2018年6月3日日曜日

2030年に米国と中国が戦闘突入したらどうなるのか

 


Welcome to the U.S.-China War of 20302030年に米中が開戦したらこうなる



June 1, 2018

国(PRC)と米国が貿易戦争の一歩前にきたようだ。この戦争は両国経済だけでなくグローバル経済も大きく影響受けかねない。だが今のところ爆弾やミサイルの応酬にならないようだ。米中両国には対立の種が多数あるが、いずれも開戦の理由になっていない。
だが状況は10年間で変化する。今は可能性が薄く見える対立も時がたつと現実のものになる。中国の相対的国力が伸びればとるに足らない対立が大きく進展する事態に米国が直面することになる。一方で中国に機会が訪れる。米国の装備品調達サイクルから米軍の実力が低下する事態がやってくるからだ。
2030年の力のバランスならびに戦略地図は現在と大きく変っているだろう。では2030年に発生する米中両国間の戦争はどんな様相になるのか。
開戦の形は
対立の核心は今と同じだ。中国と米国は「トゥキディティスの罠」に落ちる。中国の国力がさらに伸びる一方、米国が世界秩序を支配する構図が続く。だが古代ギリシアでアテネの国力が伸びてスパルタが挑発されことがペロポネソス戦争につながったように、米中両国の対立は全世界を火に包む。PRCも米国もとるに足らない事象を理由に開戦に進むことはないはずだが。
米同盟各国に対する脅威は想像に難くない。日本、韓国、インド、台湾、フィリピンの各国だ。中国と各国の間の対立の種はすでに生れているが、実際に芽は出ないかもしれない。だがPRCと各国間の軍事衝突発生の場合、米国がいやおうなく巻き込まれるのはほぼ確実だ。インドとPRCの間の戦闘が最大のリスクで米国だけにとどまらずパキスタンやロシアまで巻き込まれる可能性がある。日中間の戦争も破滅的な結果になりかねない。今後戦略的な変化が発生する可能性として日韓関係があり軍事対立となれば中国や米国も関与せざるを得なくなる。
両軍はどんな軍事技術を展開するか
戦場がどこになるのかは紛争の原因で変わるが、予想に難くないのが東シナ海および南シナ海だ。両国とも空海双方の装備を投入を惜しまないはずだが、米陸軍、海兵隊は「マルチドメイン」戦闘で自らの役割を発揮するのに苦労するだろう。
今後12年間で軍事バランスは中国に傾く理由は多数ある。だが中国が必ずしも有利になるわけでもない。ただし人民解放軍海軍(PLAN)は米海軍(USN)を上回るペースで拡張しており、人民解放軍空軍(PLAAF)の装備近代化の進展は米空軍(USAF)をしのぐ。
ただし双方とも従来型軍事技術を大量投入するだろう。中国の空母は2030年には4隻になっているはずで、内訳は遼寧級STOBAR空母二隻と通常型CATOBAR空母が二隻だ。米国は強襲空母も含めれば空母数で上回り、戦力でも中国を凌駕するものの、中国は開戦初期では局所的に有利な展開をするはずだ。中国は全世界展開の必要がないため潜水艦、水上艦多数を一定海域に投入できるからだ。それでもUSNが有利とは言え、差はわずかしかない。
航空機に関しては米国の空軍、海軍、海兵隊はF-35を相当数展開しているはずだ。米空軍は現行の爆撃機各型に加えB-21レイダー・ステルス爆撃機を配備しているはずだ。中国はJ-10とJ-11を増備し、米F-15、F-16、F/A-18と互角に持ち込もうとするだろう。J-20も一定数稼働しているはずでPLAが導入を決めればJ-31も配備されているだろう。2030年にPLAAFが米航空戦力と同等水準になる見込みはないものの、ギャップは減り、国内基地、弾道ミサイル、巡航ミサイル、対空ミサイルが多数ある点が中国に有利となる。
2030年までに現れる最大の変化は無人装備の台頭で既存有人機と同時に投入されたり、有人機の座を奪う機材もあらわれるだろう。無人装備技術の革新は今後も急ピッチで進み近い将来に登場する高性能機の姿を想像するのは難しいが、空、水上、水中に活躍する無人機が広範な戦闘に投入され、有人装備を攻撃したり無人機同士の戦闘が発生するのではないか。無人装備は情報収集や通信の大規模システムの一部となり両陣営とも緒戦から妨害を試みるはずだ。
サイバー戦になるのか
中国と米国はともに社会、経済、軍事各方面で通信に大規模依存しそれだけサイバー接続に依存していることになる。いったん接続が断絶すれば破滅的な結果となる。だがサイバー戦専門家から米中両国がインターネット依存を高めているが実は接続の仕組みが強靭になっており妨害は受けにくくなっているとの指摘がある。類似例として20世紀のドイツ産業があり、連合国空爆で大被害を受けたが期待された崩壊は生れなかった。これは重複性を持たせた複雑な内部構造のためだった。これに対して緻密な構造でなかった日本経済へは海上封鎖と空爆が大被害を上げている。複雑性は弱点をカバーするのだが、経済体制がデジタル化されている今は攻撃は容易になっている。
だからといって戦争がサイバー領域に発展することにはならない。デジタル戦は民生部門より軍事部門が中心となろう。米中両国は情報収集と攻撃能力の接点をあぶりだし妨害を試み、敵の目をつぶそうとするだろうが、同時に敵の目を通じて状況を把握しようともするはずだ。サイバー攻撃と「リアルの」軍事作戦を統合調整することに成功した陣営が勝利するだろう。
どんな結末になるのか
米中戦が終結の姿については多数の著述があるが、2030年の戦役の具体的開戦理由が不明のままでは両陣営の動きを予想できない。2030年時点でも米国の産業基盤や政治決定能力を恒常的に脅かす通常兵力を中国が整備しているとはきわめて考えにくい。他方で米国が一方的にPRCを圧倒するシナリオも考えにくく、仮にそうなっても政治面での危機状態は永く残るはずだ。勝利は展開中の軍事力を先に破壊することにかかっており、効果的な強襲作戦か消耗戦のいずれかになろう。
封鎖作戦も決定打にならない。中国のエネルギー消費は2030年には今より増えているだろうが、この戦略的弱点を補強する動きも強まっているはずだ。ロシアからのパイプライン増設や代替エネルギー開発でPRCは米国との対決に耐える力を入手するだろう。トランプ政権による貿易戦争で世界経済に悪影響が発生しなくても対外貿易が弱体化すれば中国にとって最大の経済試練となる。
いずれにせよ2030年の米中戦争では慎重な外交が必要となり、戦闘は21世紀通じた対立の第一歩に過ぎなくなるのかもしれない。
結論
専門家多数が米国とソ連間の戦争は不可避とほぼ40年にわたり指摘してきた。いくつか危機があったが実際に大戦は発生しなかった。米中両国が再度武力衝突する可能性もないのかもれしれない。とはいえ両国間の軍事力バランスが今後どう変わっていくかを考えることに価値がありそうだし、双方にどんな機会が生まれるかも想定できる。幸運と腕に恵まれれば両国は2030年でも開戦を回避できるだろうが、両国の立案部門は戦闘勃発の可能性を真剣にとらえておく必要がありそうだ。■
Robert Farley, a frequent contributor to the National Interest, is author of The Battleship Book. He serves as a Senior Lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky. His work includes military doctrine, national security, and maritime affairs. He blogs at Lawyers, Guns and Money and Information Dissemination and The Diplomat.

