2021年4月28日水曜日

ペルシア湾で米海軍がイランに警告射撃を加えた。トランプ政権時には急減した革命防衛隊による威嚇行為がバイデン政権になり再び増加傾向へ。イラン首脳部は革命防衛隊を制御しきれていないのか。

 An image the US Navy released from an incident in which the Cyclone class patrol craft USS Firebolt fired warning shots at Iranian boats in the Persian Gulf of April 26, 2021.

USN

 

 

海軍はサイクロン級警戒艇USSファイヤーボルトがイラン小舟艇3隻に警告弾を発射したと発表。ペルシア湾で昨日発生した。これと別にイラン革命防衛隊の別の小舟艇がやはりペルシア湾で米沿岸警備隊カッターに嫌がらせ行為を働いたとも発表している。

 

ファイヤーボルトは沿岸警備隊のUSCGCバラノフとともに4月26日現地時間午後8時ごろから航行していた。海軍は接近してきたイラン側舟艇の型式等に触れていないが、イラン革命防衛隊(IRGC)が各種小舟艇を運用していることは周知の事実だ。

 

USN

A stock image of the USS Firebolt.

 

 

イラン小舟艇は「国際法上で必要とされる他の船舶への安全維持義務を逸脱し、公海上の米海軍艦艇に接近してきた」と米海軍は声明文を発表。「IRGCN(イラン革命防衛隊海軍)の武装高速艇が急速に米海軍警備艇USSファイヤーボルト(PC 10)及び米沿岸警備隊警備艇USCGCバラノフ(WPB 1318)に意図不明なまま非必要に接近し、最接近時には米艦から68ヤードまで近づいた」

 

「米乗員は無線交信で警告を数回にわたり送り、拡声器も使ったがIRGCN舟艇はそのまま接近を続けた」と声明文は続ける。「ファイヤーボルト乗員はそこで警告弾数発を発射すると、IRGCN舟艇は方向を変え、安全距離をとった」

 

米海軍は使用した武器の種類に触れていない。サイクロン級の主要兵装は25mm自動機関砲二門だが、その他小口径幾何陰獣、自動手りゅう弾投射装置もあり、他にもAGM-176グリフィン精密誘導ミサイルがある。

 

「今回の遭遇を通じ米側は積極的にIRGCN舟艇に交信を試み、事前設定の対応手順に従い、誤解によるリスク低減、衝突回避、状況の危険度低下を図った」「米側海軍艦艇は警戒を維持しつつこうした事態に冷静に対応する訓練を受けており、自艦の防御に必要な行為を取る権利を行使できる」

 

「IRGCNの行動は誤解や衝突のリスクを増やし、国際海上衝突回避規則(COLREGS) 、海上交通の慣習にも反するものだった」「さらにIRGCN側の行動は国際法を無視し、海上交通の安全義務にも反するものだった」(米海軍)

 

US ARMY

A stock image of the USCGC Baranoff.

 

この事件に先立ち、4月2日に同様の事象が沿岸警備隊アイランド級警戒艇とハース55級双胴船シャヒド・ナゼリ含むIRGCN小舟艇の間で発生していた。

 

前回の事件でも海軍がイラン側に警告弾含め発砲したかは不明だ。2017年には別のサイクロン級警戒艇USSサンダーボルトがIRGCN舟艇に警告弾を発射している。

 

昨年は警告弾発射は一回も発生していないものの、イラン舟艇が大挙して米海軍、沿岸警備隊をペルシア湾内で妨害していた。この後、ドナルド・トランプ大統領から米海軍に対し、今後イラン武装艇が海上で米側へ嫌がらせ行為に出れば、射撃し排除する命令が出ていた。トランプ大統領は交戦規則の変更ではないと同日中にツイッターで明らかにしていた。

 

