2021年4月20日火曜日

米海軍の求める次期誘導ミサイル駆逐艦DDG Nextの姿----小型化しつつ武装は強力に。

 

Trump GOP Speech Attacks Mitch McConnell, Renews False Election Claims

 

 

海軍のアーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦はレーガン時代に設計され、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領の下で就役を開始した。戦後の米海軍水上艦で最長の建造記録を樹立している。68隻が建造されており、全部で89隻建造となる予定だ。スプルーアンス級駆逐艦が全廃されたのが2006年以降、2016年のズムワルト級登場までアーレイ・バーク級が唯一の駆逐艦となった。

 

海軍は「次世代駆逐艦」の開発を始めようとしており、アーレイ・バーク級を参考にするといわれる。海軍作戦部長マイケル・ギルディ大将はDDG Nextと仮称される将来の駆逐艦はズムワルト級より小型となるものの、アーレイ・バーク級を上回るミサイル搭載量となると述べている。「大型水上艦というと戦艦を思い起こす向きがあるが、その方向には進まない。ズムワルトより小ぶりになる艦を検討している。だが有人艦艇でより多くの兵装を積み、今以上の威力となる」

 

大きすぎず、小さすぎない 

冷戦時に設計されたアーレイ・バーク級は全長が500から510フィートで排水量が8,230 から9,700 トンで、ズムワルト級の610フィート、16千トンより小さい。

 

ギルディ大将が示唆しているのはDDG Nextはバーク級のフライトIIIをもとに建造し、兵装も同様ということだ。ただし、フライトIII仕様艦では兵装追加が限られる。そこで最良の選択は実証済みの兵装を新規建造艦に搭載することだ。

 

「新規船体を次期駆逐艦に使う。既存の技術をその船体に搭載して性能を近代化させる」(ギルディ)

 

兵装の多くはフライトIII艦から流用するが、DDG Nextではズムワルト級の搭載兵装も一部利用する。特に発電容量を増やし、指向性エナジー兵器を実用化し、自艦のみならずその他艦の防御性を高める。

 

いつ実現するのか

米海軍が2020年に作成した30年間建艦計画では新型駆逐艦の調達を2025年開始するとあるが、新型設計には一定の時間が必要で、DDG Nextがこの時間割で実現する可能性は低い。

 

とはいえ、海軍は適正サイズの艦艇を視野に入れ、もっと重要なことは既存技術を応用することで短時間の開発を狙い、かつ新しいハードウェアの登場を想定して最初からアップグレード対応の艦をめざしていることがわかる。■

 

 

Meet the DDG Next: A Smaller, But Heavily Armed Naval Destroyer?

April 11, 2021  Topic: U.S. Navy Destroyer  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: U.S. NavyNavyDDG NextDestroyerMilitary

by Peter Suciu

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com. This article is being republished due to reader interest.

Image: Flickr.


2021年4月19日月曜日

主張 オーストラリアは今からでも原子力潜水艦調達に方針を変更すべきとの同国退役海軍将官の意見をご覧ください。

 

ーストラリアには原子力産業が不在なので、原潜保有は無理との主張は未実証だ。

アデレードの The Advertiser紙が今年3月7日に元防衛相クリストファー・パインが「アタック級潜水艦が原潜でないので機能しないとの無意味な意見がある。こうした主張の背後には潜水艦とは何かを理解しない、国防の意味も理解しない向き、あるいは古い情報に基づく向きがいる」との発言を報じた。であればパインはオーストラリアの現役潜水艦艦長たちに潜水艦知識が欠如しているとみなしていることになる。

 

