2018年6月17日日曜日

米軍最悪の戦闘機5機種はこれだ

むりやり5機種にしていますが、ほかにも期待された役割ははたせなかった機がありそうですね。F-104は米空軍ではほとんど活躍しなかった機体ですが、ドイツなどでは「未亡人製造機」とまで呼ばれてしまいました。それに反し航空自衛隊でそこまでの悪評が立たなかったのは使いにくい同機を必死に稼働させた努力があったのでしょうね。


Flying Tin Cans: 5 Worst U.S. Fighter Jets of All Time 最悪の米戦闘機5機種



June 16, 2018


軍航空部隊は機材に恵まれてきた。一つには米国の国防産業基盤で数多くの企業から機体設計を競い低性能機を早期に排除してきたことが大きい。とはいえ、すべての機材がP-51マスタング、F6Fヘルキャット、F-15イーグル並みとはいかなかった。そこで今回は傑作機とはいいがたい戦闘機のリストをお目にかけよう。前世紀の米国で開発・生産された機体で一定の機数が生産されたもの(カッコ内に機数)に限ったため、「サンダースクリーチ」「ゴブリン」等試作だけに終わった機体は含まない。

バッファロー(509機)

ブリュースター・バッファローは技術サイクルの中で登場時期を誤った機体だった。1930年代末には比較的高性能だったが太平洋戦争勃発時に投入された高性能機材に太刀打ちできなかった。当初は艦載戦闘機として生まれたバッファローは開戦初期の日本軍戦闘機の前に大損害を喫した。エンジン出力、装甲ともに不足し低速で高高度性能が足りないバッファローは日本軍精鋭操縦手の敵ではなかった。開戦後数か月がたつと残存するバッファローは訓練機にされた。それでもフィンランドでは36名のエースを生み、ソ連との交戦に耐えた。

F7U カットラス (320機)

ヴォートF7Uカットラスは革新的な艦載戦闘機だったが失敗作に終わったのはあまりにも多くを一度に狙ったためだ。初飛行が1948年のカットラスはその他短命に終わった米海軍空母用戦闘機の一群のひとつだ。ジェット時代初期で技術がどんどん進展していく中で機体設計は複雑となり困難を極めた一方で当時の空母エセックス級ではジェット機運用は想定外だった。特異な尾翼形状のカットラスは操縦士に不評で機材の四分の一ほどが事故で喪失され、パイロット他が死亡していた。

F3H デーモン (519機) 

これもジェット時代初期の空母運用戦闘機のマクダネルF3Hはカットラスの比べれば常識的な設計内容だった。単発空母搭載戦闘機には信頼性高く強力なエンジンが必要だったがデーモンにはともに不足していた。さらに射出座席のでは射出メカニズムが作動しない問題が加わった。デーモンは亜音速迎撃機として可もなく不可もない機体だったがヴィエトナム戦の前に用途廃止された。
F-102デルタダガー(1000機)

ソ連長距離爆撃機の整備に対応して高速ジェット迎撃機数機種が生れた。そのひとうF-102デルタダガー(ジュースと呼ばれた)は当初超音速まで加速できず再設計を余儀なくされた。ジュースは高高度飛行でも性能が出来ず高高度を飛行してくるソ連爆撃機の迎撃に支障をきたしそうだった。再設計作業からF-106デルタダートが生まれこちらは性能が向上した。ヴィエトナム戦で空軍はF-102を低高度爆撃任務に投入したが成果にめぼしいものはなかった。ジュースは早々に州軍航空隊に移管され、機材は標的機に転用された。

F-104スターファイター (2578機)

ロッキードF-104スターファイターは高性能迎撃機として1958年以来各国の空軍に配備された。航続距離とペイロードが制限されたとはいえ、優秀な迎撃機となり航空優勢ミッションが重視されない時代だったがその任務をそれなりにこなした。ヴィエトナムでは対地攻撃に投入されたが微妙な成果しかあげられなかった。だが何と言ってもスターファイターの特徴は事故率である。米空軍ではその他センチュリーシリーズ戦闘機より高い事故件数を示したが、カナダやドイツではもっと高かった。事故原因は数々あったが、総じて単発戦闘機で主翼面積が小さいことが事故につながったといえる。

