2021年4月14日水曜日

主張 GEOINT(地理空間情報)の主導権を中国に渡してはならない。

 

 

GEOINTへ依存が高まる中、米政府は民間企業利用の検討を開始し、海外企業も検討対象となっている。 

米国は。経済、技術、政治、軍事力など中国と多面的な競合状態にあるが、特に情報面のせめぎあいが目立つ。情報の入手、共有、利用で両国は優位に立とうとしている。特に重要な情報が地理空間情報活動 (GEOINT) で、地理と人間活動に焦点をあてるものだ。GEOINTが政府、企業、非政府組織、軍で中心の座につきつつある。その成果は信じられないほどの効果をあげる。

 

このため中国はGEOINT収集、処理、活用方法で優位性の確保につとめている。米国が中国等との競合を有利に進めるためには、情報面で優位に立つのが必須であり、GEOINTサプライチェーンの確保が必要だ。

 

GEOINTは多面的な画像に情報源を加える融合作業であり、特定地点における物理的特徴と人間の活動を組み合わせる。Google MapやGoogle Earthのユーザーは民生GEOINTの恩恵を受けている。

 

GEOINTから高度な効果を生むエコシステムができる。例として土壌状況の情報、作物の植え付け状態がわかれば、世界の農業活動の規模が把握できる。この情報で商品取引業者は多大な利益を手にできる。政府民間ともに都市の経年変化、産業地帯の発達、交通路の成長ぶりを見るて、次の資金投入分野が把握できる。GEOINTを自然災害に組み合わせれば、人命、時間、経費の節約につながる。

 

GEOINTで米軍活動にも変化が生まれている。友軍敵軍の位置や、部隊の移動状況、活動内容がわかれば戦闘結果に影響が出る。GEOINTが特に効果を発揮するのがスマート兵器だ。攻撃対象の識別、位置の把握、攻撃タイミングは詳細情報で決まり、GEOINTシステムが多くを提供する。

 

中国はGEOINTの価値を理解し、高度技術として高性能コンピュータチップ、人工知能、バイオ技術、新素材と並ぶ重要分野とし、他国より優位に立とうとしている。基礎素材、部材、部品の供給を押さえれば、最終製品を支配できる。中国は自国経済の規模拡大のみならず、米国の安全保障を脅かすことまで考えている。

 

重要物質や製品のサプライチェーンで米国が脆弱性を抱えていることが多くの例で認識されているが、サプライチェーンをたどると中国やその他国の企業に到達し、多くが中国企業の出資を受けたり、統制されている。海外のサプライソースに依存することで米経済は雇用、歳入、競争力で代償を支払っており、次の技術進歩での優位性も犠牲にしている。

 

ジョー・バイデンは海外のサプライソースに過剰なまで依存する米国の危険を認識しつつ大統領に就任した。直後の数週間でバイデンは大統領命令に署名し、連邦政府が米国に源を発する製品サービスの利用を最大限に希求すべしとした。この大統領令のねらいは、戦略分野の国内企業で競争力を高め、米国民の雇用機会を高めることにある。

 

GEOINTに必要とされる戦略的なサプライチェーンは保護すべきだ。中国のみならず海外企業には民生GEOINTで支配的な立場を確保しようとしている。MITREコーポレーションによる最近の研究は迅速な行動を取らないと米国は民生GEOINTサプライチェーンで支配力を失う、あるいは基準認証の主導権を失うと警告している。

 

米政府はGEOINTへ依存度を高める中、民間企業へ業務委託も検討しており、ここに国外企業も含まれる。国外企業の多くが各国政府から補助金を受けており、低価格が生まれる背景となってお、米国企業への競争力を維持している。このまま続けば、米企業は技術面で後塵を拝し、価格面で政府から受注できなくなる。民生GEOINTが海外企業の手に入れば、特に中国系企業が利用すれば、米国の安全保障が危機にさらされる。

 

民生GEOINTサプライチェーンには広範な内容があり、レーダー衛星もそのひとつだ。GEOINTサプライチェーンには生データの解析、その他情報源との統合で有用かつ正確な情報を入手すること、共有を含む。

 