Image: Flickr

2018年5月25日金曜日

イスラエル空軍による世界初のF-35実戦投入の事実、うわさ



Everything We Know (And Don’t Know) About Israel Launching World’s First Air Strikes Using The F-35 Stealth Aircraft

世界初のF-35ステルスによる空爆を実施したイスラエルの作戦で判明していること(判明していないこと)




 



スラエルはF-35ステルス戦闘機を実戦投入した初の国となった。イスラエル空軍司令官アミカム・ノーキン少将が5月22日発表し、イスラエル国防軍の公式ツイッターアカウントで伝えられた。


イスラエル紙ハアレツによればIAF参謀長から初公開画像でF-35Iがベイルート、レバノン上空を飛行する様子が示され、ステルス戦闘機は最新のシリア空爆には参加していないが以前の空爆二回に投入されたという。


「アディールはすでに作戦投入可能となっており作戦任務で飛んでいる。F-35の作戦投入で我が国は世界初となった」(ノーキン少将)
Commander of the IAF, Maj. Gen. Amikam Norkin, commented on the events in Syria: “The Iranians fired 32 rockets, we intercepted 4 of them & the rest fell outside Israeli territory. In our response attack, more than 100 ground to air missiles were fired at our planes.”
“The Adir planes are already operational and flying in operational missions. We are the first in the world to use the F-35 in operational activity”


現地報道ではシリアで空対空ミサイル100本以上が発射されたとノーキン少将が発言したという。
イスラエルがF-35「アディール」が作戦投入可能と宣言したのが2017年12月6日だったので同機の実戦投入はまじかと見る向きが多かったが、IAF関係者が認めたのは初めてのことで詳細はほとんど不明だが、第五世代戦闘機が火の洗礼を受けたのは明らかだ。