結語

歴史がF-35共用打撃戦闘機にどんな審判を下すかは不明だ。一部にこのリストに加えるべきとの声もあるが、まだ同機は製造中であり、供用期間もはじまったばかりだ。それはともかく上記の各機が最悪だとしても周辺技術の変化にもかかわらず有益な貢献をしてくれたのも事実だ。

Robert Farley, a frequent contributor to the National Interest, is author of The Battleship Book. He serves as a Senior Lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky. His work includes military doctrine, national security, and maritime affairs. He blogs at Lawyers, Guns and Money and Information Dissemination and the Diplomat.

Image: Wikimedia Commons

2018年6月13日水曜日

F-35納入が300機を超えた(6月11日)

F-35 passes 300th delivery milestoneF-35納入が300機の大台に


Gareth Jennings, London - IHS Jane's Defence Weekly
12 June 2018

通算300号機のF-35は米空軍向けのA型だった。ユタ州ヒル空軍基地に向かった。300機生産完了まで7年を要したが、製造工程の改良で次の300機は2年半で納入が完了する。Source: Lockheed Martin

算300号機の生産仕様型F-35ライトニングII共用打撃戦闘機(JSF)が6月11日にロッキード・マーティンおよび共用事業推進室(JPO)により納入された。

今回の達成はテキサス州フォートワース工場での出来事で生産仕様型の生産がはじまった2011年5月から7年かかったことになる。同機はフォートワース以外にイタリアと日本にある最終組み立て・点検(FACO)施設からも納入されている。

300号機は通常離着陸 (CTOL)方式のF-35Aで米空軍向けとなった。これまでF-35Aは197機、短距離離陸垂直着陸(STOVL)型のF-35Bが75機、空母運用型のF-35Cは28機が米国および各国向けに納入されている。

ロッキードによればF-35の修正作業はこの5年で75%削減された一方で製造に要する時間は2015年から約20%短縮されている。このため次の300機納入は2020年末に完了する。

年間納入66機を達成した2017年にロッキード・マーティンは2018年の目標は91機としていた。完全な量産体制になる2023年にはこれが160機になる。 Jane’s All the World’s Aircraft: Development & Productionが記しているようにF-35の総受注3,170機になっている。

ロッキード・マーティンとJPOはロット11で交渉中で低率初期生産 (LRIP) はこれで終了する。同社はロット11で141機を生産する予定。■

2018年6月12日火曜日

祝米朝首脳会談。北の考える非核化プロセス概念が西側と違いすぎる。切り札は日韓両国の核兵力保有だ。

 


America Should Loan South Korea and Japan Nuclear Weapons 

米国は韓国日本へ核兵器を貸与すべきだ



June 9, 2018



国が北朝鮮への交渉で結果を得るには韓国内に核兵器を配備し、北の核兵器と相殺する形しかない。米国が核兵器を1991年に韓国から撤去した大きな過ちを正す好機が来た。北朝鮮は核兵器開発中止で金銭以上の戦略取引を求めている。このため今回の首脳会談が実現した。北朝鮮の考える「非核化」とは米国が在韓米軍を撤兵し、韓国向けの核の傘も撤廃すれば北も核兵器を廃止するという定義だ。

だが米国がその通りに実行することはありえない。韓国を北朝鮮に譲り渡し日本さらに地域の安全を脅かすからだ。平和の名の下でここまで非現実的な提案が通れば世界平和そのものに不幸な事態となる。

この数週間であらわれた外交面での大きな動きは米国の交渉上の立場の弱さを如実に示した。米抑止力は余裕がなく妥協の代償になりうる戦略核の手ごまがないのだ。米国は取引材料となる戦略核の余裕を作る必要がある。このことに米国が気付くのが遅くなったが気づかないままよりましだ。米国がこの点で失敗すれば交渉は悲惨な結果に終わる。

