2019年1月22日火曜日

地政学で考える。 中国のA2AD戦略を中国に向け使えばどうなるか


Time to Use China's A2/AD Military Strategy Against Them

中国のA2/AD戦略を逆に中国に使う時が来た

A U.S. access-denial strategy, then, would impose a hard fate on China. Which is the point. Threatening fearful consequences could deter Beijing from aggression tomorrow morning, and the next.
米国が接近阻止戦略を取れば、中国に深刻な影響を与え、強硬な態度は取れなくなる
January 20, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaAmericaA2/adSouth China SeaU.S. Navy

週はペンタゴンから中国に関する資料が二点続けて公開された。まず国防情報局(DIA)が中国の軍事力報告を冷戦時のソ連の軍事力評価にならう形で発表した。人民解放軍(PLA)に詳しい筋には同報告書には驚く内容は少ないが初心者やしばらく情報に接していない方には有益だろう。興味のある向きは下リンクを参照してもらいたい。
DIA報告に続きペンタゴンが「中国のグローバルアクセス拡大に対応する米国防体制の評価」を発表し、中国の「大戦略」を評価している。こちらのほうが短く、一読の価値はあるだろう。
「大戦略」の言葉を編み出したのは英国の軍人著述家B・H・リデル=ハートで大作「戦略論」(1954年)で大戦略とは外交力、経済力、文化、軍事力を使いこなして「平和状態」を向上していくことにあり、武力を用いずにこれを実現するのが望ましいとした。大戦略思考では高所から大局を捉える。
「中国のグローバルアクセス」の編者は「アクセス」の用語を正しく選んでいる。中国の大戦略は世界各地につながるアクセスを確保することにかかっているからだ。中国も海上輸送での物資輸送に依存する点で他の交易国と変わらない。貨物船には海外の寄港先がなければ貨物の積み下ろしができず本国への輸送もできない。
海洋戦略とは大戦略を海上で展開することにほかならない。
そこでアルフレッド・セイヤー・マハン大佐が登場する。中国の海洋戦略の先祖と言って良い大佐にとって海洋戦略の目的ならびに原動力はアクセスそのものだ。米国を海洋国家に導いた思想家としてマハンは商業、政治、軍事それぞれのアクセスを重要な交易相手に確保しておくことが海洋戦略の目的と説いた。
マハンは商業取引を最上段においた。海上交通を重要視する各国は交易アクセスに有益なアクセスを外交で求めるが、軍事アクセスで外交、交易のアクセスが容易になることもある。アクセスにより動きのサイクルが生まれる。国内製造業は海外市場で製品を関税を払ってでも販売して収入を確保し、これを海軍力整備にまわす。海軍は商品の海上輸送を守り、敵対勢力には海上交通路を閉鎖する。
大戦略での海上交通関連部分ではこの相互作用が産業、外交、軍事各面の活動に見られる。中国政府はこれを骨身にしみるほど熟知している。
マハンの時代のアメリカと違い中国にとってアクセスは容易ではない。当時も今と同じく、政治地図では米国は大西洋、太平洋で邪悪な隣国から自由であった。逆に中国には地理が逆作用となる。当時でも中国は上海や天津に遠隔地から到来する船舶に苛立っていたはずだ。
それは中国の船舶往来は必ず「第一列島線」として日本南部から台湾、フィリピン、インドネシアにつながる島しょを通過する必要があるからだ。この島しょ部分に強力な米海軍空軍部隊が駐留しており、各国は米国の同盟国友邦国であり、中国の敵となる。
言い換えれば、中国に経済、地政学の恩恵をもたらすはずの船舶航空機は敵性国の軍事力の影を意識して往来する必要がある。戦略地図では大国としては珍しい形で中国の野望が妨害を受けているのだ。
.PLA海軍創設時の戦略家劉華清Liu Huaqing提督たちが第一列島線を「金属の鎖」と表現し、これを突破しないと習近平主席が好んで使う「中国の夢」は達成できないと考えたのは当然だろう。第一列島線を突破すべく一部の占領や台湾あるいは米国の同盟国を外交手段ででたらしこむことが戦略的勝利に欠かせない。
アクセスが成功を呼ぶ。このマハン流の考えは「中国のグローバルアクセス」に一貫して流れている。