米国には安全かつ信頼性の高いGEOINT情報サプライチェーンが必要だ。米政府、米軍に民生GEOINTへのアクセスが必要だが、生画像、関連画像情報、融合データがすべて正確かつ完全であると確認の必要がある。外国が所有する、あるいは支配する企業に依存すれば、GEOINTが入手できても信頼できない情報になる。米国はペンタゴンでの中国企業の製品調達を禁止している。ZTE製品のように中国情報機関がアクセスできる構造になっているのが理由だ。中国製通信機器の調達は2019年の大統領令で禁止されたのは国家安全保障上の理由のためだ。中国企業が提供するGEOINTも同じでないか。

 

GEOINTは重要であり、サポートする米国内サプライチェーンが消失しては困る。実際に廃業した米企業は枚挙にいとまない。GEOINTサプライチェーン全体を米国の主導権の中にとどめておく必要がある。潜在的な敵勢力とのつながりは許容できない。国家地理空間情報庁((NGA)は民生GEOINT市場から調達ができない。NGAにはGEOINT情報サプライチェーン全体の安全性を確保する責任があり、入手情報の信頼度を保全する義務があるのだ。■

 

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America Must Secure Its Geospatial-Intelligence Information Supply Chain


April 13, 2021  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: GeospatialSupply ChainContractorsNational SecurityChinaMilitary

by Dan Goure

 

Dan Gouré, Ph.D., is a vice president at the public-policy research think tank Lexington Institute. Goure has a background in the public sector and U.S. federal government, most recently serving as a member of the 2001 Department of Defense Transition Team. You can follow him on Twitter at @dgoure and the Lexington Institute @LexNextDC.



2021年4月13日火曜日

北朝鮮がSLBM潜水艦の建造を完了か。バイデン政権をにらみ公表のチャンスをうかがっている模様。SLBM発射テストも実施する観測がある。情報源は日本。

  

North Korea New Submarine

Image: KCNA.

 

 

北朝鮮が建造中の弾道ミサイル潜水艦が完成に近づいていると日本の情報機関の高官二名が明らかにした。

 

この二名は聯合通信が最近配信した記事の内容を認めた。

 

記事では「北朝鮮は同潜水艦の登場で戦略的な効果を盛り上げるタイミングを図っており、米国への圧力も計算に入れている」とあり、「北極星3号などSLBMを発射し、同時に潜水艦の姿を公表するのではないか」とみている。

 

姿をあらわすのは何か

 

トランプ政権下でホワイトハウスにつとめた元高官は北朝鮮が数カ月以内に新型潜水艦を公表するのはほぼ確実とみている。「数週間以内」かもしれないという。バイデン政権の対北朝鮮政策に強硬な対抗策を示すためだという。北朝鮮ウォッチャーは今月末までに政策発表があるとみており、早まってもおかしくない。

 

「北朝鮮は今までより過激なエスカレーションを起こす構えで、新型潜水艦の進水式もその一環で、ソ連時代の旧型潜水艦がベースでも固体燃料式の弾道ミサイルが発射可能となれば、各国も反応せざるをえなくなる」と上記高官は解説している。「朝起きてみたら潜水艦の写真がソーシャルメディアに掲載されていても驚かないだろう。また潜水艦でミサイル試射を行うかもしれない。こうやって北はバイデンに対し引き下がるつもりはない意思を示すだろう」

 

トランプ大統領スタッフだった別の人物もこれはバイデン政権にむけ北が準備中の内容の始まりに過ぎないと述べている。この元高官は「ピョンヤンは新型兵器のテストをしたくてたまらない様子で、新型潜水艦や弾道ミサイル以外に昨年軍事パレードに登場した新型ICBMも例外ではない」と述べてくれた。

 

元米海軍士官は脅威に過剰反応しないよう注意喚起。 

 

ある退役米海軍軍人は北朝鮮潜水艦に懸念があるものの、この種の潜在的脅威に過剰反応するのもよろしくないと述べた。

 

「そもそも弾道ミサイル潜水艦は海中で探知を逃れてこそ抑止力を発揮できるものです。各国がマスターするのに何十年もかかっている潜水艦の静粛化技術を北朝鮮がこの段階で実用化しているとはとても思えません。つまり、米海軍は同盟国とともに同艦を簡単に探知撃破できるはずです」と述べ、北朝鮮ミサイル潜水艦の脅威が現実になるまで数年かかると見ている。

 

北朝鮮分析を専門とするポータルサイトBeyond Parallelは北朝鮮がミサイル発射用の潜水可能はしけを東海岸に移動させており、潜水艦ミサイル発射テストが近づく兆候と指摘しながら、こうした動きから潜水艦ミサイルの発射準備が進んでいるとは断言できないとも述べている。■

