはずとの見方を示した。
  3. イランの弾道ミサイル開発に関し、クラッパー長官は「制裁の実行が極めて重要」だとみており、同国が国連決議を繰り返し違反している事実を重視。国連決議ではミサイル開発のみならずテロリスト集団支援を禁じようとする。イランは2010年以降だけで140回のミサイル発射を行っており、その半分は核開発合意の交渉中だったという。直近の発射は国連決議へ「意図的な挑戦」したものと説明したが、弾道ミサイルは核兵器開発をめぐる交渉では対象になっていない。
  4. スチュワート中将からは制裁措置が解除になったがイランが直ちに新兵器開発に資金を投入するとは見ていないと発言。イラン政府のミサイル開発はすでに「すべての分野をカバーしている」がロシアの技術導入としてシリアで使用中の対空防衛システムの採用がありそうだと述べている。
ロシア
  1. ロシアについてはクラッパー長官は「プーチンはスターリン以降初めてロシア領土を拡大した指導者だ」とクリミア併合とウクライナ東部で分離派を支援していることを言及した。スチュワート中将もロシアの軍事活動は「引き続き歴史的な高水準」をシリア、ウクライナ、北極海で展開中と述べた。
  2. ただし原油価格の低落がロシア国内に少なからぬ影響を与えているとクラッパー長官は指摘し、ルーブル下落、失業の増加、インフレを例示したが、ロシアは依然として領土拡張政策を軍の近代化と併せて希求していると指摘。またロシアの軍装備近代化案では原油価格をバレル50ドルと想定していると紹介した。現在の原油価格はおよそ28ドル近辺だ。
  3. クレムリン指導部への支持は高水準なままだが、ロシア指導部が「大変憂慮している」のは経済動向が世論に影響し、指導層への大衆の態度が変化することだとクラッパー長官は述べた。また昨年のロシア経済は国内総生産で4%縮小していると紹介。
  4. 「ロシアはNATOに被害者妄想をいだき、封じ込められることを大いに憂慮している」とし、大国として米国と対等な地位を維持しておきたいモスクワの動きで「冷戦の悪循環に再度入りそう」と述べた。
北朝鮮
  1. 北朝鮮が衛星打ち上げ並びに核実験を実施したことで委員から北朝鮮が大量破壊兵器の海外販売に動かないか懸念が表明された。これに対しクラッパー長官はその懸念を共有しつつ、北朝鮮が今後数か月以内に原子炉運転を再開し、濃縮ウラニウム生産に入る可能性があると発言した。
  2. 長官は「心配なのはMANPADS(携帯防空システム)が航空部隊に大きな脅威になることだ」とし、サイバー分野ではロシアと中国が米国にとって最大の脅威だとも発言。
中国
  1. スチュワート中将は中国は引き続き南シナ海へ兵力投射をしており、軍装備も空と海を中心に近代化を進めていると指摘した。中将は中国は「世界最大規模かつ総合的なミサイル」開発をしており、対空母兵器や中距離弾道弾でグアムを標的にしようとしていると発言した。■

★米海軍>SM-6対空ミサイルを対艦攻撃手段に開発中と認める



対空ミサイルが対艦ミサイルにも使えれば、一見、費用対効果は高いように見えますが、課題も多いようです。短期間で開発を完了するということですが、実際に使える武装になるのか注目です。それにしても米海軍もトップの交代と中国ロシアのなりふり構わぬ振る舞いにさすがにこれではいかん、と方向性を変えてきましたね。

SECDEF Carter Confirms Navy Developing Supersonic Anti-Ship Missile for Cruisers, Destroyers

By: Sam LaGrone
February 4, 2016 5:00 PM

Launch of a SM-6. US Navy Photo
Launch of a SM-6. US Navy Photo

米海軍がレイセオンのスタンダードミサイル-6を改良し、超音速対艦攻撃手段にする開発を続けていることがアシュ・カーター国防長官の発表で明らかになった。射程は200カイリだという。

