エンジン換装とは簡単にいかないのか、完全に新エンジンに変わるのがこれから16年後というのはいかにも長期間にわたる事業ですね。それだけ統合が大変なのか、いったん主翼に手を付けるとあちこち機体をいじることになるのか。とはいえエンジン換装したB-52がさらに供用期間を延ばすことになれば大きな見ものですね。
USAF Nuke Chief Not Expecting Easy B-52 Engine Upgrade B-52エンジン換装作業を楽観視していないUSAF核戦力部門長
米空軍ジャック・ワインステイン中将によればB-52Hのエンジン換装に「慎重ながら楽観視」しているという。: U.S. Air Force
米空軍がボーイングB-52Hのエンジン換装に向かう中、空軍上層部はこれが簡単な作業ではないことを十分認識している。
ボーイングから1960年、61年に納入されたストラトフォートレスはほぼ60年間にわたり核戦略爆撃機の中心の座についてきた。エンジンカウリングで亀裂が見つかり主翼内の配線をし直す作業で驚くような現象が多々見つかるはずだ。
「古屋を大改修すると壁の後ろにアスペストが見つかることがよくあるでしょう」と語るのはジャック・ワインステイン中将 Lt. Gen. Jack Weinstein(戦略抑止力・核兵器担当空軍参謀次長)だ。「エンジン換装が簡単に進むと断言するつもりはありません。換装方法の選定や最良の方法の模索など仕事は多いです」
ここ数年間にわたり空軍はエンジンメーカー各社と連絡しB-52Hが搭載するプラットアンドホイットニーTF33-103八基換装の可能性を探ってきた。一時はエンジン四発案を検討したが非現実的と判明した。
そこでTF33-103を同じ八発の新型で信頼性が高く燃料消費が優れたビジネスジェット用エンジンを民生部門から調達する。この案は技術的には可能だが機体と兵装は再認証が必要となる。
これは理論上は有望だがエンジン換装は言うは易く行うは難しだ。空軍でこれまで最大規模のエンジン換装はKC-135Rストラトタンカー(CFMインターナショナルCFM-56)とロッキード・マーティンC-5Mスーパーギャラクシー(ジェネラルエレクトリックCF6)だった。ボーイングが415機のストラトタンカーに新エンジンを搭載し、ロッキードは52機のエンジン換装を行った。
ノースロップ・グラマンB-21「レイダー」ステルス爆撃機が実戦配備される2020年代から30年代までB-52は爆撃機の主力機種の座に留まる。空軍は同機は2050年代まで現役のままにできると見ている。
GEエイヴィエーションからはTF33にかわり同社のパスポートあるいはCF34ターボファンへの換装提案があり、ロールスロイスはBR700ファミリーのうちガルフストリームG650ビジネスジェット搭載のBR725を提示するはずだ。
プラットアンドホイットニーの説明ではTF33の維持とあわせて部品改修によりエンジンの効率・信頼性・整備性の向上が可能とある。同社はTF33は「2030年代以降は運用不能」との空軍見解を否定している。
だが空軍がTF33の稼働期間延長を決めたが同社からは新型PW815(ガルフストリームG600に搭載)を提示するだろう。ジェネラルアトミックス・エアロノーティカルシステムズもPW815を米海軍向けMQ-25スティングレイ競作で採用しており、軍用型式証明取得まで半分来ている。
「なぜ稼働期間延長しない決定をしたのか。民生産業を見ればエンジンは無期限に稼働しており、信頼性も抜群だ。双発機で太平洋や大西洋上空を飛べるのもエンジンの信頼性が理由だ」とワインステイン中将がワシントンンのミッチェル空軍力研究所で5月1日に講演している。「B-52のエンジン換装ともなると簡単にはいかない。作業量が多いのです」
「B-52エンジン換装は長年にわたり検討している。慎重ながら楽観視できるのは立派な助っ人がいるからです。調達部門の重鎮ウィル・ローパーはきわめて有能ですし、この事業に配置した人員も才能豊かです」
空軍はボーイングあるいは別の主契約企業とエンジン換装を進めるようだ。合計650基のエンジンが必要となり、在籍中B-52の76機のエンジン全部を交換する。まずフライトテスト用二機分に20基が必要となる。
空軍の大日程ではまず10機のエンジン換装を2026年度に開始することとしており、同年にB-21レイダーも稼働開始する。残るB-52の64機には2028年から2034年にかけ換装作業が続く。■
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