植民地時代を扱う歴史家は交易が先で国旗が続いたのか、国旗に交易が続いたのかを問うことが多い。商業上の利益追求から交易地につながるアクセスが生まれ、外交軍事面の保護が必要となった、つまり国旗だが、あるいは外交団や軍人が先に乗り込んで安全を確保してから商業活動が続いたのかという議論である。
マハンは同時に実現可能と主張していたようだ。米国が産業基盤と商業活動を確立し、商船隊と海軍部隊を建造し遠隔地の海港へのアクセスを追求すべきと熱く説いた。また商業活動、艦船、港湾拠点を海洋力の「鎖」の3つの「リンク」と好んで呼んでいた。3つを同時にリンクしたかったのだ。
今回の報告書をまとめた専門家は意図的かは別に中国がマハン教義を忠実に守る立場を捨てたと暗示している。中国が外交経済両面で外界へのアクセス確保をめざしているのは事実だが軍事アクセスがその後を追うこともある。その例としてPLA海軍がアデン湾に戦隊を十年近く配備しており、また世界各地に遠洋航海をしている。ただし西インド洋を除けば中国海軍はプレゼンスを常時確保できていない。
そこで中国の東アジア以遠での大戦略の護り手は非軍事手段である、いまのところは。
このパターンは地理条件から生まれた。中国が「遠隔海域」のインド洋や地中海でなにか達成しようとれば商船隊や海軍艦艇を本国周辺の「近海」から現地に派遣する必要がある。遠隔地での活動を考えると中国周辺海域から西太平洋へのアクセスの確保が必須と判明した。
.興味深いことに「中国のグローバルアクセス」は米国による戦略対応策に触れていない。当然必要だろう。ユーラシアへの商業、政治、軍事各面のアクセスこそマハン時代から一貫して米国の大戦略の中心課題であり、マハン自身がこれを主張していた。
中国、ロシア、その他沿岸国が「接近阻止領域拒否」に役立つ兵器を展開し米海軍を近づけまいとしているためアクセスが今や危険に立たされている。在日米軍基地他列島線上の軍事施設へのアクセスがなければ米国は意味のある戦略上の役割を果たせなくなる。
アクセス確保こそ米軍の最重要課題と考えるだろう。
.逆にペンタゴンが接近阻止領域拒否戦略を打ち出せば良い。PLAと中国共産党が海洋アクセス確保に必死になるのは列島線でアクセスを否定されれば中国は世界と貿易できなくなるためだ。
マハン教義を応用して列島線内の水路を封鎖すれば植物の根を枯らすと同じ効果になる。中国の商船隊やPLA海軍が外洋に出られなくなる。中国の夢の実現には貿易が死活的な意味を持つのだ。
  • この過程で地理上の利点は消える。
  • 米国がアクセス拒否戦略を取れば中国の運命は悲惨だ。これが重要だ。恐ろしい結果をちらつかせれば中国は強硬策を翌日に引っ込める。その次の日も。習近平一味が忍耐するしかないと気づくのではないか。中国、アジア、世界は共存に向かう。
  • アクセスの重要性を再認識することで道は開く。■
  • James Holmes is J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College, coauthor of Red Star over the Pacific (new in print last month), and author of A Brief Guide to Maritime Strategy (forthcoming this November). The views voiced here are his alone.​
  • Image: Flickr

コメント: マハン、なつかしいですね。米国よりも熱心にマハンの著作を貪るように呼んでいたのは帝国海軍士官でしたが、PLAでも熱心な読者がいたのですね。中国があれほど強硬な態度に出るのはそれだけ自国が不利な条件にあるからであり、自由主義圏はこれを意識した「封じ込め」で中国を「正しい」方向に導き、軍拡をやめ、経済の活性化に資源をまわす、というシナリオでしょうか。

中国が新型ステルス爆撃機二形式を開発中と判明、とくにJH-XX戦闘爆撃機が要注意


Intel Report Confirms China Developing Stealthy Tactical Bomber In Addition To Strategic Bomber

米情報機関が確認 中国はステルス戦術爆撃機を戦略爆撃機と並行開発中

News of China's development of a long-range stealth fighter bomber is a punch to the gut to those who long championed a similar concept for the USAF.

