2017年4月10日月曜日

★★ヴィンソン空母打撃群が朝鮮半島水域へ転進




朝鮮半島をめぐり、いよいよ風雲急になってきました。


Carrier Vinson and strike group ordered back to Korean waters

By: Christopher P. Cavas, April 8, 2017 (Photo Credit: MC2 Z. A. Landers, US Navy)

WASHINGTON — カール・ヴィンソン空母打撃群はオーストラリア寄港を中止し、朝鮮半島周辺水域への移動命令を受けたと米海軍が4月8日公表。同空母はシンガポール寄港をすませ西太平洋にある。
  1. 「米太平洋軍はカール・ヴィンソン打撃群に対し万一に備えた即応体制の維持およびプレゼンス維持を命じた」と報道官デイヴ・ベナム中佐の声明文にある。
  2. 「第3艦隊所属の各艦は西太平洋の米国権益保護にあたっている。だが域内の最大の脅威は北朝鮮であり、無謀無責任かつ不安定をもたらすミサイルテストや核兵器整備を依然として続けている」
  3. ヴィンソン打撃群はサンディエゴの第三艦隊に所属するが日本に本拠を置く第7艦隊の指揮命令下に入っている。転進は北朝鮮に対処が必要な対象を増やすのが狙いだ。
  4. 第三艦隊水上艦が西太平洋に展開したことはこれまでもあったが、空母打撃群がまるまる国際日付変更線の西で作戦行動するのは第二次大戦後はじめてだ。第三艦隊は戦時中は伝説の提督ウィリアム・ハルゼーが指揮していた。
  5. ヴィンソンは1月5日出港し、西太平洋のパトロール任務につくと見られていた。2月には随行艦と南シナ海を遊弋し、日本艦船と3月に演習を行い、直近ではフォールイーグル演習で韓国軍と共同演習に着いていた。その途中で同艦は釜山にも寄港している。
  6. ヴィンソンは巡洋艦レイク・チャンプレイン、駆逐艦ウェイン・E・メイヤーとシンガポールのチャンギ海軍基地を4月8日に出港した。駆逐艦マイケル・マーフィーはマレーシア沿海にいるが打撃群に合流する。ヴィンソンは第二空母航空隊を搭載している。■

2017年4月9日日曜日

★★北朝鮮ミサイル攻撃を日本は覚悟しなくてはいけないのか



もし今回朝鮮半島で有事が発生すれば、日本も安閑としてられません。これは想定外の事態ではないのです。しかしサクラに浮かれる日本はあまりにも脳天気状態ですね。一番は国会ですけど。


The National Interest

Expert: North Korea Could Hit Japan with a Missile in Ten Minutes 北朝鮮ミサイルは10分で日本へ到達する


April 6, 2017


  1. 今年に入り北朝鮮が弾道ミサイルテストを相次いで実施していることから日本政府の中に新たな軍事選択肢として巡航ミサイルでミサイル基地攻撃を主張する声が出ている。
  2. 今週も水曜日に北朝鮮はミサイル一発を発射し、3月6日には4発を同時発射した。3月の3発は改良型スカッド・ミサイルで1,000キロを飛翔し日本近海に着水した。ミサイル着水地点は本州から300キロ地点で、北朝鮮は日本も敵国と公然とみなしている。
  3. 「脅威は新段階に入った」と安倍首相は前回のミサイル発射後に述べている。国連安保理決議違反の3月のミサイル発射は在日米軍基地攻撃をシミュレートしたといわれる。
  4. 元防衛相小野寺五典は北朝鮮が着実にミサイル運用能力を引き上げており移動式発射方式は探知が難しいと指摘。
  5. 「24時間365日の警戒態勢を維持するため新しい(軍事)装備が必要だ」と記者会見で5日に語っている。記者会見は北朝鮮の最新のミサイル発射直後のこと。
  6. ドナルド・トランプ大統領は安倍首相に電話会談をし、「米国は今後も自国および同盟国の防御拡充に軍事力すべてを動員していく」とホワイトハウスは会談後に声明を発表した。
どんな攻撃を想定するのか:
  1. 敵基地攻撃能力整備は自民党の研究チーム提案で、議論の種になることは必至だが、安倍首相に手交ずみだ。
  2. 戦争放棄を掲げる日本国現行憲法は第二次大戦後に米占領軍が監修し現在も日本の軍事姿勢を厳しく防衛に限定している。小野寺は新思考が必要とし、敵機爆撃の想定は時代遅れだという。「敵がミサイルを日本領土内に打ち込める事態にどう対応すべきか検討中です」と小野寺は外国人記者クラブで語っている。
  3. 「だが敵への攻撃は二次攻撃、三次攻撃を防ぐためと強調せねばなりません。研究内容は先制攻撃でなく、攻撃を防ぐものとして敵国が日本を攻撃してきたあとの事態を想定しています」
  4. 防衛相を経験した中谷元議員も現行憲法で最低限の自衛能力は許されており、反撃の想定を議論する余地があるという。「日本国民の生命財産を守ることは政府の責任」と中谷は述べている。
米国の盾:
  1. これまで日本は「核の傘」含む米軍事力に安心しきってきた。
  2. 約50千名の米軍要員が日本国内に駐留している。昨秋の米大統領選挙以来、ドナルド・トランプ大統領は国務長官、国防長官とともに米国の日本防衛への姿勢は「100%」のままだと発言している。
  3. ただしトランプの選挙公約では日本、韓国は米国との軍事同盟に本腰を入れていないと非難したことに東京とソウルが身構えてきた。
  4. 「有事にどんな米軍の補完ができるか研究、検討中だ」と小野寺は語っている。
  5. トランプ政権も平壌対策に選択肢はすべて検討していると公言しているが、米軍が北朝鮮を攻撃する可能性は「きわめて低い」と道下徳成・政策研究大学院大学教授は見る。「北朝鮮が核兵器を保有して国内各所の所在不明地点に貯蔵しているため、米国がすべての核兵器を破壊しない限り、先制攻撃をすれば報復攻撃される可能性があり、リスクは高い」とフォーリンプレスセンターで説明している。
10分間:
  1. 道下教授によればノドン弾道ミサイルが日本最大の脅威だ。「有効射程は1,300キロあり、発射後およそ10分で日本に到達します。つまり日本は標的です」
  2. 日本の弾道ミサイル防衛体制にはイージス駆逐艦部隊とペイトリオットPAC-3があるが、ミサイルが複数同時発射されると有効性は減る。
  3. そこで小野寺率いるグループの提言は政府にTHAAD(広域高高度防衛ミサイル)あるいは陸上配備イージスの検討を求めている。
  4. 韓国にTHAADを導入したことで中国が激しい拒絶反応を示しているが、THAADの強力なレーダーで中国の軍事施設が監視されることが理由だ。
  5. 北京は韓国とのビジネス交流を禁じるなど対応措置に出たが、小野寺議員は同様の可能性があるからと言って日本は尻込みすべきではないという。「THAADに付随するXバンドレーダーが批判対象なら、在日米軍はすでにXバンドレーダーを運用中なので、あらたに導入しても日本周囲の各国が懸念する事態にはならない」
  6. 日本がミサイル防衛能力強化に乗り出すのは正しい方向だとロバート・ケリー助教授(釜山国立大)も述べる。「北朝鮮は韓国をミサイルで攻撃する必要なく、ロシアや中国も狙わない。そうなると戦域級兵器の標的はどこか。北朝鮮は意図的に中距離ミサイルを日本に向けてテストしている。日本以外に標的はない」■
This first appeared in AsiaTimes here.