 

 

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Intelligence Sources: North Korea Nears Completion of New Submarine

ByHarry KazianisPublished4 mins ago

 

Harry J. Kazianis (@Grecianformula) serves as a Senior Director at the Center for the National Interest in Washington, D.C., a Washington D.C.-based think tank founded by President Richard Nixon in 1994. Kazianis in the past served as Editor-In-Chief of the Diplomat and as a national security-focused fellow at CSIS, the Potomac Foundation, and the University of Nottingham (UK). His ideas have been published in the New York Times, Washington Post, Wall Street Journal, Newsweek, CNN, CNBC, and many other outlets across the political spectrum.

 


2021年4月12日月曜日

M1エイブラムズの次に登場する戦車や装甲車両はどんな姿になるのか、装甲車両に詳しい専門家の意見をまとめてみた。無人装備を指揮統制し歩兵部隊を安全に移送する手段という予想。

 

Army photo

ラトビアで展開したNATOアトランティック・リゾルブ演習に参加した第一騎兵師団所属のM1エイブラムズ戦車隊。


人装備が主役となっても有人装甲車両には活躍の場はあるとの意見が専門家に見られる。だが、戦車が大型主砲で交戦する、あるいは身を隠し武装ロボットを展開する場面が本当に生まれるのだろうか。


M1エイブラムズ戦車の後継装備はどんな姿になるのか。陸軍で装甲装備開発にあたるリチャード・ロス・コフマン少将は「現時点で全ての選択肢がある」と述べるものの、中身を教えてくれないのでこの分野の識者に姿を占ってもらった。


驚くべきことに、話を聞いた全員が有人装甲車両は形こそ変わるが、今後の戦場でも活躍の場があると見ていると判明した。歩兵には装甲による防御のまま戦場移動する必要があるからだ。また、殺人無人装備が跋扈する戦場でこの必要が強いからだ。敵としても姿を露呈している相手部隊を攻撃するほうがずっと容易だ。


その先となると意見が分かれる。ひとつはM1エイブラムズのさらなる改良で十分今後も対応できるとの意見だ。戦術面で抜本的な変革がないまま、全くの新型車両は必要ないとする。他方で、新型戦車のニーズを主張する向きもあり、有人無人装備を取り混ぜネットワーク化して集団行動する様子を想定している。


「有人無人装備のチーム運用」構想は陸軍のロボティック戦闘車両開発事業で実際に検討が始まっている。また空軍の忠実なるウィングマン無人機、海軍の「ゴーストフリート」でも中心命題で、有人機や有人艦艇を支援する想定だ。


従来型の兵器搭載車両の再編につながる革命的な変化が生まれる可能性がある。主砲の代わりにセンサーを、長距離センサーを無人車両に、おとりを別の無人装備に、主砲は地上無人車両に搭載し、統制官は小型かつ強力な装甲を備えた指揮車両から、はるか後方で活動する。


「M1が搭載の機能は今後次第に分解されるのではないか。M1機能を多様な装備品に移植することだ」とDARPA退官後CSBAシンクタンクに所属するダン・パットはコメントしている。「有人装甲車両は長く供用されてきた。機能を各種装備に分散させれば大きな影響が生まれる。装備のいろいろな組み合わせで適応できる。こうした変革の下地ができている」


こうした変化の前提はネットワーク技術で、敵のハッキングや妨害の危険もあるが、人員と自動機械の接続をめざす。


装甲車両の生存性が無人機への防御力に左右されるようになってきた。ロシアの2014年ウクライナ侵攻で手痛い教訓が得られた。偵察無人機がウクライナ装甲車両の位置を特定し、ロケット弾攻撃が加えられた。また、アゼルバイジャンでは2020年にナゴルノ-カラバク攻勢で無人機の自殺攻撃でアルメニア装甲部隊に大損害が生じた。


こうした事例はどこまで大きな変化につながるのだろうか。ウクライナ、アルメリアで発生した血なまぐさい結果から、「地上戦を取り巻く環境が新技術で大きく変化する事態が今後発生し、その規模は第一次大戦終結後で最大となろう」と陸軍レンジャー部隊出身でシンクタンクCNAS副理事長のポール・シャーレが述べている。「無人機利用が進み、戦場の様子は丸見えになり、攻撃につながる」