今回の事件と対照的なのは2016年1月の事案で、米海軍の小舟艇二隻の乗員がイラン領海に侵入しIRGC部隊に投降した。この事態は15時間後に米乗員が解放され解決を見た。米政府はイランへの公式謝罪は否定したが、イランはこれを宣伝工作に利用し、バラク・オバマ政権批判を繰り広げた。

 

イランにはペルシア湾内で米艦艇への嫌がらせ行為を繰り返す実績があったが、トランプ政権になり急減していた。理由は不明だ。その他のイランによる挑発行為に民間船舶拿捕、無人機による威嚇飛行があり、こうした行為は今も続いている。またイランによる、あるいはイランが支援する形でオマーン湾で石油タンカーを攻撃している。

 

2019年にはIRGCが米海軍RQ-4A広域海上監視機能実証機(BAMS-D)をオマーン湾上空で撃墜し、米イ両国が交戦寸前になった。イランが無人機とミサイルでサウジアラビアを同年後半に攻撃した際に米政府はイランを非難した。その後、米軍がカセム・ソレイマニ将軍をIRGCクッズ部隊司令官としてイラクで殺害する事件が2020年1月に発生し、イランは報復として弾道ミサイルでイラク内の米軍を攻撃した。

 

ジョー・バイデン政権はイランと間接交渉を狙い、イラン核開発をめぐる多国間交渉に復帰もめざしている。この関連でイラン側はトランプ政権時の制裁措置で緩和をバイデン政権に求めている。バイデンはイラン交渉復帰の前提として制裁緩和は考えていないと強調するものの、ここにきて柔軟性を示す兆候があるとの報道がある。

 

交渉での立場強化を狙いIRGCの一派が働いている可能性があり、米国との協調を図ろうとする勢力の足場を崩そうというのだろう。イラン首脳部がIRGC活動をどこまで制御できているのか疑問も生まれている。

 

「IRGC海上部隊の活動はイラン最高指導者の指令によるものとは限らない。むしろ地方指導部の無責任な行為によるものだ」と米中央軍司令官フランク・マッケンジー海兵大将がコメントしている。「挑発の罠に落ちてはいけないと慎重に対応している。当方の各員が優秀なことに助けられている。緊張拡大を避ける能力が備わっている」

 

IRGC内部に状況悪化を望む勢力があるのは明らかだ。■

 

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The incident took place yesterday and is the second instance of Iranian boats harassing American military vessels in less than a month.

BY JOSEPH TREVITHICK APRIL 27, 2021

 

Contact the author: joe@thedrive.com


2021年4月27日火曜日

歴史に残る艦(4) USSレキシントン、珊瑚海海戦で戦没したが、現在の超大型空母の出発点となる艦だった。

 

歴史に残る艦(4)USSレキシントンは今日のスーパー空母の祖先だ

 

 

2018年3月4日、慈善家ポール・アレンの資金援助で空母USSレキシントンの痛々しい姿が珊瑚海の深度2マイルで発見された。初の艦隊型航空母艦として米海軍に就航したレイディ・レックスは史上初の空母対空母対決で撃破され、海底の墓地に76年もの長きにわたり眠っていた。

 

独立戦争諸端のレキシントン会戦にちなむ米海軍軍艦として5番目の艦がUSSレキシントンだった。姉妹艦サラトガとともに巡洋戦艦として企画された。しかしながら、建造は第一次大戦で遅れ、さらに1922年のワシントン海軍条約の制限対象となった。

 

当時建造は四分の一程度進展していたが、米海軍は廃艦せず、二隻を空母に改装することとした。費用は各艦28百万ドルについた。当時生まれたばかりの空母は第一次大戦中にめぼしい活躍がなく、条約では各国は排水量33千トン以下の空母を二隻まで保有できた。

 