★★ロシア防空の後継機種MiG-41が実現する可能性は?




The National Interest

MiG-41: Russia Wants to Build a Super 6th Generation Fighter

ロシアが実現めざすMiG-41はスーパー第六世代戦闘機

April 6, 2017


  1. 広大な自国領空の防衛手段としてロシアは長距離飛行・高速なミコヤンMiG-31フォックスハウンドを重用している。同機の改修は続いているとは言え生産は1994年が最後だ。
  2. MiG-31は2030年代まで供用される見込みだが、ロシア政府は後継機開発が必要だ。すでに事前開発予算を計上しており、後継機は暫定的にMiG-41と呼ばれている。
  3. 「MiG-31後継機の開発に向けた初期検討がはじまっている」とロシア国防アナリストのワシリー・カシンが語っている。
  4. MiG-41はロシアの第五世代機スホイT-50PAK-FA航空優勢戦闘機と全く別個の開発となる。新型迎撃機は第六世代機で米空軍の侵攻滞空戦闘機あるいは米海軍のF/A-XXまたは次世代航空優勢戦闘機構想に匹敵する存在となる。
  5. カシンは言う。「5++または6世代機だろう。実現すれば米中およびヨーロッパで進む第六世代機に肩を並べる存在になる。2035年ないし2040年に供用開始となるだろう」
  6. MiG-41開発はPAK-FAの後となるため、スホイと資源の取り合いにはならない。「テスト飛行も2020年代中頃のはずで両事業はバッティングしない」
  7. だが懸念を示す向きもある。そもそもロシアに機体開発の余裕はあるのか。「紙上のプロジェクトの段階で、『設計図ができれば資金手当ては可能かも』という感じだ」と国防産業筋がNational Interestに語っている。
  8. ロシアにはMiG-31後継機として長距離迎撃機材が必要だ。何と言っても国土が広大である。ソ連崩壊後のロシアは各地に点在する基地で広大な国境線を守っている。「ロシアに長距離迎撃機が必要となるのは地理条件のためであり、MiG-31を可能な限り供用してから後継機種を確保するのは正しい考え方だ」(カシン)
  9. MiG-41が本当に実現するかは時が教えてくれるはずだ。たしかなことはクレムリンには同機実現の野心があり必要があることだ。問題はロシアにそのような野心の実現に必要な資源があるかだ。
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.


シリアめぐりロシアの関与を疑う米国、北朝鮮にも要注意



今後米ロ間で激しい言葉の応酬がありそうですね。シリアに北朝鮮がどこまで絡んでいたのかも調べてもらいたいものです。化学兵器を北朝鮮がどこまで運用する体制にあるのか、今回の化学攻撃も北朝鮮の知見が背後にあるのではと思うのですがどうでしょうか。

 US Looking at Possible Russian Role in Syrian Chemical Attacks ロシアがシリア化学攻撃に関与?This image, released on Friday, shows the impact of the April 6 missile strike on Shayrat Airfield in Syria. (DoD photo)

国防総省が金曜日公表した画像でシャリアート基地へのミサイル攻撃の効果がわかる。
(DoD photo)
Stars and Stripes | 8 Apr 2017 | by Tara Copp and Corey Dickstein