2016年版国防白書でオーストラリアは将来の潜水艦を「地域内優勢」の存在と位置付けた。筆者は潜水艦部隊司令の経験から、ここ30年の潜水艦艦長で原子力潜水艦がディーゼル潜水艦より優れていることを疑うものは皆無と断言できる。オーストラリアの新型アタック級潜水艦は地域内で供用中のディーゼル艦より優秀な性能になるはずだが、中国の新型原子力潜水艦が2040年代以降に就航開始すれば、優勢といいがたくなる。中国海軍は数で米海軍を上回っており、2035年には攻撃力でも米海軍を上回る予測がある。オーストラリアでタック級潜水艦12隻がそろうのは2054年ごろとなり2080年まで供用する。

 

パインは「オーストラリアには原子力産業がなく、即座に整備するのは不可能だ」とも述べているが、話の順序を間違えている。米国が原子力潜水艦を初就航させた時点で原子力発電所は未稼働だった。米国で原子力発電の実用化は遅れており、のちに提督へ昇進したハイマン・G・リッコーバーが指名され海軍用及び民生用の原子炉開発を始めて加速した。当初は原潜で経験を積んだ退役海軍関係者が民生発電業界に転職し、業界は急速に発展した。

 

オーストラリアに原子力産業が不在なので原子力潜水艦を保有できないとの主張は実証されていない。オーストラリアに核燃料の製造再処理を行う能力があるかは原潜の保有運用に不可欠な要素ではない。日本の発電所には民生原子炉が33基あるが、日本に核燃料の製造再処理能力はない。ヨーロッパや中東に原子力発電ない国がある。オーストラリアが高性能軍用機や装備品を海外から調達しているが、原子炉や長期間有効な核燃料も同様に購入していけない理由はない。原子炉は輸入し、潜水艦は国内建造すればよい。

 

原子炉、核燃料は他国から調達可能なのにオーストラリア国内に広範な原子力産業が育っていないのはなぜか。世界経済で上位20か国(オーストラリアは13位)のうち原子力発電利用は17か国に及ぶ。オーストラリア、イタリア、サウジアラビアが例外の三か国だ。このうち、サウジアラビアは原子力発電を導入中だ。また、ゼロ・カーボン・エミッションの2050年までの実現で各国が動いているが、主要国すべてで原子力発電も併用して達成をもくろんでいる。

 

ディーゼル潜水艦が登場し120年、原子力潜水艦は65年で、ともに新技術といいがたい。この二型式の選択で、主要西側海軍国の米、英、仏各国は原子力潜水艦のみ建造している。原子力推進方式の効率と技術的優位性が理由だ。

 

オーストラリアでオベロン級潜水艦の代替艦建造が1980年代に浮上したが、当時は英米からの原子炉購入は不可能だった。冷戦が最盛期を迎え英米の関心はソ連に向けられ、戦闘は北大西洋で想定されていた。フランスは国産原子力攻撃型潜水艦の開発を始めたばかりだった。では、コリンズ級潜水艦代替の選択肢はどうだったのか。

 

2009年版国防白書ではコリンズ級の次に来る潜水艦部隊は12隻に増勢するとあった。当時の国防相はジョエル・フィッツギボン(労働党)で、選択肢に原子力推進は入れないよう指示していた。三年後に、内閣を辞したフィッツギボンは原子力を検討対象外にしたのは過ちと認めた。ただし、後任の国防相で「原子力排除」方針を変更するものはいなかった。それにより、連立内閣が生まれた2013年に通常動力型潜水艦として開発が決まった経緯がある。

 

通常型潜水艦が今世紀後半のオーストラリアのニーズに合致するのは困難だろう。アタック級建造は6隻あるコリンズ級の後継艦として進め、残り6隻を原子力潜水艦として調達し、ゆくゆくはアタック級6隻の後継艦も原子力にする方向を直ちに検討すべきだろう。

 

潜水艦から広範な原子力産業がオーストラリアに生まれる。■

 

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Why Doesn't Australia Build Nuclear Submarines?


April 18, 2021  Topic: Nuclear Submarines  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: Nuclear SubmarinesChinaAustraliaJapanNavyMilitary

by Denis Mole

 

Denis Mole served in the Royal Australian Navy for more than 35 years, commanding submarines and attaining the rank of commodore. He has recently retired from the commercial marine and defence support sector.