中国が進める長距離ステルス戦闘爆撃機開発は米空軍の独壇場を奪いかねない


CHINESE INTERNET

情報機関が中国のステルス爆撃機は一種類のみでなく二形式が開発中であると初めて公表した。H-20ステルス重爆撃機では以前も報道があったが、あらたに小型で地域内作戦に特化したステルス爆撃機JH-XXの存在が明らかになった。
国防情報局(DIA)がまとめた最新の中国軍事力の報告書が1月15日公開された。冷戦時のソ連軍事力報告にならいDIAは中国に特化した報告書を2017年から刊行している。今回は2018年11月現在の情報をもとにまとめた。
「PLAAF(人民解放軍空軍)が新型中距離及び長距離ステルス爆撃機を開発中で域内外の標的の攻撃を狙っている」と報告書別冊で解説している。「新型爆撃機ではステルス技術が中心で、2025年までに初期作戦能力を獲得するだろう」
報告書では情報はごくわずかで、名称にも触れていない。「新型爆撃機各型は全面的に現状の爆撃機の性能を上回り、第5世代戦闘機技術を盛り込んでいる」とだけ述べている。
報告書では名称に触れていないが、「長距離ステルス爆撃機」が西安H-20であることを脚注で認めている。同機は全翼機形状でノースロップ・グラマンB-2スピリットと似ると言われる。
同機の戦闘半径は4千から5千マイルで機内に大型兵装を搭載するとDIAは述べ、アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーで標的捕捉能力が向上し脅威にも対応するとする。DIA報告書では「精密誘導兵器」も運用可能とあり、直接攻撃用スマート爆弾、スタンドオフ対地対艦ミサイルまで広く想定している。
AVIC CAPTURE VIA CHINA DEFENSE ONLINE

H-20の画像、想像図はともに存在しないが西安の親会社中国航空工業AVICが2018年5月にプロモーション映像を公開している。これは2015年のスーパーボウルで放映されたノースロップ・グラマンB-21爆撃機のティーザー広告を模倣したものだった。
核非核両用のCJ-10KあるいはCJ-20対地巡航ミサイルを搭載すればH-20で中国は全く新しい戦略攻撃能力を手に入れ、アジア太平洋各地を攻撃する選択肢が生まれる。「同爆撃機が配備されれば中国に初めて実用に耐える核兵器運用三本柱が生まれ、冷戦後に改善された生存性と抑止力効果を享受するだろう」と報告書はまとめている。
対艦ミサイルをステルス長距離爆撃機に搭載すれば今までと違う脅威になり、特に米海軍の空母打撃群には深刻だ。中国に有事に特定の太平洋地区を立ち入り禁止にする手段が手に入ることになり、少なくとも敵対勢力は侵入のリスクを意識せざるを得なくなって進路変更したり移動を遅らせるかも知れない。長距離センサー機材として運用する、標的捕捉の中継機とすればH-20は数百マイル数千マイル先の自軍に情報を伝える機能を果たせそうだ。
DIA報告書では「中型爆撃機」について「戦術爆撃機」であり「戦闘爆撃機」と述べている。だがその対象が瀋陽航空機が発表した設計のことを指しているのは確実で、一般にはJH-XXとして知られている。

DIA
中国の固定翼機の進展を示す表にH-20「戦略爆撃機」とJH-XX「戦術爆撃機」が見られる。

一部にはJH-XXとは瀋陽の戦略爆撃機提案でH-20案に敗退したものとする説がある。だがDIA報告書では両機は別の開発案と解説している。まず小型機の画像が2013年にインターネットに現れ、設計はそれ以前のものと思われた。H-20は2000年代から開発が始まったと言われ、J-20ステルス戦闘機は1990年代に始まった事業との報道がある。
その画像をもとに各種想像図が出現したが戦闘機のような後退翼、双尾翼、リフティングボディ形状の双発機で空気取入口がそれぞれ機体上部コックピット後方についている。H-20同様にDIAでは同機にもAESAレーダーがつくとしている。
CHINESE INTERNET
2018年5月の中国雑誌「航空知識」表紙にJH-XX想像図の最新版が掲載された。同誌は中国で一番長く刊行されている航空専門誌