  1. 「全く新しい性能を実現する。SM-6を改造しミサイル防衛に加え艦船攻撃能力を付与する」とカーター長官はサンディエゴで記者団に語った。
  2. SM-6の最高速度はマッハ3.5で現行のボーイングRGM-84ハープーン対艦ミサイル(1970年代実用化)の性能を上回り巡洋艦・駆逐艦部隊の射程を伸ばす。
  3. 改良型SM-6には今後5年間で29億ドルを投じる。実現すれば強力な対艦攻撃能力となり、現有の誘導ミサイル巡洋艦・駆逐艦の威力が強化される。海軍が進める「分散攻撃力」 “distributed lethality” 構想にも合致する。.
  4. 「これまで長い間動きはなかったのに、海軍作戦部長の中国への姿勢が変化し、中国を同等の戦力を有する国家と認識する言い回しの変化に気づきました」と業界筋はUSNI Newsに先月語っていた。「これまでは攻撃されるまで待つ、という海軍の姿勢がアクションを主体的にとる方向に変わったのか。どんな効果がこれから出るかを注目です」
  5. 海軍は巡洋艦・駆逐艦部隊が高性能を有する中国・ロシアのような敵対勢力に対応可能にしようとする。課題は再装填が難しい垂直発射システムを最大限に活用することだ。
  6. aegissm-61

  1. 「海軍は搭載装備を柔軟活用し、とくにミサイルの有効活用をめざしている」とエリック・ワーサイム(米海軍協会出版「世界の戦闘艦船」の編者)はUSNI Newsに語ってくれた。
  2. 「驚くべきことではない。SM-2ですでに可能だった。今回は運用の柔軟性を強調しているにすぎない」
  3. 海軍はレイセオンとSM-6の対艦ミサイル転用可能性について口を閉ざしていた。前のモデルSM-2には対艦攻撃モードが設定されている。
  4. USNI Newsが昨年に国防総省高官を取材し海軍がSM-6を対艦攻撃用に投入する用意があるのか聞いてみたところ、答えは「誰に聞いてもこの点は確認できないよ」だった。
  5. ではどんな改良が必要になるのか。レイセオン関係者がUSNI NewsにはブロックIAの作業が進行中と告げていた。「今お話しできるのはGPS機能の追加だけです」
  6. SM-6は対空、対ミサイル用に開発されており、制限付きながら弾頭ミサイルにも対応する。弾頭は小さめでハープーンが500ポンド弾頭を付けているのとは対照的だ。改良で弾頭部も手直しするのかは不明だ。
  7. もう一つの疑問は対艦モードSM-6でもネットワーク機能が付与されるかだ。対空ミサイルとしてNIFC-CA(海軍統合対空火器管制)構想のネットワーク武器となる。
  8. NIFC-CAではノースロップ・グラマンE-2D改良型ホークアイが収集した標的情報を統合し、情報をSM-6に送り空中の標的を駆逐艦・巡洋艦の射程外で攻撃できる。
  9. 「E-2でSM-6を敵の水上目標に向けて長距離誘導することになるのだろうか」とワーサイムも疑問に感じる。■


北京がTHAADの韓国導入に反対する理由は 北朝鮮ICBM発射の余波



なるほど中国がTHAAD導入にあれほど反対しているのはマスコミが言うようなレーダー探知距離の問題ではないことがよくわかりますね。北朝鮮についてはあれこれコメントがあると思いますが、米韓日の各国が比較的冷静に対応し、特に韓国が現実を直視した防衛対応をとることになれば雨降って地固まるでしょうか。

South Korea, U.S. in Talks to Increase Regional Ballistic Missile Defense Capability

By: Sam LaGrone
February 8, 2016 4:38 PM • Updated: February 8, 2016 5:51 PM

THAAD Missile Battery. Missile Defense Agency Photo
THAAD Missile Battery. Missile Defense Agency Photo