  1. 7日、米軍高官はロシアがシリアの化学攻撃に手を貸した可能性があると述べた。
  2. 関係者によればロシアの関与が今後の調査の対象で、シリアの化学兵器開発を止めなかったのか、それともシリアによる隠蔽工作を助けたかをはっきりさせる。
  3. 金曜日に、シャイラート空軍基地の破壊状況を示す画像が公表され、シリア空軍機材20機、弾薬貯蔵施設、地対空ミサイル陣地や燃料弾薬貯蔵庫の破壊状況がわかった。
  4. 現地ホムズ地方の知事タラル・バラジはアラブTV局に基地の火災は二時間ほど続いたと述べた。知事は攻撃で死傷者が発生したとAP通信に語っている。シリア軍によれば7名死亡、数名が負傷したという。
  5. ロシア関係者は同日、空爆を「非合法」と非難し、シリア国内の騒乱状態が悪化するだけだと述べたとBBCが伝えている。通信社複数が攻撃によりロシアの対米協力は終わり、シリア上空での米ロ軍用機の衝突を防ぐ等の措置はできなくなったと報じている。
  6. ただし米関係者は同上報道内容を認めず、両国間の通信回線は維持出来ており、現に金曜日にも使用されていると述べた。
  7. ただしロシア国営通信インターファックスは金曜日にロシアがモスクワ米国大使館付武官を呼び出し、通信回線は土曜日深夜をもって使用中止とすると通告したと伝えている。
  8. シリア国内のエスカレーションは今週火曜日の化学攻撃が原因で、反乱勢力が占拠するハンシホン村が襲われたのだ。
  9. 軍高官が公表した映像では村内道路に全く通行がなく、化学兵器の傷跡が視認できた。爆弾は反乱勢力の化学工場製とのシリア大統領バシャル・アサドの主張への反論がこの画像だ。米情報活動成果も背景に軍事関係者はアサド主張は当てはまらないと断言した。
  10. また関係者によれば小型無人機が村の病院を襲撃直後に監視していた証拠がある。病院には化学火傷に苦しむ民間人多数が押しかけ、無人機は一旦その場を去った。五時間後に同じ無人機が戻ってくると病院は爆撃を受けた。この病院襲撃の事実からシリア単独での行為だったのか疑問が生まれている。
  11. 「陰でだれが支援していたのかわかってきたようだ」と軍関係者の発言がある。「明らかにロシアはシリア政権の活動を制限できていない。ロシアが同国に化学分野の専門知識を展開していることはわかっている。ロシアとシリアがこの件で共謀したとまでは今は言えませんが、情報を注意深く評価中でロシアが果たしてシリアを支援していたのかを判断したい」
  12. 今回の攻撃はトランプ大統領の就任後二度目の軍事作戦となった。二日間に渡り軍トップと国家安全保障会議と協議し、木曜日午後4時30分に攻撃実施の命令を下した。
  13. 「今夜、軍事攻撃をシリア国内の航空基地を対象に命じました。化学攻撃の出撃基地となった場所です。米国の安全保障上、化学兵器の拡散、使用の阻止には死活的な意味があります」とトランプ大統領は木曜日深夜に全国向け放送で語った。
  14. USSポーターのミサイル発射開始は午後8時40分で現地時間では午前3時近い。この時間を選んだのは民間人被害を最小限に抑えるためだった。
  15. 「米作戦立案部門は非常に注意深く計画し、ロシア、シリア双方の人的被害を最小限に抑えようとした」とペンタゴン報道官ジェフ・デイヴィス大佐は述べている。「特にロシア人を標的にしないよう注意した」
  16. デイヴィス大佐はシャイラートが化学兵器貯蔵場所だったか不明だが基地が以前は貯蔵場所だったと述べている。
  17. トランプ大統領はアサド軍が化学攻撃の張本人であることは「疑う余地がない」と言い切っている。「シリア独裁者バシャ・アサドが恐ろしい化学攻撃を罪のない一般市民相手に強力な神経ガスで実施した。アサドは多数の男女、児童を窒息させ新生児もこの野蛮な攻撃で命を奪われている」
  18. シリア政府は関与を否定している。シリア国営テレビは米攻撃を「侵略」と呼んでいるとAPが伝えている。
  19. トランプは木曜日に習近平主席との会談地パームビーチのマーララゴ別荘地で攻撃実施を命令した。国防長官ジム・マティスはフロリダヘ飛びトランプに選択肢を提示していた。
  20. トランプはこれまでアサドのシリア国内での動向を無視して、ISIS撃滅を中心にしてきた。ただし今回の化学攻撃を「凶悪行為」と呼び「看過できない」と述べた。エアフォースワンで移動中に同行報道陣に米国の行動を示唆していた。「アサドはひどい」とトランプは述べ、「シリアで発生したことは極悪犯罪だ。あいつがあの国で采配をとるので事件が起こる」
  21. シリアは2011年から内戦状態にある。シリア反乱勢力はアサドを放逐しようとしたが、アサドは自国民に攻撃を繰り返した。2012年にアサド政権は化学兵器保有を認め、バラク・オバマ前大統領はアサドに化学兵器を使用すれば然るべき行動を取ると警告した。2012年12月にシリア内ホムズの住民が化学兵器で死亡したとの報道があったが、米国は何ら対応しなかった。
  22. 内戦はISISが力の真空地帯を占拠したことで一層複雑かつ激甚度を高めた。米軍が対ISIS作戦をシリアにも拡大したのは2014年のことで、空爆を開始し、その後シリア反乱軍の訓練や装備提供に拡大している。反乱勢力はもともとアサドを駆逐する目的があったが、支援の拡大によりロシアが2015年9月に進出し、空軍基地を利用して軍用機をシリア国内で運用しはじめ、高性能の防空体制を沿岸部と内陸部に構築した。
  23. それ以降、米軍の対ISIS地上部隊と空爆回数が増えている。ペンタゴンは現時点でのシリア国内米軍隊員数を正確に発表していないが503名までの長期駐留の権限を得ている他、先月は一時的に海兵隊と陸軍レインジャー部隊400名を増派した。
  24. レインジャーはマンビジに展開しシリア国内のクルド人部隊とトルコ軍の交戦を抑止する役目を負っている。海兵隊は砲兵部隊でシリア国内のアラブ勢力に火力支援を提供中で、ISISの事実上の首都ラッカ攻略にも一役買っている。
  25. 空軍はクルド人勢力が支配するシリア北部のコバニに滑走路を設営し、空輸作戦を展開中だ。統合参謀本部議長ジョセフ・ダンフォード大将付きの陸軍最上級曹長ジョン・ウェイン・トロクセルは今週水曜日にコバニに飛び基地を訪問し火砲支援や米軍による現地勢力の訓練状況を視察した。DOD発表の報道発表でトロクセル曹長は現地部隊は活発と報告している。「現地の海兵隊は一ヶ月弱で火砲を1,182回も発射している」■
Pentagon correspondent Corey Dickstein contributed to this report.