一部ジャーナリストが指摘しているよう、F-35がどこにどの形で投入されたのかは全く不明のままだ。シリアを攻撃したのか、それともレバノンだったのか、あるいは双方だったのか。どんなミッションを実行したのか。空爆だったのか武装(電子)偵察だったのか。


ここ数か月にわたり根拠のないうわさとしてF-35Iがシリア攻撃に投入されたといわれてきた。直近では3月末、IAF所属F-35がイラン領空に侵入したとの記事がクウェートのアルジャリダ新聞に掲載された。同紙に語った「消息筋」によればアディール二機が探知されずにシリア、イラクに飛び、そのままイラン領空に侵入しバンダル・アバス、エスファハン、シラーズの各都市を上空から偵察したいう。


ただしこの報道には怪しげな点が多々ある。特に報道したアルジャリダ新聞はイスラエル発のプロパガンダや心理戦メッセージを掲載することで知られている。事実、前回の「イラン上空ミッション」解説で筆者はこう述べていた。


「イラン上空ミッションは虚報で意図的に拡散させ心理戦としてイスラエルの敵に脅威を感じさせるためではないか。


「イスラエルのF-35ステルス機で運用テスト機材数を増やせば、アディールをIAFが実戦投入する可能性も増える。だが今回はそのままあてはまらいようだ。イランではなく、まだその時ではないだろう」


そこでニュースを早送りするとF-35Iの戦闘デビューを公式にイスラエル空軍司令官が認めたのが今回だ。アディールの投入場所や戦闘方法など詳細が分からないままでは分析できない。確実に言えることはIAFがまたもや新型機の戦闘投入で先陣を切ったことだ。今回のミッションの戦略的価値は不明のままだが、イスラエルが同機投入の価値があると認めたのは確かだ。リスクが現実になったのは2018年2月10日のことでF-16Iスーファがシリア領空に侵入しイラン陣地を攻撃していた。これはイラン製無人機がイスラエル領空を侵犯したことへの報復攻撃で(同無人機はイスラエルのAH-64アパッチヘリコプターが撃墜した)、シリア防空軍に探知され旧型ながら長距離SA-5ミサイル一発が命中し(シリアは27本ものミサイルを発射していた)同機は墜落した。機内の警報装置が飛来する脅威を対象としていたが、搭乗員のパイロットと航法士は対抗措置投入に失敗していた。


IAFは「職業上の過誤」でスーファを喪失したとしたが、多くの筋はIAFジェット機が敵砲火に撃墜されたのは第一レバノン戦争以来のことでステルスF-35Iのミッション投入時期はこれから早まると見ている。


どんなミッションだったのだろうか。想像にすぎないが、強固な防空体制の中にそれだけの攻撃価値がある標的だったのか。F-35投入は「パッケージ」の一部で特殊任務機材やEW(電子戦)支援を受けつつアディール機も自らのELINT能力で敵装備を探知、位置割り出し、分類していたのではないか。F-35には低視認性以外に高性能電子情報収集用センサーセンサー融合機能を加え戦場の状況を一つにまとめる能力があり、上層部に提供できるのだ。いいかえれば、F-35は爆弾投下だけでなく友軍機に方向を示す能力もある。F-35が複合任務を遂行することはよく知られており、「戦闘状況調整役」として情報データを収集、統合、配布しながら同時に「運動性攻撃機材」として装備を標的頭上に投下しつつ標的情報を第四世代機にLink-16を介して配信できる。


新型技術を実戦投入する場合特有のリスクについて整理しておくことが必要だ。イランがシリアに大々的に展開しているためイスラエルもF-35投入に制約を感じざるを得ないはずと見られていた。ロシア製レーダーやELINT機材ならイスラエル国内基地を発進する機材は丸見えでF-35の音紋特徴のデータから特定波長で解明してしまうかもしれない。戦術機大のステルス機では特定周波数のレーダーにのみ対応する想定で高周波数帯域のC、X、 Ku、Sの各バンドではレーダー精度が高くなる。(周波数が高いほどレーダー精度は高くなる)


イスラエルの政治アナリスト、ガイ・プロプスキが指摘しているが、ハアレツやその他現地新聞で英語ページ折込のついた紙面とは別にイスラエル国内各紙はヘブライ語でIAFがF-35で「二回攻撃」を「中東内の二地点対象に」行ったとあり、IAF所属のアディールが実際に兵装を投下した可能性を示している。


この件はその後、IAF公式ページへの投稿で確認された。「初のF-35作戦運用として攻撃を行った。IAFは先駆者となり空軍力運用で世界のリーダーとなった」


いずれにせよ、しばらく待って詳細情報が出てくるの待ちたい。その間、F-35ライトニングIIが物議をかもしながらも初めて公式に確認された形で初の実戦に投入された点に注意したい。■
Top image credit: IAF