米核兵器を韓国に配備すべきだ。同時に日本にも置くべきだ。これで北朝鮮も核兵器廃止の交渉に真剣にならざるをえない理由が生まれる。

米政府は以前同様に戦術核兵器を韓国に配備すればよい。米国は同時に同盟諸国にも半独立型の核抑止力として核兵器を貸与できるはずだ。

これで中国と北朝鮮の戦略上の計算をひっくり返す大きな効果が生まれる。両国は北朝鮮の核兵器でアメリカを脅迫して地域を支配する望みがもてなくなる。逆に北朝鮮と中国は不利な状況を悟るはずだ。

両国は韓国の核兵器運用能力で取引をすることが戦略上必要と感じるだろう。状況の変化で交渉も進むはずだ。

韓国と日本は限定的ながら事実上の核保有国になると、北朝鮮と中国は最大の悪夢を目にすることになる。交渉を進めないと韓国と日本が永久に核保有国の座につくことになる。

当然両国は注意するはずだ。米国には北朝鮮核兵器で大きな取引材料が実現することになる。北朝鮮-中国にとって状況は一気に深刻となり今までのような態度はとれなくなる。

この方法ならドナルド・トランプ大統領も気に入るだろう。大統領候補としてトランプは韓国、日本は核武装すべきと述べていた。

トランプの主張は当時のメディアから「受け入れがたい」として一蹴され、トランプ自身も構想は「受け入れられない」と判断して再提案しなかった。だが今や本人はホワイトハウスの主だ。

さらに韓国の世論調査では6割もの多数が核武装に賛成する結果が繰り返し出ている。米メディアもあたかも政府を超える存在として重要な政策選択肢を勝手に「受け入れがたい」とラベル張りするのはやめコモンセンスの尊重に切り替えるべきだ。韓国国民が自国の核武装を望むのは現実の外部脅威に目をつぶる余裕が許されないからだ。北朝鮮核兵器の射程が米本土まで伸びようとする中で米国民も同様に現実の脅威を無視できない。

言い換えればトランプは正しかったのであり、その主張は現実主義を反映していたのだ。現在は具体的に実施に向けた詰めをおこなうべきときであり、核兵器拡散の危険を克服すべきときだ。つまり、米国は韓国、日本へ核兵器を貸与し、米国が最終所有権を保持すればよい。

核兵器貸与は次の段階を経る。

1.核兵力は北朝鮮の規模を上回るものとる

日韓両国で残存性を考慮すると核ミサイル搭載潜水艦の形が望ましい。

これまで核兵力の規模と姿をTNIブログでは「戦略ミサイル潜水艦五隻で各16発の核ミサイルには100キロトン弾頭4つを搭載。常時哨戒中の潜水艦一隻で弾頭64個を運用する」としてきた。

さらにこの装備はあくまでも貸与するものであり、国産開発させないことで配備までの期間、非拡散、同盟国へ引き渡す間に発生する不安定さの排除を実現できる。

2. 各同盟国にミサイル発射の自主的権限を与える

従来の二重管理方式にすべきでない。抑止力運用を広げることで米国が核報復攻撃を受けるリスクが増え米国が本当に同盟国防衛のため核兵器投入に踏み切るのか不確実になる。米国にとって同盟国が独自に核抑止力運用できれば安全になる。また韓国、日本も安全になる。

米軍の核兵器は完全に別の形で保管し、本来の目的のために温存する。つまり米国への攻撃への抑止効果だ。

3. 自主運用権を認める代わりに米国は核兵器の最終所有権を維持しつつ各国のミサイル標的に制約を付ける

この点が核兵器貸与が核兵器拡散と一線を画す点で他国があわてて核武装に乗り出すことを防げる。

さらに核兵器の保有権を維持しながら兵器の乗っ取りを防ぐため、米国が維持管理を行い、重要な技術上の秘密を保持する。これにより核兵器の一方的な乗っ取りや撤去は不可能となるが事前合意ができた条件がある場合はこの限りではない。

4. 米国は事前に再処理ならびに兵力変更の条件を定めるべきで考えられる条件は以下の通り

米国は北朝鮮が核兵器・ミサイルを撤去すれば韓国に貸与した核兵器を回収する。逆に北朝鮮が核兵器を廃絶しない、あるいはテストを再開した場合は韓国へ貸与する核兵器を増強する。