PENTAGON — 北朝鮮が2月7日に弾道ミサイルを発射し衛星を低地球軌道に乗せたことを受け、国防総省報道官は米韓両国が韓国国内に新型移動式ミサイル防衛装備の導入で協議を開始したと確認した。

  1. 「北朝鮮の脅威が増している中で米国と韓国は正式にミサイル防衛の実効性を向上させる協議を始める決定を下した。具体的には最終段階高高度広範囲防衛システムを在韓米軍が運用することを検討する」とペンタゴン報道官ピーター・クックが8日報道陣に伝えた
  2. クック報道官の前に韓国国防筋から米国によるTHAAD搬入で導入済みのロッキード・マーティンMIM-104ペイトリオット短距離BMDの弱点をカバーする案の協議を始めたとの発表が出ていた。
  3. 800百万ドルのロッキード・マーティン製THAADは米陸軍のトラックに乗せ A/N-TPY-2 Xバンドレーダーと一緒に運用することで、射程120マイルを実現する。なおペイトリオットPAC-3は43マイルだ。
  4. クック報道官は具体的な日程案は提示しなかったが、昨年、韓国関係者からTHAADの導入を米国に迫る動きがあった。北朝鮮弾道ミサイルの性能進歩を見ての対抗策としてだ。中国は朝鮮半島へのTHAAD持ち込みに憂慮する姿勢を示している。「いかなる国も自国の安全保障を名目に他国の安全保障上の権益を損なうことは許されない」(中国外務省報道官華春瑩)「対ミサイル装備の持ち込みは朝鮮半島の緊張をさらに増す効果しか生まない。域内平和と安定都は逆効果であり、現在の状況を正しく処理することにもならない」

A graphic showing the number of THAAD batteries that maybe needed to cover South Korea
韓国国内にTHAAD部隊をいくつ配備すれば全国をカバーできるのかを示す図

  1. THAADミサイル自体は比較的短距離なのだが、TPY-2レーダーはずっと長い距離を探査でき、米海軍のイージス誘導ミサイル駆逐艦や巡洋艦の発射するスタンダードミサイル3にも対応する。
  2. 2013年のテストではミサイル防衛庁はTHAADとSM-3(USSデカター(DDG-73))を同時にTPY-2レーダー(ハワイに設置)で管制するのに成功している。クック報道官は持ち込みを想定する装備の性能水準について言及を避けたが、第七艦隊のBMD対応誘導ミサイル駆逐艦・巡洋艦がTPY-2の目標捕捉情報の恩恵を受けるのは間違いない。■


2016年2月9日火曜日

★’16大統領選挙>サンダース当選の場合、国防予算はこうなる



米国が内向きになっているのは悲しむべきことです。今年の大統領選候補者を見ると今までなかった主張が堂々と述べられているのに驚かされますが、その最右翼は左翼のサンダース候補でしょう。当選の可能性はわかりませんが、こんな政策が実施されれば日本は相当防衛費を増やさないといけなくなるでしょうし、中国にとってサンダース候補が一番望ましい選択になってしまいます。

