2021年5月13日木曜日

次世代ジェット練習機需要を狙うのはこの4機種。ただし、戦闘機の縮小と練習方式の変化で練習機需要も縮みそうだ。

  

Credit: Clockwise, from top left: Boeing, AVIC, Italian Air Force, United Aircraft Corp.

 

界のジェット高等練習機でこれまで中心だった機種は次の三つだ。ノースロップF-5/T-38、BAEシステムズのホーク、エアロヴォドホディのL-39/59/159である。T-38は1960年代、ホークとL-39は1970年代に初登場した機体だが、この三機種で世界各地で稼働中の練習機3,165機の過半数を占める。

 

しかし、次世代練習機への交代が2020年代に加速化する。

 

このうちT-38の前途が危いのは明らかで、米空軍はボーイングT-7への機種転換を進めている。L-39もロシア空軍でヤコブレフYak-130の受領を進める中で主要ユーザーを失いつつあるとはいえ、L-39NGという最新型の生産は続いており、姿を消すことは当面はないようだ。

 

ホークでは納入も続いており、2020年代前半での用途廃止機体は少なく、ゆっくりと姿を消している。ただ米海軍が使用中の同型機で後継機種を検討中で、2030年に至る前に機数が急減しそうだ。

 

次世代機がこうした変化を好機ととらえ、T-7、レオナードM-346、ホンドゥ洪都 JL-10、Yak-130が控える。現在の受注状況をながめると2030年にはこの四機種が2020年末から700機近く増える。

 

Aviation Week Networkでは今後10年でさらに298機の練習機需要があるとみており、どの機種が受注を伸ばすかが注目される。

 

とはいえ、戦闘機部隊が縮小する中で、無人機装備が従来の戦闘機任務に進出し、合成訓練方式(シミュレーション訓練)が現実のものになっており、練習機需要そのものも縮小していくとの予測がある。次世代練習機各型が更新需要を狙う中で、この分野での各社競争がし烈になりそうだ。■



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Which Military Training Aircraft Will Dominate The Future?

Craig Caffrey May 10, 2021

 


ハマスのミサイル大攻勢はイスラエルの防衛兵器を早く打ち尽くさせるための策略か。現実は記事より先に進み、イスラエル民間人に死亡例が発生してしまいました。

  

Hamas Rockets

イスラエル独立69周年の日に、イスラエル空軍はアイアンドーム発射装置を

ラマト・ダビデAFBで公開した。

 

 

5月10日夜間、ハマス戦闘員が南方のイスラエルに向けロケット弾をガザ地区から繰り返し発射した。サイレンが鳴り響き、イスラエルのアイアンドームミサイル迎撃システムがロケット弾を撃破した。テッド・クルーズ上院議員の安全保障補佐官、オムリ・セレンは「弾丸で弾丸を撃ち落とすのと同じ」とツイッター寄稿した。イスラエル装備が技術的に驚異の存在でこれまで技術陣が不可能と言ってきた迎撃をしているというセレンの説明は正しい。ただし、イスラエルが迎撃に成功したと喜ぶと重要な点を見過ごすことになる。イランが自らが支援するテロ集団と一緒に運用する攻撃手段のコストと迎撃弾のコストの差だ。

 

アイアンドーム部隊装備は一式で1億ドルで、迎撃弾は一発40千ドルから80千ドル以上になる。これでも一発3百万ドルというペイトリオットより相当低くい。とはいえカチューシャミサイルやハマスお気に入りの手製ロケット弾はそれより二桁も安い価格だ。

 

そこで困難な問題になる。イスラエルはハマス発射のロケットを大部分排除できるが、一部はもれて民間人を直撃する。ハマスを支援するトルコ、イラン国内の勢力はハマスのロケット攻撃では軍事目的は実現できないことを承知している。だが、ハマスはまぐれ当たりを期待して発射を続けており、このままだとイスラエル一般市民の犠牲が実際に生まれるかもしれない。

 