米国は日本が中国やロシアと海洋、領土、核の核問題で外交解決に至れば貸与していた核兵器を回収する。

交渉が長引いて行き詰まれば米国は各同盟国に核兵器の恒久所有権移転のオプションを行使できるものとする。これにより米国は交渉に本気だ、貸付はブラフではないとのメッセージが伝わる。

北朝鮮からすれば韓国が永久核保有国になるのは耐えられないはずで、さらに韓国が強力になることも同様なので核兵器廃絶交渉に真剣になるはずだ。

中国も同様に核保有国としての日本との対決は望まないはずで北朝鮮に核開発計画の断念を求めてくるだろう。また日本とも戦略面でなんらかの妥結をはかるだろう。これで米国に望ましい状況が生まれる。韓国や日本が核開発に乗り出さない間に米国はこれまで中国と核兵器管理を期待してきたが、結局望む結果は得られていない。核兵器貸付によりバランスは即座に変化する。

米政府の交渉上の立場は強化され懇願することはなくなる。中国と北朝鮮が米国や同盟国に懇願することになる。すべての関係国が交渉に真剣になる。

これまで中国とロシアは北朝鮮の核脅威を維持するほうが得策と考えて米国の妥協を引き出そうとしてきた。両国は良い警官、悪い警官の役割を模索し、米国に対しては悪い警官に対決するのを助けるふりをしながら実際は逆の立場を演じてきた。これまではこれでうまく切り抜けてきた。

経済制裁では中国の目算を変えられなかった。中国は北朝鮮を米国に対決させる構図のままだ。最近はトランプ政権に譲歩して北朝鮮への経済的締め付けを強めているが、同盟国のロシアが北向け物資補給の役目を部分的に補っている。韓国が北朝鮮との首脳会談で合意した後に金正恩は中国を訪れ、中国は北朝鮮の強硬態度の保持を勇気づけ中途半端な反応を取らせた。したがって核兵器貸与のショックで中国の目算は狂い北朝鮮の核兵器保有を自国の戦略に利用してきた動きを逆転させられる。

日本と韓国が「臨時核保有国」になれば、貸与中の核兵力で中国の夢だった地域支配は否定される。日本と韓国に核兵力維持を断念させるため中国は戦略的な代償を支払う必要が生まれるだろう。

では最近話題に上っている経済懐柔策で同様の成果が期待できるだろうか。危険なほど非現実的だ。米国はいかにもこれが効果を上げると思い込まされているようだが実はこのような希望に賭けるのは危険だ。

北朝鮮のような相手には経済手段はあくまでも二次的な要素だ。中国や北朝鮮が大事にするのは軍事上の厳然たる事実だ。米国が同盟国に核兵器を貸し出す決定をすれば経済面のアメと鞭が効果を上げる可能性が増える。経済は軍事面の補強策になっても代替策にはなりえない。

だが核兵器貸与は実施可能なのか。実は各国と核のカギを共有する既存の仕組み同様に実施可能だ。米国に必要なのは緊急時対応策の立案を開始し、貸与の準備も始めることだ。政治的意思が必ずその後に生まれ、核兵器貸与の必要は強まる一方になるだろう。

日本国内に核兵器への忌避があり、韓国政府も反対姿勢を示すと政治上の支障になる。幸いにも日本には有能かつ現実的対応をとれる政権があり、韓国の国民、国軍も現在の脆弱な政権よりは現実的な態度をとれる。仮に米国が緊急対応策で核兵器貸与を立案すれば必要に応じた対応策が各種生まれるはずだ。北朝鮮との交渉は一筋縄ではいかず、結果が出る前に何度も暗礁に乗り上げるだろう。核兵器貸与の実施は突然現実になりかねず、交渉を成功させるための唯一の手段と認識されるはずだ。

米国を破壊できる能力が実現する一歩手前まで北朝鮮が来ているため、アメリカが交渉による非核化の実現の強化策を手に入れることは最高度に重要と言える。失敗すれは先制攻撃あるいは北朝鮮による米国破壊力の存在を受け入れることになる。