2017年4月8日土曜日

★ペンタゴンが4月7日トマホーク攻撃の一次評価を発表。ロシアの情報操作には要注意



ロシア発表との食い違いが気になりますが、ロシア発表しか報道しない日本の一部メディアはもっと要注意ですね。二次攻撃があるのかはまだはっきりしませんが、今回の攻撃は「メッセージ」として軽微な被害をねらっただけのようです。北朝鮮はかたずを飲んで状況を見ているでしょうね。
Aerospace Daily & Defense Report

Pentagon Says All 59 Tomahawks Hit Syrian Targets

Apr 7, 2017James Drew | Aerospace Daily & Defense Report

トマホーク攻撃で「約20機」のシリア航空機を破壊したとペンタゴンは言うが、ロシアはMiG-23の6機が被害を受けただけと発表。U.S. Navy

  1. ペンタゴンによればレイセオン製トマホーク陸上攻撃巡航ミサイル59発が4月7日にシリアのシャリアート空軍基地に発射され、60発目は発射中止された。発射されたミサイル中一発は標的を外したが、残りは狙い通り着弾した。
  2. 地対空ミサイル陣地1、レーダー、航空機20他弾薬庫および化学兵器貯蔵施設の疑いのある箇所が損傷あるいは破壊された。
  3. というのが国防総省の評価である。ペンタゴンでは報道記者会見で係官二名が匿名で対応し海軍が実施した攻撃は100%正確だったと述べ、「59発が命中したのは確実」と説明。
  4. 同上発言と偵察写真を見ると59発中命中は23発で被害は修理中MiG-23の6機だけとのロシア国防省発表の信憑性が疑われる。ロシアは米攻撃の効果は著しく低かったと発表している。ロシアにはシリア攻撃を事前に通告しており、ロシアの防空システムはトマホークミサイルの通過飛行に反応していない。シリア運用のソ連時代の地対空ミサイルは低空飛行するトマホークを捕捉できず逆にミサイルの標的となった。
  5. トマホークミサイルの単価は1ないし1.5百万ドルなので攻撃全体で61百万から92百万ドルとなり費用対効果は高いとペンタゴン関係者は述べている。
  6. 「シリアの子どもたち何人が61百万ドルで命を救われることになるのでしょうか。市民数百人、数千人が化学兵器、樽爆弾や高性能爆発物の犠牲になっています。そのため抑止力が必要であり今回それを実施したわけです」(情報機関関係者)
  7. トマホーク攻撃の準備は4月5日に開始された。同日にトランプ大統領からジェイムズ・マティス国防長官に軍事行動で前日に報道された化学攻撃に対抗する選択肢の提示が求められた。2013年のダマスカス事件以来最大規模の化学攻撃であり、さらに現地で医療活動にあたる病院が爆撃されたことで被害が拡大していた。
  8. 選択肢には海軍艦砲による精密射撃等があり国家安全保障会議が検討ののち、有人戦闘機や爆撃機による攻撃よりも米軍の人的損害が低いためミサイル攻撃案が選択された。4月6日に大統領に選択案が提示された。同日午後4時30分頃、中国主席をフロリダでもてなしながら、トランプ大統領は軍首脳にトマホーク攻撃の実施を命じた。四時間後にロシアは航空基地への攻撃が間近に迫っていることを通知され、USSポーターとUSSロスがミサイルを発射した。
  9. 両艦は第六艦隊所属でスペインのロタから展開しミサイル発射地点に前日到着し、実施命令を待っていた。
  10. シリア目標にミサイル各弾が到達したのは4月7日現地時間午前3時から4時にかけて。機密解除された画像では一部標的に大きな破裂痕や穴が見られる。米関係者によれば正確な損傷状況は評価中とのことだが、20機以上の航空機に損害を与え、ロシアへの通知後四時間に渡り航空機離陸は一切見られなかった。滑走路は攻撃対象から外された。今回投入された弾頭では破壊効果が期待できないからだ。
  11. 攻撃時間は奇襲効果を狙って設定されたが、夜間であり民間人が付近にいる可能性が低いことが理由だ。
  12. 同基地にはロシア人12名から100名が配置されていたとの評価があるが、一名も死亡していない。だがシリア軍関係者数名は死亡している。
  13. ロシアはシリアでの武力衝突回避用の通信を遮断すると発表してきた。米関係者はこれを否定し、通信回線はまだ生きているという。
  14. ペンタゴンは4月4日の化学攻撃時に使用された固定翼機の正体はまだ判明していないと述べている。攻撃直後に救援活動中の病院を監視した小型固定翼無人機の所属も不明だ。攻撃時に同機は病院の周囲を飛行して、その後いなくなったが、五時間後の病院爆撃時には現場に戻っていた。
  15. ペンタゴンは3月30日に化学攻撃があったと見ていた。シリア軍が反乱勢力による攻勢を受けて苦し紛れに化学兵器を投入したと見ていた。シャイラート基地は化学兵器の製造貯蔵が長年行われている場所だ。2013年のダマスカス攻撃を受けてロシアはオバマ政権に対して今後はシリアの化学兵器の除去無力化に協力すると約束していたが、明らかに備蓄されていたのだ。
  16. 「ロシアはシリアの統制に失敗しています」と同上情報関係者は述べた。「注意深くロシアが化学兵器運用の手助けをしたのか、あるいは事実を知っていたのかの評価を続けています」■