 

Image: Reuters.


2021年4月18日日曜日

この兵器はなぜ期待外れに終わったのか④ ハインケル177は空飛ぶ棺桶とまで酷評され、貴重な資源を消費してしまったドイツ唯一の大型爆撃機。この機体にも急降下爆撃を求めたドイツの用兵思想にも問題が....

 

 

者が第二次大戦時のドイツパイロットだったとしよう。「炎の棺」別名「帰還不能の爆撃機」「火山」と呼ばれる機体の操縦には不安を感じたはずだ。

 

高温に悩まされ発火が頻発したHe 177グライフ(グリフィン)はナチドイツ唯一の長距離重爆撃機で実際に生産された機体だ。満載時自重35トンの同機は失敗作で、貴重な資源をつぎ込んでドイツの敗北を早めたといえる。

 

He 177は技術的にも興味をそそる機体だったが、これが根本的な問題を引き起こした。1937年にハインケル航空機製造が試作機を納入すると、軍は急降下爆撃性能を求めてきた。ドイツ空軍がこだわった戦術で、重爆撃機に急降下爆撃を求めたのである。

 

急降下爆撃機には大Gがかかるため、過大なストレスに耐えるべく小型機が通例だった。Ju-87スツーカの機体強度は高くなり結果として重量が増えた。とはいえ機体が大きすぎても重すぎても不適だ。

 

He 177はそこまで巨大な機体ではなかったが、垂直に近い急降下爆撃には不適で、試みれば地上に激突するのであった。浅い角度でのみ急降下爆撃に耐えた。

 

戦闘機なら急降下爆撃にも耐えられたが、それでも高速度で降下してから機体を引き戻すのは危険だったし、急降下中に機体分解のリスクもあった。さらに急降下爆撃では標的に極力接近することで精度を高めた。

 

エアブレーキで降下速度を減じれたが、機体サイズ、重量、堅牢度のバランスが急降下爆撃の成否を左右した。

 

He 177には別の問題もあった。大型機のため駐機中は絶好の標的になった。兵装ペイロード13千ポンドで攻撃半径が3千マイル超の性能の代償で燃料を大量消費し、機体強度を確保すべく構造改修したことで重量増を招いた。「改良」型の燃料消費はさらに悪化したが、連合軍爆撃機がドイツの石油供給をか細くしていた。

 

「ガソリン消費が多いため飛行中止措置を迫られた。燃料供給が全く足りなかった」とドイツ空軍トップのヘルマン・ゲーリングが戦後に米戦略爆撃調査団に語っている。

 

グライフは最初から妥協の産物だっといえる。興味を引くのは急降下爆撃仕様の技術課題をどう解決したかである。

 

ハインケルの解決策はDB601エンジン4基の2基ずつ連結構成で、双発機のようにプロペラ二基を回転させた。各ペアで1,900キロワット超の出力が得られ、プロペラが二つのため、滑空降下中の機体が安定した。とはいえ、スツーカ並みの急角度降下はできなかった。

 

結果としてグライフは急降下爆撃機でなく、滑空爆撃機となった。とはいえ、この形の爆撃でも機体が大きすぎた。深刻なのはエンジンに発火しやすい傾向があったことで、複雑な機構でぎっしり配置され、さらに空隙のないカウリングがついたため、高温になる傾向があり、整備に手を焼いた。この高温と発火の危険性が常についてまわった。

 

He 177のためその他のドイツ試作装備にも悪影響が生まれた。ドイツはハイテク対艦誘導爆弾二型式を開発していた。液体燃料式Hs293と自由落下式フリッツXである。

 

双方ともHe 177から投下し無線誘導する構想だった。だが、He 177の爆弾搭載性能が期待以下で「新型爆弾運用に大きな制約が生まれたため、ドイツは統合に苦労した」と米空軍トッド・ショラース中佐が米空軍兵たん機関誌に記述している。