米海軍は初の空母USSラングレイ(排水量14千トン、給油艦を改装)で空母運用を経験済みで、レキシントン、サラトガはこれに対し全長270メートル、36千トン(条約違反である)と相当大きな艦容で、「アイランド」上部構造を導入し、艦橋と航空機管制塔機能を一つにまとめ、今日に続く形状の先駆けとなった。海軍二番目の空母としてCV-2の艦番号がつき、偵察、爆撃、雷撃、戦闘の各飛行隊VS、VB、VT、VFを搭載した。

 

レキシントンの鉱区格納庫は3平方キロの広さがあり、当時最大の広さを誇り、80機から110機の航空機をエレベーター2基で移動させた。飛行甲板には拘束ワイヤーを巡らせ、機体着艦時に利用した。同艦は「耐雷撃装備」を特徴とし、膨大な量の航空燃料が爆発しないように区画を隔離していた。

 

「グレイレイディ」と呼ばれた同艦には巡洋戦艦の名残も残り、装甲帯には7インチの厚さがあり、対艦攻撃には8インチ砲連装が4門あったが、射撃で飛行甲板に影響が出る恐れがあった。さらに5インチ対空砲で補強し、機関銃多数を備えた。

 

レキシントン、サラトガ両艦は1927年就役し、太平洋で演習に動員された。その時点で空母が実戦に投入された事例はなく、海軍は三隻そろった空母の使い道を模索していた。ここから偵察機を順次発艦させ、連続で行う戦闘航空哨戒(CAP)の概念が生まれ、敵偵察機を排除し、敵空母の位置をつかみ、これを撃破する作戦につながった。レキシントンの艦載機は少なくとも三回にわたり真珠湾を「奇襲」した。演習の教訓が生かされなかったのは明白だ。

 

演習の合間にレキシントンはターボ電気発電機能でワシントン州タコマに一カ月にわたり給電した。同市は干ばつで水力発電が使えなくなっていた。また、1931年に地震被害を受けたニカラグアへ物資輸送した。さらに、洋上燃料補給実験にも使われ、これが第二次大戦中で広く用いられた。

 

サイエンスフィクションの巨匠ロバート・ハインライン(スターシップトルーパーズ、異星の客等)はレイディレックスに通信士官として勤務し、艦内コンテストで短編小説を書いたが選外となった。若い少尉として艦長アーネスト・キングの娘とデートした。キングは大戦中に海軍作戦部長をつとめた。

 

大戦初期の運用実態

 

日本が真珠湾奇襲を実行した際にはその他米空母と同じく被害を免れた。フレデリック・シャーマン艦長の指揮下でウェイク島守備隊援護を試みたが同島はその前に陥落し、同艦は日本潜水艦との遭遇を警戒していたのが1942年1月の状況だった。

 

大戦勃発時のレキシントン艦載航空部隊はとても最強と言えない陣容で、時代遅れの機体のF2Aバッファロー戦闘機(海兵隊パイロットは「空飛ぶ棺桶」と呼称)、不運の三人乗りTBDディヴァステイター雷撃器は時速206マイルの低速で敵機や火砲の絶好の標的となり、装甲も薄く、勝ち目のない機材だった。

 

とはいえ、二人乗りSBDドーントレス急降下爆撃機隊は良好な戦績を残した。装甲貫徹1000ポンド爆弾を急降下中に比較的正確に投下できた。同機も250マイルと低速だったが、敏捷性を生かし、緊急時には防空任務にも投入された。

 

レキシントンは間もなくバッファローをグラマンF4Fワイルドキャットに交代させた。同機は330マイルの最高速度を誇った。ずんぐり形状で青色塗装の同機は敵のA6Mゼロ戦闘機より機敏性、速力で劣ったものの装甲と降下速度を生かし奮戦できた。

 

さらに真珠湾攻撃五カ月前に第一世代レーダー装備CXAM-1が搭載され、ワイルドキャット隊を助けた。50から100マイルを走査し、海上目標の探知は12マイル有効だった。同レーダーにより米空母部隊は敵襲を直前で警戒できた。

 