ハマス内部主流派さらにトルコ、イランの戦略はイスラエルに消耗戦を挑むことにある。トルコ、イランが提供する資金でハマスはイスラエルに莫大な経済負担をさせながら自らは負担が実質的にない形にできる。アイアンドームはこれまで2,500発超のロケットを迎撃したが、その経費は100百万ドルを超えている。ヒズボラにイスラエルを狙うロケットが100千発あり、ハマスはそれ以上を保有しているとしたら、対応費用はうなぎのぼりとなる。いかに積極防衛費用のほうが、攻撃されるのを甘受する受動的防衛より安くつくとはいえ。

 

状況はさらに悪化する。4月20日、米中央軍司令官ケネス・マッケンジー大将はイランの無人機部隊の数量及び性能の拡充でペルシア湾岸地区で米国は制空権を無条件で確保できなくなったと発言して、見出しを飾った。イランは以前からUAVに重点をおいてきたが、米国がこれまで対策をとってこなかったのは戦略的に失策であり、歴代政権の失敗である。イラン無人機部隊は一夜にして生まれたわけではない。中東地区ではもっとも初期に開発をはじめ、かれこれ35年間になる。

 

マッケンジー大将の発言から数日して、イラン軍は新型無人機を陸軍記念日に発表した。新型機は敵無人機を探知し妨害する能力が特徴で、イラン軍のジハード組織は「自殺攻撃用にもなり、250マイル内の友軍機10機と共同作戦を実施できる」「このUAVは人工知能を搭載し、情報をネットワークで送信する。また各機に中継する」と解説していた。

 

イランは代理勢力とともにイエメンで無人機の大群を運用し、イスラエルの防御態勢を試してきた。他方でハマスは風船に焼夷弾をつけて飛ばす戦法の戦術効果に気づき、ミサイルより効果が大きいとする。イスラエルには新しい形の課題となる。低空飛行で無人機多数が進入すればアイアンドームでも対処は困難となるし、消耗戦となればミサイル弾のほうが安価なだけ有利だし、初歩的な無人機にイスラエルは対ミサイル防衛装備品を使い果たし、今は好調な経済も一気に活力を失いかねない。

 

いかなる戦略にも外交、情報、軍事、経済の各方面の構成要素がある。ジャーナリスト、政府関係者がともにハマスのロケット攻撃で軍事側面に焦点を合わせる中、ミサイルは広義の戦略の一部であることに気づいていない。アイアンドームは対応戦略の一例である。ハマスあるいはヒズボラの攻撃があって初めて作動するからだ。イスラエルがハマスのミサイル攻撃すべてからの防衛を目指すこと、さらにイランの無人機の脅威がそこまで来ていることから、イスラエルはもっと積極的になる必要がある。■

 

 

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Hamas Rockets and Iranian Drones: A War of Economic Attrition Against Israel?

ByMichael RubinPublished35 seconds ago

 

Michael Rubin is a senior fellow at the American Enterprise Institute and a 19FortyFive Contributing Editor. 


2021年5月12日水曜日

米パイプラインへのサイバー攻撃を行ったランサムウェア集団ダークサイド(ロシア)は単純に金銭目的とするが、ガソリン価格はすでに上昇して混乱を巻き起こしている。

Gas Prices

NBCニュースによればコロニアルパイプラインへのサイバー攻撃実行犯としてFBIはロシアのダークサイドを特定した。ダークサイドは犯行を認めている。攻撃対象となったパイプラインは全長5,500マイルでテキサスとニュージャージーをつなぐ。

サイバー攻撃は先週末に米国最重要の燃料パイプラインに行われ、ダークサイドの犯行と判明した。ダークサイドはロシアのランサムウェア集団だ。

 

「ダークサイド・ランサムウェア集団が今回のコロニアルパイプライン襲撃を実行した」とFBIは発表。「同社やその他政府機関と協力し捜査を続けている」

 

ランサムウェアとはネットワークに侵入し、対象先のファイルをロックして解除のため身代金を要求する行為を指す。

 

ダークサイドは「政治と無関係、地政学にも加わらず、政府とのつながりもなく、自らの利益を希求している」とウェブサイトに記しているとNBCは報道。「めざすのは金銭であり社会混乱ではない」

 

今回のサイバー攻撃でパイプラインは使用不可となっており、燃料供給に混乱が生まれ、ガソリン価格はすでに上昇している。ただし、価格上昇が数日で収まるか、長期にわたるかは不明だ。

 