2017年4月7日金曜日

4月7日のシリア空軍基地攻撃に発射されたトマホークは計59発だった


第一撃は化学攻撃の出撃基地を限定的に狙ったものでした。今後どこまで拡大するのかが関心事ですが、シリアが、またロシアが同対応するのか、またイランにも注意を払わねばなりません。アサド政権は墓穴をほったことになるのでしょうか。


VIDEO: U.S. Destroyers Fire 59 Tomahawks on Syrian Airfield in Retaliation for Chemical Attack

April 6, 2017 9:55 PM • Updated: April 7, 2017 12:04 AM


  1. 米海軍誘導ミサイル駆逐艦二隻がトマホーク陸地攻撃ミサイル59発を発射し、シリア航空基地を攻撃した。同基地がシリア北部を襲った化学攻撃の拠点だと複数の軍事筋がUSNI Newsに木曜日夜に語った。
  2. 駆逐艦USSポーター(DDG-78) およびUSSロス(DDG-71) が東地中海から4月7日午前4:40、東部標準時午後8:40にシリア攻撃を開始したとペンタゴンが発表。米ロ間の取り決めで米側からロシアに巡航ミサイル発射の事前通告があった。
  3. トマホーク巡航ミサイルによる攻撃は化学攻撃の航空機が発進したと思われるアルシャイラット空軍基地をねらった。
  4. 「今晩、軍に化学攻撃の拠点と思われる空軍基地の攻撃を命じた」とドナルド・トランプ大統領は声明を発表した。「国家安全保障上、米国の権益に死活的な意味があり、致死性のある化学兵器の拡散を食い止める意味もある。シリアが禁止令を無視し化学兵器を投入したことは間違いなく、化学兵器禁止条約に違反しただけでなく国連安保理にも逆らっている」
USSロス(DDG-71)がトマホーク陸地攻撃ミサイルを発射している。 April 7, 2017. US Navy Photo
  1. ペンタゴン報道官デイビス大佐は声明文で「今回の攻撃はトマホーク対地攻撃ミサイル(TLAMs)を駆逐艦USSポーターおよびUSSロスから東地中海から発射した。合計59発のTLAMsを航空機、強化航空機掩体壕、石油補給物資集積地、弾薬補給所、防空施設、レーダー拠点を目標に発射した。いつも通り米軍は民間人死傷者の発生を防ぎ、武力衝突原則に則って行動している。航空基地内の人命損傷を最小限にすべく最大限の注意を払った」
  2. 「今回の攻撃はアサド政権の邪悪な行為に対応するもの」と声明文にある。「シャイラット基地は化学兵器貯蔵とともにシリア空軍装備の格納に使われていた。米情報機関による評価ではシャイラットを発進した航空機が4月4日の化学兵器攻撃に使われている。今回の攻撃で同政権が再度化学兵器を投入しないことを狙っている」
  3. 米軍関係者からUSNI Newsに対しシリア国内のロシア軍にはミサイル攻撃の前に警告が与えられているとわかった。国務長官レックス・ティラーソンは声明文にてモスクワから攻撃の了承は取っていないと述べている。
Image courtesy of the Defense Department.
  1. 上院外交情報活動委員会所属のマルコ・ルビオ議員(共、フロリダ)はCNNのアンダーソン・クーパーに「これはメッセージにはならないだろう。これは戦術行動でさらに重要な目標を目指す一歩と見ている。アルシャイラット基地が化学攻撃の拠点で同時に北部シリアでISIS以外の反乱勢力を鎮圧する拠点になっている。そこで今回の措置は重要な一歩だ。単なるメッセージではなく、シリアの化学攻撃実施能力を削ぐ意味があり罪のない一般市民の殺戮を防ぐ。政権の空からの攻撃能力を削ぎ、望むらくは戦略方針を総合的に進めてシリア国内の混乱状態に終止符を打ちたい」と述べた。
  2. さらに大規模攻勢があるのかとの問にルビオ議員は「今回の成果で全てだとは思いませんが、同基地が化学攻撃の実施場所で将来の攻撃実施場所にもなると見ていたのは事実で罪のない一般市民を標的としたアサド政権は一方で支配地域を確保しながら国土を奪還出来ていないのです」と語った。
  3. シリア西部に展開するロシア軍についてルビオ議員はCNNに「今回の攻撃の対象ではなかったはずだがもしロシアが地上でアサド政権を支援し忌まわしい犯罪行為に手を貸していれば戦争犯罪に加担することとなり、当然の報いを受けるべきですし、自ら危険な道にはまりこんでいたわけです。ロシアの立場は馬鹿げていると思いますよ。真剣な顔をして化学兵器は反乱勢力の所有物だといっているのですから。全くおかしな言い分ですよ。三番目にロシアは今回立場がわるくなっていますね。世界に対して神経ガスは存在しないといい切ってきたのですから。化学兵器もシリア国内にはないと言っていました。こちらはアサド政権が塩素爆弾を一般市民を狙って投下しているのを知っておりますし、ついにサリンまで投入したわけです。ロシアはアサドをかばうあまり、アサドは図々しくついに化学攻撃を実施してしまったわけです」
USSロス(DDG-71)がトマホーク陸地攻撃ミサイルを発射している。 April 7, 2017. US Navy Photo
  1. 上院軍事委員会委員長ジョン・マケイン議員(共、アリゾナ)および委員のリンゼイ・グラハム議員(共、サウスカロライナ)からは次の声明文が発表された。「当方は今夜実施されたシリア攻撃に関し米軍関係者の技量およびプロ意識に賛辞を送る。最高司令官の命に従い、米国はもはやアサドを看過できない、プーチンのロシアに支えられたアサドがシリア市民を化学兵器や樽爆弾で殺傷するのを放置できないとの意思表示ができた。前政権と異なり、トランプ大統領はシリア情勢の重要局面に直面し、行動を選択した」
  2. 「大統領は全米国民の支援を期待してよい。今夜の作戦は第一歩で、最終的に歴史の教訓を学び、戦術的成功が戦略的進展につながる局面を目撃することになる。つまり新しい総合的戦略方針を同盟諸国と共有し、シリア内戦を終結させるのが目的だ。第一歩としてアサドの空軍力を壊滅させる。空軍が今回の化学攻撃以外に数知れない残虐行為をシリア国民を対象に実施してきた。飛行そのものを不可能にする。またシリア国内反乱勢力への支援を強化し、安全地帯を確立し現在進行中の人道上の危機状態を解消する。またISISについては最後の敗北まで作戦を継続していく」
USS Porter (DDG-78) on Jan. 6, 2017. US Navy Photo
USSポーター (DDG-78)  Jan. 6, 2017. US Navy Photo