これまでJH-XXには機内兵装庫以外に側部に空対空ミサイルを収める兵装庫があるといわれてきたが、DIA報告書では同機に「長距離」空対空ミサイルが導入され、「精密誘導爆弾」も搭載すると述べている。
あわせて同機の最大離陸重量は60から100トントとしているが低い数字のほうが可能性が高い。機体全長が100フィートほどとの推定のためだ。またH-20より戦闘行動半径は相当短く、推定では1,000ないし2千マイルで近距離、地域内作戦用だろう。
その性能でも在日米軍やグアムなどの戦略拠点には十分脅威となるし、インド国内の基地も攻撃範囲に収まり、南シナ海も同様だ。設計は速度を重視しながらステルスも実現するようだ。戦闘爆撃機の形状だと出撃回数のみならず敵防空網突破でも威力を発揮しそうだ。なかんずく多用途運用が可能で長距離空対空ミッションも脆弱な給油機の助けを借りずに行い、沿岸部基地の利用も不要となれば全面戦争で脆弱性を排除できる。
DIA
.DIAの2019年版中国の軍事力報告でPLAAF主要部隊の配置図が掲載されており、爆撃師団が国内各所にあることがわかる

大型機、小型機それぞれのステルス爆撃機が中国で開発中と判明したことはこれまでの情報の混乱を整理するのにいい機会だ。二機種の詳細を追求するあまりメディアでは性能面で矛盾する内容が散見された。
つまるところ中国の地域内爆撃機構想は2000年代なかごろの米国の侵攻型「地域内戦闘爆撃機」構想と類似している。ロッキード・マーティンがFB-22構想、ノースロップ・グラマンがFB-23案をそれぞれ提示したが共に採用されなかった。FB-22はF-22ラプターステルス戦闘機を大型化し、対地攻撃兵装と対空ミサイルを搭載する構想だった。機体を拡大して機内兵装搭載量を増やし燃料も増やすとともに搭乗員を二人にし、主翼下にステルスを意識し大量の兵装をポッドに入れて搭載し、通信真センサーパッケージも追加する構想だった。
FB-22では設計が六案もあったといわれる。想像図ではデルタ主翼でF-22を大型化した機体になっていた。FB-22の戦闘行動半径はJH-XX同様でステルスを維持し15千ポンドを搭載するはずだった。外部ラックも使えば30千ポンドを搭載したがステルス性は一部犠牲となった。スピードを重視し原型機同様にスーパークルーズ性能も持つ想定だったがラプターの2D推力偏向ノズルは重量と構造が複雑なため省略された。
LOCKHEED MARTIN
.FB-22想像図。尾翼が二枚になっているが他の案では一枚だ。


JH-XXもFB-22同様のミッション構想かもしれないがノースロップ・グラマンのFB-23構想のほうが中国機に近い内容だ。瀋陽航空機の設計案、航空ファンの作成した想像図はYF-23に極めて似ている。ことに尾翼と機体後部は全くのコピーといってよい。
実現しなかったがFB-23は地域内戦闘爆撃機として最適の機材になっていただろう。原型のYF-23では優れた特徴が逆にYF-22を有利にしたが、低視認性高性能長距離戦闘爆撃機としては威力を発揮したはずだ。
NORTHROP GRUMMAN
FB-23想像図

