2017年6月18日日曜日

駆逐艦フィッツジェラルド艦内で行方不明水兵の遺体見つかる



USSフィッツジェラルド(DDG-62) がFleet Activities (FLEACT) Yokosukaに回航された。同艦は6月17日に横須賀南西地点で作戦中に商船と衝突した。 US Navy PhotoNavy Finds Remains of Some Missing USS Fitzgerald Sailors in Flooded Spaces

 By: Sam LaGrone
June 18, 2017 4:42 AM


行方不明だった乗員の遺体が6月18日早朝にUSSフィッツジェラルド(DDG-62)艦内で見つかったと第七艦隊広報官がUSNI Newsに伝えてきた。

発見場所は同艦の兵員居室で浸水していた。

一部報道が行方不明7名全員の遺体が見つかったと報じているが、同報道官は正確な遺体数は遺族への通知が終わるまで発表しないという。

第七艦隊が6月18日に発表した声明文は以下の通り。

YOKOSUKA, Japan (NNS) —
USSフィッツジェラルド(DDG-62)と民間商船の衝突で行方不明になっていた水兵の遺体数体が見つかった。
捜索救難チームが衝突で損傷を受けていた艦内に入り、行方不明の水兵数名を浸水した兵員室で発見した。遺体は横須賀海軍病院に移送し身元確認を行う。
該当する遺族には連絡中で必要な支援を提供する。各水兵の氏名は遺族連絡が完了した段階で発表する。

もし戦わば(16)ヴァージニア級対ヤーセン級、米ロ最新鋭原潜が対決したら勝つのは?


 

Russia vs. America Underwater: What if the World's Two Best Submarines Went to War? 