地方テレビ局KXニュースによればガソリン価格は南東部ですでに上昇しているという。

 

「これは注目すべきニュースです。サイバーセキュリティ犯罪集団が米国のガソリン需給を動かしています。これは注目せざるを得ません。心配になる話です」とAAA(全米自動車連盟)の広報担当ジーン・ラダウサーが同局取材に対し見解を述べていた。

 

5月3日時点の全米平均ガソリン価格はガロンあたり$2.89で、一カ月前より1.8セント高く、昨年5月より$1.13 上昇している。昨年5月はパンデミックの影響でガソリン価格が異例なまで低下していた。■


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Report: Russian Hacker Group Darkside Seen as Responsible for Pipeline Attack

May 11, 2021  Topic: Darkside  Blog Brand: The Buzz  Tags: Darkside AttackRansomwarePipeline AttackRussiaMilitaryGas Prices

by Stephen Silver

 

Stephen Silver, a technology writer for The National Interest, is a journalist, essayist and film critic, who is also a contributor to The Philadelphia Inquirer, Philly Voice, Philadelphia Weekly, the Jewish Telegraphic Agency, Living Life Fearless, Backstage magazine, Broad Street Review and Splice Today. The co-founder of the Philadelphia Film Critics Circle, Stephen lives in suburban Philadelphia with his wife and two sons. Follow him on Twitter at @StephenSilver.

 

四か国合同揚陸演習ARC21が九州で始まった。島しょ部分の防衛戦術を磨き、占領された島しょ奪回のシナリオが含まれる模様で中国を視野に入れていることは明白。

  

French Navy LHD Tonnerre in Sasebo

フランス海軍LHDトネールがARC21参加のため佐世保に到着した。Picture by たもた@tamotaro

 


合同揚陸作戦演習(ARC21)が佐世保で開始された。ARC21は日本、米国、フランス、オーストラリア四か国が参加し九州周辺で展開する。


海上自衛隊発表によれば、ARC21は以下の各国が加わる前例のない規模の演習となる。


海上自衛隊

  • ひゅうが級ヘリコプター駆逐艦JSいせ (DDH-182)

  • あたご級誘導ミサイル駆逐艦JSあしがら (DDG-178)

  • あさひ級駆逐艦JSあさひ(DD-119)

  • こんごう級誘導ミサイル駆逐艦JSこんごう (DDG-173)

  • おおすみ級揚陸輸送艦JSおおすみ(LST 4001)

  • はやぶさ級警戒艇JSおおたか(PG-826)、 JS しらたか(PG-829)

  • 名称不詳潜水艦一隻


さらに陸上自衛隊の水陸機動旅団、西部方面隊のCH-47JA、AH-64、航空自衛隊のF-2も加わる。


米海軍

  • サンアントニオ級ドック型揚陸輸送艦USSニューオーリンズ (LPD-18),

  • P-8Aポセイドン

  • MV-22 オスプレイ

フランス海軍

  • ミストラル級強襲揚陸艦トネール (L9014)

  • ラファイエット級フリゲート艦シュルクーフ(F 711)

オーストラリア海軍

  • アンザック級フリゲート艦パラマッタ(FFH 154)


海上自衛隊はイージス艦二隻あたご、こんごう、最新のASW艦あさひ、揚陸艦2隻、潜水艦1隻と最大の陣容で同演習に加わり注目される。さらに小型警備艇二隻が大規模演習に加わるのは今回が初めてだ。ARC21での役割は不明だが、仮想的部隊(OPFOR)役でPLANの22型双胴ミサイル艇をシミュレートするのではないか。


演習の目標

海上自衛隊によれば、ARC21で4か国間の防衛協力体制を強化し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現をめざす、とある。演習は各国部隊の島しょ部防衛戦術の技量を高めるのが目標だ。太平洋地区フランス海軍司令レイ提督は先週の報道記者会見で揚陸演習の目的の一つに「島しょ奪回」があると明らかにしていた。■


Training Phase of ARC21 Combined Amphibious Exercise Begins in Japan

Xavier Vavasseur  11 May 2021



2021年5月11日火曜日

B-21はデジタル・トランスフォーメーションの効果をフルに活用した初の大型機になった。従来の機体開発とどこが違うのか。

 