1942年2月にレキシントンはニューブリテン島ラバウルの日本軍基地攻略に出撃した。日本飛行艇に発見されたため奇襲攻撃は失敗した。戦闘機隊が飛行艇2機を撃墜したものの、海上位置を通報された。シャーマン艦長は攻撃を断念し、そのまま洋上にとどまり、日本機をひきつけ、これを撃破する作戦に変更した。これは危険な賭けで、敵機がレキシントンCAPを潜り抜ければ、初の喪失空母になるおそれもあった。

 

実際にレキシントンのレーダーはG4Mベティ双発爆撃機(一式陸攻)の9機(第四航空隊所属)が西から接近するのを4:25p.m.に探知した。慌ててワイルドキャット隊19機さらにSBDまで動員し発艦させ迎撃させた。

 

迎撃隊が空戦を展開する中、15分後にさらにベティ8機がレーダーでわずか12マイル東方に探知された。発艦可能なワイルドキャットはわずか2機、しかもうち一機の機関銃はすぐに詰まってしまった。

 

残るワイルドキャットはエドワード・「ブッチ」・オヘア大尉が操縦し、劇的な成果を上げた。オヘアは三機を撃墜し、三機を損傷させた。これだけの戦果をオヘアは.50口径450発で達成した。

 

それでも残るG4M隊は必死にジグザク航行するレキシントンに爆弾投下したが一発も命中しない。一機は体当たり攻撃まで試みたがこれも成功しなかった。帰投できたG4Mは3機のみで、ワイルドキャットに2機喪失が発生した。オヘアに名誉勲章が授与され、ワイルドキャットのメーカー、グラマンからはタバコ数千箱が贈られた。自身は1943年にG4Mとの夜間空戦で友軍の誤射を受け撃墜されたが、1949年にその名がシカゴ空港につけられた。オヘア国際空港である。レキシントンは日本軍偵察機を振り切り、3月10日に攻撃隊を発艦させ、パプアニューギニア沖で日本軍輸送艦3隻を撃破した。

 

16日後、同艦は真珠湾に戻り、8インチ砲を撤去し、代りに高速射撃可能な対空砲を搭載した。ついに海軍も大型砲よりも遠隔地を攻撃可能な航空隊を運用し、航空機で艦を防御する方が重要と理解するに至った。

 

直後の5月にレキシントンは初の空母対空母の対決となった珊瑚海海戦で没することになったのである。■

 

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Meet the USS Lexington: America's Original Supercarrier

by Sebastien Roblin

 

April 26, 2021  Topic: Aircraft Carriers  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: LexingtonCarrierAircraft CarrierU.S. NavyWorld War IIFighterJapanMilitaryTechnology

 

Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.


2021年4月26日月曜日

インドネシアが潜水艦ナンガラの沈没を確認。53名全員死亡。艦体が三つに分断されている理由は不明。艦体引き上げが次の焦点へ。

 UPDATED: Indonesian Navy Finds Missing Submarine Wreckage, All Aboard Dead - USNI News

By: Dzirhan Mahadzir

April 24, 2021 8:55 AM • Updated: April 25, 2021 9:17 AM

KRI Nanggala (402) in 2015. US Navy Photo

This post has been updated with additional information on the loss of KRI Nanggala.

 

ンドネシア軍は攻撃型潜水艦KRIナンガラ(402)の残骸を海底で発見し、艦内の53名全員の死亡を確認した。

 

記者会見が4月25日開かれ、国軍最高司令官ハッジ・チャヒジャント空軍元帥が観測船KRIリゲル(933)が現場海域を複合ビームソナーと磁力計を使い、海底の画像を作成し、シンガポールの潜水艦救難艦MVスイフトレスキューが遠隔操作潜水艇(ROV)で現場を視認した。

 

チャヒジャント元帥は画像から潜水艦の部品、破片が散乱しており、Mk 11潜水艦脱出用スーツも確認され、潜水艦が沈没し艦内の全員が死亡したのは明らかだと述べた。

 