以下はペンタゴン報道官ジェフ・デイヴィス大佐発表の声明の全文。

 大統領指示により米軍は巡航ミサイル攻撃をシリア空軍基地に対し本日東部標準時8:40 p.m. EDT (シリア現地時間4月7日4:40 a.m.)に実施した。攻撃目標はシャリアット空軍基地でホムズ地方にあり、シリア政府が化学兵器による攻撃を4月4日にハンシーホウンに行い、罪のない女性子供含むシリア国民数百名の殺害障害に対応するものだ。
 今回の攻撃にはトマホーク陸地攻撃ミサイル(TLAMs)を駆逐艦USSポーターおよびUSSロスから東地中海上から発射した。合計59発のTLAMsは航空機、強化航空機掩体壕、石油補給物資貯蔵地点、弾薬補給所、防空施設およびレーダーを目標とした。今回も米側は特別の注意を払い民間人死傷者の発生を未然に防ぎ、武力衝突法に則って行動した。考えられる注意事項をすべて実施し、目標地点の人的損傷を最小限に抑えた。
 今回の攻撃はアサドが行った非人道行為に呼応するものだ。シャイラット空軍基地が化学兵器貯蔵場所となり、シリア空軍が運用している。米情報機関の評価により同基地から4月4日の化学兵器空爆が実施されたと判明している。今回の攻撃は同政権にこれ以上の化学兵器使用をさせないための攻撃だった。
 ロシア軍には攻撃を事前通告しており、ロシアあるいはシリアの軍関係者の生命を無駄に奪うことのないよう事前に配慮した。
 攻撃効果は今後評価検討する。一次報告では攻撃によりシリア航空機に甚大な損害が生まれており、支援施設やシャリアット基地の装備にも同様の効果があり、シリア政府の化学兵器運用能力は低下した。一般市民への化学兵器の使用は看過できない。■

★★F-15+F-22編隊が仮想敵機と交戦したら41-1で大勝



戦闘機命派には胸のすくニュースでしょうね。ただし今回の演習の条件、敵機役の機種は不明ですし、条件は近接航空戦の想定だったようですね。いずれにせよ現役戦闘機各機種を組み合わせて運用する構想の有効性が実証されましたね。そこでF-15が引退したらどうなるのでしょうか

Combined Force of 4 F-15s and 4 F-22s achieves 41-1 kill ratio against 14 “Red Air” fighters at WSEP