先制攻撃のリスクは大きい。だが完全核武装した北朝鮮の脅威は現実だ。そのため今回提案の選択肢各種を重視すべきだ。米国にとってリスクが一番低い選択肢は核兵器を同盟諸国に貸与して米国と韓国が交渉を成功に持ち込むことだ。■

Ira Straus is an independent foreign affairs analyst. He has taught international relations for three years in universities and has worked for three decades in organizations devoted to the Western alliances and their relations with Communist and post-Communist regimes. He contributed an article to the National Interest on nuclear counterproliferation in 2004.
Image: Wikimedia Commons

2018年6月11日月曜日

★日本がスタンドオフ巡航ミサイルを配備する日がやってくる

巡航ミサイル導入は関連装備の導入規模も大きく、米国として貿易赤字対策の切り札になるのでしょうね。その前に日本側は野党のセンティメント(政治首長ではありません)を封じ込める必要に迫られるでしょう。実戦化は早くて5年、あるいは10年かかるかも知れません



Japan Wants Cruise Missiles (And that Should Terrify China or North Korea) 巡航ミサイル導入を目指す日本に中国や北朝鮮は恐れをなすはず



June 9, 2018

朝鮮の核兵器開発で東アジアに不安定度がましているが、その影響は世界全体にまで及んでいる。その中で日本は核攻撃を受けた唯一の国として再び攻撃を受ける可能性に直面している。これに対して日本は第二次大戦終結後初めて攻撃兵器の導入を検討している。その狙いは核ミサイルが発射される前に発射台もろとも破壊することにある。


日本か国権の発揚として戦争を放棄し攻撃兵器の保有を自ら禁じてきた。空母、弾道ミサイル、爆撃機、上陸部隊はすべて攻撃兵器として保有していない。だが海兵部隊など以前は保有してこなかった装備の再評価が進み防衛的あるいは敵の攻撃前に先んじて投入することは可能とされるようになっている。


日本は弾道ミサイル防衛で優秀な体制を整備してきたが、攻撃回避で最良の方法は検討してこなかった。すなわち先制攻撃だ。一番よくみられるシナリオは日本の衛星が北朝鮮の液体燃料核ミサイルが発射台にあり燃料注入が進み攻撃準備に入る様子を探知することだ。発射が近づく中、他国なら絶好の機会としてミサイルや戦術機で攻撃を加え、ミサイルを発射台もろとも粉砕するだろう。だが日本にこの能力がなく、ただ見守りミサイル防衛体制が期待通り作動するのを祈るしかない。


北朝鮮が原爆さらに水爆兵器まで保有していることがわかり、ミサイル搭載を進める中で日本のリスクは高まっている。日本政府は巡航ミサイル二型式の導入に前向きな姿勢を明らかにした。米国製共用空対地スタンドオフミサイル射程拡大型 (JASSM-ER)およびノルウェー・米国共同開発の共用打撃ミサイル(JSM)である。ともに日本に北朝鮮ミサイル発射台あるいは指揮命令発令所の破壊能力を実現する手段となる。政治面でいえばこうしたミサイルは「防御攻撃」用として先制攻撃に投入できるがあくまでも明確な脅威となる標的が対象だ。


JASSM-ERはシリア化学兵器製造工場攻撃に投入されたJASSMミサイルの改良型で、B-1、F-16、F-15から発射され射程距離は575マイル(925キロ)だ。日本のF-15JやF-2で日本海から発射すれば北朝鮮全土の標的を攻撃できる。1,000ポンド(450キロ)弾頭の精度は3ヤード(2.7メートル)以内で地下施設への貫徹攻撃も可能だ。


もともと日本関係者からトマホーク対地攻撃ミサイル購入案が出ていたが、米当局者は核弾頭運用を想定する同ミサイル売却に及び腰だった。これに対してJASSM-ERは通常兵器専用のミサイルで現政権としても主要同盟国への同装備売却に異論はないだろう。