記者会見にはインドネシア海軍司令官ユド・マルゴノ大将も同席しており、同艦は三つに分解し水深2,750フィート地点に沈んだと述べた。インドネシアメディアは同提督が乗組員50名と特殊部隊隊員7名合計57名が搭乗可能なので53名というのは上限以内と述べたと伝えている。ナンガラは通常33名から36名で運用するため、事故当時に同艦に載っていた人数について質問が集まっていた。同提督は2012年の韓国での大修理のあと、同艦に特に大きな問題は発生していないとも述べ、仮に信頼性に問題があれば魚雷発射演習に同艦を投入しなかったはずとも発言。

 

チャヒジャント元帥はインドネシア側が国際潜水艦脱出救難連絡事務所 (ISMERLO) と連携中とし、潜水艦の回収に国際支援を求めている。

 

現場にはオーストラリア海軍フリゲート艦HMASバララット(FFH-155)、シンガポール潜水艦救難艦MVスウィフトレスキューが展開しており、米海軍もP-8ポセイドン一機をバリに金曜日に展開しており、捜索活動を支援する。

 

インドネシア軍が同艦が行方不明になったと発表した翌日に残骸が見つかった形となった。

 

潜水艦内部の部材も残骸として見つかったことで同艦は行方不明から沈没に区分が変わった。

 

見つかった部材には韓国表記のついたパイプカバー部材もあり、2012年の韓国での大改修の際につけられたものだ。魚雷ストレイナー、グリース容器は潜望鏡の使用で必需品だ。チャヒジャント元帥はあらためて破片、デブリがみつかったことで同艦の喪失が裏付けられたと語った。■


バイオハイブリッドロボットで生体の筋肉組織と機械部品の融合を目指す米陸軍研究本部の最新動向

 The first applications for bio hybrid robotics the team are expected to focus on include legged platforms, similar to LLAMA, a research platform developed through the Army’s Robotics Collaborative Technology Alliance.

バイオハイブリッド技術初の応用として開発チームは四脚構造の本体を完成させる。外観は陸軍のロボット工学機連携技術開発アライアンスが開発下LLAMAに似ている。U.S. ARMY



米陸軍研究本部の技術陣からバイオハイブリッドロボット技術の初期段階の概要について説明を受けた。

 

ぎこちない動作のアンドロイドから敏捷な動きで生体により近づくロボットの製造へ道を開くべく、陸軍研究本部(ARL)はバイオハイブリッドロボット技術のハイリスク研究にとりかっており、ゆくゆくは生体組織と機械部品の融合をめざす。

「これは完全に新しい研究分野で、生まれたばかりの技術だ。生体の筋肉組織あるいは細胞を大型機構に統合して運動を生体装置で制御する技術の研究は2000年以降始まって、2010年代初めに加速化された。ということで新技術なのだ」と研究開発にあたるディーン・カルバー博士が述べている。「それだけにこれからさらに進歩の可能性があり、これまで得られた知見を活用できそうだ」

本人はNextgovの取材で未来を見据えた研究と驚異的な成果につながる期待を生む応用に触れている。

大きな効果を生む可能性

カルバー博士は機械工学を学び、デューク大大学院でエナジー管理に興味を覚え、貯蔵エナジーから動作を得る複雑な方法の研究を始めた。

「卒業後は筋肉の作動原理研究が大きなテーマだった。生体にエナジーがどのように貯蔵されるのか、またどのように動作に使っているのか」とし、「こうした疑問への解答が思ったより解明されていないことがわかった。ロボット工学ではすでに応用策が研究されていたし、陸軍向けに新型車両の研究も進んでいた。私自身は今でも同じ問題の解答を模索している」