Feel The Bern! What A Sanders’ Military Might Look Like

By MARK CANCIAN on February 08, 2016 at 3:08 PM

Sen. Bernie Sanders
ひとつ思考実験をしてみよう。ヴァーモント州選出上院議員バーニー・サンダースが大統領に当選したらどうなるか。サンダースの国防政策はどうなるか。アイオワでの接戦で当選が確実になるものではない。党大会への道は険しい。だが国防の観点に絞れば検討する価値はありそうだ。
  1. まず国防予算は大幅に縮小する。同候補の掲げる社会対策に資金が必要だ。税率アップで費用を賄うが、当然ほかの予算が削られる。民主党討論会でサンダースはスカンジナビア各国の社会福祉制度に言及している。各国はGDP比1.3%を国防に使っており、これは欧州地域NATO加盟国の平均に近い。これに対して米国は2016年に3.1%相当を国防に使う。(ただしここには戦役継続予算を含まず) これを1.3%に削るとDoD予算は2,350億ドルになるが、それでも世界最大規模とはいえ、現行の5.350億ドルが半減する。サンダースはまだこの提言を公にしていないが、自身の考える政府の役割のあるべき姿では当然この方向に進む。ではこの予算で調達できるもの、犠牲になるものを考えてみよう
  2. この予算規模をCSISが作成した戦力経費モデルに投入すると興味深い結果が出た。まず戦力はおおよそ6割カットで調達の仕組みは大幅に変更となる。この予算規模では第二次大戦後ずっと守ってきた戦力構造は維持できない。また世界規模でアメリカが当然のごとく実施してきた戦略も実施不可能となる。その前にすぐ現れる予算上、事業での影響を見てみよう。
  3. サンダースはペンタゴンの「ムダ、不正、乱用」を一掃すると主張している。同意見のものは多い。議会内部には党派問わず同じ主張をする向きが多い。ただし実際に改善し、事業を効率化に向けるのは困難だ。国防の無駄を削るのは社会福祉の世界で「福祉不正受取者」を排除するのと等しい。確かにこの問題は存在しており、政府は毅然たる対策をとるべきだが、実施しても大きな節減効果は生まない。実際に予算を節約するには人員や装備を削るしかない。
  4. サンダースがまず手を付けるのは核戦力だろう。繰り返し予算が多すぎると主張し、今後10年間で1,000億ドル削減を公約している。サンダースが採用するのは「最小限抑止理論」で、破滅的な報復効果を発揮できるだけの核能力だけあればよいとする。このための弾頭数は300から400との見積もりがある。なお、新STARTでは上限は1,550発だ。ここまで弾頭数を削減すればICBMは全数使用終了とし、爆撃機も退役させ、ミサイル原潜も現行の14隻を6隻に削減する必要があろう。新型長距離打撃爆撃機(LRSB)は高価格を理由に打ち切りになるだろうが、LRSBはまず通常兵器運用から開始する想定なのだが。同様に国家核安全保障局(NNSA)も縮小されるだろう。同局は核兵器を開発、製造する部局だ。兵器開発研究施設でもローレンス・リヴァーモア(カリフォーニア)が閉鎖されるだろう。すべて実施すれば年間150億ドル相当の節約効果が生まれるが、まだ十分ではない。
  5. サンダースはミサイル防衛にも批判的だ。そのためここでも大幅削減となるだろう。だが実質的な節減効果は大きくない。ミサイル防衛庁予算は81億ドルで半分が国土のミサイル防衛、残り半分が戦域大のミサイル防衛だ。このうち戦域対象のミサイル防衛のTHAAD、AEGIS SM-3やペイトリオットがテスト結果では先行しており、国土防衛システムは遅れている。戦域防衛は海外展開中の米軍や同盟国の防御に役立つため,党派超えた政治的支持がある。そうなると年間節約効果は10ないし20億ドルにとどまり、やはり必要額に達しない。
  6. 実際に節約を生むのは以下の方策だろう。

  • 陸軍正規部隊を25万名まで削減する。現在は47.5万名体制。そのかわり予備役はさほど削減させず、29万名を州軍および陸軍予備部隊に維持する。サンダースの主張では海外各国に駐留する米軍部隊の削減、特に裕福な欧州や日本で減らす。陸軍は前方配備よりも急派部隊に性格を変える。それでも戦力は相当のものがあり、戦闘旅団25個を維持できるが、海外派遣には時間がかかり、砂漠の嵐作戦の再来は無理だ。
  • 海軍は160隻程度に縮小し、空母(「冷戦時の遺物」)は5隻にする。ここまで縮小すると時間が相当かかるので、一部艦船は予定より早く退役させることになろう。米海軍は現有の艦船であと10年20年は生きながらえるだろう。しかし艦隊規模の縮小は海外プレゼンスの縮小につながる。太平洋を優先すると、欧州は全面撤退、中東も大部分撤収することになり、太平洋リバランスも想定より規模が縮小する。西太平洋諸国は撤退気味の米国より国力が伸びる一方の中国に依存することが多くなる。艦船建造の基盤産業力を維持するため、数隻の建造は続くだろうが、閉鎖に追いやられる造船所も現れる。まずカリフォーニアのNASCOとメインのバスアイアンワークスが消えるだろう。コネチカットのエレクトリックボートも存続が危うくなる。
  • 空軍では第五世代戦闘機としてF-35(「驚くほどの浪費」)の生産は既存機の耐用年数延長に切り替え、F-16やF-15の稼働を続ける。空軍には清算済みのF-35やF-22で構成する第五世代機の在庫があるが想定より相当縮小する。
  • 海兵隊は9万人(常備部隊)水準まで削減。これでも世界最大規模の陸戦隊といえるが、前方配備の維持は無理となり、第二次大戦終結後維持してきた体制が崩れる。