Photo: Courtesy of Northrop Grumman



B-21はデジタル開発から生まれた機体だ。開発ではリスク削減を最大目標とした。ノースロップ・グラマンはデジタル技術を全面応用した設計、試作、製造、テストの各段階を展開した。


B-21が冷戦時のB-1/B-2/B-52と共通するといえば、F-35ライトニングIIが第二次大戦時のPライトニングと同じだというのと同じことになる。


B-2スピリットの登場から30年が経過し、B-21はその間の技術進展を取り入れいれた。ノースロップ・グラマンは最新防空装備であるS-400地対空ミサイルや中国のJ-20ステルス戦闘機に遭遇してもB-21が十分生き残れるようにしている。


B-21は最新デジタル技術から生まれた驚異の機体だ。デジタルで設計、製造、支援の水準が向上した。デジタル開発は空軍にとっても新しい形の調達となった。


「デジタルの三位一体はデジタル技術、アジャイル・ソフトウェア開発、オープンアーキテクチャでステルスの正当後継者だ。軍事技術で次のパラダイムになる」と最近まで空軍で調達業務を仕切ってきたウィル・ローパーが “There is No Spoon: The New Digital Acquisition Reality” (このタイトルは映画マトリックスからとったものだ)と題した2020年の報告書で述べていた。


優れた装備品の実現ではなく、より良いシステムをデジタル技術、管理で構築する、とローパーは述べ、より迅速に設計し、そのまま生産に移し、性能改修が簡単になるとした。これまで次の機体製造まで数十年も間隔が開き、防衛産業はどんどん少なくなる契約案件をめぐり競合してきたが、ローパーは「このままだと中国やロシアに負ける」と警句を鳴らしていた。


デジタルで何が変わったのか


しかし、デジタルの導入で空軍は5年前からこの状況を脱していた。その背景にローパーがいた。デジタルが機体ライフサイクルを可視化し、開発から製造、維持まで各段階の姿が明らかになった。


空軍がデジタルを活用する案件はB-21以外に、NGAD次世代航空優勢機材(トップシークレットの第六世代戦闘機)、A-10の主翼交換、B-52で民生エンジン換装事業、地上配備戦略抑止装備事業(GBSD)があり、後者はノースロップ・グラマンが進めるLGM-30ミニットマンIII大陸間弾道ミサイルに代わる新装備になる。


こうした事業で空軍は従来より短いサイクルでかつ導入可能な価格の実現をめざし、脅威対象の進展の速さに対応しようとする。ノースロップ・グラマンはデジタル・トランスフォーメーションで現実の環境に適合させる形で設計、開発、製造の各段階を統合している。


「エンドユーザーとなる第一線部隊に必要な内容で適正化をめざし、より良い製品をより早くより効率的に生み出します」とノースロップ・グラマンの研究開発部門副社長クリス・ドーターズが語る。「最高の設計を3-Dで実現し、製造技術と組み合わせます。さらに次世代技術で費用対効果が高い解決方法を実現します」


急速に進展する環境で今後も主導権を握るためにはデジタル・トランスフォーメーションは不可欠で、ノースロップ・グラマンのGBSDもB-21レイダーが基礎となっている。


デジタル・トランスフォーメーションで工程はどこまで加速化するのか


B-21レイダーでは重要設計審査が完了してからノースロップ・グラマンは実機を二年未満で完成させた。これがデジタル設計の効果でテスト機材二機をそろえ、初飛行は2022年を予定している。


「空軍の迅速性能実現室(DAF RCO)と当社の関係が差別化を実現しました」とノースロップ・グラマン副社長スティーブ・サリバンが語る。「このウェポンシステムを予定通り実現することが共通目標です。このため問題の早期発見、迅速な行動、決定的な解決方法を共同実施し、問題をつぶして事業の勢いを維持しました」


B-21はDAF RCOが統括する初の大型機開発事例


B-21は従来の大型調達事業と根本的に異なる。これにはノースロップ・グラマンが画期的なデジタルツール、ソリューション各種を大幅に投入したことで技術リスクとコストを低減した効果が大きい。特に重要なのが同社が技術製造開発段階(EMD)からこうしたツールを多用したことだ。