JH-XXはこうした米戦闘航空機構想と似たところが多いことから中国が米国の地域型爆撃機構想をよく観察していたことがわかる。米構想は2006年に取りやめになった。中国が諜報活動で各種データを入手した可能性もあり、機体開発に利用したのではないか。
中国の諜報活動では前例があり、ハッカー集団がF-35の機密情報を大量に盗み、同機にそっくりのJ-31(FC-31)がわずか数年後に出現しちる。J-20にもF-35やF-22で使われている極秘技術の特徴が見られる。またこれは氷山の一角にすぎない。米ステルス機技術や航空宇宙産業戎二中国が深く侵入している事例はよく知られている。
JH-XXの実機が全く違う形になる可能性もあるが、ミッション要求は明確である。そこでJH-XXの出自はともかく、その存在は確実と長年いいつづけてきたように地域内運用の戦闘爆撃機として給油機の助けを借りずに運用できる同機こそUSAFが本来必要としていた機材だ。逆に第5世代戦闘機を懸命に開発してきた米側には行動半径数百マイル程度の機体が残った形だ。
CHINESE INTERNET
上の想像図の出所は不明だが噂される中国の地域内戦闘爆撃機開発の設計案をもとにしたものだろう。DIA画素の存在を確認した。

米ステルス戦闘機には中国の接近阻止緩衝帯を突破するだけの航続距離がない。USAFはステルス給油機を開発してこの弱点を克服したいとするがステルス戦闘機は非常に高額かつ今後多数が配備されるのに、ステルス給油機では問題の解決にならないだろう。
B-21レイダーステルス握撃機が100機超の大型調達になれば欠点は一部克服される。だが爆撃機だけでは戦闘爆撃機並みの柔軟な運用はできない。両機種があれば接近阻止への究極の対抗策となるのだが。
米国が航空戦闘能力で優位に立つ機会を逸するのは今回に限らないが、今回は米国が断念した分野を中国が継続して高性能軍用技術として実現する実例になった。中国は同様に海軍用の電磁レイルガン、ステルス無人戦闘航空機でも着実な進歩を見せており、他方米側はもたついている(少なくとも表向きには)。その他にもPLAではここ数年大型開発が続いており、空母同時建造、原子力及び高性能ディーゼル電気推進潜水艦の建造、極超音速兵器、長距離対艦弾道ミサイルの配備など多数ある。
「中国は資金資源を投入し手段を問わず技術取得に向かっている。...その結果、各方面での技術入手によりPLAは世界有数の最新式装備の実戦配備寸前に到達している」とDIA報告書は巻頭の要約部分で説明している。「一部ですでに世界トップクラスになっている」
そこで中国が長距離ステルス全翼機、ステルス侵攻型中距離攻撃機の2機種が早ければ2025年にも実戦運用を開始しようとする中、まずH-20のロールアウトが今年末にありそうだ。
以前から強調してきたことの裏付けになる。DoDは中国の意思の力、諜報能力、技術力を過小評価しすぎてきた。技術面での優位争いで近視眼的態度をとってきたツケを払わされようとしているのだ。■
Contact the author: Tyler@thedrive.com

コメント JH-XXは旧ソ連のバックファイヤーのような存在になるのでしょうか。長距離スタンドオフ攻撃というシナリオは冷戦時と同じですが、ステルス性能が加わったところが違いますね。それにしてもハッカー軍団による知的財産の侵害は計り知れない損害であり、ついに米国が頭にきて中国への締め付けを初めたわけですが、今後数十年間に渡り西側はそのツケを払わないといけないのでしょうか。自分で作るより盗めばいいという中国人の発想そのものに問題がありそうですが、覆水盆に返らずです。今後の再発防止とともにハッカーへの復讐を期待しましょう。それにしてもF-23が実現していたら世界は変わっていたのではないでしょうか。

2019年1月21日月曜日

最新の強襲揚陸艦USSアメリカが佐世保へ。ワスプは本国回航。F-35B運用能力高まる。

USS America Will Head to Japan to Serve as Next Forward-Deployed Amphibious Flagship

USSアメリカが日本へ移動し前方配備揚陸部隊旗艦へ


January 17, 2019 10:09 AM


強襲揚陸艦USSアメリカ (LHA 6) と誘導ミサイル駆逐艦USS Hopper (DDG 70) がアラビア湾内を遊弋した。 Nov. 28, 2017. US Navy photo.