ロシア対アメリカ水中戦、両国の精鋭潜水艦が対決したらどうなるか


June 14, 2017

  1. 米海軍の潜水艦部隊は冷戦を経て海中で圧倒的な存在になった。全隻原子力潜水艦で構成したエリート部隊は競争相手だったソ連潜水艦部隊が停泊されたまま錆びるに任せているのと対称的だった。新生ロシア連邦は原子力潜水艦部隊の維持をする余裕がなかった。
  2. 米潜水艦の独壇場が20年ほど続いているが新たな挑戦が深海からやってきた。米海軍の優越性に挑むのがロシアのヤーセン級潜水艦で米海軍の主力ヴァージニア級と対決したらどうなるか。
  3. ヤーセン級潜水艦は1980年代中頃にマラヒト中央設計局による構想で一号艦セヴェロドヴィンスクの建造は1993年に始まったが資金不足のため作業がほぼ10年にわたり遅れた。2010年に進水にこぎつけ艦隊編入は2013年だった。
  4. 全長390フィート、排水量13,800トンのヤーセン級の乗員は90名で同程度の米潜水艦より少なく、高度の自動化をうかがわせる。艦形は以前のアキュラ級に似るが司令塔以降が延長され垂直発射管を備えている。権威あるCombat Fleets of the WorldによればOK-650KPM原子炉を一基(出力200メガワット)と十分な動力を確保し水上16ノット、水中31ノットとしている。別の報道では水中35ノットとするものもある。20ノットで静粛潜航が可能だ。
  5. セヴェルドビンスクが搭載するセンサー装置はイルティシュ-アムフォラ製で、艦首に球状ソナーアレイ、艦側部にソナーアレイ、艦尾にえい航式ソナーを搭載する。航法捜索用にはMRK-50アルバトロスレーダーがありリムハット電子支援対抗装置もある。
  6. 武装は標準的な533ミリ魚雷発射管4本と別に650ミリ発射管も4本ある。ホーミング魚雷と3M-54クラブミサイル(対艦、対地、対潜に対応)を運用する。sらに垂直発射管が24本あり、P-800オニクス超音速ラムジェット対艦ミサイルが使える。
  7. これに対してヴァージニア級潜水艦は少数建造に終わったシーウルフ級の後継艦として価格の妥当性にこだわる。現在ヴァージニア級が米海軍潜水艦部隊の主力になりつつある。
  8. 全長377フィートのヴァージニア級はヤーセン級より13フィート短いが排水量は半分だ。乗員は113名でジェネラルエレクトリック製SG9原子炉一基を搭載し、従来のプロペラではなくポンプジェット方式推進だ。水上25ノット、水中35ノットといわれ、25ノット航行でも十分静粛だとされる。
  9. ロシア艦同様にヴァージニアの主ソナーも球状で船首につく。ただしブロックIII建造分からBQQ-10ソナーのかわりにU字型の大型開口艦首ソナーを搭載する。補助として艦の両側部にアレイをつけ、軽量広範囲開口アレイと呼ぶ。これは光ファイバーによる聴音装置でディーゼル電気推進式潜水艦の探知を狙う。後方の監視にはTB-29(A)えい航式パッシブアレイを使う。司令塔と艦首下には高周波ソナーアレイを付けており、機雷を探知し回避できる。
  10. ヴァージニア級の武装は533ミリ魚雷発射管が4本のみでMk.48高性能(ADCAP)大型ホーミング魚雷とUGM-84サブ-ハープーン対艦ミサイルを水上艦攻撃に使う。初期型はトマホーク陸地攻撃ミサイル12本を垂直発射管に搭載していたが、その後ブロックIIIから円筒型発射管二本になり、さらにブロックV以降は発射管を増やしてトマホーク40発を搭載する。
  11. 現在建造中のブロックIIIヴァージニア級がセヴェロドヴィンスクと一対一で他決したらどちらか勝つのか。両艦とも潜水艦技術の粋を搭載し相手国を意識している。良い勝負になるだろう。セヴェロドヴィンスクが水中速度がやや低いが潜航深度が大きい。ヴァージニアは高速だがCombat Ships of the Worldによれば艦体の最高深度テストは488メートルだという。ヴァージニアはソナー探知能力で優れている。これは新型大型開口艦首ソナーによるところが大きい。
  12. 兵装では両艦はほぼ互角だ。ただしセヴェロドヴィンスクにはクラブミサイルの対潜用があるので敵潜水艦に対して軽量魚雷をミサイルで迅速にふりむけることができる。この方式は米サブロックシステム(退役ずみ)に似ている。
  13. ヴァージニア級は静粛性で優れソナー性能もロシア艦より優秀だ。潜水艦戦ではこの二つがそろうと無敵だ。移動しながらセヴェロドヴィンスクを探知するだろう。逆にセヴェロドヴィンスクは敵を急に探知してもクラブASW超音速ミサイルを発射して対応可能だ。近い将来にはヴァージニア級の改修ソナー性能がソフトウェアアップデートと一緒に実用化されるはずだが、セヴェロドヴィンスクではソナー性能の改修は無理でも静粛化対策は簡単に実施できるはずだ。総合するとヴァージニア級が有利だ。
  14. 長期的には両艦の競合関係では無人水中機など新技術が導入されるはずだ。米国が冷戦終了後は潜水艦戦に本腰を入れてこなかったのは事実だ。これは9/11後でも同じだ。だが米国が再び大国との対決に目を向け始めた中で米潜水艦部隊は再びロシア艦を出し抜きそうである。■
Kyle Mizokami is a defense and national security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.



THAAD陣地を撮影していた北朝鮮のUAVのカメラは....


韓国では毎度毎度のことなのかもしれませんが気になるのでお伝えします。まずJane's Defense Weeklyが簡潔に伝えています。

  
韓国で見つかった北朝鮮UAVにはカメラが付いていた。発見場所は韓国東部で軍事境界線近く。韓国国防部が6月12日に発表した。Source: South Korean MND

 

South Korea finds suspected North Korean UAV near border 

北朝鮮付近の地点で韓国が北朝鮮所属と疑われるUAVを発見

 Gabriel Dominguez, London - IHS Jane's Defence Weekly
13 June 2017


  1. 韓国内で北朝鮮のものと思われるカメラを搭載した無人機(UAV)が北朝鮮国境に近い東海岸で見つかったと韓国国防省が6月12日発表した。
  2. 韓国統合参謀本部(JCS)によればUAVの大きさは全長1.8メートル、翼幅2.4メートルで江原道インジェ山中で発見された。2014年に韓国が占拠する黄海白ニョン島で見つかったUAVと類似している。
  3. 「白ニョン島で見つかったUAVにもカメラがついていた。今回の機体のカメラと同種類か分析中だ」とJCSは説明し、解析に約10日かかるという。
  4. 聯合通信はインジェ地元住民から「小型飛行物体」を発見したと連絡があり、軍関係者が現地入りしていたと6月9日に報じていた
  5. 今回のUAVをレーダー探知できていたかは不明。■