ノースロップ・グラマンはデジタル・トランスフォーメーションにより機体や各機能の統合デジタルモデルを作成し、改良策をリアルタイムで見つけ、モデルに仮想的に応用した。こうした高精密なデジタルモデルの数々は設計、構造、熱工学、電気、飛行制御、機体シグネチャー情報を扱う各部門が共有した。


同社ではこのアプローチをMB(x)と呼び、モデルをもとにしたシステム工学を応用し、モデリングで最適化を求めるシミュレーションを利用し、組織各部門との連絡、連携を強める方法をシステムのライフサイクル全般に応用する。


「このアプローチでは既存のデジタルツールを使い、設計製造維持に役立つ画期的な応用方法を見つけ出し、同時にアジャイルソフトウェア開発、クラウドベースのソフトウェア連携を利用した」とサリバンは語る。「ここから生まれた成果で最大のものがスピードで、効率よく実行に移し、コスト、リスクで大幅な軽減効果は設計から始まり、製造面にも表れています」


B-21のリスク軽減策


B-21ではノースロップ・グラマンはリスクをいかに減らすかをあらゆる場面で強調している。設計、製造、試作、テストのサイクルがすべてデジタル化され同時実施で期間短縮とともに最終形の統合作業での余分な作業が減る。これによりB-21は従来より短期間で第一線配備が実現し、空軍力の整備が経済的に行える。


同社のリスク低減策は統合作業、テスト工程に焦点をあてている。


ノースロップ・グラマンは有人航空機設計センター(フロリダ州メルボルン)を拡張し、B-21の各種サブシステムに現実の稼働状況数々を応用して開発、統合、テストの各段階を進めた。その例としてハードウェアとソフトウェアの統合・テストがあり、モデリングやシミュレーションの各種ツールを使い、各種ミッション環境を再現している。


同社のテスト機材でB-21のハードウェア・ソフトウェアの統合効果を測定している。こうした実証の積み重ねで空軍は同機の初飛行への道のりに一層確信を抱くことになる。


「実機を使わなくても同じシステムを使ったフライトテストで統合機能を確かめることができる」と空軍迅速性能実現室の事業統括官ランドール・ウォールデンが語る。「ここ数カ月で別の実証にも成功している。さらにハードウェア・ソフトウェアの成熟化が進み、実際に良好な作動結果を生んでいる」


結語


ノースロップ・グラマンは国防産業でデジタル・トランスフォーメーションの先頭を走っており、ソフトウェアで定義しハードウェアで実現する方式にモジュラー構造のオープンインターフェイスやアーキテクチャを応用する。各種システムは従来より早く実用化でき、ソフトウェアのアップデートを短期間で実現することで敵陣営の先を行ける。デジタルシステムによりハードウェアは多機能を発揮し、各種ドメインで機能可能になる。デジタル・トランスフォーメーションで国防装備はハードウェアの制約から解放されるだけでなく、ソフトウェアのアップグレードによりさらに進化し、脅威の変化に対応できる。各システムが想定外のミッションに対応可能となる。


空軍グローバル打撃軍団の司令ティモシー・レイ大将も空軍協会主催の2021年仮想航空宇宙サイバー会議でこうした姿勢を評価している。「B-2に新型スタンドオフミサイルを搭載するのに何年もかかるが、B-21はオープンミッションシステムを導入しており数カ月でこれが実現できる」と述べている。■



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The B-21 Raider: A Marvel Of Digital Development


By   BARRY ROSENBERG

on May 05, 2021 at 3:30 PM


2021年5月10日月曜日

ドイツもP-8ポセイドン購入へ。あわせて南シナ海で航行の自由を主張しフリゲート一隻を派遣。だが中国の主張に真っ向から対抗する意思があるのかが問われる。

 

 

 

米国防安全保障協力庁(DSCA)はドイツはP-8Aポセイドン5機と関連支援訓練装備を総額17.7億ドルで購入すると発表した。

 