ただし、有望な対抗手段もすでにそろっているとCNAでロシア軍に詳しいサミュエル・ベンデットがコメントしている。


「昨年10月のような新しい戦場に新型戦車をアメリカが投入していたら、損害ははるかに少なかったはずだ」とし、「ナゴルノ-カラバクでは旧型ソ連戦車がアルメニア軍装備の大部分で、空中攻撃に防御が十分でなかったため損害が拡大した」のだという。


対照的に、新型ロシア戦車は反応型装甲タイルを装着し、飛来砲弾に対し事前爆発することで車両を防御する。積極防護装備で砲弾を撃破するのは、ミサイル防衛のミニチュア版のようだ。米軍もエイブラムズ戦車にイスラエル製トロフィを積極防護装備として2018年から導入開始した。新技術を使わなくても戦術の工夫で大きな効果が生まれると、退役陸軍中将で現在はヘリテージ財団のトーマス・スポアーが述べている。


「スマート爆薬を搭載したカミカゼUASが有利に見える。だが、このまま続くとは思えない」とし、「戦車が行動の自由度を再び確保すれば、戦術面で大きな変化につながるはずだ」とする。


同じような事例がある。携行型対戦車ミサイルがイスラエル戦車に壊滅的被害を与えた1973年第四次中東戦争の例で、イスラエルは歩兵部隊の中にいるミサイルチームの撃破が必要と学んだ。絶対有利に見える無人機にも弱点があり、新戦術で対応可能なはずだ。たとえばジャミングで操作やセンサー機能を無効にできる。


戦車を無人機に無敵にすることは不可能だが、戦車がこれまで無敵の存在であったこともないのは事実だ。一般の理解とは違うかもしれないが。第一次大戦時でもドイツ砲兵部隊は新型連合軍戦車は既存装備で撃破できることを短時間で学んでいる。


戦車が戦場で最強だったことはない。米海兵隊がいうように、「戦車狩りは楽しく、楽な仕事」なのだ。歴史を見れば、西部戦線の塹壕にこもる防衛部隊やトンネルに潜むベトコンのほうがはるかに撃破が困難だった。ただし塹壕やトンネルは固定しており、歩兵部隊が居場所を見つければ、機関銃や砲弾の前に無残なまで脆弱性を露呈した。


そこで戦車が1916年に発明され、機動性が戦場に戻った。装甲防御により敵火力の中でも前進でき、塹壕など障害物をものともしなかった。装備する砲で前進を妨げる敵陣地を攻撃した。ただし、第一次大戦時の初期の戦車で塹壕突破できない例が生まれたのは装甲や兵装の問題ではなく、エンジンに連続運転に耐える信頼性がなかったためだ。


だが第二次大戦の電撃戦以降の戦車は戦場の機動性確保で不可欠の装備品となった。市街戦やジャングル戦でも戦車が対応力を発揮し、歩兵部隊に進路を開いた。


では今後の戦闘でも戦車は不可欠の装備品のまま残れるのだろうか。それとも、無人機の大量投入など新装備品の出現の前に威力が発揮できなくなるのか。


シャーレのような未来志向の専門家でさえ、装甲車両が完全に消える事態は想定していない。ただ、圧倒的な威力を発揮する装備品としてではなく、支援用装備になるとみている。


「戦車が完全に姿を消すとは思いません。ただ、歩兵部隊の支援装備として接近戦などで敵を排除する装備となり、これまで戦車に想定してきた中心的な役割ではなくなるでしょう」


中心は地上ロボット装備、無人機、長距離射程ミサイルへ移るとシャーレは見ており、人員同士の対戦の前に勝敗を決する衝突が発生するという。だが装甲車両は威力があり、戦闘地帯で人員を安全に移動する手段となる。


「戦闘員は指揮統制や治安維持のため必要となり、防御のため装甲車両に搭乗することになる」とシャーレは「ただ装甲車両の役割は時間とともに変わり、指揮統制任務が中心となり、空地双方のセンサー、無人装備の分散ネットワーク制御が期待されるようになる」という。


元DARPAのパットも同意見だ。「M1後継装備で最も望ましいのはマルチドメインで自由に設定可能な装備品だろう」とし、地上ロボット装備、空中の無人機、有人車両を連携させ、視野外の目標を捕捉し、自動化機能で標的を追尾し装備品を誘導し車両乗員の効果を増大させる、という。ここには120mm主砲の活用が言及されていないことに注意されたい。