 

He 177の悪影響は革新的実験機にも及んだ。世界初の実用ジェット戦闘機メッサーシュミットMe 262の戦闘投入が遅れ、大きな戦果を挙げられなかったが、早期に戦力化されていたとしてもドイツの運命を変えるまでの影響はなかっただろう。だが、He 177の悪印象がヒトラーをしてジェット戦闘機への疑いを増したといえる。

 

ヒトラーは貴重な資源をBf 109後継機のMe 209につぎ込んだ。当然、Me 262生産に支障が出るのは承知の上だったとショラース中佐は解説している。

 

結果としてドイツはHe 177を1,000機超生産した。各機にDB601あるいは発火問題を解決したDB605エンジン四基が搭載されていたのは上述の通りだ。このエンジンはBf 109にも搭載されていた。

 

役立たずのHe 177用に大量のエンジンが生産され、ドイツ空軍の戦いが長期化し、苛烈になればなるほど、Bf 109が大量に必要となったが、同戦闘機はすでに優位性を失っていた。

 

 

リチャード・サケンウィズが1959年の著書「ドイツ空軍の歴史的転回点」でドイツ空軍の戦闘力喪失の原因のひとつにHe 177をあげている。

 

同書ではグライフの四本プロペラ化提案にも触れている。1944年7月3日付で戦闘機軍団に上がった報告書で以下の表現がある。

 

「...元帥との土曜日の会議は5時間近くになり、旧型He-177は生産中の機体が完成次第生産中止し、従事中の労働力は別事業に振り向けるよう命令が出た。さらに、新型He-177生産は開始しないことに決まった。」

 

それから10カ月後に、ドイツは敗北した。He 177がドイツ崩壊に貢献したのは明らかだ。

 

ひとつ重要な教訓が得られる。間違った設計への過大な資源を投入で自軍の航空部隊に大きな災厄が生まれることだ。■

 

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Nazi Germany Had a Flying Coffin Bomber That Flopped

April 17, 2021  Topic: History  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: GermanyPilotHistoryMilitaryTechnology

by Robert Beckhusen

 

Image: Wikimedia Commons


南シナ海での運用をにらんで水上機飛行艇のリバイバルがやってくる(?) 米海軍が中国新型大型飛行艇AG600を意識。しかし、技術は日本が握っている。

 Coast Guard HU-16E amphibious aircraft

沿岸警備隊のHU-16Eアルバトロス水陸両用機がマサチューセッツ・オーティス空軍基地に配備されていた US Navy


年の3月で米軍から水上機が姿を消し38年になった。沿岸警備隊のHU-16Eアルバトロスが最後の水上機だった。


第二次大戦で水上機は海軍の勝利に大きな役割を演じた。冷戦時初期にも投入構想があったが、優位性は消えていた。ところが中国が大型水上機を開発していることで水上機の有用性に注目が改めて集まっている。


2020年7月に中国はAG600水上機クンロンの海上運用テスト開始を発表した。


AG600は世界最大の水上機で山東省の空港を離陸し、青島沖合に着水し、4分間水上移動した後、離水し無事帰還した。


米軍では水上機を過去の遺物とみなしていたが、同機の登場で一気に関心が集まった。


かつては必須装備だった

Consolidated PBY-5A Catalina flying boat

コンソリデーテッドPBY-5Aカタリナ US Navy



水上機はかつては米海軍で必須装備だった。空母が支配の座に就くより前に、水上機母艦が長距離航空作戦に必要な艦種とされた。水上機母艦は大型クレーンで水上機を吊り上げ、機体の補給整備を行った。米海軍初の空母USSラングレーは元は給炭艦で水上機母艦に改装されてから1920年代末に空母になった。