カルバー博士は2017年ごろからこの課題にとりくんできた。めざすのは長期間稼働でき、強靭性があり、作動しても高温にならないデバイスだ。

「答えは生体組織にあった」とカルヴァーは説明した。

現在陸軍で供用中の高性能ロボットは貨物を運搬したり、周囲の状況を記録する。車輪4つを装着することが多く、高さは1フィートから2フィート程度だ。舗装面なら時速2マイルで移動する。ただカルバーが指摘するように問題が二つある。移動手段が車輪になっていることとバッテリーで動力供給していることだ。

「野生の狼を見てみよう。重量は同じくらいだが、餌なしで数百マイル移動できる。短い睡眠で翌日も移動できる。両者の性能の差は歴然だ。ロボットで長距離運用が可能になれば、大きな進展となる。その手段は自然界を観察することで得る」

そこでバッテリーとモーターの組み合わせという固定観念ではなく、筋肉をアクチュエーターに使えば早く実現できるという発想が研究陣に生まれ、バッテリーの代わりに化学エナジーを利用する。カルバーによれば筋肉組織並びに他の生体構造ではエナジーを運動に変えル歳の真の利点は柔軟性だという。例えば、現在の四本足ロボットに舗装駐車場を横断させる指示を与えれば、うまくこなす。だが、砂利駐車場の場合、転倒せずに移動するのは簡単とはいえない。

その理由にマシンのアクチュエーターに柔軟性がないことがあり、モーターは想定外の事象に対応できない。

「野原を走ればウサギの掘った穴に落ちることもあるが、足から脳へ『ウサギ穴に落っこちた』との信号が来る前に体が穴の出現に備えるようにできている。生体制御系としてこの機能が備わっているが、別の見方をすれば筋肉や腱が微妙に屈曲伸展して、状況対応している。これと同じ機能を提供する」とカルバーは説明している。「ロボットが想定外で予測不可能な状況に遭遇すれば、適応が求められる。今回の研究がここで威力を発揮する」

画期的な新技術になる

バイオハイブリッド試作品は陸軍研究本部だけで完成させるわけではない。カルバーは「生体組織を機械部品表面につなげば、電気信号あるいは化学刺激で筋肉のオンオフができる」とし、「ばねのような収縮伸展を実現し、モーターより利点が生まれる」とする。

このため動物標本から採取した筋肉組織を実験室で培養し陸軍のニーズに対応する。

陸軍が新型ロボット開発に向かえば、モーターあるいはバイオハイブリッド筋肉アクチュエーターでほとんどの用途に対応できるとカルバーはみている。

「この問題に答えを出すためには筋肉組織がどのように作動しているかを真剣に理解し、電気信号、イオン、化学物質で作動させるシステムをどのように統合し、長く維持でき作動させる課題を解決する必要がある」とカルバーは説明しており、「現時点では学術界の協力者にこちらが開発したモデルの有効性の実証をお願いしている」

陸軍研究本部が目指す初期のバイオハイブリッド・ロボットは「現行の脚つき推進移動適応研究機構LLAMAや海兵隊の脚つき分隊支援装備LS3に類似してくる」という。

ARLにはデューク大、ノースカロライナ大と連携し実験を続けている。

Nextgovの取材でカルバーは軍事研究の意義を「新分野で主導的立場を確立」することにあるとしていた。現実を見れば、米国の敵対勢力に追いつくことが危険を生むかもしれない。

「バイオハイブリッドやバイオ関連の技術は今の規模で今の枠組みのままなら、『生物学を応用して強化すればいい』のだが、『生体を強靭にしている要素を学び、これを解明しゼロから作り上げ、ロボット、デバイス、メカ部品のみならず、自然界にみられる機能を取り入れたうえで、考え方も革命的に変え、機能もさらに伸ばす」とカルバーは述べた。「これだけ画期的な技術なので我が国が主導権を握りたいし、先頭を走る存在になりたい」■

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Army Explores Equipping Robots with Living Muscle Tissue

 