Army graphic

米陸軍は無人機と地上ロボット装備を先に進軍させ、有人装備が後方から移動する戦闘様式を想定している。(図では敵軍が左、友軍は右から左に移動する)


その他の専門家にはロボット大量投入と従来型主力戦車の組み合わせに意味があるとみる向きもある。搭乗員、強力な装甲、大型主砲で敵の主力を視界内で撃破できるという。


「予想外の技術の登場に備え、装備を多様化しておく必要がある」とスポーアはコメントしている。


スポーアは戦術面で三波で部隊を運用すると見る。まず、無人機が敵防空体制や指揮所を排除する。次に地上ロボットが進軍する。最後に有人主力戦車が残る最も頑強な敵標的を破壊する。


だが、大型戦車は有人装備にしておく必要があるのか。遠隔操作や自律運行の装備は完全ではない。知見を有する人員が車両に残る必要がある。知覚を活用して状況を把握できるのは人員の特徴だ。煙のにおい、銃撃音、エンジンの振動といった要素は画面上では確認できない。ここでも入力信号は妨害されたり、接続を切られる可能性は残る。


近い将来にその他機能でも自動化が実現するだろうが、戦場で戦車を指揮する能力は無理だとベンデットは語る。「神経ネットワークや高度アルゴリズムのようにいつでも修復できるようなものではない。戦車長の経験から生まれる微妙なニュアンスは簡単にまねができるものではない」という。


「M1後継装備は各種車両のファミリー構成となり、有人で防御力の優れた戦車が中型かつ強力な防御力のあるUGV群(無人地上車両)をISR任務や戦闘任務に派遣する」とし、「UGVで目的が達成できない場合は、有人戦車の出番で、車長の長い経験が実力を発揮するだろう」


Rafael photo

トロフィー・積極防御装置と機関銃手の防護を付与したM1エイブラムズ戦車


有人主力戦車が今後も必要なら、M1エイブラムズで役目を果たせるのか、それとも米陸軍には新型主力戦車が必要なのだろうか。


M1は有人無人装備で構成する将来の装甲部隊で中心装備になれないとベンデットは見ている。1980年の登場以来、何度も性能向上が行われてきたが、無人機対策の防御機能でさらに性能向上が必要だし、電子戦やロボット装備の指揮統制機能の付与も必要になる。


だが、M1で実行可能な性能向上にも限りがあると米陸軍協会のガイ・スワンが陸軍時代の経験をもとに語る。


「たしかなことがひとつある。M1エイブラムズの車体にこれ以上の装備の追加ができないことだ」とし、「今でもM1は世界最高の戦車と思うが、地上部隊の世界各地への展開に対応するには車体が大きすぎる」


「将来の戦車は60トン未満とすべきだろう。この重量が各地の道路橋梁の通過でギリギリの水準だ。ただし、乗員防御機能を犠牲にはできない」とし、新型積極的・受動的双方の防御技術があるとする。外観を「見えなくする」高度技術が赤外線や無線信号の発信漏れにも応用され、無人機が投入される環境では「迷彩塗装では不十分」だという。


完全新型設計で新型エンジンを採用すべきとスワンは付け加え、ハイブリッド電気推進方式なら燃費の悪いM1のガスタービン方式より兵たん運用が楽になるという。スワンは120mm主砲に高性能照準装置や砲弾を組み合わせれば大幅な性能向上の余地が残ると見ている。


より強力な火力が今後の戦闘に必要とみる向きは多い。「55トンから65トンで大型主砲あるいはレーザーを搭載し、無人攻撃機を運用し、主砲運用を無人化し、ハイブリッドエンジンを搭載する」と宝来の方向性を述べた退役将校もいる。


ただし、新技術に懐疑的な向きもあり、特に陸軍が活用できるのか疑う向きもある。「絶対に現実にならないのに魔法のような解決方法に目が向いて、今実行可能な手段を採用しない傾向があるのです」と業界関係者が述べている。「そのため、機会を逸し支援も得らなくなると次の新技術に飛びつくことをくりかえすのです」