2018年5月24日木曜日

今年のRIMPACに中国は不招待扱いに

まっとうな判断でしょう。いよいよ自由陣営対専制体制の新冷戦がインド太平洋ではじまるのでしょうか。PLANが前回、わが海上自衛隊に示したシーマンシップにもとる行為を想起すれば、このまま中国が世界標準に触れずに行動するのはどうかと思いますがしかたないですね。



China Disinvited from Participating in 2018 RIMPAC Exercise 2018年RIMPAC演習に中国は招待されないことになった

May 23, 2018 11:58 AM • Updated: May 23, 2018 3:28 PM

中国海軍の多目的フリゲート艦衡水Hengshui (572)がUSSストックデール (DDG 106)と隊列を組んで移動中。2016年の環太平洋軍事演習にて。 on July 28, 2016. US Navy photo.

軍はハワイで開かれる今年の環太平洋軍事演習に中国を招へいしないことに決めた。国防総省報道官が発表した。

南シナ海で国際規範や自由で開かれた公海の原則に反する行為があることを理由に国防総省報道官クリストファー・ローガン海兵中佐は人民解放軍海軍(PLAN)は演習に参加しないと発表した。ただし先年の演習で中国は潜水艦安全対策や非戦闘要素の演習内容に参加してきた。

「米国は自由で開かれたインド太平洋を重要視している。中国が継続して南シナ海の問題地点を軍事化していることで同地域に緊張と不安定を招いているため2018年実施の環太平洋演習(RIMPAC)にPLA海軍は招へいしないこととする。中国の動向はRIMPAC演習の目的や原則と不一致している」

「中国が対艦ミサイル、地対空ミサイル(SAM)装備他電子妨害措置を南シナ海スプラトリー諸島に搬入したとの明白な証拠があり、ウッディ島に爆撃機を着陸させたことも緊張を呼んでいる」

「当方としてはこうした動きや引き続き軍事化を進めているのはスプラトリー諸島の軍事化は進めないと習主席が米国および世界に対し約束した内容に違反する行為と受け止めている」

米第三艦隊報道官ジュリー・ホランド中佐はUSNI Newsに対し中国は合同任務部隊(CTF)175の一部として米沿岸警備隊カッター・バートルフ(WMSL-750) 他各国海軍艦船やCTF171も加わり米海軍遠征ダイブ・サルベージ部隊に合流する予定になっていたと述べている。PLANは合計四隻の艦船を派遣する予定で、病院船和平方舟他サルベージ・ダイビングチームもその一部となっていた。

中国は2016年演習にも参加していたが当時も緊張が高まっていた。アシュ・カーター国防長官(当時)は2016年4月にこう述べている。「この地域内の安全保障に関する基本姿勢は常にどの国も仲間はずれにしないことであった。そのため同盟国同士で団結している間も新規に提携関係をインドやヴィエトナムと模索し、フィリピンのように各国がこちらの陣営に加わるのは中国への懸念が理由だ。だが今でも同じ姿勢は有効で共同で対処しようとしている。そのため仮に中国から参加希望があれば、絶好の機会となる。各国に背を向けて孤立するかわりに各国の協力関係の一部となってもらう方がのぞましい。まさしくこれがアジアの奇跡を実現させた考え方なのだ」

2012年に中国は2014年実施の演習へ招へいされており、PLAN艦船4隻を派遣し、別に招かれざるスパイ艦一隻も送ってきた。その直後に米国は中国に2016年演習へ招待している。南シナ海の緊張はじめ両国間にぎくしゃくした関係があったが、海軍上層部に人道援助や災害救難運用のための演習を一緒に行う必要性が認識され、海上衝突の回避のための通信手順や緊急時に備えた船舶運用や救難訓練は必要との認識があった。

ロシアは2016年演習にも招へいされていない。クリミア半島の併合や東ウクライナへの介入が理由だったが、ロシア海軍は駆逐艦一隻を派遣し、USSアメリカ(LHA-9)を監視していたほか、スパイ艦一隻で演習の様子を見ていた。■

米海軍のUFO遭遇事件報告書を入手、これは....本物なのか

ここまで情報がリークされるのはどういう理由でしょうか。UFOの存在を認めざるを得なくなっている状況なのでしょうか。現在の人類の技術では歯が立たない存在としたら敵に回したくないですね。皆さんはどう思いますか。

Detailed Official Report On Harrowing Encounter Between F/A-18s and UFO Surfaces

F/A-18編隊とUFOの遭遇事件の詳細が浮上

The paper recounts a course of bizarre events that occurred near the USS Nimitz while it was sailing off the Baja Peninsula in November 2004. 報告書はバハ半島沖合で2004年11月にUSSニミッツ近辺で発生した一連の奇妙な事件を詳しく説明