ちょっと淡泊な伝え方ですね。今度はDefense Newsを見てみましょう。

Suspected North Korean drone photographed US missile defense site

北朝鮮無人機は米ミサイル防衛陣地を撮影していた

 By: Hyung-jin Kim, The Associated Press, June 13, 2017 (Photo Credit: South Korean Defense Ministry via AP)

SEOUL, South Korea — 北朝鮮所属と疑われる無人機が韓国国内で見つかったが、墜落前に米ミサイル防衛装備を撮影していたと韓国国防部が発表した。
  1. 今回の発見は北朝鮮が対艦ミサイル4発を発射してから4日後のことで新大統領文在寅の北朝鮮対策を一層複雑化している。
  2. 無人機がみつかったのは軍事境界線近くの地点で調査チームは機体ないでソニー製カメラに数百枚の写真を見つけた。
  3. うち10枚が南東部星州に展開中の米THAADミサイル発射装置とレーダー装備だった。残りは住宅地や農耕地と機微情報と言えない対象だった。
  4. 無人機は北朝鮮に戻る前に燃料切れで墜落したようだ。解析をさらに進め、THAAD陣地を撮影した10枚が送信されたかも調べる。
  5. 北朝鮮は無人機に力を入れていると韓国は注目し、北朝鮮軍には無人機300機近くがあるという。2014年には北朝鮮無人機数機が韓国内で見つかっている。専門家によれば機体はローテクだが安全保障上の脅威になる可能性は排除できないという。
  6. これに対し今回見つかった無人機は双発エンジンで前回見つかった単発エンジン機より航続距離も長いと韓国国防省は指摘。北朝鮮が無人機部隊の戦力向上を図っていることが分かる。
  7. 2014年に見つかった無人機にも日本製カメラが搭載されており、韓国大統領官邸青瓦台他を撮影していたと韓国は説明。ただし調査の結果、画像はリアルタイムで送信していないと判明した。
  8. 一方で韓国軍によれば北朝鮮兵士一名が地雷原を徒歩で縦断し亡命してきた。韓国統合参謀本部の発表では亡命の動機を尋問中。■
気を抜くことができない韓国内の緊張状態は大変ですね。それだけに韓国内にとりたてて緊張感がないと伝わると日本では理解しにくいのです。一方で韓国の学校で朝鮮戦争は日本を相手に戦って韓国が勝利したとの誤った教育を本当にしているのなら将来が心配ですね。SONYのカメラなど生々しい内容は日本では報道していないのでは。


歴史に残る機体(13) MiG-21


歴史に残る機体13はMiG-21です。途上国には使い勝手がいい機材なのでしょう。今後3Dプリンターによる部品供給の流通市場が生まれれば、本当に100年飛行する機体になっていてもおかしくないでしょう。性能ではなく存在そのものが重要という需要もあるのですね。それにしてもロシアは中国に何回もコピーの苦汁を飲まされていますね。(ロシアもB-29で前科があるのですが)

 

Russia's MiG-21: The Fighter Jet That Could Fly for 100 Years? 

MiG-21は100年間飛ぶのか



June 16, 2017

  1. 軍用機の稼働期間は概して短い。技術進歩のペースが早いと短命になりやすい。第一次大戦の精鋭戦闘機は数か月で旧式になった。第二次大戦でも大差なく、ジェット黎明期の技術進展が目まぐるしく機種全体が過去の遺物になる例も出現している。
  2. だが時の流れに負けない機体も数少ないがある。B-52ストラトフォートレスの初飛行は1952年だが今日も現役だ。C-130の生産も続いているが原型の運用開始は1954年だ。
  3. だがこれは爆撃機、輸送機で戦闘機ではない。戦闘機には耐用年数の問題がある中で新型機出現すれば対応が課題となる。このため供用期間が長い戦闘機はまれだ。
  4. 例外がMiG-21[フィッシュベッド」だ。