  1. 国防関係者がサンダース候補のキャッチフレーズ「バーン(=バーニー)の息吹きを感じろ」を実感すのは間違いないだろう。■
著者マーク・カンシアンはオバマ政権の予算管理局で主席国防予算アナリストを務め、現在は戦略国際問題研究所で国防アナリストを務めている。


2016年2月8日月曜日

米海軍用オスプレイの正式名称はCMV-22B、2018年度から調達開始



Navy’s Osprey Will Be Called CMV-22B; Procurement To Begin In FY 2018

By: Megan Eckstein
February 5, 2016 1:49 PM

MV-22 Osprey assigned to Marine Medium Tiltrotor Squadron (VMM) 163 launches from USS Makin Island (LHD-8) on Aug. 24, 2014. US Navy Photo
海兵中型ティルトローター飛行隊(VMM)163所属のMV-22オスプレイがUSSマキンアイランド(LHD-8)で運用された。2014年8月24日撮影。US Navy Photo

米海軍の次期空母輸送機(COD)となるオスプレイの呼称はCMV-22Bと発表した。

  1. 海軍は一年前にV-22導入を発表していた。同機は空軍特殊作戦軍団と海兵隊が海陸で運用中。COD任務には現在はノースロップ・グラマンC-2Aグレイハウンドターボプロップ機が使われ、人員、郵便物、補給品その他を陸上から空母へ輸送している。
  2. 海軍はもともとC-2A後継機に固定翼機を想定していたが、昨年の決定でオスプレイ投入が決まり、現在生産中の同機の生産ライン、完熟した補給体制、訓練施設を利用できる。海軍はV-22を駆逐艦他水上艦からも離着陸ができるよう型式証明をとり、固定翼機より運用柔軟度が上がると期待。
  3. USNI NewsはC-2Aがベル=ボーイングV-22より有利と考えていた。たとえば高高度飛行能力があるが、COD候補の検討で旧式化したC-2Aの機材更新は予想以上に高くつくことが判明した。
  4. 海兵隊はMV-22、空軍はCV-22と呼称しており、海軍はその二つを合わせた形とする。空軍の機材呼称方針でCは貨物であり、機体は「重量貨物、人員および、あるいは傷病兵を運ぶもの」としている。Mは多用途機能であり、「特殊作戦の支援機材」とされる。Vは垂直離陸または短距離離陸が可能な固定翼機に使う。
  5. これまで海軍と国防総省は海軍仕様のオスプレイをHV-22と呼称しており、Hは回転翼機の頭文字であり、捜索救難機にも使われている。たしかにオスプレイが捜索救難ミッションにも活躍しそうだが、CODミッションとは別物だ。
  6. そこでCMVの呼称がCODミッションを一番よく体現すると海軍航空システムズ司令部’NAVAIR)は発表しており、「統合軍海上部隊に時間を有効活用し、長距離空輸を可能とする手段となり人員、郵便物、重要貨物を前方基地から海上基地に輸送する」のだという。
  7. 海軍のミッション要求ではCMV-22Bは長距離飛行用の燃料系統、高周波見通し線外通信機能および機内通報装置を追加する。
  8. 海軍は当初48機を必要としていたが、その後44機で十分と結論づけた。NAVAIRによればCMV-22Bの生産は2018年度に始まり、納入は2020年以降だ。
  9. 海軍は上記三項目の改良の技術改良提案(ECP)をMV-22設計をもとに進める。ECP契約はまだ準備できていないが、2016年度予算に組み込まれるはずだ。つまりあと数か月で決定となる。■