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MC3 BENJAMIN CROSSLEY—U.S. NAVY

2004年に未確認飛行物体(ニックネーム丸時計'Tic Tac')と米海軍ホーネット編隊が遭遇した事案が昨年12月にUFO遭遇事件を探る動きの一環で明るみに出たが、実際にはもっと多くの内容があったようだ。軍事航空筋ではこの件は長年話題に上っていたが、今回公式報告書を入手している。これは高性能航空脅威識別事業Advanced Aviation Threat Identification Program (AATIP) による報告書で数々の所見が盛り込まれている。しかし以前お伝えした事件についてもっと詳細に内容を伝えている点がなんといっても重要だ。
今回入手した文書はCBS系列局のラスヴェガスのチャンネル8報道部でジョージ・ナップ率いるI-Teamからのものだ。ナップのチームはこの文書を入手した経緯を以下説明している。
「今年初めにワシントンへ赴きハリー・レイド前上院議員が手配した説明会に出席したI-Teamは機密解除文書を入手し、そこにはUFO遭遇事件が記述され、Tic Tacのこともその一部だった。2009年に行われた解析まとめでは関係省庁のインプットも含んでいた。それによるとニミッツ所属の航空部隊がAAV,すなわち異常航空物体Anomalous Aerial Vehiclesと数回にわたる接触をおこなっていたことがわかる」
全13ページにわたる報告書には日付が付いかず表紙が欠けているものの、遭遇事件について豊富な資料となり機材やセンサーについて記述とともに海軍が発生後にこの事件をどう処理したかもわかる。超大型空母USSニミッツ、タイコンデロガ級巡洋艦USSプリンストン、E-2C空中早期警戒統制機、F/A-18Cホーネット編隊、F/A-18Fスーパーホーネット編隊が関与している。またその他艦船もニミッツ空母打撃群として関与していた可能性はあるが、関与の度合いは大きくない。
だが重要なのは本案件が単なる遭遇事件ではなく2004年11月10日から16日にかけて六日間にわたり対象物体を探知していたことだ。間欠的なレーダー照射で打撃群付近に数機の物体を探知していた。同空母打撃群はバハ半島沖合に展開していたが、対象物体は信じがたい機動性を発揮し高度6万フィートから海面すれすれまで移動するのに数秒しかかけず、海面上方をホバリングしていたかと思うと「高速高回転」で姿を消した。
USN
USSプリンストン。2003年撮影。同艦にはイージス戦闘システムやSPY-1レーダーが搭載され世界最優秀の海上対空防衛体制を実現している。

最強を誇る防空センサーや戦闘システムをもってしても物体を連続追尾することは不可能だった。報告書ではUSSプリンストンが打撃群の情報処理の中心だったが、弾道ミサイル追尾モードを作動させていれば追尾精度が上がっていたかもしれないと指摘している。

視認による接触

ほぼ一週間にわたり謎の標的関連で三件の独立した出来事が発生していたが、11月14日に事態は一気に現実になった。まず現地時間10:00AM ごろプリンストン(コールサインはポイズン)から高高度の前方で飛行中のE-2CにAN/APS-145を始動し同艦が追尾中の標的の確認のためルックダウン始動を依頼してきた。