成り立ち
  1. MiG-21の初期検討は1953年にはじまった。MiG-15やMiG-17の成功でソ連の航空技術陣は西側機材に対抗できる自信がつき、MiG-19で初の超音速機を実用化した。ただし技術が急速に進化し、朝鮮戦争時の第一線機も1950年代半ばには旧式化していた。B-29ならMiG-15で蹴散らせても、米新型爆撃機では事情が違っていた。ソ連はMiG-21で航空優勢の確保を目指した。
  2. MiG-21(NATO名フィッシュベッド)はマッハ2.0超で飛び、機内に機関砲一門、ミサイルを2発から6発まで搭載し、ミサイル搭載の皮切りとなった。MiG-21も対地攻撃任務に投入され少量の爆弾ロケット弾を運用する。ソ連方式でMiG-21は地上管制により運用されたので大型レーダーは不要とされた。
  3. ソ連は合計10,645機を1959年から1985年にかけ生産し、インドがライセンス技術移転で657機を、チェコスロヴァキアも194機をライセンス生産している。状況が異なるのは中華人民共和国で、機材と技術文献を入手後、リバースエンジニアリングで成都J-7/F-7を2,400機、1966年から2013年にかけ生産している。全部見れば世界でもっとも大量生産された超音速機である。

供用期間の長さ
  1. MiG-21では現場で基本問題の多くを解決している。最新の戦闘機でもMiG-21より高速で、機体操縦性がすぐれるものは少ない。現在の戦闘機は兵装搭載量が増え、高性能電子機器を搭載するが、多数の空軍部隊にとっては高性能機材はぜいたくそのもので、安価で高速かつ維持が簡単で自国領空を守り時には爆弾数発を投下できる機材を求めている。フィッシュベッドはこうした要求に最適だ。
  2. 西側諸国ならフィッシュベッドは有益な機材とならないのは確かだ。航続距離が短く、搭載兵装量は低く、高性能電子装備の収容スペースもない。コックピット形状はパイロットの状況認識に逆効果だ。それでもソ連式の地上管制による戦闘機任務にぴったりの存在で西欧各国の上空を飛び限定的でも迎撃任務につくことができた。
  3. 冷戦時に米国はMiG-21各種を入手している。(さらに中国からJ-7一個飛行隊分を購入している)総じて米パイロットは同機を高評価しており、アグレッサー任務では訓練効果を高く実現している。訓練を積んだ米パイロットはソ連パイロットより同機の性能を引き出していたはずだ。

戦場のフィッシュベッド
  1. MiG-21はNATO-ワルシャワ同盟間の大規模戦は見なかったが戦闘投入の例はある。
  2. ベトナムでは鉛筆のように細いMiG-21が米側交戦規定を逆手に機体の大きさと速度で米護衛戦闘機が目視して向かってくる前に爆撃機を攻撃した。フィッシュベッドは初期の空対空ミサイルをその機体寸法と速度で回避できた。攻撃をかけるとMiGは基地に戻った。
  3. このパターンを破る事例が1967年1月2日に発生した。伝説のパイロット、ロビン・オールズ指揮下のF-4ファントムII編隊が北ベトナム空軍を罠にかけ交戦に持ち込んだ。ファントムはフィッシュベッド計7機を撃墜し、うち一機はグエン・ヴァン・コックが操縦しグエンは墜落から帰還しその後合計9機を撃墜しフィッシュベッドで撃墜王になった。ただしベトナム、シリアではMiG-21でエースになったパイロットは数名生まれた。
  4. MiG-21は中東各地で戦闘投入された。六日間戦争ではエジプト、シリアのフィッシュベッドがイスラエル国防軍空爆で開戦直後に破壊された。その後フィッシュベッドはイスラエルとの対決に投入され、熟達したイスラエルパイロットの前に撃墜されることが多かった。イスラエルが相手にしたMiG-21をソ連パイロットが操縦する事例もあった。
  5. 中東以外にアンゴラでも西側機材がフィッシュベッドに勝つ例があり、ソ連戦闘機はしょせん西側機材の敵ではないとの見方が生まれた。ただしパイロット訓練が違い直接の比較が難しい。同等の訓練を受けたパイロットの手にかければMiG-21は高性能を発揮した。インドMiG-21がインドパキスタン戦争に投入され敵機撃墜を達成している。またイラン-イラク戦争でも活躍した。
改修策
  1. 1980年代末になると第一線のMiG-21は減衰しはじめ後継機種と交代している。ソ連崩壊後はロシア軍事力が大幅に縮小し、ソ連時代の運用国は機材運用が継続できなくなる危機を感じた。それでもMiG-21や中国製機体を運用している国は多い。
  2. 現時点でMiG-21を運用中の空軍は18カ国でうちルーマニアとクロアチアはNATO加盟国でもある。以前はその他40カ国がフィッシュベッドを飛ばしていた。(中には消滅した国家もある) J/F-7は13カ国が供用中で4カ国が運用終了している。既存機の整備は中国、ロシア、ウクライナで可能で性能改修も行っている。3Dプリンターの出現でフィッシュベッドの継続運用は楽になりそうだし、予備部品も入手可能となるはずだ。
  3. 現在飛行中のフィッシュベッドの外観は1959年当時の機体から別機のようだ。搭載兵装も進歩し、R-60空対空ミサイル、マジック2やパイソンIIIが見られ威力は増えている。さらに電子装備の改修でレーダーや通信の性能が上がり、精密誘導弾の運用も可能だ。