BY BRANDI VINCENT


2021年4月25日日曜日

海軍記念日に合わせ、強引に艦艇三隻を同時就役させたPLANだが、スピード建造で品質は大丈夫なのか他人事ながら心配。注目は台湾侵攻を狙う075型LHD。

China Commissions a Type 055 DDG, a Type 075 LHD and a Type 094 SSBN in a Single Day

左より ジン級SSBN、055型DDG、075型 LHDが 同時にPLAN 艦隊に加わった。


4月23日、人民解放軍海軍(PLAN)で主要艦艇三隻が同時就役という今までにない成果が生まれた。

三隻は055型駆逐艦(NATO名称レンハイ級巡洋艦)、075型LHD(NATO名称ユーシェン級)、094型SSBN(NATO名称ジン級)。

7万トン超が一日に就役したのはPLAN創設72周年記念日に合わせたもの。

就役式典は海南島三亜海軍基地で行われ、習近平主席が参列した。



055型駆逐艦大連 (105)

Type 055 Destroyer Dalian (105)Type 055 Destroyer Dalian (105)


055型駆逐艦は大連(艦番号105)と命名され、同級三号艦で、3月に就役した二号艦につづき今年二隻目となった。

055型駆逐艦は現在建造中の艦艇として世界最大で全長180メートル、満排水量13千トン(米海軍タイコンデロガ級巡洋艦、フライトIIIアーレイ・バーク級駆逐艦はともに9.800トン、英海軍45型駆逐艦は8,500トン)で、PLANの制式名称は「1万トン級駆逐艦」だが、米国防総省は巡洋艦と区分している。

一号艦「南昌」は2017年6月進水し、二号艦は2018年4月にともに上海の江南造船で建造されている。055型ではさらに2018年、2019年とつづけて2隻ずつ、2020年に1隻の建造が始まっており最終的に8隻となる。

南昌は2020年1月に就役した。055型の兵装は以下の通り。

  • 130 mm H/PJ-38主砲一門

  • VLS サイロ112 門

  •  H/PJ-11 CIWS一門、毎分発射速度 10,000 rd/min

  • HQ-10短距離ミサイル発射装置1

  • デコイ発射機

  • 魚雷発射装置

  • VLSサイロは64を艦前方に、48を後方に分けて搭載。型式は052D型と同一で、

  • 同心キャニスター発射装置Concentric Canister Launcher (CCL) となっている。

PLANは初期建造型の055型にHQ-9B対空ミサイルを搭載し200Kmの射程を誇る。

YJ-18A対艦ミサイル、新型中距離対空ミサイル、対地巡航ミサイルをYJ-18系として搭載しているのは052D型と共通している。

また新型対潜ミサイルYu-8Aも搭載しているとの推測がある。


075型 LHD 海南 (31)

Type 075 LHD Hainan (31)


075型ヘリコプター上陸ドック型艦(LHD)は海南(艦番号31)と命名され、同級の一号艦となった。

2019年9月に進水しており、2020年8月から海上公試を開始していた。上海の滬東中華造船で二隻がさらに建造中だ。

中国はLHDを半年ごとに一隻との驚異的なペースで

建造を進めている。


075型開発は2011年に開始された。

ヘリコプター空母で30千トン規模と想定された。

山地が多い台湾東側の地形を念頭にヘリコプター強襲上陸作戦能力の増強を狙っているようだ。

排水量36千トン、ヘリコプター28機搭載、ディーゼル機関で12,000 kW 16PC2-6B、CIWS4基搭載との噂がある。


075型一号艦の建造日数は記録的な短さだが、中国の艦艇建造は今やこれが普通になっており、他国ではまねができない。

LHD発注は全8隻との説があり、さらに大型の076型建造計画の噂もある。


094型SSBN長征18

Type 094 SSBN Long March 18

Type 094 SSBN Long March 18


三番目の艦艇は094型原子力推進弾道ミサイル潜水艦(SSBN)長征18で094型(09-IV型ともいわれる)の6番艦(あるいは7番艦)となった。

艦番号421がついた。

同級の一番艦は2007年就役している。


094型にはJL-2SLBMが12発搭載され、射程距離は

7,400km (4,600 mi)との推定がある。

艦の全長は135メートル。■


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China Commissions a Type 055 DDG, a Type 075 LHD and a Type 094 SSBN in