海軍最新の強襲揚陸艦が最古参艦に交代し太平洋の前方配備艦となる。


USNI NewsはUSSワスプ(LHD-1)が今年後半に米本土東海岸へ戻ると以前伝えている。同艦は2018年1月に日本へ移動し米第7艦隊担当杭域の揚陸部隊旗艦となっていた。このたび米水上艦部隊司令官がUSSアメリカ(LHA-6)がその座を交替すると明らかにした。


「(ワスプ)は保守整備のため本国へ戻す。アメリカを代わりに派遣する」とリチャード・ブラウン中将(水上部隊司令官兼太平洋地区水上艦部隊司令官)が1月11日に報道陣に明らかにした。


別の筋からもUSNI Newsはアメリカ派遣を確認した。


ただし海軍当局は同艦の移動時期や日本での受入れ体制整備の状況について回答していない。


VMFA121のF-35B ライトニングIIがUSSワスプへ着艦している。 March 5, 2018. US Navy Photo

海軍は強襲揚陸艦9隻を運用中で内8隻がワスプ級LHDでアメリカ級では二番艦USSトリポリ(LHA-7)が今秋就役しフロリダ州ペンサコーラに配属される。


ワスプとUSSエセックス(LHD-2)が艦齢が一番高く、ともに海兵隊所属のF-35B運用が可能だ。ワスプがFDNF艦として日本にあり、海兵隊戦闘攻撃飛行隊(VMFA)121を、エセックスが中東でVMFA-211を搭載している。


最新のアメリカとトリポリは航空機運用能力を強化し、航空燃料貯蔵量を増やし、機体整備の便を高めている。


海兵隊デイヴィッド・コフマン少将(海軍作戦部長付派遣戦闘部隊部長)は「航空作戦特化型のアメリカとトリポリは他の艦と異なる」とし、両艦のローテーション配備に期待を寄せている。■

2019年1月20日日曜日

F-22部品を3Dプリンターで製造し、納期費用の大幅削減に成功 米空軍

USAF 3-D prints metal parts to keep F-22 repair cost down USAFがF-22部品を3Dプリンターで製造し保守整備費用を削減

18 JANUARY, 2019
SOURCE: FLIGHTGLOBAL.COM
BY: GARRETT REIM
LOS ANGELES
Asset Image
Lockheed Martin F-22
USAF
空軍がロッキード・マーティンF-22用のチタン製部品を3Dプリンターで初めて製造し、整備経費と時間の節約効果を狙った。
USAFで稼働可能なF-22は186機しかなく、いかに効率よく配備運用するかが課題だ。同機で損傷後の補修費用が悪名高いほど高額になっている。
金属ブラケット製造で3Dプリンターを使ったのはヒル空軍基地の574航空機整備中隊で整備要員は短時間で部品を入手できるようになり、発注最小単位を意識しなくても良くなる。
「F-22運用で一番難しいことが配備機数が少ないこともあり部品入手です」と574整備中隊のロバート・リューインが述べた。
ブラケットは粉体融合手法でチタン粉末をレーザーで多層構造にする工程で作成したとUSAFは説明。3Dプリントでのブラケット製造は発注から3日で完了した。プリント部品はコックピット内のキックパネルのアルミ部品と交換した。この部品は腐食が多く8割を整備中に交換しているという。
交換した部品は運用中に様子を見ながらヒルAFBに整備へ戻った際に再点検する。効果が確認されれば今後は整備中に交換される。F-22では他にも効果確認を予定している部品が5点あるとUSAFは述べている。
「複雑形状の部品も対象にすればこの基地での機体整備が60日から70日も短縮できます」(リューイン)■

コメント: 3Dプリンターは米軍で用途を広げているようです。現場で簡単に扱えるとは行かなくても従来の部品入手作業を大きく変えそうですね。前提はデジタル化ですが、我が自衛隊ではどうなっているのでしょう。今後防衛予算が厳しくなっても対応する手段の一つとなるといいですね。