MiG-21(派生型含む)は2059年でも飛んでいるか
  1. 中国もJ-7生産を終了し、派生型含めMiG-21の生産はすべて終了した。クロアチア、ルーマニアはあと5年でフィッシュベッドを処分する。インドも退役させはじめた。中国のJ-7各機は地方の防空や訓練用に格下げされた。
  2. とはいえこれでフィッシュベッドの終焉ではない。J-7、F-7の多くは旧式機になったが今後も供用される。バングラデシュは2013年に最終生産のF-7を調達し、当面別機材に交代させる必要はない。また多数の空軍部隊ではフィッシュベッド以上に複雑かつ高性能だが高価な機体は必要としない。そうなると100年にわたり供用される機材になる可能性もある。(B-52はこの例になりそうだ) MiG-21はまもなく誕生以来60年の節目となり、70周年も無理なく迎えそうだ。超音速時代の戦闘機の象徴として残りそうだ。■

Robert Farley, a frequent contributor to the National Interest, is author of The Battleship Book. He serves as a senior lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky. His work includes military doctrine, national security and maritime affairs. He blogs at Lawyers, Guns and Money, Information Dissemination and the Diplomat.
This appeared last year and is being reposted due to reader interest.
Image Credit: Creative Commons.

2017年6月17日土曜日

US-2のインドネシア商談はどこまで進んでいるのか


インドネシアに限らずなかなか成約が見えてきませんが、焦る必要はないのでここは悔いのない交渉をおこなってもらいたいものです。しかし商取引の駆け引きが本質的に理解できない政府にどこまで交渉させておくのでしょうか。ましてや対象は日本が育んできた高度技術の塊ですからね。安売りにはしてもらいたくないものです。

Japan Maritime Self-Defense Force butai01 - 01

海上自衛隊 [CC BY 4.0], via Wikimedia Commons

 

MAST Asia 2017: ShinMaywa outlines options for industrial collaboration in Indonesia 

新明和工業がインドネシアUS-2商談で産業協力の可能性を示す

Ridzwan Rahmat, Tokyo - IHS Jane's Defence Weekly
13 June 2017

  1. 新明和工業はインドネシアがUS-2を採用すれば一部作業を現地産業界に分担させる用意があると述べる一方、イ現地での機体最終組立ての可能性は否定した。
  2. 幕張で開催された防衛技術展示会MAST Asia 2017会場でJane’s取材に答えた同社関係者がインドネシアの防衛装備調達方針に従い現地技術移転に応じる述べている。 
  3. ただし同関係者は最終的には日本政府の決定次第とし、成約をねらう同政府の動向に言及した。インドネシア国軍はUS-2をまず三機導入する検討中といわれる。
  4. 現地組立の選択肢があるが、主要部品をインドネシアへ搬送しての組立ては技術的・経済的に困難と同社関係者は指摘し、実施しても導入国の負担が増えるだけという。
  5. 可能性が高いのは完成機を搬送し、最終作業を現地で行うことと同関係者は指摘し、インドネシア国営航空機メーカーPTディルガンタラ・インドネシアを共同事業相手先候補にあげた。
  6. ただし同関係者は本案件は両国政府が引き続き協議中であり、US-2輸出がいつ実現するかは不明としている。■