F-15、F-22各4機合同部隊が41-1キルレシオで「レッドエア」14機編隊に対抗したWSEP演習成果発表へのコメント
Apr 04 2017

  1. ラプターとイーグルの混合編隊が敵に数的に劣勢でも問題なく威力を証明した。

  2. ウェポンシステムズ評価事業 Weapons Systems Evaluation Program (WSEP) でフロリダのティンダル空軍基地に派遣されたのはマサチューセッツ州軍航空隊(ANG)の第104戦闘飛行隊のF-15イーグル9機だ。
  3. 「コンバットアーチャー」として知られるWESPは空対空演習で第53ウェポンズ評価集団が主催し、空対空戦技術やウェポンシステムズの実効性引き上げを目指す。実弾ミサイル発射は戦闘機パイロットに貴重な機会だ。
  4. 「WESPの狙いは二点」とジェフリー・リヴァース大佐(第83戦闘機隊司令)は米空軍公表資料で述べる。「戦闘航空部隊(CAF)に練習と即応性維持の機会となります。乗員の知見を維持し、ミサイルを発射したらどうなるかを五感で学ばせます。シナリオは現実を直接反映している点で通常訓練と同じですが、実目標に実弾を発射する点が違います」
  5. コンバットアーチャーで使うミサイルは弾頭を外し遠隔データ送信装置をつけている。AAMはメキシコ湾上空でMQM-107Dストリーカー他各種無人標的機に発射される。QF-4は最近引退した。
  6. マサチューセッツANGのイーグル編隊はのべ221ソーティー中212ソーティーで機関銃合計14,461発を発射し、各銃は100パーセント作動し、ミサイル17発が目標捕捉し命中率は83%だった。
  7. 「ティンダル基地展開には課題がふたつありました。まずWSEPでキルチェーンの演習と実効性の確認が主眼で、ミサイルが目標を確実に撃破するのを見ました。二番目に大規模展開演習としてイーグル4機編隊の訓練を行いました。演習は敵に数で劣勢なシナリオで演習最終日には当方のイーグル4機とF-22四機編隊が『レッドエア』戦闘機部隊14機と交戦しました。訓練想定でレッドエアには被撃墜後も生き返る設定としました。最終結果はブルーエアは敵機41を撃墜し、損失は一機だけでした。大きな成果ですが、完璧をめざすのが目標で、デブリーフィングはどうしたら41-0が実現するかが中心でした」
  8. 目を引く成果だ。ROE(交戦規程)やシナリオ、敵の構成、シミュレーション条件などは不明だが。イーグル/ラプター編隊の相手がどの機種だったのか、アメリカ最強のニ機種がどのように協調して敵機をすべて撃墜したシミュレーションなのかも知る由もない。
  9. 撃墜被撃墜率からWVR(視程内)の直接交戦だったのではないか。ただしBVR(視程外)航空戦が将来の主流になりそうだ。この場合航空優勢は明確に確保できない。
  10. ステルスF-22が対抗軍の情報を収集、融合、配給した状況認識を高性能敵勢力との交戦に投入した。ステルス性こそないがF-15搭載のAESA(アクティブ電子スキャンアレイ)レーダーの威力が実証された。
  11. 仮想敵編隊の機種は不明と書いたとおりだが「ティンダル空軍基地のエプロン上には104飛行隊の他にカナダCF-18、F-35、F-16、F-22があった」と空軍報道資料にある。この一部がレッドエア役だったのだろう。

Top image: file photo of a U.S. Air Force F-22 and F-15, 104th Fighter Wing, flying together during Cope Taufan 14 exercise.


次期給油機で脆弱性の改善が急務となっている米空軍


それだけ現在運用中の給油機の脆弱性が注目されているわけです。そうなるとKC-46AやKC-767も早期に陳腐化しかねませんね。

DefensetechWith Pegasus Barely Out of the Nest, Air Force Mulls New Foreign Tanker ペガサスがやっと実用化しようとする今、米空軍は次期給油機に海外機材も排除しない
POSTED BY: ORIANA PAWLYK APRIL 5, 2017


NASAの新型航空機ホライゾン事業は米空軍航空機動軍団も注視している。同事業の「Xプレーン」はハイブリッド機でターボファンエンジンを機体後部上に搭載し、二枚の尾翼でエンジン騒音を地上に撒き散らない構想だ。 (Credit: Boeing via NASA.gov)


最新給油機KC-46Aペガサスの初飛行から二年しかたっていないが、米空軍はすでに次の給油機の設計案をまとめようとしている。航空機動軍団司令官が4月5日述べている。
  1. 「競争から優秀な機体が生まれる」とカールトン・エヴァーハート大将がワシントンDCの国防記者朝食会で述べている。「競争から価格低下も生まれるので競争は大歓迎だ」
  2. 空軍は昨年9月末現在で給油機489機を運用し、うち236機が空軍本体、181機が州軍、72機が予備機材だ。このうち大多数はKC-135各型でKC-46が後継機となる。
  3. KC-XがボーイングKC-46Aとなり、179機を450億ドルで調達するが、その次に各社競作によるKC-YとKC-Zが来る。
  4. 空軍関係者からは将来機材はKC-46の改修型になるかもしれないとの発言があるが、エヴァーハート大将は全くの新型機の採用も除外せず、海外メーカー機材の採用も排除していない。ということは海外製給油機が米空軍に採用されるのか。
  5. 同軍団は将来の給油機の性能要求をまとめている段階と同大将は先月空軍協会の年次シンポジウムで発言し、研究内容は次期給油機に反映されるという。
  6. 「非常に興味を覚える分野でNASAがまとめたグリーンホライゾン事業を最近見たところ」と新型航空機ホライゾン事業で「グリーンな」あるいは環境に優しい航空機の実現構想に触れている。同事業は燃料消費を押さえ、排気ガスを75パーセント削減する目標だ。
  7. 「ハイブリッド構造の主翼をFedExに提言しており、同社も同様の技術を燃料効率の改善や性能面で話題にしており、高速飛行も関心事だ」(エヴァーハート大将)
  8. 同大将は将来の給油機の残存性に高い優先順位をおき、給油機こそ戦闘機や爆撃機が敵領空内で作戦する中心だと重視している。選択肢はひとつは給油機のレーダー断面積を最小限にすることだ。
  9. 給油機に「ステルス」塗料は必ずしも必要ではない。エヴァーハート大将は「ステルス給油機」は「波形制御」でレーダー探知性を下げて防御できるはずと述べている。
  10. 敵側は第五世代戦闘機の所在を正確につきとめられなくても給油機からの燃料補給は簡単に探知できる。KC-135はKC-10は第一世代技術の応用だからだ。
  11. 「敵からすれば第五世代機のかわりに第一世代機を探せばよく、空中給油できなければ敵の勝ちだ」(エヴァーハート大将)
  12. 次世代機にKC-46改修型あるいは全く新型の機体が考えられると同大将は見ている。「つなぎとなる機材がKC-46B型だろう。残存性実現のため必要な性能は何なのか、今後の世界で必要な性能は何か」
  13. ただ全くの新構想も最初から除外すべきではないと同大将は言う「767-300に747の主翼をつけ大型エンジンで燃料消費効率を改良し、航続距離を伸ばす構想もあるだろう」
  14. 検討は今年夏に完了の予定で航空機動軍団はその結果をメーカー各社に示し何が期待できるかを聴取すると同大将は述べた。「30年後あるいは20年後に何が起こるか各社はわかるはずです」とエヴァーハート大将は述べた。■