★三菱重工でのF-35生産は終了へ。輸入機調達へ舵を切る日本の防衛政策

Japan to cease in-country assembly of F-35 jets

日本はF-35の国内生産を終了させる


By: Mike Yeo


ルーク空軍基地(アリゾナ州)で初の単独飛行前にコックピットを点検する航空自衛隊の中野二佐。 (Tech. Sgt. Louis Vega Jr./U.S. Air Force)

本はロッキード・マーティンF-35の次期ロットから国内最終生産ラインを利用しない。
これは防衛装備庁広報官がDefense Newsに語ったもので、2019年度分契約から海外生産機材輸入に切り替える。
同広報官は国内生産中止の背景について防衛省へ照会してほしいとあったので同省に問合わせたがまだ回答がない。
最新の防衛大綱及び防衛力整備五カ年計画では「高性能装備を可能な限り妥当な価格で調達する」とあり、「価格効果が悪い事業は見直しまたは中止する」ともある。
日本政府は防衛予算案を承認済みで、2019年度にF-35A6機を612.35百万ドルで調達する。
さらに366.12百万ドルを「その他関連経費」としてF-35関連の整備保守用装備品含む形で計上している。
日本は2013年から最終生産点検施設FACOでF-35Aを組立中。防衛装備庁によればFACO(三菱重工業が運用)は契約済み機材が生産完了する2022年度まで使用される。
日本は国内産業基盤の維持に苦慮しており、防衛大綱でも「低生産量ゆえの高コスト体質や国際競争力の欠如という課題」の克服の必要を訴えている。
日本政府の予算関連資料ではF-35A24機を機体単価平均144.2百万ドルで購入するとあるが価格は低下傾向にあり、2018年度分は119.7百万ドルだ。ただし共に現時点の為替レートによるもの。

当初発注のF-35A42機に加え、日本は追加調達で105機を想定し、うち42機をF-35B短距離離陸垂直着陸型とする。防衛整備案ではまず45機を今後5年で調達し、F-35Bは18機となる。■

コメント:産業基盤の強化というならFACOでの組み立ては輸入より高いから中止というのは理解に苦しみますが、F-3生産を睨んだ動きなのでしょうか。わかりません。

2019年1月19日土曜日

レーザー兵器開発、実用化はどこまで進んでいるのか 意外に早く戦闘機搭載になるかも知れない

Imagine This: Air Force Fighters Like the F-35 and F-22 Armed with Lasers 戦闘機へのレーザー兵器搭載が間もなく現実になる