その次に日本が導入を検討中なのがJSMだ。これはコングスバーグ海軍打撃ミサイルの発展形で米海軍が水平緯線越えの対艦ミサイルとして沿海域戦闘艦に搭載することを決めたものだ。JSMはF-35の兵装庫内に収まる設計で日本もF-35を42機導入する。JSMはMk.41垂直発射管からの運用も可能で海上自衛隊の誘導ミサイル駆逐艦が発射できる。


ただし北朝鮮あるいは中国の巡航ミサイル・弾道ミサイルを相手にした複雑な海空作戦の実施能力を日本が確立するまでに時間がかかる。こうした作戦の実施には今以上の情報収集監視偵察装備が必要となり、無人機、空中給油機、早期警戒指揮統制機の拡充が求められる。さらに攻撃兵器導入は重大な政策上の変更となる。北朝鮮により日本が破壊される脅威により日本の軍事力が刷新されさらに増強されれば北朝鮮、中国ともに望まない結果になるだろう。
Kyle Mizokami is a writer based in San Francisco who has appeared in The Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and The Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch.

Image: F-15J at Chitose Air Base. Wikimedia Commons

2018年6月10日日曜日

トップガン続編の撮影開始、テーマはドッグファイトの終焉?

日曜日ですから軽い話題にしましょう。トップガン続編を32年たって撮影ですか。ヴァル・キルマーも随分と時の流れで変化しているようですが、海軍航空戦力も大変化ですね。ドッグファイト命の海軍航空士官にとってRPA問題を真正面から取り上げるのは時代の流れなのか、あるいは逆鱗に触れることになるのか。来年の封切りが注目ですね。

The Return of “Iceman”: Val Kilmer to Appear in “Top Gun” Sequel

「トップガン」続編に「アイスマン」ことヴァル・キルマーが復帰



Jun 07 2018 By Tom Demerly

リウッドのエンタテインメント関係ニュースサイト多数が映画「トップガン:マーヴェリック」(原題)に1986年の「トップガン」でヴァル・キルマーが演じた「アイスマン」・カザンスキ役で再登場すると今週水曜日一斉に伝えた。

新作でもヴァル・キルマーがアイスマンで登場するが本人は喉頭がんで二年間闘病生活をしていた。キルマーは1997年の「セイント」で主役サイモン・テンプラーを演じるなど活躍し、歌手としてもジム・モリソン役を演じた「ドアーズ」で注目された。

キルマーはトップガン続編出演を自らのフェイスブックで5月30日明らかにしたがわずか数時間後に削除されている。(理由不明)

ハリウッド関係者によれば新作の主題は遠隔操縦機 (RPAs)の台頭とドッグファイトの終焉だとなる。最初に公開されたイメージでは米海軍F/A-18Fが大役を務めそうに見える。


第一作の「トップガン」監督のトニー・スコットは2010年月に「当時と大きく状況が変わって興奮しているが、リメイクはしたくない。作るなら全くの新作としたい」と語っていた。その後スコットは自殺していた。新作の監督はジョセフ・コシンスキで監督実績はトロン:レガシー、オブリビオン、オンリー・ザ・ブレイブくらいいしかない。

第一作では大尉だったトム・クルーズふんする主人公ピート・「マーベリック」・ミッチェルは製作開始で発表されたイメージでは大佐になっているようだ。「海軍航空士たちが戻ってきた。第一作と同様に競争の物語だがマーベリックの成長も扱う」と述べている。

主演のトム・クルーズ自身がパイロットで1994年に自家用機免許を取得、98年に商用機操縦免許をとっていることがFAA記録からわかる。最近はヘリコプター操縦もしており、2018年7月27日米国黄海の「ミッションインポシブル/フォールアウト」でUAE空軍C-17からHALOジャンプをしている。

ただ「トップガン」続編は米軍パイロット志望者増にすぐには結びつかないようだ。各軍でパイロット不足が続いており、現役パイロットの負担が強まっている。前作では「封切り後に米海軍はパイロット志望者が6倍になった」(ディビッド・ロブ著作)という。