当初E-2乗員の観測画面上には波のように映っていたが、すぐに速度表示のないきわめて不明瞭な標的になった。プリンストンからF/A-18Fスーパーホーネット二機(VFA-41所属、コールサインFASTEAGLE 01)への誘導依頼を受けたE-2は訓練の一環として指示を与えていた。艦上の誘導官は幽霊のように映る対象に各機を振り向けて不可思議なレーダー反射を示す相手に対処させようとした。各機の武将は訓練用ミサイルだけだった。 
標的へ一マイルほどまで接近したパイロットたちの目に入ったのは白色で特徴のない物体で翼やエンジン、制御面が皆無で表面になにもついていないほぼ45フィートの長さの空飛ぶ丸時計といったところだった。デイヴィッド・フレイヴァー中佐(VFA-41指揮官)が自ら搭乗するスーパーホーネットで発見した機体の外殻は「白板」状だったと述べている。物体は海面すれすれを飛び機体下の海が泡立っていた。フレイヴァー中佐によれば海水が「沸騰」しているようだったとあり、海上を「ハリヤーのように」飛んでいたという。するとおよそ500ノットで海面上から500から1,000フィートへ移動した。
USN
スーパーホーネットのAN/APG-73レーダーではこれだけ接近しても物体を探知できなかった。パイロットたちはLink16標的追尾機能(おそらくUSSプリンストンのもの)の力を借りて標的に接近できた。また「ヘルメットロック」を共用ヘルメット搭載標的捕捉システム(JHMCS)から試み各センサーを標的に合わせようとしたが作動しなかった。機体は標的捕捉ポッドを搭載していなかった。
フレイヴァー中佐は丸時計を追いやろうと試みたが、「相手がこちらに気づいたよう」で退避行動を開始した。垂直に飛び、超音速で姿を消した。パイロットたちはプリンストンに対しレーダーで物体が見えるか尋ねたが、返答は「picture clean」つまり何も映っていない、だった。だが直後に「信じられないというかもしれないが、あいつはそちらのCAPにもどってきた」と連絡が入ってきた。物体は超高速度で姿を消したのは事実だがスーパーホーネット編隊が戦闘哨戒訓練を行う空域に戻ってきて、事件が発生した。
パイロットたちが母艦に戻ると各機体の状況と機能について質問を受けた。各機は全くの新型機で飛行時間も100時間未満で機能は完全だったとパイロットたちが証言している。またフライト中に何らかの身体の異常を感じたかも尋ねられたがなにも発生していなかった。
USN
この事案の噂は空母内にすぐにひろまり、CVIC(空母内の情報センター)へパイロットがUFO遭遇の事後報告に来たが最初は真面目に取り合ってくれなかった。スーパーホーネット乗員は機密保持誓約書にサインを求められることもなく、報告書では乗員がその後数週間にわたり冷やかしの対象だったとある。
フレイヴァーは我慢できず事件の記録を記憶の限り残そうとした。

別のホーネットでも

ほぼ同時期に別の機体F/A-18C(VMFA-232所属)が発艦し整備後の確認飛行中だった。管制官からパイロットに武装の搭載はあるのかとの質問が入った。太平洋上の訓練飛行でこの質問は尋常ではない。未知の標的に機体を向けろとの指示が入った。
物体を目視した前出のVFA-41所属スーパーホーネット二機編隊がこのとき物体に向かって接近中だった。だが現場に到着した海兵隊パイロットには白い物体は目に入らなかったが海面に直径150フィートから300フィートの大きな乱れがあるのが目に入った。このパイロットはこの海面だけが泡立ちながら残りは平穏なのに気づいた
USN
このパイロットは現場を去る際に海面の乱れが広がる様子を目にした。情報関係者への事後説明のあと、「超音速丸時計」を見たかと尋ねられた。パイロットは見ていないと答えた。だが先のスーパーホーネット編隊のそばで発生した奇妙な海面の現象について「沸騰する」海水を目撃していた。

VFA-41所属スーパーホーネット部隊対丸時計、ラウンド2

FASTEAGLE01が着艦してから別のVFA-41所属スーパーホーネット編隊が発艦している。時刻は午後3時になっていた。パイロット連中は待機室で情報を交換しており第二波のフライトでも物体捕捉の期待が高まった。飛行が開始され位置につくと、スーパーホーネットのLink16データリンク端末で物体の軌跡があらわれた。ほぼ南30から40マイル先だった。自機搭載レーダーで捜索を試みたが非連続のレーダー反射があっただけだった。報告書では搭乗員が追尾しようとした状況を技術面で詳細に伝えている。
報告書から
最終的に搭乗員はATFLIR目標捕捉ポッドで目標を捕捉した。着艦後に搭乗員からFASTEAGLE01が目撃したのと同じ物体だったか確認できないとの話があり、結局目視できていないことがわかった。FLIRの映像記録が大きな意味を持つことになった。
.総合するとこの報告書では本事案が思ったよりも大きな規模の話であったことが分かる。三回にわたる別々のフライトで違う形で現象を目撃していたのだ。
空の上での遭遇には別の意義もある。最初に遭遇した編隊隊長フレイヴァー中佐は空母航空隊の情報士官に事後報告したが、情報部はどうしたらいいのか皆目わからなかった。このパイロットが中佐で飛行隊司令でなかったら無視されて終わっていただろうと報告書は指摘している。
最終的に事件記録とFLIR画像が第三艦隊情報部の大佐に届けられ、そこでおしまいかと思われた。この大佐はこれ以上の調査は不要、何故なら訓練中に起こったことであり、「麻薬対策作戦の一部」と思ったからだ。これ以上この事案を詳しく検討することに消極的だったのは空母打撃群上層部も同様だった。だが報告書ではこの事案が信じがたい内容でありながら調査検討が素早く終了したことに注意喚起している。
報告書から
もう一つ興味深いのは報告書でロサンジェルス級原子力高速攻撃潜水艦USSルイビル(SSN-724)がニミッツとともに行動中であったとある点だ。同潜水艦は何ら異常な音響情報や異常な点は探知していないとあり、物体が発生させた海水の乱れとも無関係だ。
USN
USSルイビル SSN-724