その後、水上機は艦艇が発進させるようになり、長距離型は対潜戦、捜索救難、海上制圧や偵察任務のような重要な役目に投入された。本艦隊から数百マイル先で敵部隊を探知できる能力が特に重宝された。


その中で最も米国で記憶に残る機体がPBYカタリナ飛行艇だ。コンソリデーテッド航空機が製造し、海軍が1936年に制式採用した同機はミッドウェイで日本艦隊の位置をつきとめ、海上を漂う搭乗員や水平数千名を救助したほか、枢軸国潜水艦20隻以上を沈めた。


英国に供与されたカタリナに米人パイロットが登場し、ドイツ戦艦ビスマルクを発見したのは1941年5月で、米国の参戦7カ月前のことだった。


冷戦時の運用構想

Navy seaplane tender Salisbury Sound Martin P5M-1 Marlin

水上機補給艦USSサリズベリーサウンドがマーティンP5M-1をクレーンで釣り上げている。1957年サンディエゴ。US Navy


水上機の役割は第二次大戦終結を契機に弱体化した。枢軸側潜水艦が姿を消し脅威は減り、太平洋で獲得した各地の基地から米海軍は長距離地上運用機材を飛ばした。しかし、海軍は水上機を直ちに放棄しなかった。冷戦初期には水上機打撃部隊の創設を狙っていた。


コンヴェアR3Yトレイドウィンドは輸送飛行艇で1956年に採用が決まり、航続距離は2千マイルを超え、100名あるいは貨物24トンを運べた。空中給油型ではグラマンF9Fクーガー4機へ同時給油できた。だが、同機にはエンジンで問題があり、1958年には11機全機が退役している。


Convair R3Y-2 Tradewind refueling Grumman F9F-8 Cougar

コンヴェアR3Y-2トレイドウィンドがグラマンF9F-8クーガー四機に同時に給油している。1956年9月. US Navy


同じコンヴェアによるF2Yシーダートは野心的なねらいのデルタ翼水上戦闘機だった。超音速飛行可能で20mm機関砲4門あるいはロケット弾を搭載するシーダートは1953年に初飛行したが、死亡事故の発生で1957年に開発中止となった。


より鮮明な印象を与えたのがマーティンP6Mシーマスターだ。核兵器運用を当初構想された同機は大型ジェット飛行艇で亜音速飛行で1,000マイルを超える航続距離を有していた。


だがポラリス潜水艦発射式弾道ミサイルの開発によりシーマスターには機雷敷設が新たな任務となった。


結局、弾道ミサイル潜水艦と大型空母の登場で水上機打撃部隊構想は意味を失い、シーマスターは1959年に開発中止となった。


AG600の登場

AVIC AG600 Kunlong floatplane

AVIC AG600飛行艇. Xinhua/Li Ziheng/Getty


米国で水上機はすべて姿を消したが、一方で今でも運用している国がある。


ロシアはターボプロップのベリエフBe-12にかわり、ジェット推進式のBe-200ESの導入を進めている。


日本には長期にわたる輝かしい水上機運用の伝統があり、最高峰の性能を有する新明和US-2を供用しており、AG600の登場までは世界最大の飛行艇だった。


AG600は中国航空工業(AVIC)が製造している。中国人民解放軍空軍のステルス機等のメーカーだ。


AVIC AG600 Kunlong floatplane

AVIC AG600飛行艇. Xinhua/Li Ziheng/Getty


AG600開発は2009年に始まり、機体製造は2014年スタートした。存在が公表されたのは2016年で、初飛行は2017年だった。機体開発は2022年までに終了し軍に引き渡すとしている。


同機は全長120フィート翼幅127フィートで、50名を乗せ、最高速度310マイルで航続距離は2,800マイルである。


AG600は多用途機となり、捜索救難、輸送、森林消火に投入を想定する。AG600は南シナ海で特に有益な機体となり、中国が造成した各地の人工島をつなぐ機能が期待される。


水上機のリバイバルが来る?

