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★★F-22生産再開研究の米空軍検討内容が明らかになった

虫が良すぎる、とはこのことでしょう。今回の提案はロッキードから出てきたものですが、米空軍が積極的に動いているわけではなく、実現すればおこぼれにあずかろう、ぐらいの気持ちではないですか。しかし総理官邸あたりで勘違いしてこの構想に色気を出せば本当に実現してしまうかもしれません。筆者としては一気に第六世代機を時間かけても国内開発してもらいたいと考えるのですが。その間はF-15を追加発注してもいいと思いますよ。皆さんはいかがお考えでしょうか。



Here’s The F-22 Production Restart Study The USAF Has Kept Secret For Over A Year

これが米空軍が一年間以上秘密にしていたF-22生産再開検討の内容だ

We finally see the study that was oddly classified on arrival and it has new relevance based on Japan's desire for a new stealth fighter. 

完成直後に封印されていた検討内容をついに目にすることができた。日本が新型ステルス戦闘機を模索する中で意味がある内容だ。

TYLER ROGOWAY/AUTHOR


F-22生産をわずか187機で終了させのは国防調達上で大きく物議を生んだ決断で熱い議論を引き起こした。今日ではUSAF将官含みこの決断は近視眼的過ぎたと信じる向きが多く、そもそもどうしてこの決定が生まれたのかを本誌はいまだに真実を追い求めている。だがF-22の追加機数が必要との声の前に2016年初頭に米議会が動きUSAFに生産再開の検討を求めるに至った。作業は2016年末に完成し、考察内容の一部はオープンに議論されたものの報告書自体は機密扱いにされていた。今までは。
空軍は37千ドルを投じて検討作業を完了させたが、本誌は情報の自由法により同報告書写しを入手した。内容はほぼ原文のままだが分析は深くなく2011年のRAND検討内容を基にした結論となっている。今回その本文を煮詰めて要点と知見にまとめてみた。
RANDによる2011年考察をもとに空軍はF-22を194機追加生産をした場合で費用試算と想定を行っている。
  • 経常外の初期コストは2016年ドル価値で98.69億ドルで2018年価値では100億ドルに相当する。
  • ここに含まれるのは生産施設の再整備に約2.28億ドル、部品・材料の再確保に12.18億ドル、57.68億ドルが主要サブシステムの再設計、11.56億ドルがその他「再開コスト」、14.98億ドルが「追加政府関連費用」とある。
  • 「再設計」が必要なサブシステム4つとはAN/APG-77低被探知 (LPI) レーダー、F119エンジンでともに現在生産が終了している。さらにソフトウェア一式に加え記述を省かれているものがあり、生産再開時に問題が見つかった際の対応なのだろう。
  • 電子戦装備、通信、航法、敵味方識別も交換あるいは他装備で代替が必要だ。
  • 2011年当時のRAND検討内容では一機当たり費用を2.66億ドルと試算していたが、これは75機調達の想定だった。
  • 空軍は194機調達した場合の単価を2.16億ドルと見ている。
  • 最終号機の完成時点では2.06億ドルに下がる可能性がある。
  • 空軍が最初の100機を調達すると単価は大きく下がり始める。
  • 調達総費用は400-420億ドルで事業経費合計は503億ドルとなる。
空軍はF-22関連の生産施設は約95パーセントが稼働可能な状態にあるとしているが、実際には生産施設は物理的に存在しないかF-35のような別の事業にロッキード・マーティンが使用している。2011年報告書の後で空軍は「主要生産設備」をシエラ陸軍補給処(カリフォーニア州)で保管し、補給部品製造の必要が生まれた際に備えている。
F119エンジンのメーカーだったプラットアンドホイットニーも軸足を共用打撃戦闘機用のF135エンジンに移している。ただしF135の原型はある程度までF119である。
空軍からは生産再開すればF-35用予算が犠牲になると繰り返し懸念が出ている。ただし、報告書では共用打撃戦闘機用の部品やサプライチェーンやインフラの流用を新規製造分のF-22支援に使えば費用軽減効果が生れるのに空軍は考慮していないと指摘している。
空軍は同時にF-22輸出仕様の開発は「技術的に可能」とし、費用負担を肩代わりさせれば単価はさらに下がると見ている。これに対し報告書では別の空軍内部検討(2010年)を引用しこの場合の経費合計を提示している。空軍はF-22全型式の輸出認可を得る課題に再度触れている。報告書では輸出を差し止めた関係米政府機関名の記述があるが空軍の事前検閲で見えなくなっている。
報告書にある経常外生産再開経費100億ドルとはいかにも高額に写る。だがB-21レイダーステルス爆撃機の半額程度だ。さらに報告書では機体単価について100機生産した後に下がり、最終号機は2.06億ドルになるとある。だがF-35のようにその他の大型国防事業の例では生産量が増えた場合にもっと大幅に単価が下がっており、報告書は整合性が弱い。
研究費用は含めず開発費用は含めた機体単価を見ると実際に生産されたF-22の最終60機は平均1.37億ドルで同時期に平行生産されていたF-35A単価に近かった。当時の空軍参謀長マイケル・モスレー大将はロバート・ゲイツ国防長官のF-22生産中止を承服できず失職したが以下述べている。 
「なにも一千機必要だったわけではなく、いまでも必要ではない。だが適正規模が必要だ。...納入最終機は87百万ドルだった...さらに複数年度契約が成立していれば85百万ドルまで下がっていただろう...85百万ドルでこれだけの性能の機体はほかにない」
そうなると生産再開でさらなる価格引き下げ効果が期待できそうで、報告書の見方と異なる。F-22が新型戦闘機でこれから生産に入る機体ではなくすでに完成した機体であることを考慮すべきだ。ただし報告書は別の言い方をしている。
またウェポンシステム各種の費用でもいろいろな計算で導入不可能と思える水準になっており要注意だ。実際にはF-22の支出実績は700億ドルでうち300億ドルが研究開発含む経常外支出だった。実際には300億ドルでF-22のようなシステムを開発しておきながら少数機しか作らないのは財務上割が合わない。
現時点でF-22生産再開に巨額予算を投じることに合理性はない。それだけの予算はUSAFが目指す「侵攻型制空」機材構想や高性能無人戦闘航空機に投入すべきだ。
だが別の国が、たとえば日本が生産再開の経常外費用負担に応じれば、ペンタゴンもこんなにうれしい話はないはずだ。
日本がF-22同様の第五世代戦闘機の設計開発をラプター生産再開費用より安く達成できるとは信じがたい。さらに日本は機体を5年程度で入手できるのであり数十年待つ必要がない。これだけの事業であり、リスク分散のためにもイスラエルやオーストラリアからもF-22新規生産機材で飛行隊編成の希望が出るはずだ。
だが報告書ではF-22に投じる予算はF-35事業から拠出すると何度も強調しており、海外国内問わず同機調達再開の可能性は低いと言わざるを得ない。■
Contact the editor: Tyler@thedrive.com

コメント

  1. これは防衛省が当初望んでいたことであり、コスパでも合理的な選択ではあるんだろうが・・・

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  2. moneyfreedom先生、また記事を引用させて下さい。

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