★速報 USSフィッツジェラルドが貨物船と衝突、重大な損傷 (続報あり)



速報



Destroyer USS Fitzgerald Badly Damaged After Collision With Merchant Vessel


駆逐艦USSフィッツジェラルドが貨物船と衝突し重大な損傷

The ship is said to be taking on water and the Japanese Coast Guard has been called to assist.


同艦は浸水中で海上保安庁の救難を要請中


 BY TYLER ROGOWAYJUNE 16, 2017
SCREENCAP VIA TWITTER

アーレイ・バーク級駆逐艦USSフィッツジェラルド(DDG-62)が貨物船ACXクリスタルと横須賀からおよそ55マイル南地点で日本時間6月17日2:30AMに海上衝突した。フィッツジェラルドは相当の損傷を受け、右舷前方の上部構造物で艦橋右下とSPY-1レーダーの損傷が完全につぶれているのが認められる。同艦は自力航行出来ず浸水している。現時点で乗組員に人的被害があるか不明。
Aerial footage of the badly damaged USS Fitzgerald


米海軍は海上保安庁の支援を要請した。衝突したフィリピン船籍貨物船の状況は現時点では不明。

フィッツジェラルドは日本に前方配備されており、最近では米空母二隻と海上自衛隊の合同演習で北朝鮮近海に出動するなど活動は活発だった。

詳細は引き続きお知らせする。■

続報 USNI News June 16, 2017 7:41 PMより


  • 海上保安庁の巡視船かの、いずなみが現場に到着している。保安庁はフィッツジェラルド水兵一名をヘリコプター搬送した。
  • 第七艦隊はUSSデューイ(DDG-105)、タグボート二隻を現場に向かわせる。海軍航空機も出動態勢に入った。

続報 http://www.thedrive.com/the-war-zone/11628/destroyer-uss-fitzgerald-badly-damaged-after-collision-with-merchant-vessel

  • 艦内三区画が浸水中

続報 USNI News 
https://news.usni.org/2017/06/16/destroyer-uss-fitzgerald-collides-japanese-merchant-ship

  • 水兵7名死亡と海軍当局が認める
  • 艦長ブライス・ベンソン中佐が負傷し搬送された
  • さらに負傷者搬送が進行中
  • 補機室1号および水兵居室二つが完全に浸水 







UPDATE-2am PST:

  • 海上自衛隊の おおなみ、はまぎり、えんしゅうが現地に到着し、USSデューイと海上保安庁いざなみ、かの による捜索活動に加わっている。
  • 米海軍はP-8ポセイドン一機、海上自衛隊はヘリコプター2機とP-3C一機を現地に派遣
  • 行方不明の水兵の氏名は家族優先で今のところ伏せている
  • 衝突でフィッツジェラルドの兵員室二個、機械室、及び通信室が浸水し、後者により排水対応が遅れた。
  • 応急措置で浸水は安定内に制御できているが、横須賀帰港後に浸水区画に入れるのがいつになるか不明で行方不明所の捜索にすぐとりかかれないと危惧。
  • 横須賀港でダイバーチームが喫水線下の損傷具合を点検し、浸水区画を捜索する
  • ベンソン艦長は海自ヘリで横須賀米海軍病院に搬送済み。水兵三名は意識あり、病院で状態監視中。さらに二名が裂傷等で横須賀へ搬送されている。
  • フィッツジェラルドはT字状に左舷を衝突されており、今後事故当時の状況の解析が進むだろう
  • 商船追跡サイトMarineTrafficによればACX CRYSTALは14ノット航行をしていたのが突如ゼロになっている。衛星追跡データによる同サイトの精度で疑問が残るが興味を惹かれるポイントである