DSCAは本件に関し、「今回の売却によりドイツは現在さらに将来の行為に対応する能力を獲得し、連合国の海洋作戦に寄与可能となる」と発表。▼ドイツは現在ロッキードP-3Cオライオンを供用中だが、同機は稼働期間が終わりつつあり、2024年退役する。▼ドイツは後継機種としてP-8Aポセイドンを選択した。▼ドイツは新型機導入により海洋監視用機材(MSA)を近代化し、今後30年間稼働し続けれるようになる。▼P-8への機種転換は問題なく進み、部隊編入されるだろう。▼機体と合わせ支援装備が導入されても域内の軍事バランスそのものがくずれるわけではない。▼P-8は強力な多任務海洋哨戒機で監視偵察任務以外に捜索救難や対潜戦を展開できる。▼ボーイング製の同機は民生仕様の737NGと86%が共通で、運用は極めて効率がよい。▼ただし、民生型と比べP-8では機体が強化され低空運用を考慮しており、ターボファン双発になっているが、旧型オライオンは四発ターボプロップ機である。▼ドイツのP-3C8機は海洋哨戒飛行や偵察に使われている。▼同機は米海軍で1960年代に供用開始し、以後長期間にわたり飛行している。▼ドイツはオライオンの補修改修案も検討したが、費用面と技術上の課題により断念した。▼ドイツ政府も航行の自由を提唱し、ドイツ海軍フリゲート艦一隻を南シナ海へ今年夏に派遣する。▼同艦は中国が一方的に領有を主張しながらも国際社会が認めない海域を航行する。▼ドイツ海軍が同海域を前回航行したのは2002年のことで、今回の派遣は国際法へのドイツの貢献を具現するものとして評価が高い。▼ただし、同艦は中国の主張する島しょ部の12カイリ以内には進入せず、結果として中国の主張を認めてしまうことになる。

 

海洋哨戒機能を向上させ、航行の自由原則を訴える姿勢を示しながら、海軍力を誇示する意向はドイツにあるのだろうか。あるいは南シナ海での中国の主張を間接的に認めることになるのか、注目だ。■

 

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Germany Is Buying This Plane to Kill Submarines - In the South China Sea?

by Caleb Larson


April 20, 2021  Topic: Germany  Blog Brand: The Reboot  Tags: P-8 PoseidonP-8Anti-submarineASWSubmarine WarfareMilitary

 

Caleb Larson is a Defense Writer with The National Interest. He holds a Master of Public Policy and covers U.S. and Russian security, European defense issues, and German politics and culture.

Image: Wikimedia


主張 米国も同盟国も大規模戦闘への準備態勢が不足している。バイデン政権は国内問題に膨大な予算投入するしながら国防問題を軽視してよいのか。

 

ここがポイント:米軍が勝利を収めるためには規模、対応体制、装備品の整備が必要だ。これができなければ敗北する。いずれにせよ、結果は甚大なものとなる。

イデン政権と議会多数派の民主党は国内問題を解決するまで米国の主要競争相手が待ってくれるので、それから防衛力整備をすればよいと本気で考えているのだろうか。政府の資金使途の話を聞くとそんな印象を受けてしまう。

 

バイデン政権は2022年度国防予算で1.7パーセント増を要求しているが、インフレーション分の目減りより少ない増加分だ。一方で、国内支出には16パーセント増を求めている。3兆ドルの新規支出でこれが最上段にある。コロナウィルス大量流行による損失を補おうというものだろう。

 

さらに少なくとも2兆ドルの投入が検討されている。米国内雇用創出構想、全国家庭計画はともに国内の児童福祉、有給家族休暇、大学学費の免除、健康保険補助、一律就学前対応、電気自動車向け給電ステーション、電動スクールバス等々をすべて連邦政府が支出する(つまり納税者の負担で)構想だ。国内にこれだけの予算を向けても、国外に現実に存在する脅威で米国を終焉させかねない脅威への対応は皆無に近い。

 

左翼勢力が好きなことばに米外交の「脱軍事化」がある。外交を巧みに進めれば戦争への準備時間が稼げると本気で思っているのだろう。あるいは必要な事態が発生し、大変な事態となっても米国は同盟国とともにその後に事態を制御できると信じているのだろう。

 

もちろん他国と戦闘では「三回勝負で二回勝てばよい」話にはならない。台湾を巡り中国との対戦に米国が向い、有利に戦局を進めた中国が米国に部隊を再結集し二回戦への準備時間を許すはずがない。同様にイランがイスラエルを攻撃しイランとの対戦になれば、あるいはロシアがバルト海地方の同盟国を遮断し対立となっても同様である。