Japan amphibious aircraft seaplane Iwakuni

海上自衛隊の水陸両用機US-1Aが岩国基地へ着水の準備に入った。2013年1月。US Marine Corps/Cpl. Vanessa Jimenez


中国がAG600開発を進める中、米国もインド太平洋を重視し、多数の島しょがあることから水上機のメリットに再度注目している。


水上機なら陸上基地や滑走路が破壊されても何ら心配ないからだ。


飛行艇は大量の兵員さらに一定の軽車両なら直接沿岸に送ることができる。これは島しょ部への展開や増派の際に効果を発揮する。


空中給油機に転用すれば、水上機により空母艦載機の運用範囲がひろがり、空母搭載の給油機を廃し、その分多くの攻撃機材を搭載できる。水上機自体も艦艇や潜水艦から給油を受ければ、運用範囲を拡大できる。


ただし、よい話ばかりではない。水上機はどうしても陸上機や艦載機の飛行性能には追い付かない。また水上機の供用期間は陸上機より短くなる。さらに水上機の性能をフルに活用するには水上機母艦が必要となるが、現時点で海軍にはこの用途の艦艇は皆無だ。


インド太平洋での作戦運用という課題に関心が集まる中、中国が改めて飛行艇を重視する姿勢を示していることで、水上機運用の戦術面での意義の検討が重要になってきたといえよう。■


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Flying Boats Get New Attention Amid Competition With China in Pacific

The US ditched its last flying boats 38 years ago, but they could still help fill the gaps against China in the Pacific

Benjamin Brimelow 18 hours ago


2021年4月17日土曜日

主張 日米同盟は満開の状態に入った。菅バイデン会談で両国は安全保障面の統合をさらに進め、経済安全保障、技術革新分野でも連携をさらに強化することで、今後驚くべき成果が生まれる。

 US-Japan alliance in full bloom

© Getty Images

 

シントンの桜は満開を過ぎたが、米日同盟は金曜日に満開を迎える。菅義偉首相がホワイトハウスを訪れ、バイデン大統領が初めて対面する海外指導者となる。名指しさえしないものの、中国が同盟関係の各政策に立ちふさがる存在であることは疑う余地がない。中国との競合が経済、技術のみならず安全保障や人権問題で中心になっている。

 

経済面では日本が米経済再興に協力し、重要サプライチェーンの強化に向かう。半導体が電子産業に不可欠だが、菅バイデン両名は半導体供給を確実にする決意だ。同様に米日両国にはデジタル貿易合意を強化し、多国間協議を妥結させ、金融貿易の国際標準をサイバー時代に適合させる好機を迎えている。

 

半導体製造で大きな役目を果たし、APEC並びに世界貿易機関の加盟国である台湾がサプライチェーンの安全確保並びにデジタル貿易の標準策定に重要だ。実際に台湾の地位を世界経済で確実にすれば、台湾海峡への空母投入など北京が進める台湾向け恫喝戦略を減じる結果が生まれる。

 

21世紀経済の中心は技術だ。そこで、米日両国は中国との経済協力に強い利害関係を維持しつつ、5G、人工知能、量子コンピューターなど先端技術面で厳しい対応を取らざるを得ない。バイデン、菅両名は中国への対抗策ではなく、技術革新をすすめつつ安全な接続性につながる取り組みを表明すべきだ。

 

この動きの好例となりそうなのがオープン無線アクセスネットワーク(ORAN)の5G技術だ。中国に第五世代通信インフラを支配させることに懸念があるため、米日両国はクラウドベースのソフトウェアとなる同技術の強化を求められている。ORAN分野では日本の楽天が進んでおり、米議会内には超党派で米国もモジュラー方式5Gへ投資を増やすべきとの声がある。

 