陸軍で大型案件がこなせないのなら、M1エイブラムズの改良が最善の策に見える。最近公表された議会予算局(CBO)による研究では2050年にかけ陸軍が装甲車両各種に支出する予測をしており、エイブラムズ改良が予算の相当部分を食い尽くすと見ている。「CBOは予算の4割がエイブラムズ戦車の性能向上や生産再開に使われると予測する」とあり、年間平均で20億ドル規模になるとある。■


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Future Tank: Beyond The M1 Abrams « Breaking Defense - Defense industry news, analysis and commentary

By   SYDNEY J. FREEDBERG JR.

on April 06, 2021 at 4:27 PM


2021年4月11日日曜日

ロールアウトしたKFX改めKF-21ホークは来年初飛行予定。韓国はどんな任務を想定しているのか。

 

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MBC NEWS SCREENCAP

 

 

朝鮮が次世代国産戦闘機KF-Xの試作機をロールアウトした。公式にはKF-21ボラマエ(鷹)と呼称される。同国で最大級の野心的事業で初飛行を来年実施し、同国大統領は2026年までに初期型開発を完了する日程を発表している。

 

韓国空軍(ROKAF)は2028年までにKF-21を40機導入し、最終的に120機を2032年に運用する。老朽化進むF-4EファントムIIおよびF-5E/FタイガーIIの後継機として、さらに60機調達予定のF-35A以外にF-15KスラムイーグルやF-16C/Dの補完役も期待されている。

 

MBC NEWS SCREENCAP

A ROKAF pilot disembarks the first prototype KF-21 at today’s ceremony in Sacheon.

 

ロールアウト式典は韓国航空宇宙工業(KAI)のサンチョン工場(道)で行われ、文在寅大統領が出席し、「自国防衛新時代」を開き、「航空宇宙産業の歴史的一歩」となったと述べた。大統領は2030年代に世界7大航空産業強国の一角になる目標を表明した。

 

同機の本格開発は2015年に始まり、2019年に国防調達事業庁 (DAPA)が試作機製造にゴーサインを出した。

 

試作機には単座型4機、複座型2機を製造し、米国製ジェネラルエレクトリックF414-GE-400Kエンジン二基を搭載する。2016年にF414エンジン240基に予備部品合わせ導入を決めた。同型エンジンはF/A-18E/Fスーパーホーネット、EA-18Gグラウラー、スウェーデンのJAS39E/Fグリペンが採用しており、インドのテジャスMk.2も搭載予定だ。

 

KF-21量産生産契約は2024年交付との観測があり、空対空戦対応のみのブロック1引き渡しが2026年開始となる。対地攻撃能力はブロック2で実現する。

 

国産多任務戦闘機の開発・生産は大きなチャレンジだが、KAIにはFA-50軽攻撃機含むハイエンド軍用機製造の知見があり、F-16C/Dの現地生産実績もある。

 

KF-21には低視認性を目指した特徴もあり、尾翼が角度をつけていること、胴体形状などにF-22、F-35に通じる特徴がみられる。ただし、米ステルス機並みの全方位ステルス性能は有しない。むしろ、同機はF-35とF-16のギャップを埋める存在を目指し、F-35より安価な運用コストの実現を狙う。KF-21の兵装は機体外部に搭載し、主翼と胴体下に合計10点のハードポイントがある。

 

MBC NEWS SCREENCAP

The flags of South Korea and Indonesia appear on the forward fuselage of the KF-21.

 

同機が実戦配備となる2026年ごろに開発が期待される派生型で機内兵装庫の実現が想定される。KF-21のレーダー断面積はユーロファイター・タイフーン程度とみられるが、今後登場する発展型で削減を図る。非武装でも重要なセンサー機材として友軍に貴重な情報を提供できる。

 

総額79億ドルといわれるKF-21開発ではインドネシアも参画しており、開発費用の2割を負担し50機調達する予定だった。だがインドネシアは分短期払い込みを滞っており、事業に暗雲を与えている。

 

ただし、インドネシア国防相プラボウォ・スビアントはロールアウト式典に参列しており、韓国関係者も両国協力体制は健在と述べている。その他国への輸出構想もある。

 

海外諸国にKF-21は魅力ある商品になりそうだ。F-16Cを上回る飛行性能があり、アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーを採用し、ラムジェット推進方式のミーティア空対空ミサイル(MBDA製)を運用する。実証機のフライトテストはボーイング737試験機を使い、もう始まっている。

 

