ヨーロッパで経済がうまく行っている最右翼のドイツがこの状態ではNATOも機能しませんね。国防費のGNP比引き上げを執拗に迫るトランプ政権にたいしてドイツの新たな連立政権は自壊してしまうかもしれません。ここでも左翼が足を引っ張るということでしょうか。日本も他山の石とすべきでしょう。
Germany has a 'massive problem' that has reportedly knocked almost all of its Eurofighter Typhoon fighter jets out of commission ドイツの「大規模問題」でユーロファイター・タイフーン戦闘機ほぼ全機が供用不能状態に
May. 4, 2018, 6:23 PM
- ドイツ軍のユーロファイター・タイフーンの大部分が戦闘投入不可能の状態と伝えられる
- ドイツ軍装備が稼働できなくなる事例はこの他にも発生している
- ドイツ国防軍にはこの問題が付きまとっており、同国政府では国防予算増額で問題解決すべきかの議論が巻き起こっている
ドイツ空軍が解決を迫られる「大規模問題」のため128機あるユーロファイター・タイフーン戦闘機のうち戦闘投入可能なのは4機しかないとドイツのスピーゲルが5月2日に伝えている。
ドイツ技術陣は同機搭載のDASS防衛システム(防御用の警告装備)で冷却液が主翼端ポッドから漏れているのが見つかったことを危惧している。ポッドにはセンサーが内蔵されており、このの問題は半年前にはじめて見つかっていた。
問題の核心は特定部品「グリースニップル」で冷却機能そのものを司るものだ。技術陣は不良ポッドを交換したとスピーゲルが伝えているが、同部分のメーカーはオーナーが変わり、再認証が必要なため供給が間に合わないのだという。
この装備がないと同機はミッション実施が不可能だ。記事によればタイフーンでミッション出撃可能なのは10機しかないという。
ドイツ空軍のユーロファイター稼働率問題に輪をかけているのが空戦ミサイルの不足だ。このため空対空戦に投入可能なのは4機しかないとスピーゲルは報道している。
この記事がドイツ国内の論争に火をつけた。
国防相報道官ホルガー・ニューマン大佐は自衛装備用の部品問題はあるものの空軍は要求に応じた行動は可能と述べるとともに部品問題は早期解決できるとしている。
「あと数週間数か月でこの問題は制御可能となるよう希望している」と大佐は述べながらユーロファイターで何機が稼働状態にあるのか言及を拒んだ。国防省からは供給問題で戦闘機の稼働状況に悪影響が生まれるとだけ発言があり、それ以上の説明はない。
この問題に詳しい筋によればルフトヴァッフェで稼働状態にあるユーロファイターは10機しかないとの記事を否定しつつ、各地で供用中の機体が少なくとも14機あると説明。
同機の即応状態についてのドイツ政府説明も誤解を招くものとスピーゲルにある。
ルフトヴァッフェはユーロファイター全機を飛行可能と判定しており、自衛装備が機能しない機体もここに含めていると記事は指摘。
各機は訓練用途には投入可能だがNATO作戦へは投入不可能だ。東ヨーロッパ上空の警備活動が最近展開されている。
ドイツは自国装備のユーロファイター82機をNATOの高度即応部隊(HRF)ならびに低速応部隊(FLR)に登録している。
各部隊はNATO指揮下に入る部隊でこのうちHRFの戦闘機は戦闘開始日から90日間稼働可能となる。FLRは91日から180日にかけ稼働する概念だ。
だがスピーゲルによれば現時点で作戦要請がないためドイツは現状でもNATOの求める義務を果たしていると言い訳できるとある。
「現時点ではミッションがないため装備の大部分が即応態勢にあると言える」と内部筋がスピーゲルに語っている。
装備品の不足とハードウェア問題
ドイツ軍の即応体制をめぐる問題はユーロファイターだけではない。別の機種でも問題が発生している。
スピーゲルが目にした報告書ではトーネード戦闘機がNATO作戦に加わることができないとあり、NATO制式敵味方識別装置の不足のためだという。
その他ドイツ空軍へ16機納入されたA400M輸送機のうち稼働可能機材な2月時点で5機しかなかった。海軍では6隻の潜水艦のうち戦闘可能な艦は一隻もなかった。フリゲート艦15隻で完全に戦闘可能なのは9隻のみだ。陸軍では戦車244両のうち稼働可能は95両しかない。
原因にドイツの国防予算が冷戦終結後に一貫して削減されてきたことがある。
ドイツ政府は2011年に非対称戦対応に本腰を入れるため部隊を削減した。以後ドイツ軍は規模縮小し、将校21千名分が欠員のままでこれも即応態勢に影を落としている。ロシアのウクライナ介入で通常戦に関心が集まり、この傾向に歯止めがかかったがそれでも廃棄した装備品の再補充が完了していない。
「ドイツは孤立する」
ドイツ軍隊員を訪問したアンヘラ・メルケル首相December 7, 2015.REUTERS/Fabian Bimmer
ドイツ国防予算は新たに誕生したアンヘラ・メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)の保守連立政権で真っ先に論争の種となった。
CDUの連立相手社会民主党(SDP)出身の蔵相オラフ・ショルツが提出した2018年度の国防予算では国防省要求の半額しか予算計上しておらず、かわりに国内対策や負債追加防止策に予算を増やしている。
これに対し国防相ウルスラ・フォン・デアレイエンおよび開発相ゲール・ミューラーは書面で予算案に抗議している。フォン・デレイエン国防相はこれまでの海外展開に主眼を置く姿勢からドイツ軍の中心を国内海外の治安安全保障に移したいとの意向だ。
予算めぐる意見の衝突はCDUとSDP間の国防戦略観の違いを反映している。
「ドイツは国内問題に気をとられ孤立しつつある。SPD内の左翼がこの動きの原因だ」とドイツ外交協議会のアナリスト、クリスチャン・モーリングでDefense Newsにこう語ってくれた。■
シュピゲールの記事は相変わらずな訳ですが、ここまで防衛事情がリークされていると思うと国防省として相当不満があると言った所でしょうか。
返信削除トルネード後継機の件といい、ドイツの国防に対する問題や不満の多い中、ヨーロッパで確実に脅威を増しつつあるロシアを相手に主導的立場になるはずなのですが。政治だけでなく国防においてもEUの主導権はフランスに譲る事になるのかも知れません。
その時までにafdが勢力を増し政権に影響を及ぼし出す様にも思いますがはてさて。