報告書の結論では物体は潜航していなかったようとあり、潜水艦が状況に気づいていないことを理由にあげている。仮に物体が海中に潜航していたとしたら「極めて高性能」で、潜水艦のソナーや水中聴音機でも探知できかったことになる。

またこれ以外の結論も出ている。以下の六点だ。
  • 「高性能空中移動機」は原産地不明の存在であり、米国その他国家が保有中の技術以外を利用していた
  • ブロードバンドでの無線周波数で探知できずレーダーもほとんど無力だった
  • 物体の性能には目を見張るものがあったが、通常の飛行機に必要な揚力構造や制御面は見当たらなかった
  • なんらかの高性能推進手段を使い、ホバリング状態から超高速飛行まで瞬時に移行しながら飛行方向も瞬時に変更していた
  • 機体には「透明化」機能があり裸眼では目視できなくなっていた
  • 水中での活動も可能と思われるが、最新の海中センサーでも探知が不可能だった
報告書より
軍の情報将校を務めたルイス・エリゾンドはAATIPを契約企業ビグロー・エアロスペイスと進めていたが、今回のI-Teamに対し本事例以外にも文書で記録が残る遭遇事件は多数あり、内容については機密保持の観点から紹介できないと伝えている。
また同様の事案が明らかにンっている。大西洋で11年前に発生し、ホーネットのパイロットが現場調査を受けている。この事案については以下のリンクを参照。

今回の報告書で注目したいのは内容が深くなく、あまり詳細に触れていないことで、高度機密版の文書では詳細に記述があるが、我々が目にする可能性はほぼない。
AATIP事業が本物なのか巧妙な情報操作として軍産複合体の一角で考え出された策なのかは別として2004年11月のその週に全く異常な事態が発生していたのである。また事案は瞬時に発生したのではなく、数日間にわたり進行しており、米海軍の第一線センサー複数が問題の物体をとらえた以外に最高の訓練を受けた信頼できる人員がその目で目撃しているのは事実である。■
Contact the author: Tyler@thedrive.com

2018年5月23日水曜日

イスラエルF-35が世界初の実戦デビュー



The F-35 just made its combat debut F-35が実戦デビュー



イスラエルのF-35[アディール」二機編隊が編隊飛行中。2016年。(U.S. Air Force photo by 1st Lt. Erik D. Anthony)

ッキード・マーティンF-35「アディール」が実戦に初投入された。

イスラエル国防軍はイスラエル空軍「アディール」機を実戦投入したとツィッターで発表した。
「アディール各機が作戦投入可能となり実戦で飛行中」とし、イスラエル空軍司令官アミカム・ノーキン少将の言葉を引用している。「F-35の実戦投入は世界初だ」
イスラエル空軍はF-35をシリア空爆に投入したとノーキンは述べたのをイスラエル紙ハーレツが伝えている。
1990年代初頭から開発が始まった同機にとって今回の戦闘投入は大きな一歩。費用超過や遅延による影響が発生し、同機の戦闘能力に疑念を示す筋が激しく攻撃していた。
Syrian downing of F-16I begs question: Why didn’t Israel deploy F-35s?
今回の戦闘デビューは共用打撃戦闘機の追加調達につながるものとみられる。イスラエルはF-35アディール50機導入を決めているが、議会で同型機の追加購入の前に代替策検討を国防省に求める動きがあった。IAFは25機から50機の追加調達を狙うと見られる。
イスラエル発表の前に米海兵隊がF-35Bを日本に配備したのも大きな一歩だった。岩国基地配備は同機初の海外常駐配備となった。
イスラエルのアディール(意味は「強力な存在」)投入は2月に発生したF-16撃墜を受けてのことで、専門家の間ではステルス機をシリア防空網相手にIAFがなぜ投入しないのか疑問に思う声が大きかった。

米空軍がこの動きに続く。F-35Aは早ければ2020年に欧州に展開し、英国のレイクンハース英空軍基地に駐留する予定だ。■

B-1に火器搭載しCAS機に転用する構想をボーイングが準備中

Proposed Cannon Would Turn the B-1 Bomber into a Gunship B-1爆撃機をガンシップに転用する火砲搭載構想について



Diagram from Boeing’s patent (U.S. 9,963,231 B2 ) for a retractable cannon for the B-1B Lancer.
ボーイングが交付を受けた特許 (U.S. 9,963,231 B2 ) に添付されたB-1Bランサーへの機内格納式の火砲の搭載構想図。