AP

AP

AP

AP

AP



2017年6月16日金曜日

ミャンマー向けJF-17/FC-1が中国で飛行テスト中、破格の機体単価に注目


え、一機100万ドルですか。予備部品は含まれない裸の機体単価でしょうか。価格破壊といってもいいでしょう。輸出仕様はどこまでの劣化仕様になっているのでしょうか。数十年も使う想定はない気がしますが安物買いの銭失いになるのでは。それでもいいという市場もあるのですね。

中国のネット上にあらわれたミャンマー空軍向けJF-17/FC-1の一号機初飛行。Source: Via zhaizou.com website

Images show Myanmar Air Force JF-17/FC-1 conducting flight tests in China

ミャンマー空軍向け JF-17/FC-1が中国で飛行テスト中

 Gabriel Dominguez, London - IHS Jane's Defence Weekly
14 June 2017

パキスタン航空工業-成都飛機工業(PAC/CAC)が共同開発したJF-17サンダー/FC-1小龍多用途戦闘航空機のミャンマー空軍(MAF)向け機体が中国国内でテスト飛行する写真が中国のウェブ上で流布している。
写真が出たのは6月13日ごろで単座型JF-17/FC-1がMAF標準カモフラージュ塗装と尾翼標識をつけテスト飛行している。場所はCACの成都飛行場のようだ。
外交筋からは2015年12月にミャンマーが同年初頭に同型機16機を16百万ドルで購入契約を交付したとJane'sへ伝えていた。
2017年2月には匿名を条件に関係筋から発注したのはPACのカムラ工場で2015年ロールアウトしたブロックIIででブロックIと異なるのは空中給油ができ、エイビオニクス、電子装備が強化されていることだと Jane'sに説明があった。
CACの親会社、国営の中国航空工業(AVIC)はでミャンマーに技術供与をし、MAFが供用中の成都J-7が老朽化してきたので更新機材調達を助けている。同機は輸出仕様のF-7Mエアガードとして1990年代に輸出されていた。
ミャンマーはJF-17/FC-1で最初の海外導入国になると見られ引き渡しは2017年末までに開始すると見られる。■


イスラエル、中東の空の王者への途


西のイスラエルと東の日本は米国が技術力に注視しているはずですが、イスラエルの方が自由に行動している観がありますね。なんと言ってもイスラエルはなにもしなければ国家の存続が危うくなる国ですからね。日本も制約がなくなったのでこれからイスラエルとの共同開発も増えていくでしょう

 

 

This Is How Israel's Air Force Dominates the Middle East

イスラエルはこうして中東の空の支配者になった

The National Interest Robert Farley
June 13, 2017

  1. 1960年代以来、イスラエル国防軍の航空部門IAFは国防の中心だ。イスラエル空軍が有する戦場支配力と防空力によりIDFは戦いを有利に進めることができる。IAFの戦略攻撃能力は実証済みで、長距離攻撃能力を有している。
  2. IAFの圧倒的な力の背景は効果的な訓練と同時に敵勢力が弱体であること、さらに調達開発が柔軟であることだ。長年にわたりイスラエルは戦闘機調達を多方面から試み、フランス、米国からの購入に加え、国内開発もしてきた。後者二つの組み合わせの効果が特に高いことが判明している。