「トップガン:マーヴェリック」(原題)の製作は2018年5月30日にサンディエゴ近くのノースアイランド海軍航空基地で始まった。パラマウント映画の配給で公開は2019年7月19日予定だ。

Top image: Actor Val Kilmer will return in “Top Gun: Maverick” along with Tom Cruise. (Photo: Paramount)

F-117にみるステルス技術の「神話」と現実

よくあることなのですが、記事のタイトルと内容特に結論が乖離していますね。たしかにF-117は退役後も米国西部にこっそりと温存されていますが、投入できる範囲は限られるでしょう。戦闘機の分類ながら空戦能力が皆無で対地攻撃機に使うのが本領の同機ですがなぜF-117になったのでしょうね。戦闘機と言いながら爆撃機というのはF-105サンダーチーフの例が前にもありましたね。



Could the F-117 Nighthawk Make a 'Stealth' Comeback? F-117ナイトホークが「ステルス」カムバックする可能性はあるのか



June 5, 2018

ッキード・マーティンF-117ナイトホークは伝説の機材だ。2008年に退役したF-117は今日でも有効な戦力になれるのか。
その答えはイランのような中距離程度の脅威を有する国相手なら間違いなくイエスだ。だがロシアや中国と言ったハイエンド脅威国が対象となると怪しくなる。F-117が「ステルス戦闘機」として開発が始まって以来の技術進歩には相当のものがある。
F-117の開発
1970年代に開発が始まり、秘密のうちに供用を開始した1983年、F-117は米国による戦闘の独壇場を開いた機体となった。皮肉にも米国がナイトホークを開発した出発点はソ連でピョートル・ヤコブレビッチ・ウフィムツェフが1962年に執筆した論文だ。折角の構想をソ連は非実用的と無視したが、ロッキードのスカンクワークスのデニス・オーバーホルサーがロシア物理学者の論文に実用的な意義を見出したのだ。
オーバーホルサーの研究からスカンクワークスで絶望のダイヤモンドと呼ばれたコンセプトが生まれた。だがすぐに不格好なダイヤモンド形状がレーダー断面積削減に大きな効果があることが判明した。そこでペンタゴンは直ちにロッキードに契約交付し実証機ハブブルーの作成にあたらせた。これは生存可能試験機(XST)事業の一環だった。ペンタゴンは当時ワルシャワ条約軍の防空体制が実効力を強める中で対策に全力を尽くす必要に迫られ、第三次大戦勃発となればNATO空軍部隊は多大な損害を覚悟せねばならない状態だった。
ロッキードは絶望のダイヤモンド機の設計から辛うじて飛行可能な機体製作に向かった。そこから生まれた機体は多数の面で敵レーダーを無効にする設計でF-117の縮小版の様相で1977年に初飛行した。試作型二機は喪失したが、このハブブルー事業は驚くほどの成功を収めた。このため空軍は後継機としてF-117開発を進めることとした。
F-117は1981年初飛行し1983年に戦力化した。ロッキードがここまで早く作戦機材を開発できたのは他機種の既存コンポネントを流用したためだ。フライバイワイヤはF-16から、エンジンはF/A-18AのジェネラルエレクトリックF404ターボファンからアフターバーナーを省いたものだった。さらにF-117は通常型の航空宇宙用アルミニウム製で、その後のステルス機と一線を画し、製造が容易だった。ロッキードは合計59機のF-117AとYF-117A開発試作型5機を製造した。
F-117の戦歴
F-117の極秘戦闘デビューは1989年でパナマ侵攻作戦だったがその実績は精彩を欠くものだった。ただしF-117は第一次湾岸戦争(1991年)ですばらしい働きをイラクで示し続く第二次湾岸戦争のイラクの自由作戦(2003年)でも同様だった。空軍は予算節約のためとしてナイトホークを2008年に退役させロッキード・マーティンF-22ラプターの予算をねん出した。その時点での空軍見解は航空優勢が主眼のラプターの登場でF-117の出番はなくなったというものだった。