Military.com 17 May 2018 By Oriana Pawlyk

B-1Bランサー爆撃機は他機種より大量の兵装を運用しているが、同機に火砲搭載を追加する案を関係者が検討中だ。
ボーイングは同機に近接航空支援任務に役立つ火砲搭載ので特許を交付された。特許(U.S. 9,963,231 B)では火砲用各種マウントが見えるが、使用しないときは機内に格納される。
同社は各種兵装の搭載を検討している。「機関銃、チェーンガン、火砲、自動化法、レイルガン、発射体投射装置、レーザー兵器を想定する」と特許説明にある。
「兵装を兵装庫内に搭載することで機体は兵装を格納あるいは展開しても超音速飛行が可能となる」との説明があり、「兵装システムの搭載で性能が追加される。例えば爆撃機で近接航空支援や地上部隊支援の効率があがる」
専門家の間には今回提案の追加性能は地上部隊が心から望む、標的を狙った航空支援の実現につながるとの意見が出ている。
「地上部隊に精密誘導弾を信用しない傾向が戻っている」と指摘する国防専門家もいる。
「A-10が地上部隊に人気があるのは標的をちゃんと捕捉して攻撃してくれるから」と同上筋はMilitary.comに説明している。
「精密誘導兵器がリーパー、F-16、B-1やその他から投下されても命中しないと見られています。欲しいのは上空に銃手がいることなんです」
同上筋はアフガニスタンでB-1から500ポンド爆弾二発が米軍5名、アフガン兵1名の頭上に投下された2014年6月9日の事案に言及している。米軍にはグリーンベレー隊員二名が含まれていたが全員死亡している。
「空軍は将来は具体的な座標に兵装を投下する方法を検討しています。地上部隊がそれに信頼を置いていないのが問題です」と同上専門家は述べる。
B-1部隊はCASミッション支援に同機をどう活用できるかを訴えている。「地上の友軍と交信中でこちらのセンサーで確認しているとします....爆弾を7マイル先に投下するのかもっと低高度から投下するのか、もっと近くに投下するのか」と337試験評価飛行隊のドミニク・「ビーヴァー」・ロス中佐が話している。「A-10ほどの低空投下こそできませんが頭上500フィートで力の示威ができます」
Military.comはダイエス空軍基地(テキサス)を訪ね、ロス中佐他グローバル打撃軍団関係者から話を聞くことができた。またB-1Bに搭乗しニューメキシコの演習地で12月に体験飛行した。
そのような状況で各目標の調整にはB-1Bが搭載する統合戦闘ステーションIBSの改修版が役立っており、パイロットはじめ搭乗員は攻撃地点、防御地点をコックピットで確認でき、状況把握を助けてくれる。これにはコックピットのディスプレイの他データや座標の共有が役立つ。
Militry.com記者が体験飛行した12月19日には従来より高密度の通信やデータを共有する状況を見ることができ、軍用座標表示や技術表示からパイロットや搭乗員が即座に標的座標を送信するほか、搭載兵器の情報、高度、速力にくわえ機体コールサインまで送信するのを見た。
火砲の追加搭載で精密誘導爆弾(PGM)の投下を減らせば、空軍の運用経費で節約効果が長期的に生まれる。
「爆撃機機内の砲を使う前提は長時間滞空して必要地点に迅速移動することです」と前出国防専門家は指摘する。「だが同時に同じ機体でPGM投下も期待されます」
.同様のミッションなら新型AC-130Jゴーストライダーガンシップも投入できるが、B-1に砲を追加すれば同機の退役を遅らせる効果も生まれる。
「航続距離、速力で大きな効果が生れます」とTealグループ副社長でアナリストのリチャード・アブラフィアも指摘する。「B-1供用期間が延長できればこの構想のメリットが生まれます」
空軍はB-2スピリットと合わせランサー各機も2030年代に退役させ、B-21長距離打撃爆撃機を主力にする構想に向け作業中だ。ランサー各機は2036年ごろまで供用予定なので、まだ15年間の作戦運用が可能で新規パイロットを養成できる。
ただアブラフィアはB-1に火砲を導入する際は経費が壁と見ている。
実際の金額は不明だが、「B-1の供用期間中の関連経費として逆風効果がある」というのだ。「機体価格をみると実現可能性は低い」という。
ランサーの運用経費は一時間当たり82,777米ドルと2016年度の情報公開資料にある。
にもかかわらずボーイングはコンセプトを実現しようとしている。
「現時点では顧客要望内容を当システムに搭載する予定はありません。ただし、USAFからボーイングに何らかのイノベーションの要望があれば当社も対応いたします」とボーイング広報のロリ・ラスムッセンがMilitary.comに5月14日伝えてきた。「仮に顧客からイノベーションの要望がない場合でも当社は特許申請します」■
-- Oriana Pawlyk can be reached at oriana.pawlyk@military.com. Follow her on Twitter at @Oriana0214.

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