2016年2月7日日曜日

F-35>初の大西洋横断飛行はイタリア組み立てのイタリア空軍機が実施


米側が最初に狙っていた大西洋横断飛行を反対側のイタリアが先に行いました。イタリア空軍も虎の子のF-35に大事があっては大変と大規模なバックアップ部隊を随行させているのがわかりますね。今年はいよいよファンボロショーで機体を展示できそうですね。

F-35 Makes First Transatlantic Crossing

By Lara Seligman 12:17 p.m. EST February 6, 2016
NAVAL AIR STATION PATUXENT RIVER, Md. –イタリア空軍所属のF-35が同機初の大西洋横断飛行を2月5日に実施し、同機の国際展開が展開される今年で大きな一歩となった。
  1. 同機はAL-1の呼称でポルトガル領アゾレス諸島のラジェス空軍基地を離陸し7時間後に当基地に着陸した。機体は2月2日にイタリアのカメリ基地を出発しており、本来は3日に米本土に到着するはずだったが、天候条件と整備の理由で遅れていた。
  2. 風速120ノットの向かい風で飛行は安定しなかったが、同機は移動を問題なく実施したとジアンマルコ少佐(コールサイン「ニンジャ」)は語った。同機にはC-130輸送機二機、ユーロファイタータイフーン一機とイタリア空軍給油機二機が随行し、カメリからラヘスまで途中三回、大西洋上空で四回の空中給油を実施した。
AL-1 Arrival at NAS Patuxent River, MD on 5 February,AL-1 は2月5日にパタクセントリヴァー海軍航空基地に到着した。海外生産のF-35が大西洋を横断して米本土に着陸するのはこれが初めて。(Photo: Andy Wolfe)
  1. 今回は二つの点で初の挙行となった。まずAL-1は大西洋横断飛行をした初のF-35となり、海外製造機で大西洋横断をした初の機体になった。カメリの最終組立点検補修施設(FACO)で組み立てられた。ジアンマルコ少佐は初の大西洋横断機がイタリア製でイタリア人パイロットが操縦したことに誇りを感じると発言。
  2. ジアンマルコ少佐は昨年11月にルーク空軍基地(アリゾナ州)で同機操縦の訓練を修了している。
  3. F-35の初の大西洋横断飛行は2014年に予定されており、ロイヤルインターナショナルエアタトゥーおよびファンボロ航空ショーでお披露目するはずだった。だが予定されていた米海兵隊のF-35Bは直前に発生したエンジン発火事件とその後の全機飛行停止措置で実施できなくなった。
  4. 今年は米空軍がF-35A二機をRIATおよびファンボロに今夏派遣する予定で、F-35Bも同様に2機派遣され現地で合流する。
  5. 今回大西洋を横断飛行したイタリア機は米国で三か月に及ぶ「電子環境評価」(E3)テストを行い、高出力レーダー、通信系統、落雷の影響を調べる。一定の範囲の電磁波の影響下でも機体が正常に作動することを確かめるのが目的だ。なお、当地パタクセントリヴァーでは米軍向けF-35BおよびF-35AのE3テストを完了しており、米海軍向けF-35Cのテストも最終段階にある。
  6. E3評価が完了したあとのAL-1はF-35国際パイロット養成センター(ルーク基地内)に配属されるとウィリアム・カウチ(米海軍航空戦センター報道官)は述べている。
  7. イタリア空軍はAL-1を皮切りに合計5機を国際パイロット養成用に投入するとカウチは発表。なお、イタリア空軍は合計90機のF-35(A型およびB型)を調達する。■