January 18, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-22F-35LasersMilitaryTechnologyWorld
空軍は航空戦の戦略、戦術、作戦構想を書き換えるレーザー兵器の急速な実用化を目指している。レーザー技術は近代戦の様相を一変し戦闘機による攻撃効果を引き上げる存在だ。
空軍は早ければ2020年代にも航空機でのレーザー兵器運用を目指し、電源確保以外に装備統合をしつつ技術の急速な進歩に対応する。
レーザーで光速で攻撃精度が上がるだけでなく欲しい効果に合わせ拡大縮小、つまり完全破壊から部分損傷あるいは限定効果まで脅威に応じた対応が可能となる。
「レーザーにより戦闘部隊は状況に対応して柔軟、迅速かつ精密な標的攻撃が可能になります」と空軍研究本部(AFRL)広報エバ・ブレイロックがWarror Mavenに書面で伝えている。
空軍研究本部はカートランド空軍基地でレーザー兵器を開発中で、地上発射テストは実施済みで空中発射実証の準備に入った。まずレーザーポッド装着の戦闘機から地上で発射し機体装備との整合性を確認する。
ARFLの主要プロジェクトには空対空兵器としてSHIIELD自機防御用高エネルギーレーザー実証装置があり、地上発射型の実証レーザー兵器システムもある。AFRLはロッキード・マーティンとSHIELDに取り組み、実用レベルのレーザーで数年以内の実現を目指している。
半導体レーザーは電源のみに依存し、特定の化学製品は必要ない。高熱で標的の機能を喪失させたり燃焼させる。
レーザー兵器が実用化されれば戦闘機パイロットの戦術で新しい可能性が広がる。例えば複数標的を同時にねらうとか再照準がすぐ可能となるとAFRLは論文で説明している。
現行の戦闘機は空対空戦で同時に複数標的を狙えるがレーザーでその機能は更に高まる。戦闘機は近接航空支援を行いつつ敵航空機にも対応できる。
自由に規模変更できることに意味がある。ビーム数本をまとめれば効果を変更できることをAFRLでは例に上げている。「30kW級レーザーにより接近阻止、劣化、妨害、破壊が一定距離以内なら可能で少舟艇なら数キロ先から可能です。出力を増せば対空、対地、対水上攻撃手段となり相当の距離から対応可能となります」(ブレイロック)
破壊ではなく劣化させる選択肢がパイロットに生まれると、従来の手段では不可能な空対空ミサイル、空対地ミサイルや爆弾への対応も実現する。敵の機体、車両、装備を破壊しつつ人命で損傷は発したくない場合、例えば至近距離内に民間人がいる場合で対応が可能となる。
開発現場では小型化と機内発電手段でも進歩しており、戦闘機や輸送機が重量超過なしで「無限の弾倉」の発射装置を搭載できるようになる。この事の利点は大きく、燃料消費を改善し、速度、機体操縦でもプラス面が多い。運搬可能なレーザー兵器があればジェット戦闘機も兵装の大量搭載が不要となり、航続距離が伸び、機体操縦性能が向上する。
機体が軽量化すれば滞空時間が伸び、給油で帰投する回数も減る。「補給拠点」への依存が減ったレーザー武装戦闘機は兵装再装填も不要となり、ミッションの拡大に貢献するだろう。
「30kW級レーザーのバッテリー重量は約300ポンド、大きさは0.5立方メートル以下」とAFRL文献にある。
パイロット及び地上兵器操作員には長期かつ迅速なミッションに対応した新しい戦術構想が必要となり、攻撃効果も自由に調整する必要が生まれる。レーザー出力を伸ばすためにAFRLでは二色ファイバー増幅器の利用も考えている。
ただしレーザー兵器開発の実用化では課題が残ることをAFRLは認めている。
戦場の厳しい条件に耐えること以外に「ビーム制御」で精度を確保しつつ「流体力学上の不安定性」の影響を排除する必要もある。「ビーム制御をさらに進めて精密な照準、追随、捕捉を飛行時の振動の中で実現する必要がある」とAFRLは説明している。装備の「発熱と重量」を適切に管理できればビームの希薄化や分散は減るはずだ。
「高速での大気の流れを緩和しないと光学上のゆらぎが防げない」とAFRL資料は説明。「熱管理の効果を上げて発射回数を増やすべく液冷ループや二段階冷却を利用しつつ、余熱伝導で固体を溶融して液体にしてから冷却していく」
レーザーが攻撃手段に使えれば米軍での効果は大きい。レーザーは同時にセンサーにもなるので敵ミサイル飛来時に効果を上げる。「迎撃手段」として光の速度で進み、敵攻撃を撃退できるので、対艦ミサイル、空対空ミサイル以外にICBMにも対応できる。兵器開発部門には戦術上も財務上も十分に魅力ある選択肢になるはずだ。レーザーは極限まで低コストでありながら高額な迎撃ミサイル同様の効果を生むからだ。
米陸軍、海軍も同様に攻撃、防御両用でーザー兵器実用化をめざしている。
Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics& Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at National TV networks. He has a Masters in Comparative Literature from Columbia University.
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コメント:ここまでの内容をさり気なく公開するとはレーザー兵器の実用化が思ったより早く進んでいるのか、それとも予算を狙ったほら話のいずれかでしょうが、レーザー兵器は現実の手段になりそうだと見ています。技術情報などの防護が非友好勢力に対して必要ですね。あとはこれも音沙汰のないロッキードのCFR小型融合炉技術が加われば鬼に金棒ですね。その場合は単座の戦闘機よりも大型機を「空の戦艦」に改造することで戦闘機の概念も変わるのではないでしょうか。