2017年4月6日木曜日

緊急予測 米中首脳会談の主要議題トップは当然北朝鮮、では残りは?

チベット問題、人権問題は中国にとって触れてもらいたくない問題、それだけ弱みのある問題です。今週末の米中首脳会談の日本国内報道でこれが取り上げられるかが日本メディアの敏感さ、中国への忖度の試金石になりそうですね。

The National Interest


U.S.-China Summit: The 4 Big Issues Donald Trump and Xi Jinping Will Discuss 米中サミットで両首脳が競技するはずの4つの論点

April 5, 2017


金曜日午後のドナルド・トランプ大統領と習近平主席の首脳会談で議題のトップは北朝鮮のはずだ。

「中国主席とフロリダで会談するが、北朝鮮問題は両国の責任だ」とトランプは水曜日ホワイトハウスで記者会見中に述べた。
トランプは前任のオバマ大統領が北朝鮮の戦力拡大を黙認したと言いたいようだ。
「大きな問題だ。すべきことをしなかった人物があり、今や自分の責任になった」とトランプは述べ、北朝鮮独裁者金正恩に言及した。「一年前にしかるべき対応をしていればこんな事態にならなかかったのです」
ホワイトハウス関係者からは首脳会談では他にも議題はあるとし、貿易問題に触れている。
会談は金曜日から土曜日にかけ、トランプ所有のマーララゴ別荘地で行われ2人はお互いを直接知る貴重な機会となる。
「中国はここまで来てトランプの器を測ろうとするが、中国にとっていままでの大統領と全く異なり、オバマのように簡単に扱えるような人物ではない」と専門家は見る。
ではトランプと習が話すはずの内容を見てみよう。
北朝鮮:

今週も北朝鮮がミサイル試射を行い、日本海を目標としたが失敗だったようだ。2月にもテストしており、2016年にも多数行っている。北朝鮮の指導者金正恩は長距離核兵器搭載ミサイルを開発し米本土を後数年で標的におさめようとししているという。
「トランプは北朝鮮問題では中国に強気です。別に助けは要らないと言っていますが、実は必要なのです」とウォルター・ローマン(ヘリテージ財団アジア研究センター所長)は言う。「話し合いの時間は終わっています。米国は中国が協力しないのであれば中国企業に制裁を課すでしょう」
ホワイトハウス高官は記者団に本問題の緊急性を語り、「時間は急速になくなりつつある」と警鐘を鳴らし、「中国の経済面での重要性を鑑みると一番望ましいのは中国が国連制裁や決議を完全実施することだ」
中国は北朝鮮対象の国連安保理討議を止めてきた。韓国がTHAADミサイル防衛装備を自国内に展開すると決めるや、中国は韓国に対して経済外交軍事面で制裁の脅かしをかけている。
貿易:
現政権は中国への経済依存を認識しつつ、両国間の交易は「相互に恩恵がある」と見ている。
「トランプ大統領は2国間の経済関係が非常にバランスを欠いていることを問題視し率直かつ生産的な形で解決したいとしている」とホワイトハウス高官は述べている。「トランプ大統領は習主席に公平な経済関係実現の重要性を述べるはず。中国とは建設的な形で貿易赤字削減とともに米企業に公平な参入環境の実現を求めていく」
3月公表の米貿易代表部資料によれば米貿易赤字は2000年から2016年にかけ3170億ドルから6480億ドルと倍増しており、「中国との財およびサービス赤字は2000年の819億ドルから2015年に3340億ドルに急増した」という。中国は世界貿易機関WTOに2001年に加盟している。

南シナ海:
昨年末に中国は南シナ海で人工島を拡張したうえに米海軍の無人水中機を捕獲した。
「米国は今後も国際法の枠内で艦船航空機の航行を続ける。この議題が会談に出るのは当然だ」とホワイトハウス関係者は記者団に語っている。「前政権中に発生した事態に大統領が憂慮しているのは公然の事実で、大統領は看過できないと公式に発言している」
これもオバマ政権時の失策とされ、中国の主張を看過したと現政権が主張している。「中国は米指導部を注視し、指導力の欠如は破壊的結果を招いてきた」というのが専門家の見方だ。

信仰の自由と人権問題:
同専門家はトランプが中国のチベット国内でのウイグル族処遇に対し強く発言すべきだと述べ、国内人権グループも同じく批判している。
トランプが包括的に中国の人権面での劣悪な実績を直接取り上げるとの期待がある。ホワイトハウス幹部もこの問題へ言及があるはずと述べている。
「大統領の取り上げる論点を先に全部言うつもりはないが、人権問題はアメリカ人は看過できない」とし、「同盟関係の基本、国内の繁栄を形作る基本ととらえており、人権問題は両国関係で今後も無視できない」と述べている。
Image Credit: Creative Commons.