KF-21ブロック2では搭載兵装の組みあわせが決まっており、GBU-12ぺイヴウェイII、GBU-31/38共用直接攻撃弾(JDAM)、GBU-54/56レーザーJDAM、GBU-39/B風向き補正弾薬ディスペンサー(WCMD)がある。各兵装はROKAFで供用中で今後は機体との統合が中心となる。

 

同機のペイロードは16,975ポンドになる見込みで、最大離陸重量は56,400ポンドだ。最高速力は時速1,400マイル(約マッハ1.83)で航続距離は1,800マイルとなる。もちろん、これはカタログ値で実戦運用では大幅に下がることがある。

 

ステルス性能を備えた同様の高性能戦闘機開発プロジェクトはヨーロッパ、インド、日本、トルコ、英国で進行中だが、KF-21はKAI初の高性能機材かつ迅速開発案件となっており、今後輸出が成立すればこれまでの投資を回収できる。

 

KF-21は兵器国産開発を目指す南朝鮮の技術水準を示す。部品の65パーセントを国産で調達し、KAIは重要エイビオニクスとしてミッションコンピュータ、飛行制御コンピュータも担当する。その他にもAESAレーダー、電子戦装備、赤外線捜索追跡センサー、電子光学標的捕捉ポッドも国産化する。KF-21が量産に入れば10千人の雇用が生まれると文大統領が述べた。ここには2016年以降に生まれたプロジェクト関連雇用12千名は含まれていない。

 

KAI

The first prototype during its final assembly at KAI. 

 

KF-21でROKAFは核装備を有する北朝鮮の軍事脅威に対し質的優位性を確保できそうだ。北朝鮮の朝鮮人民空軍(KPAF)に対しROKAFは現在でも大きな差を確保している。

 

KPAFで最新鋭の戦闘機は冷戦末期のMiG-29フルクラムが少数機あるだけで、ROKAFはF-35Aを先鋒に展開するはずで、F-35Aはすでに20機が配備されている。またF-15Eストライクイーグル60機のほか、F-16C/Dも134機がF-16V仕様に改修しAESAレーダーを搭載する。さらにF-35Bの導入も検討中で、次に建造する強襲揚陸艦で運用する。

 

こうした第一線戦闘機に加え、ROKAFには戦力効果を増幅させる支援機材がそろっている。まず、ボーイングE-737(E-7ウェッジテイル)ピースアイ空中早期警戒統制機(AEW&C)があり、北朝鮮空域を監視できる。またレイセオンRC-800情報収集機、ダッソー・ファルコン2000EXにL3コミュニケーションズによる情報集機材を搭載している。こうした機材がKF-21を支え、リアルタイムで北朝鮮の空地海の脅威対象の情報を提供する。

 

KBS NEWS SCREENCAP

 

南北朝鮮が開戦となれば、KPAFは旧型機多数を動員するが、火砲部隊、移動式ミサイル発射装置の威力を前面に出してくるはずだ。さらに核兵器が北朝鮮にあるほか、化学兵器、生物兵器も備蓄している。朝鮮人民軍の固定式、移動式の地対空ミサイル多数は、対空火砲とあわせ、まっさきに制圧する必要がある。

 

このため、KF-21ブロック2で対地攻撃能力の実現をROKAFは目指すはずだ。

 

KF-21により南朝鮮は国産次世代多任務戦闘機の配備を目指し独自の道で一歩を記したといえる。同機開発の進捗には目を見張るものがあり、初飛行に向けカウントダウンが始まった。■

 

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Meet South Korea's New KF-21 "Hawk" Indigenous Fighter


Developed under an ambitious timeline, the fighter will complement F-35s and older fighters as part of a revamped Republic of Korea Air Force.

BY THOMAS NEWDICK APRIL 9, 2021


 

Contact the author: thomas@thedrive.com



2021年4月10日土曜日

見えてきたF-35Bの運用構想。広大な南西部を中国から防衛するため同機はこう投入される。合わせて国内メディアは機種名を正しく表記するべきである。

 Japanese Air Force

 

 

F-35Bは未整地施設や臨時飛行場から運用可能だが、日本の目標はヘリコプター空母二隻での運用だ。

 

日本はF-35を南西部の新田原基地(宮崎県)に配備するとみられる。同基地はたまたま選定されたわけではない。中国が狙う日本の周辺島しょ部に近くなるからだ。

 