サイバーセキュリティでは両国のさらなる協力が必要だ。直近の2+2米日防衛外務大臣会合で取り上げた5点のうち、サイバースペースが従来の安全保障課題に最も近い。日本はファイブアイズの第六番目加盟国に事実上近づいており、情報共有の仕組みに加わる。バイデン政権はこの流れを支援すべきだ。デジタル同盟関係の強化でインド太平洋地区のサイバー回復力も強化される。

 

政治面では人権を重視する声を上げようとする菅政権の動きに留意すべきだ。中国は内政問題だとして中国批判を黙らせようとしており、声を上げる向きには懲罰を課す姿勢を見せている。新疆のウイグル族への不当な取り扱いが国連憲章でいうジェノサイドに当たることは明らかでも、習近平が「戦狼」外交を止める兆候はなく、逆に中国の品位を守るべく「刀を抜け」と号令をかけている。バイデン菅両名は個人の自由を尊重する民主体制が独裁体制より優れることを証明すべきだ。両名はそれぞれの社会で人種偏見、人種差別主義、外国人排除の動きを伴わず民主体制の連帯をめざすべきだ。

 

軍事面で同盟関係の課題は中国のグレイゾーンでの動きをどう止めるかであり、中国が軍事力行使に進まないよう抑止力をどう使うかだ。尖閣諸島、台湾での軍事力行使は現実の可能性だ。首脳会談でバイデンは安全保障条約第5条による日本防衛の責務を再確認し、日本統治下の領土が対象と述べるだろう。逆に菅は在日米軍への攻撃は日本への攻撃と同じと返答するはずだ。尖閣諸島防衛への備えでは台湾シナリオにも対応する。事態を想定する宣言で米日両国の指揮統制面での統合がさらに進み、戦力の補完効果が生まれる。

 

満開の桜は長く続かなくても、両国の同盟関係から驚くほど良好な成果が生まれている。■

 

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US-Japan alliance in full bloom

BY PATRICK M. CRONIN, OPINION CONTRIBUTOR — 04/15/21 12:00 PM EDT  28THE VIEWS EXPRESSED BY CONTRIBUTORS ARE THEIR OWN AND NOT THE VIEW OF THE HILL

 

Patrick M. Cronin is the Asia-Pacific Security Chair at the Hudson Institute. 


日本向けグローバルホークが初飛行に成功。ノースロップ・グラマン。FMS案件承認から6年、時間がかかりましたね。航空自衛隊は3機導入しISR機能強化が実現します。

 Northrop Grumman completes first flight of Japan’s RQ-4B Global Hawk c Northrop Grumman

Source: Northrop Grumman


ノースロップ・グラマンは日本向けRQ-4BグローバルホークUAVの初飛行を実施した。


初飛行は4月15日同社のパームデイル施設(カリフォーニア)で行われたと発表。姉妹機のMQ-4Cトライトンとあわせ同地で生産されている。


「無人機RQ-4Bグローバルホークにより日本は情報収集監視偵察(ISR)をオンデマンドで行い、航空自衛隊による領空防衛、脅威監視、人道支援任務を支援できるようになる」とノースロップ・グラマンで無人装備をまとめるジェーン・ビショップ副社長が述べている。


日本は ブロック30(I) 仕様のRQ-4を三機導入する。有償軍事海外援助による同期販売は2015年に米国務省が承認していた。米空軍、NATO、南朝鮮がすでにRQ-4を運用中で、米海軍及びオーストラリア空軍がMQ-4を供用している。


RQ-4は高度60千フィートで32時間以上滞空可能と同社は説明しており、航続距離は12,300nm (22,800km)だ。


機内に合成開口レーダーを搭載し、悪天候あるいは夜間でも長距離地点の映像撮影が可能だ。また高解像度電子光学赤外線カメラもつく。


米空軍のEQ-4Bでは戦場空中通信ノードを搭載し、画像音声戦術データを各地に中継するゲートウェイの機能を実現している。■


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Northrop Grumman flies Japan’s RQ-4B Global Hawk for first time

By Garrett Reim17 April 2021 FlihgtGlobal