供用期間を通じ機体喪失は1999年3月にユーゴスラビア上空で撃墜されたデイル・ゼルコ中佐操縦の機体一機のみで、コソヴォで発生したこの事件はステルス機といえども無敵ではない、レーダーや赤外線の前にステルス機も探知可能と広く知らしめることとなった。もともと国家安全保障関係者や軍内部でそんな幻想を抱くものは皆無だったが、1990年代から低視認性機の性能を過信する傾向が生まれていた。ステルスは探知追尾を遅らせるだけであり、敵に見つかる前に運んできた兵装を投下するのが基本コンセプトだ。ステルスは機体を透明化にする魔法ではない。
空軍はステルス機が探知不可能であり無敵だとは一貫して考えてこなかった。砂漠の嵐作戦では米陸軍AH-64ガンシップがイラクで初めて戦闘投入されており、そのミッションはイラクの低周波早期警戒レーダーを排除することだった。各レーダーはVHF、UHF帯域を使用していた。こうしたレーダーはF-117の探知追尾が可能だ。アパッチ部隊がステルス機に侵入経路を作りイラク内部へ探知されずに移動できるようにした。同機はC、X、Kuの各帯域でステルス性を発揮できる設計だ。
その後登場したF-22やF-35も高周波火器管制レーダーに有効なステルス性能を有する。第五世代戦闘機はF-117直系といえるが、敵も何かが飛んでいることは察知できる。ただ存在が分かっても打つ手がないはずというのが理論上の説明だ。だが空軍がステルス機を運用する際は海軍の電子戦機がある場合に限っている。
ステルス戦略爆撃機のB-2は潜水艦同様で飛行中に存在を探知されない。大型爆撃機は「広帯域全アスペクト」ステルス機で、つまり低周波レーダーをもってしてもノイズと乱反射に隠れ探知されない。それでもペンタゴンとしてはロシアや中国がここまで早期に低周波レーダーを開発しB-2にも脅威になる事態が来るとは予測していなかった。「B-2の脅威をリアルタイムで予測すべく国防管理システム(DMS)を利用したが、B-2でさえ脅威の進展についていけなく事態が来るとは正直想定できなかった。このため新型LRS-B(B-21)では低周波レーダー対抗を最初から盛り込んでいる」と空軍関係者が述べている。
F-117の限界とF-22を上回るF-35のステルス性能
この空軍関係者の話でF-117が高度のハイエンド戦に対応できないことの説明がつく。亜音速軽爆撃機のF-117が高周波レーダー対策に特化していることはF-22やF-35のようにリアルタイムで脅威発生源を探知したり敵発信の特徴の把握はできないことを意味する。ましてや探知されたり空中で敵に遭遇すれば生き残るのに必要な性能が足りない。
じつはここにF-22やF-35の長所があり、F-117はおろかロシアのPAK-FA(Su-57)や中国のJ-21やJ-31でさえもこの水準に及ばない。F-117の場合は各ミッション実施前に脅威対象を回避するコース設定が必要だった。F-22、F-35では侵入コースがリアルタイムで設定でき、パイロットに情報を提供するインターフェイスが備わる。この関連で共用打撃戦闘機はラプターよりさらに一歩先の性能で、開発時期の差から生じた技術進歩を反映している。
空軍や業界の複数筋からラプターのレーダー断面積はF-35より大きいとの情報があるが、今後の新型機はさらに進歩した電子戦装備のおかげもありステルス性能が向上する。航空戦闘軍団(ACC)司令官を退いたマイク・ホステージ大将がBreaking Defenseに語ったことばを思い起こさせる。「F-35は高度性能がなく速力も劣るが、ステルス性能でF-22を上回る」と述べていた。現ACC司令官ホーク・カーライル大将はF-35のパッシブ性能が優れ自機の出すシグネチャの管理能力は高い、とNational Defense Magazineで述べていた。
そうなるとロシアや中国への優越性はこれまで多額の費用を投入してきた機体とパイロットのインターフェースにかかる。カーライル大将も何年か前に筆者に同じことをペンタゴンで語っている。にもかかわらず米国が技術面で優位性を確保するには新技術の開発に今後も尽力する必要があるのは明らかだ。

Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.