Japan Timesは「新田原基地への同機配備の狙いは中国の周辺地域での活動を抑え込むことにある。尖閣諸島がその一部であることは当然だ」と解説した。中国が同諸島領有を主張しており、中国本土・台湾ともに近い位置の同諸島に艦船航空機を頻繁に派遣している。

 

「中国の海上活動の強を念頭に、日本は南西諸島防衛の実効性を高めようとしており、沖縄や尖閣諸島も視野に入れている」(Japan Times

 

政府筋から同紙に対し「F-35Bが新田原基地に配備されれば、米海兵隊岩国航空基地の同型機と共同訓練も可能となる。また改装後のいずも級ヘリコプター空母で同機を移動させ運用する」と述べていた。

 

ただし、Japan Timesは地元反対運動が配備予定を狂わす可能性に触れている。

 

日本はF-35の二型式を導入する。105機のF-35Aは陸上から航空自衛隊が運用する。その第一陣は三沢基地(青森県)に配備され、日本のもう一つの安全保障上の脅威北朝鮮ににらみをきかしている。

 

これと別に43機のF-35B短距離離陸垂直着陸(STOVL)型を2023年までに調達し、一部を新田原基地に配備する。

 

F-35各型式を使い分ける理由は日本が直面する安全保障上の脅威が異なるためだ。威力がまさるF-35Aは主に北方に配備し、北朝鮮を想定した対応にあてる。北朝鮮の通常兵力には大した脅威はないが、弾道ミサイルは核弾頭搭載の可能性もあり、日本にとって脅威となる。F-35では米国でミサイル防衛任務の試験もおこなっており、将来は弾道ミサイル迎撃以外にステルス性能を生かして北朝鮮国内のミサイル核施設の攻撃にも転用できる。

 

中国は別の脅威だ。中国には弾道ミサイル多数があるが、それ以上に強大な空軍、海軍が高度化を続けており、空母や極超音速ミサイルが日本国内の日米部隊の基地を攻撃しかねない。ワシントンに本拠を置くシンクタンク、新アメリカ安全保障センターによる机上演習が昨年行われ、中国役のチームは沖縄の航空基地を弾道ミサイルで破壊し、駐機中の日米機材が使えなくなった。

 

沖縄が脆弱なら、尖閣諸島は防衛できるのか。

 

ここから導かれるのは日米航空部隊の主力たるF-35AやF-15は中国攻撃を受けにくい地帯から運用し、沖縄等の基地は攻撃を受け機能で障害が生まれることを前提とする考え方である。F-35Bが真価を発揮することになる。

 

米海兵隊が運用するF-35Bは垂直着陸能力があるが、半面で性能の一部を犠牲としている。ただし、空軍や海軍に頼らず自力運用を好む傾向のある海兵隊にとってF-35Bは未完成滑走路や確保したばかりの揚陸地点での運用が可能だ。

 

ただしその通り実現するかは別の話だ。F-35Bはたしかに未整備地に着陸できるが、燃料弾薬予備部品や整備要員がその場にそろっていなければ効果を発揮できない。日本当局も既存航空施設が中国ミサイルにより容易に破壊される事実を認識すべきで、その場合は対応に困難をきたすはずだ。

 

日本は第二次大戦を通じ、敵の揚陸侵攻に唯一有効な対策は海空の防衛体制と認識している。とくに航空戦力が敵侵攻を食い止める効果を発揮する。中国が艦船航空機で尖閣諸島を封鎖すれば、上陸部隊で容易に占領できる。日本が再奪取を図っても、実行は極めて困難になる。日本が編成した水陸両用旅団は格好の標的となる。だが、少数とはいえF-35Bが未整備施設から極超音速対艦ミサイルを搭載して発進すれば、中国の揚陸作戦を阻止することは可能になる。■

 

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この件に限らず、報道機関がF35とかF15のように勝手な呼称をしていることが気になって仕方ありません。日本国民に安全保障面でインテリジェンスが必要なことはこのブログ読者も同意見と思いますが、伝え手のメディアには独善的な「慣行」で不自然な装備名を使い続けることからまず変えてもらいたいです。皆さんはどう思いますか。



New Mission For Japan’s F-35 Fighters: Defending Okinawa from China?

April 8, 2021  Topic: F-35  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: Japanese Air ForceJapanOkinawaChinaF-35Military

by Michael Peck

 

Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.

Image: Reuters