 

戦闘に向け準備をするのか、しないのか。準備態勢が整っていなければ、軍事面で失態を犯すことになり、他の手段で補うことは不可能だ。

 

ビジネスの世界と明らかに対照的だ。企業は成功失敗を繰り返すが、失敗すれば影響は残る。他企業にシェアを奪われ、社員は失業し、求職者の列に加わる。顧客は別の取引先を探すだけだ。

 

同じ現象はあらゆる場面で見られる。スポーツ、宗教活動、政治家、金銭問題に遭遇する個人等々。ここでのポイントは個人の場合ならいつでも再スタートが可能で、ビジネスでも同様だ。ある個人が、あるいは企業が破綻しても全国民や全企業の破綻につながらない。損失といっても規模はわずかなものだし、その他全体の存続が危険になるわけでもない。

 

戦争となると話は全く別で、一国の国民、生命、生活の存続がかかってくる。強力な軍事力は外交力の裏付けとなり、経済関係を強化し、潜在敵国を押さえつける。また国民の生活状態を引き上げる。軍事力が不足をきたせば、上記すべてでリスクが増大する。

 

軍事費を無制限に増やせ、といっているわけではない。どこまでの軍事力が必要なのか検討することが必要で、このためには真の国益を理解し、危険や脅威を把握し、こうした要因を解決するため必要な要件を理解する必要がある。敵対国が弱小国なら兵力も最小限ですむ。だが強力な敵が十分な軍事力を整備し目的達成のためなら武力行使もいとわない姿勢であれば、強力な部隊を整備し、装備を近代化し即応体制を整える必要がある。

 

米軍の現状を見ると心穏やかにしていられない。米軍兵士に意思や技量が不足しているわけではないが、扱う装備品(艦船、航空機、戦車等)の旧式化が目立ち、数も不足している。装備品の大部分が1980年代1990年代に調達されたものだ。海軍の規模は三十年前の半分近くまで縮小し、空軍の飛行時間は冷戦時なら必要レベルに足りないものだ。陸軍は稼働体制ではそれなりの向上を実現したが、なんといっても部隊数が不足して要求に答えられない。海兵隊も同様で、部隊規模を縮小して浮いた予算で将来の戦闘に必要な能力の実現に充てざるを得ない状況だ。

 

米国が大きな脅威に直面していなければこうした点は問題にならない。だが現実は違う。競合相手はこれまで20年間を使い、新型装備導入、最新技術を取り入れ、演習を通じ部隊を整備し戦技を磨いてきた。

 

他方で米国の同盟各国の部隊は大規模大戦が発生しても活躍できなくなるほど衰退している。例として英国はサイバー、宇宙、特殊作戦を優先し現行部隊を再編成すると発表し、1714年以来最小規模の人員構成となり、海軍はわずか17隻を運用する規模になる。

 

冷戦末期の西ドイツは主力戦車5千両を配備し、東からの脅威に対応していた。今日では300両弱にすぎない。ドイツ、フランス両国の航空作戦は米軍の空中給油や備蓄弾薬なしでは継続できないのが現実である。

 

こうした状況を遺憾に思っても、事実は変わらず、大規模開戦となれば米国は自国の軍事力しか頼るところがなくなる。

 

国防支出に制限を加えようと主張する政治家には必要とされる軍事力整備を支持する姿勢は皆無で、国内支出を優先し、国防支出と農産品価格補助や新エナジー企業向け助成金を同等に扱っている。

 

国内問題向け連邦政府の支出を押さえても、この国の市場活力や企業精神が補ってくれる。また地方自治体が代替策を提供する。だが、国防には代替策がない。米軍は規模、対応体制、装備品をそろえて初めて戦闘に勝利できる。できなければ敗北する。いずれにせよその結果は甚大だ。■

 


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America and Its Allies are Unprepared for the Next Great War


May 8, 2021  Topic: Warfare  Region: Americas  Tags: ChinaTaiwanWarMilitary EquipmentDefense Budget

America and Its Allies are Unprepared for the Next Great War

by Dakota Wood

 

 

Dakota Wood is the senior research fellow for defense programs in The Heritage Foundation’s Center for National Defense.