a Single Day

Xavier Vavasseur  24 Apr 2021





アフリカに海軍基地確保を狙う中国に注意。債務の罠で港湾施設の入手を図る。ジブチには米、日、仏とならびすでに基地を運用中。空母まで展開するかが今後の焦点か。

  

China's Aircraft Carriers

Comparison of U.S. and Chinese Aircraft Carrier sizes. Image Credit: Screenshot.

1405年から1433年にかけ、クリストファー・コロンブスより90年も前に、鄭和の「明朝宝物艦隊」が7回にわたる海洋遠征でアフリカ東海岸まで到達した。航海の継続できなくなったが、7世紀後、現在の中国艦艇はアフリカに単に寄港するにとどまらず、プレゼンスを維持するまでになった。次は中国空母が中心話題になりそうだ。

中国空母がアフリカを母港にする?

人民解放軍海軍PLANの海外基地は現時点で一か所のみだ。東アフリカのジブチで、紅海の「アフリカの角」に位置する。2017年に利用開始し、着実に拠点機能の強化を続けている。

規模が拡大し、航空母艦数隻を運用可能となった。PLANは空母二隻を運用中で三隻目が建造中だ。

一号艦遼寧はウクライナから購入した1980年代のソ連艦を大幅改修したもので、二号艦山東は遼寧を近代化し国内建造した。

三号艦は2024年に就航とされ、先行二艦より大型で中国初のカタパルトを搭載し、大型機の発艦も可能となる。

中国はアフリカに拠点を構築している

ジブチのPLAN海軍施設は米軍の作戦拠点キャンプレモニエから7マイルしか離れていない。

「中国初となった海外軍事拠点はここジブチが唯一だが、ふ頭追加で空母運用も可能となる」と米アフリカ軍司令スティーブン・タウンゼンド大将が述べている。「中国はアフリカ大陸で別の基地設置場所も模索中」

ジブチは小国ながら世界最大の通商航路に近いという戦略的な立地にある。給油や積み下ろし地点となり、海へのアクセスを持たない隣国エチオピアの輸出入拠点だ。

同国には海外諸国の軍事基地も設置されており、キャンプレモニエは2002年発足し、アフリカで唯一の米軍恒久軍事基地となっている。フランス外人部隊拠点があった場所に設置されたものだ。これ以外にフランスと日本も小規模ながら軍事基地を確保している。

タウンゼンド大将は中国の施設増強ぶりは他国を上回り、アフリカでのプレゼンスにつながると発言。中国も同基地を「アフリカ大陸及び近隣海域への兵力投射機能の拠点」と位置付けている。

PLAN初の海外基地となったが、これ以外の基地拠点づくりを模索している。

タウンゼンドは中国基地が新規整備されるとアフリカ東部西部南部で中国港湾整備投資を介したつながりが生まれ、中国軍部隊が地理戦略面で権益を強めるとみている。

中国は経済力にものを言わせキャッシュに飢えるアフリカ諸国への貸付を申し出ており、借り手に不利な条件をつけ、債務の罠をしかけている。これにより中国はアフリカ全土の港湾施設等の利用を目指している。

タウンゼンドは「中国は大きな懸念対象だ。アフリカ大陸で文字通りあらゆる場所に出現している」と述べ、「将来に向け数々の手を打っている。大量に支出している。重要施設多数を建設している」とした。■

 

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China’s Aircraft Carriers Could Soon Be Based in Africa?

Peter Suciu

ByPeter SuciuPublished19 seconds ago

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He regularly writes about military small arms, and is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.