産業基盤つくり

  1. 初期のイスラエルは手に入る装備はすべて入手してきた。このためIDFに旧式装備各種がそろい、多くは欧州調達だった。1950年代末になると英仏はじめ数か国と正式な武器輸入関係を樹立している。うちフランスと取引が拡大し、高度技術の軍事装備としてミラージュ戦闘機や核兵器開発支援を入手した。ミラージュは1967年の六日間戦争でIAFの主力戦闘機となり、近隣国の空軍戦力を開戦後数時間で壊滅させた。
  2. ただし1967年にフランスがイスラエル向け武器禁輸措置を適用するとイスラエルは苦境に立たされた。IDFはミラージュにない中距離対地攻撃能力を求めていた。このためイスラエルは必要なものは盗むとの昔ながらの戦略に走る。諜報活動で新型ミラージュの設計図を入手しているが、フランス当局もある程度甘受していたようだ。ここから二機種が生まれた。イスラエル航空宇宙工業(IAI)のネシェルとクフィールだ。後者はアメリカ製の強力なエンジンを搭載しIDF主力戦闘機になった。両機種は成功をおさめ、ネシェルはアルゼンチン、クフィールはコロンビア、エクアドル、スリランカで供用された。
  3. ここからイスラエルの航空宇宙産業は発展し、イスラエル経済全体にも効果が生まれた。国家財政を重点的に軍事技術開発に投入しても民生技術で革新が生まれる保証はない。ただしイスラエルの場合は民生技術部門の発展に特に初期段階で大きな効果が生まれている。クフィールの成功はイスラエルが航空技術で独り立ちした証となった。
  4. それでもイスラエルは海外機材へ多大な投資を続けた。IDFはF-4ファントム調達に1960年代末に動き、F-15イーグルは1970年代中頃に導入を決めた。後者はイスラエル政界に危機を生んだが、安息日の開始直後に国内に機材がまず4機到着した。とはいえ余波でラビン政権が倒れた。一方でクフィールやハイテク分野の成功から国産戦闘機開発を求める声が高まった。

ラヴィ構想の挫折と思わぬ影響

  1. そこでラヴィが登場した。米ソ両国の空軍と同様にIDFもハイ・ローミックスが最適と判断した。ここから軽量多用途戦闘機ラヴィ構想が生まれ、F-15イーグルへの補完機能が期待された。一部装備は米国からライセンス提供され外観はF-16に酷似しつつ主翼構造は違う。
  2. しかし軍事技術で環境が変化し始める。ラヴィをゼロから開発するには莫大な財政投資が必要な反面F-16に対する優越性はわずかだった。さらに米国が輸出規制に乗り出し、フランス以上に神経質になり機密保護が厳しくなった。当初は輸出可能性を楽観していたが、米装備を搭載するラヴィ輸出を米国が許さないと明らかになる。さらにラヴィがF-16の競合機体のため問題は悪化した。
  3. 1987年8月にイスラエル内閣はラヴィ開発の中止を決定し、IAIや関連従業員から非難を浴びた。開発再開の試みも失敗し、イスラエルはF-16の大量導入を決定した。ただしラヴィによりF-22ラプター輸出の可能性が消えた。イスラエルがラヴィ(およびF-16)の技術が中国にわたりJ-10が生まれたのを見た米議会はF-22輸出の途を閉ざしたのである。これによりイスラエル他ラプターに関心を有する数か国に調達可能性が消え、同機の生産も早期終了する結果になった。

代替策と対米関係

  1. 国産戦闘機開発に代わりイスラエルは米国から導入した機材を大幅改造するのが普通になった。F-15I「サンダー」、F-16I「ストーム」の両機種は大きく改修されイスラエル仕様になっている。航続距離が延びエイビオニクス性能を向上した両機種はIDFに長距離戦闘能力を実現した。F-15IはF-15Eストライクイーグルが原型でIAF長距離攻撃機の主力だ。IAFはF-35共用打撃戦闘機でもソフトウェアなどイスラエル向け改修を始めている。
  2. 自主開発戦闘機プロジェクトこそないもののIAIは成功し続けている。エイビオニクスや弾薬類で国内国外に顧客開拓し、UAV分野でも存在感を高めている。ラヴィの失敗があったが、イスラエルのハイテク防衛産業はおおむね好調で民生分野へ波及効果が大きく生まれている。イスラエル産業政策の目標はハイテク分野のイノヴェーションに資金投入を続け国防と経済成長を両立させることだ。
  3. 今日のイスラエル航空宇宙分野は米国との良好な関係に依存している。機材調達と共同技術開発で顕著だ。米イ同盟関係が崩れる兆候がないことだはイスラエルに幸運な要素だ。技術保全の懸念からラプター輸出は不可能になっても両国関係全般は傷つかなかった。仮に想定外の事態が発生してもイスラエルは米国以外の供給元をさがしていただろうし、イスラエル産業界の実力から提携先に困ることはないはずだ。■

Robert Farley, a frequent contributor to the National Interest, is author of The Battleship Book. He serves as a senior lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky. His work includes military doctrine, national security and maritime affairs. He blogs at Lawyers, Guns and Money, Information Dissemination and the Diplomat.