Everything We Know (And Don’t Know) About Israel Launching World’s First Air Strikes Using The F-35 Stealth Aircraft
世界初のF-35ステルスによる空爆を実施したイスラエルの作戦で判明していること(判明していないこと)
イスラエルはF-35ステルス戦闘機を実戦投入した初の国となった。イスラエル空軍司令官アミカム・ノーキン少将が5月22日発表し、イスラエル国防軍の公式ツイッターアカウントで伝えられた。
イスラエル紙ハアレツによればIAF参謀長から初公開画像でF-35Iがベイルート、レバノン上空を飛行する様子が示され、ステルス戦闘機は最新のシリア空爆には参加していないが以前の空爆二回に投入されたという。
「アディールはすでに作戦投入可能となっており作戦任務で飛んでいる。F-35の作戦投入で我が国は世界初となった」(ノーキン少将)
Commander of the IAF, Maj. Gen. Amikam Norkin, commented on the events in Syria: “The Iranians fired 32 rockets, we intercepted 4 of them & the rest fell outside Israeli territory. In our response attack, more than 100 ground to air missiles were fired at our planes.”
“The Adir planes are already operational and flying in operational missions. We are the first in the world to use the F-35 in operational activity”
現地報道ではシリアで空対空ミサイル100本以上が発射されたとノーキン少将が発言したという。
イスラエルがF-35「アディール」が作戦投入可能と宣言したのが2017年12月6日だったので同機の実戦投入はまじかと見る向きが多かったが、IAF関係者が認めたのは初めてのことで詳細はほとんど不明だが、第五世代戦闘機が火の洗礼を受けたのは明らかだ。
一部ジャーナリストが指摘しているよう、F-35がどこにどの形で投入されたのかは全く不明のままだ。シリアを攻撃したのか、それともレバノンだったのか、あるいは双方だったのか。どんなミッションを実行したのか。空爆だったのか武装(電子)偵察だったのか。
ここ数か月にわたり根拠のないうわさとしてF-35Iがシリア攻撃に投入されたといわれてきた。直近では3月末、IAF所属F-35がイラン領空に侵入したとの記事がクウェートのアルジャリダ新聞に掲載された。同紙に語った「消息筋」によればアディール二機が探知されずにシリア、イラクに飛び、そのままイラン領空に侵入しバンダル・アバス、エスファハン、シラーズの各都市を上空から偵察したいう。
ただしこの報道には怪しげな点が多々ある。特に報道したアルジャリダ新聞はイスラエル発のプロパガンダや心理戦メッセージを掲載することで知られている。事実、前回の「イラン上空ミッション」解説で筆者はこう述べていた。
「イラン上空ミッションは虚報で意図的に拡散させ心理戦としてイスラエルの敵に脅威を感じさせるためではないか。
「イスラエルのF-35ステルス機で運用テスト機材数を増やせば、アディールをIAFが実戦投入する可能性も増える。だが今回はそのままあてはまらいようだ。イランではなく、まだその時ではないだろう」
そこでニュースを早送りするとF-35Iの戦闘デビューを公式にイスラエル空軍司令官が認めたのが今回だ。アディールの投入場所や戦闘方法など詳細が分からないままでは分析できない。確実に言えることはIAFがまたもや新型機の戦闘投入で先陣を切ったことだ。今回のミッションの戦略的価値は不明のままだが、イスラエルが同機投入の価値があると認めたのは確かだ。リスクが現実になったのは2018年2月10日のことでF-16Iスーファがシリア領空に侵入しイラン陣地を攻撃していた。これはイラン製無人機がイスラエル領空を侵犯したことへの報復攻撃で(同無人機はイスラエルのAH-64アパッチヘリコプターが撃墜した)、シリア防空軍に探知され旧型ながら長距離SA-5ミサイル一発が命中し(シリアは27本ものミサイルを発射していた)同機は墜落した。機内の警報装置が飛来する脅威を対象としていたが、搭乗員のパイロットと航法士は対抗措置投入に失敗していた。
IAFは「職業上の過誤」でスーファを喪失したとしたが、多くの筋はIAFジェット機が敵砲火に撃墜されたのは第一レバノン戦争以来のことでステルスF-35Iのミッション投入時期はこれから早まると見ている。
どんなミッションだったのだろうか。想像にすぎないが、強固な防空体制の中にそれだけの攻撃価値がある標的だったのか。F-35投入は「パッケージ」の一部で特殊任務機材やEW(電子戦)支援を受けつつアディール機も自らのELINT能力で敵装備を探知、位置割り出し、分類していたのではないか。F-35には低視認性以外に高性能電子情報収集用センサーセンサー融合機能を加え戦場の状況を一つにまとめる能力があり、上層部に提供できるのだ。いいかえれば、F-35は爆弾投下だけでなく友軍機に方向を示す能力もある。F-35が複合任務を遂行することはよく知られており、「戦闘状況調整役」として情報データを収集、統合、配布しながら同時に「運動性攻撃機材」として装備を標的頭上に投下しつつ標的情報を第四世代機にLink-16を介して配信できる。
新型技術を実戦投入する場合特有のリスクについて整理しておくことが必要だ。イランがシリアに大々的に展開しているためイスラエルもF-35投入に制約を感じざるを得ないはずと見られていた。ロシア製レーダーやELINT機材ならイスラエル国内基地を発進する機材は丸見えでF-35の音紋特徴のデータから特定波長で解明してしまうかもしれない。戦術機大のステルス機では特定周波数のレーダーにのみ対応する想定で高周波数帯域のC、X、 Ku、Sの各バンドではレーダー精度が高くなる。(周波数が高いほどレーダー精度は高くなる)
イスラエルの政治アナリスト、ガイ・プロプスキが指摘しているが、ハアレツやその他現地新聞で英語ページ折込のついた紙面とは別にイスラエル国内各紙はヘブライ語でIAFがF-35で「二回攻撃」を「中東内の二地点対象に」行ったとあり、IAF所属のアディールが実際に兵装を投下した可能性を示している。
この件はその後、IAF公式ページへの投稿で確認された。「初のF-35作戦運用として攻撃を行った。IAFは先駆者となり空軍力運用で世界のリーダーとなった」
いずれにせよ、しばらく待って詳細情報が出てくるの待ちたい。その間、F-35ライトニングIIが物議をかもしながらも初めて公式に確認された形で初の実戦に投入された点に注意したい。■
Top image credit: IAF
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